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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】逆入力遮断クラッチ付電動モータ
(51)【国際特許分類】
   F16D 43/02 20060101AFI20230314BHJP
   F16D 41/10 20060101ALI20230314BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F16D43/02
F16D41/10
H02K7/10 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022542472
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 JP2022002565
(87)【国際公開番号】W WO2022163617
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2021012278
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土肥 永生
(72)【発明者】
【氏名】大黒 優也
(72)【発明者】
【氏名】井上 英司
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-040288(JP,A)
【文献】米国特許第02031186(US,A)
【文献】国際公開第2020/054763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/10、43/02、65/22
H02K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータハウジングと、
前記モータハウジングの内側に回転自在に支持された第1のシャフトと、軸方向中間部にトルク出力部を有し、かつ、前記第1のシャフトと同軸に配置された第2のシャフトと、前記モータハウジングの内側に配置され、かつ、前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとを接続する逆入力遮断クラッチと、を有する出力シャフトと、
前記第2のシャフトのうち、軸方向に関して前記トルク出力部を挟んで前記第1のシャフトと反対側に位置する部分に外嵌され、かつ、前記第2のシャフトを使用時にも回転しない部分に回転自在に支持する軸受装置と、
前記第1のシャフトの周囲に配置され、かつ、該第1のシャフトと一体的に回転する回転子と、
前記回転子と同軸に配置され、かつ、前記モータハウジングの内側に支持固定された固定子と、
を備え、
前記逆入力遮断クラッチは、前記第1のシャフトに回転トルクが入力された場合には、該第1のシャフトに入力された回転トルクを前記第2のシャフトに伝達するのに対し、前記第2のシャフトに回転トルクが逆入力された場合には、該第2のシャフトに逆入力された回転トルクを完全に遮断するか、または、前記第2のシャフトに逆入力された回転トルクの一部を前記第1のシャフトに伝達し残部を遮断する機能を有し、
前記逆入力遮断クラッチは、
被押圧面と、
その回転中心から径方向に外れた部分に、入力側係合部を有し、前記第1のシャフトと一体的に回転する入力部と、
径方向に関して前記入力側係合部よりも内側に出力側係合部を有し、前記入力部と同軸に配置され、かつ、前記第2のシャフトと一体的に回転する出力部と、
前記被押圧面に対向する押圧面と、前記入力側係合部と係合可能な入力側被係合部とを有し、前記被押圧面と前記出力側係合部との間に配置される係合子と、
を備え、
前記係合子は、
前記押圧面と、前記出力側係合部と係合する出力側被係合部と、前記被押圧面に対する前記押圧面の遠近動方向に関して前記入力側被係合部よりも前記押圧面に近い側に位置する揺動支持部と、を有する係合子本体と、
前記入力側被係合部と、前記揺動支持部に対し揺動可能に支持された揺動被支持部と、を有するリンク部材と、
を備え、
前記係合子本体は、
前記出力側被係合部を構成するプレート側出力係合部を有し、軸方向に関して重畳して配置され、かつ、互いに結合された1対の本体プレートと、
前記揺動支持部を構成し、軸方向両側の端部が前記1対の本体プレートに支持された揺動支持軸と、
を備え、
前記リンク部材が、前記1対の本体プレート同士の間に配置されており、
前記係合子は、前記入力部に回転トルクが入力された場合には、前記入力部との係合に基づき前記押圧面を前記被押圧面から離隔させる方向に移動して前記出力部と係合するのに対し、前記出力部に回転トルクが逆入力された場合には、前記出力部との係合に基づき前記押圧面を前記被押圧面に近づける方向に移動して、前記押圧面を前記被押圧面に摩擦係合させる、逆入力遮断クラッチ付電動モータ。
