(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】装置、システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20230314BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G05B23/02 301Z
(21)【出願番号】P 2020125522
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2021-06-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋定 征世
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康樹
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-164482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
プラント内に存在する複数の機器のそれぞれに対応付けて、関連する測定データの格納アドレスを記憶する記憶部と、
前記複数の機器のうちユーザの見ている対象機器を検出する検出部と、
前記対象機器に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器に関連する測定データを取得する取得部と、
前記取得部による取得内容を表示する表示部と、
を備え、
前記検出部は、前記プラント内でのユーザの位置および視線を検出して、前記対象機器を検出し、
前記取得部は、前記プラント内でプロセスが実行される複数の現場それぞれで、当該現場に配置された対象機器をユーザが見ることに応じて、当該対象機器に関連する測定データを取得
し、
前記記憶部は、当該装置が起動されるごと、または、基準インターバルをあけて当該装置が起動されるごとに前記格納アドレスを記憶する装置。
【請求項2】
前記プラント内での各機器の位置座標を予め登録したデータベースをさらに備え、
前記検出部は、前記プラント内でのユーザの位置および視線を検出し、前記データベースを参照して前記対象機器を検出する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記複数の機器のうち少なくとも1つの機器のそれぞれに対応付けて、複数の種類の測定データの格納アドレスそれぞれを記憶する、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器に関連する測定データは、その機器の外部の記憶装置に格納され、
前記記憶部は、前記少なくとも一部の機器それぞれに対応付けて、前記記憶装置内のアドレスを記憶する、
請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも一部の機器のうち2つ以上の機器に関連する測定データは、それらの機器の外部の単一の記憶装置に格納され、
前記記憶部は、前記2つ以上の機器それぞれに対応付けて、前記記憶装置内の別々のアドレスを記憶する、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の機器のうち前記少なくとも一部の機器とは異なる他の少なくとも一部の機器に関連する測定データは、その機器の内部の記憶装置に格納され、
前記記憶部は、前記他の少なくとも一部の機器それぞれに対応付けて、当該機器の内部の記憶装置内のアドレスを記憶する、
請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記取得部は、当該装置の外部に設けられた1つの無線通信装置を介して2つ以上の記憶装置から測定データを取得する、
請求項4から6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の機器に関連する複数の前記測定データは、機器に設けられたセンサ、または、当該機器の付属物に設けられたセンサによる測定データを含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の機器に関連する複数の前記測定データは、機器としてのセンサによる測定データを含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記複数の機器に関連する複数の前記測定データは、機器としての配管に対する上流側または下流側の付属物に設けられたセンサによる測定データを含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の機器のうちの1つ以上の機器は、少なくとも1つのパラメータの値を設定可能であり、
前記記憶部は、前記1つ以上のそれぞれに対応付けて、当該機器のパラメータの値の格納アドレスをさらに記憶し、
前記取得部は、前記対象機器に対応付けられたパラメータの値の格納アドレスから、当該対象機器のパラメータの値をさらに取得する、
請求項1~10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記記憶部は、前記プラント内に存在する機器ごとに、他の機器との間の関係を示す関係図の格納アドレスをさらに記憶し、
前記取得部は、前記対象機器に対応付けられた前記関係図の格納アドレスから、当該関係図をさらに取得する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置と、
前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器のそれぞれに対応付けて、当該機器に関連する測定データを記憶する少なくとも1つの記憶装置と、
を備えるシステム。
【請求項14】
方法であって、
プラント内に存在する複数の機器のそれぞれに対応付けて、関連する測定データの格納アドレスを記憶する記憶段階と、
