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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/243 20180101AFI20230314BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20230314BHJP
   F21S 43/247 20180101ALI20230314BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230314BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20230314BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20230314BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20230314BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20230314BHJP
【FI】
F21S43/243
F21S43/241
F21S43/247
F21S43/14
F21V8/00 310
F21V8/00 340
F21V8/00 330
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018189494
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2020061204
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥 裕章
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-281907(JP,A)
【文献】特開2017-084556(JP,A)
【文献】特開2016-021313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/243
F21S 43/241
F21S 43/247
F21S 43/14
F21V 8/00
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源からの光を導いて出射させる導光体と、を備え、
前記導光体は、導いた光を外部に出射させる出射面と、入射された前記光源からの光を前記出射面へ向けて反射する反射面と、を有し、
前記出射面は、前記反射面で反射されることにより直接導かれた光を出射させる第1出射箇所と、前記第1出射箇所と同一平面上に拡大された面で構成される第2出射箇所と、を有し、
前記導光体は、前記光源と対向しつつ前記光源の光軸と交差する方向に延びる奥壁部と、前記奥壁部から前記光軸の前側に立ち上がる側壁部と、を有し、
前記反射面は、前記側壁部において前記奥壁部に連続される側壁基部に設けられ、
前記出射面は、前記側壁部において立ち上がった先端の端面と、その立ち上がる途中に設けられた少なくとも1つの段部と、のそれぞれに設けられ、
前記第1出射箇所は、全ての前記出射面に設けられ、
前記第2出射箇所は、少なくとも1つの前記出射面に設けられ、
前記側壁部には、厚みを低減する凹所が設けられ、
前記側壁部は、前記凹所を経ることで前記側壁部の外部を通って前記反射面から前記出射面に至る外部光路と、前記側壁部の内部を通って前記反射面から前記出射面に至る内部光路と、が形成され、
前記反射面は、前記内部光路に対応する第1反射面と、前記外部光路に対応する第2反射面と、を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記側壁部は、前記奥壁部を取り囲んで設けられており、
前記各出射面は、前記奥壁部を取り囲む複数の独立した環状とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源は、前記奥壁部の中央に対向して設けられ、
前記側壁部は、前記側壁基部側よりも立ち上がった先端側の方が前記光軸から離れるように傾斜されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第2出射箇所は、前記第1出射箇所よりも前記光軸に近い側に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
光源と、前記光源からの光を導いて出射させる導光体と、を備え、
