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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-10
(45)【発行日】2023-03-20
(54)【発明の名称】H形鋼の加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 13/02 20060101AFI20230313BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B23P13/02
B23C3/12 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022194148
(22)【出願日】2022-12-05
【審査請求日】2022-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207285
【氏名又は名称】大東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】溝畑 知典
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 哲也
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-99948(JP,A)
【文献】特開平11-207486(JP,A)
【文献】米国特許第4129460(US,A)
【文献】米国特許第4707898(US,A)
【文献】特開2015-160279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 13/00 - 17/06
B23P 23/04
B23C 3/12
B23D 79/00
E04B 1/24
B23K 7/00
B23K 28/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフランジと当該フランジを相互に連結するウェブとを有するH形鋼の加工方法であって、
前記一対のフランジと前記ウェブとの連結部分を前記フランジの外側からミーリング加工で切削して、前記H形鋼の長手方向に延びる長溝を形成する工程と、
前記一対のフランジを、前記長溝の一端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、
前記ウェブを、前記長溝の長手方向他端部を相互に結ぶように溶断トーチによって溶断する工程と、
前記一対のフランジを、前記長溝の他端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、
を有することを特徴とするH形鋼の加工方法。
【請求項2】
一対のフランジと当該フランジを相互に連結するウェブとを有するH形鋼の加工方法であって、
前記一対のフランジと前記ウェブとの連結部分を前記フランジの外側からミーリング加工で切削して、前記H形鋼の長手方向に延びると共に前記H形鋼の長手方向先端で開口した長溝を形成する工程と、
前記一対のフランジを、前記長溝の前記開口側と反対側の一端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、
を有することを特徴とするH形鋼の加工方法。
【請求項3】
一対のフランジと当該フランジを相互に連結するウェブとを有するH形鋼の前記フランジの追込み加工方法において、
前記一対のフランジと前記ウェブとの連結部分を前記フランジの外側からミーリング加工で切削して、前記H形鋼の長手方向に延びる長溝を形成する工程を有することを特徴とする加工方法。
【請求項4】
前記フランジを溶断トーチによって溶断する工程を有することを特徴とする請求項3の加工方法。
【請求項5】
前記溶断トーチとして、プラズマガスを噴射して溶断を行なうプラズマトーチを使用することを特徴とする請求項1、2又は4の加工方法。
【請求項6】
前記溶断トーチとして、レーザービームを照射して溶断を行なうレーザートーチを使用することを特徴とする請求項1、2又は4の加工方法。
【請求項7】
前記ウェブの幅方向端部にスカラップを形成するに際し、前記スカラップの前記フランジの際部分をミーリング加工でH形鋼の長手方向に切削し、前記スカラップの当該ミーリング加工で切削した残余部分の縁を溶断トーチによって溶断することを特徴とする請求項1、2又は4の加工方法。
【請求項8】
前記ミーリング加工の軸線を前記フランジに対して垂直方向にしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はH形鋼の加工方法に係り、特にH形鋼のフランジの深追込み加工でミーリング加工を使用する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、H形鋼のフランジの追込み加工は特許文献1(特開2011-148050号公報)などに記載の回転カッター式開先加工機で行われている。しかしながら、追込み量が大きい深追込み加工になると、追い込みカッターによる加工時間が長くかかると共に、追い込みカッターの消耗量も激しくなる。このため、作業能率の著しい低下と加工コストの大幅アップを招いていた。
