(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】ラッチハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05C 1/14 20060101AFI20230313BHJP
E05B 5/00 20060101ALI20230313BHJP
E05B 9/02 20060101ALI20230313BHJP
E05B 17/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
E05C1/14 C
E05B5/00 B
E05B9/02
E05B17/00 B
(21)【出願番号】P 2021558229
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039368
(87)【国際公開番号】W WO2021100389
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019210474
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦士
(72)【発明者】
【氏名】尾藤 良祐
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-11816(JP,A)
【文献】実開昭57-16566(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0086655(KR,A)
【文献】実公昭59-43766(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の外側面に開口した凹部を有するケーシングと、
前記凹部の第1側面及び前記第1側面と反対側の第2側面に形成された2つの軸孔に挿通され回転可能である軸部材と、
前記軸部材に結合され前記凹部に配置されるハンドル本体と、を備え、
前記ハンドル本体の回動に伴って、前記ハンドル本体と連動するラッチが移動する、ラッチハンドル装置であって、
前記2つの軸孔は、並んで配置された2つの板部に形成され、
前記2つの板部のそれぞれにおいて、前記凹部と反対側の面における前記軸孔の開口周縁部には、環状の段差部が形成され、
前記軸部材は、前記2つの板部のうち、一方の板部の前記軸孔に挿入される第1軸要素と、他方の板部の前記軸孔に挿入される第2軸要素とが結合することにより形成され、
前記第1軸要素及び前記第2軸要素のそれぞれの前記段差部より外側に配置される部分は、前記扉の内側に配置され、
前記第1軸要素と前記第2軸要素とのそれぞれの中間部外周面に形成された段差面と、前記段差部とで、前記段差部に配置された弾性リングが押圧された状態で挟まれる、
ラッチハンドル装置。
【請求項2】
請求項1に記載のラッチハンドル装置において、
前記第1軸要素及び前記第2軸要素は、前記第1軸要素を貫通したネジ部材と前記第2軸要素のネジ部とのネジ結合によって結合される、
ラッチハンドル装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のラッチハンドル装置において、
前記第1軸要素の前記一方の板部の前記軸孔より外側に配置される部分と、前記第2軸要素の前記他方の板部の前記軸孔より外側に配置される部分とは、前記扉の内側に配置され前記ケーシングを形成するカバーにより密封される、
ラッチハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラッチハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、宅配ボックスや配電盤収納箱等の屋外で使用される扉付ボックスにおいて、扉の開閉を行うためのラッチハンドル装置が設けられる場合がある。ラッチハンドル装置は、扉の施解錠を行うために用いる場合もある。特許文献1には、扉の外側面に開口した凹部を有するケーシングと、凹部の第1側面及び第1側面と反対側の第2側面に形成された2つの軸孔に挿通された枢軸(軸部材)と、枢軸によってケースに枢着されたハンドル本体とを備えるラッチハンドル装置が記載されている。この装置では、ハンドル本体の裏側に駆動突子が突出し、その駆動突子が、ケースの背面壁部に形成された逃げ孔に挿入され、この背面壁部の裏側に配置された案内体内を移動するラッチ棒に係止されている。