IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電動工具 図1
  • 特許-電動工具 図2A
  • 特許-電動工具 図2B
  • 特許-電動工具 図2C
  • 特許-電動工具 図3A
  • 特許-電動工具 図3B
  • 特許-電動工具 図4
  • 特許-電動工具 図5
  • 特許-電動工具 図6
  • 特許-電動工具 図7
  • 特許-電動工具 図8
  • 特許-電動工具 図9
  • 特許-電動工具 図10
  • 特許-電動工具 図11
  • 特許-電動工具 図12
  • 特許-電動工具 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230314BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B25F5/00 H
B25F5/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019004097
(22)【出願日】2019-01-15
(65)【公開番号】P2019141990
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2018025865
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱野 晃史
(72)【発明者】
【氏名】石黒 博樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐介
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087330(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0120435(US,A1)
【文献】特開2015-036167(JP,A)
【文献】特開2009-274195(JP,A)
【文献】特開2011-016201(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029179(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気で駆動力を発生する駆動部および電気で機能する各種構成部品と、
前記駆動部および前記各種構成部品を制御する制御部が実装された基板と、
前記駆動部および前記各種構成部品から延びる複数の配線と前記基板から延びる複数の配線とを接続する複数のコネクタと、
前記駆動部、前記各種構成部品、前記基板および前記複数のコネクタが設置される本体部と、
前記複数のコネクタを収容し、前記本体部に固定される収容部とを備え
前記収容部は、少なくとも一面に開口部を有する容器部と、前記容器部の前記開口部を塞ぐ蓋部とで構成され、
前記容器部は、前記本体部に取り付けるための2つの取付片を有し、
前記蓋部は、2つの前記取付片の一方と共締め可能な取付片を有する電動工具。
【請求項2】
請求項1に記載の電動工具であって、
前記駆動部は、一端側から出力軸が突出するモータを含み、
前記収容部は、前記モータの、前記出力軸とは反対側に配置される電動工具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電動工具であって、
前記収容部は、内部が複数の室に区画され、
前記複数の室は、前記コネクタを収容可能に構成される電動工具。
【請求項4】
請求項3に記載の電動工具であって、
前記複数の室は、収容される前記複数のコネクタをそれぞれ収容する電動工具。
【請求項5】
請求項4に記載の電動工具であって、
前記複数の室はそれぞれ、収容されるコネクタの形状に合った形状で構成される電動工具。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の電動工具であって、
前記複数の室は、それぞれ異なる形状で構成される電動工具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電動工具であって、
前記収容部は、前記本体部の側面内壁と対向する外面に、配線を保持可能な配線保持部を有する電動工具。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電動工具であって、
前記収容部は、前記本体部の側面内壁から離間されて固定される電動工具。
【請求項9】
請求項8に記載の電動工具であって、
前記収容部は、前記側面内壁と対向する第1外面と、前記第1外面と反対側に位置する第2外面とを含み、前記第2外面に配線を保持可能な配線保持部を有する電動工具。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電動工具であって、
前記収容部は、前記本体部の内部に一体的に形成されてなる電動工具。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電動工具であって、
前記本体部は、内外間を貫通する複数の開口を有し、前記複数の開口は、それぞれコネクタを保持可能なように、前記保持するコネクタの形状に合った形状である電動工具。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電動工具であって、
前記本体部の内部に、配線を保護可能な配線保護部を有する電動工具。
【請求項13】
請求項12に記載の電動工具であって、
前記配線保護部は、前記本体部との間に、前記配線保護部の回転を規制する回転規制部を有する電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書で開示する技術は、電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業を効率化するために、各種の電動工具が用いられている。このような電動工具には、例えば、結束機などがある(特許文献1参照)。結束機は、例えば、建設現場などで鉄筋などの結束対象物を結束するのに用いられるものである。結束機を用いると確実に作業がスピードアップするので今後増々の普及が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5217621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動工具は、その本体部に、モータなどの駆動部や、センサやLEDなどの各種構成部品や、制御部が実装された基板や、これらの間を電気的に接続する配線およびコネクタなどを備えている。このうち、コネクタについては、配線の取り回しの関係で、本体部内部の空き空間に押し込めて収容されることが多く、本体部に対するコネクタや配線の組付性やメンテナンス性が良くなかった。そこで、本明細書で開示する技術は、主に、上記した問題点を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書で開示する電動工具は、電気で駆動力を発生する駆動部および電気で機能する各種構成部品と、前記駆動部および前記各種構成部品を制御する制御部が実装された基板と、前記駆動部および前記各種構成部品から延びる複数の配線と前記基板から延びる複数の配線とを接続する複数のコネクタと、前記駆動部、前記各種構成部品、前記基板および前記複数のコネクタが設置される本体部と、前記複数のコネクタを収容し、前記本体部に固定される収容部とを備え、前記収容部は、少なくとも一面に開口部を有する容器部と、前記容器部の前記開口部を塞ぐ蓋部とで構成され、前記容器部は、前記本体部に取り付けるための2つの取付片を有し、前記蓋部は、2つの前記取付片の一方と共締め可能な取付片を有する。