【請求項2】
前記係合子本体は、前記1対の本体プレート同士の間に挟持された中間プレートを備える、請求項1に記載の逆入力遮断クラッチ付電動モータ。
【請求項3】
前記モータハウジングが、内周面に前記被押圧面を有する、請求項1または2に記載の逆入力遮断クラッチ付電動モータ。
【請求項4】
前記モータハウジングが、前記回転子および前記固定子を収容する駆動部収容部と、該駆動部収容部の外径よりも小さい外径を有し、前記逆入力遮断クラッチを収容するクラッチ収容部とを備え、
前記クラッチ収容部は、内周面に前記被押圧面を有し、かつ、外周面に、軸方向に関して外径が変化しない内径側インロー嵌合面を有する、
請求項3に記載の逆入力遮断クラッチ付電動モータ。
【請求項5】
前記係合子は、それぞれの底面により前記出力側係合部を挟むように配置された2個の係合子により構成される、請求項1~4のいずれかに記載の逆入力遮断クラッチ付電動モータ。
【請求項6】
前記入力部が、前記第1のシャフトと一体的に形成されており、かつ、前記出力部が、前記第2のシャフトと一体的に形成されている、請求項1~のいずれかに記載の逆入力遮断クラッチ付電動モータ。
【請求項7】
前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとのうちの一方のシャフトが、軸方向端面の中央部に円筒状のシャフト凹部を有し、かつ、前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとのうちの他方のシャフトが、前記シャフト凹部の内側に挿入されるシャフト凸部を有しており、
前記出力シャフトが、前記シャフト凹部の内周面と前記シャフト凸部の外周面との間に配置されたラジアル軸受を有する、
請求項1~のいずれかに記載の逆入力遮断クラッチ付電動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆入力遮断クラッチを備えた電動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ドアや自動車の電動パワーウィンドウなどに使用される電動アクチュエータでは、駆動源として電動モータが使用されており、該電動モータの回転力に基づいて、ドアやウィンドウなどの変位部材の変位動作が行われる。このような電動アクチュエータでは、たとえば、ウィンドウの自重など、変位部材に作用する力にかかわらず、変位部材の位置を保持する必要がある。変位部材の変位動作が行われていないときにも、電動モータに通電し回転力を発揮させれば、変位部材に作用する力にかかわらず、変位部材の位置を保持することができるが、省エネルギ化の面からは不利である。電動モータの回転力を減速するウォーム減速機が、セルフロック機能を有していれば、電動モータへの通電を停止しても、変位部材の位置を保持することもできる。しかしながら、電動アクチュエータの正効率が低くなるため、大型の電動モータを使用する必要があり、装置全体が大型化する可能性がある。
【0003】
特開2007-16878号公報には、平行に配置された電動モータの出力シャフトとねじ軸との間に、逆入力遮断クラッチを備える、電動アクチュエータの構造が記載されている。逆入力遮断クラッチは、電動モータの出力シャフトからのトルクをねじ軸に伝達するのに対し、ねじ軸からのトルクは完全に遮断して出力シャフトに伝達しない機能を備える。したがって、特開2007-16878号公報に記載の電動アクチュエータでは、電動モータに通電せずに、ねじ軸の周囲に配置したナットの位置を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-16878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2007-16878号公報に記載の電動アクチュエータは、逆入力遮断クラッチの入力部材および出力部材を、電動モータの出力軸と平行に配置している。このため、電動モータの出力軸をハウジングに対し回転自在に支持するための軸受とは別に、逆入力遮断クラッチの入力部材および出力部材のそれぞれを回転自在に支持するための軸受が必要となる。したがって、電動アクチュエータの小型化を図る面からは改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みて、小型化を図りやすい、逆入力遮断クラッチ付電動モータの構造を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の逆入力遮断クラッチ付電動モータは、モータハウジングと、出力シャフトと、軸受装置と、回転子と、固定子とを備える。
【0008】
前記出力シャフトは、前記モータハウジングの内側に回転自在に支持された第1のシャフトと、軸方向中間部にトルク出力部を有し、かつ、前記第1のシャフトと同軸に配置された第2のシャフトと、前記モータハウジングの内側に配置され、かつ、前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとを接続する逆入力遮断クラッチと、を有する。
