(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】バッテリー装着システム及びバッテリー装着方法
(51)【国際特許分類】
B62D 65/02 20060101AFI20230314BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B62D65/02
B23P21/00 303B
(21)【出願番号】P 2021555699
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2019044565
(87)【国際公開番号】W WO2021095169
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】古川 拓
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-154190(JP,A)
【文献】特開2006-016144(JP,A)
【文献】特開平05-004177(JP,A)
【文献】実開平02-078230(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 65/02
B23P 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の車体の下に作業空間が形成されるように前記車体を支持する車体サポートと、
前記作業空間において前記車体の走行用のバッテリーを上昇させ、前記車体の下に配置するリフターと、
前記バッテリーが前記車体の下に配置される前に、前記車体の下に液剤を塗布する塗布装置と、を備え、
前記リフターは、
前記バッテリーを支持するバッテリーサポートと、
水平方向における前記バッテリーサポートの位置及び前記バッテリーサポートの高さを変更する多関節のリフトアームと、を有する、バッテリー装着システム。
【請求項2】
前記リフトアームは、
リフトベースと、
水平な第1リフト軸線まわりに揺動するように前記リフトベースに接続された第1リフトアームと、
前記第1リフト軸線に平行な第2リフト軸線まわりに揺動するように前記第1リフトアームの先端部に接続された第2リフトアームと、
前記第2リフト軸線に平行な第3リフト軸線まわりに揺動するように前記第2リフトアームの先端部に接続され、前記バッテリーサポートを保持するリフトリストと、を有する、請求項1記載のバッテリー装着システム。
【請求項3】
前記リフトアームは、
前記第1リフト軸線まわりに前記第1リフトアームを揺動させる第1リフトアクチュエータと、
前記第2リフト軸線まわりに前記第2リフトアームを揺動させる第2リフトアクチュエータと、
前記第2リフト軸線まわりに揺動するように、前記第1リフトアームと前記第2リフトアームとの接続部に設けられたリンク中継部と、
前記リフトベースに対する前記リンク中継部の姿勢を一定に保つように、前記第1リフトアームの揺動に連動して前記第1リフトアームに対する前記リンク中継部の角度を変化させる第1平行リンクと、
前記リンク中継部に対する前記リフトリストの姿勢を一定に保つように、前記第2リフトアームの揺動に連動して前記第2リフトアームに対する前記リフトリストの角度を変化させる第2平行リンクと、を有する、請求項2記載のバッテリー装着システム。
【請求項4】
前記リフトアームは、
前記リフトリストにおいて、前記第3リフト軸線に垂直な第4リフト軸線まわりに前記バッテリーサポートを旋回させる第3リフトアクチュエータを更に有する、請求項3記載のバッテリー装着システム。
【請求項5】
前記リフトアームは、
前記リフトベースにおいて、鉛直な第5リフト軸線まわりに前記第1リフトアームを旋回させる第4リフトアクチュエータを更に有する、請求項3又は4記載のバッテリー装着システム。
【請求項6】
前記リフトアームを変位させるリフトアームトランスファーを更に備える、請求項1~5のいずれか一項記載のバッテリー装着システム。
【請求項7】
前記リフターが前記車体の下に配置した前記バッテリーを前記車体にファスニングするファスニング装置を更に備える、請求項1~6のいずれか一項記載のバッテリー装着システム。
【請求項8】
前記ファスニング装置は、
前記バッテリーを前記車体にファスニングするためのファスニングツールと、
前記ファスニングツールの位置及び姿勢を変更する多関節のファスニングアームと、を有する、請求項7記載のバッテリー装着システム。
【請求項9】
前記ファスニング装置における前記ファスニングツールの動きの自由度は、前記リフターにおける前記バッテリーサポートの動きの自由度よりも高い、請求項8記載のバッテリー装着システム。
【請求項10】
前記ファスニングアームは、
前記作業空間の周囲に設置されたファスニングベースと、
水平な第1ファスニング軸線まわりに揺動するように前記ファスニングベースに接続され、前記ファスニングベースから側方に延びる第1ファスニングアームと、
前記第1ファスニング軸線に平行な第2ファスニング軸線まわりに揺動するように前記第1ファスニングアームの先端部に接続され、前記第1ファスニングアームの先端部から上方に延びる第2ファスニングアームと、
前記第2ファスニングアームに垂直な第3ファスニング軸線まわりに揺動するように前記第2ファスニングアームの先端部に接続され、前記ファスニングツールを保持するファスニングリストと、を有する、請求項8又は9記載のバッテリー装着システム。
【請求項11】
前記第1ファスニング軸線から前記第2ファスニング軸線までの距離は、前記第2ファスニング軸線から前記第3ファスニング軸線までの距離よりも短い、請求項10記載のバッテリー装着システム。
【請求項12】
前記塗布装置は、前記液剤を前記車体の下に塗布するための塗布ツールと、
前記塗布ツールの位置及び姿勢を変更する多関節の塗布アームと、を有する、請求項
1~11のいずれか一項記載のバッテリー装着システム。
【請求項13】
前記塗布装置における前記塗布ツールの動きの自由度は、前記リフターにおける前記バッテリーサポートの動きの自由度よりも高い、請求項
12記載のバッテリー装着システム。
【請求項14】
前記塗布アームは、
前記作業空間の周囲に設置された塗布ベースと、
水平な第1塗布軸線まわりに揺動するように前記塗布ベースに接続され、前記塗布ベースから側方に延びる第1塗布アームと、
前記第1塗布軸線に平行な第2塗布軸線まわりに揺動するように前記第1塗布アームの先端部に接続され、前記第1塗布アームの先端部から上方に延びる第2塗布アームと、