前記導光体は、導いた光を外部に出射させる出射面と、入射された前記光源からの光を前記出射面へ向けて反射する反射面と、を有し、
前記出射面は、前記反射面で反射されることにより直接導かれた光を出射させる第1出射箇所と、前記第1出射箇所と同一平面上に拡大された面で構成される第2出射箇所と、を有し、
前記導光体は、前記光源と対向しつつ前記光源の光軸と交差する方向に延びる奥壁部と、前記奥壁部から前記光軸の前側に立ち上がる側壁部と、を有し、
前記反射面は、前記側壁部において前記奥壁部に連続される側壁基部に設けられ、
前記出射面は、前記側壁部において立ち上がった先端の端面と、その立ち上がる途中に設けられた少なくとも1つの段部と、のそれぞれに設けられ、
前記第1出射箇所は、全ての前記出射面に設けられ、
前記第2出射箇所は、少なくとも1つの前記出射面に設けられ、
前記側壁部は、前記奥壁部を取り囲んで設けられており、
前記各出射面は、前記奥壁部を取り囲む複数の独立した環状とされ
前記第2出射箇所は、前記第1出射箇所よりも前記光軸に近い側に設けられていることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は、光源からの光を導光体で導くことで、任意の位置や形状で光らせるものがある。このような車両用灯具は、導光体に、出射面(リング状突起部14B3)と、光源からの光を出射面へ向けて反射する反射面(リング状反射素子14B1)と、を設けるものが考えられている(例えば、特許文献1等参照)。この車両用灯具は、出射面へと向かう光の進行方向に直交する面上で見て出射面と反射面とを等しい面積とすることで、出射面を満遍無く光らせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-203111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用灯具は、光る領域を大きくするために、出射面の面積を大きくしようとすると、上記した面上で見た反射面の面積を大きくする必要があり、全体が大型化してしまう。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、大型化させることなく出射面の面積を大きくすることのできる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両用灯具は、光源と、前記光源からの光を導いて出射させる導光体と、を備え、前記導光体は、導いた光を外部に出射させる出射面と、入射された前記光源からの光を前記出射面へ向けて反射する反射面と、を有し、前記出射面は、前記反射面で反射されることにより直接導かれた光を出射させる第1出射箇所と、前記第1出射箇所と同一平面上に拡大された面で構成される第2出射箇所と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の車両用灯具によれば、大型化させることなく出射面の面積を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る車両用灯具の一実施形態に係る一例としての車両用灯具の構成を示す説明図である。
図2図1に示すI-I線に沿って得られた導光体の断面図である。
図3図2の導光体における右側の側壁部の構成を示す説明図である。
図4】実施例2の導光体の車両用灯具を示す図1と同様の説明図である。
図5】実施例2の導光体の側壁部を示す図3と同様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る車両用灯具の一実施形態としての車両用灯具10の各実施例について図1から図5を参照しつつ説明する。なお、図1では、各出射面(411、412、413)に相当する箇所にドットを付して示している。また、図3および図5では、導光体22、22Aの構成の把握を容易とするために第2出射箇所46等を強調するとともに全体に簡略化して示しており、必ずしも他の図面や実際の構成と一致しない。
【実施例1】
【0010】
車両用灯具10は、自動車等の車両の灯具としてポジションランプ、テールランプ、ストップランプ、ターンランプやコンビネーションランプ等に用いられるもので、実施例1では、図1および図2に示すように、ストップランプに用いた例を示す。車両用灯具10は、車両の後部の左右両側で、前端が開放されたランプハウジング11と、その開口部を覆うアウターレンズ12と、で灯室13を形成する(図2参照)。そのランプハウジング11は、一端が開放されかつ他方が閉塞された中空形状とされ、灯具ユニット20の取付箇所を構成するとともに、それらの点灯制御のための点灯駆動装置を収容する。
