(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】光ルミネセンス層状構造体を備えるパッケージ化された白色発光デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20230313BHJP
C09K 11/61 20060101ALI20230313BHJP
C09K 11/80 20060101ALI20230313BHJP
C09K 11/64 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
H01L33/50
C09K11/61
C09K11/80
C09K11/64
(21)【出願番号】P 2021556907
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020023095
(87)【国際公開番号】W WO2020190914
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-25
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506358764
【氏名又は名称】インテマティックス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTEMATIX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ガン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ガーン ワーン
(72)【発明者】
【氏名】イ-チュン リ
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-042579(JP,A)
【文献】特開2018-113411(JP,A)
【文献】特表2017-520917(JP,A)
【文献】特開2016-072614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光パッケージであって、
440nmから470nmまでのドミナント波長を有する励起光を生成するための固体励起源と、
層状光ルミネセンス構造体であって、
第1の光ルミネセンス層であって、前記第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の75重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む、第1の光ルミネセンス層、及び
500nmから650nmまでの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための光ルミネセンス材料を含む第2の光ルミネセンス層を含む、層状光ルミネセンス構造体と、を備え、
前記第2の光ルミネセンス層が、前記第1の光ルミネセンス層上に配設され、前記第1の光ルミネセンス層と直接接触し、前記第1の光ルミネセンス層が、前記固体励起源に隣接して配設され、前記固体励起源と直接接触し
、
前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が、前記発光パッケージの総光ルミネセンス材料含有量の約30重量%~45重量%を構成する、発光パッケージ。
【請求項2】
前記第1の光ルミネセンス層が、前記第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の90重量%~100重量%の前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料、及び前記第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の95重量%~100重量%の前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の発光パッケージ。
【請求項3】
前記第1の光ルミネセンス層が、前記固体励起源の少なくとも発光面上の均一な厚さの層、実質的にコンフォーマルなコーティング層、略半球状コーティング層、略ドーム形状コーティング層のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の発光パッケージ。
【請求項4】
前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料層が、K
2SiF
6:Mn
4+、K
2TiF
6:Mn
4+、及びK
2GeF
6:Mn
4+のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発光パッケージ。
【請求項5】
前記第2の光ルミネセンス層
が、500nmから565nmまでのピーク放出波長を有する光を生成する
第1の光ルミネセンス材料を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の発光パッケージ。
【請求項6】
前記第2の光ルミネセンス層が、前記発光パッケージの
前記第1の光ルミネセンス材料
の総含有量の60%~100%を構成する、請求項
5に記載の発光パッケージ。
【請求項7】
前記第1の光ルミネセンス材料がセリウム活性化ガーネット蛍光体を含む、請求項5または6に記載の発光パッケージ。
【請求項8】
前記
セリウム活性化ガーネット蛍光体が、一般組成(Lu,Y)
3-x(AlGa)
5O
12:Ce
x又はY
3(Al,Ga)
5O
12:Ceを有する
、請求項7に記載の発光パッケージ。
【請求項9】
前記第1又は第2の光ルミネセンス層が、580nmから650nmまでのピーク放出波長を有する光を生成するための
第2の光ルミネセンス材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の発光パッケージ。
【請求項10】
前記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料及び
前記第2の光ルミネセンス材料の総量に対する前記
第2の光ルミネセンス材料の含有率が、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、及び少なくとも40重量%のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の発光パッケージ。
【請求項11】
前記
第2の光ルミネセンス材料が、一般組成CaAlSiN
3:Eu
2+、Ca(Se,S):Eu
2+、又は(Ba,Sr)
3SiO
5:Eu
2+を有する窒化物系蛍光体を含む、請求項10に記載の発光パッケージ。
【請求項12】
前記第2の光ルミネセンス層が、500nmから565nmまでのピーク放出波長を有する光を生成するための第1の光ルミネセンス材料と、600nmから650nmまでのピーク放出波長を有する光を生成するための第2の光ルミネセンス材料との混合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の発光パッケージ。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の発光パッケージであって、
ディスプレイバックライトパッケージを備え、
前記固体励起源が445nmから465nmまでのドミナント波長を有する励起光を生成し、
前記第2の光ルミネセンス層が、520nmから550nmまでのピーク放出波長を有する光を生成する
光ルミネセンス材料を含む、
発光パッケージ。
【請求項14】
前記第2の光ルミネセンス層内の前記光ルミネセンス材料が、β-SiAlON、又は一般組成及び結晶構造(Ba,Sr,Ca)Ga
2S
4:Euのユーロピウム活性化硫化物蛍光体を含む、請求項13に記載の発光パッケージ。
【請求項15】