前記複数の機器のうちユーザの見ている対象機器を検出する検出段階と、
前記対象機器に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器に関連する測定データを取得する取得段階と、
前記取得段階による取得内容を表示する表示段階と、
を備え、
前記検出段階では、前記プラント内でのユーザの位置および視線を検出して、前記対象機器を検出し、
前記取得段階では、前記プラント内でプロセスが実行される複数の現場それぞれで、当該現場に配置された対象機器をユーザが見ることに応じて、当該対象機器に関連する測定データを取得
し、
前記記憶段階では、当該方法が実行される装置が起動されるごと、または、基準インターバルをあけて前記装置が起動されるごとに前記格納アドレスを記憶する方法。
【請求項15】
プログラムであって、コンピュータを、
プラント内に存在する複数の機器のそれぞれに対応付けて、関連する測定データの格納アドレスを記憶する記憶部と、
前記複数の機器のうちユーザの見ている対象機器を検出する検出部と、
前記対象機器に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器に関連する測定データを取得する取得部と、
前記取得部による取得内容を表示する表示部と、
として機能させ、
前記検出部は、前記プラント内でのユーザの位置および視線を検出して、前記対象機器を検出し、
前記取得部は、前記プラント内でプロセスが実行される複数の現場それぞれで、当該現場に配置された対象機器をユーザが見ることに応じて、当該対象機器に関連する測定データを取得
し、
前記記憶部は、当該プログラムが起動されるごと、または、基準インターバルをあけて当該プログラムが起動されるごとに前記格納アドレスを記憶するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には「使用者の視線を検出して、他の通信機器との情報通信を制御する」と記載されている。
特許文献1 特開2016-177565号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、装置が提供される。装置は、プラント内に存在する複数の機器のそれぞれに対応付けて、関連する測定データの格納アドレスを記憶する記憶部を備えてよい。装置は、複数の機器のうちユーザの見ている対象機器を検出する検出部を備えてよい。装置は、対象機器に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器に関連する測定データを取得する取得部を備えてよい。装置は、取得部による取得内容を表示する表示部を備えてよい。
【0004】
記憶部は、複数の機器のうち少なくとも1つの機器のそれぞれに対応付けて、複数の種類の測定データの格納アドレスそれぞれを記憶してよい。
【0005】
複数の機器のうち少なくとも一部の機器に関連する測定データは、その機器の外部の記憶装置に格納されてよい。記憶部は、少なくとも一部の機器それぞれに対応付けて、記憶装置内のアドレスを記憶してよい。
【0006】
少なくとも一部の機器のうち2つ以上の機器に関連する測定データは、それらの機器の外部の単一の記憶装置に格納されてよい。記憶部は、2つ以上の機器それぞれに対応付けて、記憶装置内の別々のアドレスを記憶してよい。
【0007】
複数の機器のうち少なくとも一部の機器とは異なる他の少なくとも一部の機器に関連する測定データは、その機器の内部の記憶装置に格納されてよい。記憶部は、他の少なくとも一部の機器それぞれに対応付けて、当該機器の内部の記憶装置内のアドレスを記憶してよい。
【0008】
取得部は、当該装置の外部に設けられた1つの無線通信装置を介して2つ以上の記憶装置から測定データを取得してよい。
【0009】
複数の機器に関連する複数の測定データは、機器に設けられたセンサ、または、当該機器の付属物に設けられたセンサによる測定データを含んでよい。
【0010】
複数の機器に関連する複数の測定データは、機器としてのセンサによる測定データを含んでよい。
【0011】
複数の機器に関連する複数の測定データは、機器としての配管に対する上流側または下流側の付属物に設けられたセンサによる測定データを含んでよい。
【0012】
複数の機器のうちの1つ以上の機器は、少なくとも1つのパラメータの値を設定可能であってよい。記憶部は、1つ以上のそれぞれに対応付けて、当該機器のパラメータの値の格納アドレスをさらに記憶してよい。取得部は、対象機器に対応付けられたパラメータの値の格納アドレスから、当該対象機器のパラメータの値をさらに取得してよい。
【0013】
記憶部は、プラント内に存在する機器ごとに、他の機器との間の関係を示す関係図の格納アドレスをさらに記憶してよい。取得部は、対象機器に対応付けられた関係図の格納アドレスから、当該関係図をさらに取得してよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、システムが提供される。システムは、第1の態様の装置を備えてよい。システムは、複数の機器のうち少なくとも一部の機器のそれぞれに対応付けて、当該機器に関連する測定データを記憶する少なくとも1つの記憶装置を備えてよい。
【0015】
本発明の第3の態様においては、方法が提供される。方法は、プラント内に存在する複数の機器のそれぞれに対応付けて、関連する測定データの格納アドレスを記憶する記憶段階を備えてよい。方法は、複数の機器のうちユーザの見ている対象機器を検出する検出段階を備えてよい。方法は、対象機器に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器に関連する測定データを取得する取得段階を備えてよい。方法は、取得段階による取得内容を表示する表示段階を備えてよい。
【0016】