【0009】
前記逆入力遮断クラッチは、前記第1のシャフトに回転トルクが入力された場合には、該第1のシャフトに入力された回転トルクを前記第2のシャフトに伝達するのに対して、前記第2のシャフトに回転トルクが逆入力された場合には、該第2のシャフトに逆入力された回転トルクを完全に遮断するか、または、前記第2のシャフトに逆入力された回転トルクの一部を前記第1のシャフトに伝達し残部を遮断する機能を有する。
【0010】
前記軸受装置は、前記第2のシャフトのうち、軸方向に関して前記トルク出力部を挟んで前記第1のシャフトと反対側に位置する部分に外嵌され、かつ、前記第2のシャフトを使用時にも回転しない部分に回転自在に支持する。
【0011】
前記回転子は、前記第1のシャフトの周囲に配置され、かつ、該第1のシャフトと一体的に回転する。
【0012】
前記固定子は、前記回転子の周囲に配置され、かつ、前記モータハウジングの内側に支持固定される。
【0013】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記軸受装置を、4点接触型若しくは深溝型の単列ラジアル玉軸受、または、複列アンギュラ玉軸受などのラジアル転がり軸受により構成することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、
前記逆入力遮断クラッチは、
被押圧面と、
前記第1のシャフトと一体的に回転する入力部と、
前記入力部と同軸に配置され、かつ、前記第2のシャフトと一体的に回転する出力部と、
前記被押圧面に対向する押圧面を有する係合子と、
を備えることができ、
前記係合子は、前記入力部に回転トルクが入力された場合には、前記入力部との係合に基づき前記押圧面を前記被押圧面から離隔させる方向に移動して前記出力部と係合するのに対し、前記出力部に回転トルクが逆入力された場合には、前記出力部との係合に基づき前記押圧面を前記被押圧面に近づける方向に移動して、前記押圧面を前記被押圧面に摩擦係合させることができる。
【0015】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記入力部は、その回転中心から径方向に外れた部分に、入力側係合部を有することができ、前記出力部は、径方向に関して前記入力側係合部よりも内側に出力側係合部を有することができ、および、前記係合子は、前記入力側係合部と係合可能な入力側被係合部を有し、前記被押圧面と前記出力側係合部との間に配置されることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記係合子を、それぞれの底面により前記出力側係合部を挟むように配置された2個の係合子により構成することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、
前記係合子は、
前記押圧面と、前記出力側係合部と係合する出力側被係合部と、前記被押圧面に対する前記押圧面の遠近動方向に関して前記入力側被係合部よりも前記押圧面に近い側に位置する揺動支持部と、を有する係合子本体と、
前記入力側被係合部と、前記揺動支持部に対し揺動可能に支持された揺動被支持部と、を有するリンク部材と、
を備えることができる。
【0018】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、
前記係合子本体は、
前記出力側被係合部を構成するプレート側出力係合部を有し、軸方向に関して重畳して配置され、かつ、互いに結合された1対の本体プレートと、
前記揺動支持部を構成し、軸方向両側の端部が前記1対の本体プレートに支持された揺動支持軸と、
を備えることができ、かつ、
前記リンク部材を、前記1対の本体プレート同士の間に配置することができる。
【0019】
前記係合子本体は、前記1対の本体プレート同士の間に挟持された中間プレートを備えることができる。
【0020】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記入力部を、前記第1のシャフトと一体的に形成し、かつ、前記出力部を、前記第2のシャフトと一体的に形成することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記モータハウジングは、内周面に前記被押圧面を有することができる。
【0022】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記モータハウジングが、前記回転子および前記固定子を収容する駆動部収容部と、該駆動部収容部の外径よりも小さい外径を有し、前記逆入力遮断クラッチを収容するクラッチ収容部とを備えることができ、および、前記クラッチ収容部は、内周面に前記被押圧面を有することができ、かつ、外周面に、軸方向に関して外径が変化しない内径側インロー嵌合面を有することができる。
