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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/20 20060101AFI20230314BHJP
   G01B 21/02 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G01B3/20 Z
G01B21/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019037887
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2020139922
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀和
(72)【発明者】
【氏名】橋出 昌明
(72)【発明者】
【氏名】尾高 将樹
(72)【発明者】
【氏名】下家 友広
(72)【発明者】
【氏名】延本 道泰
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0320307(US,A1)
【文献】実開昭51-075250(JP,U)
【文献】実開昭63-200101(JP,U)
【文献】中国実用新案第206258104(CN,U)
【文献】特開2000-314602(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0271801(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0313522(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0317824(US,A1)
【文献】実開昭58-099604(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/20
G01B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール内に布設された電力線の移動状況を測定する測定装置であって、
前記マンホールの壁面に突き当てる平面を備えた突当て部と、
長尺形状をなし、長さ方向における一端が前記平面とは反対側において前記突当て部に連結され、長さ方向における他端が前記平面がなす面に直交する方向に沿って延出するスケール部と、
前記スケール部の長さ方向に沿って移動可能なスライダ部と、
前記スライダ部に搭載されて、前記スケール部の長さ方向に直交する方向に存在する前記電力線に指向性を呈する光を発する光源部と、
前記スケール部の長さ方向における前記光源部による発光位置を示す指示部と、
を備え
前記スケール部の長さ方向を前記電力線の布設方向と平行になるように、前記突当て部を前記マンホールの壁面に突き当て、前記光源部が発する光を、前記電力線に設けられた所定のマーク部分に当てるように前記スライダ部を移動させ、前記指示部が示す前記スケール部の長さ方向における前記発光位置により、前記マンホールの壁面から当該電力線のマーク部分までの距離を視認化することで、当該電力線の移動状況を測定することを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記スライダ部に設けられ、前記指示部が示す前記スケール部の長さ方向における前記発光位置の視認方向を異なる方向へ変更する鏡部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記スケール部は、長さ方向における前記平面からの距離を示す指標を備え、
前記指示部は、前記光源部による発光位置の前記指標に対する位置を示す、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記指標は、前記スケール部の長さ方向に沿って所定間隔ごとに複数設けられた目盛と、当該目盛のうちの所定の目盛の近傍に付されて前記平面からの距離を案内する記号と、によって構成されたことを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記記号は、文字、符号、標章のうちの少なくともいずれか一つをあらわすことを特徴とする請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記スライダ部は、外力が加えられている場合に当該外力に応じて前記スケール部の長さ方向に沿って移動し、当該外力から開放された場合に当該外力から開放された位置において停止することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項7】
前記スライダ部は、規制部材を備え、
当該規制部材は、
前記スケール部に当接し、
外力が加えられている場合に、当該外力に応じて前記スケール部の長さ方向に沿った当該スライダ部の移動を許容し、
当該外力から開放された場合に、当該スケール部との間に作用する摩擦力によって当該外力から開放された位置において当該スライダ部を停止させる規制部材を備えたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項8】
前記規制部材は、前記スケール部との間の摩擦によって前記外力から開放された位置において停止することを特徴とする請求項7に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基準となる位置から測定位置までの距離を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線などのケーブルを地中に埋設された管路内に引き入れることによって布設する電線類地中化が進んでいる。このような電線類地中化は、主として市街地の電力供給を担う電力線に対しておこなわれている。電線地中化にかかる地中電線路を構成する電力線は、通常、道路の地下に埋設される。
【0003】