チップスケールパッケージ化発光デバイスを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の発光パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「PHOTOLUMINESCENCE LAYER LIGHT EMITTING DEVICE」と題された2019年3月18日出願の米国仮出願第62/820,249号、及び「PACKAGED WHITE LIGHT EMITTING DEVICES COMPRISING PHOTOLUMINESCENCE LAYERED STRUCTURE」と題された2019年8月13日出願の米国仮出願第62/886,317号の優先権の利益を主張するものであり、これらの各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、光ルミネセンス材料層を含むパッケージ化された白色発光デバイスを対象とする。より具体的には、排他的ではないが、実施形態は、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含むパッケージ化された発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
光ルミネセンス波長変換発光LED(「LED」)は、LEDによって放出された励起光(通常、青色)の一部分を吸収し、異なる色(波長)の光を再放出する、1つ以上の光ルミネセンス材料(通常、無機蛍光体材料)を含む。K2SiF6:Mn4+(KSF)、K2TiF6:Mn4+(KTF)、及びK2GeF6:Mn4+(KGF)などのマンガン活性化フッ化物蛍光体は、ディスプレイ用途では高色域(NTSC、DCI-P3、Rec2020)を実現するために、及び一般の照明用途では高い一般演色評価指数(CRI Ra)を実現するために、それらをかなり望ましくする非常に狭い赤色スペクトル(それらの主な輝線スペクトルについて、10nm未満の半値全幅)を有する。
【0004】
図1は、マンガン活性化フッ化物蛍光体材料を利用する既知のパッケージ化された白色発光デバイスの断面図である。
図1を参照すると、パッケージ化された発光デバイス10は、少なくとも1つのLEDダイ16を収容する空洞14を有するパッケージ12を備える。空洞14は、マンガン活性化フッ化物蛍光体と、封止材中に組み込まれた(組み込まれた(分散された)ガーネット系蛍光体材料などの黄色~緑色発光蛍光体との混合物を有する透明な光学封止材18で充填される。
【0005】
上記の理由で、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は非常に望ましいが、それらの広範な使用を困難にするいくつかの欠点がある。最初に、マンガン活性化フッ化物蛍光体の吸収能力は、光ルミネセンス波長変換LEDで現在一般的に使用されているユーロピウム活性化赤色窒化物蛍光体材料(CASNなど)の吸収能力よりも実質的に低い(通常、約10分の1)。したがって、用途に応じて、同じ目標色点を達成するために、マンガン活性化フッ化物蛍光体の使用量は、通常、対応するユーロピウム活性化赤色窒化物蛍光体の使用量よりも5~20倍多い場合がある。マンガン活性化フッ化物蛍光体がユーロピウム活性化赤色窒化物蛍光体よりも実質的に高価(少なくとも5倍より高価)であるため、蛍光体使用量が増加すると、製造コストが大幅に増加する。より多い使用量及びより高いコストの結果として、マンガン活性化フッ化物赤色蛍光体の使用は、多くの用途にとってひどく高価であり得る。更に、所望の色点を達成するためには、シリコーン中に非常に多くの光ルミネセンス材料を投入する必要があるため、これにより、分配プロセスの安定性が低減し、パッケージ化されたデバイス内に確実に分配することが困難になる場合がある。
【0006】
フッ化物系蛍光体材料による別の問題は、フッ化物系蛍光体材料が、蛍光体のそれらの光ルミネセンス放出(すなわち、量子効率)の低減又は損失をもたらすドーパントマンガンへの損傷を引き起こす水又は水分と容易に反応することである。その上、フッ化物系化合物と水との反応は、LEDパッケージング材料と反応し得る非常に腐食性が高いフッ化水素酸を生成し、それにより構成要素の破損をもたらす場合がある。
【0007】
本発明は、既知の構成物ではこれまで企図されることも可能でもなかった新しい設計及び方法を提示することによって、上述の制限に対処する及び/又は克服することを意図する。より具体的には、より少ないマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を利用し、製造中により安定した分配プロセスを可能にし、フッ化物系光ルミネセンス材料を周囲環境中の任意の水/水分から効果的に隔離することができる最適化されたLEDパッケージング設計を保有する、費用効率の高い発光デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、光ルミネセンス材料層状構造体を備えるパッケージ化された白色発光デバイスに関する。より具体的には、実施形態は、層内の総光ルミネセンス材料含有量に関して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料(蛍光体)の大部分の重量%、例えば75重量%~100重量%を含有する固体励起源(LED)に隣接して配設された第1の光ルミネセンス層を含む白色発光パッケージに関する。デバイスは、可視スペクトルの緑色~赤色領域(500nm~650nm)の一部内に光を生成する光ルミネセンス材料を含有する第1の光ルミネセンス層上に配設された第2の光ルミネセンス層を更に含む。本発明者らは、他の光ルミネセンス材料とは別の「個別層」内にマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を位置することにより、所与の色目標を達成するために必要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の量を、60%程度まで低減することができることを発見した。この特許明細書では、パッケージ化された発光デバイスは、光ルミネセンス材料層状構造体が発光デバイスパッケージの一部を構成することを指定するために使用される。これは、蛍光体構成要素が励起源に「遠隔に」提供される、すなわち物理的に隔置された関係で提供され、空隙によって分離される、遠隔蛍光体(光ルミネセンス)デバイスと対比されるべきである。
【0009】
本発明の一態様によれば、白色発光パッケージであって、440nm~470nmの範囲のドミナント波長を有する励起光を生成するための固体励起源と、層状光ルミネセンス構造体であって、第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の75重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層、及び500nm~650nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための光ルミネセンス材料を含む第2の光ルミネセンス層を含む、層状光ルミネセンス構造体と、を備え、第2の光ルミネセンス層が、第1の光ルミネセンス層上に配設され、第1の光ルミネセンス層が固体励起源に隣接して配設される、白色発光パッケージ、が提供される。第1の光ルミネセンス層は、第2の光ルミネセンス層よりも固体励起源に対して極めて近位にあることが理解され得る。「極めて近位」は、励起源に対する第1及び第2の光ルミネセンス層の空間的関係を画定するために使用され、第1の光ルミネセンス層が励起源に対して近位(すなわち、近位層)であり、一方、第2の光ルミネセンス層が励起源に対して遠位(すなわち、遠位層)であることを指定するために使用されることが理解され得る。その上、「極めて近位」とは、固体励起源と第1の光ルミネセンス層との間の光路内に他の光ルミネセンス材料はないが、光ルミネセンス材料以外の材料、例えば光拡散性/光散乱材料を含有する光透過性層又は光透過性層がある場合があることを意味する。本発明による発光デバイスは、パッケージ化された発光デバイス内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の高使用量に対処するための効果的な解決策を提供する。層の総光ルミネセンス含有量に関して、層が排他的に(100重量%の)マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料からなるまでの大部分(少なくとも、層の総光ルミネセンス材料含有量の75重量%)を含有する、それぞれの層としてマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を提供することにより、デバイス内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を大幅に低減する(約25%~60%の低減)ことが見出されている。
【0010】
既知の構成物(