【0023】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとのうちの一方のシャフトが、軸方向端面の中央部に円筒状のシャフト凹部を有することができ、かつ、前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとのうちの他方のシャフトが、前記シャフト凹部の内側に挿入されるシャフト凸部を有することができ、および、前記出力シャフトが、前記シャフト凹部の内周面と前記シャフト凸部の外周面との間に配置されたラジアル軸受を有することができる。
【0024】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、前記トルク出力部を、歯車部、プーリ部またはスプロケット部により構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、出力シャフトが、互いに同軸に配置された第1のシャフトと第2のシャフトとを逆入力遮断クラッチにより接続することで構成されているため、特開2007-16878号公報に記載の構造と比較して、小型化を図りやすい。
【0026】
特に、本発明の一態様に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、第2のシャフトのうち、軸方向に関してトルク出力部を挟んで第1のシャフトと反対側に位置する部分が、使用時にも回転しない部分に対して軸受装置により回転自在に支持されている。このため、回転子と固定子とからなる駆動部、および、逆入力遮断クラッチを収容するモータハウジングの軸方向寸法を短く抑えやすく、この面からも小型化を図りやすい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施の形態の第1例の逆入力遮断クラッチ付電動モータを示す断面図である。
図2図2は、図1の要部拡大断面図である。
図3図3は、第1例について、逆入力遮断クラッチを構成する第1のシャフト、第2のシャフトおよび2個の係合子を分解斜視図である。
図4図4は、第1例について、逆入力遮断クラッチを示す断面図である。
図5図5は、第1例について、逆入力遮断クラッチを、入力部に回転トルクが入力された状態で示す断面図である。
図6図6は、第1例について、逆入力遮断クラッチを、出力部に回転トルクが逆入力された状態で断面図である。
図7図7は、図4に示す逆入力遮断クラッチから、第2のシャフトと、軸方向片側の本体プレートと、ボルトおよびナットを取り除いて示す図である。
図8図8は、図7のX-X断面図である。
図9図9は、図7の上半部の左右方向中央部の拡大図である。
図10図10は、図7の上半部から、中間プレートおよびリンク部材を取り除いて示す図である。
図11図11は、図10のY-Y断面図である。
図12図12は、第1例について、逆入力遮断クラッチの2個の係合子および付勢部材を示す斜視図である。
図13図13は、第1例について、逆入力遮断クラッチの2個の係合子および付勢部材を軸方向片側から見た図である。
図14図14は、図13のZ1-Z2断面図である。
図15図15は、図13のZ1-O-Z3断面図である。
図16図16は、第1例について、逆入力遮断クラッチの2個の係合子の分解斜視図である。
図17図17は、第1例について、逆入力遮断クラッチの2個の係合子を構成する中間プレートおよび付勢部材の斜視図である。
図18図18(A)(a)は、第1例について、係合子と入力側係合部との係合部を、第1のシャフトに回転トルクが入力される前の状態で示す図であり、図18(A)(b)は、図18(A)(a)に示した状態から第1のシャフトに回転トルクが入力された後の状態を示す図であり、図18(B)(a)は、比較例について、係合子と入力側係合部との係合部を、第1のシャフトに回転トルクが入力される前の状態で示す図であり、図18(B)(b)は、図18(B)(a)に示した状態から第1のシャフトに回転トルクが入力された後の状態を示す図である。
図19図19(A)および図19(B)は、第1例の逆入力遮断クラッチについて、出力側係合部と出力側被係合部とが係合する前後の状態を示す図である。
図20図20は、本発明の比較例に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータを示す図2と同様の図である。
図21図21は、本発明の実施の形態の第2例について、逆入力遮断クラッチを示す断面図である。
図22図22は、第2例について、逆入力遮断クラッチを示す斜視図である。
図23図23は、第2例について、逆入力遮断クラッチの入力部を示す斜視図である。
図24図24は、第2例について、逆入力遮断クラッチの出力部を示す斜視図である。