前記第2塗布アームに垂直な第3塗布軸線まわりに揺動するように前記第2塗布アームの先端部に接続され、前記塗布ツールを保持する塗布リストと、を有する、請求項
12又は
13記載のバッテリー装着システム。
【請求項15】
電動車両の車体の下に作業空間が形成されるように車体サポートにより前記車体を支持することと、
前記作業空間において、塗布装置により前記車体の下に液剤を塗布することと、
バッテリーを支持するバッテリーサポートと、水平方向における前記バッテリーサポートの位置及び前記バッテリーサポートの高さを変更する多関節のリフトアームと、を有するリフターにより、前記作業空間において前記車体の走行用のバッテリーを上昇させ、
前記液剤が塗布された前記車体の下に配置することと、を含むバッテリー装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリー装着システム及びバッテリー装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フロアパネルの下部のホイールベース中央部位にバッテリーパックが配置された電気自動車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、電動車両のバッテリーを車体の下方から迅速に装着するのに有効なバッテリー装着システム及びバッテリー装着方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るバッテリー装着システムは、電動車両の車体の下に作業空間が形成されるように車体を支持する車体サポートと、作業空間において車体の走行用のバッテリーを上昇させ、車体の下に配置するリフターと、を備え、リフターは、バッテリーを支持するバッテリーサポートと、水平方向におけるバッテリーサポートの位置及びバッテリーサポートの高さを変更する多関節のリフトアームと、を有する。
【0006】
本開示の他の側面に係るバッテリー装着方法は、電動車両の車体の下に作業空間が形成されるように車体サポートにより車体を支持することと、バッテリーを支持するバッテリーサポートと、水平方向におけるバッテリーサポートの位置及びバッテリーサポートの高さを変更する多関節のリフトアームと、を有するリフターにより、作業空間において車体の走行用のバッテリーを上昇させ、車体の下に配置することと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電動車両のバッテリーを車体の下方から迅速に装着するのに有効なバッテリー装着システム及びバッテリー装着方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】バッテリー装着システムの変形例を示す断面図である。
【
図4】バッテリー装着システムの変形例を示す断面図である。
【
図5】バッテリー装着システムの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
〔バッテリー装着システム〕
図1及び
図2に示すバッテリー装着システム1は、電動車両90の走行用のバッテリーを電動車両90の車体91に取り付けるシステムである。電動車両90は、バッテリーに蓄電された電力により移動する車両であればいかなる車両であってもよい。電動車両90の具体例としては、4輪の電動自動車が挙げられる。
【0011】
例えばバッテリー装着システム1は、複数のバッテリーが一体化されたバッテリーパック96を車体91に取り付ける。バッテリーパック96は、複数のバッテリーを支持するトレーを有していてもよい。この場合、バッテリー装着システム1は、バッテリーパック96のトレーを電動車両90に取り付けるように構成されていてもよい。バッテリー装着システム1は、車体サポート10と、リフターロボット100(リフター)とを有する。
【0012】
車体サポート10は、電動車両90の車体91の下に作業空間が形成されるように車体91を支持する。例えば車体サポート10は、第1サポート11と、第2サポート12とを有する。第1サポート11は、床面14の上に起立して、電動車両90の左前輪92と左後輪93とを支持する。第2サポート12は、床面14上に起立して、電動車両90の右前輪94と右後輪95とを支持する。すなわち、第1サポート11は左前輪92と左後輪93とを介して車体91を支持し、第2サポート12は右前輪94と右後輪95とを介して車体91を支持する。これにより、車体91の下に作業空間13が形成される。作業空間13は、車体91の下面91aと床面14との間の空間である。
【0013】
以下の説明において、「前」方向は車体サポート10に支持された車体91の前方向を意味し、「後」方向は車体サポート10に支持された車体91の後方向を意味し、「左」方向は車体サポート10に支持された車体91の左方向を意味し、「右」方向は車体サポート10に支持された車体91の右方向を意味する。
【0014】
リフターロボット100は、作業空間13においてバッテリーパック96を上昇させ、車体91の下に配置する。リフターロボット100は、バッテリーサポート110と、リフトアーム120と、コントローラ190とを有する。
【0015】
バッテリーサポート110は、バッテリーパック96を下方から支持する。リフトアーム120は、シリアルリンク型の多関節のアームであり、水平方向におけるバッテリーサポート110の位置及びバッテリーサポート110の高さを変更する。リフトアーム120は、リフトベース121と、第1リフトアーム122と、第2リフトアーム123と、リフトリスト124とを有する。
【0016】
リフトベース121は、作業空間13において床面14上に設置される。なお、床面14上に設置されることは、床面14上に他の物体(例えば後述のリフトアームトランスファー400)を介して設置されることを含む。例えばリフトベース121は、基部125と、旋回部126とを有する。基部125は作業空間13において床面14上に設置される。旋回部126は、鉛直な軸線151(第5リフト軸線)まわりに旋回するように基部125上に設けられている。
【0017】
第1リフトアーム122は、水平な軸線152(第1リフト軸線)まわりに揺動するようにリフトベース121に接続されている。例えば、第1リフトアーム122は、軸線152まわりに揺動するように旋回部126に接続されており、軸線152に垂直な中心軸線に沿って一方向に延びている。なお、ここでの垂直は、実質的に垂直であることを意味し、真の垂直に対して多少の誤差を持った状態を含む。また、ここでの垂直は、所謂立体交差のようにねじれの関係における垂直も含む。以下においても同様である。