【発明の効果】
【0006】
上記電動工具によれば、配線の取り回しの関係で、単に本体部内部の空き空間に押し込めるだけであった複数のコネクタを、収容部に収容して、本体部に固定するようにしたので、コネクタ部分の組付性やメンテナンス性を向上することなどができる。また、本体部に容器部の他方の取付片を固定具で緩く仮止めすることで、他方の取付片を中心として容器部を回動変位可能な状態にできるため、容器部を本体部内の規定の位置へ移動させることができ、蓋部の取付片を容器部の一方の取付片と共締めすることで本体部への収容部の取付作業を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態にかかる電動工具(結束機)の内部構造を側方から見た図である。
図2A図1の収容部にコネクタを収容する前の状態を示す分解斜視図である。
図2B図2Aに続く収容部の分解斜視図である。
図2C】コネクタを収容した収容部の全体斜視図である。
図3A図2Aの容器部の側面図である。
図3B図3Aの容器部の上面図である。
図4図2Cの収容部の変形例を示す全体斜視図である。
図5】収容部の位置における電動工具の本体部の概略縦断面図である。
図6】収容部の別の変形例を示す電動工具の本体部の後部の部分的な斜視図である。
図7】コネクタ連結部を示す、電動工具の本体部を内側から見た部分拡大側面図である。
図8】コネクタ連結部を示す、電動工具の本体部を外側から見た部分拡大側面図である。
図9】前側の第一の配線保護部の取付け状態を示す電動工具の本体部の分解斜視図である。
図10図9のトリガスイッチ周辺の部分拡大斜視図である。
図11】第一の配線保護部の部品図である。このうち、(a)は側面図、(b)は底面図、(c)は(a)のA-A線に沿った断面図、(d)は斜視図である。
図12】後側の第二の配線保護部の取付け状態を示す電動工具の本体部を後斜め下側から見た分解斜視図である。
図13】第二の配線保護部の部品図である。このうち、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は(b)のB-B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。図1図13は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0009】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0010】
図1は電動工具の一例としての結束機1を示すものである。図中の矢印は、結束機1にとって横方向となる第1の方向2、第1の方向2と直交する方向であって結束機1にとって縦方向となる第2の方向3、第1の方向2及び第2の方向3と直交する方向であって結束機1にとって幅方向となる第3の方向4をそれぞれ示している。
【0011】
結束機1は、鉄筋5などの結束対象物または作業対象物をワイヤ6などの結束部材で結束するようにした電動工具である。結束機1は、鉄筋5などの結束対象物の周囲を取り巻くようにループ状に案内されたワイヤ6などの結束部材を捩って鉄筋5などの結束対象物を結束する捩り部25と、捩り部25を駆動する捩りモータ27と、捩りモータ27を制御する制御部40(図6)が実装される実装面32aを有する基板32と、捩り部25、捩りモータ27および基板32を収容する本体部7とを備える。本体部7の第1の方向2におけるほぼ中間部には、外方すなわちほぼ第2の方向3へ延びるハンドル部8が設けられている。本体部7は、第1の方向2へ延びるほぼ中空のケースを有している。以下、結束対象物として鉄筋5を、結束部材としてワイヤ6を例に説明する。また、本体部7の第1の方向2における鉄筋5へ向かう側を本体部7の前側、その反対側を本体部7の後側とし、第2の方向3において本体部7のハンドル部8が設けられている側を本体部7の下側、その反対側を本体部7の上側として説明する。なお、本体部7は、結束機1の作業姿勢に応じて様々な方向へ向けられるので、前側・後側および上側・下側は相対的なものである。第3の方向4は、結束機1を持った作業者にとって左右方向(奥側が右側、手前側が左側)となる向きであり、図では紙面と直交する方向となっている。
【0012】
ハンドル部8は、結束機1を持って作業を行い易くするために本体部7に設けられるものであり、握り易いように第1の方向2に対して本体部7の前側へ若干傾斜する角度を有して取付けられている。ハンドル部8は、ほぼ中空の部材となっている。以下、ハンドル部8の本体部7側の部分(上端部)をハンドル部8の基部または付根部分とし、反対側の部分(下端部)をハンドル部8の先端部として説明する。ハンドル部8の付根部分の前側には操作スイッチとなるトリガスイッチ9などの電気部品が設けられる。また、ハンドル部8の先端部には、電源となるバッテリ11がバッテリ取付部12を介して着脱可能に取付けられる。そして、電源が入った状態でトリガスイッチ9を引くことによって結束機1が作動される。
【0013】
本体部7の下部におけるハンドル部8の後側には、作業者の手の甲に載せて荷重支持を行う荷重支持部67を設けても良い。荷重支持部67の前側でハンドル部8の付根部分の後側には、ハンドル部8を握った手の甲を入り込ませるための凹部66を本体部7の下部全体を抉るように設けても良い。このように凹部66を設けることで、本体部7に対するハンドル部8(の把持位置)を、既存のものよりも本体部7の上側または中心部に寄せて設けることができる。その分、ハンドル部8を把持したときの中指の位置(トリガスイッチ9の下端部近傍の位置)を、これまでよりも結束機1の重心位置68に近付けることができる。これによって結束機1の重量バランスが良くなり、結束機1の操作性を向上できる。なお、結束機1の重心位置68は、本体部7の重量とバッテリ11の重量とによってほぼ決まるものであり、ほぼ図1に示すような位置などとなっている。
【0014】