図1)と比較すると、従来の白色発光デバイスは、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料と他の(非フッ化物)光ルミネセンス材料(例えば、緑色蛍光体材料、通常ガーネット系蛍光体材料、又はCASNなどの赤色窒化物系蛍光体)との混合物を含む単一の光ルミネセンス層を含む。そのような配置では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料及び他の光ルミネセンス材料は、励起光、例えば青色励起光への等しい曝露を有する。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、他の光ルミネセンス材料(例えば、緑色/黄色ガーネット系蛍光体又は赤色窒化物蛍光体)よりもはるかに低い青色光吸収能力を有するため、必要とされる赤色放出に十分な青色光を変換するためには、より多量のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が必要である。対照的に、本発明による構造体では、その別のそれぞれの層内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、青色励起光に個別に曝露され(つまり、他の光ルミネセンス材料と競合しない)、したがって、より多くの青色励起光が、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料によって吸収され得、未変換の青色励起光は、他の光ルミネセンス材料を含有する第2の光ルミネセンス層を通過することができる。有利には、この構造体/発光デバイスでは、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、例えば緑色/黄色又は橙色~赤色に放出する光ルミネセンス材料など、他の光ルミネセンス材料からの競合なしに、より効果的に青色励起光を赤色放出に変換することができる。したがって、目標色点を達成するために必要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の量(使用量)は、光ルミネセンス材料の混合物を含む単一層の既知の配置と比較して、最大で80%、大幅に低減することができる。したがって、本発明の白色発光デバイスの主な利点は、生成された光の所望の色点を実現するために必要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が著しく少ないので、デバイス(すなわち、パッケージ)の製造コストの大幅な削減である。
【0011】
本発明による発光デバイスの更なる利点は、第1の光ルミネセンス層にわたって配設された第2の光ルミネセンス層を設けることにより、第1の層内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が周囲環境内の任意の水/水分と直接接触することから保護する及び隔離することができることである。そのような多層又は2層の光ルミネセンス層状構造体は、上述のように、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の不十分な水分信頼性に対処するための効果的な解決策を提供する。したがって、第2の光ルミネセンス層を含めることにより、改善された水分信頼性の利点が発光デバイス(すなわち、LEDパッケージ)に提供される。それは、第2の光ルミネセンス材料層が第1の光ルミネセンス層と直接接触していることであり得る。直接接触は、空気界面の排除により、第1の光ルミネセンス層と第2の光ルミネセンス層との間の界面を横断する能力を改善する。
【0012】
実施形態では、第1の光ルミネセンス層は、第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の90重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含み得る。他の実施形態では、第1の光ルミネセンス層は、第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の95重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含み得る。なお更なる実施形態では、第1の光ルミネセンス層は、光ルミネセンス材料に関して、排他的に(100重量%)のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料からなる。第1の光ルミネセンス層内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の割合を増加させることにより、所与の目標色のためのデバイス内で使用されるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料全体が減少することが見出される。
【0013】
通常、第1の光ルミネセンス材料層は、固体励起源と直接接触しており、つまり、第1の光ルミネセンス層は、固体光源上に配設又は堆積される。実施形態では、第1の光ルミネセンス層は、LEDチップ(固体励起源)のうちの少なくとも1つの少なくとも発光面(例えば、原理発光面)上に均一な厚さの層(膜)を含むことができる、つまり、LEDフィラメントは、狭帯域赤色光ルミネセンス材料を含有するCSP(チップスケールパッケージ化)LEDを備える。第1の層は、コンフォーマルコーティング層の形態で、LEDチップの全ての発光面上に均一な厚さの層を含み得る。あるいは、発光デバイスは、固体励起源と第1の光ルミネセンス層との間に配設された光透過性層を含み得る。例えば、光透過性層は励起源上の光上に配設され、第1の光ルミネセンス層は光透過性層上に配設され得る。光透過性層は、例えばジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、エポキシ、及び/又はガラスなどの光透過性無機酸化物材料を含むパッシベーション層を含み得る。
【0014】
それは、第1の光ルミネセンス層は、実質的にコンフォーマルなコーティング層、略半球状コーティング層、略ドーム形状コーティング層のうちの少なくとも1つを含むことであり得る。このタイプの構成は有利である、つまり、これらの構成がマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てを可能な限りLEDチップ(固体励起源)に近くなるように集中させ、層内の物理的位置にかかわらず、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てが実質的に同じ励起光光子密度への曝露を受けることを確実にする。初期試験データは、それぞれの層内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバイスと比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を、最大80重量%まで低減することができる、そのような配置を示す。
【0015】
実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、K2SiF6:Mn4+を含み得る。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス層、例えばK2SiF6:Mn4+は、約630nm~約632nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成することができる。
【0016】
実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、K2TiF6:Mn4+を含み得る。
【0017】
実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、K2GeF6:Mn4+を含み得る。
【0018】
マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料はまた、K2SnF6:Mn4+、Na2TiF6:Mn4+、Na2ZrFe:Mn4+、Cs2SiF6:Mn4+、Cs2TiF6:Mn4+、Rb2SiF6:Mn4+、Rb2TiF6:Mn4+、K3ZrF7:Mn4+、K3NbF7:Mn4+、K3TaF7:Mn4+、K3GdF6:Mn4+、K3LaFe:Mn4+、及びK3YFe:Mn4+からなる群から選択される一般組成を含み得る。
