(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】内燃機関の添加液供給装置および添加液供給方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/025 20060101AFI20230314BHJP
F01N 3/033 20060101ALI20230314BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F01N3/025 101
F01N3/033 Z
F01N3/035 E
(21)【出願番号】P 2019201118
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄貴
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-85946(JP,A)
【文献】特開2001-98930(JP,A)
【文献】特開2009-275666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガスを浄化する排気浄化装置の上流側で排気通路内に添加液を噴射する添加弁と、前記添加弁に前記添加液を圧送するポンプとを含む内燃機関の添加液供給装置において、
前記添加弁から前記添加液を噴射させる際に、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記添加弁から噴射されて前記排気通路内で跳ね返った前記添加液を前記添加弁の周辺に到達させないようにする最大の噴射圧を導出し、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記噴射圧になるように前記ポンプを制御する制御装置を備える内燃機関の添加液供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の添加液供給装置において、
前記噴射圧は、前記排気通路内の排ガスの流れ方向に直交する方向における前記排気通路内で跳ね返った直後の前記添加液の速度を閾値以下にする最大の圧力である内燃機関の添加液供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の添加液供給装置において、
前記噴射圧は、前記添加弁から噴射された前記添加液が衝突する衝突面における液膜の有無を考慮して導出される内燃機関の添加液供給装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の内燃機関の添加液供給装置において、
前記制御装置は、前記添加弁から前記噴射圧で噴射される前記添加液と前記排ガスとのミキシング性が確保されるか否かを判定し、前記ミキシング性が確保される場合、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記噴射圧になるように前記ポンプを制御し、前記ミキシング性が確保されない場合、前記内燃機関の制御パラメータを変更するか、あるいは前記添加弁からの前記添加液の噴射を停止させる内燃機関の添加液供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の添加液供給装置において、
前記制御装置は、前記添加弁から前記添加液を噴射させる際に、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記添加弁から噴射された前記添加液を前記添加弁の周辺への流入部よりも前記排ガスの流れ方向における下流側で前記排気通路内の衝突面に当接させる最大の噴射圧である他の噴射圧を導出すると共に、前記添加弁から前記他の噴射圧で噴射される前記添加液と前記排ガスとのミキシング性が確保されるか否かを判定し、前記ミキシング性が確保される場合、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記他の噴射圧になるように前記ポンプを制御し、前記ミキシング性が確保されない場合、前記噴射圧を導出する内燃機関の添加液供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関の添加液供給装置において、
前記他の噴射圧は、前記添加弁の噴射中心から前記排ガスの流れ方向に直交する方向に延出された直線と前記衝突面との交点から、前記添加弁から最上流側に噴射された前記添加液の前記衝突面との衝突位置までの距離を閾値以上にする最大の圧力である内燃機関の添加液供給装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の添加液供給装置において、前記添加液は、燃料または還元剤である内燃機関の添加液供給装置。
【請求項8】
内燃機関の排ガスを浄化する排気浄化装置の上流側に配置された添加弁にポンプから添加液を圧送し、前記添加弁から排気通路内に前記添加液を噴射させる内燃機関の添加液供給方法において、