【0011】
車両用灯具10では、灯室13に灯具ユニット20が設けられる。灯具ユニット20は、光源21(図2参照)と導光体22とを備える。灯具ユニット20は、光源21から出射された光を導光体22に入射させ、その導光体22が照射方向前側に設けられた後述する各出射面(411、412、413)へと光を導いて出射させることで、各出射面を光らせる。以下の説明では、車両用灯具10において、車両の直進時の進行方向後側であって灯具ユニット20からの光の出射により照射する方向を照射方向(前側)とし、車両に搭載された状態での鉛直方向を上下方向とし、照射方向および上下方向に直交する方向を幅方向とする。
【0012】
光源21は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成され、基板23に実装されている。実施例1の光源21は、光軸Ae(図2参照)が照射方向と略一致されて設けられている。基板23は、点灯制御回路からの電力を光源21に適宜供給することができ、光源21を点灯させる。なお、光源21は、複数の発光素子で構成されていてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0013】
導光体22は、光の透過を許す透明な樹脂材料で形成されており、実施例1ではアクリル樹脂で形成されている。導光体22は、一端が開放されかつ他端が閉塞された中空形状とされており、導光体22における閉塞された他端を構成する奥壁部30と、奥壁部30を取り囲みつつ照射方向前側に突出する側壁部40と、を有する。ここで、奥壁部30と側壁部40と、一体的に形成されていて境界は存在しないが、図2および図4では互いの境界箇所を二点鎖線で示している。実施例1の導光体22は、照射方向前側から見ると矩形状とされており、奥壁部30が照射方向前側から見て矩形状とされるとともに、奥壁部30の上下左右の4つの端部から4つの側壁部40が立ち上がるものとされている(図1参照)。各側壁部40は、奥壁部30に連続される側壁基部40a側よりも立ち上がった先端40b側の方が光軸Aeから離れるように傾斜されており、照射方向前側に向かうに従い導光体22の開口面積を漸増させている。
【0014】
奥壁部30は、光源21の照射方向前側で光源21の光軸Aeと交差する方向に延びて設けられており、実施例1では略直交する方向に延びている。奥壁部30には、取付突起31を介してインナーパネル14が設けられる。インナーパネル14は、照射方向前側から見ると側壁部40の幅方向内側(光軸Aeに近い側)の内側面42(後述する第3内側面423)に沿う矩形状とされており(図1参照)、導光体22における奥壁部30を隠して車両用灯具10の意匠性を高める。
【0015】
奥壁部30は、光源21からの光を入射させる入射面32と、入射された光を各側壁部40へ向けて反射する奥壁反射面33と、を有する。入射面32は、光源21の光軸Aeに直交する平坦な面とされ、光源21からの光が入射される。奥壁反射面33は、奥壁部30における入射面32とは反対側に設けられており、奥壁部30に入射された光を、全反射を利用して側壁部40(後述する側壁反射面44)へ向けて進行させるように角度が設定(光学設計)されている(図3の矢印L1、L2、L3参照)。実施例1の奥壁反射面33は、奥壁部30の上下左右の4つの端部から4つの側壁部40が立ち上がって設けられていることに合わせて、光軸Aeを中心とする上下左右に4つ設けられ、それぞれが光軸Aeを中心として照射方向前側に向かうに従い光軸Aeから離れるように傾斜されている。このため、奥壁部30は、光源21からの光を、対応する奥壁反射面33で反射することで4つの側壁部40のそれぞれに向けて進行させる。なお、奥壁反射面33は、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで、光を反射させるものとしてもよい。
【0016】
各側壁部40は、奥壁部30から導かれた光を照射方向前側に出射させる箇所となるもので、照射方向前側に延びる板状とされている。各側壁部40は、互いに奥壁部30の4つの角部の位置で接続されて、照射方向前側から見て奥壁部30を取り囲む矩形状とされている(図1参照)。各側壁部40には、照射方向前側に向けて複数の出射面41が設けられる。各出射面41は、対応する側壁部40の照射方向前側を向く面として形成され、各側壁部40に合わせて奥壁部30を取り囲む矩形状とされている(図1参照)。
【0017】