【0019】
それは、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料がデバイスの総光ルミネセンス材料含有量の約30重量%~45重量%、又はデバイスの総光ルミネセンス材料含有量の45重量%未満を構成することであり得る。
【0020】
マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、光透過性媒体中に組み込まれ(組み込まれ(分散され))得る。これにより、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の中に励起光を結合すること、発光効率を改善すること、及びマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を低減することが改善され得る。光透過性媒体は、ジメチルシリコーン又はフェニルシリコーンを含み得る。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の屈折率をより良好に整合するために、フェニルシリコーン(屈折率-1.54)又はジメチルシリコーン(屈折率1.41)は、使用される特定のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料に基づいて、第1の光ルミネセンス層内で選択することができる。例えば、K2SiF6:Mn4+(屈折率1.4)は、ジメチルシリコーン中に組み込まれ(分散され)得、一方、K2TiF6:Mn4+(屈折率>1.5)は、フェニルシリコーン中に組み込まれ(分散され)得る。
【0021】
励起源によって生成された励起光のドミナント波長に応じて、第2の光ルミネセンス層は、440nm~625nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成する光ルミネセンス材料を含むことができる。例えば、励起源が紫光及びUV光を生成するとき、第2の光ルミネセンス層は、440nm~470nmの範囲のピーク放出波長を有する青色光を生成する光ルミネセンス材料を更に含むことができる。
【0022】
光ルミネセンス材料は、光透過性媒体中に組み込まれ(分散され)得る。これにより、光ルミネセンス材料に励起光を結合すること、発光効率を改善すること、及び光ルミネセンス材料の使用量を低減することを改善することができる。光透過性媒体は、ジメチルシリコーン又はフェニルシリコーンを含み得る。
【0023】
光ルミネセンス材料は、500nm~565nmの範囲内、つまり可視スペクトルの緑色領域内にピーク放出波長を有する光を生成する緑色光ルミネセンス材料を含み得る。第2の光ルミネセンス層は、デバイスの総緑色光ルミネセンス材料含有量の60%~100%を構成し得る。緑色光ルミネセンス材料は、一般組成Y3-x(Al,Ga)5O12:Cex-YAG蛍光体材料を有するセリウム活性化ガーネット蛍光体を含み得る。緑色光ルミネセンス材料は、一般組成(Lu,Y)3-x(Al,Ga)5O12:Cexを有するアルミネート蛍光体を含み得る。緑色光ルミネセンス材料は、一般組成A2SiO4:Eu2+又はA3SiO5:Eu2+のシリケート蛍光体(式中、A=Mg、Ca、Sr、及び/又はBa)を含み得る。
【0024】
デバイスによって生成された光の演色特性を改善するために、光ルミネセンス材料は、1つ以上の橙色~赤色放出蛍光体を含み得る。実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料及び橙色~赤色光ルミネセンス材料の総量に対する橙色~赤色光ルミネセンス材料の含有率は、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、及び少なくとも40重量%のうちの少なくとも1つである。橙色~赤色光ルミネセンス材料は、例えば、一般組成CaAlSiN3:Eu2+、例えば(Ca1-xSrx)AlSiN3:Eu(式中、0.5<x≦1)のCASN蛍光体、又は組成Ba2-xSrxSi5N8:Eu(式中、0≦x≦2)の2:5:8窒化物系蛍光体などのユーロピウム活性化窒化物系赤色放出蛍光体を含むことができる。橙色~赤色放出蛍光体は、一般組成MSe1-xSx:Eu(式中、M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)又は(Ba,Sr)3SiO5:Eu蛍光体材料のIIA/IIB族のセレン化物硫化物蛍光体を含むことができる。
【0025】
それは、第1又は第2の光ルミネセンス層が580nm~650nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための橙色~赤色光ルミネセンス材料を含むことであり得る。
【0026】
バックライト用途については、緑色光ルミネセンス材料は、狭帯域緑色蛍光体β-SiAlON、又は一般組成及び結晶構造(Ba,Sr,Ca)Ga2S4:Euのユーロピウム活性化硫化物蛍光体を含むことができる。
【0027】
それは、第2の光ルミネセンス層が500nm~565nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための第1の光ルミネセンス材料と、600nm~650nmの範囲のピーク放出波長を有する光を生成するための第2の光ルミネセンス材料との混合物を含むことであり得る。
【0028】
それは、デバイスによって生成された光の相対強度が85℃の温度及び85%の相対湿度での湿潤高温動作寿命試験条件下での300時間の動作後に少なくとも95%であることであり得る。
【0029】
別の態様によれば、ディスプレイバックライトパッケージであって、445nm~465nmの範囲のドミナント波長を有する励起光を生成するための固体励起源と、層状光ルミネセンス構造体であって、第1の光ルミネセンス層の総光ルミネセンス材料含有量の75重量%~100重量%のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層、及び520nm~550nmの範囲のピーク放射波長を有する光を生成するための光ルミネセンス材料を含む第2の光ルミネセンス層を含む、層状光ルミネセンス構造体と、を備え、第2の光ルミネセンス層が、第1の光ルミネセンス層上に配設され、第1の光ルミネセンス層が固体励起源に隣接して配設される、ディスプレイバックライトパッケージ、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のこれら及び他の態様並びに特徴は、添付の図面と併せて本発明の特定の実施形態の以下の説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。
【0031】
【
図1】マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を利用する既知の発光デバイスの断面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
【
図4】本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
【
図5A】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
【
図5B】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
【
図6A】それぞれ、本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスのA-Aを通る平面図及び断面側面図である。
【
図6B】それぞれ、本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスのA-Aを通る平面図及び断面側面図である。
【
図7】本発明の実施形態による、COB白色発光デバイスの断面図である。
【
図8A】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスの断面側面図である。
【
図8B】CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスの断面側面図である。
【