【0018】
例えば第1リフトアーム122は、アームプレート122a,122bを有する。アームプレート122a,122bは、軸線152に沿って互いに対向し、それぞれが第1リフトアーム122の中心軸線に沿って一方向に延びている。
【0019】
第2リフトアーム123は、軸線152に平行な軸線153(第2リフト軸線)まわりに揺動するように第1リフトアーム122の先端部に接続され、軸線153に垂直な中心軸線に沿って一方向に延びている。なお、平行は、実質的に平行であることを意味し、真の平行に対して多少の誤差を持った状態を含む。以下においても同様である。
【0020】
軸線153に沿う方向において、第2リフトアーム123は第1リフトアーム122のアームプレート122a,122bの間に位置している。これにより、第2リフトアーム123の揺動範囲と第1リフトアーム122との干渉が防止されている。例えば第2リフトアーム123は、アームプレート123a,123bを有する。アームプレート123a,123bは、軸線153に沿って互いに対向し、それぞれが第2リフトアーム123の中心軸線に沿って一方向に延びている。
【0021】
リフトリスト124は、軸線153に平行な軸線154(第3リフト軸線)まわりに揺動するように第2リフトアームの先端部に接続され、軸線154に垂直な中心軸線に沿って一方向に延びている。例えばリフトリスト124は、軸線154に垂直な中心軸線に沿って水平方向に延びている。
【0022】
リフトリスト124は、バッテリーサポート110を保持する。例えばリフトリスト124は、バッテリーサポート110を下方から保持する保持部127を有する。保持部127は、軸線154に垂直な軸線155(第4リフト軸線)まわりに旋回するように設けられている。例えば保持部127は、鉛直な軸線155まわりに旋回するように設けられている。
【0023】
軸線154に沿う方向において、リフトリスト124は第2リフトアーム123のアームプレート123a,123bの間に位置している。これにより、リフトリスト124の揺動範囲と第2リフトアーム123との干渉が防止される。
【0024】
以上の構成により、リフターロボット100におけるバッテリーサポート110の動きの自由度は、最大で、軸線151,152,153,154,155まわりの5自由度となる。
【0025】
リフターロボット100は、リフトアクチュエータ131,132と、リンク中継部143と、第1平行リンク141と、第2平行リンク142とを更に有する。リフトアクチュエータ131(第1リフトアクチュエータ)は、例えば電動モータを動力源とし、軸線152まわりに第1リフトアーム122を揺動させる。リフトアクチュエータ132(第2リフトアクチュエータ)は、例えば電動モータを動力源とし、軸線153まわりに第2リフトアーム123を揺動させる。
【0026】
リンク中継部143は、軸線153まわりに揺動するように、第1リフトアーム122と第2リフトアーム123との接続部に設けられている。軸線153に沿う方向において、リンク中継部143は第2リフトアーム123のアームプレート123a,123bの間に位置している。
【0027】
第1平行リンク141は、旋回部126に対するリンク中継部143の姿勢を一定に保つように、第1リフトアーム122の揺動に連動して第1リフトアーム122に対するリンク中継部143の角度を変化させる。例えば第1平行リンク141は、第1リフトアーム122に平行に延びている。第1平行リンク141の一端部は、軸線152に平行な軸線161まわりに揺動するように旋回部126に接続されている。第1平行リンク141の他端部は、軸線153に平行な軸線162まわりに揺動するようにリンク中継部143に接続されている。軸線152,153,161,162の延長線上の視点から見て、軸線152,153,161,162を結ぶ四角形は平行四辺形となっている。
【0028】
第2平行リンク142は、リンク中継部143に対するリフトリスト124の姿勢を一定に保つように、第2リフトアーム123の揺動に連動して第2リフトアーム123に対するリフトリスト124の角度を変化させる。例えば第2平行リンク142は、第2リフトアーム123に平行に延びている。第2平行リンク142の一端部は、軸線153に平行な軸線163まわりに揺動するようにリンク中継部143に接続されている。第2平行リンク142の他端部は、軸線154に平行な軸線164まわりに揺動するようにリフトリスト124に接続されている。軸線153,154,163,164の延長線上の視点から見て、軸線153,154,163,164を結ぶ四角形は平行四辺形となっている。
【0029】
この構成によれば、軸線152まわりに第1リフトアーム122が揺動し、軸線153まわりに第2リフトアーム123が揺動しても、旋回部126に対するリフトリスト124の姿勢が一定に保たれる。リンク中継部143、第1平行リンク141、及び第2平行リンク142を備えることで、軸線154まわりのリフトリスト124の姿勢が拘束されるので、独立した自由度が1つ削減されているといえる。従って、リフターロボット100におけるバッテリーサポート110の動きの自由度は4自由度となっている。
【0030】
リフターロボット100は、リフトアクチュエータ133,134を更に有してもよい。リフトアクチュエータ133(第3リフトアクチュエータ)は、リフトリスト124において、軸線155まわりにバッテリーサポート110を旋回させる。例えばリフトアクチュエータ133は、電動モータを動力源とし、軸線155まわりに保持部127を旋回させる。リフトアクチュエータ134(第4リフトアクチュエータ)は、リフトベース121において、軸線151まわりに第1リフトアーム122を旋回させる。例えばリフトアクチュエータ134は、電動モータを動力源とし、軸線151まわりに旋回部126を旋回させる。
【0031】
リフトアーム120は、バッテリーサポート110が保持するバッテリーパック96を、車体91の下の取付位置まで上昇させる。また、リフトアーム120は、水平方向において、バッテリーパック96の位置を上記取付位置に合わせる。
【0032】
水平方向におけるバッテリーパック96の可動範囲を大きくするために、第1リフトアーム122の長さ(軸線152から軸線153までの距離)は、次の条件を満たすように設定されていてもよい。