これにより、ハンドル本体の回転に伴って、ラッチ棒(ラッチ)が移動するとされている。背面壁部の逃げ孔の開口周縁部には凹部内に突出する環状隆起部が形成される。これにより、雨水が逃げ孔を通過して扉の内側に侵入することが阻止されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ラッチハンドル装置の凹部の軸孔に挿通された軸部材によってケーシングにハンドルが枢着される構成では、凹部内に雨水等の水が入り込んだ場合に軸孔と軸部材との隙間を通じて軸部材を伝って、ケーシングを取り付けた扉の内側に水が入り込む可能性がある。特許文献1に記載された構成では、軸部材を伝う水の侵入防止を図ることが難しい。
【0005】
本開示の目的は、ハンドル本体が配置される凹部内に入り込んだ水が軸部材を伝って扉内側に侵入することを防止できるラッチハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のラッチハンドル装置は、扉の外側面に開口した凹部を有するケーシングと、凹部の第1側面及び第1側面と反対側の第2側面に形成された2つの軸孔に挿通され回転可能である軸部材と、軸部材に結合され凹部に配置されるハンドル本体と、を備え、ハンドル本体の回動に伴って、ハンドル本体と連動するラッチが移動する、ラッチハンドル装置であって、2つの軸孔は、並んで配置された2つの板部に形成され、2つの板部のそれぞれにおいて、凹部と反対側の面における軸孔の開口周縁部には、環状の段差部が形成され、軸部材は、2つの板部のうち、一方の板部の軸孔に挿入される第1軸要素と、他方の板部の軸孔に挿入される第2軸要素とが結合することにより形成され、第1軸要素及び第2軸要素のそれぞれの段差部より外側に配置される部分は、扉の内側に配置され、第1軸要素と第2軸要素とのそれぞれの中間部外周面に形成された段差面と、段差部とで、段差部に配置された弾性リングが押圧された状態で挟まれる、ラッチハンドル装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るラッチハンドル装置によれば、ハンドル本体が配置される凹部内に入り込んだ水が軸部材を伝って扉内側に侵入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態のラッチハンドル装置を扉外側から見た図である。
【
図3】
図1に示すラッチハンドル装置において、一部の要素を省略して、扉内側から見た分解斜視図である。
【
図4】
図1からハンドル本体、軸部材、及び弾性リングを取り出して組付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、ラッチハンドル装置の仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0010】
図1は、実施形態のラッチハンドル装置10を扉外側から見た図である。
図2は、
図1のA-A断面図である。
図3は、ラッチハンドル装置10において、一部の要素を省略して、扉内側から見た分解斜視図である。
図4は、
図1からハンドル本体50、軸部材40、及び弾性リングとしてのOリング82,84を取り出して示す斜視図である。
【0011】
ラッチハンドル装置10は、
図2に示す扉付ボックス100の扉101に形成された扉開口102を塞ぐように、扉101に取り付けられる。扉付ボックス100は、宅配ボックスや配電盤収納箱等であり、屋外で使用され、内部に収容空間を有するボックスである。ラッチハンドル装置10は、扉101において、扉101の開閉を行うため、及び扉101の施解錠を行うために用いられる。具体的には、ラッチハンドル装置10は、ハンドル本体50の操作によってケーシング12に対するラッチ60の突出及び退避を行うことが可能であり、電気的に扉101の施錠及び解錠を行うことが可能な電子錠である。宅配ボックスは、例えば戸建住宅等で使用され、宅配荷物を無人で受け取り可能である。
【0012】
扉付ボックス100は、略直方体状の外装体(図示せず)と、内部の収容空間の開口を開閉する扉101と、ラッチハンドル装置10とを備える。扉101は、外装体に片開き型で、上下方向の軸を中心に回動可能に取り付けられる。
【0013】