実施例1の導光体22では、各側壁部40において、出射面41として第1出射面411と第2出射面412と第3出射面413との3つが設けられ、奥壁部30を3重に取り囲むものとされている。各側壁部40は、光軸Aeに対する方向や意匠的な形状は異なるが、奥壁部30から導かれた光を出射面41に導いて出射させる基本的な光学設計は同一である。このため、以下では、図2で右側に示す側壁部40を模式的に示した説明図である図3を用いて、側壁部40の構成を説明する。
【0018】
側壁部40は、幅方向内側に2つの段部(412、413)が形成されている。側壁部40では、幅方向外側(光軸Aeから離れる側)に位置する照射方向前側の端面すなわち側壁部40の先端40bの端面が第1出射面411とされている。また、側壁部40では、その内側で照射方向後側に位置する段部を構成する照射方向前側の端面が第2出射面412とされ、その内側で照射方向後側に位置する段部を構成する照射方向前側の端面が第3出射面413とされている。これに伴い、側壁部40では、幅方向内側の内側面42が、第1出射面411と第2出射面412とを繋ぐ第1内側面421と、第2出射面412と第3出射面413とを繋ぐ第2内側面422と、第3出射面413と奥壁部30(その前面30a)とを繋ぐ第3内側面423と、を有する。各内側面(421、422、423)は、側壁部40における幅方向外側の外側面43と略平行とされている。
【0019】
また、側壁部40では、奥壁部30に連続する側壁基部40aであって、奥壁部30の奥壁反射面33と幅方向で対向する位置に側壁反射面44が設けられている。側壁反射面44は、奥壁反射面33により導かれた光を、全反射を利用して各出射面(411、412、413)へ向けて進行させる。この側壁反射面44は、奥壁反射面33で反射されて直接側壁反射面44に至る光を、各出射面に直接至るように内側面42および外側面43と平行な方向へと反射させる角度に設定(光学設計)されている(矢印L1、L2、L3参照)。ここで、一方の面から他方の面に直接至るとは、その2つ以外の他の面に至ることなく一方の面から他方の面に至ることをいう。側壁反射面44は、各出射面に直接至るように反射した光の進行方向(矢印L1、L2、L3参照)に直交する面上で見て、3つの出射面(411、412、413)の後述する第1出射箇所45を足し合わせたものと等しい形状および面積とされている。なお、側壁反射面44は、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで、光を反射させるものとしてもよい。
【0020】
各出射面(411、412、413)は、第1出射箇所45を有する。各第1出射箇所45は、後述するように従来の各出射面と同様の構成とされて通常の光を出射させる通常出射箇所である。各第1出射箇所45は、側壁反射面44での反射により外側面43と平行とされて直接各出射面に至る光(矢印L1、L2、L3参照)を、照射方向に沿う方向へと出射させるように、導光体22の屈折率を考慮して角度が設定(光学設計)された面とされている。実施例1の各出射面は、直接各出射面に至る光を出射させた際の進行方向が等しくされている。また、実施例1の各出射面は、小さな矩形状の突起が整列されて設けられており、照射方向前側からの意匠性を高めるとともに出射させる光を拡散させるものとされている。
【0021】
このため、側壁部40では、第1内側面421と外側面43とに挟まれて側壁反射面44から第1内側面421に伸びる箇所が、側壁反射面44から直接第1出射面411に至る光が通る第1光路P1となる。また、側壁部40では、第1光路P1と第2内側面422とに挟まれて側壁反射面44から第2内側面422に伸びる箇所が、直接第2出射面412に至る光が通る第2光路P2となる。さらに、側壁部40では、第2光路P2と第3内側面423とに挟まれて側壁反射面44から第3内側面423に伸びる箇所が、直接第3出射面413に至る光が通る第3光路P3となる。3つの光路(P1、P2、P3)は、上記した構成であるので、各出射面に直接至るように反射した光の進行方向(矢印L1、L2、L3参照)に直交する面上で見て、側壁反射面44と等しい形状および面積とされており、3つの出射面の第1出射箇所45を足し合わせたものとも等しい形状および面積とされている。
【0022】