条件1-1) 第1リフトアーム122が鉛直に起立し、第2リフトアーム123が下方(斜め下方を含む)に向けられた際のリフターロボット100の上端部が、作業空間13の上面(車体91の下面91a)よりも下方に位置する。
【0033】
また、第2リフトアーム123の長さ(軸線153から軸線154までの距離)は、次の条件を満たすように設定されていてもよい。
条件1-2) 軸線152から軸線153までの距離と、軸線153から軸線154までの距離との合計が、上記取付位置にバッテリーパック96を配置する際における軸線152から軸線154までの距離よりも大きい。
【0034】
上述したリフトアーム120の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えばリフトアーム120は、リンク中継部143、第1平行リンク141、及び第2平行リンク142に代えて、軸線154まわりにリフトリスト124を揺動させるアクチュエータを有していてもよい。また、リフトアーム120は、バッテリーサポート110の動きの自由度が上述した4自由度より高くなるように構成されていてもよい。
【0035】
コントローラ190は、バッテリーサポート110及びリフトアーム120を制御する。例えばコントローラ190は、複数のサーボドライバと、制御用コンピュータとを有する。複数のサーボドライバは、リフトアクチュエータ131,132,133,134等の複数のアクチュエータに駆動電力をそれぞれ供給する。制御用コンピュータは、上位コントローラ500からの指令に従ってバッテリーサポート110及びリフトアーム120を動作させるように複数のサーボドライバを制御する。
【0036】
図3及び
図4は、バッテリー装着システムの変形例を示す断面図である。いずれの図も、左右方向に沿った鉛直な切断面による断面図である。
図3に示すように、バッテリー装着システム1は、少なくとも1台のファスニングロボット200(ファスニング装置)を更に備えてもよい。
図3においては、2台のファスニングロボット200が図示されているが、ファスニングロボット200の台数は適宜変更可能である。
【0037】
ファスニングロボット200は、リフターロボット100が車体91の下に配置したバッテリーを車体91にファスニングする。例えばファスニングロボット200は、リフターロボット100が車体91の下に配置したバッテリーパック96を車体91にファスニングする。ファスニングロボット200は、上述したバッテリーパック96のトレーを車体91にファスニングしてもよい。例えばファスニングロボット200は、ファスニングツール210と、ファスニングアーム220と、コントローラ290とを有する。
【0038】
ファスニングツール210は、バッテリーパック96を車体91にファスニングするためのツールである。ファスニングの具体例としては、ボルト又はナット等のねじによる締結が挙げられる。例えばファスニングツール210は、電動ドライバ又は電動レンチ等のねじ締めツールであり、ねじ締め用のビット又はソケット等のロータリーチップ211を有する。
【0039】
ファスニングアーム220は、シリアルリンク型の多関節のアームであり、ファスニングツール210の位置及び姿勢を変更する。ファスニングロボット200におけるファスニングツール210の動きの自由度は、リフターロボット100におけるバッテリーサポート110の動きの自由度(上述の4自由度)よりも高くてもよい。例えばファスニングアーム220は、ファスニングベース221と、第1ファスニングアーム222と、第2ファスニングアーム223と、ファスニングリスト224とを有する。
【0040】
ファスニングベース221は、作業空間13の周囲(例えば左又は右)において床面14上に設置される。例えばファスニングベース221は、基部225と旋回部226とを有する。基部225は作業空間13の周囲において床面14上に設置される。旋回部226は、鉛直な軸線241まわりに旋回するように基部225上に設けられている。
【0041】
第1ファスニングアーム222は、水平な軸線242(第1ファスニング軸線)まわりに揺動するようにファスニングベース221に接続されている。例えば、第1ファスニングアーム222は、軸線242まわりに揺動するように旋回部226に接続されており、軸線242に垂直な中心軸線に沿って旋回部226から側方(上方又は下方に傾いた側方を含む)に延びている。
【0042】
第2ファスニングアーム223は、軸線242に平行な軸線243(第2ファスニング軸線)まわりに揺動するように第1ファスニングアーム222の先端部に接続され、軸線243に垂直な中心軸線に沿って上方(斜め上方を含む)に延びている。例えば第2ファスニングアーム223は、揺動アーム227と旋回アーム228とを有する。
【0043】
揺動アーム227は、軸線243に垂直な上記中心軸線に沿って第1ファスニングアーム222の先端部から上方に延びている。旋回アーム228は、上記中心軸線に沿った軸線244まわりに旋回するように揺動アーム227の先端部に接続され、上記中心軸線に沿って揺動アーム227の先端部から更に上方に延びている。
【0044】
ファスニングリスト224は、第2ファスニングアーム223に垂直(第2ファスニングアーム223の上記中心軸線に垂直)な軸線245(第3ファスニング軸線)まわりに揺動するように第2ファスニングアーム223の先端部に接続されている。例えばファスニングリスト224は、軸線245まわりに揺動するように旋回アーム228の先端部に接続され、第2ファスニングアーム223に垂直な中心軸線に沿って一方向に延びている。
【0045】
ファスニングリスト224は、ファスニングツール210を保持する。例えばファスニングリスト224は、ファスニングツール210を保持する保持部229を有する。保持部229は、ファスニングリスト224の中心軸線に沿った軸線246まわりに旋回するようにファスニングリスト224の先端に設けられている。
【0046】
以上の構成により、ファスニングロボット200におけるファスニングツール210の動きの自由度は、軸線241,242,243,244,245,246まわりの6自由度となる。
【0047】