図9】本発明の実施形態による、チップスケールパッケージ化(CSP)白色発光デバイスの断面図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、(i)既知の2700K発光デバイス(比較例1)及び(ii)2700K発光デバイス(デバイス1)について加速試験条件85℃/85%RH下で動作されたデバイスについての、信頼性データ、相対強度対時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態は、当業者が本発明を実践することを可能にするように、本発明の例示的な実施例として提供される図面を参照してここで詳細に説明される。特に、下記の図及び実施例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意味するものではなく、説明又は例示されている要素のいくつか又は全てを置き換えることにより他の実施形態も可能である。その上、本発明のある特定の要素は、既知の構成要素を使用して部分的又は完全に実施することができるが、本発明の理解に必要となるそのような既知の構成要素のこれらの部分のみについて説明され、そのような既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明を不明瞭にしないように省略される。本明細書では、単数の構成要素を示す実施形態は、限定するものと見なすべきではなく、むしろ、本明細書に別に明示的な記述がない限り、本発明は、複数の同じ構成要素を含む他の実施形態を包含し、またその逆も同様であることを意図する。その上、出願者らは、そのように明示的に記されていない限り、本明細書又は請求項のいかなる用語も、一般的でない意味又は特殊な意味に帰されることを意図するものではない。更に、本発明は、例示として本明細書で言及した既知の構成要素に、現在及び将来の既知の均等物を包含する。本明細書全体を通して、同様の参照番号を使用して同様の部品を表す。
【0033】
ここで、本発明の実施形態による、パッケージ化された白色発光デバイス20について、デバイス20の断面側面図を示す
図2を参照して説明する。
【0034】
発光デバイス20は、例えばSMD 2835 LEDパッケージ(リードフレーム)22を備えるパッケージ化されたタイプのデバイスである。SMDパッケージ22は、矩形基部24、及び矩形基部24の対向する縁部から上向きに延在する側壁26A、26Bを備える。側壁26A、26Bの内面は、それらの垂直軸線に内向きに傾斜し、中実矩形基部24の内面と一緒に、逆角錐台形状の空洞28を画定する。
【0035】
この実施形態では、空洞28は、3つのInGaN(インジウムガリウム窒化物)青色(455nm)LEDダイ(固体励起源)30と、空洞38の約70%を充填するマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層32と、を含む。LEDダイ30は直列に接続され、定格駆動条件は100mA、9Vである。
【0036】
第1の光ルミネセンス層32は、層内にあり得る他の光ルミネセンス材料と比較して、大部分(少なくとも75重量%)のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含有する。第1の光ルミネセンス層32は、光散乱粒子又は光拡散材料などの他の材料を含有し得る。より具体的には、この実施形態では、第1の光ルミネセンス層32は、K2SiF6:Mn4+(KSF)のみを含有するが、他のタイプの光ルミネセンス材料を含有しない。しかしながら、光拡散性材料などの他の材料は、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料層32に添加することができるが、他の材料の量は、通常、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料層32の30%重量以下であることが理解されよう。更に、この実施形態では、第1の光ルミネセンス層32は、ジメチルシリコーン中に組み込まれた(分散された)K2SiF6:Mn4+によって構成される。第1の光ルミネセンス層32は、青色LED30と直接接触し、それに隣接する。第1の光ルミネセンス層32と青色LEDダイ30との間に層を含有する他の光ルミネセンス材料又は光ルミネセンス材料はない。
【0037】
例えば
図1に示すように、既知の構成物と比較すると、従来の単一層発光デバイスでは、製造中の分配プロセスは、励起光、例えば青色励起光への等しい曝露を有するマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料と、他の光ルミネセンス材料(通常、緑色蛍光体材料)との混合物を分配することを伴う。マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、他のタイプの光ルミネセンス材料(例えば、緑色/黄色ガーネット系蛍光体)よりもはるかに低い青色光吸収能力を有し得るため、必要とされる赤色放出に十分な青色光を変換するためには、より多量のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が必要である。対照的に、本発明による発光デバイス20では、その別の個別層32内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料は、青色励起光に個別に曝露され、したがって、より多くの青色LEDダイ30からの青色励起光が、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料によって吸収され得、残りの青色励起光は、例えば第2の光ルミネセンス層34を通過することができる。有利には、この発光デバイス20では、第1の光ルミネセンス層32は、例えば、第2の光ルミネセンス層34内に存在する他のタイプの光ルミネセンス材料からの競合なしに、より効果的に青色励起光を赤色放出に変換することができる。したがって、目標色点を達成するために必要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の量/使用量は、例えば光ルミネセンス材料の混合物を含む単一層の既知の配置と比較して、大幅に低減することができる。したがって、本発明の光ルミネセンス発光デバイス20の利点は、既知の単一層デバイスと比較して、所望の色点を実現するため必要とされるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料がより少ない(最大で60%少ない)ため、デバイスの製造コストの削減である。
【0038】
この実施形態では、空洞28はまた、空洞28の残りの30%を充填する第1の光ルミネセンス層32の上部に分配された第2の光ルミネセンス層34を含む。この実施形態では、第2の光ルミネセンス材料層34は、一般組成Y3(Al,Ga)5O12:Ceを有するセリウム活性化黄色ガーネット蛍光体を含む。第2の光ルミネセンス層は、通常、第1の光ルミネセンス層と併せて作動して、所望の白色点を作成する、緑色若しくは黄色蛍光体、又は他の少数の橙色赤色蛍光体を含むことが理解されよう。
【0039】
このようにして、発光デバイス20は、第1の光ルミネセンス層32内に含有された(組み込まれた(分散された)マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を、周囲環境内の任意の水/水分と直接接触することから効果的に隔離することができる。発光デバイス20のそのような多層又は2層の設計は、既知の構成物におけるマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の不十分な水分信頼性に対処するための効果的な解決策を提供する。したがって、第2の光ルミネセンス材料層34を含めることにより、改善された水分信頼性の利点が発光デバイス(すなわち、LEDパッケージ)20に提供される。
【0040】
第1の光ルミネセンス層32は、第2の光ルミネセンス材料層34を含む任意の他の光ルミネセンス材料層よりも青色LED30に隣接する(極めて近位にある)、つまり、第1の光ルミネセンス層32は、青色LED30に隣接し(近位にある、すなわち近位層)、一方、第2の光ルミネセンス材料層34は、青色LED30に対して遠位にある(すなわち、遠位層)。
【0041】
ここで、
図3を参照すると、本発明の別の実施形態に従って形成された、パッケージ化された白色発光デバイス320(白色発光デバイスパッケージ)が示されている。この実施形態は、発光デバイス320が第1の光ルミネセンス層332の前に青色LEDダイ330上に配設された光透過性(透明)パッシベーション層336を更に含むという点でのみ、