以下、ラッチハンドル装置10を詳しく説明する。ラッチハンドル装置10は、扉101の正面側面である外側面(
図2の右側面)に開口した凹部23を有するケーシング12と、ケーシング12の軸孔26,27(
図2)に挿通された軸部材40(
図2)と、ハンドル本体50と、ラッチ60とを含んで構成される。ハンドル本体50は、軸部材40に結合され、凹部23に配置される。ラッチ60は、ケーシング12に対し横方向(
図1の左右方向)に摺動可能に配置された棒状の部材である。ケーシング12、ハンドル本体50、及びラッチ60はそれぞれ樹脂等により形成される。
【0014】
ケーシング12は、本体部13と、本体部13の扉内側に固定された上カバー30(
図2)及び下カバー34(
図2)とを含んで形成される。本体部13は、扉101の外側に配置された外側板部14と、外側板部14の横方向一方側(
図1の左側)から扉内側に膨出するように形成された膨出部15とを有し、一体成形等により一体化される。上カバー30は、膨出部15の横方向一方側(
図2の紙面の表側)部分の上側にネジ等により固定され、下カバー34は、膨出部15の下側にネジ等により固定される。
【0015】
膨出部15によって、扉厚み方向(
図2の左右方向)に延び、扉外側面に開口した凹部23が形成される。凹部23は、横方向一方側半部(
図1の左側半部)の小幅部分23aと、小幅部分23aに連続した横方向他方側半部の大幅部分23bとを有する。小幅部分23aの高さは、大幅部分23bの高さより小さくなっており、凹部23を扉外側から見た形状が略T字状となっている。膨出部15の扉内側端部(
図2の左端部)には、横方向(
図1の左右方向、
図2の紙面の表裏方向)に延びるスライド孔16が形成され、スライド孔16と凹部23とは仕切り部17によって仕切られる。スライド孔16には、ラッチ60が横方向に移動可能に配置される。
【0016】
スライド孔16にはバネ等の付勢部材(図示せず)が配置される。ラッチ60は、この付勢部材によりスライド孔16から先端が突出する方向に付勢される。スライド孔16からラッチ60の先端が突出し、扉付ボックス100の外装体に形成された係止孔(図示せず)にラッチ60の先端が係合し、ケーシング12へのラッチ60の先端部の退避が阻止されることで扉101が施錠される。
【0017】
上カバー30は、後述の軸部材40の上端部で膨出部15の上端より上側に突出した部分を内側に配置して、外部から密封する。下カバー34は、軸部材40の下端部で膨出部15の下端より下側に突出した部分を内側に配置して、外部から密封する。下カバー34の内側には、後述の錠装置64も配置される。
【0018】
軸部材40は、凹部23の小幅部分23aの上側面である第1側面24、及び第1側面24と反対側の下側面である第2側面25に形成された2つの軸孔26,27に挿通され、回転可能である。2つの軸孔26,27は、中心軸が一致する段付きの円孔である。軸部材40は、後述するように第1軸要素41と、第2軸要素46とが結合されることにより形成される。
【0019】
図1、
図2、
図4に示すように、ハンドル本体50は、扉外側面側に配置されるT字形部51と、T字形部51の根本部に連結され、2つの軸孔26,27の軸方向内側端と対向する部分に配置される軸支持部52とを有する。軸支持部52は、略円筒状である。軸支持部52の内側には、軸部材40の中間部が挿通されて結合される。この状態で、ハンドル本体50は、軸部材40に結合され凹部23に配置される。
【0020】
膨出部15は、上下に並んで配置される2つの板部としての上板部18と下板部19とを有する。凹部23は、上板部18と下板部19の間に形成される。上側の軸孔26は上板部18に形成され、下側の軸孔27は下板部19に形成される。上板部18、下板部19のそれぞれにおいて、凹部23と反対側の面における軸孔26,27の開口周縁部には、軸孔26,27の他の部分より直径が大きくなった環状の段差部28,29が形成される。上板部18は、2つの板部の一方の板部に相当し、下板部19は、2つの板部の他方の板部に相当する。
【0021】
上板部18の軸孔26には、第1軸要素41が挿入される。第1軸要素41は、上端部にロックカム42(
