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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】電力入出力装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230314BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230314BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 H
H05K5/03 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019046051
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2020150671
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】栗坂 昌克
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-130779(JP,A)
【文献】特開2015-195159(JP,A)
【文献】特開平06-315265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H05K 7/20
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が第一方向に流れる流路を内方に有し、電力を入力し、かつ、電力を出力する電力入出力機器と、
前記電力入出力機器の前記第一方向側に配置され、かつ、前記第一方向に直交する第二方向に向かうほど前記電力入出力機器に近付くように前記第二方向に対して傾斜して配置される傾斜部と、
前記傾斜部に配置される電子部品と、
前記流体を流入させる流体入口部と、
前記傾斜部の前記第二方向側とは反対方向側に配置される前記流体の排出口と、
を備える電力入出力装置。
【請求項2】
さらに、前記傾斜部の前記第一方向側とは反対方向側に配置される送風機を備える
請求項1に記載の電力入出力装置。
【請求項3】
さらに、前記電力入出力機器の前記第二方向側に配置される開閉可能なカバー部材を備え、
前記流体入口部は、前記電力入出力機器に対して前記カバー部材とは反対側に配置され、
前記流体は、前記流体入口部から流入して前記第二方向に流れた後、前記電力入出力機器の内方を前記第一方向に流れる
請求項1または2に記載の電力入出力装置。
【請求項4】
さらに、
前記電力入出力機器の前記第一方向側に配置され、前記排出口から前記流体を排出する排出部を備え、
前記傾斜部は、前記排出部の一部である
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力入出力装置。
【請求項5】
さらに、前記流体を流出させる流体出口部を備え、
前記流体は、前記排出口から排出された後、前記第一方向とは反対方向に流れて、前記流体出口部から流出する
請求項1~4のいずれか1項に記載の電力入出力装置。
【請求項6】
前記電子部品は、前記傾斜部の前記第一方向側の面に配置される第一電子部品を有する
請求項1~5のいずれか1項に記載の電力入出力装置。
【請求項7】
前記電子部品は、前記傾斜部の前記第一方向とは反対側の面に配置される第二電子部品を有する
請求項1~のいずれか1項に記載の電力入出力装置。
【請求項8】
さらに、前記電力入出力機器を支持する支持部を備え、
前記支持部は、一対の脚部を有し、
前記流体入口部は、前記一対の脚部の間の空間の、前記第二方向側とは反対方向側に配置される
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の入出力を行う電力入出力機器と、電子部品とを備える電力入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力の入出力を行う電力入出力機器と、電子部品とを備え、電力入出力機器を冷却する電力入出力装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数の電池(電力入出力機器の一例)と電子部品とを備え、電子部品を内蔵する電子部品ケースに隣接して配置された送風ダクトに空気を送風して電池を冷却する電源装置(電力入出力装置の一例)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-234371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のような構成の電力入出力装置では、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができないという問題がある。つまり、上記従来の電力入出力装置では、電子部品は、送風ダクトの外カバーから突出する位置に配置されているため、電子部品を配置するためのスペースが必要であり、省スペース化を図ることができていない。しかし、省スペース化を図るために電子部品を送風ダクト内に配置すると、空気のスムーズな流れが阻害され、電力入出力機器の冷却効率が低下するおそれがある。