(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】吊下具、及び、吊下具を備えた組立家具
(51)【国際特許分類】
F16B 45/00 20060101AFI20230314BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20230314BHJP
A47B 96/06 20060101ALI20230314BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20230314BHJP
F16B 12/10 20060101ALI20230314BHJP
A47B 17/04 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F16B45/00 A
A47B96/04 B
A47B96/06 F
A47B96/06 C
A47B13/00 Z
F16B12/10 A
A47B17/04
(21)【出願番号】P 2019023684
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2022-02-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年11月27日~29日、展示会「ITOKI Presentation129」の内覧会に出品 平成30年12月3日~7日、展示会「ITOKI Presentation129」に出品
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙介
(72)【発明者】
【氏名】臼本 浩人
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-240786(JP,A)
【文献】特開2007-282705(JP,A)
【文献】米国特許第01405221(US,A)
【文献】米国特許第05188332(US,A)
【文献】特開2008-011965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00-45/00
47/00-47/06
91/00-97/08
A47F 5/00- 8/02
F16B 12/00-12/60
45/00-47/00
G09F 15/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に架け渡されたフレーム部材に係止される係止部と、前記係止部と連結される支持部と、鉛直方向に向けた回転軸を中心として前記支持部に対して相対回転可能に前記支持部に支持される被支持部と、前記被支持部に連結されて吊下体が固定される吊下部と、を備える吊下具であって、
前記支持部と前記被支持部とは、
前記被支持部が前記支持部に対して鉛直方向に向けた回転軸を中心として相対回転する相対角度が所定値になるように案内される、吊下具。
【請求項2】
前記支持部には、前記被支持部と当接する面に支持カム面が形成され、
前記被支持部には、前記支持部と当接する面に被支持カム面が形成され、
前記
被支持部に対して前記吊下体の荷重が加わった際に、前記支持カム面と前記被支持カム面とが当接することにより、前記支持部と前記被支持部との相対角度が所定値になるように案内される、請求項1に記載の吊下具。
【請求項3】
前記吊下部には、板状に形成された吊下体の縁部が固定され、
前記所定値は90度ごとに設定される、請求項1又は請求項2に記載の吊下具。
【請求項4】
上端部に前記フレーム部材が設けられ、
前記フレーム部材に、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の吊下具が係止される、吊下具を備えた組立家具。
【請求項5】
上端部に棒状部材を直交させて組み合わせた枠体が設けられ、
前記枠体における前記棒状部材の一が前記フレーム部材として構成される、請求項4に記載の吊下具を備えた組立家具。
【請求項6】
前記枠体における中央部に中央棒状部材が設けられ、
前記中央棒状部材が前記フレーム部材として構成される、請求項5に記載の吊下具を備えた組立家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吊下具、及び、吊下具を備えた組立家具に関し、詳細には組立家具において付属部品の位置及び姿勢を容易に変更可能とする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のフレーム部材を連結して構成する組立家具が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の組立家具の側部には、組立家具の付属部品として板状部材(側壁PT)が着脱可能に取付けられている。具体的には、組立家具を構成するフレーム部材に溝が形成され、この溝に板状部材を挿入することにより、組立家具に板状部材が取付られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献の如く構成した場合、一旦取付けた板状部材の位置及び姿勢を変更することはできなかった。このように、従来技術に係る組立家具においては、組立家具の付属部品の位置及び姿勢を、組立家具の使用態様に応じて変更することはできなかった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、吊下具の位置及び姿勢を容易に変更可能とするとともに、組立家具における付属部品の位置及び姿勢を容易に設定できる、吊下具、及び、吊下具を備えた組立家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下に構成する吊下具を提供する。
