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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】多段式収納家具
(51)【国際特許分類】
   A47B 55/00 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A47B55/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018225317
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020081731
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】390005452
【氏名又は名称】伊藤喜オールスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】山路 政志
(72)【発明者】
【氏名】江連 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】村山 太祐
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-107211(JP,A)
【文献】実開昭59-097643(JP,U)
【文献】実開昭55-012851(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00-55/06
A47B 96/00
A47B 96/04
E05B 65/02
H05K 7/18
B43K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの筐体の内部を少なくとも底板で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前側開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、
前記底板における前記前側開口部側には、前記底板よりも下方に膨出するトレイが形成される、多段式収納家具。
【請求項2】
一つの筐体の内部を少なくとも底板で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前側開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、
前記底板における前記前側開口部側には、前記単位収納庫における前記収納空間と、前記単位収納庫の下方に位置する空間と、を連通する孔部が開口され、
前記孔部にはトレイが挿入される、多段式収納家具。
【請求項3】
前記トレイが非対称形状に形成され、
前記トレイは、前記孔部に対して所定の姿勢でのみ挿入可能とされる、請求項2に記載の多段式収納家具。
【請求項4】
前記トレイは前記底板に対して着脱不能に設けられる、請求項2又は請求項3に記載の多段式収納家具。
【請求項5】
前記トレイの底面は、前記単位収納庫の下方に位置する空間の内部に膨出され、
前記トレイの高さは、前記底板又は前記底板の前方に設けられる前框における前記前側開口部側の端面の上下幅よりも小さく形成される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の多段式収納家具。
【請求項6】
前記単位収納庫の内部には棚部材が収容され、前記トレイは前記棚部材よりも前記前側開口部の側に設けられる、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の多段式収納家具。
【請求項7】
前記扉における前記収納空間側の面には扉トレイが設けられ、
前記扉を閉塞した際には、前記扉トレイの一部は前記トレイの上方の空間に配置される、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の多段式収納家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多段式収納家具に関し、詳細には多段式収納家具の使いやすさを向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一つの筐体の内部を板材で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前側開口部を開き扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-290083号公報
