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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】乗員保護装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20230314BHJP
   B60R 21/18 20060101ALI20230314BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/18
B60N2/42
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019177697
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2020066425
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2018198807
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 武経
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 滋幸
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰士
(72)【発明者】
【氏名】切手 肇
(72)【発明者】
【氏名】袋野 健一
(72)【発明者】
【氏名】田中 志幸
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-183993(JP,A)
【文献】特開2007-118924(JP,A)
【文献】特開2003-170795(JP,A)
【文献】特開2017-222331(JP,A)
【文献】特表2000-512588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに着座した乗員を保護するための乗員保護装置であって、
シートベルトと、該シートベルトにおいて装着時に前記乗員の腰部を拘束するラップベルトの領域に配置されるエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を有する構成とされて、
前記シートベルトと前記インフレーターとが、前記シートに搭載されて、
前記インフレーターが、前記シートにおける座面よりも下方となる位置に配設され、
前記エアバッグが、可撓性を有したシート体から構成される袋状として、折り畳まれて前記ラップベルトに設けられた収納部位内に収納される構成とされるとともに、バッグ本体と、前記インフレーターと接続されて前記バッグ本体に前記膨張用ガスを流入させる導管部と、を備える構成とされ、
前記バッグ本体が、内部に前記膨張用ガスを流入させて、前上側に向かって突出するように膨張し、膨張完了時の外形形状を、前記乗員の脚部の上面と当接可能な脚当接面と、前記乗員の胸部から頭部にかけてを拘束可能な上半身拘束面と、を有するように、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱形状とされ
前記導管部が、先端側における膨張完了時の前記バッグ本体の下面側に、前記インフレーターと接続される元部側の部位よりも幅広として、内部に流入した膨張用ガスを一旦貯留可能なガス貯留部を、配設させる構成とされ、
該ガス貯留部と前記バッグ本体とが、左右方向側で複数個配設される連通孔により、連通される構成とされていることを特徴とする乗員保護装置。
【請求項2】
前記バッグ本体が、膨張完了時に乗員側に配置されて前記脚当接面から前記上半身拘束面にかけての部位を構成する乗員側パネルと、膨張完了時に前側に配置される前側パネルと、の周縁相互を結合させることにより、袋状とされて、
前記乗員側パネルが、前記脚当接面を構成する下側部位と、前記上半身拘束面を構成する上側部位と、を有するとともに、それぞれ、略六角形状とされる前記下側部位と前記上側部位とを一辺で連結させたような外形形状とされ、
前記前側パネルが、外形形状を、前記乗員側パネルの連結部位の左右に配置される縁部相互をそれぞれ結合させた残りの縁部相互を離隔させるように開いた状態の前記下側部位及び前記上側部位と、略一致させた略六角形状として、構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
【請求項3】
前記エアバッグが、容積を低減させるように、膨張完了時に、左右方向側で貫通する貫通孔部を、配設させて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
【請求項4】
前記エアバッグが、前記貫通孔部の周囲を、前記脚当接面側に配設される脚側膨張部と、前記上半身拘束面側に配設される上半身側膨張部と、前記脚側膨張部と前記上半身側膨張部とを連結するように配置される前側膨張部と、によって、囲むように、左右方向側から見た状態での外形形状を略三角環状として、構成され、
前記上半身側膨張部が、上端側で前記乗員の頭部を受け止め可能に、構成され、