本発明の第4の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータをプラント内に存在する複数の機器のそれぞれに対応付けて、関連する測定データの格納アドレスを記憶する記憶部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、複数の機器のうちユーザの見ている対象機器を検出する検出部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、対象機器に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器に関連する測定データを取得する取得部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、取得部による取得内容を表示する表示部として機能させてよい。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る保全管理システム1を示す。
【
図5】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
[1.保全管理システム1の構成]
図1は、本実施形態に係る保全管理システム1を示す。保全管理システム1は、プラントの保全管理を行うものであり、複数の機器11と、保全用端末12と、看視用端末13と、1または複数の無線通信装置14と、運転制御装置15と、インタフェース装置16と、資源管理装置17と、1または複数のドキュメントデータベース18と、保全管理装置19とを備える。
【0021】
ここで、プラントとしては、化学等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等がある。各機器11と、保全用端末12と、看視用端末13と、無線通信装置14とは、プラントにおいてプロセスが実行される現場に配置されてよい。例えば、現場には、被測定流体を流す配管及び配管に設置されて流体の流量を測定する流量計などが存在する。また、運転制御装置15と、インタフェース装置16と、資源管理装置17とは、プラントにおける管理室、計器室などに配置されてよい。ドキュメントデータベース18は、プラントの外部に配置されてよい。保全管理装置19はプラント内の管理室、計器室などに配置されてもよいし、プラントの外部に配置されてもよい。
【0022】
[1-1.機器11]
複数の機器11は器具、機械または装置であり、例えば、プラントのプロセスにおける圧力、温度、pH、速度、流量などの物理量を測定するセンサでもよいし、いずれかの物理量を制御するバルブ、流用制御弁、開閉弁、ポンプ、ファン、モータ、加熱装置、冷却装置等のアクチュエータでもよいし、プラント内の異音等を収集したり警報音等を発したりするマイク、スピーカ等の音響機器でもよいし、各機器の位置情報を出力する位置検出機器でもよいし、流体を流す配管であってもよいし、その他の機器でもよい。複数の機器11における各機器11は互いに異種でもよいし、少なくとも一部の2以上の機器11が同種でもよい。
【0023】
各機器11は、制御用ネットワーク100を介して有線または無線で運転制御装置15に接続されてよい。制御用ネットワーク100内の通信はデジタル通信でもよいし、アナログ信号(4~20mA信号等)にデジタル信号を重畳したハイブリッド通信でもよく、1000bps~10000bps程度(一例として1200bps、2400bps)の速度でよい。制御用ネットワーク100内の通信は、例えばISA(International Society of Automation:国際計測制御学会)の無線通信プロトコルで行われてよく、一例としてISA100、HART(Highway Addressable Remote Transducer)(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等で行われてよい。
【0024】
また、少なくとも一部の機器11は、IEEE802.11(いわゆるWifi(登録商標))の規格またはIEEE802.15.1(いわゆるブルートゥース(登録商標))の規格で、無線通信装置14または看視用端末13の少なくとも一方と無線通信を行ってよい。
【0025】
各機器11は固有の識別情報(機器固有情報とも称する)を有してよい。機器固有情報は、機器を一意に識別するための情報であり、本実施形態では一例として、通信プロトコル(一例としてHART)によって機器11に付与されたシリアル番号、機器11の製造業者により設定されたシリアル番号、および機器IDの少なくとも1つでよい。
【0026】
また、1つ以上の機器11は、少なくとも1つのパラメータの値(設定パラメータの値とも称する)を設定可能であってよい。設定パラメータは、任意のパラメータであってよい。一例として、設定パラメータは、ゼロ点調整を行うための調整量であってもよいし、時定数を示すものであってもよいし、初期化の要・不要を示すものであってもよいし、テストの条件を示すものであってもよいし、機器11の識別情報やタグ名を示すものであってもよい。設定パラメータの値は、機器11の内部の記憶装置(図示せず)に記憶されてよい。
【0027】
また、少なくとも一部の機器11は、当該機器11に関連する測定データを内部の記憶装置に記憶してよい。
【0028】
[1-1.1.測定データ]
(測定データ(1))
複数の機器11に関連する複数の測定データは、機器11としてのセンサによる測定データを含んでよい。
【0029】
例えば、機器11が圧力や温度、pH、速度、流量などの物理量を測定するセンサである場合には、測定データはこれらの物理量を示すデータであってよい。
【0030】
(測定データ(2))
複数の機器11に関連する複数の測定データは、機器11に設けられたセンサ、または、当該機器11の付属物に設けられたセンサによる測定データを含んでよい。
【0031】