地中電線路を構成する電力線を引き入れる管路を埋設する地盤が軟弱であって、管路上の道路の交通量が多い場合、管路内の電力線が車両の進行方向に移動する「波乗り現象」が発生することがある。この波乗り現象に起因して、電力線に過大な張力がかかったり、電力線が過度に屈曲したりすると、送電が良好におこなわれず、当該電力線による電力の供給を受ける各種の電力設備における不具合が発生することがある。このため、適宜、電力線の移動にかかる状況確認をおこない、電力設備における不具合の発生を防止するようにしている。
【0004】
電力線の移動にかかる状況確認は、たとえば、マンホール内に布設された電力線に目印となるマークを施し、マンホール内におけるマークの移動量や当該マークの移動量を測定することによっておこなう。具体的には、従来、たとえば、コンベックスなどの長さを測定する測定器具を電力線にあてがって、マンホール内における電力線の引出位置から電力線に施されたマークまでの長さを測定することによって、電力線の移動にかかる状況確認をおこなっていた。
【0005】
関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、一対の貫通孔を備えた矩形状のプレートによって構成されたスライダの下辺が、測定対象となる物品の上面に接触する位置に、目盛を備える直尺体に対して当該スライダをスライドさせ、下辺が示す直尺体の目盛によって部品の高さを測定する測定工具に関する技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0006】
また、関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、長尺な測定対象物の近傍に設置される変位センサと、変位センサから引き出されて測定対象物に沿うように並行に配置されるセンサワイヤの端部を測定対象物に固定するワイヤ固定手段とを備えた測定対象物の移動量を計測する移動量計測装置及び測定対象物の移動量を計測する移動量計測方法に関する技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【0007】
また、関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、ケーブルをクランプすることでケーブルに鍔状に取り付けられた引留体と、引留体とマンホール内の管路出口壁面にその両端が止着された弾性体と、引留体の移動量を測定するために管路出口壁面と引留体との間に架け渡されたメジャーと、を備えた波乗り現象確認抑制装置に関する技術があった(たとえば、下記特許文献3を参照。)。
【0008】
また、関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、外面から突出する突出片を備え長軸体(ケーブル)を支持する支持部と、不動面に設置固定されて支持部の移動を規制する基体部と、長軸体の移動方向に平行なロッドおよび当該ロッドに移動可能に装着されて突出片によって互いに離隔する方向にのみ推進される2個の可動部材を備えた移動量指示部と、を備えた長軸体移動量監視装置に関する技術があった(たとえば、下記特許文献4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2018-017660号公報
【文献】特開2018-112497号公報
【文献】特開2010-206995号公報
【文献】特開2007-151282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、コンベックスなどの測定器具を電力線にあてがって電力線の移動量を測定する従来の技術は、波乗り現象が発生している電力線のさらなる移動を抑制するために設けられている拘束装置などの付帯設備に測定器具が干渉したり、マークと測定器具の間に距離があったりすることに起因して、電力線の移動量を正確に測定することが難しいという問題があった。
【0011】
また、コンベックスなどの測定器具を電力線にあてがって電力線の移動量を測定する従来の技術は、電力線の移動量の測定をおこなうマンホール内の空間が狭い場合に、測定値を正確に読み取ることができず、電力線の移動量を正確に測定することが難しいという問題があった。
【0012】
また、上述した特許文献1~4に記載された従来の技術も同様に、いずれも、既設の拘束装置によって拘束された状態のケーブルの移動量を正確に計測することが難しいという問題があった。具体的には、たとえば、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、測定に際して測定対象の近傍に測定工具を位置づける必要があり、拘束装置が設置されている場合、測定対象とする電力線の近傍に測定工具を位置づけることができないため、電力線の移動量を正確に測定することが難しいという問題があった。
【0013】
また、拘束装置などの付帯設備が設けられている電力線に、付帯設備の上から工具をあてがって測定をおこなう場合、工具と付帯設備との干渉やマークと測定器具の間に距離があるために、測定をおこなう作業者によって工具をあてがう位置や読み取り位置にばらつきが生じてしまい、電力線の移動量の推移を正確に把握することが難しいという問題があった。
【0014】
また、上述した特許文献2に記載された従来の技術は、構造が複雑であり定期的なメンテナンスの必要性が想定され管理が煩雑であること、移動量の測定対象とするケーブルごとに設置しなくてはならず取り付け作業が煩雑であること、測定対象とするすべてのケーブルに取り付けることは現実的ではないこと、などから、実用性に劣るという問題があった。
【0015】
また、上述した特許文献3に記載された従来の技術は、マンホールの壁面などの不動体に取り付けて使用する構成でありケーブルの移動を規制する拘束装置が既に取り付けられている現場には適用が難しいこと、当該従来の技術を適用するためには既設の拘束装置からの大がかりな交換作業が必要となり煩雑であること、などから、実用性に劣るという問題があった。