ファスニングアーム220は、ファスニングアクチュエータ231,232,233,234,235,236を更に有する。ファスニングアクチュエータ231は、ファスニングベース221において、軸線241まわりに第1ファスニングアーム222を旋回させる。例えばファスニングアクチュエータ231は、電動モータを動力源とし、軸線241まわりに旋回部226を旋回させる。ファスニングアクチュエータ232は、例えば電動モータを動力源とし、軸線242まわりに第1ファスニングアーム222を揺動させる。ファスニングアクチュエータ233は、例えば電動モータを動力源とし、軸線243まわりに第2ファスニングアーム223を揺動させる。ファスニングアクチュエータ234は、第2ファスニングアーム223において、軸線244まわりにファスニングリスト224を旋回させる。例えばファスニングアクチュエータ234は、電動モータを動力源とし、軸線244まわりに旋回アーム228を旋回させる。ファスニングアクチュエータ235は、例えば電動モータを動力源とし、軸線245まわりにファスニングリスト224を揺動させる。ファスニングアクチュエータ236は、ファスニングリスト224において、軸線246まわりにファスニングツール210を旋回させる。例えばファスニングアクチュエータ236は、電動モータを動力源とし、軸線246まわりに保持部229を旋回させる。
【0048】
以上の構成において、ファスニングアーム220は、バッテリーパック96を車体91にファスニングするための作業位置にファスニングツール210を配置する。また、ファスニングアーム220は、作業空間13外に退避するための退避高さまでファスニングツール210を下降させるように第1ファスニングアーム222を揺動させ、ファスニングツール210を作業空間13外に退避させるように旋回部226を旋回させる。退避高さは、作業空間13外への退避中に車体サポート10等と衝突しない高さに設定されている。
【0049】
ファスニングツール210を作業空間13外に退避させるためのファスニングアーム220の占有空間を小さくするために、第1ファスニングアーム222の長さ(軸線242から軸線243までの距離)、及び第2ファスニングアーム223の長さ(軸線243から軸線245までの距離)は、次の条件を満たすように設定されていてもよい。
条件2-1)軸線242から軸線243までの距離は、軸線243から軸線245までの距離よりも短い。
【0050】
第1ファスニングアーム222の長さ及び第2ファスニングアーム223の長さは、更に次の条件を満たすように設定されていてもよい。
条件2-2)軸線242から軸線243までの距離は、ファスニングツール210の昇降ストローク(上記作業位置の高さと上記退避高さとの差)の半分よりも長い。
条件2-3)軸線242から軸線243までの距離と、軸線243から軸線245までの距離の合計が、上記作業位置にファスニングツール210を配置する際における軸線242から軸線245までの距離よりも大きい。
条件2-4)第2ファスニングアーム223が鉛直に起立した状態においても、ファスニングツール210を上記退避高さまで下降させることができる。
【0051】
軸線242から軸線243までの距離は、ファスニングツール210の昇降ストロークよりも長くてもよい。これらの条件を満たすことによって、ファスニングツール210の可動範囲の余裕と、上記占有空間の縮小との両立をより確実に図ることができる。
【0052】
上述したファスニングアーム220の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えばファスニングアーム220は、ファスニングツール210の動きの自由度が上述した6自由度より高くなるように構成されていてもよい。
【0053】
コントローラ290は、ファスニングツール210及びファスニングアーム220を制御する。例えばコントローラ290は、複数のサーボドライバと、制御用コンピュータとを有する。複数のサーボドライバは、ファスニングアクチュエータ231,232,233,234,235,236等の複数のアクチュエータに駆動電力をそれぞれ供給する。制御用コンピュータは、上位コントローラ500からの指令に従ってファスニングツール210及びファスニングアーム220を動作させるように複数のサーボドライバを制御する。
【0054】
図4に示すように、バッテリー装着システム1は、少なくとも1台の塗布ロボット300(塗布装置)を更に備えてもよい。
図4においては、2台の塗布ロボット300が図示されているが、塗布ロボット300の台数は適宜変更可能である。バッテリー装着システム1がファスニングロボット200と塗布ロボット300とを備える場合、ファスニングロボット200と塗布ロボット300とは例えば前後方向に並ぶように配置される。
【0055】
塗布ロボット300は、バッテリーが車体91の下に配置される前(例えばバッテリーパック96が上記取付位置に配置される前)に、車体91の下に液剤を塗布する。例えば塗布ロボット300は、塗布ツール310と、塗布アーム320と、コントローラ390とを有する。
【0056】
塗布ツール310は、液剤を車体91の下に塗布するためのツールである。液剤の具体例としては、接着剤、シール材、制振材等が挙げられる。例えば塗布ツール310は、液剤を吐出するノズル311と、ノズル311に液剤を供給するポンプ(不図示)とを有する。
【0057】
塗布アーム320は、シリアルリンク型の多関節アームであり、塗布ツール310の位置及び姿勢を変更する。塗布ロボット300における塗布ツール310の動きの自由度は、リフターロボット100におけるバッテリーサポート110の動きの自由度(上述の4自由度)よりも高くてもよい。例えば塗布アーム320は、塗布ベース321と、第1塗布アーム322と、第2塗布アーム323と、塗布リスト324とを有する。
【0058】
塗布ベース321は、作業空間13の周囲(例えば左又は右)において床面14上に設置される。例えば塗布ベース321は、基部325と旋回部326とを有する。基部325は作業空間13の周囲において床面14上に設置される。旋回部326は、鉛直な軸線341まわりに旋回するように基部325上に設けられている。
【0059】
第1塗布アーム322は、水平な軸線342(第1塗布軸線)まわりに揺動するように塗布ベース321に接続されている。例えば、第1塗布アーム322は、軸線342まわりに揺動するように旋回部326に接続されており、軸線342に垂直な中心軸線に沿って旋回部326から側方(上方又は下方に傾いた側方を含む)に延びている。
【0060】
第2塗布アーム323は、軸線342に平行な軸線343(第2塗布軸線)まわりに揺動するように第1塗布アーム322の先端部に接続され、軸線343に垂直な中心軸線に沿って上方(斜め上方を含む)に延びている。例えば第2塗布アーム323は、揺動アーム327と旋回アーム328とを有する。