図25図25は、第2例について、逆入力遮断クラッチを、入力部に回転トルクが入力された状態で示す断面図である。
図26図26は、第2例について、逆入力遮断クラッチを、出力部に回転トルクが逆入力された状態で示す断面図である。
図27図27は、本発明の実施の形態の第3例に係る逆入力遮断クラッチ付電動モータを示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[実施の形態の第1例]
図1図19(B)は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の逆入力遮断クラッチ付モータは、モータハウジング1と、出力シャフト2と、軸受装置3と、回転子4と、固定子5とを備える。
【0029】
モータハウジング1は、回転子4と固定子5とからなる駆動部78を収容する駆動部収容部19と、後述する逆入力遮断クラッチ20を収容するクラッチ収容部21とを備える。
【0030】
クラッチ収容部21は、駆動部収容部19の外径D19よりも小さい外径D21を有する。クラッチ収容部21は、内周面に、円筒凹面状の被押圧面39を有し、かつ、外周面に、軸方向に関して外径が変化しない円筒凸面状の内径側インロー嵌合面79を有する。
【0031】
本例では、モータハウジング1は、第1のハウジング素子6と、第2のハウジング素子7とを備える。
【0032】
第1のハウジング素子6は、本体部8と蓋部9とを備える。
【0033】
本体部8は、円筒部10と、円筒部10の軸方向片側(図1の左側)の端部から径方向内側に向けて折れ曲がった円輪部11と、該円輪部11の径方向内側の端部から軸方向他側(図1の右側)に向けて折れ曲がった保持円筒部12と、円輪部11の軸方向片側面の径方向中間部から軸方向片側に向けて全周にわたり突出した突条13とを備える。
【0034】
蓋部9は、本体部8の円筒部10の軸方向他側の開口部を塞ぐ円板状の底板部14と、該底板部14の軸方向片側面から突出した保持円筒部15とを備える。蓋部9は、本体部8の円筒部10の軸方向他側の端部に、溶接やねじ止めなどの固定手段により固定されて、円筒部10の軸方向他側の開口部を塞ぐ。
【0035】
第2のハウジング素子7は、円筒部16と、該円筒部16の軸方向片側の端部から径方向内側に向けて折れ曲がった内径側円輪部17と、円筒部16の軸方向他側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がった外径側円輪部18とを備える。
【0036】
本例では、第1のハウジング素子6の突条13の外周面と、第2のハウジング素子7の円筒部16の軸方向他側の端部内周面とを、径方向のがたつきなく内嵌(インロー嵌合)することにより、第1のハウジング素子6に対して第2のハウジング素子7が径方向に位置決めされる。第1のハウジング素子6に対して第2のハウジング素子7を径方向に位置決めした状態で、第1のハウジング素子6と第2のハウジング素子7とが、ボルトなどの結合部材により互いに結合され、モータハウジング1が構成される。
【0037】
本例のモータハウジング1は、第1のハウジング素子6の内側に、駆動部78を収容する駆動部収容部19を有し、かつ、第2のハウジング素子7の内側に、逆入力遮断クラッチ20を収容するクラッチ収容部21を有する。換言すれば、駆動部収容部19は、第1のハウジング素子6を構成する本体部8の円筒部10および円輪部11と、蓋部9の底板部14とにより構成される。クラッチ収容部21は、第2のハウジング素子7を構成する円筒部16および内径側円輪部17と、第1のハウジング素子6の本体部を構成する円輪部11の径方向内側部分とにより構成される。
【0038】
モータハウジング1は、内径側インロー嵌合面79を、モータハウジング1とは別のハウジングなどの使用時にも回転しない固定部分34に備えられた円筒凹面状の外径側インロー嵌合面80にがたつきなく内嵌(インロー嵌合)することで、固定部分34に対して位置決めされる。固定部分34に対してモータハウジング1を位置決めした状態で、固定部分34に対しモータハウジング1が、ボルトなどの支持部材により支持固定される。具体的には、たとえば、駆動部収容部19(円筒部10)の外周面から径方向外側に向けて突出したフランジ部の円周方向複数箇所を軸方向に貫通する通孔にボルトをそれぞれ挿通し、該ボルトを、固定部分34に備えられた複数個のねじ孔に螺合することで、固定部分34に対しモータハウジング1が支持固定される。
【0039】
出力シャフト2は、モータハウジング1の内側に回転自在に支持された第1のシャフト22と、該第1のシャフト22と同軸に配置された第2のシャフト23と、モータハウジング1の内側に配置され、かつ、第1のシャフト22と第2のシャフト23とを接続する逆入力遮断クラッチ20とを備える。
【0040】