【0007】
(1)水平方向に架け渡されたフレーム部材に係止される係止部と、前記係止部と連結される支持部と、鉛直方向に向けた回転軸を中心として前記支持部に対して相対回転可能に前記支持部に支持される被支持部と、前記被支持部に連結されて吊下体が固定される吊下部と、を備える吊下具であって、前記支持部と前記被支持部とは、前記被支持部が前記支持部に対して鉛直方向に向けた回転軸を中心として相対回転する相対角度が所定値になるように案内される、吊下具。
【0008】
(2)前記支持部には、前記被支持部と当接する面に支持カム面が形成され、前記被支持部には、前記支持部と当接する面に被支持カム面が形成され、前記被支持部に対して前記吊下体の荷重が加わった際に、前記支持カム面と前記被支持カム面とが当接することにより、前記支持部と前記被支持部との相対角度が所定値になるように案内される、(1)に記載の吊下具。
【0009】
(3)前記吊下部には、板状に形成された吊下体の縁部が固定され、前記所定値は90度ごとに設定される、(1)又は(2)に記載の吊下具。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下に構成する吊下具を備えた組立家具を提供する。
【0011】
(4)上端部に前記フレーム部材が設けられ、前記フレーム部材に、(1)から(3)の何れか一に記載の吊下具が係止される、吊下具を備えた組立家具。
【0012】
(5)上端部に棒状部材を直交させて組み合わせた枠体が設けられ、前記枠体における前記棒状部材の一が前記フレーム部材として構成される、(4)に記載の吊下具を備えた組立家具。
【0013】
(6)前記枠体における中央部に中央棒状部材が設けられ、前記中央棒状部材が前記フレーム部材として構成される、(5)に記載の吊下具を備えた組立家具。
【発明の効果】
【0014】
以上における本発明に係る吊下具は、以下に示す効果を奏する。
【0015】
(1)の構成によれば、吊下具において、支持部に対する被支持部の相対角度が所定値に案内されることにより、吊下具の位置及び姿勢を容易に変更可能とするとともに、組立家具における付属部品の位置及び姿勢を容易に設定することが可能となる。
【0016】
(2)の構成によれば、簡易な構成で、組立家具における付属部品の位置及び姿勢を容易に設定することが可能となる。
【0017】
(3)の構成によれば、板状の吊下体をフレーム部材に対して90度ごとに変位させることが可能となる。
【0018】
以上における本発明に係る吊下具を備えた組立家具は、以下に示す効果を奏する。
【0019】
(4)の構成によれば、組立家具において、吊下具の位置及び姿勢を容易に変更可能とするとともに、付属部品の位置及び姿勢を容易に設定することが可能となる。
【0020】
(5)の構成によれば、組立家具の枠体において、直交する棒状部材の何れにも吊下具を介して付属部品を吊下げるとともに、付属部品の位置及び姿勢を容易に設定することが可能となる。
【0021】
(6)の構成によれば、組立家具において、中央棒状部材に吊下具を介して付属部品を吊下げるとともに、付属部品の位置及び姿勢を容易に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図5】(a)及び(b)はそれぞれ通常状態及び回転状態の吊下具を示す平面図。
【
図6】フック及び支持部の組付構成を示した分解斜視図。
【
図10】第二実施形態に係る組立家具を示す斜視図。
【
図11】第三実施形態に係る組立家具を示す斜視図。
【
図12】第四実施形態に係る組立家具を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では
図1を用いて本発明の第一実施形態に係る組立家具1の概略構成について説明する。本明細書においては、各図中に示す矢印で組立家具1及び組立家具1が備える吊下具20の方向を規定する。
図1に示す如く、組立家具1は金属板を折り曲げて構成した角管部材である、第一フレーム部材10S、第二フレーム部材10L、及び、第三フレーム部材10Mが、それぞれ連結部材Jで連結されることにより外形が規定される。
【0024】
組立家具1は
図1に示す如く、前後方向に沿って平行に設けられる四本の第一フレーム部材10Sと、上下方向に沿って平行に設けられる四本の第二フレーム部材10Lと、組立家具1の上部で左右方向に沿って平行に設けられる二本の第三フレーム部材10Mと、を備える。組立家具1において、第一~第三フレーム部材10S・10L・10Mは互いに直交して組付けられている。
【0025】