図2とは異なる。第1の光ルミネセンス層332を水/水分から完全に保護するために、澄明のパッシベーション層336は、
図2に示すように、空洞328及びLEDダイ330の床にわたって塗布される。この実施形態では、パッシベーション層336は、ジメチルシリコーンの層である。このパッシベーション層336はまた、下部電極(図示せず)及び青色LEDダイ330を第1の光ルミネセンス層332から隔離する働きがある。
【0042】
図4を参照すると、本発明の別の実施形態に従って形成された、パッケージ化された白色発光デバイス420(白色発光デバイスパッケージ)が示されている。この実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含有する第1の光ルミネセンス層432は、個別のLEDチップ430上に配設され、それを被覆するコーティング層を含む。示すように、第1の光ルミネセンス層432は、略半球状(ドーム形状)の形態であり得る。
図2の発光デバイスの第1の光ルミネセンス層232と比較して、第1の光ルミネセンス層432は、厚さがより均一であり、これにより、層内の異なる物理的位置内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が受ける励起光光子密度の変動が低減される。初期試験データは、そのような配置が、単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバイス(例えば、
図1)と比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を、最大で80重量%まで低減することができることを示す。
【0043】
白色発光デバイス420は、最初に第1の光ルミネセンス層432をLEDチップ430上に堆積させ、次いで、他の光ルミネセンス材料で空洞を充填して、第2の光ルミネセンス層452を形成することによって製造することができる。
【0044】
図5A及び
図5Bは、CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、発光デバイスの断面図である。
図5A及び
図5Bの発光デバイスでは、第1の光ルミネセンス層532は、LEDチップ530の少なくとも原理発光面に塗布される均一な厚さのコーティング層を含む。それらの発光面上の蛍光体の均一な厚さの層(膜)を有するLEDチップは、多くの場合、CSP(チップスケールパッケージ化)LEDと称される。
図5Aに示すように、LEDチップ530は、その上部(原理)発光面のみに塗布された均一な厚さの層を有する。
図5Bに示すように、LEDチップ430は、上部発光面及び4面発光面に塗布された均一な厚さの層を有し、コンフォーマルコーティングの形態である。
図5A及び
図5Bの発光デバイスは、例えばマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む均一な厚さ(通常、20μm~300μm)の光ルミネセンス膜を使用して、第1の光ルミネセンス層532をLEDチップ530の少なくとも原理発光面に塗布することによって製造することができる。次いで、LEDチップ530は、パッケージ522の基部524に実装され、第2の光ルミネセンス層532は、空洞524を充填し、LEDチップを被覆するように堆積される。
図2の発光デバイスと比較して、均一な厚さのコーティング層は、この層がマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てを可能な限りLEDチップに近くなるように集中させ、層内の物理的位置にかかわらず、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てが実質的に同じ励起光光子密度への曝露を受けることを確実にするので好ましい。そのような配置は、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量の低減を最大化することができる。初期試験データは、そのような配置が、単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバイス(例えば、
図1)と比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を、最大80重量%まで低減することができることを示す。
【0045】
それぞれ第1及び第2の光ルミネセンス層を含む、説明した2層発光デバイス構造体は、表面実装パッケージ化デバイスに限定されない。例えば、チップオンボード(COB)又はチップスケールパッケージ化(CSP)用途に適用することもできる。
【0046】
図6A及び
図6Bを参照すると、本発明の別の実施形態による、COB発光デバイス620の平面図、及び(
図6Aの)A-Aを通る断面側面図を示している。発光デバイス620は円形形状を有し、したがって、平面形状及びディスク形状である円形基板624を備える。COB配置を形成することにより、青色LEDダイ630の7つのアレイ(列)が、円形基板624上に均等に分布される。円形基板624はまた、その外周全体の周りに、青色LEDダイ630の全てのアレイを包囲する壁626を備える。
【0047】
マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層632は、円形基板624上に堆積され、この実施形態では、青色LED630のアレイを完全に被覆する。同様に、一般組成Y3(Al,Ga)5O12:Ceを有するセリウム活性化黄色ガーネット蛍光体を含む第2の光ルミネセンス材料層634は、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層632上に堆積される。このようにして、第1の光ルミネセンス層632及び第2の光ルミネセンス層634は、互いに隣接して位置し、また壁626内に収容される。
【0048】
発光デバイス620は、例えば、
図2、
図3、
図4、
図5A、及び
図5Bの発光デバイスに関係して述べたものと同じ利点で機能し、それを示す。したがって、これらの図に関係してなされた記述は、
図6A及び
図6Bの実施形態に等しく適用される。
【0049】
発光デバイスを製造する方法は、例えば、青色LEDのアレイを提供するステップと、少なくとも上記青色LEDのアレイにわたってマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料層(第1の光ルミネセンス層)を分配するステップと、上記マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料層にわたって第2の光ルミネセンス材料層を分配するステップと、を含む。
【0050】
図7は、本発明の実施形態による、COB白色発光デバイスの断面図である。
図7を参照すると、本発明の別の実施形態に従って形成された、COBパッケージ化白色発光デバイス720(白色発光デバイスパッケージ)が示されている。この実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含有する第1の光ルミネセンス層732は、各LEDチップ730上に配設され、それらを被覆するそれぞれ個別のコーティング層を含む。示すように、第1の光ルミネセンス層732は、略半球状(ドーム形状)の形態であり得る。
図6の発光デバイスの第1の光ルミネセンス層632と比較して、第1の光ルミネセンス層632は、厚さがより均一であり、これにより、層内の異なる物理的位置内のマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料が受ける励起光光子密度の変動が低減される。初期試験データは、そのような配置が、単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバイス(例えば、
図1)と比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を、最大80重量%まで低減することができることを示す。
【0051】
図8A及び
図8Bは、CSP(チップスケールパッケージ化)LEDを利用する本発明の実施形態による、COB(チップオンボード)白色発光デバイスの断面側面図である。
図8A及び
