(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20230314BHJP
H01S 5/022 20210101ALI20230314BHJP
H01L 25/04 20230101ALI20230314BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20230314BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230314BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20230314BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G02B6/42
H01S5/022
H01L25/04 Z
H05K1/02 F
H05K1/14 E
H05K3/36 Z
(21)【出願番号】P 2019098133
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 大徳
(72)【発明者】
【氏名】石坂 哲男
(72)【発明者】
【氏名】大坪 孝二
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-041618(JP,A)
【文献】特開2012-060125(JP,A)
【文献】国際公開第2009/011419(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0014639(US,A1)
【文献】特開2015-29043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
H01S 5/022
H05K 1/02
H05K 1/14
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着材によって
第1の面に光学部品が接着され
、前記第1の面に搭載される部品から発生する熱を第2の面に伝達する第1の基板と、
前記第1の基板の前記第2の面に接触し、前記第1の基板の前記第1の面から前記第2の面に伝達された熱を放熱する放熱部材と、
前記第1の基板
の前記第1の面側から立ち上がり、前記第1の基板の材料よりも熱伝導率が小さい材料からなる接続構造部と、
前記接続構造部と接合される第2の基板と
を有し、
前記光学部品は、光信号が通過する光路を構成することを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記第1の基板は、
光信号と電気信号を相互に変換する周辺部品を搭載し、
前記接続構造部は、
前記周辺部品に入出力される電気信号を前記第2の基板へ伝達する導体部を有する
ことを特徴とする請求項1
に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第2の基板は、
前記第1の基板と対向する位置に電子部品を搭載する
ことを特徴とする請求項1
に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記接続構造部によって支持され、前記光学部品を覆うカバー部材をさらに有する
ことを特徴とする請求項1
に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記第1の基板に配置される配線と前記第2の基板に配置される配線とを接続する可撓性のフレキシブル基板をさらに有することを特徴とする請求項1
に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記第1の基板に接触し、前記第1の基板に搭載される部品から発生する熱を放熱する放熱部材をさらに有することを特徴とする請求項1
に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記接続構造部は、
前記第2の基板にリフロー実装されることを特徴とする請求項1
に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記光学部品の実装は、前記接着材で1μm以下の位置誤差で行われることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光信号の通信に用いられる光トランシーバは、光と電気の信号変換を行う光デバイス部分と、電気信号に対する信号処理を行う電気回路部分とに分けられる。光トランシーバの小型化、高機能化及び低価格化の要求はますます高まっており、光デバイス部分については、光変調器などの光素子を金属パッケージ内に集積するOSA(Optical Sub Assembly)の形態から、これらの光素子を回路基板上に直接又は中継基板を用いて実装する形態へシフトしつつある。
【0003】
回路基板上に光素子を直接実装するCOB(Chip on Board)などの形態は、例えば金属パッケージなどの高コスト部材を削減したり、部品のリフロー実装によって工程を簡略化したりすることを可能にし、低コスト化を見込むことができる。また、中継基板上に光素子を実装してサブアセンブリとした後に、中継基板を回路基板上にリフロー実装することにより、組立性の向上が図られることもある。
【0004】