例えば、機器11がアクチュエータであり、当該機器11自体、或いは機器11の付属物にセンサが設けられている場合には、測定データはこれらのセンサで測定されたデータであってよい。一例として、機器11がバルブや流用制御弁、開閉弁、ポンプ、ファン、モータなどのアクチュエータである場合には、測定データは、当該機器11により制御される流体の速度や流量、圧力、温度、pHなどの物理量を示すデータであってよい。機器11が加熱装置や冷却装置などのアクチュエータである場合には、測定データは、当該機器11により加熱,冷却される対象の温度などの物理量を示すデータであってよい。
【0032】
また、機器11が配管であり、当該機器11自体、或いは機器11の付属物にセンサが設けられている場合には、測定データはこれらのセンサで測定されたデータであってよい。一例として、測定データは、機器11としての配管に流れる流体の速度や流量、圧力、温度、pHなどの物理量を示すデータであってよい。
【0033】
なお、機器11に設けられたセンサや、機器11の付属物に設けられたセンサは、そのセンサ自体が機器11であってよい。この場合には、当該センサによる測定データは、当該センサとしての機器11に関連する測定データであり、かつ、当該センサが設けられた機器11(または、当該センサが付属物に設けられた機器11)に関連する測定データであってよい。
【0034】
また、機器11の付属物は、機器11の本体とは別体の物品であってよい。例えば、機器11の付属物は、機器11が設けられた配管や、機器11が嵌め込まれた壁、機器11のカバー等であってよい。
【0035】
(測定データ(3))
複数の機器11に関連する複数の測定データは、機器11としての配管に対する上流側または下流側の付属物に設けられたセンサによる測定データを含んでよい。配管に対する上流側または下流側の付属物とは、当該配管よりも上流側または下流側の配管であってもよいし、配管よりも上流側または下流側に設けられた流用制御弁、開閉弁、ポンプ、ファン、モータなどのアクチュエータでもよい。一例として、測定データは、機器11としての配管よりも上流側または下流側での流体の速度や流量、圧力、温度、pHなどの物理量を示すデータであってよい。
【0036】
[1-2.保全用端末12]
保全用端末12は、機器11の設定パラメータにアクセスし、設定パラメータの値の参照、設定および変更などを行う。保全用端末12は、現場作業者が携帯するハンドヘルドターミナル(HHT)(一例としてスマートフォンまたはタブレットPC)でもよいし、据え置き型のPCでもよい。保全用端末12がハンドヘルドターミナルである場合には、保全用端末12は機器11に対して着脱可能に接続されてよい。なお、機器11は保全用端末12を用いて設定パラメータが変更されるのに加え、現場作業者によって制御用ネットワーク100に着脱され、また、メンテナンスのために稼働を停止され得る。
【0037】
[1-3.看視用端末13]
看視用端末13は、装置の一例であり、プラント内を看視するユーザ(一例として看視員)に携帯される。
【0038】
看視用端末13は、1または複数の機器11と無線通信してよい。これに加えて、または、これに代えて、看視用端末13は、無線通信装置14を介して1または複数の機器11、運転制御装置15、インタフェース装置16、または、資源管理装置17の少なくとも1つと無線通信してよい。看視用端末13による無線通信は、Wifi(登録商標)またはブルートゥース(登録商標)の少なくとも一方の規格に準拠してよい。
【0039】
看視用端末13は、機器11に関連する情報を表示してよい。なお、看視用端末13については詳細を後述する。
【0040】
[1-4.無線通信装置14]
各無線通信装置14は、看視用端末13の外部に設けられて看視用端末13と無線通信する。各無線通信装置14は、1または複数の機器11、運転制御装置15、インタフェース装置16、または、資源管理装置17の少なくとも1つと有線または無線で通信を行ってよい。例えば、無線通信装置14は、ネットワーク101を介して運転制御装置15やインタフェース装置16、資源管理装置17と通信してよい。
【0041】
[1-5.運転制御装置15]
運転制御装置15は、各機器11と通信してプロセスを制御する。例えば、運転制御装置15は、センサである機器11から測定データであるプロセス値を取得し、アクチュエータである機器11を駆動させる。運転制御装置15は、記憶装置の一例であってよく、少なくとも一部の機器11に対応付けて、当該機器11に関連する測定データを記憶してよい。そして、運転制御装置15は、プロセス値をインタフェース装置16に供給し、インタフェース装置16からプロセス値の目標値を受信してよい。なお、本実施形態では一例として保全管理システム1には運転制御装置15が1つ具備されて全ての機器11を制御することとして説明するが、運転制御装置15が複数具備されて、それぞれ一部の機器11を分散制御してもよい。運転制御装置15は、一例としてFCS(Field Control Station)でよい。
【0042】
[1-6.インタフェース装置16]
インタフェース装置16は、管理者とプラントとのインタフェースを行う。インタフェース装置16は、管理者による操作に応じ、運転制御装置15を介してプラントのプロセスを制御してよい。例えば、インタフェース装置16は、運転制御装置15からプロセス値を受信し、プロセス値の目標値を運転制御装置15に供給してよい。また、インタフェース装置16は、運転制御装置15を介して機器11の設定パラメータの値を変更してよい。インタフェース装置16は、記憶装置の一例であってよく、少なくとも一部の機器11に対応付けて、当該機器11に関連する測定データを記憶してよい。また、インタフェース装置16は、少なくとも一部の機器11に対応付けて当該機器11の設定パラメータの値を記憶してよい。インタフェース装置16は、一例としてHIS(Human Interface Station)でよく、PCなどで構成されてよい。
【0043】
[1-7.資源管理装置17]
資源管理装置17は、プラントのオンライン監視および集中管理を行う。例えば、資源管理装置17は、運転制御装置15が取得した機器11の情報(一例として設定パラメータの値やプロセス値)などを管理してよい。資源管理装置17は、記憶装置の一例であってよく、少なくとも一部の機器11に対応付けて、当該機器11に関連する測定データを記憶してよい。また、資源管理装置17は、少なくとも一部の機器11に対応付けて当該機器11の設定パラメータの値を記憶してよい。資源管理装置17は、一例としてPCなどで構成されてよい。