結束機1は、鉄筋5の周囲を取り巻くようにループ状に案内したワイヤ6を捩って鉄筋5を結束するように構成されている。ワイヤ6は消耗品であり、リール13(図8参照)に巻き取ったものを使用できる。本体部7の後部(例えば、本体部7の右側)にはリール13を回転自在に装着可能な装着部(リール装着部)14(図8参照)が設けられる。装着部14には、リール13の着脱状態を検出可能なセンサなどの電気部品を備えたリール検知部を設けることができる。リール検知部は、サブ基板に実装されて本体部7に取付けられる。装着部14には、リール13の回転を規制するためのブレーキ部が設けられる。ブレーキ部は、例えば、ワイヤ6の送りが終了する時点でリール13の回転を制動する。ブレーキ部は、ソレノイド17などの駆動部を備えており、ソレノイド17などの駆動部は、本体部7のほぼ中間部(の上部)に取付けられる。装着部14に装着したリール13から引き出されたワイヤ6はワイヤ送り部18(図8参照)によって本体部7の前側へ送られる。ワイヤ送り部18は、本体部7のほぼ中間部に設けられる。ワイヤ送り部18は、送りモータ18a(図8参照)などの電動モータによる駆動部と、送りモータ18aによって駆動される送りギアとを備えている。
【0015】
本体部7の前端部にはワイヤ6をカール形成させて鉄筋5の周囲にループ状に案内するカールガイド21,22が備えられる。ワイヤ6はカールガイド21,22によって鉄筋5の周囲を一回、または、複数回周回するように案内される。カールガイド21,22は結束機1の上下方向(第2の方向3)に間隔を有して一対設けられる。一対のカールガイド21,22の間には鉄筋5を差し入れるための開口部(挿入部)23が設けられる。一対のカールガイド21,22は、上側(のカールガイド21)が長く、下側(のカールガイド22)が短くなるように、長さ違いに設けられる。上側のカールガイド21は固定とされている(固定カールガイド)。下側のカールガイド22は固定としても良いし、可動し得るようにしても良い(可動カールガイド)。この実施例では、下側のカールガイド22は、第3の方向4へ延びるカールガイド軸24を中心として第2の方向3、すなわち上下方向に回動し得るように、本体部7に取付けられる。
【0016】
本体部7には鉄筋5の周囲に巻き回したループ状のワイヤ6を捩ってループの径を縮めることで結束を行う捩り部25が設けられる。捩り部25は第1の方向2へ延びるほぼ軸状となっており、捩り部25は、減速機構26を介して捩りモータ27の一端側から突出した出力軸に接続される。そして、捩りモータ27を回転駆動することにより、捩り部25が作動される。
【0017】
結束機1に設置された送りモータ18aや捩りモータ27やソレノイド17などの各種の駆動部は、制御部40によってシーケンス制御される。制御部40は、基板32(制御基板またはメイン基板)上に実装される。基板32は、基板ケース33に収納した状態で本体部7の内部の捩りモータ27とハンドル部8側の内壁面34との間に設置される。基板ケース33は、一面に基板32を収納可能な開口部を有する浅皿または平たい箱型容器とされる。基板32は、平面視ほぼ四角形状をしており、基板ケース33の平面形状は、基板32とほぼ相似型とされる。基板ケース33は、本体部7(の後述する第1の本体部54)の側面に固定部56で横から固定される。また、結束機1には、結束機1の動作条件、具体的には、送りモータ18aや捩りモータ27やソレノイド17などの各種の駆動部などの動作条件を設定可能な設定部35が設置される。設定部35としては例えば、鉄筋5の周囲に巻き回されるワイヤ6の巻き数、送りモータ18aの動作時間、ソレノイド17の動作タイミング、捩りモータ27のトルク量などを設定するものがある。設定部35は、電源のオンオフを行う主電源スイッチまたはメインスイッチ36などの電気部品と共に、スイッチ基板37に実装される。そして、結束機1に設置された送りモータ18aや捩りモータ27やソレノイド17などの各種の駆動部と、基板32(メイン基板)やスイッチ基板37やサブ基板などの各種基板類と、バッテリ11(バッテリ内部に設けられたバッテリ基板)との間は、各種の配線によって接続される。各種の配線には、電源供給配線38や信号用配線39などがあり、電源供給配線38や信号用配線39などの配線は、本体部7の内部で取り回される。
【0018】
上記のような基本的な構成に対し、この実施例の電動工具は、以下のような構成を備えるようにしている。
【0019】
(1)この実施例の電動工具は、電気で駆動力を発生する駆動部および電気で機能する各種構成部品と、駆動部および各種構成部品を制御する制御部40が実装された基板32と、駆動部および各種構成部品から延びる複数の配線72a~72c(図2A図2C参照)と基板32から延びる複数の配線72a~72cとを接続する複数のコネクタ71a~71c(図2A図2C参照)と、駆動部、各種構成部品、基板32(図6参照)および複数のコネクタ71a~71cが設置される本体部7と、複数のコネクタ71a~71cを収容し、本体部7に固定される収容部46とを備える。
【0020】
ここで、電動工具は、上記した結束機1に限るものではないが、この実施例の構造は、結束機1に対して好適に適用できる。本体部7は、幅方向(第3の方向4または左右方向)に対して第1の本体部54と第2の本体部55とに分割し得るようになっている(図5参照)。駆動部は、結束機1の場合、ブレーキ部のソレノイド17や、ワイヤ送り部18の送りモータ18aや、捩り部25を駆動する捩りモータ27などのことであり、特に、捩りモータ27のことである。構成部品は、結束機1の場合、リール検知部のセンサやトリガスイッチ9や設定部35やメインスイッチ36やメインスイッチ36のオンオフ状態を表示するLEDなどの光源などのことである。
【0021】
図2A図2Cに示すように、コネクタ71a~71cは、電源供給配線38や信号用配線39などを構成する配線72a~72cの端部や中間部などに単数または複数設けられる。コネクタ71a~71cは、配線を1本ずつ個別に接続可能な個別コネクタとしても良いが、この実施例では、複数本の配線72a~72cをまとめて一度に接続可能な集合コネクタとしている。コネクタ71a~71cは、例えば、配線72a~72cの数別や、太さ別や、接続対象となる構成部品別(または基板別)などに分けて複数設けることができる。この実施例では、最も細い第1の配線72aを5本同時に接続可能な第1のコネクタ71aを有している。また、中くらい(第1の配線72aよりも太く、第3の配線72cよりも細い)の太さの第2の配線72bを4本同時に接続可能な第2のコネクタ71bを有している。図中最も太い第3の配線72cを2本同時に接続可能な第3のコネクタ71cを有している。但し、コネクタ71a~71cは、3個に限るものではない。また、図のコネクタ71a~71cは、雄コネクタと雌コネクタとを接続した状態になっている。
【0022】