図8BのCOB発光デバイスでは、第1の光ルミネセンス層832は、各LEDチップの少なくとも原理発光面に塗布される、それぞれ均一な厚さのコーティング層を含む。上述したように、それらの発光面上の蛍光体の均一な厚さの層(膜)を有するLEDチップは、多くの場合、CSP(チップスケールパッケージ化)LEDと称される。
図8Aに示すように、各LEDチップ830は、その上部(原理)発光面のみに塗布された均一な厚さの層を有する。
図8Bに示すように、各LEDチップ830は、上部発光面及び4面発光面に塗布された均一な厚さの層を有し、コンフォーマルコーティングの形態である。
図8A及び
図8BのCOB発光デバイスは、例えばマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む均一な厚さ(通常、20μm~300μm)の光ルミネセンス膜を使用して、第1の光ルミネセンス層832をLEDチップ830の各々の少なくとも原理発光面に塗布することによって製造することができる。次いで、LEDチップ830は、基部824に実装され、次いで、第2の光ルミネセンス層832は、LEDチップのアレイにわたって堆積される。
図6A及び
図6Bの発光デバイスと比較して、均一な厚さの第1の光ルミネセンス層は、この層がマンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てを可能な限りLEDチップに近くなるように集中させ、層内の物理的位置にかかわらず、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の全てが実質的に同じ励起光光子密度への曝露を受けることを確実にすることが好ましい。初期試験データは、そのような配置が、単一の光ルミネセンス層を含む既知の白色発光デバイス(例えば、
図1)と比較して、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料の使用量を、最大80重量%まで低減することができることを示す。
【0052】
図9を参照すると、本発明の別の実施形態による、CSP発光デバイス920の側面図が示されている。この実施形態では、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料を含む第1の光ルミネセンス層932は、青色LEDダイ930の発光面上に直接堆積される。更に、例えば、一般組成Y
3(Al,Ga)
5O
12:Ceを有するセリウム活性化黄色ガーネット蛍光体を含む第2の光ルミネセンス材料層934は、第2の光ルミネセンス層934上に堆積される。発光デバイス920は、例えば
図2の発光デバイスに関係して述べたものと同じ利点で機能し、それを示す。したがって、
図2に関係してなされた記述は、
図9の実施形態に等しく適用される。
【0053】
実験的試験データ
【0054】
この明細書では、以下の命名法を使用して、白色発光デバイスを表す。比較例#(番号)は、単一蛍光体層を含む比較(既知の)白色発光デバイスを表し、デバイス#は、本発明の実施形態による、2蛍光体層白色発光デバイスを表す。
【0055】
比較白色発光デバイス(比較例#)及び本発明による白色発光デバイス(デバイス#)は各々、ドミナント波長λd≒455nmの3つの直列に接続された1133(11ミル×33ミル)青色LEDチップを収容するSMD2835パッケージ化デバイスを含む。各デバイスは、公称0.9W(駆動定格駆動条件は、100mA及び9Vの順方向駆動電圧Vf)デバイスであり、2700Kの目標相関色温度(CCT)及び一般演色評価指数CRI Ra>90を有する白色光を生成することが意図される。
【0056】
試験デバイスで使用される蛍光体は、Intematix Corporation製のKSF(K2SiF6:Mn4+)、緑色YAG蛍光体(Intematix NYAG4156-(Y,Ba)3-x(Al1-yGay)5O12:Cex ピーク放出波長λpe=550nm)、及びCASN(Ca1-xSrxAlSiN3:Eu λpe≒615nm)である。CASNは、2700K色目標及び一般CRI Ra>90を達成するために含まれる。
【0057】
単一層の比較デバイスについては、比較例#、3つの蛍光体(KSF、YAG、及びCASN)をフェニルシリコーン中で混合し、混合物を2835パッケージの中に分配して、空洞を充填した。次いで、単一蛍光体層をオーブン内で硬化させる。
【0058】
2層デバイス(デバイス#)については、KSF蛍光体をフェニルシリコーンの中で混合し、2835パッケージの中に分配して、LED空洞を部分的に充填する。KSF蛍光体層をオーブン内で硬化させる。YAG蛍光体をフェニルシリコーンと混合し、次いでKSF層の上部に分配して、LED空洞を完全に充填し、オーブン内で硬化させる。KSF蛍光体層は、CASN及び/又はYAGを更に含むことができる。
【0059】
光学性能
【0060】
試験方法は、パッケージ化された白色発光デバイスの総発光を積分球内で測定することを伴う。
【0061】
表1は、比較デバイスの比較例1(単一層デバイス)及び本発明による2層デバイスのデバイス1の蛍光体組成を一覧化している。表2は、単一層デバイス(比較例1)及び2層デバイス(デバイス1)についての総蛍光体使用量を一覧化している。表1及び表2の蛍光体重量値(重量)は、比較デバイスの比較例1の単一蛍光体層内のKSFの重量に対して正規化される。
【0062】
表1から分かり得るように、蛍光体組成に関して、比較例1は、69.9重量%(重量=1.000)のKSF、28.1重量%(重量=0.400)のYAG、及び2.1重量%(重量=0.030)のCASNの混合物を含む単一蛍光体層を含む。デバイス1は、95.2重量%(重量=0.457)のKSFと4.8重量%(重量=0.023)のCASNとの混合物を含む第1の蛍光体層、及び100.0重量%(重量=0.561)のYAGを含む第2の蛍光体層を有する2層蛍光体構造体を含む。
【0063】
【0064】
【0065】
表3は、発光デバイスの比較例1及びデバイス1の測定された光学性能を一覧化している。表3から分かり得るように、デバイスによって生成された光の色点は、単一層の比較デバイス(比較例1)よりも4.1lm大きい(3.4%より明るい:輝度-Br)である本発明の2層デバイス(デバイス1)によって生成されたフラックスと非常に類似している。しかしながら、表2から分かり得るように、単一層デバイスの比較例1と比較して、本発明による2層デバイスのデバイス1のKSF使用量は、正規化された重量(重量)1.000から0.457に低減される、つまり、比較例1と比較して、KSF使用量における54%の低減である。その上、2層デバイスのデバイス1のCASN使用量はまた、正規化された重量0.030から0.023に低減される、つまり、比較例1と比較して、CASN使用量における24%の低減である。YAG使用量における29%(0.400から0.561)の増加があるが、総蛍光体使用量は、重量=1.430から1.041へと低減される、つまり、28%の総蛍光体使用量の低減である。上記のように、YAGは、KSF(通常、1/100~1/150のコスト)及びCASN(通常、少なくとも1/20のコスト)の両方と比較して安価である。結果として、YAGは、KSF又はCASNの何分の一かのコストであるため、このようにしてデバイスの全体的なコストが劇的に削減される。KSF及びCASN含有量の低減によって得られたコスト節約だけでなく、本発明による2層デバイスは、より少ない総蛍光体材料を使用するので、製造がより容易であり、これは、シリコーン中に投入する蛍光体材料が低減され、この低減により、分配プロセスの信頼性/安定性を高めることができることを意味する。
【0066】
YAG使用量が増加する理由は、第2の蛍光体層に到達する青色励起光が少ないことによって、緑色光を生成して、選択された色目標を実現するために、より多くのYAG蛍光体が必要とされるためであると考えられる。上述のように、KSF層は実質的にKSF(個別のKSF層)のみを含有するため、KSFの使用量が低減され、この理由は、蛍光体の混合物を有する単一層を含む既知の単一層デバイスの場合のように、KSFがYAG蛍光体と競合することを有することなく、青色励起光を吸収することができるためであると考えられる。
【0067】
【0068】
表4は、第1の蛍光体層内のKSFの増加割合(重量%)についての、本発明による比較デバイスの比較例2(単一層デバイス)及び2層デバイスのデバイス2~デバイス5の蛍光体組成を一覧化している。表5は、単一層デバイス(比較例2)及び2層デバイス(デバイス2~デバイス5)についての総蛍光体使用量を一覧化している。表4及び表5の蛍光体重量は、比較デバイスの比較例2内のKSFの重量に対して正規化される。