【0061】
揺動アーム327は、軸線343に垂直な上記中心軸線に沿って第1塗布アーム322の先端部から上方に延びている。旋回アーム328は、上記中心軸線に沿った軸線344まわりに旋回するように揺動アーム327の先端部に接続され、上記中心軸線に沿って揺動アーム327の先端部から更に上方に延びている。
【0062】
塗布リスト324は、第2塗布アーム323に垂直(第2塗布アーム323の上記中心軸線に垂直)な軸線345(第3塗布軸線)まわりに揺動するように第2塗布アーム323の先端部に接続されている。例えば塗布リスト324は、軸線345まわりに揺動するように旋回アーム328の先端部に接続され、第2塗布アーム323に垂直な中心軸線に沿って一方向に延びている。
【0063】
塗布リスト324は、塗布ツール310を保持する。例えば塗布リスト324は、塗布ツール310を保持する保持部329を有する。保持部329は、塗布リスト324の中心軸線に沿った軸線346まわりに旋回するように塗布リスト324の先端に設けられている。
【0064】
以上の構成により、塗布ロボット300における塗布ツール310の動きの自由度は、軸線341,342,343,344,345,346まわりの6自由度となる。
【0065】
塗布アーム320は、塗布アクチュエータ331,332,333,334,335,336を更に有する。塗布アクチュエータ331は、塗布ベース321において、軸線341まわりに第1塗布アーム322を旋回させる。例えば塗布アクチュエータ331は、電動モータを動力源とし、軸線341まわりに旋回部326を旋回させる。塗布アクチュエータ332は、例えば電動モータを動力源とし、軸線342まわりに第1塗布アーム322を揺動させる。塗布アクチュエータ333は、例えば電動モータを動力源とし、軸線343まわりに第2塗布アーム323を揺動させる。塗布アクチュエータ334は、第2塗布アーム323において、軸線344まわりに塗布リスト324を旋回させる。例えば塗布アクチュエータ334は、電動モータを動力源とし、軸線344まわりに旋回アーム328を旋回させる。塗布アクチュエータ335は、例えば電動モータを動力源とし、軸線345まわりに塗布リスト324を揺動させる。塗布アクチュエータ336は、塗布リスト324において、軸線346まわりにファスニングツール210を旋回させる。例えば塗布アクチュエータ336は、電動モータを動力源とし、軸線346まわりに保持部329を旋回させる。
【0066】
以上の構成において、塗布アーム320は、車体91の下に液剤を塗布するための作業位置に塗布ツール310を配置する。また、塗布アーム320は、作業空間13外に退避するための退避高さまで塗布ツール310を下降させるように第1塗布アーム322を揺動させ、塗布ツール310を作業空間13外に退避させるように旋回部326を旋回させる。退避高さは、作業空間13外への退避中に車体サポート10等と衝突しない高さに設定されている。
【0067】
塗布ツール310を作業空間13外に退避させるための塗布アーム320の占有空間を小さくするために、第1塗布アーム322の長さ(軸線342から軸線343までの距離)、及び第2塗布アーム323の長さ(軸線343から軸線345までの距離)は、次の条件を満たすように設定されていてもよい。
条件3-1)軸線342から軸線343までの距離は、軸線343から軸線345までの距離よりも短い。
【0068】
第1塗布アーム322の長さ及び第2塗布アーム323の長さは、更に次の条件を満たすように設定されていてもよい。
条件3-2)軸線342から軸線343までの距離は、塗布ツール310の昇降ストローク(上記作業位置の高さと上記退避高さとの差)の半分よりも長い。
条件3-3)軸線342から軸線343までの距離と、軸線343から軸線345までの距離の合計が、上記作業位置に塗布ツール310を配置する際における軸線342から軸線345までの距離よりも大きい。
条件3-4)第2塗布アーム323が鉛直に起立した状態においても、塗布ツール310を上記退避高さまで下降させることができる。
【0069】
軸線342から軸線343までの距離は、塗布ツール310の昇降ストロークよりも長くてもよい。これらの条件を満たすことによって、塗布ツール310の可動範囲の余裕と、上記占有空間の縮小との両立をより確実に図ることができる。
【0070】
上述した塗布アーム320の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えば塗布アーム320は、塗布ツール310の動きの自由度が上述した6自由度より高くなるように構成されていてもよい。
【0071】
コントローラ390は、塗布ツール310及び塗布アーム320を制御する。例えばコントローラ390は、複数のサーボドライバと、制御用コンピュータとを有する。複数のサーボドライバは、塗布アクチュエータ331,332,333,334,335,336等の複数のアクチュエータに駆動電力をそれぞれ供給する。制御用コンピュータは、上位コントローラ500からの指令に従って塗布ツール310及び塗布アーム320を動作させるように複数のサーボドライバを制御する。
【0072】
図5に示すように、バッテリー装着システム1は、リフトアームトランスファー400を更に備えてもよい。リフトアームトランスファー400は、少なくとも水平方向においてリフターロボット100のリフトアーム120を変位させる。
【0073】
リフトアームトランスファー400は、水平な一方向(例えば前後方向)にリフトアーム120を変位させるように構成されていてもよいし、水平面において互いに交差する二方向(例えば前後方向及び左右方向)にリフトアーム120を変位させるように構成されていてもよい。例えばリフトアームトランスファー400は、水平方向においてリフトベース121を変位させるリニアアクチュエータを有してもよい。リフトアームトランスファー400は、リフトベース121を搭載して移動する自走式の台車を有してもよい。
【0074】
〔バッテリー装着方法〕
続いて、バッテリー装着方法の一例として、バッテリー装着システム1によるバッテリー装着手順を例示する。この手順は、車体91の下に作業空間13が形成されるように車体サポート10により車体91を支持することと、リフターロボット100により、作業空間13においてバッテリーパック96を上昇させ、車体91の下(例えば上記取付位置)に配置することと、を含む。
【0075】