【0016】
また、上述した特許文献4に記載された従来の技術は、互いに離隔する方向にのみ推進する2個の可動部材を用いることにより、膨張収縮の繰り返しや車両の走行などに起因する波乗り現象による電力ケーブルの往復動を防止して、電力ケーブルの最大移動量を監視することができるが、上記と同様に、ケーブルの移動を規制する拘束装置が既に取り付けられている現場には適用が難しいこと、先願の技術を適用するためには既設の拘束装置からの大がかりな交換作業が必要となり煩雑であること、などから、実用性に劣るという問題があった。
【0017】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、マンホールの壁面などの基準位置から測定位置までの電力線の長さを正確に特定することができる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる測定装置は、単一の平面を備えた突当て部と、長尺形状をなし、長さ方向における一端が前記平面とは反対側において前記突当て部に連結され、長さ方向における他端が前記平面がなす面に直交する方向に沿って延出するスケール部と、前記スケール部の長さ方向に沿って移動可能なスライダ部と、前記スライダ部に搭載されて、前記スケール部の長さ方向に直交する方向に指向性を呈する光を発する光源部と、前記スケール部の長さ方向における前記光源部による発光位置を示す指示部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる測定装置は、先端が単一の平面に配置された3点以上の支持脚を備えた突当て部と、長尺形状をなし、長さ方向における一端が前記平面とは反対側において前記突当て部に連結され、長さ方向における他端が前記平面がなす面に直交する方向に沿って延出するスケール部と、前記スケール部の長さ方向に沿って移動可能なスライダ部と、前記スライダ部に搭載されて、前記スケール部の長さ方向に直交する方向に指向性を呈する光を発する光源部と、前記スケール部の長さ方向における前記光源部による発光位置を示す指示部と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる測定装置は、上記の発明において、前記スケール部が、長さ方向における前記平面からの距離を示す指標を備え、前記指示部が、前記光源部による発光位置の前記指標に対する位置を示す、ことを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる測定装置は、上記の発明において、前記指標が、前記スケール部の長さ方向に沿って所定間隔ごとに複数設けられた目盛と、当該目盛のうちの所定の目盛の近傍に付されて前記平面からの距離を案内する数字と、によって構成されたことを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる測定装置は、上記の発明において、前記記号が、文字、符号、標章のうちの少なくともいずれか一つをあらわすことを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる測定装置は、上記の発明において、前記スライダ部が、外力が加えられている場合に当該外力に応じて前記スケール部の長さ方向に沿って移動し、当該外力から開放された場合に当該外力から開放された位置において停止する規制部材を備えたことを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる測定装置は、上記の発明において、前記スライダ部が、規制部材を備え、当該規制部材は、前記スケール部に当接し、外力が加えられている場合に、当該外力に応じて前記スケール部の長さ方向に沿った当該スライダ部の移動を許容し、当該外力から開放された場合に、当該スケール部との間に作用する摩擦力によって当該外力から開放された位置において当該スライダ部を停止させる規制部材を備えたことを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる測定装置は、上記の発明において、前記規制部材が、前記スケール部との間の摩擦によって前記外力から開放された位置において停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
この発明にかかる測定装置によれば、マンホールの壁面などの基準位置から測定位置までの電力線の長さを正確に特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明にかかる実施の形態1の測定装置の構成を示す説明図(その1)である。
図2】この発明にかかる実施の形態1の測定装置の構成を示す説明図(その2)である。
図3】この発明にかかる測定装置におけるスライダ部を示す説明図である。
図4】この発明にかかる実施の形態1の測定装置の使用例を示す説明図(その1)である。
図5】この発明にかかる実施の形態2の測定装置の構成を示す説明図(その1)である。
図6】この発明にかかる実施の形態2の測定装置の構成を示す説明図(その2)である。
図7】この発明にかかる実施の形態2の測定装置の構成を示す説明図(その3)である。
図8】この発明にかかる実施の形態2の測定装置の使用例を示す説明図(その1)である。
図9】この発明にかかる実施の形態2の測定装置の使用例を示す説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる測定装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
<実施の形態1>
(測定装置の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態1の測定装置の構成について説明する。図1および図2は、この発明にかかる実施の形態1の測定装置の構成を示す説明図である。図1においては、この発明にかかる実施の形態1の測定装置の全体斜視図を示している。図2においては、この発明にかかる実施の形態1の測定装置を一部分解した斜視図を示している。