【文献】特開2002-219027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載の多段式収納家具において、筆記用具や名刺等の小物を収納するためには、底板の上面等、単位収納庫の内部に別途収納ケース等を載置する必要があった。しかし、単位収納庫に収納ケースを載置した場合、書類等を出し入れする際に収納ケースが邪魔になったり、収納ケースが庫外に落下したりする問題が生じていた。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、別途収納ケース等を用いることなく、単位収納庫の内部に小物を適切に保管することができ、書類等を出し入れする際に小物が邪魔になったり、庫外に落下したりすることを防ぐことのできる、多段式収納家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下に構成する多段式収納家具を提供する。
【0007】
(1)一つの筐体の内部を少なくとも底板で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前側開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、前記底板における前記前側開口部側には、前記底板よりも下方に膨出するトレイが形成される、多段式収納家具。
【0008】
(2)一つの筐体の内部を少なくとも底板で上下に仕切って複数の収納空間を設け、それぞれの収納空間の前側開口部を扉で開閉する構造の単位収納庫を複数設けた多段式収納家具において、前記底板における前記前側開口部側には、前記単位収納庫における前記収納空間と、前記単位収納庫の下方に位置する空間と、を連通する孔部が開口され、
前記孔部にはトレイが挿入される、多段式収納家具。
【0009】
(3)前記トレイが非対称形状に形成され、前記トレイは、前記孔部に対して所定の姿勢でのみ挿入可能とされる、(2)に記載の多段式収納家具。
【0010】
(4)前記トレイは前記底板に対して着脱不能に設けられる、(2)又は(3)に記載の多段式収納家具。
【0011】
(5)前記トレイの底面は、前記単位収納庫の下方に位置する空間の内部に膨出され、前記トレイの高さは、前記底板又は前記底板の前方に設けられる前框における前記前側開口部側の端面の上下幅よりも小さく形成される、(1)から(4)の何れか一に記載の多段式収納家具。
【0012】
(6)前記単位収納庫の内部には棚部材が収容され、前記トレイは前記棚部材よりも前記前側開口部の側に設けられる、(1)から(5)の何れか一に記載の多段式収納家具。

【0013】
(7)前記扉における前記収納空間側の面には扉トレイが設けられ、前記扉を閉塞した際には、前記扉トレイの一部は前記トレイの上方の空間に配置される、(1)から(6)の何れか一に記載の多段式収納家具。
【発明の効果】
【0014】
以上における本発明に係る多段式収納家具は、以下に示す効果を奏する。
【0015】
(1)の構成によれば、別途収納ケース等を用いることなく、単位収納庫の内部に小物を適切に保管することができ、書類等を出し入れする際に小物が邪魔になったり、庫外に落下したりすることを防ぐことが可能となる。
【0016】
(2)の構成によれば、別途収納ケース等を用いることなく、単位収納庫の内部に小物を適切に保管することができ、書類等を出し入れする際に小物が邪魔になったり、庫外に落下したりすることを防ぐことが可能となるとともに、底板とトレイとを別々に製造できるため、トレイの種類や形状を変更することが可能となる。
【0017】
(3)の構成によれば、トレイの姿勢を間違えて固定することを防止できる。
【0018】
(4)の構成によれば、単位収納庫の機密性を高めることができる。
【0019】
(5)の構成によれば、単位収納庫の下方の空間をトレイによって有効に活用することが可能となる。
【0020】
(6)の構成によれば、トレイの上方の空間に棚部材が配置されないため、トレイの使用方法の自由度を高めることが可能となる。
【0021】
(7)の構成によれば、トレイの上方の空間を有効に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る多段式収納家具を示す斜視図。
図2】単位収納庫の内部構造を示す分解図。
図3】単位収納庫の内部構造を示す平面図。
図4】単位収納庫の内部構造を示す内側面図。
図5】トレイの組付構造を示す斜視図。
図6】トレイの組付構造を示す平面図。
図7】(a)及び(b)はそれぞれトレイの組付構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から図7を用いて、本発明に係る多段式収納家具の一実施形態であるロッカー1について説明する。以下では、ロッカー1に対向する使用者の視点によりロッカー1の左右方向を規定する。即ち、ロッカー1に対向する使用者の右側(図1における右上側)をロッカー1における右側方とする。また、ロッカー1における使用者側(図1における右下側)をロッカー1の前方とする。
【0024】
本実施形態に係るロッカー1は、単位収納庫2を複数備えたパーソナルロッカーとして構成されている。即ち、ロッカー1は、例えばオフィス内でロッカー1を使用する複数の使用者ごとに、書類、書籍、及び、携帯電話やモバイルコンピュータ等(以下、「電子機器類」と記載する)などを内部に収容して保管するために用いられる。