図3)が形成される。ロックカム42は、後述の電動アクチュエータ70を形成する移動部材72に係合可能であり、ロックカム42が移動部材72と係合した状態で、スライド孔16へのラッチ60の先端部の退避が阻止される。第1軸要素41には、軸方向全長にわたってネジ挿通孔43が形成される。ネジ挿通孔43の上端は、上端に向かって直径が広がるテーパ面である。ネジ挿通孔43のテーパ面より下側は円筒面となっている。ネジ挿通孔43には上端に皿板状の頭部を有するネジ80が挿通される。
【0022】
第1軸要素41の中間部外周面には段差面41aが形成され、段差面41aより下側で、上側より断面積が小さくなっている。第1軸要素41の中間部外周面で段差面41aより下側の中間円筒面41bが、上側の軸孔26に回転可能に挿通される。
【0023】
下板部19の軸孔27には、第2軸要素46が挿入される。第2軸要素46は、下端部にアーム47(
図3)が形成される。ラッチ60に結合され、ケーシング12の膨出部15の下端に形成された窓部15aから突出するピン(図示せず)が、アーム47と係合する。ハンドル本体50の操作による回動によって、アーム47が所定方向(
図3の矢印α方向)に回転すると、ラッチ60が付勢部材の付勢力に抗して、スライド孔16に退避する。これにより、扉101が開いて扉付ボックス100の収容空間が開放される。
【0024】
第2軸要素46の中間部外周面において、アーム47と中間円筒面48bとの間には段差面48aが形成され、段差面48aより上側の中間円筒面48bで、下側のアーム47より断面積が小さくなっている。中間円筒面48bは、下側の軸孔27に回転可能に挿通される。第2軸要素46には、軸方向全長にわたってネジ挿通孔49が形成される。ネジ挿通孔49の上端部にはネジ部49aが形成される。ネジ部49aには、後述のように、ネジ80の下端部が結合される。
【0025】
第1軸要素41において、上側の軸孔26より外側である上側に配置される部分は、扉101の内側に配置されると共に、扉101の内側に配置されケーシング12を形成する上カバー30により密封される。第2軸要素46において、下側の軸孔27より外側である下側に配置される部分は、扉101の内側に配置されると共に、扉101の内側に配置されケーシング12を形成する下カバー34により密封される。
【0026】
ハンドル本体50の軸支持部52の上下方向に延びる孔53には、上下両側から第1軸要素41と第2軸要素46とが挿入され、孔53の内部で第1軸要素41の下端と第2軸要素46の上端とが突き当てられる。この状態で、ネジ80が第1軸要素41のネジ挿通孔43に上側から挿入され、ネジ80の下端部で第1軸要素41の下端より突出した部分が、第2軸要素46のネジ部49aに結合される。これにより、第1軸要素41及び第2軸要素46は、第1軸要素41を貫通したネジ部材としてのネジ80と第2軸要素46のネジ部49aとのネジ結合によって結合され、これによって軸部材40が形成される。このため、ハンドル本体50の軸支持部52に軸部材40が固定される。したがって、ハンドル本体50の回動に伴って、ハンドル本体50と連動するラッチ60が移動する。さらに、この状態で、第1軸要素41の中間部外周面に形成された段差面41aと、上側の軸孔27の段差部28とで、この段差部28に配置された弾性リングとしてのOリング82が押圧された状態で挟まれる。さらに、第2軸要素46の中間部外周面に形成された段差面48aと、下側の軸孔27の段差部29とで、この段差部29に配置された弾性リングとしてのOリング84が押圧された状態で挟まれる。各Oリング82,84は、ゴム、熱可塑性エラストマー等の弾性材料により形成される。これにより、第1軸要素41と上側の軸孔26との間、及び、第2軸要素46と下側の軸孔27との間の両方が、水の通過を阻止するようにシールされる。
【0027】
図1、
図2に示すように、ケーシング12の横方向一端部の下側には、錠装置64が固定され、錠装置64の鍵穴部65がケーシング12の外側面に露出する。錠装置64に鍵(図示せず)を挿入し、所定方向に回転させることで錠装置64のシリンダ部が回転し、そのシリンダ部の一部がラッチ60に結合されたピン(図示せず)と係合することでスライド孔16へのラッチ60の先端部の退避が阻止される。これにより扉101が施錠される。扉101を解錠する場合は、錠装置64に挿入された鍵を所定方向と逆方向に回転させる。
【0028】
扉101の解錠は、テンキー入力部90によっても可能である。テンキー入力部90は、ケーシング12の横方向他方側半部(