【0030】
図1および図2において、この発明にかかる実施の形態1の測定装置100は、突当て部110と、スケール部120と、スライダ部130と、光源部140と、指示部150と、を備えている。突当て部110は、平板形状をなす。突当て部110は、矩形の平板形状であってもよく、多角形、円形、楕円形の平板形状であってもよい。
【0031】
突当て部110は、少なくとも一面側に平面111を備えている。平面111は、同一直線上にない3点を通る単一の面によって実現される。平面111は、平面111から突出する凸部がなく、平坦な形状をなす。突当て部110は、押圧された場合に容易に変形しない程度の硬度を呈する材料を用いて形成されている。具体的に、突当て部110は、たとえば、ポリカーボネート、ポリアセタール、ナイロン、アクリルなどの合成高分子の他、鋼などの金属材料を用いて形成することができる。
【0032】
スケール部120は、直線棒形状、直線筒形状などの長尺形状をなす基体121を備えている。基体121は、具体的には、たとえば、角柱や角筒(角パイプ)などの角材によって実現することができる。あるいは、基体121は、具体的には、たとえば、丸棒、円筒(円パイプ、楕円パイプ)などによって実現されるものであってもよい。
【0033】
基体121は、たとえば、プラスチックなどと称される合成高分子、金属、木材などを用いて形成することができる。角パイプ、円パイプ、楕円パイプなどの中空形状の部材を用いて基体121を実現することにより、測定装置100の軽量化を図り、測定装置100の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0034】
基体121は、直線形状をなし、長さ方向における一端が、突当て部110に連結されている。基体121は、突当て部110における平面111とは反対側において、突当て部110に連結されている。基体121は、突当て部110における平面111の略中央位置において、突当て部110に連結されている。これにより、後述する電力線の移動量を測定する作業に際して、マンホールの内壁面などの基準位置に、測定装置100を安定して突き当てることができる。
【0035】
基体121は、突当て部110における平面111の端部(周縁)において、突当て部110に連結されていてもよい。この場合、突当て部110およびスケール部120は、基体121の長さ方向に対して直交する方向から見た場合に略「L」字形状をなす。このように略「L」字形状をなす突当て部110および基体121は、たとえば、板金部材を折り曲げ加工することによって一体に形成することができる。
【0036】
基体121は、長さ方向における他端、すなわち、突当て部110に連結された一端とは反対側の端部が、突当て部110における平面111がなす面に直交する方向に沿って延出している。基体121の延出方向(スケール部120の長さ方向)と突当て部110における平面111とは直交する位置関係とされている。
【0037】
スケール部120は、長さ方向における平面111からの距離を示す指標122を備えている。指標122は、角材によって実現される基体121における少なくとも一面に付されている。指標122は、たとえば、スケール部120の長さ方向に沿って所定間隔ごとに複数設けられた目盛によって実現することができる。具体的に、目盛は、たとえば、1mm単位で設けることができる。目盛は、1mm単位で設けるものに限らず、1cm単位や5cm単位で設けられていてもよい。
【0038】
また、指標122は、たとえば、目盛の近傍または周辺に付された記号を含んでいてもよい。記号は、対応する目盛の、突当て部110における平面111からの距離を案内する。記号は、文字、符号、標章のうちの少なくともいずれか一つをあらわす。具体的に、記号は、たとえば、「1」、「2」、「3」、・・・などのように、対応する目盛の、突当て部110における平面111からの距離を直接示す文字(数字)によって実現することができる。
【0039】
記号を実現する文字は、たとえば、「1mm」、「2mm」、「3mm」、・・・、あるいは、「1cm」、「2cm」、「3cm」、・・・などのように、単位を含んでいてもよい。また、記号を実現する文字は、たとえば、「布設初期位置」、「前回測定位置」、「2019年○月×日測定」などのように、指標122の意義を案内する内容であってもよい。
【0040】
記号は、すべての目盛に対応して目盛と同数付されていてもよく、たとえば、「5」や「10」、あるいは、「5mm」や「10mm」、あるいは、「5cm」や「10cm」などのように、特定の位置に該当する所定の目盛の近傍または周辺にのみ、付されていてもよい。このように、特定の位置に該当する所定の目盛の近傍または周辺にのみ記号を付すことにより、すべての目盛に対応して目盛と同数の記号を付す場合と比較して、指標122をわかりやすく案内することができる。
【0041】
また、具体的に、記号は、たとえば、「・」や「※」などのように、特定の目盛を目立たせる符号(図形)によって実現されるものであってもよい。また、具体的に、記号は、たとえば、特定の位置に該当する所定の目盛を、その他の目盛と区別する態様であってもよい。より具体的には、たとえば、特定の位置に該当する所定の目盛を赤色で示し、その他の目盛を黒色で示すことができる。あるいは、特定の位置に該当する所定の目盛を、その他の目盛よりも太い線で示してもよい。
【0042】
スライダ部130は、スケール部120の長さ方向に沿って移動可能に設けられている。スライダ部130は、たとえば、すべての面が長方形によって構成される六面体である、直方体形状をなすスライダ本体131を備えている。スライダ本体131は、六面体を構成する面のうち、対向する2つ面の少なくとも1組が正方形をなす形状であってもよい。また、スライダ本体131は、六面体を構成するすべての面が正方形をなす形状であってもよい。
【0043】