【0044】
[1-8.ドキュメントデータベース18]
各ドキュメントデータベース18は、機器11の型名と、当該機器11に関する電子化されたドキュメントとを対応付けて格納する。ドキュメントは、機器11の仕様書、マニュアル、検査成績書などのテキストファイルでもよいし、画像ファイルでもよい。ドキュメントデータベース18は、一例として機器11の製造業者により設置されてよい。なお、ドキュメントデータベース18および保全管理装置19は、ネットワーク101(一例としてインターネットまたは専用回線)を介して資源管理装置17等と接続されてよい。
【0045】
[1-9.保全管理装置19]
保全管理装置19は、設備の保全管理を支援する。保全管理装置19は、複数の機器11のそれぞれについて少なくとも機器固有情報および設定パラメータの値を記憶する機器台帳1900を有してよい。機器台帳1900には、プラント内に存在する機器11ごとに、他の機器11との間の関係を示す関係図が含まれてよい。
【0046】
関係図は、配管図であってもよいし、プラントの設計図であってもよい。但し、関係図は、他の任意の図であってもよい。
【0047】
保全管理装置19は、一例としてDevice Lifecycle Managerでよく、クラウドコンピューティングにより実現されてもよいし、物理サーバまたはPCで実現されてもよい。保全管理装置19は、ネットワーク101を介して有線または無線で資源管理装置17等と接続されてよい。
【0048】
[2.看視用端末13]
図2は、看視用端末13を示す。看視用端末13は、記憶部130、検出部131、取得部132および表示部133を有する。
【0049】
[2.1.記憶部130]
記憶部130は、プラント内に存在する複数の機器11のそれぞれに対応付けて、関連する測定データなどの格納アドレスを記憶する。本実施形態では一例として、記憶部130は、機器11の機器固有情報に対応付けて格納アドレスを記憶してよい。
【0050】
記憶部130は、プラント内に存在する複数の機器11のうち少なくとも1つの機器11のそれぞれに対応付けて、複数の種類の測定データの格納アドレスそれぞれを記憶してよい。例えば、機器11、または、その付属部の少なくとも一方に複数のセンサが設けられている場合には、記憶部130は、これら複数のセンサによる測定データの格納アドレスを当該機器11に対応付けてそれぞれ記憶してよい。複数の種類の測定データとは、別々のセンサによる測定データであってよく、速度や流量、圧力、温度、pHなどの物理量のうち、異なる種類の物理量を示すデータであってもよいし、測定位置が異なる同種の物理量を示すデータであってもよい。
【0051】
ここで、プラント内に存在する複数の機器11のうち少なくとも一部の機器11に関連する測定データは、その機器11の外部の記憶装置(本実施形態では一例として運転制御装置15やインタフェース装置16、資源管理装置17)に格納されてよい。この場合に、記憶部130は、これら少なくとも一部の機器11のそれぞれに対応付けて、機器11の外部の記憶装置内のアドレスを測定データの格納アドレスとして記憶してよい。また、測定データが機器11の外部の記憶装置に記憶される場合には、2つ以上の機器11に関連する測定データが機器11の外部の単一の記憶装置に格納されてよい。この場合に、記憶部130は、当該2つ以上の機器11のそれぞれに対応付けて、記憶装置内の別々のアドレスをそれぞれ測定データの格納アドレスとして記憶してよい。
【0052】
また、プラント内に存在する複数の機器11のうち他の少なくとも一部の機器11に関連する測定データは、その機器11の内部の記憶装置に格納されてよい。この場合に、記憶部130は、これら他の少なくとも一部の機器11のそれぞれに対応付けて、当該機器11の内部の記憶装置内のアドレスを測定データの格納アドレスとして記憶してよい。測定データが内部の記憶装置に記憶される機器11は、測定データが外部の記憶装置に記憶される上述の機器11とは異なる機器11であってよい。
【0053】
なお、機器11について複数の種類の測定データが記憶される場合には、これら複数の種類の測定データは、それぞれ機器11の内部の記憶装置に記憶されてもよいし、機器11の外部の記憶装置に記憶されてもよい。これに代えて、複数の種類の測定データのうち、一部の種類の測定データは機器11の内部の記憶装置に記憶され、残りの種類の測定データは当該機器11の外部の記憶装置に記憶されてもよい。この場合には、記憶部130は、機器11に対応付けて当該機器11の内部の記憶装置のアドレスと、機器11の外部の記憶装置内のアドレスとをそれぞれ測定データの格納アドレスとして記憶してよい。
【0054】
[2.1.1.測定データ以外の記憶]
記憶部130は、設定パラメータの値を設定可能な1つ以上の機器11のそれぞれに対応付けて、当該機器11の設定パラメータの値の格納アドレスをさらに記憶してよい。設定パラメータの格納アドレスは、測定データの格納アドレスと同じであってもよいし、異なってもよい。
【0055】
記憶部130は、機器11の内部の記憶装置内のアドレスを設定パラメータの格納アドレスとして記憶してもよいし、機器11の外部の記憶装置内のアドレスを設定パラメータの格納アドレスとして記憶してもよい。機器11の外部の記憶装置は、保全管理装置19であってもよいし、保全用端末12であってもよいし、資源管理装置17であってもよい。設定パラメータの値を運転制御装置15やインタフェース装置16が記憶する場合には、機器11の外部の記憶装置は、これらの装置であってもよい。
【0056】
記憶部130は、プラント内に存在する機器11ごとに、他の機器11との間の関係を示す関係図(例えば配管図や設計図)の格納アドレスをさらに記憶してよい。本実施形態では一例として、記憶部130は、保全管理装置19内のアドレスを関係図の格納アドレスとして記憶してよい。