加えて、各出射面は、第2出射箇所46が適宜設けられる。各第2出射箇所46は、第1出射箇所45と同一平面上で幅方向内側に拡大された面で構成されるもの(拡大出射箇所)で、図3の例では第1出射面411および第2出射面412に設けられている。側壁部40は、各第2出射箇所46を設けることに伴い、第1内側面421が第1出射面411(その第2出射箇所46)の内端から第2出射面412(その第1出射箇所45)の外端に直線状に延びるものとし、第2内側面422が第2出射面412(その第2出射箇所46)の内端から第3出射面413(その第1出射箇所45)の外端に直線状に延びるものとしている。各第2出射箇所46は、奥壁反射面33で反射された光のうち、各第1出射箇所45から出射されて光学設計の対象とはなってない光(以下では、迷光という)を出射させる。この迷光は、主に奥壁反射面33で反射された後に、奥壁部30の前面30aや背面30bで反射(全反射)されて側壁反射面44に至ったものがあげられる(矢印L4参照)。なお、迷光は、側壁反射面44から各第1出射箇所45へと直接進行する光以外の光であればよく、上記した例に限定されない。また、奥壁部30の前面30aや背面30bは、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで、光を反射させるものとしてもよい。
【0023】
車両用灯具10は、灯具ユニット20において、点灯制御回路からの電力を基板23から光源21に供給して、光源21を点灯させる。すると、光源21からの光は、光軸Aeを中心としつつ放射状に進行して入射面32に至り、入射面32から導光体22の奥壁部30内に進行する。奥壁部30内に進行した光は、奥壁反射面33で全反射されて側壁部40へと向かう。側壁部40へと向かう光は、一部が直接側壁反射面44に至り、そこで反射されて3つの光路(P1、P2、P3)を通って各出射面(411、412、413)の第1出射箇所45に至り、第1出射箇所45から照射方向前側へ向けて出射される(図3の矢印L1、L2、L3参照)。このとき、車両用灯具10は、各出射面に直接至るように反射した光の進行方向(実施例1では外側面43と平行な方向)に直交する面上で見て、3つの出射面の第1出射箇所45を足し合わせたものと、側壁反射面44や3つの光路を足し合わせたものと、を互いに等しい形状および面積としているので、各第1出射箇所45を満遍無く光らせることができる。
【0024】
また、側壁部40へと向かう光の他部(残りの光)となる迷光は、様々な方向で側壁反射面44に至り、そこで反射された後に側壁部40の各内側面(421、422、423)や外側面43で適宜全反射されて第1出射面411および第2出射面412の主に第2出射箇所46に至り、第2出射箇所46から出射される。このとき、側壁部40は、基本的に側壁反射面44が外側面43と平行な方向へと光を反射するように角度が設定されているので、外側面43に至った光は殆どが全反射され、外側面43から側壁部40の外方には出射しない。また、側壁部40は、第1内側面421および第2内側面422が照射方向前側の出射面41の外端からそのひとつ照射方向後側の出射面41の内端に直線状に延びるものとされるとともに、第3内側面423が外側面43と略平行とされているので、各内側面に至った光も殆どが全反射されて各内側面から側壁部40の外方には出射しない。このため、車両用灯具10は、第3出射面413を超えて第1光路P1や第2光路P2に進行した迷光を、第1出射面411および第2出射面412の主に各第2出射箇所46から出射させることでき、両第2出射箇所46を光らせることができる。
【0025】
これにより、車両用灯具10は、単一の光源21からの光を用いて、灯具ユニット20における各出射面(411、412、413)の各第1出射箇所45を全周に亘って光らせるとともに、両出射面(411、412)の各第2出射箇所46を全周に亘って光らせる(図1参照)。このとき、車両用灯具10は、インナーパネル14により導光体22の奥壁部30が隠されるとともに、各内側面(421、422、423)が光らないので、各出射面が3重の矩形状の光として視認される。このため、車両用灯具10は、各出射面が光ることで車両の後側における上下方向や左右方向からの視認が可能とされ、車両におけるストップランプとして機能する。
【0026】
ここで、従来の車両用灯具について説明する。従来の車両用灯具は、導光体22の各出射面(411、412、413)に第2出射箇所46が設けられていないことを除くと、本願発明の車両用灯具10と同様の光学設計とされている。このため、以下では、理解を容易とするために、車両用灯具10と同様の名称および符号を用いて説明する。従来の車両用灯具は、導光体22の各出射面に第2出射箇所46が設けられておらず、第1出射箇所45だけで各出射面が構成されている。この従来の車両用灯具は、車両用灯具10と同様に、各出射面へと向かう光の進行方向に直交する面上で見て3つの光路(P1、P2、P3)を足し合わせたものや奥壁反射面33と3つの出射面の面積とを等しくすることで、各出射面を満遍無く光らせている。このように、従来の車両用灯具は、各出射面に直接至る光を利用することしか考慮していない。このため、従来の車両用灯具は、各出射面の面積を大きくするためには、側壁部40の厚みを増加させるとともに奥壁反射面33を大きくする必要があり、全体の大型化を招いてしまう。