前記前側膨張部が、前記乗員の拘束時に、前記上半身側膨張部の上端側を前記脚側膨張部の前端側に接近させることを、抑制可能に、配設されていることを特徴とする請求項3に記載の乗員保護装置。
【請求項5】
前記前側膨張部が、前記エアバッグの膨張完了時に、前記乗員の頭部の移動方向に略沿うように配置されるとともに、膨張完了時の厚さを、前記脚側膨張部及び前記上半身側膨張部の厚さよりも、大きく設定されていることを特徴とする請求項4に記載の乗員保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに着座した乗員を保護するための乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員保護装置としては、シートベルトにおいて装着時に乗員の腰部を拘束するラップベルトの領域に配置されるエアバッグを、備える構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。この乗員保護装置では、エアバッグは、展開膨張時にラップベルトから前上方に突出するように膨張し、膨張完了時に、乗員の頭部の前方まで覆うような略板状とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-51744公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の乗員保護装置では、エアバッグが、略板状に膨張する構成であることから、シートベルトに拘束された状態の乗員が、上半身を下半身に近づけるように大きく移動させる場合に、上半身と下半身との間に配置されるエアバッグを前方へ倒して圧縮するような態様となって、エアバッグにより、乗員の上半身を的確に保護し難い場合があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、上半身を下半身に近づけるように大きく移動させる場合にも、膨張を完了させたエアバッグによって、乗員の上半身を的確に保護可能な乗員保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る乗員保護装置は、シートに着座した乗員を保護するための乗員保護装置であって、
シートベルトと、シートベルトにおいて装着時に乗員の腰部を拘束するラップベルトの領域に配置されるエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給可能なインフレーターと、を有する構成とされて、
エアバッグが、可撓性を有したシート体から構成される袋状として、折り畳まれてラップベルトに設けられた収納部位内に収納される構成とされるとともに、内部に膨張用ガスを流入させて、前上側に向かって突出するように膨張し、膨張完了時の外形形状を、乗員の脚部の上面と当接可能な脚当接面と、乗員の胸部から頭部にかけてを拘束可能な上半身拘束面と、を有するように、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱形状とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明の乗員保護装置では、エアバッグは、膨張完了時の形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱形状とされており、脚当接面を脚部の上面と当接させつつ、乗員の上半身の前側に配置される。そのため、エアバッグの膨張完了時に、乗員が、上半身を下半身に近づけるように大きく移動させることとなっても、脚当接面が広い面積で脚部に支持されることから、倒れることや圧縮されることを抑制されて、乗員の上半身(胸部から頭部にかけて)を、上半身の前側において対向するように配置されている上半身拘束面によって、的確に拘束することができる。
【0008】
したがって、本発明の乗員保護装置では、上半身を下半身に近づけるように大きく移動させる場合にも、膨張を完了させたエアバッグによって、乗員の上半身を的確に保護することができる。
【0009】
また、本発明の乗員保護装置において、シートベルトとインフレーターとを、シートに搭載させる構成とすれば、例えば、シートを前後で大きくスライドさせたり回転させたりして、車両に対して移動させる場合にも、シートに着座した乗員を的確に保護することができて、好ましい。
【0010】
具体的には、上記構成の乗員保護装置において、インフレーターを、シートにおける座面よりも下方となる位置に配設させ、
エアバッグを、バッグ本体と、インフレーターと接続されてバッグ本体に膨張用ガスを流入させる導管部と、を備える構成とすることが、好ましい。
【0011】
さらに、上記構成の乗員保護装置において、導管部に、先端側における膨張完了時のバッグ本体の下面側に、内部に流入した膨張用ガスを一旦貯留可能なガス貯留部を、配設させる構成とし、
ガス貯留部とバッグ本体とを、左右方向側で複数個配設される連通孔により、連通させる構成とすることが、好ましい。
【0012】
乗員保護装置を上記構成とすれば、ガス貯留部に貯留された膨張用ガスが、左右方向側で並設された連通孔から、略同時に、バッグ本体内に流入することから、バッグ本体を、左右にぶれることを抑制して、迅速に膨張させることができる。
【0013】
さらにまた、上記構成の乗員保護装置において、バッグ本体を、膨張完了時に乗員側に配置されて脚当接面から上半身拘束面にかけての部位を構成する乗員側パネルと、膨張完了時に前側に配置される前側パネルと、の周縁相互を結合させることにより、袋状として、
乗員側パネルを、脚当接面を構成する下側部位と、上半身拘束面を構成する上側部位と、を有するとともに、それぞれ、略六角形状とされる下側部位と上側部位とを一辺で連結させたような外形形状として、
前側パネルを、外形形状を、乗員側パネルの連結部位の左右に配置される縁部相互をそれぞれ結合させた残りの縁部相互を離隔させるように開いた状態の下側部位及び上側部位と、略一致させた略六角形状として、構成することが、好ましい。
【0014】
乗員保護装置を上記構成とすれば、一部の縁部相互を結合させて開いた状態の乗員側パネルに、前側パネルを平らに展開して重ね、対応する縁部相互を結合させれば、バッグ本体を形成できることから、平面的な結合作業で簡便に製造することができ、また、乗員側パネルと前側パネルとの2枚で製造することができることから、構成部品も少なく、略三角柱形状に立体的に膨張するバッグ本体を、製造工数及びコストの増大を抑制して簡便に製造することができる。
【0015】
さらにまた、上記構成の乗員保護装置において、エアバッグに、容積を低減させるように、膨張完了時に、左右方向側で貫通する貫通孔部を、配設させる構成とすれば、エアバッグの容積を減少させることができ、使用するインフレーターを小型化することができ、また、エアバッグを迅速に膨張させることが可能となって、好ましい。
【0016】
また、エアバッグをこのような構成とする場合、エアバッグを、貫通孔部の周囲を、脚当接面側に配設される脚側膨張部と、上半身拘束面側に配設される上半身側膨張部と、脚側膨張部と上半身側膨張部とを連結するように配置される前側膨張部と、によって、囲むように、左右方向側から見た状態での外形形状を略三角環状として、構成し、
上半身側膨張部を、上端側で乗員の頭部を受け止め可能に、構成し、
前側膨張部を、乗員の拘束時に、上半身側膨張部の上端側を脚側膨張部の前端側に接近させることを、抑制可能に、配設させる構成とすることが、好ましい。
【0017】
エアバッグをこのような構成とすれば、エアバッグの膨張完了時において、乗員が、上半身を下半身に近づけるように大きく移動させる際に、上半身側膨張部が、上半身の移動に伴って、脚側膨張部に向かって倒れ込むような挙動を、前側膨張部によって規制することができ、また、脚側膨張部は、広い面積で脚部に支持されることから、乗員の上半身を、頭部も含めて、上半身側膨張部によって、的確に拘束することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態である乗員保護装置を搭載させたシートの斜視図である。
図2図1のシートの側面図である。
図3図1のシートの正面図であり、シートベルトが装着された状態を示す。
図4図1の乗員保護装置において使用されるエアバッグを、単体で膨張させた状態を示す概略斜視図である。
図5図4のエアバッグの概略縦断面図である。
図6図4のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。
図7図4のエアバッグを構成する基布において、乗員側パネルにおける上側部位と下側部位とを、後左縁相互、後右縁相互をそれぞれ結合させて前縁を離隔させるように開いて平らに展開させた状態を示す平面図である。
図8】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態のシートの正面図である。
図9】実施形態の乗員保護装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態のシートの側面図である。
図10】実施形態の乗員保護装置において、膨張を完了させたエアバッグにより乗員を拘束する状態を示す側面図である。
図11】本発明の他の形態であるエアバッグを、単体で膨張させた状態を示す概略斜視図である。
図12図11のエアバッグの概略縦断面図である。
図13図11のエアバッグの概略横断面図である。
図14図11のエエアバッグが膨張を完了させた状態のシートの側面図である。
図15図11のエアバッグにより乗員を拘束する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の乗員保護装置Sは、図1~3に示すように、車両のシート1に搭載されるもので、シートベルト7と、エアバッグ25と、インフレーター17と、を備える構成とされている。シート1は、背もたれ部2と座部3とを備えている。
【0020】
シートベルト7は、シート1に着座した乗員MPを拘束するためのベルト本体8と、ベルト本体8に取り付けられるタングプレート12と、タングプレート12を連結させるためのバックル13と、を、備える構成とされている。ベルト本体8は、背もたれ部2内に配置される図示しないリトラクタの巻取軸に、一端を係止され、他端側を、シート1における座部3の後端3b左方に配置されるアンカ部材14(図1,2参照)に係止されている。詳細には、ベルト本体8は、背もたれ部2の上端左縁側から外部に露出されるように配置されるもので、実施形態の場合、乗員の非着座状態においては、図1,2に示すように、エアバッグ25を配置させるラップベルト10を、背もたれ部2の前面に露出させるように、構成されている。ベルト本体8は、ラップベルト10と、背もたれ部2内に収納されたショルダーベルト9と、を有し、乗員着座時においてタングプレート12をバックル13に連結させた状態で、アンカ部材14とバックル13との間において左右方向に略沿うように配置されるラップベルト10によって乗員MPの下半身MD(腰部)を拘束し、背もたれ部2の上端左縁側から延びつつバックル13にかけて斜めに配置されるショルダーベルト9によって乗員MPの上半身MU(肩から胸部MBにかけて)を拘束する構成とされている(図3参照)。詳細には、ラップベルト10は、乗員MPの非着座状態においては、図1に示すように、背もたれ部2の左縁2a側において、上下方向に略沿うようにして、背もたれ部2の前面に露出されている。
【0021】
インフレーター17は、実施形態の場合、シート1における座面3aよりも下方となる位置に、配設されている。実施形態の場合、インフレーター17は、図2に示すように、座部3より下方の背面側において軸方向を左右方向に略沿わせて配置される略円柱状のインフレーター本体18(詳細な図示省略)と、インフレーター本体18から延びてエアバッグ25に膨張用ガスを供給するパイプ部19と、を備えている。パイプ部19は、インフレーター本体18から延びて、先端を、シート1の左方において、座部3と背もたれ部2との境界部位付近に位置させるように、配設されるもので、この先端を、クランプ20を利用して、エアバッグ25における後述する導管部40と接続させる構成とされている(図1,2,9,10参照)。
【0022】
エアバッグ25は、長尺状に折り畳まれて、シートベルト7の装着時におけるラップベルト10の上面側に、重ねられるようにして、ラップベルト10の領域に配置されている(図3参照)。すなわち、図1に示すような非装着状態においては、エアバッグ25は、ラップベルト10の背面側(背もたれ部2側)に、配置されている。実施形態の場合、エアバッグ25とラップベルト10とは、図3に示すように、周囲を、エアバッグ25の展開膨張時に破断可能なカバー22によって、覆われて、一体化されている。すなわち、実施形態では、ラップベルト10とカバー22との間の隙間が、エアバッグ25を収納させる収納部位を、構成している。
【0023】
エアバッグ25は、図4,5に示すように、バッグ本体26と、インフレーター17と接続されてバッグ本体26に膨張用ガスを流入させる導管部40と、ラップベルト10を挿通させるベルト取付部47と、を備えている。
【0024】
バッグ本体26は、膨張完了時の外形形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱形状とされている。詳細に説明すれば、バッグ本体26は、左右の側方から見た状態での膨張完了形状を、前側に斜辺を有するような略直角三角形状とし、前後方向側から見た状態での膨張完了形状を、上下に幅広とした略長方形状とするように、構成されている(図8,9参照)。バッグ本体26は、膨張完了時に乗員MPから離れた前側に配置される前壁部27と、膨張完了時に乗員MP側に配置される後上壁部28及び後下壁部29と、膨張完了時に左右方向側で対向して配置される左壁部30及び右壁部31と、を備えている。そして、バッグ本体26は、後下壁部29の後端29aの下面側に、導管部40と連通される連通孔33を有するとともに、この連通孔33の周縁の部位で、導管部40と連結されている。実施形態の場合、連通孔33は、円形に開口して、バッグ本体26の左右の中心を挟むようにして、略左右対称となるように、左右方向側で2個並設されている。また、前壁部27の左右両縁側における上下の中央付近には、余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール34,34が、形成されている。実施形態のバッグ本体26では、後下壁部29が、膨張完了時に乗員MPの脚部の上面と当接可能な脚当接面36を構成し、後上壁部28が、膨張完了時に乗員MPの前方に配置されて、乗員MPの胸部から頭部にかけてを拘束可能な上半身拘束面37を、構成している。実施形態の場合、後上壁部28と後下壁部29とは、バッグ本体26の膨張完了状態での外形形状を、それぞれ、前後方向側若しくは上下方向側に長手方向を略沿わせた略長方形状として、図5に示すように、長手方向側の幅寸法を、一致させて構成されている。後上壁部28は、バッグ本体の膨張完了時に、上端28aを、乗員の頭部の前方に位置させるように、構成されている(図9参照)。また、後上壁部28と後下壁部29とは、バッグ本体26の膨張完了時における断面形状において、略直交するように配置される構成である(図5参照)。
【0025】
導管部40は、インフレーター17のパイプ部19と接続されるもので、バッグ本体26に連結される先端40b側を閉塞させ、元部40a側を、パイプ部19と接続可能に開口させて構成されるもので、エアバッグ25の膨張完了時に、ラップベルト10に略沿うように左右方向に沿って配置される構成である。この導管部40は、図4に示すように、先端40b側の領域を、膨張完了時のバッグ本体26の下面側に配置させるもので、この先端40b側の領域を、幅広として、内部に流入した膨張用ガスを一旦貯留させるガス貯留部41としている。この導管部40は、元部40a側を、上述したごとく、クランプ20を用いて、インフレーター17のパイプ部19に、接続される構成であり、また、実施形態では、導管部40における元部40a付近の領域は、外側面側(実施形態における左側面側)を、押え片部15によって、押えられる構成とされている(図1,2,9,10参照)。ガス貯留部41は、幅寸法を、導管部40における元部40a側の部位の幅寸法の2倍程度に、設定されている。また、ガス貯留部41は、左右方向側の幅寸法を、バッグ本体26における後下縁側の部位(連通孔33の配置部位付近)の左右方向側の幅寸法と略同一として、構成されている(図4,6参照)。そして、ガス貯留部41には、バッグ本体26に形成される連通孔33に対応する開口41aが、形成されている。導管部40は、実施形態の場合、外形形状を同一とされる上壁部43と下壁部44との周縁相互を結合させることにより、筒状とされており、開口41aは、上壁部43の領域に、形成されている。また、開口41aは、周縁を全周にわたって連通孔33の周縁と結合(縫着)されている。
【0026】
ベルト取付部47は、導管部40のガス貯留部41の領域における下面側(下壁部44側)に、配置されるもので、ラップベルト10を挿通可能に両端側を開口させた略筒状として、下壁部44に、縫着されている(図4,5参照)。このベルト取付部47は、長さ寸法を、ガス貯留部41の左右方向側の幅寸法よりも僅かに小さく設定されている。すなわち、ベルト取付部47は、展開膨張時のバッグ本体26のラップベルト10からの過度の浮き上がりを抑制可能に、ラップベルト10に沿った方向側の長さ寸法を大きく設定されている。
【0027】
実施形態のエアバッグ25は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて形成されるもので、実施形態の場合、図5に示すように、バッグ本体26を構成する2枚の乗員側パネル50,前側パネル55と、導管部40を構成する2枚の導管部用パネル57,58と、ベルト取付部47を構成するベルト取付用パネル60と、から、構成されている。これらの乗員側パネル50,前側パネル55,導管部用パネル57,58,ベルト取付用パネル60は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。
【0028】
乗員側パネル50は、膨張完了時に乗員MP側に配置されて脚当接面36から上半身拘束面37にかけての部位を構成するもので、膨張完了時のバッグ本体26における後上壁部28から後下壁部29にかけてを主に構成している。具体的には、乗員側パネル50は、主に脚当接面36(後下壁部29)を構成する下側部位52と、主に上半身拘束面(後上壁部28)を構成する上側部位51と、を備えている。詳細には、下側部位52は、後下壁部29と左壁部30及び右壁部31における後下側の領域とを構成し、上側部位51は、後上壁部28と左壁部30及び右壁部31における後上側の領域とを構成するもので、ともに、外形形状を略六角形状とされている。そして、乗員側パネル50は、この下側部位52と上側部位51とを一辺で連結させたような外形形状とされており、下側部位52と上側部位51とは、この連結部位50aを基準として対称形とされている。
【0029】
前側パネル55は、膨張完了時のバッグ本体26における前壁部27を主に構成するもので、詳細には、前壁部27と左壁部30及び右壁部31における前側の領域とを構成している。この前側パネル55は、外形形状を略六角形状とされている。具体的には、前側パネル55の外形形状は、乗員側パネル50において、連結部位50aの左右に配置される後左縁51a,52a相互、後右縁51b,52b相互をそれぞれ結合させた残りの縁部(前縁51c,52c)相互を離隔させるように開いた状態の下側部位52及び上側部位51(図7参照)と、略一致させた六角形状とされている。
【0030】
2枚の導管部用パネル57,58は、図6に示すように、外形形状を同一とされるもので、導管部40における上壁部43と下壁部44とを、それぞれ構成している。ベルト取付用パネル60は、外形形状を略長方形状とされるもので、二つ折りされて短手方向側の縁部60a,60b相互を結合させることにより、ベルト取付部47を形成することとなる。
【0031】
次に、実施形態のエアバッグ25の製造について説明をする。まず、一方の導管部用パネル58に、ベルト取付用パネル60を結合させ、さらに、ベルト取付用パネル60の短手方向側の縁部60a,60b相互を結合させて、ベルト取付部47を形成しておく。他方の導管部用パネル57を、連通孔33の周縁となる部位で、乗員側パネル50における下側部位52に、縫合糸を用いて結合させ、連通孔33及び開口41aを、孔開け加工する。その後、導管部用パネル57,58の周縁相互を、先端側を除いて、結合させて、導管部40を形成する。次いで、乗員側パネル50における上側部位51と下側部位52とを、周縁相互を一致させるように、連結部位50aで折り返して、後左縁51a,52a相互、後右縁51b,52b相互を、それぞれ、縫合糸を用いて縫着(結合)させる。その後、残りの縁部である前縁51c,52c相互を離隔させるように、上側部位51と下側部位52とを開き(図7参照)、外周縁55aを、前縁51c,52cに一致させるように、平らに展開した状態の前側パネル55を重ね、前縁51c,52cと外周縁55aとを、縫合糸を用いて縫着(結合)させれば、袋状のバッグ本体26を形成することができて、エアバッグ25を、製造することができる。すなわち、実施形態では、平面的な結合作業により、バッグ本体26を製造することができる。
【0032】
実施形態の乗員保護装置Sでは、車両に搭載した状態で、インフレーター17が作動すれば、インフレーター17から吐出される膨張用ガスが、導管部40を経てバッグ本体26内に流入することとなり、バッグ本体26が、カバー22を破断させるようにして、ラップベルト10から前上方に突出しつつ、図8,9に示すように膨張を完了させることとなる。
【0033】
そして、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25(バッグ本体26)は、膨張完了時の形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱形状とされており、脚当接面36を脚部MTの上面と当接させつつ、乗員MPの上半身MUの前側に配置される。そのため、エアバッグ25の膨張完了時に、乗員MPが、上半身MUを下半身MDに近づけるように大きく移動させることとなっても、図10に示すように、脚当接面36が広い面積で脚部MTに支持されることから、倒れることや圧縮されることを抑制されて、乗員MPの上半身MU(胸部MBから頭部MHにかけて)を、上半身MUの前側において対向するように配置されている上半身拘束面37によって、的確に拘束することができる。また、実施形態の乗員保護装置Sでは、エアバッグ25(バッグ本体26)の膨張完了形状が、略三角柱形状とされていることから、乗員MPが背もたれ部を傾斜させた状態のシートに着座している場合にも、上半身MUを、上半身拘束面37によって的確に拘束することができる。
【0034】
したがって、実施形態の乗員保護装置Sでは、上半身MUを下半身MDに近づけるように大きく移動させる場合にも、膨張を完了させたエアバッグ25によって、乗員MPの上半身MUを的確に保護することができる。
【0035】
また、実施形態の乗員保護装置Sでは、シートベルト7とインフレーター17とが、シート1に搭載される構成であることから、例えば、シート1を前後で大きくスライドさせたり回転させたりして、車両に対して移動させる場合にも、シート1に着座した乗員MPを的確に保護することができる。なお、このような点を考慮しなければ、通常の車両用シートに搭載されるシートベルトのごとく、リトラクタを車体側に設けたり、インフレーターを、車両のボディ側に取り付ける構成としてもよい。
【0036】
具体的には、実施形態の乗員保護装置Sでは、インフレーター17が、シート1における座面3aよりも下方となる位置に配設され、エアバッグ25が、バッグ本体26と、インフレーター17と接続されてバッグ本体26に膨張用ガスを流入させる導管部40と、を備える構成とされている。すなわち、実施形態の乗員保護装置Sでは、インフレーター17は、シート1に着座した乗員MPから、極力離した位置に配置される構成である。
【0037】
さらに、実施形態の乗員保護装置Sでは、導管部40が、先端40b側における膨張完了時のバッグ本体26の下面側に、内部に流入した膨張用ガスを一旦貯留可能なガス貯留部41を、配設させる構成としており、このガス貯留部41とバッグ本体26とは、左右方向側で複数個(実施形態の場合、2個)配設される連通孔33,33により、連通される構成である。そのため、ガス貯留部41に貯留された膨張用ガスが、左右方向側で並設された連通孔33,33から、略同時に、バッグ本体26内に流入することから、バッグ本体26を、左右にぶれることを抑制して、迅速に膨張させることができる。なお、このような点を考慮しなければ、連通孔を、1個のみ配設させる構成としてもよく、さらには、ガス貯留部を備えず、導管部を、バッグ本体に連結される元部側まで、幅寸法を略一定として、構成してもよい。
【0038】
さらにまた、実施形態の乗員保護装置Sでは、バッグ本体26が、膨張完了時に乗員MP側に配置されて脚当接面36から上半身拘束面37にかけての部位を構成する乗員側パネル50と、膨張完了時に前側に配置される前側パネル55と、の周縁相互を結合させることにより、袋状とされる構成であり、前側パネルが、外形形状を、乗員側パネル50において、連結部位50aの左右に配置される後左縁51a,52a相互、後右縁51b,52b相互を、それぞれ結合させた残りの前縁51c,52c相互を離隔させるように開いた状態の下側部位52及び上側部位51と、略一致させた略六角形状として、構成されている。そのため、後左縁51a,52a相互、後右縁51b,52b相互を結合させて開いた状態の乗員側パネル50に、前側パネル55を平らに展開して重ね、対応する前縁51c,52cと外周縁55aとを結合させれば、バッグ本体26を形成できることから、平面的な結合作業で簡便に製造することができ、また、乗員側パネル50と前側パネル55との2枚で製造することができることから、構成部品も少なく、略三角柱形状に立体的に膨張するバッグ本体26を、製造工数及びコストの増大を抑制して簡便に製造することができる。
【0039】
エアバッグ65としては、図11~13に示す構成のものを使用してもよい。エアバッグ65は、バッグ本体66と、インフレーター17と接続されてバッグ本体66に膨張用ガスを流入させる導管部40と、ラップベルト10を挿通させるベルト取付部47と、を備えている。エアバッグ65において、導管部40とベルト取付部47とは、前述のエアバッグ25と同様の構成であることから、同一の図符号を付して、詳細な説明を省略する。このエアバッグ65は、前述のエアバッグ25と同様に、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から、形成されている。
【0040】
バッグ本体66は、前述のエアバッグ25におけるバッグ本体26と同様に、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱形状とされている。バッグ本体66は、左右の側方から見た状態での膨張完了形状を、図12,14に示すように、前側に斜辺を有するような略直角三角形状としている。また、バッグ本体66は、詳細な図示を省略するが、前後方向側から見た状態での膨張完了形状を、前述のエアバッグ25におけるバッグ本体26と同様に、上下に幅広とした略長方形状とされている。バッグ本体66は、膨張完了時に乗員MPから離れた前側に配置される前壁部67と、膨張完了時に乗員MP側に配置される後上壁部68及び後下壁部69と、膨張完了時に左右方向側(シート1の幅方向側)で対向して配置される左壁部70及び右壁部71と、を備えている。また、バッグ本体66は、後下壁部69の後端69aの下面側に、前述のエアバッグ25におけるバッグ本体26と同様に、導管部40と連通される連通孔73を配設させ、この連通孔73の周縁の部位で、導管部40と連結されている(図13参照)。このバッグ本体66においても、後下壁部69が、膨張完了時に乗員MPの脚部MTの上面と当接可能な脚当接面76を構成し、後上壁部68が、膨張完了時に乗員MPの前方に配置されて、乗員MPの胸部から頭部にかけてを拘束可能な上半身拘束面77を、構成している。後上壁部68は、膨張完了時に、上下方向に略沿って配設されるとともに、上端68a側を、乗員MPの頭部MHの前方に位置させるように構成されている(図14参照)。また、後上壁部68と後下壁部69とは、バッグ本体26の膨張完了時における断面形状において、略直交するように配置される構成である(図12参照)。
【0041】
また、バッグ本体66は、膨張完了形状を略三角柱形状とされているものの、詳細には、膨張完了時に、左右方向側で貫通する貫通孔部80を、有するとともに、貫通孔部80の周囲を、脚当接面76側に配設される脚側膨張部81と、上半身拘束面77側に配設される上半身側膨張部82と、脚側膨張部81と上半身側膨張部82とを連結するように配置される前側膨張部83と、によって、囲むように、左右方向側から見た状態での外形形状を略三角環状として、構成されている(図11,12,14参照)。貫通孔部80は、左壁部70側と右壁部71側とを開口させるように、バッグ本体66を、左右の全域にわたって貫通させて、構成されている(図13参照)。実施形態では、貫通孔部80は、図12,14に示すように、左右方向側から見た開口形状を、バッグ本体66の外形形状と略相似形とした略直角三角形状とされている。脚当接面76側に配置される脚側膨張部81は、脚当接面76に略沿って形成されるとともに、膨張完了時の幅寸法を前後の全域にわたって略一定として、構成されている。上半身拘束面77側に配置される上半身側膨張部82は、上半身拘束面77に略沿って形成されるとともに、膨張完了時の幅寸法を上下の全域にわたって略一定として、構成されている。この上半身側膨張部82は、上端82a側で乗員MHの頭部MHを受け止め可能に、構成されている。脚側膨張部81と上半身側膨張部82とを連結するように配置される前側膨張部83は、前壁部67に略沿って形成されて、膨張完了時の幅寸法を、全長にわたって略一定として、構成されている。
【0042】
前側膨張部83は、エアバッグ65の膨張完了時における乗員MPの拘束時に、上半身側膨張部82の上端82a側を、脚側膨張部81の前端81a側に接近させることを、抑制可能に、構成されている。具体的には、前側膨張部83は、実施形態の場合、エアバッグ65の膨張完了時に、上半身側膨張部82の上端82a側と連結される上端83aを、乗員MPの頭部MHの前方に位置させつつ、乗員MPの上半身MUを下半身MDに接近させるような移動時における頭部MHの移動方向Dに略沿うように、下端88b側にかけて略直線状として(板状といて)、形成されている(図14参照)。また、この前側膨張部83は、膨張完了時の幅寸法(厚さ)を、脚側膨張部81,上半身側膨張部82の膨張完了時の厚さ寸法(厚さ)よりも、若干大きくするように(厚肉に)、構成されている(図12参照)。さらに、前側膨張部83は、車両搭載状態における水平方向に対する交差角度θ(図14参照)を、60°程度に、設定されている。この前側膨張部83の水平方向に対する交差角度は、上半身側膨張部82による乗員MPの上半身MUの受止時に、上半身側膨張部82の上端82a側に作用する押圧力による前側膨張部83の曲げ変形を抑制し、かつ、前側膨張部83を圧縮変形可能とするような角度に設定することが好ましく、具体的には、60~70°の範囲内に設定することが好ましい。
【0043】
このような構成のエアバッグ65を使用した場合にも、エアバッグ65(バッグ本体66)は、膨張完了時の形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱形状とされており、脚当接面76を脚部MTの上面と当接させつつ、乗員MPの上半身MUの前側に配置される。そのため、エアバッグ65の膨張完了時に、乗員MPが、上半身MUを下半身MDに近づけるように大きく移動させることとなっても、図15に示すように、脚当接面76が広い面積で脚部MTに支持されることから、倒れることや圧縮されることを抑制されて、乗員MPの上半身MU(胸部MBから頭部MHにかけて)を、上半身MUの前側において対向するように配置されている上半身拘束面77によって、的確に拘束することができる。また、エアバッグ65(バッグ本体66)が、膨張完了形状を略三角柱形状とされていることから、乗員MPが背もたれ部を傾斜させた状態のシートに着座している場合にも、上半身MUを、上半身拘束面77によって的確に拘束することができる。
【0044】
したがって、上記構成のエアバッグ65を使用した場合においても、上半身MUを下半身MDに近づけるように大きく移動させる場合にも、膨張を完了させたエアバッグ65によって、乗員MPの上半身MUを的確に保護することができる。
【0045】
また、上記構成のエアバッグ65は、容積を低減させるように、膨張完了時に、左右方向側で貫通する貫通孔部80を、配設させていることから、前述のエアバッグ25と比較して、容積を減少させることができ、使用するインフレーターを小型化することができ、また、エアバッグ65を迅速に膨張させることもできる。
【0046】
さらに、上記構成のエアバッグ65は、貫通孔部80の周囲を、脚当接面76側に配設される脚側膨張部81と、上半身拘束面77側に配設される上半身側膨張部82と、脚側膨張部81と上半身側膨張部82とを連結するように配置される前側膨張部83と、によって、囲むように、左右方向側から見た状態での外形形状を略三角環状として、構成されており、上半身側膨張部82は、上端82a側で乗員MPの頭部MHを受け止め可能に構成されている。また、このエアバッグ65では、前側膨張部83が、乗員MPの拘束時に、上半身側膨張部82の上端82a側を脚側膨張部81の前端81a側に接近させることを、抑制可能に、配設される構成である。そのため、エアバッグ65の膨張完了時において、乗員MPが、上半身MUを下半身MDに近づけるように大きく移動させる際に、上半身側膨張部82が、上半身MUの移動に伴って、脚側膨張部81に向かって倒れ込むような挙動を、前側膨張部83によって規制することができ、また、脚側膨張部81は、広い面積で脚部MTに支持されることから、乗員MPの上半身MUを、頭部MHも含めて、上半身側膨張部82によって、的確に拘束することができる。詳細に説明すれば、実施形態の場合、前側膨張部83は、脚側膨張部81及び上半身側膨張部82によりも厚肉に構成されるとともに、上半身側膨張部82の上端82a側と連結される上端83aを、乗員MPの頭部MHの前方に位置させつつ、乗員MPの上半身MUを下半身MDに接近させるような移動時における頭部MHの移動方向Dに略沿うように、下端88b側にかけて略直線状として、形成されている。そのため、乗員MPが、上半身MUを下半身MDに近づけるように大きく移動させる際において、頭部MHが、上半身側膨張部82の上端82a側を介して前側膨張部83の上端83a側を押圧すると、前側膨張部83は、このような頭部MHによる押圧力を受けて、上下の中間部位での曲げ変形を抑制されつつ、上端83a側を下端83b側に接近させつつ座屈変形されるように、圧縮されるような態様となる。そのため、乗員MPの頭部MHを、高い反力を確保して、安定して拘束することができて、頭部MHを含めた上半身MU全体を、上半身側膨張部82によって、安定して拘束することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…シート、2…背もたれ部、3…座部、3a…座面、7…シートベルト、8…ベルト本体、9…ショルダーベルト、10…ラップベルト、17…インフレーター、25…エアバッグ、26…バッグ本体、27…前壁部、28…後上壁部、29…後下壁部、30…左壁部、31…右壁部、33…連通孔、36…脚当接面、37…上半身拘束面、40…導管部、40a…元部、40b…先端、41…ガス貯留部、50…乗員側パネル、50a…連結部位、51…上側部位、52…下側部位,51a,52a…後左縁、51b,52b…後右縁、55…前側パネル、55a…外周縁、65…エアバッグ、66…バッグ本体、76…脚当接面、77…上半身拘束面、80…貫通孔部、81…脚側膨張部、81a…前端、82…上半身側膨張部、82a…上端、83…前側膨張部、MP…乗員、MB…胸部、MH…頭部、MU…上半身、MT…脚部、MD…下半身、S…乗員保護装置。
図1
図2
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図8
図9
図10
図11
図12
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