前記添加弁から前記添加液を噴射させる際に、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記添加弁から噴射されて前記排気通路内で跳ね返った前記添加液を前記添加弁の周辺に到達させないようにする最大の噴射圧を導出し、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記噴射圧になるように前記ポンプを制御する内燃機関の添加液供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排ガスを浄化する排気浄化装置の上流側で排気通路内に添加液を供給する内燃機関の添加液供給装置および添加液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気通路に配置された噴射ノズルからNOx還元触媒に還元剤を間欠的に供給する還元剤供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この還元剤供給装置は、内燃機関の吸入空気量が多いときに、当該吸入空気量が小さいときに比べて還元剤噴射圧を高くし、単位時間当たりにNOx還元触媒に供給される還元剤量を増加させる。これにより、吸入空気量が多くなってもNOx還元触媒に流入する排ガス中の還元剤濃度が低下するのを抑制し、NOxの良好な放出還元作用を確保すると共に、当該NOx還元触媒から排出される還元剤の量を低減することができる。また、従来、内燃機関の排気浄化装置として、内燃機関の排気通路の途中に設けられた触媒に還元剤を供給する還元剤噴射装置を含むものも知られている(例えば、特許文献2参照)。この排気浄化装置では、還元剤噴射装置付近の排気の流量が検出または推定され、排気の流量が多いときに、少ないときよりも還元剤噴射装置から噴射させる還元剤の圧力が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-098930号公報
【文献】特開2009-275666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の還元剤供給装置等のように還元剤の噴射圧(圧力)を高くした場合、吸入空気量や排気流量が多かったとしても、排気通路内に噴射されて跳ね返った還元剤が噴射ノズル等の周辺に付着することがある。そして、噴射ノズル等の周辺に付着した還元剤がガム化することでデポジットが発生してしまうおそれがある
【0005】
そこで、本開示は、内燃機関の排気浄化装置の上流側で排気通路内に添加液を噴射する添加弁の周辺におけるデポジットの発生を抑えることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の内燃機関の添加液供給装置は、内燃機関の排ガスを浄化する排気浄化装置の上流側で排気通路内に添加液を噴射する添加弁と、前記添加弁に前記添加液を圧送するポンプとを含む内燃機関の添加液供給装置において、前記添加弁から前記添加液を噴射させる際に、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記添加弁から噴射されて前記排気通路内で跳ね返った前記添加液を前記添加弁の周辺に到達させないようにする最大の噴射圧を導出し、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記噴射圧になるように前記ポンプを制御する制御装置を含むものである。
【0007】
本開示の添加液供給装置の制御装置は、添加弁から添加液を噴射させる際に、内燃機関の運転状態に基づいて、添加弁から噴射されて排気通路内で跳ね返った添加液を当該添加弁の周辺に到達させないようにする最大の噴射圧を導出する。そして、当該制御装置は、添加弁に供給される添加液の圧力が当該噴射圧になるようにポンプを制御する。これにより、排気通路内で跳ね返った添加液が添加弁の周辺に到達するのを抑制し、当該添加弁の周辺におけるデポジットの発生を良好に抑えることが可能となる。
【0008】
また、前記噴射圧は、前記排気通路内の排ガスの流れ方向に直交する方向における前記排気通路内で跳ね返った直後の前記添加液の速度を閾値以下にする最大の圧力であってもよい。
【0009】
更に、前記噴射圧は、前記添加弁から噴射された前記添加液が衝突する衝突面における液膜の有無を考慮して導出されてもよい。これにより、上記噴射圧をより適正に導出することが可能となる
【0010】
また、前記制御装置は、前記添加弁から前記噴射圧で噴射される前記添加液と前記排ガスとのミキシング性が確保されるか否かを判定し、前記ミキシング性が確保される場合、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記噴射圧になるように前記ポンプを制御し、前記ミキシング性が確保されない場合、前記内燃機関の制御パラメータを変更するか、あるいは前記添加弁からの前記添加液の噴射を停止させるものであってもよい。これにより、添加弁の周辺におけるデポジットの発生を良好に抑えつつ、排気通路内の排ガスと添加液との混合を促進させることが可能となる。