【0003】
一方、H形鋼のフランジの深追込み加工を回転カッター式開先加工機ではなく、ガス溶断トーチを使用した手作業で行う方法もある。しかしながら、ガス溶断トーチを使用した手作業では加工精度を出しにくく、仕上がり製品の寸法バラつきが大きく作業能率も悪い。
【0004】
特許文献2(特開2011-41952号公報)は、プラズマトーチやレーザートーチなどの溶断トーチを移動制御するH形鋼の深追込み加工方法を提案している。この方法であれば工具の消耗の問題がなく加工時間も短くて済む。
【0005】
しかしながら、H形鋼のウェブとフランジが交差する内角部分(フランジの際部分)は、溶断トーチがフランジと干渉するため溶断しにくい。このため、特許文献2の深追込み加工では当該干渉を避けるように、溶断トーチをH形鋼の幅方向内側にやや移動した位置から追い込み方向に移動してウェブを切断するようにしている(特許文献2の図1参照)。
【0006】
このため、図7のようにH形鋼Sの梁材のウェブWとフランジFの各先端部W1、F1を、相手側H形鋼Sの柱材のウェブWとフランジFに直接溶接する場合、ウェブ先端部W1が短くなりウェブの全幅を利用した溶接接合ができず溶接強度が損なわれる。また溶断トーチをH形鋼の幅方向内側に移動させた分だけ、柱材のウェブWとフランジFとの間W2に隙間ができる。当該隙間は広すぎて溶接することができないため強度が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-148050号公報
【文献】特開2011-41952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、H形鋼のウェブ幅を低減せずに深追込み加工をすることが可能なH形鋼の加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明のH形鋼の加工方法は、一対のフランジと当該フランジを相互に連結するウェブとを有するH形鋼の加工方法であって、前記一対のフランジと前記ウェブとの連結部分を前記フランジの外側からミーリング加工で切削して、前記H形鋼の長手方向に延びる長溝を形成する工程と、前記一対のフランジを、前記長溝の一端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、前記ウェブを、前記長溝の長手方向他端部を相互に結ぶように溶断トーチによって溶断する工程と、前記一対のフランジを、前記長溝の他端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のH形鋼の加工方法は、一対のフランジと当該フランジを相互に連結するウェブとを有するH形鋼の加工方法であって、前記一対のフランジと前記ウェブとの連結部分を前記フランジの外側からミーリング加工で切削して、前記H形鋼の長手方向に延びると共に前記H形鋼の長手方向先端で開口した長溝を形成する工程と、前記一対のフランジを、前記長溝の前記開口側と反対側の一端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のH形鋼のフランジの追込み加工方法は、一対のフランジと当該フランジを相互に連結するウェブとを有するH形鋼の前記フランジの追込み加工方法において、前記一対のフランジと前記ウェブとの連結部分を前記フランジの外側からミーリング加工で切削して、前記H形鋼の長手方向に延びる長溝を形成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、H形鋼のウェブ幅を低減せずに追込み加工をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の一実施形態を説明するH形鋼の斜視図である。
図1B図1Aの平面図と側面図である。
図1C】本発明方法で深追い込み加工したH形鋼の斜視図である。
図2】本発明方法で使用する加工機の平面図である。
図3A】本発明方法で深追い込み加工したH形鋼の平面図と側面図である。
図3B】ミーリング加工を説明するH形鋼の側面図と断面図である。
図3C】ミーリング加工を説明するH形鋼の拡大断面図である。
図4】(a)は本発明方法の第1変形例を説明するH形鋼の平面図と側面図、(b)は深追い込み加工したH形鋼の斜視図である。
図5】(a)は本発明方法の第2変形例を説明するH形鋼の平面図と側面図、(b)は深追い込み加工したH形鋼の斜視図である。
図6】(a)は本発明方法の第3変形例で深追い込み加工したH形鋼の斜視図、(b)(c)は第3変形例を説明するH形鋼の平面図と側面図である。
図7】本発明方法で深追い込み加工したH形鋼の梁部材を、H形鋼の柱部材に溶接する一例を示す斜視図である。
図8】本発明方法で深追い込み加工したH形鋼の梁部材を、H形鋼の梁部材に溶接する一例を示す斜視図である。
図9A】本発明の第4変形例を説明するH形鋼の斜視図である。
図9B図9Aの平面図と側面図である。
図9C】第4変形例で深追い込み加工したH形鋼の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(●本発明の一実施形態)