【0057】
[2.2.検出部131]
検出部131は、複数の機器11のうちユーザの見ている対象機器11を検出する。
【0058】
検出部131は、1または複数のセンサ1310を有してよい。例えば、検出部131は、1または複数のセンサ1310として、6軸センサ、磁気センサ、または、測位センサの少なくとも1つを有してよい。
【0059】
6軸センサは、3軸加速度センサおよび3軸ジャイロ(角速度)センサを有するモーションセンサ(慣性センサとも称する)であってよく、ユーザの頭部の動き、ひいては看視用端末13の向きを検出してよい。磁気センサは、例えば、3軸の地磁気センサであってよい。測位センサは、GPS衛星から送信される無線信号を受信して、看視用端末13の現在位置の座標を検出してよい。
【0060】
検出部131は、これらのセンサからの信号に基づいてプラント内でのユーザの位置と、視線または両目の注視点(注視位置とも称する)とを検出してよい。ユーザの視線は、両目の中間点と、ユーザの注視点とを結ぶ直線であってよい。
【0061】
検出部131は、プラント内での各機器11の位置座標を予め登録したデータベース(図示せず)を参照して対象機器11を検出してよい。例えば、検出部131は、データベースを参照し、ユーザの位置を起点とする視線上に位置する機器11を対象機器11として検出してもよいし、ユーザの両目の注視点に位置する機器11を対象機器11として検出してもよい。検出部131は、検出した対象機器11の機器固有情報を取得部132に供給してよい。
【0062】
なお、データベースは看視用端末13に具備されてもよいし、看視用端末13に外部接続されてもよい。また、検出部131は、看視用端末13から前方の物体(一例として機器11)までの距離を測定する測距センサをさらに有してもよい。この場合には、検出部131は、測距センサからの信号をさらに用いてユーザの注視点を検出してよい。
【0063】
また、検出部131は、ユーザの眼球を撮影するカメラを有してもよい。この場合には、検出部131は、左右の眼球の向きから算出される輻輳角を用いて看視用端末13からユーザの注視点までの距離を特定してよい。眼球を撮影するカメラが検出部131に具備される場合には、検出部131は、6軸センサを用いずに、眼球の画像を解析することによって視線を検出してもよい。
【0064】
[2.3.取得部132]
取得部132は、対象機器11に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器11に関連する測定データを取得する。取得部132は、対象機器11に対応付けられた格納アドレスから、対象機器11の設定パラメータの値をさらに取得してよい。取得部132は、対象機器11に対応付けられた関係図の格納アドレスから、関係図をさらに取得してよい。取得部132は、取得した測定データなどを表示部133に供給してよい。
【0065】
取得部132は、記憶部130を参照して、対象機器11の機器固有情報に対応付けられた1または複数の格納アドレスを検出してよい。取得部132は、格納アドレスに対応する対象機器11の内部の記憶装置や、外部の記憶装置(本実施形態では一例として運転制御装置15やインタフェース装置16、資源管理装置17、保全管理装置19、保全用端末12など)から無線通信により測定データや設定パラメータの値、関係図を取得してよい。
【0066】
取得部132は、格納アドレスに対応する対象機器11や、対象機器11の外部の記憶装置に対し、通信機器などを介して間接的にアクセスしてよい。例えば、取得部132は、対象機器11に外部接続された無線通信装置14や、対象機器11の外部の記憶装置に外部接続された無線通信装置14と無線通信することで、当該無線通信装置14を介して対象機器11や、対象機器11の外部の記憶装置に間接的にアクセスしてよい。
【0067】
この場合、取得部132は、1つの無線通信装置14を介して2つ以上の記憶装置(本実施形態では一例として機器11の内部の記憶装置や、機器11の外部の記憶装置)から測定データを取得してよい。一例として、取得部132は、1つの無線通信装置14を介して2つ以上の記憶装置から、1つの対象機器11に関する複数の種類の測定データを取得してもよいし、複数の対象機器11に関する同一の種類または別々の種類の複数の測定データを取得してもよい。
【0068】
また、取得部132は、対象機器11に内蔵された通信部や、対象機器11の外部の記憶装置に内蔵された通信部と無線通信することで、当該対象機器11や、対象機器11の外部の記憶装置に直接的にアクセスしてよい。一例として、取得部132は、対象機器11に対応付けられた格納アドレスが無線通信装置14からアクセス可能なアドレスではない場合に、当該格納アドレスに対応する対象機器11や、対象機器11の外部の記憶装置に直接的にアクセスしてよい。一例として、この場合に取得部132は、ブルートゥース(登録商標)の規格で無線通信を行ってよい。なお、取得部132と、対象機器11の外部の記憶装置とが直接的に無線通信する場合には、当該記憶装置は、プラントにおいてプロセスが実行される現場に配置されてよい。
【0069】
[2.4.表示部133]
表示部133は、取得部132による取得内容を表示する。例えば、表示部133は、取得部132により取得された測定データを表示してよい。また、表示部133は、対象機器11の設定パラメータの値や関係図を表示してもよい。
【0070】
以上の看視用端末13によれば、プラント内に存在する複数の機器11のうちユーザの見ている対象機器11が検出されると、対象機器11に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器11に関連する測定データが取得されて表示される。従って、プラント内の機器11を見るだけで、その機器11に関連する測定データを確認することができる。
【0071】