ところで、光デバイス部分には、光変調器などの光素子の他に、例えばレンズやファイバなどの光学部品が実装される。光学部品は、光素子と光ファイバとの光結合を行う部品であり、実装には例えば1μm以下の高い位置精度が要求されることがある。このため、実装性、設備コスト及び小型集積化などの点から、近年では光学部品用の精密接着材を用いて、光学部品が実装されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-172144号公報
【文献】特開2009-105199号公報
【文献】米国特許出願公開第2015/0098675号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0379911号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、接着材による光学部品の実装と他の部品のリフロー実装との両立が困難であるという問題がある。すなわち、例えばCOB形態や中継基板を回路基板上にリフロー実装する形態においては、例えばレンズなどの光学部品が搭載された回路基板又は中継基板がリフロー時に高温に加熱される。このとき、光学部品の実装に用いられる接着剤が融解又は変形することにより、光学部品の実装位置がずれて所望の性能が得られなくなることがある。
【0007】
具体的に例を挙げると、一般的にリフローに使用されるSAC(Sn、Ag、Cu)はんだは融点が220度程度であるため、部品は例えば250度程度にまで加熱される。一方で、光学部品用の精密接着材のガラス転移温度は、数十度から百数十度程度である。このため、接着材によって光学部品が実装された回路基板又は中継基板に対してリフローが行われると、硬化していた接着材が変性し、光学部品の位置ずれが発生する。結果として、光結合の精度が低下し、所望の性能が得られなくなる。
【0008】
最近では、ガラス転移温度が200度程度の高耐熱の精密接着材が開発されているが、接着材自体が高価であるためコストが増加する上に、このような高耐熱の接着材のガラス転移温度もSACはんだの融点よりは低く、リフローによる光学部品の位置ずれが発生し得る。また、高耐熱接着材と併せて低融点はんだを用いることも考えられるが、コストがさらに上昇するため現実的ではない。このように、高い位置精度が要求される光学部品の接着材による実装と、他の部品のリフローによる実装とは両立が困難である。
【0009】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、光学部品の接着実装と他の部品のリフロー実装とを両立することができる光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願が開示する光モジュールは、1つの態様において、接着材によって光学部品が接着される第1の基板と、前記第1の基板から立ち上がり、前記第1の基板の材料よりも熱伝導率が小さい材料からなる接続構造部と、前記接続構造部と接合される第2の基板とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本願が開示する光モジュールの1つの態様によれば、光学部品の接着実装と他の部品のリフロー実装とを両立することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る光モジュールの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る光モジュールの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、光処理部周辺を拡大して示す図である。
【
図4】
図4は、光処理部の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、光処理部の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施の形態に係る光モジュールの製造方法を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、主基板と接続構造部の構成例を示す図である。
【
図14】
図14は、光処理部と回路基板の接続を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願が開示する光モジュールの一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、一実施の形態に係る光モジュール100の外観を示す斜視図である。光モジュール100は、例えば光信号の通信に用いられる光トランシーバなどの光伝送装置であっても良い。光モジュール100は、例えば金属製の筐体110に光コネクタ部120が設けられた構成を有する。筐体110は、光モジュール100の回路基板及び各種部品を内部に保持し支持する。光コネクタ部120は、光ファイバを挿抜可能なコネクタであり、光ファイバが接続されることにより、光モジュール100への光信号の入出力部となる。
【0015】
図2は、一実施の形態に係る光モジュール100の構成を示す図である。
図2においては、光モジュール100の断面が模式的に示されている。
図2に示すように、光モジュール100は、筐体110、光コネクタ部120、ヒートシンク130、回路基板140、光処理部150、IC(Integrated Circuit)チップ160、放熱部材170、175、電子部品180及び光ファイバ190を有する。