【0025】
図1から図7に示す如く、ロッカー1は、天板11、ベース部材12、側板13、及び背板14で形成される一つの筐体の内部を板材で仕切ることにより、複数の収納空間Sが形成される。ロッカー1には、それぞれの収納空間Sの前側開口部を開き扉3で開閉する構造の単位収納庫2が複数個設けられる。
【0026】
本実施形態に係るロッカー1においては、側板13の一形態である内側板13iで筐体を左右方向に仕切ることにより、単位収納庫2が左右方向に二個隣接して配置される。また、ロッカー1は筐体を底板15で上下方向に仕切ることにより、単位収納庫2が上下方向に三段に重ねて配置される。即ち、ロッカー1には図1に示す如く合計六個の単位収納庫2が形成される。それぞれの単位収納庫2の構成は配置箇所を除いて同様に構成される。以下では、図1及び図2に示す如く、左上に配置される単位収納庫2の構成を中心に説明する。
【0027】
なお、本発明に係る収納家具は、一つの筐体の内部を少なくとも底板15で上下に仕切って複数の収納空間を設ける構成であれば良く、単位収納庫を上下方向に一列に並べて構成しても差し支えない。また、ロッカー1における単位収納庫2の個数は本実施形態に限定されるものではなく、左右方向に三個以上で並べたり、上下方向に四段以上で重ねたりしても差し支えない。
【0028】
本実施形態に係るロッカー1において、筐体を構成する部材(天板11、ベース部材12、側板13、及び、背板14)、開き扉3、筐体の内部を仕切る内側板13i、底板15等の板材は、スチール製の板金を適宜折り曲げることにより構成されている。なお、後述する他の部材である棚部材21、ペントレイ22、扉トレイ23等は樹脂製部材で構成される。
【0029】
開き扉3は、開き扉3の吊元側に設けられる上下二個のヒンジ4を介して筐体に組付けられる。詳細には図2に示す如く、ヒンジ4は開き扉3に固定されるヒンジ本体4aと、筐体に固定される固定板4bとで構成される。底板15の前方には前框16が設けられ、天板11及び前框16のそれぞれの前面に固定板4bが固定される。そして、二個のヒンジ本体4aが二枚の固定板4bに対してそれぞれ回動可能に連結されることにより、単位収納庫2において開き扉3が開閉可能に組付けられる。
【0030】
本実施形態に係るロッカー1において、それぞれの単位収納庫2には開き扉3が同じ方向に開くように設けられる。具体的には図1に示すごとく、全ての開き扉3は右側に設けられた吊元がヒンジ4により筐体に連結されている。即ち、ロッカー1は、使用者が開き扉3を上面視で反時計回りに回動させることにより単位収納庫2が開き、開き扉3を上面視で時計回りに回動させることにより単位収納庫2が閉じるように構成されている。
【0031】
開き扉3の戸先側端部における上下方向中央部には、ダイヤル式のロック部材5が設けられる。本実施形態に係るロッカー1において、ロック部材5にはダイヤル錠が採用されているが、ロック部材としてシリンダ錠、プッシュボタン錠、又は、ICカード錠を採用することも可能である。ロック部材5にはラッチ6が設けられる。開き扉3が単位収納庫2を閉塞する際には、ラッチ6は側板13の前側端部に固定されたラッチ受部材7と係合する。
【0032】
開き扉3の上部には、左右に長手方向を有する長孔である貫通溝3aが開き扉3を貫通して開口されている。単位収納庫2において開き扉3が閉塞されている際には、この貫通溝3aを介して郵便物や書類等を収納空間Sの内部に投入することができる。貫通溝3aから投入された郵便物等は、開き扉3の後面(収納空間S側の面)に設けられた扉トレイ23の内側に落下する。単位収納庫2の使用者は、開き扉3を開いてから扉トレイ23の内部にある郵便物等を取り出すことができる。
【0033】
図1図3、及び、図4に示す如く、単位収納庫2における収納空間Sの内部後方には棚部材21が収容される(図2では棚部材21の図示を省略している)。本実施形態における棚部材21は、棚板部21aと、棚板部21aの左右両側に連結される二枚の脚部21bと、に分割可能に構成されている。詳細には、脚部21bの下端部は、底板15における左右両端部にそれぞれ二個ずつ開口された係合孔15bと係合する。また、脚部21bの上端部は棚板部21aに連結される。これにより、棚部材21は単位収納庫2の内部で固定される。
【0034】
なお、本実施形態においては、単位収納庫2に一個の棚部材21が収容される構成としたが、単位収納庫2に棚部材21を設けない構成や、単位収納庫2の内部に複数の棚部材21を積み重ねて配置する構成とすることも可能である。
【0035】
図1から図4に示す如く、本実施形態に係るロッカー1において、単位収納庫2の内側板13i(側板13)における開き扉3の吊元近傍に、単位収納庫2の内側に面する、電源供給用の接続ユニット30が設けられている。本実施形態において、全ての開き扉3は右側の吊元がヒンジ4により筐体に連結されているため、接続ユニット30は単位収納庫2において右側に位置する内側板13i又は側板13に設けられる。より詳細には、左側に位置する単位収納庫2では、接続ユニット30は内側板13iに設けられる。一方、右側に位置する単位収納庫2では、接続ユニット30は右側の側板13に設けられる(図3を参照)。
【0036】
なお、開き扉3の吊元と接続ユニット30との両方を、単位収納庫2における左側に配置する構成とすることも可能である。この場合、左側に位置する単位収納庫2では、接続ユニット30は左側の側板13に設けられる。一方、右側に位置する単位収納庫2では、接続ユニット30は左側の内側板13iに設けられる。
【0037】
接続ユニット30は、板金を折り曲げて形成した中空形状のケース部31と、ケース部31に固定される接続部であるコンセント32とで構成される。コンセント32は図示しないねじによりケース部31に固定される。図4に示す如く、コンセント32からは配線33が延出される。
【0038】
本実施形態において、接続ユニット30の接続部は電源供給用のコンセント32として構成されているが、接続部に例えばUSB端子のコネクタを設けることにより、接続ユニット30を情報通信用として構成することも可能である。また、接続部にコンセント32とコネクタの両方を設けることにより、接続ユニット30を電源供給用及び情報通信用として構成することもできる。
【0039】
図2に示す如く、ケース部31は板金を折り曲げて構成した略筒状の部材である。本実施形態において、ケース部31は長手方向に直交する断面視で略C字状に形成されているが、ケース部31として筒状の部材を採用することも可能である。即ち、ケース部31は内部に空間を有する中空形状であれば良く、その具体的形状は限定されるものではない。
【0040】
ケース部31の下端部には係合爪31aが折り曲げられて形成されている。また、ケース部31の短手方向の端部には、コンセント32が表出する側と反対の部分には、図示しない磁石が接着された折り返し部31bが形成されている。
【0041】
また、図2に示す如く、単位収納庫2の底板15における開き扉3の吊元近傍には、単位収納庫2と単位収納庫2の下方に位置する空間(本実施形態においては直下の単位収納庫2の収納空間、以下同じ)とを連通する貫通孔15aが開口されている。そして、ケース部31を内側板13iに固定する際には、貫通孔15aに係合爪31aを係合させた状態で、磁石を内側板13iに吸着させるのである。このように、ケース部31は貫通孔15aの上側で上下方向に沿って設けられる。
【0042】
図1から図4に示す如く、単位収納庫2の内部には左右方向に長い長方形状のペントレイ22が設けられる。ペントレイ22は本発明に係るトレイの一実施形態である。具体的には、底板15における開口部側(前側)には、底板15よりも下方に膨出するペントレイ22が形成される。より詳細には図2に示す如く、底板15における開口部側には、単位収納庫2の収納空間Sと、単位収納庫2の下方に位置する空間と、を連通する孔部17が開口されている。そして、図1に示す如く、底面が下方に膨出するペントレイ22が孔部17に挿入される。なお、本実施形態においては底板15とペントレイ22とを別々に形成して組付ける構成としているが、プレス成型等により底板15の一部分をペントレイとして形成することも可能である。
【0043】
上記の如く、本実施形態に係るロッカー1においては、底板15における開口部側に、底板15よりも下方に膨出するペントレイ22を形成する構成としている。これにより、底板15よりも下側の空間を用いて筆記用具や名刺等の小物を収納することが可能となる。即ち、ロッカー1においては、別途収納ケース等を用いることなく、単位収納庫の内部に小物を適切に保管することができ、書類等を出し入れする際に小物が邪魔になったり、庫外に落下したりすることを防ぐことが可能となる。
【0044】
また、本実施形態に係るロッカー1においては、底板15における開口部側に開口した孔部17にペントレイ22を挿入する構成としている。これにより、底板15とペントレイ22とを別々に製造できるため、ペントレイの種類や形状を変更することが可能となる。
【0045】
図4及び図7に示す如く、ペントレイ22の底面は、単位収納庫2の下方に位置する空間の内部に膨出される。また、ペントレイ22の高さは、前框16における開口部側の端面の上下幅よりも小さく形成される。これにより、単位収納庫2の下方に位置する空間をペントレイ22によって有効に活用することが可能となる。具体的には、直下の単位収納庫2の収納空間において、前框16の後方は前框16によって死角となるため、使用頻度が低くなる。このため、上側の単位収納庫2からペントレイ22を挿入し、収納ケースとして利用することにより、使用頻度の低い空間を有効に活用することが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態においては前框16を設ける構成としているが、前框16を用いない構成とすることも可能である。この場合、ペントレイ22の高さは、底板15における開口部側の端面の上下幅よりも小さく形成されることが好ましい。
【0047】
図5及び図6に示す如く、ペントレイ22は仕切り板22dで内部が左右に仕切られている。ペントレイ22において仕切り板22dはやや右よりに配置されるため、ペントレイ22の内部において、左側は右側よりも大きくなる。このように、ペントレイ22は、内部の左側に筆記用具等、右側に名刺等を収容しやすくなるように構成されている。ペントレイ22内部の右側には突条部22eが形成されることにより、名刺等を部分的に浮かせることで取り出しやすくなるように構成される。このように、ペントレイ22は中心点で非対称形状に(180度回転させた場合は配置形状が変化するように)形成されている。
【0048】
図5から図7に示す如く、孔部17の周縁部には複数の固定孔17a及び挿入孔17bが開口されている。詳細には、孔部17の前側周縁部には、四箇所の固定孔17aと三箇所の挿入孔17bが形成されている。また、孔部17の後側周縁部には、四箇所の固定孔17aと一箇所の挿入孔17bが形成されている。さらに、孔部17の左右両側の周縁部には被固定部17cが形成されている。
【0049】
一方、ペントレイ22の周囲には、ペントレイ22を孔部17に挿入して底板15に組付けるために、複数の固定爪22a及び突起部22bが形成されている。詳細には、ペントレイ22の前部には、四箇所の固定爪22aと三箇所の突起部22bが形成されている。また、ペントレイ22の後部には、四箇所の固定爪22aと一箇所の突起部22bが形成されている。さらに、ペントレイ22の左右両側には固定片22cが形成されている。
【0050】
ペントレイ22を孔部17に固定する際には、図7(a)に示す如く固定爪22aを固定孔17aに係合させる。その際、図7(b)に示す如く突起部22bを挿入孔17bに挿入するのである。また、固定片22cを被固定部17cに係合させる。
【0051】
ペントレイ22を上記の如く孔部17に固定することにより、ペントレイ22は底板15に対して着脱不能とされる。即ち、ペントレイ22は孔部17に嵌め殺しにより固定されており、容易に取り外すことができないように構成されている。即ち、使用者がペントレイ22を取り外して上下に重なる他の単位収納庫2の内部を視認することができないように構成されている。換言すれば、ロッカー1においてはペントレイ22を着脱不能とすることにより、単位収納庫2の機密性を高める構成としている。
【0052】
上記の如く、ペントレイ22を孔部17に挿入する際には、複数の突起部22bが挿入孔17bに挿入される。本実施形態において、ペントレイ22の前部には三箇所、後部には一箇所の突起部22bが形成されており、孔部17の周縁には突起部22bの個数に対応する挿入孔17bが形成されている。このため、ペントレイ22は180度回転させた状態では孔部17に挿入することはできない。即ち、ペントレイ22、孔部17に対して所定の姿勢でのみ挿入可能とされている。これにより、ペントレイ22の姿勢を間違えて(180度回転させた状態で)孔部17に固定することを防止している。
【0053】
なお、ペントレイ22の位置合わせの手法に関しては、上記の如く突起部22bと挿入孔17bとの個数を前後で変更する以外にも、前後又は左右の形状を変化する等、他の手法を用いることが可能である。即ち、孔部17に対してペントレイ22が所定の姿勢でのみ挿入可能とされる構成であれば、他の手法を採用しても差し支えない。
【0054】
また、本実施形態に係るロッカー1において、単位収納庫2の内部には棚部材21が収容され、ペントレイ22は棚部材21よりも開口部の側である前側に設けられる。これにより、図3及び図4に示す如くペントレイ22の上方の空間に棚部材21が配置されないため、ペントレイ22に棚部材21よりも高い物を収容することができる。即ち、ペントレイ22の使用方法の自由度を高めることが可能となる。
【0055】
また、本実施形態に係るロッカー1においては図4に示す如く、開き扉3を閉塞した際には、扉トレイ23の一部はペントレイ22の上方の空間に配置される。これにより、ペントレイ22の上方の空間を収納スペースとして有効に活用することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 ロッカー(収納家具) 2 単位収納庫
3 開き扉 3a 貫通溝
4 ヒンジ 4a ヒンジ本体
4b 固定板 5 ロック部材
6 ラッチ 7 ラッチ受部材
11 天板 12 ベース部材
13 側板 13i 内側板
14 背板 15 底板
15a 貫通孔 15b 係合孔
16 前框 17 孔部
17a 固定孔 17b 挿入孔
17c 被固定部 21 棚部材
21a 棚板部 21b 脚部
22 ペントレイ 22a 固定爪
22b 突起部 22c 固定片
22d 仕切り板 22e 突条部
23 扉トレイ 30 接続ユニット
31 ケース部 31a 係合爪
32 コンセント 33 配線
S 収納空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7