【0069】
表4から分かり得るように、蛍光体組成に関して、比較例2は、68.9重量%(重量=1.000)のKSF、29.0重量%(重量=0.421)のYAG、及び2.1重量%(重量=0.031)のCASNの混合物を含む単一蛍光体層を含む。デバイスのデバイス2~デバイス5は、第1の蛍光体層内のKSFの増加割合(重量%)(76.8重量%から100重量%に)を有する第1の蛍光体層を含む。より具体的には、デバイス2は、76.8重量%(重量=0.770)のKSF、3.2重量%(重量=0.032)のCASN、及び20.0重量%(重量=0.200)のYAGの混合物を含む第1の蛍光体層と、100.0重量%のYAG(重量=0.345)を含む第2の蛍光体層と、を有する、2層状構造体を含み、デバイス3は、86.4重量%(重量=0.665)のKSF、3.6重量%(重量=0.028)のCASN、及び10.0重量%(重量=0.077)のYAGの混合物を含む第1の蛍光体層と、100.0重量%のYAG(重量=0.506)を含む第2の蛍光体層と、を有する、2層状構造体を含み、デバイス4は、96.0重量%(重量=0.639)のKSF、4.0重量%(重量=0.0270)のCASNの混合物を含む第1の蛍光体層と、100.0重量%のYAG(重量=0.580)を含む第2の蛍光体層と、を有する、2層状構造体を含み、デバイス5は、100.0重量%(重量=0.551)のKSFを含む第1の蛍光体層と、96.0重量%のYAG(重量=0.595)と4.0重量%(重量=0.025)のCASNとの混合物を含む第2の蛍光体層と、を有する、2層状構造体を含む。
【0070】
【0071】
【0072】
表6は、発光デバイスの比較例2及びデバイス2~デバイス5の測定された光学性能を一覧化している。表6から分かり得るように、デバイスの光学性能/色点は、単一層の比較デバイス(比較例2)よりも約0.7%~2.0%明るい(輝度-Br)本発明の2層デバイス(デバイス2~デバイス5)によって生成されたフラックスと非常に類似している。しかしながら、表5から分かり得るように、単一層デバイスの比較例2と比較して、本発明による2層デバイスのデバイス2~デバイス5のKSF使用量は、第1の蛍光体層内のKSFの割合(重量%)に応じて、23%~最大45%まで低減される。表5から、KSF使用量における最大の低減は、層の総蛍光体含有量に関して、第1の蛍光体層がKSF(すなわち、デバイス5-第1の蛍光体層内に100重量%のKSF)を排他的に含むときであることに留意されたい。とは言うものの、第1の蛍光体層(デバイス2)内の総蛍光体含有量の約75%のKSFの重量%割合を有するデバイスであっても、KSF使用量の節約は、KSFの高コストが考慮されるとき、依然として、実質的に約25%であり、その結果、デバイスの製造の全体的なコストがほぼ25%低減されることが理解されよう。
【0073】
表5に明示されるように、第1の蛍光体層内のKSFの割合(重量%)を増加させることは、(i)KSF使用量(23%~45%)を低減すること、(ii)CASN使用量を低減すること、(iii)YAG使用量を増加させること、及び(iv)総蛍光体使用量を低減することの効果を有する。これらの効果は共に、大幅なコスト削減を提供する。
【0074】
本発明によるデバイスでは、第2の蛍光体層は、デバイスの総YAG含有量の約60%(デバイス2)~100%(デバイス4及び5)のYAG(緑色光ルミネセンス材料)を含むことができることに更に留意されたい。
【0075】
【0076】
熱性能
【0077】
表7は、単一層発光デバイスの比較例1及び2層発光デバイスのデバイス1の熱安定性を一覧化している。表7から分かり得るように、単一層デバイスの比較例1と比較して、本発明による2層デバイスのデバイス1は、発光安定性及び発光色安定性に関して、より高い熱安定性を示す。
【0078】
例えば、デバイス1によって生成された平均フラックスは、25℃(C)で操作したときと比較して、85℃(H)で操作したときに12.3%(116.5lmから102.1lmへ)低下する。比較すると、比較例1によって生成された平均フラックスは、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに12.7%(115.9lmから101.2lmへ)低下する。
【0079】
発光効率(LE)に関して、デバイス1のLEの平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに10.4%(123.1lm/Wから110.4lm/Wへ)低下する。比較すると、比較例1のLEの平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに11.6%(122.9lm/Wから108.6lm/Wへ)低下する。これは、10.4%(デバイス1)の平均LEにおける低下が11.6%(比較例1)の低下より小さいため、本発明に従って形成されたデバイスの優れた熱安定性を実証する。
【0080】
一般演色評価指数CRI Raに関して、デバイス1のCRI Raの平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに1.5の量(93.2から95.2へ)だけ増加する。比較して、比較例1のCRI Raの平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに2.0の量(91.2から93.3へ)まで増加する。これは、1.5(デバイス1)の平均CRI Raの増加が2.0(比較例1)の増加より小さいため、本発明に従って形成されたデバイスの優れた熱安定性を実証する。
【0081】
演色評価指数CRI R8に関して、デバイス1のCRI R8の平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに0.6の量(97.1から97.7へ)だけ増加する。比較すると、比較例1のCRI R8の平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに量1.2(82.6から83.9へ)まで増加する。これは、0.6(デバイス1)の平均CRI R8の増加が1.2(比較例1)の増加よりも小さいため、本発明に従って形成されたデバイスの優れた熱安定性を実証する。
【0082】
演色評価指数CRI R9に関して、デバイス1のCRI R9の平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに2.3の量(83.3から85.5へ)だけ増加する。比較すると、比較例1のCRI R9の平均値は、25℃(C)で操作した場合と比較して、85℃(H)で操作したときに量5.7(57.4から63.1へ)まで増加する。これは、2.3(デバイス1)の平均CRI R9の増加が5.7(比較例1)の増加よりも小さいため、本発明に従って形成されたデバイスの優れた熱安定性を実証する。
【0083】
【0084】
2層を含む本発明による発光デバイス(デバイス1)の信頼性、相対輝度は、湿潤高温動作寿命試験条件(WHTOL)(温度は85℃であり、相対湿度は85%である)下で、混合された光ルミネセンス材料の単一層を含む既知のデバイス(比較例1)の信頼性と比較される。駆動条件は、9V及び120mAである。
図10に示すように、2層LED(デバイス1)の336時間での相対強度は96.4%であり、一方、既知の単一層LED(比較例1)の相対強度は336時間で91.45%まで低下した。この信頼性の改善は、上述のようなKSF蛍光体の低減された使用量と、マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス層(第1の層)を被覆する第2の光ルミネセンス層によって提供された保護との組み合わせによるものであると考えられる。
【0085】
別の加速信頼性は、沸騰水試験である。この試験では、LEDを85℃の脱イオン水中に4時間浸漬した。LED輝度を、水中に浸漬する前後に試験する。この試験の結果を表8に一覧化している。これらの条件下では、高温水は、上方の光ルミネセンス層のシリコーン表面に浸透して、フッ化物光ルミネセンス材料と反応することができると考えられる。本発明の2層デバイスは、第1の蛍光体層内の水とKSF(マンガン活性化フッ化物光ルミネセンス材料)との間の隔離を強化し、結果的に単一層デバイスよりも良好なルーメン維持をもたらす。
【0086】