(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/245 20060101AFI20230314BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230314BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230314BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230314BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230314BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230314BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230314BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230314BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230314BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20230314BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20230314BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
A61K31/245
A61K9/06
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/02
A61P1/02
A61K8/41
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/26
A61K47/06
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2019039698
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2018047939
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 崇之
(72)【発明者】
【氏名】木村 かおり
(72)【発明者】
【氏名】塩川 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】田中 大之
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/123100(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0003140(US,A1)
【文献】特開昭63-145228(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02392384(GB,A)
【文献】国際公開第2014/050852(WO,A1)
【文献】特開昭63-019152(JP,A)
【文献】特開2013-234173(JP,A)
【文献】特開2005-179319(JP,A)
【文献】特開平01-143829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61Q
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ安息香酸エチル、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース
、ヒドロキシプ
ロピルセルロース
、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含み、実質的に水を含有しない口腔用
軟膏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ安息香酸エチル含有口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔で生ずる疾患には口内炎、舌炎、口角炎、口唇炎、歯槽膿漏、歯肉炎などが挙げられ、これらの疾患の治療には、従来から半固形剤(軟膏剤、クリーム剤など)、液剤、フィルム製剤などが使用されてきた。口腔内の患部に塗布する軟膏剤やクリーム剤等の半固形剤は、歯や舌との接触や唾液によって製剤が患部から取り除かれやすいため、薬剤を患部に十分に保持できないことが課題となっている。これまでに、付着性に優れ利便性の高い口腔適用組成物として粘膜付着性高分子、糖アルコール及び油性基剤を含有する軟膏(特許文献1参照)やヒプロメロース及びポリアクリル酸ナトリウムを含有する口腔用半固形剤(特許文献2参照)が知られている。
一方、塩基性局所麻酔剤の一つであるアミノ安息香酸エチルは疼痛緩和や鎮痒の有効成分として種々の外用剤に使用されており(特許文献3参照)、アミノ安息香酸エチルが配合された口腔適用の軟膏剤が製品化されている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。しかしながら、アミノ安息香酸エチルを配合した軟膏剤において、経時的に製剤が変色することは知られておらず、経時的な着色の抑制方法は知られていない。また、アミノ安息香酸エチル、カルボキシビニルポリマー及びヒプロメロースを配合した軟膏剤は知られておらず、その軟膏が経時的に着色することも知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2014/050852号公報
【文献】特開2013-234173号公報
【文献】特開2005-179319号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】デンタルクリーム 添付文書
【文献】ヒノポロン口腔用軟膏 添付文書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、従来のアミノ安息香酸エチルとカルボキシビニルポリマーを配合した口腔用組成物に、粘膜への付着性を高めるためにヒプロメロースを配合したところ、良好な付着性は認められたものの、意外にも経時的に黄色に変色する課題が生じることがわかった。
【0006】
本発明の課題は、口腔粘膜への高い付着性を達成すると同時に、経時的な製剤の変色を抑制したアミノ安息香酸エチル含有口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アミノ安息香酸エチル、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含有し、実質的に水を含有しない組成物とすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)アミノ安息香酸エチル、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース及びヒドロキシプロピルセルロースを含有し、実質的に水を含有しない口腔用組成物、
(2)メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを更に含有する(1)に記載の口腔用組成物、
(3)剤形が軟膏である、(1)または(2)に記載の口腔用組成物、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、口腔粘膜への高い付着性を達成すると同時に、経時的な製剤の変色を抑制した優れたアミノ安息香酸エチル含有口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の口腔用組成物は、医薬品、医薬部外品または化粧品に使用することができる。本発明の口腔用組成物が医薬品の場合、具体的には、例えば、口内炎、舌炎、口角炎、口唇炎、歯槽膿漏、または歯肉炎の予防および/または治療用に使用され、このうち口内炎、舌炎、口角炎または口唇炎の予防および/または治療用に使用されるのが好ましい。
【0011】
本発明の口腔用組成物の剤形としては、例えば軟膏、ゲル、ペースト等が挙げられるが、好ましくは軟膏である。本発明の口腔用組成物の口腔への適用方法は特に制限されない。例えば、口腔粘膜用軟膏、口腔粘膜用ゲル剤、口腔粘膜用ペースト剤、歯肉用軟膏、歯肉用ゲル、歯肉用ペースト剤などがあげられ、好ましくは口腔粘膜用軟膏である。
【0012】
本発明において用いられるアミノ安息香酸エチルは、第十七改正日本薬局方に収載されており、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。アミノ安息香酸エチルはベンゾカインと呼ばれることもある。本発明において、アミノ安息香酸エチルの含有量は、口腔用組成物全体に対して好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.2~2質量%であり、0.3~1質量%がさらにより好ましい。
【0013】
本発明において用いられるカルボキシビニルポリマーは、医薬品添加物規格2013や医薬品添加物事典2016に収載されており、容易に入手することができる。本発明において、カルボキシビニルポリマーの含有量は、口腔用組成物全体に対して好ましくは0.2~10質量%であり、より好ましくは0.4~4質量%であり、さらに好ましくは0.5~3質量%であり、最も好ましくは0.5~2質量%である。0.2質量%未満だとカルボキシビニルポリマーによる製剤の付着効果が得られにくくなり、10質量%を超えると使用感が悪化するためである。
【0014】
本発明において使用されるヒプロメロースは、第十七改正日本薬局方や医薬品添加物事典2016に収載されており、容易に入手することができる。ヒプロメロースはヒドロキシプロピルメチルセルロースと呼ばれることもある。ヒプロメロースには、置換度タイプとして、1828、2208、2906及び2910があり、本発明にはいずれのタイプのものも使用可能であるが、置換度タイプ2208を使用するのが好ましい。本発明において、ヒプロメロースの含有量は、口腔用組成物全体に対して好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは5~25質量%であり、10~20質量%がさらにより好ましい。1質量%未満だとヒプロメロースによる製剤の付着効果が得られにくくなり、30質量%を超えると組成物が硬くなり使用性が悪化するためである。
【0015】
本発明において用いられるヒドロキシプロピルセルロースは、第十七改正日本薬局方や医薬品添加物辞典2016に収載されており、容易に入手することができる。本発明において、ヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、口腔用組成物全体に対して好ましくは0.2~20質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%であり、1~5質量%がさらにより好ましい。0.2質量%未満だとヒドロキシプロピルセルロースによる製剤の着色抑制効果が得られにくくなり、20質量%を超えると使用感が悪化するためである。
【0016】
本発明において用いられるメタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、日本薬局方外医薬品規格2002や医薬品添加物辞典2016に収載されており、容易に入手することができる。本発明において、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの含有量は、口腔用組成物全体に対して好ましくは0.1~12.5質量%であり、より好ましくは0.2~10質量%であり、0.5~5質量%がさらにより好ましい。0.1質量%未満だとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムによる製剤の着色抑制効果が得られにくくなり、12.5質量%を超えると組成物が固くなり使用性が悪化するためである。
【0017】
本発明において水は実質的に配合しないが、配合する原料に水が含まれることにより、製剤中に極めて微量が混在してしまうような場合は実質的に含有しないものに包含される。水の含有量は3質量%までであり、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下である。口腔用組成物中の水の含有量の測定は、例えばカール・フィッシャー法により行うことができる。
【0018】
本発明の口腔用組成物には、アミノ安息香酸エチル以外の有効成分をさらに配合することも可能であるが、必ずしも配合されていなくてもよい。配合可能な他の有効成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン等の副腎皮質ステロイド剤、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ポビドンヨード、アクリノール、トリクロサン、ピオゾール、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等の殺菌剤、アラントイン等の組織修復剤、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、シコン等の抗炎症剤、トコフェロール酢酸エステル、パンテノール等のビタミン剤、カルバゾクロム等の止血剤があげられる。
【0019】
本発明の口腔用組成物には、カルボキシビニルポリマー、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウム以外に、さらに、製剤添加物を加えることができる。製剤添加物としては 、基剤、湿潤剤、賦形剤、乳化剤、増粘剤、保存剤、着色剤、安定化剤、清涼化剤、矯味剤、香料等を挙げることができ、製剤添加物は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えればよいが、必ずしも配合されていなくてもよく、また配合可能なものとしてこれらに限定されるものではない。
【0020】
基剤としては、例えば、ゲル化炭化水素、白色ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、セタノール、ポリエチレン、硬化油等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができ、このうち特に好ましいのはゲル炭化水素又は白色ワセリンである。
【0021】
湿潤剤としては、例えば、ソルビトール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、トレハロース、ヒアルロン酸ナトリウム、加水分解コラーゲン、流動パラフィン等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して、必要に応じて配合することができる。
【0022】
賦形剤としては、例えば、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、ゼラチン、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0023】
乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート、ステアリン酸ソルビタン、アルキル硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0024】
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ローカストビーンガム、グアーガム、ゼラチン等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0025】