スライダ本体131は、対向する2つの面の対向方向に沿ってスライダ本体131を貫通する第1の貫通孔132を備えている。また、スライダ本体131は、第1の貫通孔132が貫通する2つの面とは異なる1つの面から第1の貫通孔132に貫通する第2の貫通孔133を備えている。
【0044】
スライダ本体131は、第2の貫通孔133を介して、スケール部120における指標122を目視できるように、スケール部120に取り付けられている。具体的には、スライダ本体131における第2の貫通孔133の向きと、スケール部120における指標122の位置とを、ともに上向きに揃えることによって、第2の貫通孔133を介してスケール部120における指標122を目視させることができる。
【0045】
スライダ部130は、規制部材201を備えている。規制部材201は、たとえば、一部をスケール部120における基体121に当接させた状態で、スライダ本体131に固定されたゴム製のブロックによって実現することができる。
【0046】
規制部材201は、ゴム製のブロックに限らず、ゴム製のシートによって実現されるものであってもよい。ゴム製のシートは、たとえば、第1の貫通孔132の内壁面に設けることができる。これにより、規制部材201を外部から視認しにくくすることができ、測定装置100の美観を確保することができる。
【0047】
規制部材201は、ゴムによって形成されたブロックやシートによって実現されるものに限らず、たとえば、シリコンやウレタンによって形成されたブロックやシートによって実現されるものであってもよい。また、規制部材201は、たとえば、人工皮革あるいは天然皮革によって形成されたブロックやシートによって実現されるものであってもよい。
【0048】
規制部材201は、外力が加えられていない状態において、自身の摩擦力によってスケール部120に対するスライダ本体131の位置を固定する。規制部材201は、自動車などのタイヤを構成するゴム分子やフィラーの運動における原理と同様の原理にしたがった挙動を示す。
【0049】
これにより、スライダ部130に外力が加えられている場合に、当該外力に応じてスケール部120の長さ方向に沿ったスライダ部130の移動を許容し、スライダ部130が外力から開放された場合に、規制部材201と基体121との間の摩擦力によって、当該外力から開放された位置においてスライダ部130を停止させることができる。
【0050】
規制部材201は、角材によって実現される基体121において、指標122が付されていない面に当接するように設けられていることが好ましい。これにより、スケール部120に対してスライダ部130を移動させることによって規制部材201によって指標122が擦られることに起因して、指標122が剥がれたり、指標122が薄くなって視認性が低下したりすることを防止できる。
【0051】
光源部140は、スライダ部130に搭載されており、スケール部120の長さ方向に沿ったスライダ部130の移動にともない、スケール部120の長さ方向に沿って移動する。光源部140は、スケール部120の長さ方向に直交する方向に指向性を呈する光を発する発光体141を備えている。
【0052】
発光体141は、たとえば、LED(Light Emitting Diode)によって実現することができる。LEDはシリコン基盤(カソード)上に発光部材(アノード)が積層することによって構成されており、シリコン基盤が光を通さないため、LEDが発する光は発光部材側のみから発せられる。
【0053】
光源部140は、さらに、発光体141が発光した光を平行光に収束するレンズ、発光体141に給電する電池、発光体141の発光/消灯を切り替えるスイッチを含む電源回路(いずれも図示を省略する)などを備えている。これにより、発光体141が発する光は指向性を呈する。
【0054】
発光体141は、たとえば、レーザ発振器によって実現してもよい。レーザ発振器は、共振器、レーザ媒体、励起光源などによって構成され、コヒーレント光を発生させる。レーザ発振器は、LD(LASER Diode)によって実現してもよい。レーザ発振器は、赤色の光を発するレッドレーザーであってもよく、青色の光を発するブルーレーザーであってもよく、緑色の光を発するグリーンレーザーであってもよい。
【0055】
指示部150は、スケールの長さ方向における光源部140による発光位置を示す。指示部150は、一端がスライダ本体131における第2の貫通孔133の周縁に固定され、他端が基体121の表面に沿って第2の貫通孔133の内側に延出した指針によって実現することができる。
【0056】
指針の一端は、スライダ本体131における第2の貫通孔133の周縁であって、光源部140が発する光の光路の延長線上に固定されている。この実施の形態1において、指針の他端は、指針の一端から、光源部140が発する光の光路の延長線に沿って、当該一端が固定されている周縁に対向する周縁の近傍まで延出している。
【0057】
図3は、この発明にかかる測定装置100におけるスライダ部130を示す説明図である。図3においては、この発明にかかる測定装置100におけるスライダ部130を、図1における矢印A方向から見た状態を示している。
【0058】
図3に示すように、指示部150を実現する指針(以下、適宜「指針150」と示す。)は、スライダ部130の移動にともなう移動軌跡の少なくとも一部が、基体121に設けられた目盛と重複するように設けられている。指針150の移動軌跡は、図3における矢印300で示す幅寸法で、スケール部120の長さ方向に延出する帯形状をなす。このようにして指針150を設けることにより、指針150と目盛との位置関係がわかりやすくなり、指針150が指示する位置をわかりやすく案内することができる。
【0059】
(測定装置100の使用例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の測定装置100の使用例について説明する。図4は、この発明にかかる実施の形態1の測定装置100の使用例を示す説明図である。
【0060】