収容部46は、複数のコネクタ71a~71cを収容可能な箱状にする。収容部46は、少なくとも、一面に開口部を有する容器部75と、容器部75の開口部を塞ぐ蓋部76とで構成する。容器部75に対して蓋部76は、本体部7の幅方向(第3の方向4)に開閉可能とされる。容器部75と蓋部76とは、爪固定やネジ固定などによって固定する。収容部46は、本体部7の内部に収容された状態で、本体部7に対しネジなどの固定具77(図1参照)によって幅方向に固定される。そのために、容器部75の上部と下部には、ネジ孔を有する取付片75a,75bがそれぞれ一体に設けられる。また、蓋部76の上部には、容器部75の上側の取付片75aと一緒に共締め可能な取付片76aが一体に設けられる。蓋部76の下部については、取付片などは備えていない。この構成により、本体部7に容器部75の下側の取付片75bを固定具77で緩く仮止めすることで、取付片75bを中心として容器部75を(後側へ)回動変位可能な状態にできる。そして、例えば、容器部75を本体部7の外側に出して容器部75に対するコネクタ71a~71cの取付けを行うことができる。容器部75にコネクタ71a~71cが取付けられたら、容器部75に蓋部76を取付けてコネクタ71a~71cを収容部(第1の収容部)46内に収容する。その後、収容部46を(取付片75bを中心として前側へ回動変位させることで)本体部7内の規定の位置へ移動する。そして、取付片75a,76aを固定具77で本体部7に本固定すると共に、取付片75bを固定具77で本体部7に本固定する。このような取付け方をすることで、作業を容易化すると共に、配線72a~72cを短くできる。
【0023】
この際、収容部46に対して配線規制部78を設けても良い。配線規制部78は、例えば、容器部75の下部の取付片75bから下方(の基板ケース33)へ向けて突設した配線取回用アームとすることができる。この配線規制部78は、例えば、基板32や基板ケース33などから出て収容部46の外側を通って下側から上側へ向かう配線(例えば、図5の電源供給配線38など)を規制して配線の流れや向きを整えるものとされる。これにより、例えば、本体部7を構成する第1の本体部54に収容部46を固定することで、配線規制部78が周囲の配線を自然に規制して収容部46の外側へと向かわせることで、本体部7や容器部75に対する配線の組付性とメンテナンス性を向上できる。
【0024】
また、収容部46は、不透明部材で形成しても良いが、収容部46の全部または一部を透明部材または半透明部材で形成しても良い。これにより、収容部46内のコネクタ71a~71cの収容状態を目視により確認することができる。そのため、収容部46に対するコネクタ71a~71cの噛み込みや、コネクタ71a~71cの接続不良等の不具合を発見して防ぐことができる。
【0025】
(2)図1に示すように、収容部46は、駆動部よりも後側、すなわち、捩りモータ27の出力軸とは反対側に配置される。
【0026】
本体部7の内部における、捩りモータ27よりも前側には、減速機構26を介して捩り部25が設置され、捩りモータ27よりも後側には、背後空間42が形成される。収容部46は、この背後空間42に設置される。捩りモータ27には、基板32が近接配置される。この基板32は、結束機1の場合、上記したメイン基板のことである。基板32は、実装面32a(図6参照)がハンドル部8側へ向くように裏面(半田面)を捩りモータ27の側へ向けて裏返しに配置される。基板32は、捩りモータ27とハンドル部8との間に、本体部7のハンドル部8側の内壁面34(底壁)よりも捩りモータ27に近接するように配置される。例えば、内壁面34と捩りモータ27との(第2の方向3の)中間に位置するカールガイド軸24を基準として、基板32をカールガイド軸24と同じ高さかそれよりも上側に配置する。基板32と捩りモータ27との間には、必要に応じて耐熱シート41(図1参照)などの耐熱部材を介在させても良い。耐熱シート41は、基板ケース33の上面にゴムや樹脂などを取付けることで設置できる。このように、基板32と捩りモータ27との間に耐熱シート41などの耐熱部材を介在させることで、捩りモータ27が発生する熱から基板32を保護することが可能になる。また、耐熱シート41をゴムや樹脂などとすることにより、防振材としての効果も期待できる。
【0027】
(3)図3A図3Bに示すように、収容部46は、内部が複数の室82a~82cに区画される。複数の室82a~82cは、仕切部81a,81bにより区画され、複数のコネクタ71a~71cを収容する。なお、この実施例では、各室82a~82cに1つずつコネクタ71a~71cを収容するようにしているが、例えば、一つの室82a~82c(のいずれか)に複数(例えば2つ)のコネクタ71a~71cを収容するようにしても良い。
【0028】
仕切部81a,81bは、配線72a~72cの方向にほぼ沿って設ける。この場合には、ほぼ上下方向(第2の方向3)に延びる2つの仕切部81a,81bによって収容部46をほぼ前後方向に3つに仕切っている。
【0029】
(4)複数の室82a~82cはそれぞれ、収容する複数のコネクタ71a~71cの形状に合った形状で構成される。また、複数の室82a~82cは、それぞれのコネクタ71a~71cの形状に合うように、それぞれ異なる形状で構成される。なお、収容されるコネクタ71a~71cの形状によっては(例えば、収容されるコネクタ71a~71cの形状がすべて同じ場合や一部のコネクタ71a~71cのみ形状が異なる場合に)、複数の室82a~82cをすべて同じ形状にしたり、複数の室82a~82cのうちの少なくとも2つを異なる形状にしたりしても良い。さらに、室82a~82cの形状と同様、室82a~82cの大きさ(サイズ)についても、すべてが異なるサイズの場合のみならず、すべてが同サイズ、あるいは少なくとも2つのサイズからなるようにしても良い。
【0030】
ここで、図2Aに示す第1のコネクタ71aと、第2のコネクタ71bと、第3のコネクタ71cは、接続する配線72a~72cの本数や太さの違いに応じてそれぞれ異なる幅寸法や大きさや形状を有している。そして、収容部46の各室82a~82cもコネクタ71a~71cに応じて異なる深さや大きさや形状とされる。収容部46(の容器部75)の周壁部における各室82a~82cの上下部となる位置には、配線72a~72cを通すためのスリット83a~83cが設けられる。このスリット83a~83cも、配線72a~72cの本数や太さに応じて異なる深さや幅に形成される。収容部46は、最も幅の広いコネクタ71a~71cに合わせた幅寸法にできる。また、例えば、コネクタ71a~71cの幅寸法の違いに応じて、図2Cに示すように、容器部75の開口部とは反対側の側面に段差形状部84を設けても良い。あるいは、図4に示すように、蓋部76に段差形状部84を設けても良い。
【0031】
(5)図5に示すように、収容部46は、本体部7の側面内壁85,86から離間させて固定される。これにより、収容部46と側面内壁85,86との間には所定の空間(第2の収容部)87,88が形成される。
【0032】
ここで、本体部7の側面内壁85,86とは、本体部7の幅(左右)方向(第3の方向4)の側面における内壁、換言すれば、本体部7の、捩りモータ27の軸方向とほぼ直交し、かつハンドル部8の長手方向とほぼ直交する方向に位置する側面の内壁を意味する。収容部46を、片側の側面内壁85,86(のどちらか)から離すことで、収容部46と側面内壁85,86との間に所定の空間、すなわち幅方向の隙間(第2の収容部)87,88が形成されるので、この空間または幅方向の隙間(第2の収容部)87,88に配線(電源供給配線38や信号用配線39など)を通すことができる。このように、この実施例の電動工具では、収容部46内及びその外側にコネクタや配線を通すようにすることで、本体部7内の空き空間を最大限活用している。
【0033】
(6)収容部46は、本体部7の一方の側面内壁85と対向する第1外面79と、第1外面79と反対側に位置し、他方の側面内壁86と対向する第2外面80とを含み、第2外面80に、配線を保持可能な配線保持部91を有する。
【0034】
配線保持部91は、ほぼ上下方向へ向かう配線(電源供給配線38や信号用配線39など)を収容保持できるように、例えば、フック部とする。フック部の向きは、どのようにしても良いが、例えば、先端が本体部7の前側へ向かって屈曲するものにする。このようにフック部が前側へ向かって屈曲することで、配線保持部91に収容保持した配線が後側へ飛び出さないように拘束しておけるので、本体部7の後部における配線の挟み込みを防止できる。配線保持部91は、単数または複数設けることができる。なお、配線保持部91は第1外面79に設けても良く、第1外面79と第2外面80の両方に設けても良い。
【0035】
(7)他の実施例として、図6に示すように、収容部46は、本体部7の内部に一体的に形成されても良い。
【0036】
ここで、収容部46は、例えば、容器部75の取付片75a,75bに相当する部分92を本体部7(例えば、第1の本体部54)に対する連結部(一体化部)にすることで本体部7と一体化することができる。
【0037】
(8)図7図8に示すように、本体部7は、本体部7の内外間を貫通する複数の開口(コネクタ連結部94a~94c)を有し、複数の開口は、それぞれ複数のコネクタ71d~71iを保持可能なように、複数のコネクタ71d~71iの形状に合った形状とされる。
【0038】
ここで、コネクタ連結部94a~94cは、上記した収容部46とは別に設けているが、収容部46に替えて設けても良い。コネクタ連結部94a~94cは、接続する配線の本数別や、太さ別や、接続対象となる構成部品別(または基板別)などによってそれぞれ大きさや形状を異ならせたコネクタ71d~71iのそれぞれに個別に合うように形成する。そして、本体部7(例えば、第1の本体部54)の外側または内側からコネクタ連結部94a~94cへ雄コネクタ71d~71fを挿入して、雄コネクタ71d~71fを爪部などで本体部7に係止する。そして、本体部7の内側または外側から雄コネクタ71d~71fへ対を成す雌コネクタ71g~71iを嵌合する。これにより、本体部7を挟むようにコネクタ71d~71iを結合させている。なお、この実施例では、コネクタ連結部94a~94cは、基板32および基板ケース33の前側で、捩り部25とトリガスイッチ9との間に設置されている。
【0039】
(9)図1に示すように、結束機(電動工具)1は、本体部7の内部に、配線(例えば、電源供給配線38や信号用配線39やその他の配線など)を保護可能な配線保護部95,96を有しても良い。
【0040】
ここで、配線保護部95,96は、本体部7の内部における、本体部7の周縁部寄りの位置に、本体部7の周縁部にほぼ沿った状態で単数または複数設けるのが好ましい。この実施例では、図9に示すように、本体部7を構成する第1の本体部54の下部における、ハンドル部8よりも前側の位置に第一の配線保護部95を設けている。また、図12に示すように、ハンドル部8よりも後側の位置に第二の配線保護部96を設けている。例えば、前側の第一の配線保護部95は、トリガスイッチ9の近傍に設けることができる。また、後側の第二の配線保護部96は、ハンドル部8の後側に設けた凹部66や、凹部66よりも後側の位置に設けることができる。
【0041】
配線保護部95,96は、不透明な樹脂部材によって構成しても良いが、保護する配線などの状態を外部から見えるように、透明や半透明な樹脂部材で構成するのが好ましい。配線保護部95,96は、本体部7(例えば、第1の本体部54)に対し、ネジなどの固定具97によって固定される。そのために、配線保護部95,96には、ネジ孔97aが形成される。また、本体部7(例えば、第1の本体部54)の側には、ネジなどの固定具97を捩じ込むためのボス部などのネジ受部97bが設けられる。本体部7に対する配線保護部95,96のネジ止め方向は、第3の方向4(の左側から)とするのが好ましい。配線保護部95,96は、本体部7に配線を設置した後で本体部7に取付けるようにしても良い。または、配線保護部95,96は、配線を設置する前に本体部7に取付けておき、後から配線保護部95,96に沿わせて配線を設置するようにしても良い。
【0042】
具体的には、図9に示すように、前側の第一の配線保護部95は、本体部7の内部における、捩り部25とトリガスイッチ9との間に設置されたコネクタ連結部94a~94c(図7)に取付けられる雌コネクタ71g~71iや、雌コネクタ71g~71iから延びる配線を、第3の方向4(左側)から覆って保護できるように、トリガスイッチ9の上側の位置に設置される。トリガスイッチ9は、図10の部分拡大図に示すように、トリガガード9aによって前側と下側を囲われており、トリガガード9aの設置範囲内における本体部7(例えば、第1の本体部54)の下縁部となる位置には、トリガスイッチ9の前後移動を案内するためのスライド部9bが設けられている。そして、第一の配線保護部95は、スライド部9bよりも上側の位置に取付けられる。
【0043】
第一の配線保護部95は、本体部7に取付けたときに、本体部7との間でほぼ閉じた配線通路を形成するようになっており、図11(a)~(d)の部品図に示すように、下面部(第一面部)95aと、上面部(第二面部)95bと、下面部95aおよび上面部95bの一側部(左の側部)間を連結する側面部95cとを有する断面ほぼC字状またはU字状の部材とされる。第一の配線保護部95は、トリガガード9aの設置範囲のほぼ全域に亘ってほぼ前後方向(第1の方向2)に延びており、前後の端部と、本体部7との間には開放部95d,95eが形成される。また、下面部95aおよび上面部95bの他側部(右の側部)間は上下に離間されて開放状態になっている。少なくとも下面部95aには、他側部に、本体部7の下縁部におけるスライド部9bの上側へ入り込んでスライド部9bと上下に重複される部分を有することができる。なお、第一の配線保護部95のその他の構成については、後述する。
【0044】