図1の右側半部)の外側面に形成された凹部に嵌め込んで固定される。鍵による施錠がされていない状態で、外部から電動アクチュエータ70の制御装置(図示せず)に施錠信号が入力されることにより、電動アクチュエータ70の移動部材72が所定方向に移動し移動部材72とロックカム42とが係合して、スライド孔16へのラッチ60の先端部の退避が阻止されるので、扉101が施錠される。一方、テンキー入力部90で予め登録された暗証番号が入力され、所定の解錠ボタン92が押し下げられると、電動アクチュエータ70の制御装置に解錠信号が入力される。これにより、電動アクチュエータ70の移動部材72が所定方向と逆方向に移動して、移動部材72とロックカム42との係合が解除されることにより、スライド孔16へのラッチ60の退避が許容されるので、扉101が解錠され、扉101の開放が可能となる。
【0029】
上記のラッチハンドル装置10によれば、第1軸要素41と第2軸要素46とのそれぞれの中間部外周面に形成された段差面41a、48aと、軸孔26,27に形成された段差部28,29とで、段差部28,29に配置されたOリング82,84が押圧された状態で挟まれる。これにより、凹部23内に雨水等の水が入り込んだ場合でも、凹部23に入り込んだ水が軸部材40を伝って扉101の内側に侵入することを防止できる。これにより、防水性の向上を図れる。
【0030】
上記の特許文献1に記載された構成では、高い防水性能を確保することが困難である。例えば特許文献1に記載された構成では、JIS規格における「電気機械器具の外郭による保護等級」でIPX5の高い防水性能を確保することが困難である。一方、上記の実施形態によれば、試験により、IPX5の防水性能を確保できることを確認できた。例えば、特許文献1に記載された構成では、凹部内に入り込んだ水が、下側の軸孔に水が落下するように通過するだけでなく、上側の軸孔へも毛細管現象により水が通過する可能性があるが、実施形態によれば、2つの軸孔26,27の両方での水の通過を防止できる。
【0031】
さらに、第1軸要素41及び第2軸要素46は、第1軸要素41を貫通したネジ80と第2軸要素46のネジ部49aとのネジ結合によって結合されることで、軸部材40が形成される。これにより、ケーシング12の各段差部28,29と各軸要素41,46の段差面41a、48aとで、Oリング82,84を、押圧状態で挟み込みやすくなる。さらに、第1軸要素41にネジ部を形成する必要がないので、第1軸要素41の周方向位置と第2軸要素46の周方向位置とを任意の関係に設定しやすくなる。
【0032】
さらに、第1軸要素41及び第2軸要素46のそれぞれの軸孔26,27より外側に配置される部分は、扉101の内側に配置されケーシング12を形成する上カバー30と下カバー34とにより密封される。これにより、扉101を開けた状態で、第1軸要素41及び第2軸要素46のそれぞれの軸孔26,27より外側に配置される部分に、雨水等の水がかかることを防止できる。
【0033】
なお、上記の実施形態において、第1軸要素及び第2軸要素は、第1軸要素及び第2軸要素の両方に形成されたネジ部のネジ結合によって軸部材を形成してもよい。また、第1軸要素及び第2軸要素は、凹凸係合によって結合されてもよい。
【0034】
また、上記の実施形態のラッチハンドル装置ではテンキー入力部90が設けられているが、テンキー入力部90は省略してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 ラッチハンドル装置、12 ケーシング、13 本体部、14 外側板部、15 膨出部、15a 窓部、16 スライド孔、17 仕切り部、18 上板部、19 下板部、23 凹部、23a 小幅部分、23b 大幅部分、24 第1側面、25 第2側面、26,27 軸孔、28,29 段差部、40 軸部材、41 第1軸要素、41a 段差面、41b 中間円筒面、42 ロックカム、43 ネジ挿通孔、46 第2軸要素、47 アーム、48a 段差面、48b 中間円筒面、49 ネジ挿通孔、49a ネジ部、50 ハンドル本体、51 T字形部、52 軸支持部、53 孔、60 ラッチ、64 錠装置、65 鍵穴部、70 電動アクチュエータ、72 移動部材、80 ネジ、82,84 Oリング(弾性リング)、90 テンキー入力部、92 解錠ボタン、100 扉付ボックス、101 扉、102 扉開口。