電力線401は、たとえば、電線類地中化により地中に埋設された送電線によって実現される。地中に埋設される電力線401は、架空送電とは異なり、地下トンネルやマンホールなどのような狭い空間に収容される。このため、電力線401どうしが触れても送電系統に支障を来さないように安全な絶縁処理が施されている。
【0061】
電力線401の絶縁処理は、具体的には、たとえば、電気を送る導体の周囲に設けられ、絶縁材料によって形成された厚い被覆を設けることによって実現している。このため、地中に埋設されている電力線401は、重量が大きく、波乗り現象による移動が生じた場合に、移動前の元の位置に戻すことは容易ではない。
【0062】
電力線401の移動量を測定する作業は、波乗り現象に起因する送電不良などの不具合の発生を防止することを目的として、電力線401の移動状況などに応じて適宜おこなう。そして、電力線401の移動量に基づき電力線401に波乗り現象が発生していると判断される場合は、当該電力線401のさらなる移動を抑制するために、拘束装置402などの付帯設備を電力線401に取り付ける。
【0063】
電力線401の移動量を測定する作業に際しては、図4に示すように、マンホールの壁面403からマンホール内に引き込まれている電力線401の移動量を測定する。具体的に、電力線401の移動量は、マンホールの壁面403からマンホール内に引き込まれている電力線401に設けられたマーク404の、マンホールの壁面403からの距離を測定することによっておこなう。
【0064】
マーク404は、電力線401の移動量の測定にかかる基準となる測定位置を示す。マーク404は、電力線401における任意の位置に設けることができる。マーク404は、具体的には、たとえば、当該任意の位置において外周を1周するように設けられたテープや塗装などによって実現することができる。
【0065】
マーク404の幅(電力線401の長さ方向におけるマーク404の寸法)が大きい場合、たとえば、マーク404の端部を指示する矢印などの指示記号405を設けることにより、測定をおこなう作業者によって測定結果にばらつきが生じてしまうことを防止できる。
【0066】
電力線401の移動量を測定する作業に際しては、まず、測定装置100における突当て部110の平面111を、移動量の測定対象とする電力線401が引き出されている壁面403に突き当てる。この際、作業者Pは、突当て部110の平面111の全体がマンホールの壁面403に当接するように、測定装置100を支持する。
【0067】
つぎに、光源部140のスイッチを操作して発光体141を発光させ、スライダ部130を把持して、スケール部120の長さ方向に沿ってスライダ部130を移動させる。光源部140のスイッチは突当て部110の平面111を、マンホールの壁面403に当接させる時点において操作しておいてもよい。スライダ部130は、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置まで、スケール部120の長さ方向に沿って移動させる。
【0068】
そして、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置にスライダ部130を位置づけた際の、指示部150が示す値を読み取る。具体的に、第2の貫通孔133を介して読み取ることができる目盛(指標122)のうち、指針150が指し示す目盛の値を読み取る。これにより、電力線401の移動量を測定することができる。
【0069】
スライダ部130は、規制部材201を備えているため、作業者Pは、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置にスライダ部130を位置づけた時点で、スライダ部130から手を離すことによって、所望の位置にスライダ部130を位置づけた状態で当該スライダ部130の位置を固定することができる。これにより、作業者Pは、指針150が指し示す目盛の読み取りが完了するまでスライダ部130を押さえていることなく、スライダ部130を所望の位置に位置づけた後は、目盛の読み取りに専念することができる。
【0070】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態1の形態の測定装置100は、平面111を備えた突当て部110と、長尺形状をなし、長さ方向における一端が平面111とは反対側において突当て部110に連結され、長さ方向における他端が平面111がなす面に直交する方向に沿って延出するスケール部120と、スケール部120の長さ方向に沿って移動可能なスライダ部130と、スライダ部130に搭載されて、スケール部120の長さ方向に直交する方向に指向性を呈する光を発する光源部140と、スケールの長さ方向における光源部140による発光位置を示す指示部150と、を備えたことを特徴としている。
【0071】
この発明にかかる実施の形態1の測定装置100によれば、光源部140がスケール部120の長さ方向に直交する方向に指向性を呈する光を発するため、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置まで、スケール部120の長さ方向に沿ってスライダ部130を移動させることにより、スケールの長さ方向における、突当て部110における平面111と指示部150が示す光源部140による発光位置との間の間隔によって、平面111を突き当てた壁面403などの基準位置と光源部140が発した光が照射される測定位置との間の距離を測定装置100に反映することができる。そして、突当て部110とスケール部120とが合体しているため、作業者Pは、測定装置100に反映した基準位置と測定位置との間の距離を測定することによって、基準位置と測定位置との間の距離を正確に特定することができる。
【0072】
これにより、マンホールの壁面403からマンホール内に引き込まれている電力線401の周囲に、拘束装置402などの付帯設備が設けられているために、当該電力線401に沿ってスケールなどの測定器具を当てることができない場合にも、作業者Pは、マンホールの壁面403に突き当てた突当て部110における平面111と、電力線401に設けられた測定指標122を照射する状態において指示部150が示す発光位置と、の間の距離を測定することによって、マンホールの壁面403などの基準位置から測定位置までの電力線401の長さを正確に特定することができる。