【0016】
ヒートシンク130は、例えばアルミなどの金属製であり、放熱部材170、175によって光処理部150及びICチップ160から吸収された熱を放熱する。ヒートシンク130は、空気に触れる表面積を大きくして放熱効率を向上するため、複数の放熱フィンを有する。
【0017】
回路基板140は、光処理部150、ICチップ及び電子部品180を搭載する基板である。回路基板140の表面及び内層には、各種の部品を電気的に接続する配線がプリントされている。回路基板140への光処理部150、ICチップ及び電子部品180の実装時には、リフローが行われる。
【0018】
光処理部150は、光信号の処理をする部品を保持し、光コネクタ部120との間で光信号を入出力するとともに、光電変換を行って、回路基板140との間で電気信号を入出力する。光処理部150は、例えばレンズ及び光フィルタなどの光学部品と、例えば光変調器及びドライバなどの周辺部品とを搭載する主基板を有し、主基板が断熱性の高い接続構造部によって回路基板140上に接続される構成を有する。光処理部150の構成については、後に詳述する。
【0019】
ICチップ160は、回路基板140の表面に搭載され、電気信号を用いた種々の処理を実行する。ICチップ160は、回路基板140の両面に実装されても良い。
【0020】
放熱部材170は、発熱しやすいICチップ160などの部品に接触して設けられ吸熱する。そして、放熱部材170は、熱を筐体110及びヒートシンク130へ伝達し、放熱する。
【0021】
放熱部材175は、発熱しやすい光処理部150に接触して設けられ吸熱する。そして、放熱部材175は、熱を筐体110及びヒートシンク130へ伝達し、放熱する。
【0022】
電子部品180は、例えばコンデンサや抵抗器などの部品であり、回路基板140の表面又は内層の配線に接続される。
【0023】
光ファイバ190は、光コネクタ部120と光処理部150を接続する。すなわち、光ファイバ190は、一端が光コネクタ部120に接続され、他端が光処理部150に接続される。そして、光ファイバ190は、光コネクタ部120と光処理部150の間で光信号を伝送する。光コネクタ部120に外部から光ファイバが接続された状態では、この光ファイバと光ファイバ190とが光結合する。
【0024】
図3は、光処理部150周辺を拡大して示す図である。
図3に示すように、光処理部150は、主基板151と接続構造部152とを有し、主基板151の一方の面に光学部品210、周辺部品220及びTEC(Thermoelectric Cooler)230を搭載する構成となっている。そして、主基板151の他方の面には放熱部材175が接触し、主に周辺部品220から発生する熱を放熱部材175が吸収する。主基板151は、例えば窒化アルミ(AlN)を材料とし、表面に光学部品210及び周辺部品220を搭載するとともに、周辺部品220及びTEC230に接続する配線を有する。
【0025】
光学部品210は、例えばフェルール、レンズ及び光フィルタなどを含み、光信号が通過する光路を構成する。これらの光学部品210は、精密接着材によって主基板151に接着されている。周辺部品220は、光変調器又は光復調器などの光素子やドライバ及びアンプなどを含み、光信号と電気信号を相互に変換する。これらの周辺部品220は、例えばSACはんだを用いたリフローによって主基板151に実装されている。また、周辺部品220は、例えばワイヤボンディングによって主基板151の配線又は他の周辺部品220と電気的に接続される。TEC230は、主に周辺部品220の温度を制御する素子であり、主基板151に埋設されている。TEC230は、周辺部品220に接触し、発熱する周辺部品220を冷却する。
【0026】
主基板151の周縁部には、接続構造部152が立ち上がり、接続構造部152が回路基板140に接合される。接続構造部152の内部には、主基板151の配線と回路基板140の配線とを電気的に接続するビアパタン152aが形成されている。後述するように、接続構造部152は、主基板151周縁の4辺のうち3辺において立ち上がり、主基板151を回路基板140上に支持する。接続構造部152は、例えば絶縁性の樹脂を材料とするが、主基板151の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料から構成される。すなわち、接続構造部152は、主基板151よりも熱を伝達しにくい。好ましくは、接続構造部152は、断熱材料からなる。
【0027】
図4に示すように、接続構造部152は、回路基板140上の配線141とビアパタン152aが接続するように回路基板140上にリフロー実装される。このリフロー実装の際には、回路基板140が加熱されるが、接続構造部152の熱伝導率が低いため、回路基板140から主基板151への熱伝導が抑制される。このため、主基板151に搭載される光学部品210を接着する接着材が加熱されることがなく、接着材の変形による光学部品210の位置ずれを防止することができる。また、主基板151が接続構造部152に支持されるため、主基板151と回路基板140の間には空間ができ、この空間を利用して回路基板140に電子部品180を実装することができる。結果として、回路基板140の表面を有効利用し、実装面積を小さくすることができる。
【0028】
具体的には、例えば
図5に示すように、回路基板140の光処理部150が搭載される領域には、接続構造部152のビアパタン152aに対応する位置に配線141が形成される。また、主基板151に対向する位置には、電子部品180が実装される。なお、
図5においては図示を省略したが、回路基板140には、ICチップ160などが実装されていても良い。
【0029】
一方、例えば
図6に示すように、光処理部150の主基板151には、フェルール211、レンズ212及び光フィルタ213などの光学部品210と、光素子221及びドライバ222などの周辺部品220とが搭載される。
【0030】
フェルール211は、光ファイバ190の一端を保持し、光ファイバ190の端面をレンズ212の位置に合わせる。レンズ212は、光ファイバ190から出射される光信号を光フィルタ213へ入力するか、又は光フィルタ213から出力される光信号を光ファイバ190へ入力する。光フィルタ213は、レンズ212から入力される光信号又は光素子221から入力される光信号をフィルタリングする。これらの光学部品210は、例えば1μm程度の誤差で高精度に位置合わせされた上で、主基板151に接着材によって接着される。
【0031】
光素子221は、例えば光変調器又は光復調器などを含み、光源からの光を変調して光信号を光学部品210へ出力したり、光学部品210から入力される光を復調して電気信号を取得したりする。ドライバ222は、光素子221を駆動し、電気信号を光素子221へ入力したり、光素子221から電気信号を取得したりする。ドライバ222は、例えばワイヤボンディングによって主基板151の配線に接続し、この配線と接続構造部152のビアパタン152aとを介して、回路基板140の配線141と電気的に接続される。光素子221及びドライバ222は、発熱する可能性があるため、TEC230上に配置されても良い。光素子221及びドライバ222などの周辺部品220は、例えばリフローによって主基板151に実装される。周辺部品220がリフロー実装される場合には、光学部品210よりも先に主基板151に実装される。
【0032】
光学部品210及び周辺部品220を三方から囲む主基板151の周縁部には、接続構造部152が立ち上がる。すなわち、光ファイバ190が接続する1辺を除く主基板151の3辺において、接続構造部152が立ち上がる。接続構造部152は、主基板151の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料を用いて形成される。接続構造部152の内部には、周辺部品220に入出力される電気信号を回路基板140へ伝達する導体のビアパタン152aが形成される。すなわち、ビアパタン152aは、主基板151に接する面から回路基板140に接する面まで接続構造部152内を貫通する貫通孔に導体が配置されて形成され、主基板151上の配線と回路基板140上の配線141とを接続する。
【0033】
図6のように構成された光処理部150は、上下反転されて
図5に示した回路基板140に接合される。このとき、回路基板140上の配線141と接続構造部152のビアパタン152aとが接触するように位置合わせされてリフロー実装される。リフロー実装においては、回路基板140が加熱されて配線141とビアパタン152aがはんだ付けされるが、接続構造部152の熱伝導率が低いため、回路基板140から主基板151への熱伝導が抑制される。このため、主基板151に搭載される光学部品210を接着する接着材が加熱されることがなく、接着材の変形による光学部品210の位置ずれを防止することができる。
【0034】
次いで、上記のように構成される光モジュール100の製造方法について、具体的に例を挙げながら、
図7に示すフロー図を参照して説明する。
【0035】
まず、光学部品210及び周辺部品220を搭載する光処理部150が作成される。具体的には、例えば
図8に示すように、例えばAlN(窒化アルミ)を材料とする主基板151に配線151aが配置されるとともに、TEC230が埋設されて、主基板151が作成される(ステップS101)。主基板151は、単層基板でも積層基板でも良く、掘り込み又は段付きの基板でも良い。主基板151の一方の面には発熱する周辺部品220が実装され、他方の面には放熱部材175が取り付けられるため、比較的熱伝導率が高い材料を用いて主基板151を作成することにより、放熱効率を向上することができる。
【0036】
また、主基板151の材料よりも熱伝導率が低い樹脂を材料として、接続構造部152が作成される(ステップS102)。すなわち、主基板151周縁の3辺に対応するU字型に樹脂が成形され、主基板151の配線151aに対応する位置にビアパタン152aが配置される。ビアパタン152aの径は、可能な限り小さくし、ビアパタン152aを介した熱伝導の発生を低減する。また、接続構造部152の内壁には、段差152bが設けられる。段差152bは、接続構造部152が主基板151に接合された際に、主基板151からの高さが、光学部品210及び周辺部品220の高さよりも高い位置に設けられる。後述するように、段差152bは、光学部品210及び周辺部品220を保護するカバーの位置決めをする。
【0037】
主基板151及び接続構造部152は、AuSn(金錫)、はんだ又は導電性接着材によって接合される(ステップS103)。このとき、主基板151の配線151aと接続構造部152のビアパタン152aとが接続される。
【0038】
そして、例えば