図1Aは本発明の一実施形態を説明するH形鋼Sの斜視図である。また、図1B図1Aを平面図と側面図で示したものである。
【0015】
左右のフランジFの矩形ミーリング加工領域M0にハッチングを付している。この加工領域M0はH形鋼SのウェブWとフランジFの連結部分に対応し、H形鋼Sの長手方向に延びている。矩形加工領域M0をミーリング加工することで、H形鋼Sの長手方向に延びた長溝が形成される。
【0016】
図1Aのミーリング工具Mを、丸数字で示す1⇒2、5⇒6の順に移動することで、矩形加工領域M0を長溝に加工する。丸数字1、5は、ミーリング工具Mを加工領域M0の一端部に向けて垂直に切込む動作である。このときの切込み深さの詳細は図3Cで後述する。丸数字2、6は、垂直に切り込んだミーリング工具MをフランジF面と水平方向に移動して矩形加工領域M0に削り広げる動作である。このときの削り広げる範囲の詳細は図3Cで説明する。
【0017】
矩形加工領域M0を長溝に形成したら、図示しない溶断トーチを丸数字3⇒4⇒7⇒8⇒9⇒10⇒11の順に移動する。3⇒4で右側のフランジFの手前側端部を縦方向に切断する。7⇒8で左側のフランジFの手前側端部を縦方向に切断する。3⇒4、7⇒8の切断線は、左右の矩形加工領域M0の長溝の一端部を通る。
【0018】
溶断トーチは、例えばプラズマガスを噴射して溶断を行なうプラズマトーチや、レーザービームを照射して溶断を行なうレーザートーチを使用することができる。その他の種類の溶断トーチを使用することも勿論可能である。
【0019】
3⇒4、7⇒8の切断は、矢印方向を逆にしてもよい。すなわち、左右の矩形加工領域M0の長溝の一端部から始まって上下方向に切断してもよい。或いは、3⇒4、7⇒8の切断を方向を変えずに一気に上方向または下方向に切断してもよい。
【0020】
次に、溶断トーチを端切りのため丸数字9⇒10⇒11の順に移動する。9の移動で、ウェブWの先端部を幅方向に切断する。これで先端部W1を所定寸法に形成することができる。
【0021】
9の移動は、左右の矩形加工領域M0の長溝の他端部を相互に結ぶ直線に沿って移動する。9の移動の最初と最後は、溶断トーチがフランジFに干渉するのを回避するため、溶断トーチの手元側をウェブWの幅方向内側に適宜(例えば約45度)傾けるとよい。
【0022】
10、11の移動で、フランジFの先端部を縦方向に切断する。10、11の移動は、左右の矩形加工領域M0の長溝の他端部を垂直方向に通るように移動する。10、11の移動は下から上の移動が望ましい。切断した端材(H形端材S1)が溶断トーチに当たるのを回避するためである。
【0023】
溶断トーチを丸数字9⇒10⇒11の順に端切り移動することで、図1Bに示すようにH形鋼SのH形端材S1が生じる。溶断トーチを3⇒4⇒7⇒8⇒9⇒10⇒11の順に移動することで、溶断トーチと端材S1の干渉をなくすことができる。
【0024】
以上のミーリング加工と溶断トーチによる溶断により、図1Cに示す深追い込み加工済みのH形鋼Sを形成することができる。図1A図1Cから分るように、H形鋼Sのウェブ幅を殆ど低減せずに深追込み加工をすることができる。
【0025】
したがって、図7のようにH形鋼Sの梁材のウェブWとフランジFの先端部W1、F1を、相手側H形鋼Sの柱材のウェブWとフランジFに溶接する場合、ウェブ先端部W1の全幅(最大幅)を相手側H形鋼Sの柱材のウェブWに隙間なく溶接することができる。したがって、特許文献の図1のようにウェブ幅の低減により溶接強度を損なうことがない。
【0026】
なお、深追い込み加工したH形鋼Sの梁材は、図8のようにウェブWを縦方向にして相手側梁材に溶接接合することもできる。図7図8のいずれの溶接接合も、ウェブWとフランジFの先端部W1、F1が正確な寸法精度で形成されていないと、いずれか一方の先端部W1、F1に溶接することができないほどの隙間が生じて確実な溶接ができず溶接強度が損なわれる。本発明方法によれば、ウェブWとフランジFの先端部W1、F1を正確な寸法精度で形成することができる。
【0027】
図1Aの深追い込み加工は、図2に示す加工機100で行うことができる。この加工機100はミーリング加工機とプラズマ切断機を組合わせたものであって、ミーリング加工エリア110とプラズマ切断エリア120を隣り合わせで有する。
【0028】
被加工材料であるH形鋼Sは、図2の左側から右側に移動される。この移動の間に、ミーリング加工エリア110において図1Aで示すミーリング加工1⇒2、5⇒6が行われ、プラズマ切断エリア120でプラズマ切断3⇒4⇒7⇒8⇒9⇒10⇒11が行われる。深追い込み加工が完了したH形鋼Sは、プラズマ切断エリア120の右側から搬出される。
【0029】
(●深追い込み加工の詳細)
図3A図3Cに深追い込み加工の詳細を示す。図3Bの矩形加工領域M0の長さLが、図3Aの深追い込み加工の長さLになる。
【0030】
通常、両フランジFの間に挿入されるウェブWの加工後の幅W1は、それぞれのフランジFの内側から追込み量D(図3A)だけ短くする。これは、図7図8の溶接する相手側の両フランジの内寸法にマイナス誤差があった場合でも、相手側両フランジの間にウェブWの先端部W1を干渉せずに挿入できるようにするためである。追込み量Dは、材料であるH形鋼Sの誤差に応じて任意に設定できる。図3Cに示すように、ミーリング工具Mの切込み深さは、フランジFの厚み+追込み量Dとなる。