保存剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン等のパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)類等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0026】
安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸或いはその塩類等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0027】
矯味剤としては、例えば、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、ショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、ハチミツ、炭酸水素ナトリウム、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、キシリトール、イノシトール、D-ソルビトール、D-マンニトール、ラフィノース、ラクチュロース、ラクチトール、エリスリトール、還元パラチノース、パラチノース、パラチニット、アセスルファムK、マルトース、マルトシルトレハロース、マルチトール等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【0028】
香料としては、例えば、スペアミント油、ペパーミント油、チョウジ油、ハッカ油、タイム油、セージ油、ユーカリ油、 マヨナラ油、ライム油、レモン油及びオレンジ油等の天然香料及びl-メントール、dl-カンフル等が挙げられ、これらの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択して配合することができる。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例、比較例、参考例及び試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例、参考例の水分含量はカール・フィッシャー水分計により測定した。
【0030】
(実施例1)
アミノ安息香酸エチル1質量%、カルボキシビニルポリマー3質量%、ヒプロメロース20質量%、ヒドロキシプロピルセルロース10質量%、ゲル化炭化水素66質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は1.4質量%であった。
【0031】
(実施例2)
アミノ安息香酸エチル1質量%、カルボキシビニルポリマー1質量%、ヒプロメロース20質量%、ヒドロキシプロピルセルロース2質量%、ゲル化炭化水素76質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は0.9質量%であった。
【0032】
(実施例3)
アミノ安息香酸エチル1質量%、カルボキシビニルポリマー1質量%、ヒプロメロース20質量%、ヒドロキシプロピルセルロース2質量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.5質量%、ゲル化炭化水素75.5質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は0.9質量%であった。
【0033】
(実施例4)
アミノ安息香酸エチル1質量%、カルボキシビニルポリマー1質量%、ヒプロメロース20質量%、ヒドロキシプロピルセルロース2質量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム5質量%、ゲル化炭化水素71質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は1.5質量%であった。
【0034】
(実施例5)
アミノ安息香酸エチル0.3質量%、カルボキシビニルポリマー0.5質量%、ヒプロメロース20質量%、ヒドロキシプロピルセルロース2.5質量%、ゲル化炭化水素76.7質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は0.9質量%であった。
【0035】
(実施例6)
アミノ安息香酸エチル1質量%、カルボキシビニルポリマー0.5質量%、ヒプロメロース20質量%、ヒドロキシプロピルセルロース2.5質量%、ゲル化炭化水素76質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は0.9質量%であった。
【0036】
(実施例7)
アミノ安息香酸エチル0.3質量%、カルボキシビニルポリマー1質量%、ヒプロメロース20質量%、ヒドロキシプロピルセルロース2質量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム5質量%、ゲル化炭化水素71.7質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は1.5質量%であった。
【0037】
(実施例8)
アミノ安息香酸エチル1質量%、カルボキシビニルポリマー1質量%、ヒプロメロース10質量%、ヒドロキシプロピルセルロース5質量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム3質量%、ゲル化炭化水素80質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は1.0質量%であった。
【0038】
(比較例1)
アミノ安息香酸エチル1質量%、カルボキシビニルポリマー3質量%、ヒプロメロース20質量%、ゲル化炭化水素76質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は1.0質量%であった。
【0039】
(参考例1)
カルボキシビニルポリマー3質量%、ヒプロメロース20質量%、ゲル化炭化水素77質量%を均一になるように混和練合して軟膏を製造した。軟膏の水分含量は1.0質量%であった。
【0040】
(試験例1)
実施例1~8、比較例1、参考例1の軟膏を、20mLの透明ガラススクリュー管に5gずつとり、蓋を閉め、65℃条件下で1週間保存し、外観の色の変化を観察した。各処方を表1に示す。
【0041】
【0042】
(結果)
参考例1は直後から色の変化がなかったのに対し、比較例1は黄色に着色変化した。一方、実施例1~実施例8は、比較例1に比べて色の変化が抑えられた。なお、実施例1~8の中では、実施例7が最も色の変化が抑えられていた。また、実施例2~4を比べると、実施例4が色の変化を抑えられており、次いで実施例3が色の変化を抑えられていた。
【0043】
参考例1及び比較例1の結果から、カルボキシビニルポリマー及びヒプロメロースを配合した軟膏に、アミノ安息香酸エチルを配合すると経時的に黄色に変化し、商品性上課題となることがわかった。比較例1及び実施例1の結果から、アミノ安息香酸エチル、カルボキシビニルポリマー及びヒプロメロースに加えて、ヒドロキシプロピルセルロースを配合すると着色が改善されることがわかった。さらに、実施例3及び実施例4の軟膏は実施例2の軟膏と比較して着色の程度が低かったことから、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを配合することで、製剤の着色をより抑制できることがわかった。
【0044】
本発明の処方例を下記表2に示す。
【0045】
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の口腔用組成物は、高い付着性を達成すると同時に、経時的な製剤の変色を抑制したアミノ安息香酸エチル含有口腔用組成物を提供することができるようになった。