このように、本願発明者は、上記従来のような構成の電力入出力装置では、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができないという問題があることを見出した。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができる電力入出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電力入出力装置は、流体が第一方向に流れる流路を内方に有し、電力を入力し、かつ、電力を出力する電力入出力機器と、前記電力入出力機器の第一方向側に配置され、かつ、前記第一方向に直交する第二方向に向かうほど前記電力入出力機器に近付くように前記第二方向に対して傾斜して配置される傾斜部と、前記傾斜部に配置される電子部品と、を備える。
【0007】
これによれば、電力入出力装置は、流体が第一方向に流れる流路を内方に有する電力入出力機器の第一方向側に、第二方向に対して傾斜する傾斜部を備えており、傾斜部に電子部品が配置されている。このように、電力入出力機器の第一方向側に傾斜部が配置されていることで、電力入出力機器内を第一方向に流れる流体が、傾斜部にぶつかって第一方向と交差する方向に流れる際に、当該流体の流れがスムーズになる。これにより、電力入出力機器を効率よく冷却することができる。また、傾斜部に電子部品を配置することで、傾斜部を配置することによって生じるスペースを有効活用することができる。これらにより、電力入出力装置において、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができる。
【0008】
また、さらに、前記電力入出力機器の前記第一方向側に配置され、前記流体を排出する排出部を備え、前記傾斜部は、前記排出部の一部であることにしてもよい。
【0009】
これによれば、傾斜部は、電力入出力機器の第一方向側に配置されて流体を排出する排出部の一部である。このように、傾斜部を排出部の一部として形成することで、傾斜部として排出部とは別部材を設ける必要がない。これにより、電力入出力装置において、さらなる省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、前記電子部品は、前記傾斜部の前記第一方向側の面に配置される第一電子部品を有することにしてもよい。
【0011】
これによれば、傾斜部の第一方向側の面に、第一電子部品が配置されている。このように、第一電子部品を傾斜部の第一方向側(外側)の面に配置することで、傾斜部を配置することによって生じるスペースそのものの空間を有効活用することができる。また、第一電子部品が流体のスムーズな流れを阻害するのを抑制することもできる。これらにより、電力入出力装置において、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができる。
【0012】
また、さらに、前記第一電子部品の前記第二方向側に配置される開閉可能なカバー部材を備えることにしてもよい。
【0013】
これによれば、第一電子部品の第二方向側には、開閉可能なカバー部材が配置されている。このように、傾斜部の第一方向側(外側)の面に配置された第一電子部品の第二方向側に、開閉可能なカバー部材が配置されることで、カバー部材を開けた際に、第一電子部品にアクセスしやすくなる。これにより、第一電子部品に対する作業(メンテナンスや交換作業等)を容易に行うことができるため、当該作業を行うために余分なスペースを確保する必要がなくなり、省スペース化を図ることができる。
【0014】
また、前記電子部品は、前記傾斜部の前記第一方向とは反対側の面に配置される第二電子部品を有することにしてもよい。
【0015】
これによれば、傾斜部の第一方向とは反対側の面に、第二電子部品が配置されている。このように、第二電子部品を傾斜部の第一方向とは反対側(内側)の面に配置することで、第二電子部品が傾斜部の外側に飛び出さないため、省スペース化を図ることができる。また、第二電子部品を、傾斜部のうちの流体のスムーズな流れを阻害しないような位置に配置することで、冷却効率の向上を妨げるのを抑制することができる。
【0016】
なお、本発明は、このような電力入出力装置として実現することができるだけでなく、電力入出力装置が備える傾斜部及び電子部品としても実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができる電力入出力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る電力入出力装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る電力入出力装置を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る排出部の構成を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係る電力入出力機器及び排出部の構成を示す断面図である。
図5】実施の形態に係る電力入出力機器及び排出部を流れる流体の流れを示す断面図である。
図6】実施の形態の変形例に係る電力入出力装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態(及びその変形例)に係る電力入出力装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0020】
また、以下の説明及び図面中において、筐体の幅方向、つまり、筐体本体の一対の側壁部の対向方向を、X軸方向と定義する。筐体の前後方向、つまり、筐体本体とカバー部材との並び方向を、Y軸方向と定義する。筐体の高さ方向、電力入出力機器と排出部との並び方向、または、電力入出力機器内を流体が流れる方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、以下では、Z軸プラス方向を第一方向、Y軸マイナス方向を第二方向とも呼ぶ場合がある。
【0021】
(実施の形態)
[1 電力入出力装置の全般的な説明]
まず、本実施の形態における電力入出力装置10の全般的な説明を行う。図1は、本実施の形態に係る電力入出力装置10の外観を示す斜視図である。具体的には、図1の(a)は、電力入出力装置10の前方を斜め上方から見た場合の構成を示す斜視図であり、図1の(b)は、電力入出力装置10の後方を斜め上方から見た場合の構成を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る電力入出力装置10を分解して各構成要素を示す分解斜視図である。具体的には、図2は、電力入出力装置10の各構成要素を、図1の(a)と同じ方向から見た場合の構成を示す斜視図である。
【0022】
電力入出力装置10は、電力を入力し、かつ、電力を出力する装置である。本実施の形態では、電力入出力装置10は、交流電力を入力して直流電力を出力する、または、直流電力を入力して交流電力を出力する電力変換装置である。電力入出力装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)若しくはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、または、自動二輪車等の移動体等を充電するための充電スタンド(充電ステーション、充電スポット)等に用いられる。
【0023】
図1に示すように、電力入出力装置10は、筐体本体100とカバー部材200とを有する筐体20を備えており、図2に示すように、筐体20の内方には、電力入出力機器300、排出部400及び支持部500等が収容されている。なお、筐体20の内方には、ブレーカ、制御基板及び配線類等も収容されており、筐体20には、電力を入出力するためのケーブルが接続されるコネクタ等も配置されているが、これらは省略して図示している。
【0024】
筐体20は、開口が形成された筐体本体100と、筐体本体100の当該開口を閉塞するカバー部材200と、を有する直方体形状(角形または箱形)のケースである。このような構成により、筐体20は、電力入出力機器300等を筐体本体100の内部に収容後、筐体本体100とカバー部材200とがねじ締結等されることにより、筐体本体100の開口が閉止される構造となっている。筐体本体100及びカバー部材200の材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板、ステンレス鋼等の金属材料等で形成されている。
【0025】
筐体本体100は、筐体20の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Y軸マイナス方向側に開口が形成されている。つまり、筐体本体100は、X軸方向両側の側面に一対の側壁部110を有し、Y軸プラス方向側の背面に後壁部120を有し、Z軸プラス方向側の上面に上壁部130を有し、Z軸マイナス方向側の底部に台座部140を有している。側壁部110は、YZ平面に平行かつZ軸方向に延設された平板状かつ矩形状の壁部である。後壁部120は、XZ平面に平行かつZ軸方向に延設された平板状かつ矩形状の壁部である。上壁部130は、XY平面に平行かつY軸方向に長い平板状かつ矩形状の壁部である。台座部140は、電力入出力装置10を地面等に載置して取り付けるための土台である。
【0026】
ここで、後壁部120には、流体入口部121と、流体出口部122とが形成されている。流体入口部121は、後壁部120のZ軸マイナス方向側の端部に配置される矩形状の開口部(貫通孔)であり、流体(本実施の形態では、空気(外気))を筐体20内に流入するための流入口である。流体出口部122は、後壁部120のZ軸プラス方向側の部位またはZ軸方向中央部に配置される矩形状の開口部(貫通孔)であり、流体(本実施の形態では、空気(外気))を筐体20から流出させるための流出口である。
【0027】
カバー部材200は、筐体20の前壁部を構成する平板状かつ矩形状の部材であり、筐体本体100のY軸マイナス方向側に、XZ平面に平行かつZ軸方向に延設されて配置されている。つまり、カバー部材200は、筐体本体100の開口を開閉可能に塞ぐ蓋である。本実施の形態では、カバー部材200は、筐体本体100の開口を取り外し可能に塞ぐカバーであるが、ヒンジ等によって筐体本体100の開口を開け閉め可能(開け閉め自在)に塞ぐ扉であってもよい。また、カバー部材200のZ軸プラス方向側の部位には、筐体20内部の機器に関する情報を表示したり、当該機器を操作したりするための操作部210等が設けられている。
【0028】
電力入出力機器300は、電力を入力し、かつ、電力を出力する機器である。本実施の形態では、電力入出力機器300は、交流電力を入力して直流電力に変換し直流電力を出力する、または、直流電力を入力して交流電力に変換し交流電力を出力する機器、つまり、交流電力と直流電力との変換を行う電力変換器である。すなわち、電力入出力機器300は、コンバータ(AC/DCコンバータ)及びインバータ(DC/ACインバータ)の少なくとも一方の機能を有する機器である。なお、電力入出力機器300は、DC/DCコンバータまたはAC/ACコンバータの機能を有する機器であってもよい。
【0029】
本実施の形態では、Z軸方向に長尺かつX軸方向に扁平な直方体形状の電力入出力機器300が2つX軸方向に並んで配置されている。そして、この2つの電力入出力機器300それぞれの底面部には後述の第一送風機310(図4参照)が配置されており、この2つの電力入出力機器300の内部に、上述の筐体20の流体入口部121から流入した流体が流れる構成となっている。なお、電力入出力機器300の形状、数、及び、並び方向等は、特に限定されない。この電力入出力機器300の構成、及び、当該流体の流れの詳細な説明については、後述する。
【0030】
排出部400は、電力入出力機器300のZ軸プラス方向(第一方向)側に配置され、電力入出力機器300の内部を流れた流体を排出する部材である。つまり、排出部400は、内方に空間を有する中空の部材であり、電力入出力機器300から流出した流体を内方に取り入れ、かつ、当該流体の向きを変えて、外方(Y軸プラス方向側)へ排出する。この排出部400の構成、及び、当該流体の流れの詳細な説明については、後述する。
【0031】
支持部500は、電力入出力機器300及び排出部400を支持する部材であり、電力入出力機器300のZ軸マイナス方向側に配置されている。支持部500の材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板、ステンレス鋼等の金属材料等で形成されている。
【0032】
具体的には、支持部500は、X軸方向両端部に2本の脚部510を有しており、当該2本の脚部510の間には空間が形成されている。電力入出力機器300は、支持部500に載置されることで、当該2本の脚部510の間の空間のZ軸プラス方向側に配置されることとなる。これにより、筐体20の流体入口部121から流入した流体は、当該空間を通って、電力入出力機器300に到達することができる。
【0033】
[2 電力入出力機器、排出部の構成、及び、流体の流れの説明]
次に、電力入出力機器300及び排出部400の構成、並びに、これらを流れる流体の流れについて、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る排出部400の構成を示す斜視図である。具体的には、図3は、排出部400から排出部蓋体430を取り外した場合の構成を示す斜視図である。図4は、本実施の形態に係る電力入出力機器300及び排出部400の構成を示す断面図である。具体的には、図4は、図1の(a)に示した電力入出力装置10を、IV-IV線を含むYZ平面に平行な面で切断した場合の構成を示す断面図である。図5は、本実施の形態に係る電力入出力機器300及び排出部400を流れる流体の流れを示す断面図である。
【0034】
まず、排出部400の構成について、詳細に説明する。図3に示すように、排出部400は、第二送風機410と、一対の排出部側壁420と、排出部蓋体430と、排出部後壁440とを有している。
【0035】
第二送風機410は、Z軸プラス方向へ向けて流体を送るファンであり、排出部400のZ軸マイナス方向側の端部(下部)、つまり、電力入出力機器300の直上に配置されている。この第二送風機410が駆動することにより、電力入出力機器300からの流体が、排出部400の内部に取り入れられて、排出部後壁440から排出される。本実施の形態では、2つの電力入出力機器300のそれぞれに対応して、第二送風機410が3つずつ配置されている。なお、第二送風機410の数は特に限定されず、また、第二送風機410は、ファン以外の手段によって流体を送る機器であってもよい。
【0036】
排出部側壁420は、排出部400のX軸方向両側の側面に配置される、YZ平面に平行かつY軸方向に延設された平板状かつ台形状の部材である。排出部後壁440は、排出部400のY軸プラス方向側の背面に配置される、XZ平面に平行な平板状かつ矩形状の部材である。排出部後壁440には、排出部400内に取り入れられた流体を排出するための複数の排出口441が形成されている。排出口441は、X軸方向に長尺な貫通孔であり、Z軸方向に複数の排出口441が並んで配置されている。
【0037】
排出部蓋体430は、排出部400の排出部側壁420及び排出部後壁440で形成される上方及び前方の開口を塞ぐ蓋であり、傾斜部431と、排出部前壁432とを有している。排出部前壁432は、排出部400のY軸マイナス方向側の前面に配置される、XZ平面に平行かつX軸方向に延設された平板状かつ矩形状の部位である。
【0038】
傾斜部431は、排出部400のZ軸プラス方向側の上面に配置される部位である。つまり、傾斜部431は、排出部400の一部である。具体的には、傾斜部431は、Y軸マイナス方向側の端部がY軸プラス方向側の端部よりもZ軸マイナス方向側に配置されるように、XY平面に平行な面に対して傾斜して配置される平板状かつ矩形状の部位である。つまり、傾斜部431は、電力入出力機器300のZ軸プラス方向(第一方向)側に配置され、かつ、Y軸マイナス方向(第一方向に直交する第二方向)に向かうほど電力入出力機器300に近付くようにY軸マイナス方向(第二方向)に対して傾斜して配置されている。
【0039】
ここで、傾斜部431には、電子部品433が配置されている。具体的には、傾斜部431のZ軸プラス方向側の面(上面または外面)に、第一電子部品433aが配置されている。つまり、電子部品433は、傾斜部431のZ軸プラス方向(第一方向)側の面に配置される第一電子部品433aを有している。これにより、第一電子部品433aは、筐体20のカバー部材200に面していることとなる。つまり、カバー部材200は、第一電子部品433aのY軸マイナス方向(第二方向)側に配置されることとなる。
【0040】
本実施の形態では、第一電子部品433aは、例えば、電流センサ、リレー、ノイズフィルタ等の比較的大きなサイズの電子部品である。また、第一電子部品433aは、傾斜部431の傾斜によって生じたスペースを有効活用するために、傾斜部431の上面のうちのY軸マイナス方向側の面に配置されている。ただし、第一電子部品433aは、制御基板に実装するような比較的小さな電子部品であってもよく、その大きさは特に限定されない。また、傾斜部431の上面における第一電子部品433aの配置位置についても特に限定されず、他の部材との位置関係によって適宜決定することができる。
【0041】
排出部側壁420、排出部蓋体430及び排出部後壁440の材質は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板、ステンレス鋼等の金属材料、または、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の樹脂材料等で形成されている。なお、排出部側壁420、排出部蓋体430及び排出部後壁440は、全てが同じ材質で形成されている必要はなく、少なくとも1つが異なる材質で形成されていてもよい。
【0042】
次に、電力入出力機器300の構成、並びに、電力入出力機器300及び排出部400を流れる流体の流れについて、詳細に説明する。
【0043】
電力入出力機器300は、Z軸マイナス方向側の底面部及びZ軸プラス方向側の上面部に開口(図示せず)を有しており、当該底面部の開口には、図4に示すように、第一送風機310が配置されている。第一送風機310は、Z軸プラス方向へ向けて流体を送るファンである。本実施の形態では、2つの電力入出力機器300のそれぞれに、第一送風機310が3つずつ配置されている。なお、第一送風機310の数は特に限定されず、また、第一送風機310は、ファン以外の手段によって流体を送る機器であってもよい。
【0044】
この第一送風機310が駆動することにより、筐体20の外部の流体(本実施の形態では、空気(外気))が、筐体20の筐体本体100の後壁部120に形成された流体入口部121から筐体20内に流入し、さらに、電力入出力機器300内に流入する。
【0045】
つまり、図5に示すように、第一送風機310が駆動することにより、流体入口部121から流体F(空気)が流入し、電力入出力機器300のZ軸マイナス方向側の空間の流路R1を通って、電力入出力機器300の底面部に到達する。そして、流路R1を通って流入した流体Fは、第一送風機310によって、電力入出力機器300の底面部の開口から電力入出力機器300の内方に流入し、電力入出力機器300の上面部の開口に向けて流路R2を流れる。このように、電力入出力機器300は、流体FがZ軸プラス方向(第一方向)に流れる流路R2を内方に有している。
【0046】
また、電力入出力機器300のZ軸プラス方向側(直上)には、第二送風機410が配置されており、排出部400は、上面がカバー部材200に向くように傾斜する傾斜部431を有している。このため、電力入出力機器300内の流路R2を流れた流体Fは、第二送風機410によって、排出部400の内方に流入し、傾斜部431のZ軸マイナス方向側の面にぶつかることにより、Y軸プラス方向に進路を変えて、流路R3を流れる。これにより、流体Fは、排出部後壁440の排出口441を通って、排出部400の外部へ排出される。そして、流体Fは、筐体20の後壁部120に沿ってZ軸マイナス方向に向く流路R4を流れ、後壁部120の流体出口部122から流路R5を通って排出される。
【0047】
[3 効果の説明]
以上のように、本発明の実施の形態に係る電力入出力装置10によれば、流体Fが第一方向(Z軸プラス方向)に流れる流路R2を内方に有する電力入出力機器300の第一方向側に、第二方向(Y軸マイナス方向)に対して傾斜する傾斜部431を備えており、傾斜部431に電子部品433が配置されている。このように、電力入出力機器300の第一方向側に傾斜部431が配置されていることで、電力入出力機器300内を第一方向に流れる流体Fが、傾斜部431にぶつかって第一方向と交差する方向に流れる際に、流体Fの流れがスムーズになる。これにより、電力入出力機器300を効率よく冷却することができる。また、傾斜部431に電子部品433を配置することで、傾斜部431を配置することによって生じるスペースを有効活用することができる。これらにより、電力入出力装置10において、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができる。
【0048】
また、傾斜部431は、電力入出力機器300の第一方向側に配置されて流体Fを排出する排出部400の一部である。このように、傾斜部431を排出部400の一部として形成することで、傾斜部431として排出部400とは別部材を設ける必要がない。これにより、電力入出力装置10において、さらなる省スペース化を図ることができる。
【0049】
また、傾斜部431の第一方向側の面に、第一電子部品433aが配置されている。このように、第一電子部品433aを傾斜部431の第一方向側(外側)の面に配置することで、傾斜部431を配置することによって生じるスペースそのものの空間を有効活用することができる。また、第一電子部品433aが流体Fのスムーズな流れを阻害するのを抑制することもできる。これらにより、電力入出力装置10において、冷却効率の向上と省スペース化との両立を図ることができる。
【0050】
また、第一電子部品433aを傾斜部431の外側の面に配置することで、電力入出力機器300内を流れる流体Fが第一電子部品433aに当たるのを抑制することができる。これにより、第一電子部品433aに埃が付着する等の、流体Fが接触することによる不具合を抑制することができる。さらに、傾斜部431が金属等の熱伝導率の高い部材で形成されている場合には、流体Fが傾斜部431を冷却することにより、傾斜部431を介して第一電子部品433aを冷却することもできる。
【0051】
また、第一電子部品433aの第二方向側には、開閉可能なカバー部材200が配置されている。このように、傾斜部431の第一方向側(外側)の面に配置された第一電子部品433aの第二方向側に、開閉可能なカバー部材200が配置されることで、カバー部材200を開けた際に、第一電子部品433aにアクセスしやすくなる。例えば、排出部400を筐体20の前方に引き出し可能に構成すれば、カバー部材200を開放した後に、排出部400を前方に引き出すことで、第一電子部品433aに容易にアクセスすることができる。これにより、第一電子部品433aに対する作業(メンテナンスや交換作業等)を容易に行うことができるため、当該作業を行うために余分なスペースを確保する必要がなくなり、省スペース化を図ることができる。
【0052】
また、電力入出力機器300を流れる主電流の経路に接続される電子部品等、比較的サイズが大きい電子部品433を傾斜部431に配置することで、傾斜部431を配置することによって生じるスペースをさらに有効活用することができる。
【0053】
[4 変形例の説明]
次に、上記実施の形態の変形例について、説明する。図6は、本実施の形態の変形例に係る電力入出力装置11の構成を示す断面図である。具体的には、図6は、図4に対応する図である。
【0054】
図6に示すように、本変形例では、電子部品433は、上記実施の形態における第一電子部品433aに代えて、第二電子部品433bを有している。その他の構成については、上記実施の形態と同様である。
【0055】
第二電子部品433bは、傾斜部431のZ軸マイナス方向側の面(第一方向とは反対側の面、下面または内面)に配置されている。具体的には、第二電子部品433bは、傾斜部431の下面のうちのX軸方向中央部、かつ、Y軸プラス方向側の面に配置されている。なお、第二電子部品433bは、傾斜部431の下面のうちのX軸方向端部に配置されていてもよい。また、第二電子部品433bは、傾斜部431の下面のうちのY軸マイナス方向側の面またはY軸方向中央部の面に配置されていてもよい。ただし、この場合、第二電子部品433bは、電力入出力機器300を流れる流体Fのスムーズな流れを阻害しないために、傾斜部431の下面のうちのX軸方向端部に配置されるのが好ましい。
【0056】
以上のように、本変形例に係る電力入出力装置11によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、傾斜部431の第一方向とは反対側(Z軸マイナス方向側)の面(内面)に、第二電子部品433bが配置されている。このように、第二電子部品433bを傾斜部431の内面に配置することで、第二電子部品433bが傾斜部431の外側に飛び出さないため、省スペース化を図ることができる。また、第二電子部品433bを、傾斜部431のうちの流体Fのスムーズな流れを阻害しないような位置に配置することで、冷却効率の向上を妨げるのを抑制することができる。
【0057】
また、第二電子部品433bを傾斜部431の内側の面に配置することで、電力入出力機器300内を流れる流体Fが第二電子部品433bを冷却することができる。これにより、第二電子部品433bが発熱する場合には、第二電子部品433bの性能や寿命の低下を抑制することができる。
【0058】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る電力入出力装置について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0059】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、電力入出力機器300は、電力変換器であることとした。しかし、電力入出力機器300は、電気を入力し、かつ、電気を出力する機器であればよく、電力変換器には限定されない。例えば、電力入出力機器300は、リレーやブレーカ等の電子部品を搭載した電子機器であってもよいし、リチウムイオン二次電池等の二次電池であってもよい。
【0060】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電力入出力機器300の内方を流れる流体Fは、空気(外気)であることとした。しかし、流体Fは、外気以外の空気であってもよいし、空気以外の気体であってもよい。
【0061】
また、上記実施の形態及びその変形例では、傾斜部431は、傾斜した平板状の部位であることとした。しかし、傾斜部431は、傾斜した曲板状の部位であることにしてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態及びその変形例では、傾斜部431は、排出部400の一部であることとした。しかし、傾斜部431は、排出部400とは別体で構成されていることにしてもよい。または、電力入出力装置10は、排出部400を備えておらず、電力入出力機器300の上方に傾斜部431が配置されている構成でもよい。
【0063】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電子部品433は、傾斜部431の上面及び下面のうちのいずれかの面に配置されていることとした。しかし、電子部品433は、傾斜部431の上面及び下面の双方に配置されていることにしてもよい。つまり、電子部品433は、第一電子部品433a及び第二電子部品433bの双方を有していることにしてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、カバー部材200は、第一電子部品433aのY軸マイナス方向側に配置されている、つまり、筐体20のY軸マイナス方向側の壁部であることとした。しかし、カバー部材200は、筐体20のY軸プラス方向側の壁部であることにしてもよいし、X軸プラス方向側またはX軸マイナス方向側の壁部であることにしてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態及びその変形例では、カバー部材200は、筐体本体100の開口を開閉可能に塞ぐカバーであることとした。しかし、カバー部材200は、筐体本体100に開閉不能に固定されていることにしてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電力入出力機器300の内方を流れる流体Fは、筐体20の後壁部120の流体入口部121から流入し、流体出口部122から排出されることとした。しかし、流体Fが流入する位置、及び、排出される位置は、特に限定されず、例えば、流体Fは、側壁部110またはカバー部材200側から流入することにしてもよいし、後壁部120の上端部から排出されることにしてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電力入出力機器300の内方を流れる流体Fは、電力入出力機器300の第一送風機310、及び、排出部400の第二送風機410の双方によって送られることとした。しかし、第一送風機310及び第二送風機410のいずれか一方しか配置されておらず、流体Fは、当該いずれか一方によって送られることにしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電力入出力装置(の筐体20)は、直方体形状(角形または箱形)を有していることとした。しかし、電力入出力装置10(の筐体20)の形状は、直方体形状には限定されず、直方体形状以外の多角柱形状、円柱形状、長円柱形状、楕円柱形状等であってもよい。
【0069】
なお、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0070】
また、本発明は、このような電力入出力装置として実現することができるだけでなく、電力入出力装置が備える傾斜部431及び電子部品433としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、充電スタンドなどの電力入出力装置に適用できる。
【符号の説明】
【0072】
10、11 電力入出力装置
20 筐体
100 筐体本体
120 後壁部
121 流体入口部
122 流体出口部
200 カバー部材
300 電力入出力機器
310 第一送風機
400 排出部
410 第二送風機
420 排出部側壁
430 排出部蓋体
431 傾斜部
432 排出部前壁
433 電子部品
433a 第一電子部品
433b 第二電子部品
440 排出部後壁
441 排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6