例えば、まず車体91の搬送装置(不図示)により車体サポート10の上に車体91を搬送し、車体サポート10により車体91を支持する。次に、リフトアームトランスファー400により作業空間13の外までリフトアーム120を移動させ、作業空間13外においてバッテリーサポート110にバッテリーパック96を保持させる(
図6参照)。この間に、塗布ロボット300により、車体91の下に液剤を塗布する(
図7参照)。
【0076】
その後、バッテリーサポート110がバッテリーパック96を保持した状態で、リフトアームトランスファー400により作業空間13内にリフトアーム120を移動させる。これにより、作業空間13外から作業空間13内にバッテリーパック96が搬入される。
【0077】
なお、作業空間13外から作業空間13内へのバッテリーパック96の搬入にリフトアームトランスファー400を用いることは必須ではない。例えば、リフトベース121が作業空間13内に位置する状態で、リフトアーム120により作業空間13内から作業空間13外にバッテリーサポート110を移動させ、作業空間13外においてバッテリーサポート110にバッテリーパック96を保持させ、バッテリーパック96を保持したバッテリーサポート110をリフトアーム120により作業空間13外から作業空間13内に移動させてもよい。
【0078】
次に、塗布ツール310を作業空間13内から作業空間13外に退避させ、リフトアーム120により、水平方向におけるバッテリーパック96の位置を上記取付位置に合わせつつ、バッテリーパック96を取付位置まで上昇させる(
図8参照)。次に、ファスニングロボット200により、バッテリーパック96を車体91にファスニングする(
図9参照)。以上でバッテリー装着手順が完了する。
【0079】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、バッテリー装着システム1は、電動車両90の車体91の下に作業空間13が形成されるように車体91を支持する車体サポート10と、作業空間13において車体91の走行用のバッテリーパック96を上昇させ、車体91の下に配置するリフターロボット100と、を備え、リフターロボット100は、バッテリーパック96を支持するバッテリーサポート110と、水平方向におけるバッテリーサポート110の位置及びバッテリーサポート110の高さを変更する多関節のリフトアーム120と、を有する。
【0080】
バッテリー装着システム1によれば、バッテリーパック96の位置を適切に調節することと、バッテリーパック96を適切な高さまで上昇させることとの両方を1台のリフトアーム120により行うことができる。このため、車体サポート10に支持された車体91の下の限られた作業空間13においても、バッテリーパック96を車体91の下にスムーズに配置することができる。従って、バッテリーパック96を車体91の下方から迅速に装着するのに有効である。なお、このバッテリー装着システム1は、電動車両90の完成後におけるバッテリーパック96の交換作業の迅速化にも有効である。
【0081】
リフトアーム120は、リフトベース121と、水平な軸線152まわりに揺動するようにリフトベース121に接続された第1リフトアーム122と、軸線152に平行な軸線153まわりに揺動するように第1リフトアーム122の先端部に接続された第2リフトアーム123と、軸線153に平行な軸線154まわりに揺動するように第2リフトアーム123の先端部に接続され、バッテリーサポート110を保持するリフトリスト124と、を有していてもよい。この場合、水平面に平行で軸線152に垂直な方向におけるバッテリーパック96の位置と、バッテリーパック96の高さとを、3アームの簡素な構成にて調節することができる。従って、作業空間13の縮小化を更に図ることができる。
【0082】
リフトアーム120は、軸線152まわりに第1リフトアーム122を揺動させるリフトアクチュエータ131と、軸線153まわりに第2リフトアーム123を揺動させるリフトアクチュエータ132と、軸線153まわりに揺動するように、第1リフトアーム122と第2リフトアーム123との接続部に設けられたリンク中継部143と、リフトベース121に対するリンク中継部143の姿勢を一定に保つように、第1リフトアーム122の揺動に連動して第1リフトアーム122に対するリンク中継部143の角度を変化させる第1平行リンク141と、リンク中継部143に対するリフトリスト124の姿勢を一定に保つように、第2リフトアーム123の揺動に連動して第2リフトアーム123に対するリフトリスト124の角度を変化させる第2平行リンク142と、を有していてもよい。この場合、3アームを揺動させるためのアクチュエータを2つに削減し、リフターロボット100を更に小型化することができる。従って、作業空間13の縮小化を更に図ることができる。
【0083】
リフトアーム120は、リフトリスト124において、軸線154に垂直な軸線155まわりにバッテリーサポート110を旋回させるリフトアクチュエータ133を更に有していてもよい。この場合、リフトアーム120によって、軸線154まわりのバッテリーパック96の姿勢も調節することができる。従って、バッテリーパック96を車体91の下に更にスムーズに配置することができる。
【0084】
リフトアーム120は、リフトベース121において、鉛直な軸線151まわりに第1リフトアーム122を旋回させるリフトアクチュエータ134を更に有していてもよい。この場合、リフトアーム120によって、水平面に平行で軸線151に沿った方向におけるバッテリーパック96の位置も調節することができる。従って、バッテリーパック96を車体91の下に更にスムーズに配置することができる。
【0085】
バッテリー装着システム1は、リフトアーム120を変位させるリフトアームトランスファー400を更に備えていてもよい。この場合、リフトアームトランスファー400によりリフトアーム120を移動させることによって、より広い範囲でバッテリーを搬送することができる。
【0086】
バッテリー装着システム1は、リフターロボット100が車体91の下に配置したバッテリーパック96を車体91にファスニングするファスニングロボット200を更に備えていてもよい。この場合、バッテリーパック96を車体91にファスニングする作業も自動化される。従って、バッテリーパック96を車体91の下方からより迅速に装着するのに有効である。
【0087】