【0027】
これに対して、本願発明の車両用灯具10は、各出射面に直接至る光に加えてそれ以外の光である迷光を積極的に利用するために、各出射面において第1出射箇所45に加えて適宜第2出射箇所46を設けている。車両用灯具10は、上記した面上における3つの光路および奥壁反射面33の面積を3つの出射面の第1出射箇所45の面積と等しくすることで、第1出射箇所45を満遍無く光らせている。これに加えて、車両用灯具10は、第1出射箇所45の同一面上で光軸Aeに近い側に拡大した面として第2出射箇所46を設けることで、第1出射箇所45を光らせることに利用しない迷光を積極的に利用して第2出射箇所46を光らせている。このため、車両用灯具10は、従来の車両用灯具と比較して、側壁部40の全体の厚みを増加させたり奥壁反射面33の面積を大きくしたりすることなく各出射面を大きくするすなわち発光幅を広げることができ、全体が大型化することを防止できる。また、車両用灯具10は、各第1出射箇所45を光らせることに利用しない迷光を各第2出射箇所46から出射させているので、各第1出射箇所45での発光の態様に影響を与えることなく、各出射面を大きくすることができる。加えて、車両用灯具10は、導光体22における各第2出射箇所46を設けることによる側壁部40の厚みの増加が極めて部分的なので、従来の構成と比較して、導光体22を成形する際の工程(主に冷却工程)への影響を最小限に留めることができる。
【0028】
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0029】
車両用灯具10は、反射面(側壁反射面44)で反射された光源21からの光を出射させる出射面41を、反射面で反射されることにより直接導かれた光を出射させる第1出射箇所45と、第1出射箇所45と同一平面上に拡大された面で構成される第2出射箇所46と、を有するものとしている。この車両用灯具10は、第1出射箇所45を満遍無く光らせるとともに、そこを光らせることに利用しない迷光により第2出射箇所46を光らせることができる。このため、車両用灯具10は、従来の車両用灯具と比較して、側壁部40の全体の厚みを増加させたり奥壁反射面33の面積を大きくしたりすることなく出射面41を大きくすることができ、全体が大型化することを防止できる。
【0030】
車両用灯具10は、導光体22が奥壁部30と側壁部40とを有し、側壁部40の側壁基部40aに反射面(側壁反射面44)を設け、側壁部40において立ち上がった先端40bの端面と、その立ち上がる途中に設けられた少なくとも1つの段部と、のそれぞれに出射面41を設けている。そして、車両用灯具10は、導光体22において、全ての出射面41に第1出射箇所45を設けるとともに、少なくとも1つの出射面41に第2出射箇所46を設けている。このため、車両用灯具10は、複数の出射面41を適切に光らせつつ、側壁部40の全体の厚みを増加させたり反射面の面積を大きくしたりすることなく出射面41を大きくすることができ、全体が大型化することを防止できる。また、車両用灯具10は、照射方向で異なる位置にある複数の出射面41をそれぞれ光らせて視認させるので、奥行き感を実現することができ、意匠性を高めることができる。加えて、車両用灯具10は、照射方向で異なる位置に複数の出射面41を設けているので、非点灯時であっても奥行き感を実現することができ、意匠性を高めることができる。
【0031】
車両用灯具10は、導光体22において、奥壁部30を取り囲んで側壁部40を設けており、出射面41が奥壁部30を取り囲む複数の独立した環状とされている。このため、車両用灯具10は、各出射面41から光を出射させることで奥壁部30を取り囲む複数の環状の光として視認させることができ、意匠性を高めることができる。特に、車両用灯具10は、各出射面41を照射方向で異なる位置としつつ奥壁部30を取り囲む複数の独立した環状としているので、さらに奥行き感を実現することができ、意匠性をさらに高めることができる。
【0032】
車両用灯具10は、導光体22において、側壁基部40a側よりも立ち上がった先端40b側の方が光軸Aeから離れるように側壁部40を傾斜させている。このため、車両用灯具10は、奥壁部30から側壁部40の先端40b側へ向かうに連れて導光体22の開口面積を漸増させつつ奥壁部30を取り囲んでいるので、奥行き感をより実現することができ、意匠性をより高めることができる。
【0033】