また、後側の第二の配線保護部96は、図1に示すように、基板(メイン基板)32の後部から出て下方へ延び、本体部7(例えば、第1の本体部54)の後端部にほぼ沿って上方へ取り回される配線(電源供給配線38など)の、主に、下方から上方へ反転される部分を保護して(または押えて)、配線が本体部7の外(第3の方向4(左側)や第1の方向2(後側)など)へ飛び出さないように、本体部7の後部の下縁部にほぼ沿って設置される。第二の配線保護部96は、本体部7に取付けたときに、本体部7との間で、配線を左側から拘束可能な立壁を形成すると共に、上に開いた配線経路を形成可能なように、図13(a)~(c)の部品図に示すように、下面部(第一面部)96aと、下面部96aの一側部から上に立ち上がって立壁となる側面部96bとを有する断面ほぼL字状またはJ字状の部材とされる。第二の配線保護部96は、ほぼ凹部66およびそれよりも後側の部分に沿って前後(第1の方向2)に延ばされる。少なくとも下面部96aには、他側部に、本体部7の下縁部の上側へ入り込んで下縁部と上下に重複される部分を有することができる。なお、第二の配線保護部96のその他の構成については、後述する。
【0045】
(10)図1に示すように、配線保護部95,96は、本体部7との間に、配線保護部95,96の回転を規制する回転規制部98,99を有しても良い。
【0046】
ここで、回転規制部98,99は、配線保護部95,96をネジなどの固定具97で本体部7(例えば、第1の本体部54)に固定するときに、配線保護部95,96が固定具97のネジ止め方向(例えば、時計回りの方向)に連れ回りしないように回転規制するためのものである。回転規制部98,99は、固定具97のネジ止め位置から離れた位置に設けるのが好ましい。
【0047】
具体的には、図9に示すように、第一の配線保護部95の取付用のネジ孔97aは、上面部95bの前後方向(第1の方向2)の中央部よりも前寄りの位置に設けられている。そして、第一の配線保護部95に対する回転規制部98は、上面部95bの前後方向の中央部よりも後寄りの位置に設けられた回転規制用凹部98aと、本体部7(例えば、第1の本体部54)から回転規制用凹部98aへ向けて突設された回転規制用凸部98bとを有している。そして、第一の配線保護部95を本体部7にセットしたときに、回転規制用凸部98bに回転規制用凹部98aが嵌合されることで、固定具97のネジ止め時に回転規制を行う。回転規制用凹部98aは、第一の配線保護部95に設けたピン孔などの孔部とすることができ、回転規制用凸部98bは、本体部7から突設されたピンなどの突出部とすることができる。孔部は、例えば、第一の配線保護部95の上面部95bから上方へ突設された凸片部に形成することができる。回転規制用凸部98bは、本体部7(例えば、第1の本体部54)の孔部と合致する位置から左方(第3の方向4)へ向かって突設することができる。
【0048】
また、図12に示すように、第二の配線保護部96の取付用のネジ孔97aは、第二の配線保護部96の前後方向のほぼ中央部の位置に設けられている。この位置は、第二の配線保護部96によって保護される配線よりも前側の位置となっている。なお、ネジ孔97aの周囲には、ネジなどの固定具97が配線と直接接触しないようにするために筒状の覆い99c(図13)を設けても良い。そして、第二の配線保護部96に対する回転規制部99は、第二の配線保護部96の前端部からほぼ前方へ突設された突片部99aと、本体部7から左方(第3の方向4)へ向けて突設された回転規制用のリブ99bとを有している。このリブ99bは、第二の配線保護部96を本体部7にセットしたときに、本体部7の下縁部との間に突片部99aを差し込んで保持(または挟着保持)できるように、本体部7の下縁部の内壁面34に沿い、突片部99aの厚みとほぼ等しい隙間を有して内壁面34の上側に形成されている。リブ99bと本体部7の下縁部は、突片部99aを挟着保持可能な挟着部を構成する。そして、第二の配線保護部96を本体部7にセットしたときに、リブ99bと本体部7の下縁部との間に突片部99aを挟着保持されることで、固定具97のネジ止め時に回転規制を行う。
【0049】
(11)以下に、第一の配線保護部95に関するその他の構成について説明する。
【0050】
(a)図9(~図11)に示すように、第一の配線保護部95の前端部の周辺には、下側のカールガイド22のカールガイド軸24を中心とする上下回動を検出するためのセンサ101が設けられている。このセンサ101は、例えば、プッシュスイッチなどとすることができる。センサ101は、トリガガード9aの前側上部の位置に収容設置されている。そして、第一の配線保護部95には、前端部周辺に、本体部7からセンサ101が脱落するのを防止するための押え部102(センサ押え)を設けても良い。押え部102は、センサ101の左側の面を左方から押さえる(係止保持する)係止部とされている。この係止部は、第一の配線保護部95の先端部にセンサ101の左側の面に達する長さの凸状部分を設けることによって形成される。凸状部分を設けることにより、第一の配線保護部95の先端部は、下面部95aや上面部95bが段差形状または切欠形状になり、この段差形状または切欠形状の先端部によってセンサ101を押さえることができる。このように、第一の配線保護部95に押え部102を設けることで、本体部7(またはトリガガード9aの前側上部)からのセンサ101の脱落を防止できる。または、本体部7に第一の配線保護部95を固定することによって、本体部7と押え部102との間でセンサ101を安定した状態に保持できる。
【0051】
(b)第一の配線保護部95には、保護する配線の急激な曲がりを防止するための断面拡大部105を設けても良い。この実施例では、雌コネクタ71g~71iから第3の方向4(左方)へ延びる配線は、その直後に大きく反転されて右方へ取り回され、基板ケース33の前辺部の前側を通って本体部7(例えば、第1の本体部54)の奥部(基板ケース33の右側)へと導かれるようになっている。この際、配線の曲げがきつくなり過ぎると、配線に断線などの不具合が生じるおそれがある。そこで、この配線の曲げ部分をより緩やかな形状に保持できるようにするために、配線の曲げ部分およびその周辺で第一の配線保護部95の断面を第3の方向4に拡大させて断面拡大部105としている。断面拡大部105は、本体部7の第3の方向4の幅範囲内で必要な大きさに形成することができる。この実施例では、断面拡大部105は、後側へ進むに従い第一の配線保護部95の断面が左側へ拡大して行く形状を有している。なお、第一の配線保護部95の断面拡大部105の位置や形状は、配線の曲げ形状に合わせて適宜変更することができる。このように、第一の配線保護部95に断面拡大部105を設けることにより、保護する配線の急激な曲がりを防止しつつ配線を確実に案内および保護できる。
【0052】