より詳細には、組立家具1において、それぞれの第一フレーム部材10Sは連結部材Jを介して第二フレーム部材10Lの上端部と下端部とを前後方向に連結している。また、第三フレーム部材10Mは連結部材Jを介して第二フレーム部材10Lの上端部を左右方向に連結している。本実施形態においては、第一~第三フレーム部材10S・10L・10Mのうち、第一フレーム部材10Sが最も短く、第二フレーム部材10Lが最も長くなるように形成されている。
【0026】
組立家具1においては、組立家具1の上端部を構成する二本の第一フレーム部材10Sと二本の第三フレーム部材10Mとを直交させて組み合わせることにより、矩形の枠体が構成される。換言すれば、枠体を構成する二本の第一フレーム部材10Sと二本の第三フレーム部材10Mとは、組立家具1の上端部において水平方向に架け渡される。また、組立家具1において、枠体の前後方向中央部分(上側の第一フレーム部材10Sの中央部分)に、中央棒状部材である中間フレーム部材11を設けることにより、枠体の剛性を向上させている。中間フレーム部材11は第一~第三フレーム部材10S・10L・10Mと同様に、金属板を折り曲げて構成した角管部材である。
【0027】
本実施形態に係る組立家具1は、机ユニットとして構成される。組立家具1においては、第二フレーム部材10Lに対して、軸心方向を前後方向に向けたビーム部材12が左右両側に組付けられる。ビーム部材12は第一~第三フレーム部材10S・10L・10Mと同様に、金属板を折り曲げて構成した角管部材である。それぞれのビーム部材12の中央部分は図示しない支持ビーム部材で連結される。そして、各ビーム部材12と支持ビーム部材との上面に天板13が固定されることにより、組立家具1が机ユニットとして構成される。
【0028】
また、組立家具1における下側で対向する二本の第一フレーム部材10Sの中央部分は中間ビーム部材14で連結される。そして、中間ビーム部材14と支持ビーム部材とを補強部材15で結合することにより、天板13に加わる荷重を支持する構成としている。
【0029】
なお、本実施形態に係る組立家具1は天板13を設けることにより机ユニットとして構成されるが、他の部品を組付けたり配置したりすることにより、組立家具1を使用者の意向に応じてバリエーションに富んだ構成とすることができる。また、同一又は複数の種類の組立家具1を連設したり、直交して配置したりすることにより、使用者が自由に空間をカスタマイズすることができる。
【0030】
本実施形態において、組立家具1における中間フレーム部材11には、板状に形成された吊下体である仕切り板31が吊下具20を介して組付けられる。本実施形態に係る仕切り板31は不織布をプレス加工した板状に成形されている。なお、仕切り板31を木製、スチール製、又は樹脂製等、他の素材を用いて構成することも可能である。但し、仕切り板31の軽量化及び吸音性能の向上という観点からは、本実施形態の如く不織布板を用いることが好ましい。また、吊下具20を介して吊下げる吊下体は、板状の仕切り板31に限定されるものではなく、吊下具20を用いて照明器具や装飾品等を吊下体として吊下げる構成とすることも可能である。
【0031】
本実施形態においては
図1に示す如く、仕切り板31の平板部が前後方向に面するように、仕切り板31が中間フレーム部材11に沿って吊下げられる。この場合、仕切り板31は天板13の前後方向中央部分の上方に、天板13の長手方向に沿って配置される。この際、天板13において前後に対向する長辺のそれぞれで組立家具1を使用する使用者がいる場合に、使用スペースを区画するとともに互いの視線を遮ることができる。
【0032】
図1に示す如く、仕切り板31は吊下具20を介して、組立家具1の上端部で枠体に設けられた中間フレーム部材11に吊下げられる。吊下具20は
図2から
図9に示す如く、板金を折り曲げて形成された係止部であるフック21と、フック21に連結される樹脂製の支持部22と、支持部22に支持される樹脂製の被支持部23と、被支持部23に連結される板金製の吊下部24と、を備える。
【0033】
図6に示す如く、フック21は二股に折り曲げて形成されたフック板21aを備える。フック21のフック板21aを中間フレーム部材11に引掛けることにより、吊下具20が中間フレーム部材11に係止される。なお、吊下具20を中間フレーム部材11に係止する手法は、本実施形態の如くフック部材を引掛ける構成に限定されるものではなく、例えば他の係止部材を介して係止する構成としても良い。
【0034】
なお、フック21を係止する部材は中間フレーム部材11に限定されず、
図11及び
図12に示す如く、組立家具1における枠体を構成する第一フレーム部材10S又は第三フレーム部材10Mでフック21を係止することも可能である。以下、本実施形態に係る連結家具1においてフック21を係止可能な部材(中間フレーム部材11、及び、枠体を構成する第一フレーム部材10S、第三フレーム部材10M)を総称して「フレーム部材」と記載する。本実施形態においては
図12に示す如く、フック21における二股のフック板21a・21aの間に中間フレーム部材11を配置することにより、第一フレーム部材10Sの中央部分でフック21を係止するすることができる。
【0035】
フック21におけるフック板21aの内側の面には、係止されるフレーム部材を傷つけないように軟質の保護部21bが接着されている。