車両用灯具10は、各出射面41において、第1出射箇所45よりも光軸Aeに近い側に第2出射箇所46を設けている。このため、車両用灯具10は、導光体22において、光源21から奥壁部30に至り反射面(側壁反射面44)で反射された光のうちの各第1出射箇所45へと直接進行する光以外の光である迷光を、第2出射箇所46へと効率良く導いて第2出射箇所46から出射させることができる。また、車両用灯具10は、照射方向前側に向かうに従って、導光体22の開口面積が漸増することに併せて、環状の出射面41の大きさも漸増するので、奥行き感をより実現することができ、意匠性をより高めることができる。
【0034】
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、大型化させることなく出射面41の面積を大きくすることができる。
【実施例2】
【0035】
次に、本開示の一実施形態である実施例2の車両用灯具10Aについて、図4および図5を用いて説明する。車両用灯具10Aは、実施例1の車両用灯具10の導光体22における側壁部40の構成を変更したものである。車両用灯具10Aは、基本的な概念および構成が実施例1の車両用灯具10と同様であるので、等しい構成の個所には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0036】
先ず、実施例2の車両用灯具10Aは、灯具ユニット20Aの導光体22Aにおいて、第2出射面412のみに第2出射箇所46が設けられている(図5参照)。すなわち、導光体22Aは、第1出射面411および第3出射面413が第1出射箇所45のみで形成され、第2出射面412が第1出射箇所45と第2出射箇所46とで形成されている。
【0037】
そして、車両用灯具10Aは、導光体22Aの側壁部40Aにおいて、外側面43Aに凹所51が設けられている。この凹所51は、側壁部40Aの厚みを低減するもので、側壁部40Aが延びる方向に沿って設けられており、凹所51の無いものと比較して側壁部40A延いては導光体22Aの重量を低減する。凹所51は、側壁部40Aにおいて、外側変位面52と凹所出射面53と凹所入射面54とを形成する。外側変位面52は、実施例1の外側面43が内側に平行移動された面とされており、凹所出射面53と凹所入射面54とは、側壁部40A内で光を進行させる方向(実施例1では外側面43Aと平行な方向)で対向している。凹所51は、実施例1では導光体22Aの成形時に金型が配置されることで形成される。このため、凹所出射面53と凹所入射面54とは、平行または幅方向外側(光軸Aeから離れる側)に向かうに従って両者の間隔が広がるものとされている。この凹所出射面53と凹所入射面54とが為す角度は、基本的には金型を抜く観点から設定されるが、後述する外部光路P1oと内部光路P1iとを形成する観点から、設定可能な角度範囲が決められている。
【0038】
この側壁部40Aでは、側壁反射面44Aから直接第1出射面411に至る光が通る第1光路P1が、凹所出射面53と凹所入射面54との間の導光体22Aの外部を通る外部光路P1oと、外側変位面52よりも内側で導光体22Aの内部を通る内部光路P1iと、に分けられる。これに伴い、側壁部40Aでは、側壁反射面44Aが、第1反射面44A1と第2反射面44A2との2つを有するものとされている。
【0039】
第1反射面44A1は、反射した光を、内部光路P1iを通して第1出射面411へと直接進行させるとともに(矢印L5参照)、第2出射面412や第3出射面413へと直接進行させる角度に設定(光学設計)されている(矢印L6参照)。実施例2の第1反射面44A1は、僅かに内側に凸面とされており、反射した光の進行方向が平行とはされておらず、僅かに発散させている(矢印L5、L6参照)。
【0040】
第2反射面44A2は、外部光路P1oを通して第1出射面411へと直接進行させる角度に設定(光学設計)されている(矢印L7、L8参照)。詳細には、第2反射面44A2は、奥壁反射面33により導かれた光が、凹所出射面53から出射された後に凹所入射面54に入射するように、導光体22Aの屈折率を考慮して角度が設定されている。実施例2では、第1出射面411から出射される際、外部光路P1oを通った光と内部光路P1iを通った光とが略平行とされており、第1出射面411が外部光路P1oと内部光路P1iとで単一の平面で形成されている。このため、実施例2では、内部光路P1iを通り第1出射面411に至る前の光と、外部光路P1oを通り凹所入射面54から入射されて第1出射面411に至る前の光と、が平行となるように、凹所出射面53および凹所入射面54の角度と屈折率とを勘案して、第1反射面44A1および第2反射面44A2の角度がそれぞれ設定(光学設計)されている。これにより、導光体22Aでは、側壁部40Aに、外部光路P1oと内部光路P1iとを形成することができる。なお、内部光路P1iを通る光と外部光路P1oを通る光とは、互いに平行とされていなくてもよく、実施例2の構成に限定されない。