(c)図10に示すように、第一の配線保護部95と本体部7(例えば、第1の本体部54)との間に、第一の配線保護部95を正規の形状に保持可能な形状矯正部107を設けても良い。形状矯正部107は、例えば、第一の配線保護部95が成形後に収縮変形を起こしている場合に、第一の配線保護部95を正規の形状に戻して、第一の配線保護部95を支障なく本体部7に取付けられるようにするためのものである。具体的には、第一の配線保護部95は、第1の方向2(前後方向)と垂直な面で切った断面がほぼC字状またはU字状をしているため、収縮変形によって、上面部95bと下面部95aとの他側部(右側部)間が上下方向に閉じ易いので、形状矯正部107は、閉じた第一の配線保護部95を上下方向に開いて元に戻すためのものとすることができる。第一の配線保護部95は、特に、前後端部や断面拡大部105の位置が収縮変形によって閉じ易いので、形状矯正部107は、前後端部周辺や断面拡大部105の周辺の少なくともいずれかに設けるのが好ましい。この実施例では、形状矯正部107は、断面拡大部105が設けられた後端側の部分などに設けている。
【0053】
具体的には、形状矯正部107は、本体部7に設けた、第一の配線保護部95を開くための当リブ107aなどの突出部とされる。この当リブ107aは、第一の配線保護部95の下面部95aにおける後端部周辺の上面に当てることで、第一の配線保護部95を広げて配線を噛み込まないようにする。当リブ107aは、本体部7から左方(第3の方向4)へ延ばされる。これに対し、第一の配線保護部95の下面部95aの後端側の部分には、必要に応じて、当リブ107aに面当てされるリブ受部107bを形状矯正部107として設けても良い。この実施例では、リブ受部107bは、下面部95aから後方へ突出する突出片とされている。リブ受部107bは、当リブ107aに対する当て位置を微調整したり、所要の強度を確保したりするなどのために、第一の配線保護部95の他の部分よりも厚肉に形成することができる。
【0054】
このように、第一の配線保護部95と本体部7(例えば、第1の本体部54)との間に形状矯正部107を設けることにより、本体部7に第一の配線保護部95をセットして当リブ107aにリブ受部107bを面当てすることで、収縮変形された第一の配線保護部95を正規の形状に戻して(開いて)、第一の配線保護部95(の下面部95a)を本体部7の規定の位置に収めることが可能になる。なお、第一の配線保護部95の上面部95bについては、回転規制部98が、取付位置基準となり、また、形状矯正部107としても機能するので、上面部95bは、正しい位置に設置される。
【0055】
(12)以下に、第二の配線保護部96に関するその他の構成について説明する。
【0056】
図12に示すように、本体部7(例えば、第1の本体部54)と第二の配線保護部96との間に、第二の配線保護部96の本体部7内への沈み込みを防止可能な沈み込み防止部109を設けても良い。第二の配線保護部96の沈み込みは、本体部7に第二の配線保護部96をセットした時に、第二の配線保護部96に押されて撓められた配線が、復元力で第二の配線保護部96の前後方向(第1の方向2)の一側(前側または後側)を第3の方向4の手前側(左側)へ持ち上げたときに、他側(後側または前側)が本体部7の第3の方向4の奥側(右側)へ押し込まれることによって発生する。沈み込み防止部109は、本体部7における、第二の配線保護部96の前端部の位置と後端部の位置とに設けられた、第二の配線保護部96の前端部と後端部とを第3の方向4に受ける前後のストッパ部109bまたは変位規制部としても良い。このストッパ部109bは、第二の配線保護部96の前端部と後端部とを、それぞれ第3の方向4の奥側へ所定量以上には入り込めないように規制するリブや突起部などとすることができる。このストッパ用のリブや突起部は、本体部7から左方(第3の方向4)へ向けて第二の配線保護部96が正しい設置位置よりも奥側へ入り込まないような高さに突設される。これに対し、第二の配線保護部96の前後の端部の少なくとも一方には、前後のストッパ部109bを第3の方向4に対して安定して受けられるようにするための受部109aを適宜設けることができる。この実施例では、前側の受部109aは、回転規制部99となる突片部99aの、本体部7(例えば、第1の本体部54)側の部分(側面)に形成されている。この前側の沈み込み防止部109は、回転規制部99のリブ99bと一体に形成されている。また、後側の受部109aは、下面部96aに形成された切欠部とされている。
【0057】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0058】
ワイヤ6が巻かれたリール13を装着部14に装着し、メインスイッチ36をオンにする。この状態で、本体部7の先端を鉄筋5へ向け、上下のカールガイド21,22の間に鉄筋5を差し入れた後で、トリガスイッチ9を引く。これにより、ワイヤ送り部18が作動し、ワイヤ6がリール13から引き出されて、本体部7の前側へと送られる。本体部7の前側へ送られたワイヤ6は、カールガイド21,22によって、カール形成されると共に、鉄筋5の周囲を一回、または、複数回周回するように案内される。その後、鉄筋5の周囲に巻き回されたループ状のワイヤ6は、捩り部25によって捩られて、ループの径が縮まることで鉄筋5が結束される。
【0059】
上記したような結束機1などの電動工具は、本体部7に対して、モータなどの駆動部や、センサやLEDなどの各種構成部品や、制御部40が実装された基板32や、これらの間を電気的に接続するコネクタ71a~71cなどを備えている。そして、配線72a~72cの取り回しの際にコネクタ71a~71cを単純に本体部7の内部へ押し込めるだけの構造にすると、本体部7に対する組付性やメンテナンス性が悪くなってしまう。
【0060】
<効果>そこで、この実施例では上記構成とすることで、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
(効果1)収容部46内に複数のコネクタ71a~71cを収容保持した状態で、収容部46を本体部7に固定するようにした。これにより、本体部7に対する複数のコネクタ71a~71cの組付性とメンテナンス性を向上できる。複数のコネクタ71a~71cが、収容部46にまとめて収容されるので、複数のコネクタ71a~71cを収容するために本体部7に確保すべき収容空間を小さくでき、本体部7の小型化が可能になる。収容部46が本体部7に固定されるため、収容部46の内部に収容されたコネクタ71a~71cが振動等によって振れたりし難くなり、コネクタ71a~71cが損傷し難くなるので、電動工具の品質性能を向上できる。
【0062】
(効果2)収容部46を、駆動部よりも後側、すなわち捩りモータ27の出力軸とは反対側に配置した。これにより、電動工具における工具としての機能を果たす部分(結束機1の場合には、捩り部25など)を本体部7の前側に配置したり、駆動部を、本体部7の後側に配置したり、基板32を、駆動部に近接配置したりできる一方、捩りモータ27の背後空間42に収容部46を配置することで、捩りモータ27の後側の空きスペースを有効活用することができる。また、各種構成部品と基板32とコネクタ71a~71cとの距離が短くなるため、本体部7に対するコネクタ71a~71cの配置や取り回しが行い易くなる。よって、本体部7の小型化が可能となり、電動工具の操作性を向上できる。