図6に示す如く、フック21の下端部には支持部22と連結するための支持板21cが水平に折り曲げて形成されている。支持板21cには溝部21dが形成され、また、溝部21dの両側方には貫通孔21e・21eが開口されている。
【0036】
フック21の支持板21cには支持部22が連結される。支持部22は、本体部22aとカバー部22bとに分割可能とされた樹脂製部材である。本体部22aにカバー部22bを組付けた際には、支持部22の上面には円筒状の凹部であるガイド孔22cが形成される。ガイド孔22cの底面には支持カム面22dが形成される。
図8に示す如く、支持カム面22dには、山形状及び谷形状が周方向に交互に(本実施形態においては45度ごとに)四個ずつ形成される。詳細には、支持カム面22dにおいて山形状と谷形状とは90度ごとに四個ずつ形成される。本体部22aの底面には挿通溝22gが形成されている。
【0037】
カバー部22bの下面には、二本の係合突起22eが下方に突出して形成される。また、本体部22aには二個の係合孔22fが開口される。カバー部22bを本体部22aに組付ける際には、フック21の支持板21cが本体部22aの下部に挿入された状態で、係合突起22eを係合孔22f及び貫通孔21eに挿入する。これにより、カバー部22bが本体部22aに組付けられるとともに、支持部22がフック21と連結される。
【0038】
支持部22のガイド孔22cには、短円柱形状の被支持部23が挿入される。これにより、被支持部23は、鉛直方向に向けた回転軸を中心として支持部22に対して相対回転可能に支持部22に支持される。被支持部23は、カム本体23aと閉塞部23bとに分割可能とされた樹脂製部材である。
【0039】
カム本体23aには被挿入溝23cが形成される。また、被支持部23の下面には被支持カム面23dが形成される。
図8に示す如く、被支持カム面23dには、支持カム面22dと同様に、山形状及び谷形状が周方向に交互に(本実施形態においては45度ごとに)四個ずつ形成される。詳細には、被支持カム面23dにおいて山形状と谷形状とは90度ごとに四個ずつ形成される。被支持部23がガイド孔22cに挿入された際には、被支持カム面23dは支持カム面22dに当接する。
【0040】
被支持部23には、仕切り板31の上縁部31aが固定された吊下部24が連結される。まず、
図6に示す如く、角ボルトBを吊下部24の上面に形成された雌ねじ孔24aに螺入した状態で溶接する。これにより、角ボルトBは吊下部24に対して相対回転不能に固定される。なお、角ボルトBに代えて四角頭のピンを採用することも可能である。そして、
図6に示す如く、角ボルトBの頭部を支持部22の挿通溝22g、及び、支持板21cの溝部21dに挿入する。さらに、
図7に示す如く、カバー部22bを本体部22aに組付けるとともに、被支持部23の被挿入溝23cに角ボルトBの頭部を相対回転不能に挿入し、閉塞部23bをカム本体23aに組付ける。これにより、被支持部23と吊下部24とが相対回転不能に連結される。即ち、仕切り板31と被支持部23とが連結されるのである。
【0041】
吊下具20において、支持部22と被支持部23とは、相対角度が所定値になるように案内される。具体的には上記の如く、支持部22には、被支持部23と当接する面に支持カム面22dが形成され、被支持部23には、支持部22と当接する面に被支持カム面23dが形成される。そして、支持カム面22dと被支持カム面23dとが当接した状態で、被支持部23には仕切り板31の荷重が加わる。このため、被支持部23は、被支持カム面23dの山形状と支持カム面22dの谷形状とが一致する位置に回転変位して静止する。本実施形態において、被支持カム面23dの山形状と支持カム面22dの谷形状とは、それぞれ90度ごとに四個ずつ形成されているため、支持部22と被支持部23とは相対角度が所定値である90度ごとに設定された位置に案内されるのである。
【0042】
このように、本実施形態に係る吊下具20においては、支持部22に対する被支持部23の相対角度が、0度、90度、180度、270度の何れかとなるように設定されている。このため、仕切り板31をどの位置に回転変位させた場合でも、
図5(a)に示す如く仕切り板31はフレーム部材に沿って配置される状態(支持部22に対する被支持部23の相対角度が、0度又は180度の状態であり、以下、この状態を「通常状態」と記載する)か、
図5(b)に示す如く仕切り板31がフレーム部材に対して直交して配置される状態(支持部22に対する被支持部23の相対角度が、90度又は270度の状態であり、以下、この状態を「回転状態」と記載する)の何れかの状態に自動的に変位して静止する。
【0043】
上記の如く、本実施形態においては支持カム面22d及び被支持カム面23dの山・谷形状は、それぞれ90度ごとに形成されているため、仕切り板31をフレーム部材に対して容易に90度ごとに変位させることが可能となる。なお、カム面の形状を変更することにより、支持部22に対する被支持部23の相対角度を、180度、120度、又は60度ごと等、他の所定角度に設定することも可能である。
【0044】