ファスニングロボット200は、バッテリーパック96を車体91にファスニングするためのファスニングツール210と、ファスニングツール210の位置及び姿勢を変更する多関節のファスニングアーム220と、を有していてもよい。この場合、ファスニングツール210を多様な位置・姿勢に配置することが可能となる。このため、より多くのファスニング作業を1台のファスニングロボット200に実行させることができる。従って、システム構成の簡素化に有効である。
【0088】
ファスニングロボット200におけるファスニングツール210の動きの自由度は、リフターロボット100におけるバッテリーサポート110の動きの自由度よりも高くてもよい。この場合、より多くのファスニング作業を1台のファスニングロボット200に実行させることができる。従って、システム構成の更なる簡素化に有効である。
【0089】
ファスニングアーム220は、作業空間13の周囲に設置されたファスニングベース221と、水平な軸線242まわりに揺動するようにファスニングベース221に接続され、ファスニングベース221から側方に延びる第1ファスニングアーム222と、軸線242に平行な軸線243まわりに揺動するように第1ファスニングアーム222の先端部に接続され、第1ファスニングアーム222の先端部から上方に延びる第2ファスニングアーム223と、第2ファスニングアーム223に垂直な軸線245まわりに揺動するように第2ファスニングアーム223の先端部に接続され、ファスニングツール210を保持するファスニングリスト224と、を有していてもよい。この場合、ファスニングアーム220の全体が車体91よりも下方に位置する状態で、ファスニングツール210の位置及び姿勢を調節することが可能となる。このため、ファスニングアーム220と車体91との干渉による制約を受けずに、より多様な位置・姿勢にファスニングツール210を配置することができる。
【0090】
軸線242から軸線243までの距離は、軸線243から軸線245までの距離よりも短くてもよい。この場合、作業空間13に対し、ファスニングベース221をより近付けて配置することで、システムの省スペース化を更に図ることができる。
【0091】
バッテリー装着システム1は、バッテリーパック96が車体91の下に配置される前に、車体91の下に液剤を塗布する塗布ロボット300を更に備えていてもよい。この場合、バッテリーパック96の装着に先立って液剤を車体91に下に塗布する作業も自動化される。従って、バッテリーパック96を車体91の下方からより迅速に装着するのに有効である。
【0092】
塗布ロボット300は、液剤を車体91の下に塗布するための塗布ツール310と、塗布ツール310の位置及び姿勢を変更する多関節の塗布アーム320と、を有していてもよい。この場合、塗布ツール310を多様な位置・姿勢に配置することが可能となる。このため、より多くの塗布作業を1台の塗布ロボット300に実行させることができる。従って、システム構成の簡素化に有効である。
【0093】
塗布ロボット300における塗布ツール310の動きの自由度は、リフターロボット100におけるバッテリーサポート110の動きの自由度よりも高くてもよい。この場合、より多くの塗布作業を1台の塗布ロボット300に実行させることができる。従って、システム構成の更なる簡素化に有効である。
【0094】
塗布アーム320は、作業空間13の周囲に設置された塗布ベース321と、水平な軸線342まわりに揺動するように塗布ベース321に接続され、塗布ベース321から側方に延びる第1塗布アーム322と、軸線342に平行な軸線343まわりに揺動するように第1塗布アーム322の先端部に接続され、第1塗布アーム322の先端部から上方に延びる第2塗布アーム323と、第2塗布アーム323に垂直な軸線345まわりに揺動するように第2塗布アーム323の先端部に接続され、塗布ツール310を保持する塗布リスト324と、を有していてもよい。この場合、塗布アーム320の全体が車体91よりも下方に位置する状態で、塗布ツール310の位置及び姿勢を調節することが可能となる。このため、塗布アーム320と車体91との干渉による制約を受けずに、より多様な位置・姿勢に塗布ツール310を配置することができる。
【0095】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0096】
バッテリー装着システム1は、ファスニングロボット200及び塗布ロボット300とは別の作業ロボットを更に備えてもよい。当該作業ロボットは、ファスニングロボット200及び塗布ロボット300よりも上において車体91の周囲に設置されていてもよい。例えば作業ロボットは、車体91の左又は右において車体サポート10上に設置されていてもよい。作業ロボットの台数は適宜変更可能である。このような作業ロボットを更に備えることによって、例えば車体91の車室内からバッテリーパック96に対する作業(例えば通電作業)を作業ロボット600に実行させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1…バッテリー装着システム、10…車体サポート、13…作業空間、90…電動車両、91…車体、96…バッテリーパック(バッテリー)、100…リフターロボット(リフター)、110…バッテリーサポート、120…リフトアーム、121…リフトベース、122…第1リフトアーム、123…第2リフトアーム、124…リフトリスト、131…リフトアクチュエータ(第1リフトアクチュエータ)、132…リフトアクチュエータ(第2リフトアクチュエータ)、133…リフトアクチュエータ(第3リフトアクチュエータ)、134…リフトアクチュエータ(第4リフトアクチュエータ)、141…第1平行リンク、142…第2平行リンク、151…軸線(第5リフト軸線)、152…軸線(第1リフト軸線)、153…軸線(第2リフト軸線)、154…軸線(第3リフト軸線)、155…軸線(第4リフト軸線)、200…ファスニングロボット(ファスニング装置)、210…ファスニングツール、220…ファスニングアーム、221…ファスニングベース、222…第1ファスニングアーム、223…第2ファスニングアーム、224…ファスニングリスト、242…軸線(第1ファスニング軸線)、243…軸線(第2ファスニング軸線)、245…軸線(第3ファスニング軸線)、300…塗布ロボット(塗布装置)、310…塗布ツール、320…塗布アーム、321…塗布ベース、322…第1塗布アーム、323…第2塗布アーム、324…塗布リスト、342…軸線(第1塗布軸線)、343…軸線(第2塗布軸線)、345…軸線(第3塗布軸線)、400…リフトアームトランスファー。