図9に示すように、主基板151上に周辺部品220が実装される(ステップS104)。すなわち、光素子221及びドライバ222などが例えばAuSn又は接着材によって主基板151上に実装される。このとき、周辺部品220は、TEC230上に配置されても良い。そして、必要に応じてワイヤボンディングにより周辺部品220と主基板151上の配線151aとが電気的に接続される。なお、周辺部品220は、ワイヤボンディングではなく、フリップチップ実装されても良い。
【0039】
そして、例えば
図10に示すように、主基板151上に光学部品210が実装される(ステップS105)。すなわち、フェルール211、レンズ212及び光フィルタ213などが例えば精密接着材によって主基板151上に接着される。光学部品210を接着する接着材としては、例えば紫外線が照射されることによって硬化する紫外線硬化樹脂などを用いることができる。光学部品210の実装は、例えば1μm程度の小さな位置誤差で行われる。
【0040】
主基板151上に光学部品210及び周辺部品220が実装されると、カバー240が接続構造部152に装着される(ステップS106)。カバー240は、段差152bによって位置決めされ、接続構造部152の内壁に支持されることにより、光学部品210及び周辺部品220を覆う。これにより、光処理部150が完成する。
【0041】
そして、光処理部150は、他のICチップ160などの部品とともに、回路基板140にリフロー実装される(ステップS107)。具体的には、例えば
図12に示すように、配線141にリフローはんだが塗布された回路基板140が加熱され、上下反転された光処理部150が回路基板140上に接合される。このとき、配線141と接続構造部152のビアパタン152aとが位置合わせされる。リフロー時には、回路基板140が加熱されているが、回路基板140に接触する接続構造部152の熱伝導率は小さい。このため、回路基板140から主基板151への熱伝導が抑制され、主基板151が加熱されることはない。これにより、主基板151に搭載される光学部品210を接着する接着材が加熱されることがなく、接着材の変形による光学部品210の位置ずれを防止することができる。
【0042】
また、リフロー時には、はんだからのフラックス飛散が発生することがあるが、カバー240によって光学部品210及び周辺部品220が保護されているため、飛散したフラックスが光学部品210などに付着することがない。結果として、光路がフラックスによって遮断されることがなく、確実な光信号の入出力が可能となる。
【0043】
回路基板140に実装された光処理部150及びICチップ160には、必要に応じて放熱部材170、175が取り付けられ、回路基板140が筐体110に組み込まれる。このとき、光ファイバ190が光コネクタ部120に接続される。これにより、光モジュール100が完成する。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、接着材によって光学部品が接着された主基板と、主基板の周縁部から立ち上がり、主基板の材料よりも熱伝導率が小さい材料からなる接続構造部とによって光処理部を形成し、光処理部の接続構造部が他の部品とともに回路基板にリフロー実装される。これにより、リフロー実装時に回路基板が加熱されても、回路基板から主基板への熱伝導が接続構造部によって抑制され、主基板に接着された光学部品の位置ずれを防止することができる。換言すれば、光学部品の接着実装と他の部品のリフロー実装とを両立することができる。
【0045】
なお、上記一実施の形態においては、主基板151の周縁部の3辺において接続構造部152が立ち上がるものとしたが、接続構造部152の位置はこれに限定されない。例えば
図13に示すように、主基板151の周縁部の対向する2辺において接続構造部152が立ち上がるようにしても良い。また、例えば主基板151の四隅に接続構造部152が配置されても良い。すなわち、接続構造部152は、必ずしも一体形成されなくても良く、主基板151上の複数の位置に分離して配置されても良い。
【0046】
また、上記一実施の形態においては、接続構造部152のビアパタン152aによって周辺部品220と回路基板140の配線141とが電気的に接続されるものとしたが、これに限定されない。すなわち、例えば
図14に示すように、周辺部品220と回路基板140の配線141とが可撓性のフレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)301によって電気的に接続されても良い。この場合、例えば電源電圧は接続構造部152のビアパタン152aを介して供給される一方、高周波信号はFPC301を介して入出力されるようにしても良い。高周波信号をFPC301を介して入出力することにより、接続構造部152の材料選択において、例えば誘電率などの高周波特性を考慮する必要がなくなり、柔軟な設計をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
110 筐体
120 光コネクタ部
130 ヒートシンク
140 回路基板
150 光処理部
151 主基板
151a 配線
152 接続構造部
152a ビアパタン
152b 段差
160 ICチップ
170、175 放熱部材
180 電子部品
190 光ファイバ
210 光学部品
220 周辺部品
230 TEC
240 カバー
301 FPC