上記の如く、本実施形態に係る吊下具20においては、吊下体である仕切り板31を大まかな角度で変位させるだけで、支持部22に対する被支持部23の相対角度が所定値である0度、90度、180度、又は270度の何れかに案内される。これにより、吊下具20の位置及び姿勢を容易に変更可能とするとともに、組立家具1における付属部品である仕切り板31の位置及び姿勢を容易に設定することが可能となる。
【0045】
詳細には、組立家具1の使用者が仕切り板31を通常状態(支持部22に対する被支持部23の相対角度が0度の状態)から概ね80度から100度程度回転させた場合、仕切り板31は90度回転した回転状態(支持部22に対する被支持部23の相対角度が90度又は270度の状態)に自動的に案内される。このため、使用者は仕切り板31について微妙な角度の調整を行う必要がない。同様に、組立家具1の使用者が仕切り板31を上記の回転状態から上記と同じ回転方向に概ね80度から100度程度回転させた場合、仕切り板31は通常状態(支持部22に対する被支持部23の相対角度が180度の状態)に案内される。
【0046】
より具体的には、
図1に示す如く仕切り板31を通常状態にして使用している使用者が、仕切り板31を回転させて
図10に示す回転状態に容易に変更することができる。この際、フック21を中間フレーム部材11に沿って変位させることにより、仕切り板31を天板13の左右方向中央部分に移動させることができる。
【0047】
図10に示す第二実施形態に係る組立家具1においては、仕切り板31の平板部が左右方向に面するように、仕切り板31が中間フレーム部材11に直交して吊下げられる。この場合、仕切り板31は天板13の左右方向中央部分の上方に、天板13の短手方向に沿って配置される。この際、天板13において左右に隣接するスペースのそれぞれで組立家具1を使用する使用者がいる場合に、使用スペースを区画するとともに互いの視線を遮ることができる。
【0048】
上記の如く、吊下具20を介して仕切り板31を中間フレーム部材11に吊下げた場合、仕切り板31を中間フレーム部材11に沿った姿勢又は中間フレーム部材11に直交する姿勢の何れかに案内して組立家具1を使用することができる。即ち、組立家具1に利用態様に応じて、仕切り板31の姿勢を通常状態と回転状態との何れかに容易に設定することが可能となる。
【0049】
また、吊下具20においては、支持部22に対する被支持部23の相対角度が所定値に案内されるため、仕切り板31の使用中に物が当たる等により仕切り板31が数度~十数度回転変位した場合でも、使用していた状態に自動的に戻ることができる。このため、組立家具1における吊下体である仕切り板31が中途半端な角度で停止することによる美感の悪化を防止できる。
【0050】
また、
図11に示す第三実施形態、又は
図12に示す第四実施形態に係る組立家具1においては、仕切り板31が枠体を構成する第三フレーム部材10M又は第一フレーム部材10Sに沿って吊下げられる。この際、外部空間から組立家具1における使用スペースを区画するとともに、外からの視線を遮ることができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、支持カム面22dと被支持カム面23dとが当接することにより、支持部22と被支持部23との相対角度が所定値になるように案内しているが、別の構成で支持部22と被支持部23とを案内することもできる。例えば、支持部22と被支持部23との当接面において、一方に凸部、他方に凹部を形成し、凹部に凸部が挿入されることにより、相対角度が所定値になるように構成することもできる。ただし、簡易な構成で、組立家具1における付属部品の位置及び姿勢を容易に設定可能とする観点からは、本実施形態の如く支持カム面22dと被支持カム面23dとを当接させる構成が好ましい。
【0052】
また、本実施形態においては、仕切り板31の荷重により支持部22と被支持部23との相対角度を所定値に案内しているが、吊下体が軽量の場合でも、板ばねを介して支持部22と被支持部23とが互いに近接するように付勢することにより、支持部22と被支持部23との相対角度を所定値に案内することが可能となる。
【0053】
また、吊下具20で吊下体を吊下げる構成ではなく、天板13の上に支持部及び被支持部を相対回転可能に載置し、支持部と被支持部とが相対角度が所定値になるように案内する構成とすることも可能である。この場合でも、被支持部に固定された組立家具における付属部品の位置及び姿勢を容易に設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 組立家具 10S 第一フレーム部材
10L 第二フレーム部材 10M 第三フレーム部材
11 中間フレーム部材 12 ビーム部材
13 天板 14 中間ビーム部材
15 補強部材 20 吊下具
21 フック(係止部) 21a フック板
21b 保護部 21c 支持板
21d 溝部 21e 貫通孔
22 支持部 22a 本体部
22b カバー部 22c ガイド孔
22d 支持カム面 22e 係合突起
22f 係合孔 22g 挿通溝
23 被支持部 23a カム本体
23b 閉塞部 23c 被挿入溝
23d 被支持カム面 24 吊下部
24a 雌ねじ孔 31 仕切り板(吊下体)
31a 上縁部 B 角ボルト
S 固定部材 J 連結部材