【0011】
更に、前記制御装置は、前記添加弁から前記添加液を噴射させる際に、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記添加弁から噴射された前記添加液を前記添加弁の周辺への流入部よりも前記排ガスの流れ方向における下流側で前記排気通路内の衝突面に当接させる最大の噴射圧である他の噴射圧を導出すると共に、前記添加弁から前記他の噴射圧で噴射される前記添加液と前記排ガスとのミキシング性が確保されるか否かを判定し、前記ミキシング性が確保される場合、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記他の噴射圧になるように前記ポンプを制御し、前記ミキシング性が確保されない場合、前記噴射圧を導出するものであってもよい。これにより、添加弁の周辺におけるデポジットの発生を良好に抑えると共に、添加液と排ガスとのミキシング性を確保しながら、ポンプの吐出圧を低下させることができる。この結果、上記ポンプ等の補機を含む内燃機関全体の効率を向上させることが可能となる。
【0012】
また、前記他の噴射圧は、前記添加弁の噴射中心から前記排ガスの流れ方向に直交する方向に延出された直線と前記衝突面との交点から、前記添加弁から最上流側に噴射された前記添加液の前記衝突面との衝突位置までの距離を閾値以上にする最大の圧力であってもよい。
【0013】
更に、前記添加液は、燃料または還元剤であってもよい。
【0014】
本開示の内燃機関の添加液供給方法は、内燃機関の排ガスを浄化する排気浄化装置の上流側に配置された添加弁にポンプから添加液を圧送し、前記添加弁から排気通路内に前記添加液を噴射させる内燃機関の添加液供給方法において、前記添加弁から前記添加液を噴射させる際に、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記添加弁から噴射されて前記排気通路内で跳ね返った前記添加液を前記添加弁の周辺に到達させないようにする最大の噴射圧を導出し、前記添加弁に供給される前記添加液の圧力が前記噴射圧になるように前記ポンプを制御するものである。
【0015】
かかる方法によれば、排気通路内で跳ね返った添加液が添加弁の周辺に到達するのを抑制し、当該添加弁の周辺におけるデポジットの発生を良好に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の添加液供給装置を含む内燃機関を示す概略構成図である。
【
図2】
図1の内燃機関の添加弁周辺の構成を示す模式図である。
【
図3】
図1の内燃機関において実行される燃料添加制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図4】添加弁から排気通路内に噴射された添加液の様子を示す模式図である。
【
図5】第1噴射圧(他の噴射圧)の導出手順を説明するための模式図である。
【
図6】平均粒径導出マップを例示する説明図である。
【
図7】添加弁から排気通路内に噴射された添加液の様子を示す模式図である。
【
図8】衝突面の温度と、排気通路内の衝突面における跳ね返り係数との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照しながら本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0018】
図1は、本開示の添加液供給装置を含む内燃機関1を例示する概略構成図である。同図に示す内燃機関1は、複数(本実施形態では、例えば4つ)の燃焼室2内でピストン3により圧縮加熱された空気に対して噴射される軽油等の燃料(液体燃料)を自己発火させ、燃料の燃焼に伴うピストン3の往復運動をクランクシャフト(図示省略)の回転運動へと変換するディーゼルエンジンである。内燃機関1は、図示するように、吸気管4と、スロットルバルブ5と、吸気マニホールド6と、複数の吸気弁7と,複数の筒内噴射弁8と、複数の排気弁9と、排気マニホールド10と、排気管(排気通路)11と、ターボチャージャー(過給機)12と、インタークーラー(冷却器)13と、排気浄化装置14とを含む。
【0019】
スロットルバルブ5は、吸気管4内の通路面積を変更可能な例えば電子制御式のスロットルバルブである。吸気マニホールド6は、吸気管4および各燃焼室2の吸気ポートに接続される。複数の吸気弁7は、それぞれ対応する燃焼室2の吸気ポートを開閉する。複数の筒内噴射弁8は、それぞれ対応する燃焼室2内に燃料を直接噴射する。複数の排気弁9は、それぞれ対応する燃焼室2の排気ポートを開閉する。ただし、筒内噴射弁8の代わりに、それぞれ対応する吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁が内燃機関1に設けられてもよい。排気マニホールド10は、各燃焼室2の排気ポートおよび排気管11に接続される。
【0020】
ターボチャージャー12は、排気管11内を流通する排ガスにより回転させられるタービンTと、当該タービンTに連結されて吸気管4内の空気を圧縮するコンプレッサCとを含む。インタークーラー13は、ターボチャージャー12のコンプレッサCとスロットルバルブ5との間で吸気管4内を流通する空気を冷却する。排気浄化装置14は、ターボチャージャー12のタービンTの下流側で排気管11に組み込まれており、酸化触媒(DOC)14aと、当該酸化触媒14aの下流側で排ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタ(DPF)14bとを含む。ただし、排気浄化装置14は、酸化触媒14aの代わりに、NOx吸蔵還元触媒(NSR触媒)を含むものであってもよい。
【0021】
更に、内燃機関1は、
図1に示すように、軽油等の燃料を貯留する燃料タンク20と、フィードポンプ(低圧ポンプ)21と、フィードポンプ21の吐出口に接続された低圧燃料供給管LLと、フィードポンプ21からの燃料を昇圧させるサプライポンプ(高圧ポンプ)22と、サプライポンプ22の吐出口に接続された高圧燃料供給管LHと、高圧燃料供給管LHおよび複数の筒内噴射弁8に接続されたコモンレール(蓄圧室)23と、低圧燃料供給管LLに接続された燃料添加弁80とを含む。
【0022】
フィードポンプ21は、図示しない補機バッテリからの電力により駆動されるモータを含む電動ポンプである。フィードポンプ21は、燃料タンク20内の燃料を吸引してサプライポンプ22および低圧燃料供給管LLに供給する。サプライポンプ22も、補機バッテリからの電力により駆動されるモータを含む電動ポンプである。サプライポンプ22は、フィードポンプ21からの燃料を昇圧し、高圧燃料供給管LHを介してコモンレール23に供給する。サプライポンプ22からの高圧の燃料は、コモンレール23内に蓄えられると共に、当該コモンレール23から各筒内噴射弁8に供給される。ただし、フィードポンプ21は、燃料タンク20内に配置されてもよく、サプライポンプ22は、例えば内燃機関1により駆動される機械式ポンプであってもよい。
【0023】
燃料添加弁80は、ノズルボディと、当該ノズルボディに形成された複数(例えば、6~8個)の噴孔と、各噴孔に連通するようにノズルボディに形成されたサック部(サックボリューム)と、図示しない燃料溜めとサック部とを連通させる通路(隙間)を開閉するニードルと、ニードルを軸方向に進退移動させる電磁駆動機構等(何れも図示省略)を含む電子制御式の電磁弁である。燃料添加弁80は、排気浄化装置14よりも上流側、すなわちターボチャージャー12のタービンTと排気浄化装置14との間で排気管11内の排ガスに対して燃料を下流側から上流側に向けて斜めに噴射するように当該排気管11に排ガスの流れ方向に対して傾けて取り付けられる。
【0024】
本実施形態において、燃料添加弁80は、
図2に示すように、排気管11から斜めに突出する添加ポート11p内に配置される。また、排気管11の内部には、排ガスの流れ方向に沿って延在すると共に燃料添加弁80から噴射される燃料と衝突するように分散板15が配置される。更に、低圧燃料供給管LLは、燃料添加弁80側からフィードポンプ21(燃料タンク20)側への燃料の流れを規制する逆止弁24を含む。なお、燃料添加弁80は、ターボチャージャー12よりも上流側で排ガスに対して燃料を噴射するように排気マニホールド10あるいは排気管11に取り付けられてもよい。また、逆止弁24と燃料添加弁80との間には、蓄圧室が配置されてもよい。
【0025】
加えて、内燃機関1は、その全体を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という)50を含む。ECU50は、図示しないCPUや各種制御プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入力ポート、出力ポート等を含むマイクロコンピュータと、各種駆動回路等を含む。ECU50は、入力ポートを介して各種センサからの信号(物理量)を取得する。
【0026】
より詳細には、ECU50は、クランクシャフトの回転位置(クランクポジション)、スロットルバルブ5の弁体位置(スロットルポジション)、吸入空気量、吸気管4内の圧力、冷却水の温度Tw、低圧燃料供給管LL内の燃料の圧力PL、高圧燃料供給管LH内の圧力PH、排気浄化装置14に流入する排ガスの温度Tg、排気浄化装置14に流入する排ガスの圧力Pg等を取得する。クランクシャフトの回転位置は、図示しないクランクポジションセンサにより検出され、ECU50は、クランクシャフトの回転位置に基づいて内燃機関1の回転数Neを算出する。スロットルバルブ5の弁体位置は、図示しないスロットルバルブポジションセンサにより検出される。吸入空気量は、図示しないエアフローメータにより検出され、吸気管4内の圧力は、図示しない吸気圧センサにより検出される。冷却水の温度Twは、水温センサ60により検出される。燃料の圧力PLは、低圧燃圧センサ61により検出され、圧力PHは、高圧燃圧センサ62により検出される。排ガスの温度Tgは、排気温度センサ63により検出され、排ガスの圧力Pgは、排気圧センサ64により検出される。ECU50は、回転数Neや上記センサの検出値に基づいて、スロットルバルブ5や各筒内噴射弁8、吸気弁7および排気弁9を駆動する図示しない動弁機構等への制御信号を生成し、これらの機器を制御する。
【0027】
また、ECU50は、低圧燃圧センサ61により検出される低圧燃料供給管LL内の燃料の圧力PLが目標圧PLtagになるようにフィードポンプ21を制御する。すなわち、ECU50は、フィードポンプ21、逆止弁24を含む低圧燃料供給管LLおよび燃料添加弁80と共に、本開示の添加液供給装置を構成する。更に、ECU50は、高圧燃圧センサ62により検出されるコモンレール23内の燃料の圧力PHが目標圧PHtagになるようにサプライポンプ22を制御する
【0028】
加えて、ECU50は、パティキュレートフィルタ14bにおける粒子状物質の推定堆積量が再生開始閾値に達すると、当該推定堆積量が再生完了閾値になるまで、排気管11内の排ガスに排気浄化装置14の上流側で添加液としての燃料(以下、「添加燃料」という。)が噴射(添加)されるようにフィードポンプ21および燃料添加弁80を制御する。これにより、酸化触媒14aでの添加燃料の反応による排ガスの温度上昇を利用して排気浄化装置14のパティキュレートフィルタ14bにより捕集された粒子状物質を燃焼させ、当該パティキュレートフィルタ14bを再生することが可能となる。
【0029】
ここで、燃料添加弁80から噴射される添加燃料の圧力(噴射圧)が高い場合、
図2に示すように、燃料添加弁80から噴射されて分散板15に衝突した添加燃料が、排気管11内で跳ね返り、添加ポート11p内すなわち燃料添加弁80の周辺に到達してしまうことがある。そして、添加ポート11pの内面や燃料添加弁80の噴孔の周囲等に添加燃料が付着すると、付着した添加燃料の酸化によるガム化が進行してデポジットが発生してしまうおそれがある。これを踏まえて、内燃機関1では、パティキュレートフィルタ14bの再生に際して、燃料添加弁80周辺でのデポジットの発生が抑制されるように排気管11内への燃料の添加が実行される。
【0030】
図3は、パティキュレートフィルタ14bにおける粒子状物質の推定堆積量が再生開始閾値に達した際に、ECU50により実行される燃料添加制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0031】
図3のルーチンの開始に際して、ECU50の図示しないCPUは、内燃機関1の回転数Neや、排ガスの温度Tg、エアフローメータにより検出された吸入空気量の回転数Neに対応した吸入空気量の最大値に対する割合を示す負荷率KL、図示しないタイマにより計時される前回の燃料添加弁80の開弁からの経過時間といった制御に必要な情報を取得する(ステップS100)。ステップS100の処理の後、ECU50は、ステップS100にて取得した内燃機関1の運転状態を示す回転数Neおよび負荷率KLに基づいて第1噴射圧P1(他の噴射圧)を導出し、導出した第1噴射圧P1をフィードポンプ21の目標圧PLtagに設定する(ステップS110)。第1噴射圧P1は、
図4に示すように、燃料添加弁80から噴射された添加燃料を添加ポート11pの開口(燃料添加弁80の周辺への流入部)よりも排ガスの流れ方向における下流側で分散板15の表面(衝突面)に当接させる最大の噴射圧である。より詳細には、第1噴射圧P1は、
図5における点x0から点x1までの距離Ldを閾値Lref以上にする最大の圧力である。
【0032】
図5に示すように、点x0は、燃料添加弁80の噴射中心(複数の噴孔の中心)から排気管11内の排ガスの流れ方向に直交する方向に延出された直線z(
図5における一点鎖線参照)と燃料添加弁80から噴射された添加燃料が衝突する分散板15の表面(衝突面)との交点である。点x1は、燃料添加弁80から最上流側に噴射された添加燃料(
図5における点線参照)の分散板15の表面との衝突位置である。閾値Lrefは、点x0から、排気管11と添加ポート11pとの最下流側の交点から排ガスの流れ方向に直交する方向に延出された直線と分散板15の表面(衝突面)との交点までの距離よりも若干長くなるように実験・解析を経て定められる。上記距離Ldは、添加燃料の噴射圧すなわちフィードポンプ21から燃料添加弁80に供給される燃料の圧力が高いほど小さくなり、点x1は、噴射圧が高いほど上流側(
図5における左側)に移動する。
【0033】
また、燃料添加弁80から噴射された添加燃料の排ガスの流れ方向に直交する方向における速度(縦速度)v(t)は、次式(1)のように表され、燃料添加弁80から噴射された添加燃料が分散板15に衝突するまでの時間tcは、式(1)より次式(2)のように表される。更に、燃料添加弁80から噴射された添加燃料の排ガスの流れ方向における速度(横速度)u(t)は、次式(3)のように表される。従って、距離Ldは、式(2)および(3)から、次式(4)のように表される。ただし、式(1)-(4)において、“m”は、添加燃料の液滴の質量であり、“v0”は、燃料添加弁80から噴射された添加燃料の初速であり、“θ”は、燃料添加弁80から最上流側に噴射された添加燃料と、上記直線zとのなす角度であり、“K1”は、排ガスの流れ方向に直交する方向におけるガス抵抗係数であり、“K2”は、排ガスの流れ方向におけるガス抵抗係数であり、Hは、燃料添加弁80の噴孔から分散板15の表面(衝突面)までの距離であり、“D”は、添加燃料の液滴に作用する流速vgで流れる排ガスからの抗力である。