【0063】
(効果3)収容部46の内部に複数の室82a~82cを設けた。これにより、複数の室82a~82cにコネクタ71a~71cを収容したり、複数のコネクタ71a~71cをそれぞれ個別に収容固定したりできるため、収容部46に対するコネクタ71a~71cの組付性とメンテナンス性が向上する。また、仕切部81a,81bによって複数の室82a~82cを区画することにより、収容部46の内部で複数のコネクタ71a~71cが互いに干渉しなくなる。よって、複数のコネクタ71a~71cが振動等によって振れたりすることが抑えられ、コネクタ71a~71cが損傷し難くなるので、電動工具の品質性能を向上できる。
【0064】
(効果4)複数の室82a~82cの形状を、それぞれ収容する複数のコネクタ71a~71cの形状に合わせた。そのため、各室82a~82cの内部に、コネクタ71a~71cをそれぞれ個別に嵌合することで、コネクタ71a~71cが振動等によって振れることがなくなるので、コネクタ71a~71cが損傷し難くなり、電動工具の品質性能を向上できる。また、複数の室82a~82cをコネクタ71a~71cの形状に合わせて互いに異なる形状とした。そのため、複数のコネクタ71a~71cにそれぞれ形状の異なるものを用いることができるので、コネクタ71a~71cの誤組付けを防止できる。
【0065】
(効果5)収容部46を本体部7の側面内壁85,86から離間して固定した。収容部46と側面内壁85,86との間に第2の収容部87,88を形成した。これにより、第2の収容部87,88を利用して本体部7の内部に設置される配線(電源供給配線38や信号用配線39など)を保持できる。そして、コネクタ71a~71c(を有する配線72a~72c)とその他の配線とを収容部46の内外に分けて階層別に保持できるため、本体部7に対するコネクタ71a~71cや配線の組付性とメンテナンス性を向上できる。
【0066】
(効果6)収容部46の本体部7の側面内壁85,86と対向する外面79,80に配線保持部91を設けた。特に、収容部46の第2外面80に配線保持部91を設けた。これにより、配線保持部91を利用して配線(電源供給配線38や信号用配線39など)とコネクタ71a~71c(を有する配線72a~72c)とを収容部46の内外に分けて階層別に収容保持できる。この実施例の電動工具では、本体部7の幅方向において、第2の収容部87、収容部46、配線保持部91を設けることで、3層構造の収容空間が形成される。そして、収容部46でコネクタ71a~71cを、第2の収容部87と配線保持91で配線(電源供給配線38や信号用配線39など)を保持できるようにすることで、本体部7内の空間を有効に活用することができ、本体部7をよりコンパクトにすることができる。また、コネクタ71a~71cや配線などを上記のように収容することで、本体部7に対するコネクタ71a~71cや配線の組付性とメンテナンス性を向上できる。なお、この実施例の電動工具では、本体部7の幅方向に3層の空間を設けて、ここにコネクタ71a~71cや配線などを収容するようにしたが、例えば、収容部46を本体部7の側面内壁85に近接させて、収容部46と側面内壁85との間に第2の収容部87を設けずに、収容部46と配線保持部91との2層構造にしても良い。
【0067】
(効果7)収容部46は、本体部7の内部に一体的に形成しても良い。これにより、収容部46を別部材で形成する必要がなくなり、本体部7に対するコネクタ71a~71cの組付性を向上できる。
【0068】
(効果8)本体部7に、本体部7の内外間を貫通する複数の開口を設けて、複数の開口を複数のコネクタ71d~71iのそれぞれに合った形状のコネクタ連結部94a~94cとしても良い。これにより、複数のコネクタ71d~71iにそれぞれ形状の異なるものを用いることができ、コネクタ連結部94a~94cに対するコネクタ71d~71iの誤組付けを防止できる。本体部7に設けた複数の開口をコネクタ連結部94a~94cにすることで、本体部7にコネクタ71d~71iを直接保持できる。よって、コネクタ71d~71iを振動に強い構造にして、本体部7に対するコネクタ71d~71iの組付性とメンテナンス性を向上できる。また、コネクタ連結部94a~94cを用いることで、本体部7の内外間を貫通する配線72a~72cを容易に設けることができる。
【0069】
(効果9)本体部7の内部に、配線を保護可能な配線保護部95,96を有しても良い。これにより、本体部7の内部に配設された配線を、配線保護部95,96によって保護することができる。配線保護部95,96は、本体部7の内部で、配線を正しい経路に案内したり、整然と並んだ状態に保ったり、配線に無理な曲げを与えて断線などの不具合が生じないように取り回したりするための配線ガイドとしても機能させることができる。また、例えば、配線保護部95,96を本体部7の周縁部にほぼ沿って設けることによって、本体部7(の第1の本体部54と第2の本体部55)を閉じるときに、配線が本体部7に挟まることを防止できる。また例えば、配線保護部95をトリガスイッチ9の近傍に設けることによって、トリガスイッチ9のスライド部9bに配線が挟まることなどを防止できる。同様に、配線保護部96を凹部66や、凹部66よりも後側の位置に設けることによって、本体部7の後部の狭い部分での配線の取り回しを容易に行うことなどができる。更に、配線保護部95,96によって本体部7の内部で配線が動くのを防止できる。
【0070】
(効果10)配線保護部95,96は、本体部7との間に、配線保護部95,96の回転を規制する回転規制部98,99を有しても良い。これにより、配線保護部95,96の取付け時に、回転規制部98,99が、本体部7に対する配線保護部95,96の回転を規制して、配線保護部95,96の位置がズレるのを防止できる。そのため、配線保護部95,96の取付けを容易化することができる。
【符号の説明】
【0071】
1:結束機(電動工具) 7:本体部 9:トリガスイッチ(構成部品) 17:ソレノイド(駆動部) 27:捩りモータ(駆動部) 32:基板 35:設定部(構成部品) 36:メインスイッチ(構成部品) 40:制御部 46:収容部 71a~71i:コネクタ 72a~72c:配線 79:第1外面 80:第2外面 81a,81b:仕切部 82a~82c:室 85,86:側面内壁 87,88:第2の収容部 91:配線保持部 94a~94c:コネクタ連結部 95,96:配線保護部 98,99:回転規制部
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13