また、複数の機器11のうち少なくとも一部の機器11のそれぞれに対応付けて、複数の種類の測定データの格納アドレスそれぞれが記憶されるので、ユーザの見ている対象機器11が検出されると、その対象機器11に関連する複数の種類の測定データが該当の格納アドレスから取得されて表示される。従って、機器11を見るだけで、その機器11に関連する複数の種類の測定データをそれぞれ確認することができる。
【0072】
また、複数の機器11のうち少なくとも一部の機器11に関連する測定データはその機器11の外部の記憶装置に格納され、当該少なくとも一部の機器11のそれぞれに対応付けて記憶装置内のアドレスが測定データの格納アドレスとして記憶される。従って、機器11に関連する測定データが当該機器11の外部に記憶される場合に、ユーザがその機器11を見るだけで、その機器11に関連する測定データを確認することができる。
【0073】
また、複数の機器11のうち他の少なくとも一部の機器11に関連する測定データは、その機器11の内部の記憶装置に格納され、当該他の少なくとも一部の機器11のそれぞれに対応付けて当該記憶装置内のアドレスが測定データの格納アドレスとして記憶される。従って、機器11に関連する測定データが当該機器11の内部に記憶される場合に、ユーザがその機器11を見るだけで、その機器11に関連する測定データを確認することができる。よって、機器11に関連する測定データが当該機器11の外部または内部の何れに記憶される場合であっても、その機器11を見るだけで当該機器11に関連する測定データを確認することができる。
【0074】
また、2つ以上の機器11に関連する測定データが機器11の外部の単一の記憶装置に格納され、当該2つ以上の機器11のそれぞれに対応付けて記憶装置内の別々のアドレスが測定データの格納アドレスとして記憶される。従って、測定データの記憶装置を集約することができる分、保全管理システム1を簡略化することができる。
【0075】
また、装置0の外部に設けられた一の無線通信装置14を介して2以上の機器11のそれぞれに関連する測定データが取得可能であるので、各機器11と別々に無線接続を確立する手間を省くことができる。
【0076】
また、測定データは機器11としてのセンサによる測定データを含むので、センサを見るだけで、そのセンサによる測定データを取得することができる。
【0077】
また、測定データは該当の機器11に設けられたセンサ、または、機器11の付属物に設けられたセンサによる測定データを含むので、機器11を見るだけで、その機器11や付属物に設けられたセンサによる測定データを取得することができる。
【0078】
また、測定データは機器11としての配管に対する上流側または下流側の付属物に設けられたセンサによる測定データを含むので、配管を見るだけで、その上流側または下流側の付属物に設けられたセンサによる測定データを取得することができる。
【0079】
また、対象機器11の設定パラメータの値がさらに取得されて表示されるので、機器11を見るだけで、その機器11に関連する測定データと、設定パラメータの値とを確認することができる。
【0080】
また、対象機器11の関係図がさらに取得されて表示されるので、機器11を見るだけで、その機器11と他の機器11との間の関係を示す関係図を確認することができる。
【0081】
[3.看視用端末13の外観]
図3は、看視用端末13の外観を示す。
【0082】
看視用端末13は、ユーザに装着されるウェアラブルコンピュータであってよく、本実施形態においては一例として頭部装着型のいわゆるヘッドマウントディスプレイである。看視用端末13は、ユーザの頭部に装着されるヘルメット1311と、ユーザの目を覆うゴーグル1312と、1または複数のセンサ1310とを有してよい。
【0083】
ヘルメット1311は、ユーザの頭部を保護する。なお、ヘルメット1311は看視用端末13に具備されなくてもよい。
【0084】
ゴーグル1312は、看視用端末13の前側部分に設けられてユーザの目を覆う。ゴーグル1312は、表示部133の一例であり、光学透過型のディスプレイであってよい。ゴーグル1312は、ユーザの視界に表示内容を重畳して表示してよい。
【0085】
センサ1310は、看視用端末13の前側部分に設けられる。本実施形態では一例として、センサ1310はヘルメット1311に設けられているが、ゴーグル1312に設けられてもよい。
【0086】
[4.看視用端末13の動作]
図4は、看視用端末13の動作を示す。看視用端末13は、ステップS11~S17の処理を行うことによりプラントの保全管理を支援する。
【0087】
ステップS11において、記憶部130は、プラント内に存在する複数の機器11のそれぞれに対応付けて、関連する測定データの格納アドレスを記憶する。記憶部130は、機器11に対応付けて設定パラメータの値や関係図の格納アドレスをさらに記憶してよい。本実施形態では一例として、機器11と、格納アドレスとの対応テーブルはプラントの管理者により作成されて記憶部130内に記憶されてよい。
【0088】
なお、ステップS11の処理は、看視用端末13の動作が開始される都度、行われてもよいし、基準インターバル(一例として一か月)をあけて看視用端末13の動作が開始される都度、行われてもよい。これに代えて、ステップS11の処理は、看視用端末13の初回動作時にのみ行われてよく、2回目以降の動作では行われなくてもよい。
【0089】
ステップS13において、検出部131は、プラント内に存在する複数の機器11のうちユーザの見ている対象機器11を検出する。検出部131は、プラント内でのユーザの位置、および視線を検出し、プラント内での各機器11の位置座標を予め登録したデータベースを参照して対象機器11を検出してよい。検出部131は、単一の機器11を対象機器11として検出してもよいし、複数の機器11をそれぞれ対象機器11として検出してもよい。
【0090】
ステップS15において、取得部132は、対象機器11に対応付けられた格納アドレスから、当該対象機器11に関連する測定データを取得する。取得部132は、対象機器11の設定パラメータの値や関係図を格納アドレスからさらに取得してよい。対象機器11が複数ある場合には、取得部132は、対象機器11ごとに格納アドレスから測定データなどを取得してよい。