【0034】
【0035】
上述の角度θは、排気管11と燃料添加弁80との位置関係や噴孔の配置態様から定める一定値である。また、速度v0および質量mは、添加燃料の噴射圧すなわちフィードポンプ21から燃料添加弁80に供給される燃料の圧力に相関し、ガス抵抗係数K1,K2や抗力D(流速vg)は、吸入空気量や排ガスの温度Tgに相関する。これらを踏まえて、本実施形態では、複数の噴射圧ごとに算出された距離Ldに基づいて、内燃機関1の運転状態を示す回転数Neおよび負荷率KLと、距離Ldを閾値Lref以上にする第1噴射圧P1との関係を規定する第1噴射圧設定マップが予め作成される。そして、ステップS110では、当該第1噴射圧設定マップから回転数Neおよび負荷率KLに対応した第1噴射圧P1が導出される。
【0036】
続いて、ECU50は、ステップS110にて導出した第1噴射圧P1で添加燃料を排気管11内に噴射した際に分散板15との衝突により形成される添加燃料の液滴の平均粒径φを導出する(ステップS120)。本実施形態では、予め実験・解析を経て、噴射圧と当該平均粒径φとの関係を規定する平均粒径導出マップ(
図6参照)が作成されており、ステップS120では、当該平均粒径導出マップからステップS110にて導出した第1噴射圧P1に対応した平均粒径φが取得される。更に、ECU50は、ステップS120にて導出した平均粒径φが予め定められた閾値φrefよりも大きいか否かを判定する(ステップS130)。閾値φrefは、燃料添加弁80から噴射された添加燃料と排気管11内の排ガスとのミキシング性が確保されたとみなされるときの液滴の粒径であり、予め実験・解析を経て定められる。これにより、ステップS120にて導出された平均粒径φが閾値φref以下である場合には、ステップS110にて導出した第1噴射圧P1で噴射される添加燃料と排気管11内の排ガスとのミキシング性が確保されるとみなすことができる。
【0037】
ステップS130にて、平均粒径φが閾値φref以下であると判定した場合(ステップS130:NO)、ECU50は、低圧燃圧センサ61により検出される圧力PLすなわち燃料添加弁80に供給される燃料の圧力が目標圧PLtagすなわちステップS110にて導出された第1噴射圧P1になるようにフィードポンプ21を制御する(ステップS200)。更に、ECU50は、燃料添加弁80を予め定められた時間だけ開弁させ(ステップS210)、当該燃料添加弁80が規定回数だけ開弁されたか否かを判定する(ステップS220)。ECU50は、燃料添加弁80を規定回数だけ開弁させた後(ステップS220:YES)、別途算出されるパティキュレートフィルタ14bにおける粒子状物質の推定堆積量が再生完了閾値になったか否かを判定する(ステップS230)。ステップS230にて推定堆積量が再生完了閾値になっていないと判定した場合(ステップS230:NO)、ECU50は、ステップS100以降の処理を再度実行する。また、ステップS230にて推定堆積量が再生完了閾値になったと判定した場合(ステップS230:YES)、ECU50は、
図3のルーチンを終了させる。
【0038】
一方、上記ステップS130にて第1噴射圧P1に対応した平均粒径φが閾値φrefよりも大きいと判定した場合(ステップS130:YES)、ECU50は、ステップS100にて取得した回転数Neおよび負荷率KLに基づいて第2噴射圧P2(噴射圧)を導出し、導出した第2噴射圧P2をフィードポンプ21の目標圧PLtagに設定する(ステップS140)。第2噴射圧P2は、
図7に示すように、燃料添加弁80から噴射されて分散板15の表面に衝突し、排気管11内で跳ね返った添加燃料(液滴)を燃料添加弁80の周辺すなわち添加ポート11p内に到達(流入)させないようにする最大の噴射圧である。より詳細には、第2噴射圧P2は、燃料添加弁80から噴射されて分散板15に衝突し、排気管11内で跳ね返った直後の添加燃料(液滴)の排ガスの流れ方向に直交する方向における速度vrを閾値vref以下にする最大の圧力である。
【0039】
速度vrは、燃料添加弁80から噴射されて分散板15に衝突する直前の添加燃料の排ガスの流れ方向と直交する方向の速度(縦速度)vjに跳ね返り係数Eを乗じることにより得られるものである。速度vjは、上記式(1)および(2)から次式(5)のように表される。また、閾値vrefは、分散板15の表面(衝突面)で跳ね返った添加燃料(液滴)が添加ポート11p内に流入しないときのvrefであって、実験・解析を経て定められる。
【0040】
【0041】
本実施形態では、複数の噴射圧ごとに算出された速度vrに基づいて、内燃機関1の運転状態を示す回転数Neおよび負荷率KLと、速度vrを閾値vref以上にする第2噴射圧P2との関係を規定する第2噴射圧設定マップが予め作成される。また、跳ね返り係数Eは、
図8に示すように、分散板15の表面(衝突面)に添加燃料の液膜(油膜)が形成されていない状態と、液膜が形成されている状態で異なる値となる。これを踏まえて、第2噴射圧設定マップは、分散板15の表面に液膜が形成されていない状態と、液膜が形成されている状態との双方について1つずつ用意される。
【0042】
ステップS140では、ステップS100にて取得された排ガスの温度Tgおよび前回の燃料添加弁80の開弁からの経過時間に応じて、2つの第2噴射圧設定マップの何れか一方が選択される。すなわち、当該経過時間が排ガスの温度Tgに対応した燃料の蒸発完了までの時間(
図8参照)以上である場合、分散板15の表面に液膜が形成されていない状態に対応した第2噴射圧設定マップが選択され、当該経過時間が排ガスの温度Tgに対応した燃料の蒸発完了までの時間未満である場合、分散板15の表面に液膜が形成されている状態に対応した第2噴射圧設定マップが選択される。
【0043】
そして、ステップS140では、選択された第2噴射圧設定マップから回転数Neおよび負荷率KLに対応した第2噴射圧P2が導出される。
図6に示すように、内燃機関1の運転状態が同一である場合、第2噴射圧P2は、第1噴射圧P1よりも高くなる。また、内燃機関1の運転状態が同一である場合、第2噴射圧P2を超えた噴射圧で添加燃料が噴射された場合、排ガスの流れ方向における上流側で分散板15の表面に衝突して跳ね返る添加燃料の量が増加し、跳ね返った添加燃料が燃料添加弁80の周辺に到達するおそれが高まることになる(
図6における破線参照)。
【0044】
次いで、ECU50は、上述の平均粒径導出マップから、ステップS140にて導出した第2噴射圧P2で添加燃料を排気管11内に噴射した際に分散板15との衝突により形成される添加燃料の液滴の平均粒径φを導出する(ステップS150)。更に、ECU50は、ステップS150にて導出した平均粒径φが上記閾値φrefよりも大きいか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160にて、平均粒径φが閾値φref以下であると判定した場合(ステップS160:NO)、ECU50は、低圧燃圧センサ61により検出される圧力PLすなわち燃料添加弁80に供給される燃料の圧力が目標圧PLtagすなわちステップS140にて導出された第2噴射圧P2になるようにフィードポンプ21を制御する(ステップS200)。
【0045】
更に、ECU50は、燃料添加弁80を規定回数だけ開弁させた後(ステップS220:YES)、パティキュレートフィルタ14bにおける粒子状物質の推定堆積量が再生完了閾値になったか否かを判定する(ステップS230)。この場合も、推定堆積量が再生完了閾値になっていないと判定した場合(ステップS230:NO)、ECU50は、ステップS100以降の処理を再度実行する。また、推定堆積量が再生完了閾値になったと判定した場合(ステップS230:YES)、ECU50は、
図3のルーチンを終了させる。
【0046】
また、ステップS160にて第2噴射圧P2に対応した平均粒径φが閾値φrefよりも大きいと判定した場合(ステップS160:YES)、ECU50は、ステップS160にて導出した平均粒径φと閾値φrefとの差に基づいて、排ガス温度の昇温あるいは排ガスの流量増加により添加燃料と排ガスとのミキシング性を改善させ得るか否かを判別する(ステップS170)。ステップS170の判別処理により添加燃料と排ガスとのミキシング性を改善させ得ると判定した場合(ステップS180:YES)、ECU50は、燃料噴射タイミングあるいはターボチャージャー12の過給圧といった制御パラメータを変更する(ステップS190)。すなわち、ステップS190において、ECU50は、排ガス温度を上昇させるために燃料噴射タイミングを遅角させるか、あるいは排ガスお流量を増加させるためにターボチャージャー12の過給圧を低下させる。
【0047】
ステップS190の処理の後、ECU50は、低圧燃圧センサ61により検出される圧力PLすなわち燃料添加弁80に供給される燃料の圧力が目標圧PLtagすなわちステップS140にて導出された第2噴射圧P2になるようにフィードポンプ21を制御する(ステップS200)。更に、ECU50は、燃料添加弁80を規定回数だけ開弁させた後(ステップS220:YES)、パティキュレートフィルタ14bにおける粒子状物質の推定堆積量が再生完了閾値になったか否かを判定する(ステップS230)。この場合も、推定堆積量が再生完了閾値になっていないと判定した場合(ステップS230:NO)、ECU50は、ステップS100以降の処理を再度実行する。また、推定堆積量が再生完了閾値になったと判定した場合(ステップS230:YES)、ECU50は、
図3のルーチンを終了させる。これに対して、ステップS170の判別処理により添加燃料と排ガスとのミキシング性を改善させ得ないと判定した場合(ステップS180:NO)、ECU50は、その時点で燃料添加弁80からの燃料噴射(添加)を中止(停止)させ(ステップS240)、
図3のルーチン終了させる。
【0048】
以上説明したように、内燃機関1の制御装置であるECU50は、当該内燃機関1の運転状態を示す回転数Neおよび負荷率KLに基づいて、燃料添加弁80から噴射された添加燃料を添加ポート11pの開口(燃料添加弁80の周辺への流入部)よりも排ガスの流れ方向における下流側で排気管11内の分散板15の表面(衝突面)に当接させる最大の噴射圧である第1噴射圧P1を導出する(ステップS110)。第1噴射圧P1は、燃料添加弁80の噴射中心から延出された直線zと分散板15の表面(衝突面)との交点x0から、燃料添加弁80から最上流側に噴射された添加燃料の分散板15の表面との衝突位置x1までの距離Ldを閾値Lref以上にする最大の圧力である。
【0049】
更に、ECU50は、燃料添加弁80から第1噴射圧P1で噴射される添加燃料と排ガスとのミキシング性が確保されるか否かを判定し(ステップS120,S130)、ミキシング性が確保される場合(ステップS130:NO)、燃料添加弁80に供給される添加燃料の圧力が第1噴射圧P1になるようにフィードポンプ21を制御する(ステップS200)。これにより、燃料添加弁80の周辺におけるデポジットの発生を良好に抑えると共に、添加燃料と排ガスとのミキシング性を確保しながら、フィードポンプ21の吐出圧を低下させることができる。この結果、フィードポンプ21等の補機を含む内燃機関1全体の効率を向上させることが可能となる。
【0050】
また、燃料添加弁80から第1噴射圧P1で噴射される添加燃料と排ガスとのミキシング性が確保されないと判定した場合(ステップS130:YES)、ECU50は、内燃機関1の運転状態を示す回転数Neおよび負荷率KLに基づいて、燃料添加弁80から噴射されて排気管11内で跳ね返った添加燃料を当該燃料添加弁80の周辺に到達させないようにする最大の噴射圧である第2噴射圧P2を導出する(ステップS140)。第2噴射圧P2は、排気管11内の排ガスの流れ方向に直交する方向における排気管11内で跳ね返った直後の添加燃料の速度vrを閾値vref以下にする最大の圧力であり、添加燃料が衝突する分散板15の表面における液膜の有無を考慮して導出される。これにより、第2噴射圧P2をより適正に導出することが可能となる
【0051】
更に、ECU50は、燃料添加弁80から第2噴射圧P2で噴射される添加燃料と排ガスとのミキシング性が確保されるか否かを判定し(ステップS150,S160)、ミキシング性が確保される場合(ステップS160:NO)、燃料添加弁80に供給される添加燃料の圧力が第2噴射圧P2になるようにフィードポンプ21を制御する(ステップS200)。これにより、排気管11内で跳ね返った添加燃料が燃料添加弁80の周辺に到達するのを抑制し、当該燃料添加弁80の周辺におけるデポジットの発生を良好に抑えることが可能となる。一方、燃料添加弁80から第2噴射圧P2で噴射される添加燃料と排ガスとのミキシング性が確保されないと判定した場合(ステップS180:NO)、ECU50は、ステップS170,S180における判定結果に応じて、内燃機関1の制御パラメータを変更するか(ステップS190)、あるいは燃料添加弁80からの添加燃料の噴射を停止させる(ステップS240)。これにより、燃料添加弁80の周辺におけるデポジットの発生を良好に抑えつつ、排気管11内の排ガスと添加燃料との混合を促進させることが可能となる。
【0052】
なお、
図3のルーチンから、ステップS110-S130の処理が省略されてもよく、ステップS140-S160の処理が省略されてもよい。また、内燃機関1から分散板15が省略されてもよい。更に、排気浄化装置14が酸化触媒14aの代わりに、NOx吸蔵還元触媒(NSR触媒)を含む場合、本開示の添加液供給装置は、燃料の代わりに、還元剤としての尿素等を含む添加液を噴射する還元剤添加弁を含むものであってもよい。
【0053】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示の発明は、内燃機関の製造産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 内燃機関、2 燃焼室、3 ピストン、4 吸気管、5 スロットルバルブ、6 吸気マニホールド、7 吸気弁、8 筒内噴射弁、80 燃料添加弁、9 排気弁、10 排気マニホールド、11 排気管、12 ターボチャージャー、13 インタークーラー、14 排気浄化装置、14a 酸化触媒、14b パティキュレートフィルタ、15 分散板、20 燃料タンク、21 フィードポンプ、22 サプライポンプ、23 コモンレール、23H 高圧デリバリパイプ、23L 低圧デリバリパイプ、24 逆止弁、50 電子制御装置(ECU)、60 水温センサ、61 低圧燃圧センサ、62 高圧燃圧センサ、63 排気温度センサ、64 排気圧センサ、C コンプレッサ、LL 低圧燃料供給管、LH 高圧燃料供給管、T タービン。