【0031】
フランジFとウェブWが交差する内角部分は円弧状に連続している。この円弧上で、フランジFより追込み量Dだけ離れた部分であるA点とB点により幅BRが決まる。ミーリング工具Mの先端に面取りが施されていたり、フランジFとウェブWが交差する内角部分の円弧形状に誤差があったりするので、実際のミーリング加工幅BR′は、設計上の幅BRよりも、ミーリング工具Mの先端の面取り量や、フランジF-ウェブW内角部分の円弧形状の誤差に応じて、大きく設定することができる。
【0032】
(●第1変形例)
図4は第1変形例の深追い込み加工を示すものである。この第1変形例では、図4(a)のように溶断トーチを丸数字3⇒4、7⇒8のように斜めに移動させる。
【0033】
斜めの傾斜角度は例えば45度である。この第1変形例の深追い込み加工で、図4(b)に示す形状のH形鋼Sを形成することができる。
【0034】
(●第2変形例)
図5は第2変形例の深追い込み加工を示すものである。この第2変形例では、図5(a)のように溶断トーチを丸数字3⇒4、7⇒8のように斜めに移動させる。
【0035】
斜めの傾斜角度は例えばマイナス45度とプラス45度である。この第2変形例の深追い込み加工で、図5(b)に示す形状のH形鋼Sを形成することができる。
【0036】
左右のフランジFの先端部F1が、直角の角部でウェブWに接続する。第1変形例と第2変形例により、H形鋼Sの接合形態を図7図8に限らず多様化することができる。
【0037】
(●第3変形例)
図6は第3変形例の深追い込み加工を示すものである。この第3変形例は、図1CのH形鋼SのウェブWの幅方向両側に、ミーリング加工と溶断トーチによる溶断でスカラップScを追加形成するものである。スカラップScを溶断トーチによる溶断のみで形成しようとすると、溶断トーチがフランジFと干渉するためH形鋼SのフランジFの際部分、すなわちウェブWとフランジFが交差する内角部分(M1、M2)を溶断しにくい。
【0038】
そこで、この第3変形例ではミーリング加工と溶断トーチによる溶断でスカラップScを形成するようにした。すなわち、ミーリング加工領域M1、M2にミーリング加工で長孔を形成した後、溶断トーチをP1、P2のように半円弧状に移動してウェブW溶断する。
【0039】
(●第4変形例)
図9A図9Cは、第4変形例の深追い込み加工を示すものである。この第4変形例では、左右のフランジFの矩形ミーリング加工領域M0がH形鋼Sの端部まで延びている。すなわち、矩形加工領域M0のミーリング加工で形成される長溝が、H形鋼Sの長手方向に延びると共にH形鋼Sの長手方向先端で開口している。
【0040】
図1A図1Cでは、丸数字9⇒10⇒11で示すプラズマ切断によってH形鋼Sの先端部(ウェブWの先端部W1)の寸法出しを行った。しかし、H形鋼Sの先端部の寸法出しが予め前工程で完了していれば、図9A図9Cのように、H形鋼Sの先端部のプラズマ切断を不要化することができる。H形鋼Sの先端部の寸法出しの前工程は任意の方法で行うことができ、例えばプラズマ切断で行ってもよいし、帯鋸盤等で行ってもよい。また、図9Cの状態からさらに、ウェブWの先端部W1をプラズマ切断で形成してもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、前記実施形態ではミーリング加工⇒溶断トーチによる溶断の順番であったが、これを反対にして溶断トーチによる溶断⇒ミーリング加工の順番に変更することも可能である。また、溶断トーチによる溶断を他の工具による切断・切削に代替してもよい。また、図1C図9Cの状態からさらに、ウェブWとフランジFの各先端部W1、F1を、必要に応じてミーリング等により開先加工してもよい。
【符号の説明】
【0042】
100:加工機 110:ミーリング加工エリア
120:プラズマ切断エリア BR:ミーリング加工領域M0の幅
D:追込み量 F:H形鋼のフランジ
F1:フランジ先端部 M:ミーリング工具
M0、M1、M2:ミーリング加工領域 S:H形鋼
S1:端材 Sc:スカラップ
W:H形鋼のウェブ W1:ウェブ先端部
【要約】
【課題】H形鋼のウェブ幅を低減せずに深追込み加工をすることが可能なH形鋼の加工方法を提供する。
【解決手段】本発明のH形鋼の加工方法は、一対のフランジFと当該フランジを相互に連結するウェブWとを有するH形鋼Sの加工方法であって、一対のフランジFとウェブWとの連結部分をフランジFの外側からミーリング加工で切削してH形鋼Sの長手方向に延びる長溝を形成する工程と、一対のフランジFを長溝の一端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、ウェブWを長溝の長手方向他端部を相互に結ぶように溶断トーチによって溶断する工程と、一対のフランジFを長溝の他端部を通るように溶断トーチによって溶断する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1A
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C