【0091】
ステップS17において、表示部133は、取得内容を表示する。対象機器11が複数ある場合には、表示部133は、対象機器11ごとに測定データなどを表示してよい。一例として、表示部133は、吹き出しや引き出し線により各対象機器11に関連付けて測定データなどを表示してよい。
【0092】
[5.変形例]
なお、上記の実施形態においては、ゴーグル1312を光学透過型のディスプレイとして説明したが、ゴーグル1312はビデオ透過型のディスプレイであってもよい。この場合には、ゴーグル1312は、ユーザの前方を撮影する撮影部を有し、撮影部により撮影された画像をゴーグル1312の内側面に表示してよい。また、検出部131は、撮影部を用いてユーザの視線を特定してよい。一例として、検出部131は、ゴーグル1312の中心と撮影部による視野の中心とを結ぶ直線をユーザの視線として検出してよい。
【0093】
また、ユーザの前方を撮影する撮影部が看視用端末13に具備される場合には、検出部131は、撮影部による撮影画像に存在する機器を対象機器11として検出してもよい。例えば、検出部131は、プラント内の機器ごとに撮影画像を予め登録したデータベースを参照し、撮影画像に対してエッジ抽出処理などの画像処理を行って取得される機器11の外観をデータベースで照合することで、対象機器11を検出してもよい。これに代えて、各機器11の外面には固有のコードが設けられており、検出部131は、撮影画像内で検出されるコードを解析することで対象機器11を検出してもよい。コードは、バーコードや2次元コード(一例としてQRコード(登録商標))などであってよく、貼付、印刷、または、刻印の少なくとも1つによって機器11に設けられてよい。
【0094】
また、取得部132は対象機器11に関連する測定データや、設定パラメータの値、関係図を取得することとして説明したが、ドキュメントデータベース18に記憶されたドキュメントをさらに取得してもよい。この場合には、記憶部130には、少なくとも1つの機器11に対応付けてドキュメントデータベース18内のアドレスがドキュメントの格納アドレスとして記憶されてよい。
【0095】
また、取得部132は無線通信により測定データや設定パラメータの値、関係図などを取得することとして説明したが、これらの少なくとも一部を有線通信により取得してもよい。
【0096】
また、看視用端末13をプラントにおいてプロセスが実行される現場に配置されることとして説明したが、検出部131および表示部133が現場に配置される限りにおいて、記憶部130および取得部132の少なくとも一方はプラントの管理室や計器室に配置されてもよいし、プラントの外部に配置されてもよい。
【0097】
また、装置を看視用端末13として説明したが、保全用端末12としてもよいし、据え置き型の他の装置としてもよい。これらの場合には、検出部131は、装置の記憶部130や取得部132、表示部133などから分離されてユーザに装着されるウェアラブルデバイスであってよい。また、検出部131は、ユーザに装着されずにユーザの眼球を撮影するカメラを用いてユーザの視線や注視点を検出してもよい。
【0098】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0099】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0100】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0101】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0102】
図5は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0103】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0104】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0105】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0106】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0107】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0108】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0109】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0110】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0111】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0112】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0113】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0114】
1 保全管理システム
11 機器
12 保全用端末
13 看視用端末
14 無線通信装置
15 運転制御装置
16 インタフェース装置
17 資源管理装置
18 ドキュメントデータベース
19 保全管理装置
100 制御用ネットワーク
101 ネットワーク
130 記憶部
131 検出部
132 取得部
133 表示部
1310 センサ
1311 ヘルメット
1312 ゴーグル
1900 機器台帳
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード