(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】エレベーターのガイドレールに油を塗布するハンディ注油機用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20230314BHJP
B66B 7/12 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B7/12 A
(21)【出願番号】P 2019046362
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 悟
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-036320(JP,A)
【文献】特開2015-101418(JP,A)
【文献】特開2000-247561(JP,A)
【文献】特開2012-071958(JP,A)
【文献】特開2002-053279(JP,A)
【文献】国際公開第00/027738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンディ注油機の注油口に対して着脱自在に設けられ、ハンディ注油機から油の供給を受ける基部と、
前記基部に連結され、一対の側面用吐出部と先端面用吐出部とに分岐され、前記基部から油の供給を受け、前記一対の側面用吐出部の一方がエレベーター用ガイドレールの両側面の一方に接触し、前記一対の側面用吐出部の他方が前記エレベーター用ガイドレールの両側面の他方に接触し、前記先端面用吐出部が前記エレベーター用ガイドレールの先端面に接触した状態において、前記エレベーター用ガイドレールの両側面と先端面とに同時に油を塗布する塗布部と、
を備え
、
前記一対の側面用吐出部の一方は、前記基部から左側に曲がるように円弧状に形成され、
前記一対の側面用吐出部の他方は、前記基部から右側に曲がるように円弧状に形成され、
前記先端面用吐出部は、前記基部から一直線上に形成され、
前記一対の側面用吐出部のそれぞれは、前記先端面用吐出部よりも太いエレベーターのハンディ注油機用アタッチメント。
【請求項2】
ハンディ注油機の注油口に対して着脱自在に設けられ、ハンディ注油機から油の供給を受ける基部と、
前記基部に連結され、一対の側面用吐出部と先端面用吐出部とに分岐され、前記基部から油の供給を受け、前記一対の側面用吐出部の一方がエレベーター用ガイドレールの両側面の一方に接触し、前記一対の側面用吐出部の他方が前記エレベーター用ガイドレールの両側面の他方に接触し、前記先端面用吐出部が前記エレベーター用ガイドレールの先端面に接触した状態において、前記エレベーター用ガイドレールの両側面と先端面とに同時に油を塗布する塗布部と、
前記一対の側面用吐出部のそれぞれの先端部に設けられ、磁力を発生させる一対の側面用磁力発生部と、
を備えたエレベーターのハンディ注油機用アタッチメント。
【請求項3】
前記先端面用吐出部の先端部に設けられ、磁力を発生させる先端面用磁力発生部、
を備えた請求項
2に記載のエレベーターのハンディ注油機用アタッチメント。
【請求項4】
前記一対の側面用吐出部のそれぞれの先端部において油が染み込むように設けられた一対の側面用染み込み部と、
前記先端面用吐出部の先端部において油が染み込むように設けられた先端面用染み込み部と、
を備えた請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターのハンディ注油機用アタッチメント。
【請求項5】
前記一対の側面用吐出部のそれぞれの先端部は、可撓性を有し、
前記先端面用吐出部の先端部は、可撓性を有した請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターのハンディ注油機用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターのガイドレールに油を塗布するハンディ注油機用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターのガイドレールを開示する。ガイドレールは、かごまたは釣合おもりを案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のガイドレールにおいては、油が足りない箇所においては、ガイドシューとの接触により異音が発生する。このため、当該箇所に油を適宜塗布する必要がある。
【0005】
この発明は、上述の課題を解決するためになされた。この発明の目的は、エレベーター用ガイドレールへの油の塗布を容易に行うことができるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントは、ハンディ注油機の注油口に対して着脱自在に設けられ、ハンディ注油機から油の供給を受ける基部と、前記基部に連結され、一対の側面用吐出部と先端面用吐出部とに分岐され、前記基部から油の供給を受け、前記一対の側面用吐出部の一方がエレベーター用ガイドレールの両側面の一方に接触し、前記一対の側面用吐出部の他方が前記エレベーター用ガイドレールの両側面の他方に接触し、前記先端面用吐出部が前記エレベーター用ガイドレールの先端面に接触した状態において、前記エレベーター用ガイドレールの両側面と先端面とに同時に油を塗布する塗布部と、を備え、前記一対の側面用吐出部の一方は、前記基部から左側に曲がるように円弧状に形成され、前記一対の側面用吐出部の他方は、前記基部から右側に曲がるように円弧状に形成され、前記先端面用吐出部は、前記基部から一直線上に形成され、前記一対の側面用吐出部のそれぞれは、前記先端面用吐出部よりも太い。
また、この発明に係るエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントは、ハンディ注油機の注油口に対して着脱自在に設けられ、ハンディ注油機から油の供給を受ける基部と、前記基部に連結され、一対の側面用吐出部と先端面用吐出部とに分岐され、前記基部から油の供給を受け、前記一対の側面用吐出部の一方がエレベーター用ガイドレールの両側面の一方に接触し、前記一対の側面用吐出部の他方が前記エレベーター用ガイドレールの両側面の他方に接触し、前記先端面用吐出部が前記エレベーター用ガイドレールの先端面に接触した状態において、前記エレベーター用ガイドレールの両側面と先端面とに同時に油を塗布する塗布部と、前記一対の側面用吐出部のそれぞれの先端部に設けられ、磁力を発生させる一対の側面用磁力発生部と、を備えた。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、塗布部は、エレベーター用ガイドレールの両側面と先端面とに同時に油を塗布する。このため、エレベーター用ガイドレールへの油の塗布を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるハンディ注油機の使用状態を示す平面図である。
【
図3】実施の形態2におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるハンディ注油機の使用状態を示す平面図である。
【
図4】実施の形態3におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるハンディ注油機の使用状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0010】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるエレベーターの構成図である。
【0011】
図1のエレベーターにおいて、昇降路1は、図示されない建築物の各階を貫く。複数の乗場3の各々は、建築物の各階に設けられる。複数の乗場3の各々は、昇降路1に対向する。
【0012】
一対のかご用ガイドレール4は、昇降路1の底部に固定される。一対のおもり用ガイドレール5は、昇降路1の底部に固定される。
【0013】
巻上機6は、機械室2に設けられる。主ロープ7は、巻上機6に巻き掛けられる。
【0014】
かご8は、昇降路1の内部に設けられる。かご8は、一対のかご用ガイドレール4に案内される。かご8は、主ロープ7の一側に支持される。釣合おもり9は、昇降路1の内部に設けられる。釣合おもり9は、一対のおもり用ガイドレール5に案内される。釣合おもり9は、主ロープ7の他側に支持される。
【0015】
かご用給油器10は、かご8に設けられる。かご用給油器10は、かご8の昇降に応じてかご用ガイドレール4に油を塗布し得るように設けられる。おもり用給油器11は、釣合おもり9に設けられる。おもり用給油器11は、釣合おもり9の昇降に応じておもり用ガイドレール5に油を塗布し得るように設けられる。
【0016】
制御装置12は、機械室2に設けられる。制御装置12は、エレベーターを全体的に制御し得るように設けられる。
【0017】
エレベーターの保守作業時において、作業員は、かご8の天井に乗って図示されない手動スイッチを操作してかご8の移動および停止を繰り返しながら一対のかご用ガイドレール4および一対のおもり用ガイドレール5を点検する。具体的には、作業員は、かご8が停止した状態において一対のかご用ガイドレール4および一対のおもり用ガイドレール5を触って油の塗布状態を点検する。一対のかご用ガイドレール4および一対のおもり用ガイドレール5において油の少ない箇所がある場合、作業員は、ハンディ注油機13で当該箇所に油を塗布する。
【0018】
次に、
図2を用いて、ハンディ注油機13を説明する。
図2は実施の形態1におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるハンディ注油機の使用状態を示す平面図である。
【0019】
図2に示されるように、ハンディ注油機13は、本体13aと蓋体13bとを備える。
【0020】
本体13aは、油を貯蔵し得るように設けられる。蓋体13bは、本体13aの開口部に対して着脱自在に設けられる。蓋体13bは、注油口を備える。注油口は、本体13aが押された際に油を外部に流出させ得るように設けられる。
【0021】
アタッチメント14は、蓋体13bの注油口に対して着脱自在に設けられる。具体的には、基部15と塗布部16とを備える。
【0022】
基部15は、蓋体13bの注油口に対して着脱自在に設けられる。基部15は、ハンディ注油機13から油の供給を受け得るように設けられる。
【0023】
塗布部16は、一対の側面用吐出部17と先端面用吐出部18とに分岐される。一対の側面用吐出部17の一方は、基部15から左側に曲がるように円弧状に形成される。一対の側面用吐出部17の他方は、基部15から右側に曲がるように円弧状に形成される。先端面は、基部15から一直線状に形成される。一対の側面用吐出部17と先端面用吐出部18とは、基部15から油の供給を受け得るように設けられる。
【0024】
一対の側面用吐出部17の一方は、かご用ガイドレール4の両側面の一方に接触するように配置される。一対の側面用吐出部17の他方は、かご用ガイドレール4の両側面の他方に接触するように配置される。先端面用吐出部18は、かご用ガイドレール4の先端面に接触するように配置される。
【0025】
この状態において、ハンディ注油機13の本体13aが押されると、基部15は、ハンディ注油機13から油の供給を受け付ける。一対の側面用吐出部17と先端面用吐出部18とは、基部15から油の供給を受けて同時に油を吐出する。その結果、かご用ガイドレール4の両側面と先端面とには、油が同時に塗布される。
【0026】
以上で説明した実施の形態1によれば、塗布部16は、かご用ガイドレール4の両側面と先端面とに同時に油を塗布する。このため、かご用ガイドレール4への油の塗布を容易に行うことができる。
【0027】
なお、一対の側面用吐出部17のそれぞれの先端部と先端面用吐出部18の先端部とに可撓性を持たせてもよい。例えば、一対の側面用吐出部17のそれぞれの先端部と先端面用吐出部18の先端部とを蛇腹状に形成してもよい。この場合、かご用ガイドレール4のサイズに応じて、一対の側面用吐出部17のそれぞれの先端部と先端面用吐出部18の先端部とが変形することで、かご用ガイドレール4の両側面と先端面とに同時に油を塗布することができる。
【0028】
また、基部15の少なくとも一部に可撓性を持たせてもよい。例えば、基部15の少なくとも一部を蛇腹状に形成してもよい。この場合、作業員とかご用ガイドレール4との位置関係に応じて基部15の少なくとも一部が変形することで、かご用ガイドレール4の両側面と先端面とに同時に油を塗布することができる。
【0029】
また、一対の側面用吐出部17のそれぞれを先端面用吐出部18よりも太くしてもよい。この場合、一対の側面用吐出部17のそれぞれへの油の供給量は、先端面用吐出部18への油の供給量よりも多い。その結果、より多くの油を必要とするかご用ガイドレール4の一対の側面により多くの油を塗布することができる。
【0030】
実施の形態2.
図3は実施の形態2におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるハンディ注油機の使用状態を示す平面図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0031】
実施の形態2のアタッチメント14は、一対の側面用染み込み部19と先端面用染み込み部20とを備える。
【0032】
一対の側面用染み込み部19は、一対の側面用吐出部17のそれぞれの先端部に設けられる。一対の側面用染み込み部19は、油が染み込むように設けられる。先端面用染み込み部20は、先端面用吐出部18の先端部に設けられる。先端面用染み込み部20は、油が染み込むように設けられる。
【0033】
以上で説明した実施の形態2によれば、一対の側面用染み込み部19は、油が染み込むように設けられる。先端面用染み込み部20は、油が染み込むように設けられる。このため、かご用ガイドレール4の両側面と先端面とに油が同時に塗布される際、油が必要以上に塗布されることを抑制できる。
【0034】
実施の形態3.
図4は実施の形態3におけるエレベーターのハンディ注油機用アタッチメントが適用されるハンディ注油機の使用状態を示す平面図である。なお、実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0035】
実施の形態3のアタッチメント14は、一対の側面用磁力発生部21と先端面用磁力発生部22とを備える。
【0036】
一対の側面用磁力発生部21は、一対の側面用吐出部17のそれぞれの先端部に設けられる。一対の側面用染み込み部19は、磁力を発生させる磁石等で形成される。先端面用磁力発生部22は、先端面用吐出部18の先端部に設けられる。先端面用磁力発生部22は、磁力を発生させる磁石等で形成される。
【0037】
以上で説明した実施の形態3によれば、一対の側面用磁力発生部21は、磁力を発生させる。このため、かご用ガイドレール4の両側面と先端面とに油が同時に塗布される際、一対の側面用磁力発生部21は、磁力によりかご用ガイドレール4に接触した状態を維持する。その結果、ハンディ注油機13の落下を抑制できる。
【0038】
先端面用磁力発生部22は、磁力を発生させる。このため、かご用ガイドレール4の両側面と先端面とに油が同時に塗布される際、先端面用磁力発生部22は、磁力によりかご用ガイドレール4に接触した状態を維持する。その結果、ハンディ注油機13の落下をより確実に抑制できる。
【0039】
実施の形態1から実施の形態3のハンディ注油機13とアタッチメント14とをおもり用ガイドレール5に適用してもよい。この場合、おもり用ガイドレール5への油の塗布を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 昇降路、 3 乗場、 4 かご用ガイドレール、 5 おもり用ガイドレール、 6 巻上機、 7 主ロープ、 8 かご、 9 釣合おもり、 10 かご用給油器、 11 おもり用給油器、 12 制御装置、 13 ハンディ注油機、 13a 本体、 13b 蓋体、 14 アタッチメント、 15 基部、 16 塗布部、 17 側面用吐出部、 18 先端面用吐出部、 19 側面用染み込み部、 20 先端面用染み込み部、 21 側面用磁力発生部、 22 先端面用磁力発生部