【0041】
車両用灯具10Aは、実施例1の車両用灯具10と同様に、灯具ユニット20Aにおいて、光源21からの光が、導光体22Aの奥壁部30内に進行して側壁部40Aへと向かう。すると、側壁部40Aへと向かう光は、一部が直接側壁反射面44Aに至り、その一部が第1反射面44A1で反射されて2つの光路(P2、P3)を通り各出射面(412、413)に至るとともに、別の一部が第1反射面44A1で反射されて第1光路P1の内部光路P1iを通り第1出射面411に至る。また、直接側壁部40Aへと向かう光の他部は、第2反射面44A2で反射されて、凹所出射面53から導光体22Aの外部に出射されて凹所入射面54から導光体22Aの内部に入射し、すなわち第1光路P1の外部光路P1oを通り、第1出射面411に至る。これにより、車両用灯具10Aは、側壁部40Aに凹所51を設けても、凹所51を設けていない場合と同様に各出射面(411、412、413)を光らせることができる。
【0042】
実施例2の車両用灯具10Aは、基本的に実施例1の車両用灯具10と同様の構成であるので、実施例1と同様の効果を得られる。
【0043】
それに加えて、車両用灯具10Aは、導光体22Aにおいて、厚みを低減する凹所51を側壁部40Aに設け、側壁部40Aに外部光路P1oと内部光路P1iとを形成している。このため、車両用灯具10Aは、従来の車両用灯具と比較して、かつ側壁部40Aの厚みを低減しつつ奥壁反射面33の面積を大きくすることなく出射面41を大きくすることができ、全体が大型化することを防止できる。
【0044】
また、車両用灯具10Aは、反射面(側壁反射面44A)として、内部光路P1iに対応する第1反射面44A1と、外部光路P1oに対応する第2反射面44A2と、を設けている。すなわち、車両用灯具10Aは、凹所51を設けることに伴い、内部光路P1iを含む側壁部40Aの内方を通る光に対応する第1反射面44A1と、側壁部40Aの外方(外部光路P1o)を通る光に対応する第2反射面44A2と、に反射面を分割している。このため、車両用灯具10Aは、凹所51を設けて側壁部40Aを軽量化しても、凹所51を設けていない場合と同様に各出射面(411、412、413)を適切に光らせることができる。
【0045】
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例2の車両用灯具10Aは、大型化させることなく出射面41の面積を大きくすることができる。
【0046】
以上、本開示の車両用灯具を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0047】
なお、各実施例では、各側壁部40、40Aに3つの出射面(411、412、413)を設けていたが、出射面の数(各側壁部40、40Aにおける段数)は適宜設定すればよく、各実施例の構成に限定されない。
【0048】
また、各実施例では、各側壁部40、40A(そこに設ける各出射面41)を奥壁部30を取り囲む矩形状としている。しかしながら、各側壁部40、40A(各出射面41)は、他の形状で奥壁部30を取り囲むものでもよく、奥壁部30を取り囲まなくてもよく、各実施例の構成に限定されない。
【0049】
さらに、各実施例では、一部の出射面のみに第2出射箇所46を設けている。しかしながら、第2出射箇所46は、全ての出射面に設けてもよく、各実施例とは異なる組み合わせとした出射面に設けてもよく、各実施例の構成に限定されない。
【0050】
各実施例では、各出射面41において、第1出射箇所45よりも光軸Aeに近い側に第2出射箇所46を設けている。しかしながら、第2出射箇所46は、第1出射箇所45と同一平面上に拡大された面で構成されていればよく、各実施例の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0051】
10、10A 車両用灯具 21 光源 22、22A 導光体 30 奥壁部 40、40A 側壁部 40a 側壁基部 40b 先端 41 出射面 44、44A (反射面の一例としての)側壁反射面 44A1 第1反射面 44A2 第2反射面 45 第1出射箇所 46 第2出射箇所 51 凹所 Ae 光軸 P1i 内部光路 P1o 外部光路
図1
図2
図3
図4
図5