【0073】
また、この発明にかかる実施の形態1の形態の測定装置100は、スケール部120が、長さ方向における平面111からの距離を示す指標122を備え、指示部150が、光源部140による発光位置の指標122に対する位置を示す、ことを特徴としている。
【0074】
この発明にかかる実施の形態1の測定装置100によれば、作業者Pは、スケール部120の長さ方向に沿ってスライダ部130を移動させ、光源部140により発光した光が測定位置を照射する状態における、指標122に対する指針150の位置を確認することによって、測定装置100にスケールなどの測定器具を当てて基準位置と測定位置との間の距離を測定することなく、基準位置と測定位置との間の距離を容易に特定することができる。これにより、作業者Pは、マンホールの壁面403から測定位置までの電力線401の長さを容易に特定することができる。
【0075】
また、この発明にかかる実施の形態1の形態の測定装置100は、指標122が、スケール部120の長さ方向に沿って所定間隔ごとに複数設けられた目盛と、当該目盛のうちの所定の目盛の近傍に付されて平面111からの距離を案内する記号と、によって構成されたことを特徴としている。
【0076】
この発明にかかる実施の形態1の測定装置100によれば、所定間隔ごとに複数設けられた目盛のうち、指示部150が示す位置の目盛および当該目盛の近傍に付された記号に基づいて、基準位置と測定位置との間の距離を容易かつ正確に特定することができる。これにより、作業者Pは、マンホールの壁面403から測定位置までの電力線401の長さを容易かつ正確に特定することができる。
【0077】
また、この発明にかかる実施の形態1の形態の測定装置100は、記号が、文字、符号、標章のうちの少なくともいずれか一つをあらわすことを特徴としている。
【0078】
この発明にかかる実施の形態1の測定装置100によれば、文字、符号、標章のうちの少なくともいずれか一つによって、対応する目盛の平面111からの距離を案内することによって、作業者Pは、基準位置と測定位置との間の距離を一層容易かつ正確に特定することができる。
【0079】
また、この発明にかかる実施の形態1の形態の測定装置100は、スライダ部130が、外力が加えられている場合に当該外力に応じてスケール部120の長さ方向に沿って移動し、当該外力から開放された場合に当該外力から開放された位置において停止することを特徴としている。
【0080】
具体的に、スライダ部130が、規制部材201を備え、当該規制部材201が、スケール部120に当接し、外力が加えられている場合に、当該外力に応じてスケール部120の長さ方向に沿った当該スライダ部130の移動を許容し、当該外力から開放された場合に、当該スケール部120との間に作用する摩擦力によって当該外力から開放された位置において当該スライダ部130を停止させる規制部材201を備えたことを特徴としている。
【0081】
この発明にかかる実施の形態1の測定装置100によれば、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置まで、スケール部120の長さ方向に沿ってスライダを移動させるだけの作業で、基準位置と測定位置との間の距離を測定装置100に反映することができる。これにより、マンホールの壁面403から測定位置までの電力線401の長さを容易かつ正確に特定することができる。
【0082】
また、この発明にかかる実施の形態1の形態の測定装置100は、規制部材201が、スケール部120との間の摩擦によって外力から開放された位置において停止することを特徴としている。
【0083】
この発明にかかる実施の形態1の測定装置100によれば、サイズや重量を大きくすることなく、簡易な構成によってスライダ部130を所望の位置に固定することができる。これにより、測定装置100を容易に取り扱うことができ、電力線401の移動量を測定する作業にかかる作業者Pの負担軽減を図ることができる。
【0084】
<実施の形態2>
(測定装置100の構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の測定装置の構成について説明する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0085】
図5図7は、この発明にかかる実施の形態2の測定装置の構成を示す説明図である。図5図7において、この発明にかかる実施の形態2の測定装置500は、突当て部110と、スケール部120と、スライダ部530と、光源部140と、指示部150と、を備えている。
【0086】
スライダ部530は、天面531aが、スケール部120の長さ方向における他端側(先端側)ほど、基体121から離間する方向に傾斜する形状をなすスライダ本体531を備えている。スライダ本体531の天面531aには、スライダ本体531の内側に、鏡532が設けられている。鏡532は、基体121に付された指標122に対して、天面531aの傾斜方向に沿って傾斜した状態で対向している。
【0087】
スライダ本体531において、スケール部120の長さ方向における他端側(先端側)の壁面403には、当該壁面403を貫通する第2の貫通孔533が設けられている。第2の貫通孔533は、第1の貫通孔132に貫通している。これにより、鏡532に移る基体121に付された指標122および指針150を、第2の貫通孔533を介して視認することができる。
【0088】
(測定装置500の使用例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の測定装置500の使用例について説明する。図8および図9は、この発明にかかる実施の形態2の測定装置500の使用例を示す説明図である。なお、図9においては、説明のため、電力線401に対する測定装置500の向き(角度)を90度回転させた状態を示している。
【0089】
図8および図9に示すように、電力線401の移動量を測定する作業に際しては、測定装置500における突当て部110の平面111を、移動量の測定対象とする電力線401が引き出されている壁面403に突き当てる。そして、発光体141を発光させた状態で、スライダ部530を把持して、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置まで、スケール部120の長さ方向に沿ってスライダ部530を移動させる。
【0090】
その後、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置にスライダ部530を位置づけた際の、指示部150が示す値を読み取る。実施の形態2の測定装置500においては、傾斜した天面531aに鏡532が設けられており、第2の貫通孔533がスケール部120の長さ方向における他端側(先端側)の壁面403に設けられているため、作業者Pは、スケール部120の長さ方向における他端側(先端側)から第2の貫通孔533を介して、鏡532に映る目盛のうち、指針150が指し示す目盛の値を読み取る。これにより、電力線401の移動量を測定することができる。
【0091】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態2の測定装置500は、スライダ部530が、指示部150の指標122および指針150に対向する天面531aと、当該天面531aにおいて指標122および指針150に対向配置された鏡532と、を備えたことを特徴としている。
【0092】
この発明にかかる実施の形態2の測定装置500によれば、マンホールの壁面403に、当該壁面403から引き出された電力線401を拘束する拘束装置402が設けられており、かつ、当該拘束装置402や電力線401の周囲に作業者Pが顔を入れることができる十分なスペースがない場合にも、基準位置と測定位置との間の距離を正確に特定することができる。
【0093】
これにより、マンホールの壁面403からマンホール内に引き込まれている電力線401の周囲に、拘束装置402などの付帯設備が設けられているために、当該電力線401に沿ってスケールなどの測定器具を当てることができない場合にも、作業者Pは、マンホールの壁面403に突き当てた突当て部110における平面111と、電力線401に設けられた測定指標122を照射する状態において指示部150が示す発光位置と、の間の距離を測定することによって、マンホールの壁面403などの基準位置から測定位置までの電力線401の長さを正確に特定することができる。
【0094】
なお、この発明にかかる測定装置は、上述した平面111を備えた突当て部110に代えて、先端が単一の平面上に位置するように配置された3点以上の支持脚を備えた突当て部110を備えていてもよい。
【0095】
このような測定装置によれば、上述した測定装置100、500と同様に、光源部140がスケール部120の長さ方向に直交する方向に指向性を呈する光を発するため、光源部140により発光した光が測定位置を照射する位置まで、スケール部120の長さ方向に沿ってスライダを移動させることにより、スケールの長さ方向における、突当て部110における平面111と指示部150が示す光源部140による発光位置との間の間隔によって、平面111を突き当てた壁面403などの基準位置と光源部140が発した光が照射される測定位置との間の距離を測定装置に反映することができる。そして、突当て部110とスケール部120とが合体しているため、測定装置に反映した基準位置と測定位置との間の距離を測定することによって、基準位置と測定位置との間の距離を正確に特定することができる。
【0096】
これにより、マンホールの壁面403からマンホール内に引き込まれている電力線401の周囲に、拘束装置402などの付帯設備が設けられているために、当該電力線401に沿ってスケールなどの測定器具を当てることができない場合にも、マンホールの壁面403に突き当てた突当て部110における平面111と、電力線401に設けられた測定指標122を照射する状態において指示部150が示す発光位置と、の間の距離を測定することによって、マンホールの壁面403などの基準位置から測定位置までの電力線401の長さを正確に特定することができる。
【0097】
また、このような測定装置によれば、たとえば、モルタル吹き付け塗装などのように凹凸がある壁面403から引き出された電力線401などのケーブルの長さを測定する際に、当該壁面403に対して、測定装置を安定して突き当てるとともに、壁面403における凸部によってスケール部120の長さ方向が壁面403に対して傾いてしまうことを回避できる。
【0098】
具体的には、基準位置となる壁面403において、周囲よりも大きく突出している凸部を避けて、測定装置を壁面403に突き当てることができる。これにより、壁面403の状態に左右されにくくしてスケール部120の長さ方向が壁面403に直交するように測定装置を突き当てることができ、基準位置と測定位置との間の距離を正確に特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、この発明にかかる測定装置は、基準となる位置から測定位置までの距離を測定する測定装置に有用であり、特に、マンホールの壁面から引き出された電力線の移動量を測定する測定装置に適している。
【符号の説明】
【0100】
100 測定装置
110 突当て部
111 平面
120 スケール部
121 基体
122 指標
130 スライダ部
131 スライダ本体
132 第1の貫通孔
133 第2の貫通孔
140 光源部
150 指示部
201 規制部材
401 電力線
402 拘束装置
403 マンホールの壁面
404 マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9