第1のシャフト22は、2個の軸受24a、24bにより、モータハウジング1の第1のハウジング素子6の内側に回転自在に支持されている。2個の軸受24a、24bのうち、軸方向片側の軸受24aは、本体部8の保持円筒部12の内周面と、第1のシャフト22の軸方向中間部外周面との間に配置され、かつ、軸方向他側の軸受24bは、蓋部9の保持円筒部15の内周面と、第1のシャフト22の軸方向他側の端部外周面との間に配置されている。なお、本例では、軸受24a、24bとして、単列深溝玉軸受が使用されている。
【0041】
第1のシャフト22は、軸方向片側の端部、具体的には、軸方向片側の軸受24aが外嵌された部分よりも軸方向片側に存在する部分に、後述する逆入力遮断クラッチ20の入力部25を備え、かつ、軸方向片側の端面の中央部に、円筒状のシャフト凹部26を備える。
【0042】
第2のシャフト23は、軸方向他側の端部に、後述する逆入力遮断クラッチ20の出力部27を備え、かつ、出力部27に備えられた出力側係合部28の軸方向他側の端面の中央部から軸方向に突出した円筒状のシャフト凸部29を備える。第2のシャフト23は、シャフト凸部29を、第1のシャフト22のシャフト凹部26に径方向のがたつきなく、かつ、相対回転を可能に、内嵌(インロー嵌合)することにより、第1のシャフト22と同軸に配置されている。
【0043】
第2のシャフト23は、軸方向中間部外周面に、トルク出力部を構成する歯車部30を有し、かつ、軸方向に関して出力部27と歯車部30との間部分に、径方向外側に向けて突出したフランジ部31を有する。歯車部30は、はすば歯車や平歯車などにより構成されている。
【0044】
本例では、第2のシャフト23は、出力部27、シャフト凸部29およびフランジ部31を有する段付円柱状部材32の軸方向中間部に、外周面に歯車部30を有する円筒状部材33を、相対回転不能に外嵌固定してなる。ただし、本発明を実施する場合、第2のシャフトは、全体を一体に構成することもできる。
【0045】
軸受装置3は、第2のシャフト23のうち、軸方向に関して歯車部30を挟んで第1のシャフト22の反対側に位置する軸方向片側の端部に外嵌され、第2のシャフト23を固定部分34に回転自在に支持する。換言すれば、第2のシャフト23は、軸方向片側の端部を軸受装置3により、固定部分34に対して回転自在に支持されている。
【0046】
本例では、軸受装置3は、単列のラジアル転がり軸受により構成されている。すなわち、軸受装置3は、第2のシャフト23の軸方向片側の端部に外嵌された内輪35と、固定部分34の内周面に内嵌された外輪36と、内輪35と外輪36との間に転動自在に配置された玉37とを有する。具体的には、たとえば、軸受装置3は、4点接触型若しくは深溝型の単列ラジアル玉軸受により構成することができる。
【0047】
本例では、第2のシャフト23は、軸方向片側の端部を、固定部分34に対して軸受装置3により回転自在に支持し、かつ、シャフト凸部29を、第1のシャフト22のシャフト凹部26に、がたつきなく内嵌(インロー嵌合)させている。このため、後述する逆入力遮断クラッチ20の非ロック状態では、第2のシャフト23は、軸方向他側の端部を、シャフト凸部29とシャフト凹部26とのインロー嵌合部、第1のシャフト22および軸方向片側の軸受24aを介してモータハウジング1に回転自在に支持していると言える。ただし、後述するように、第1のシャフト22と第2のシャフト23との同軸性を確保できる限り、シャフト凸部とシャフト凹部とを省略することもできる。いずれにしても、本例の逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、第2のシャフト23のうち、歯車部30よりも第1のシャフト22に近い側の軸方向他側部分と、モータハウジング1や固定部分34との間に、他の部材を介すことなく、ラジアル軸受を設けていない。
【0048】
本例では、第2のシャフト23の軸方向片側の端部を軸受装置3により、固定部分34に対して回転自在に支持した状態で、第2のシャフト23のうちの出力部27およびシャフト凸部29が、モータハウジング1のうちのクラッチ収容部21の内側に配置されている。本例では、第2のハウジング素子7の内径側円輪部17の内周面と、第2のシャフト23のフランジ部31の外周面との間にシール装置38が設置されている。これにより、内径側円輪部17の内周面とフランジ部31の外周面との間部分が密封されて、モータハウジング1の内部に封入されたグリースの漏洩やモータハウジング1の内部への外部からの異物の侵入が防止されている。シール装置38は、たとえば、接触式のシールリングなどにより構成することができる。
【0049】
逆入力遮断クラッチ20は、第1のシャフト22に回転トルクが入力された場合には、該第1のシャフト22に入力された回転トルクを第2のシャフト23に伝達し、かつ、第2のシャフト23に回転トルクが逆入力された場合には、該第2のシャフト23に逆入力された回転トルクを完全に遮断して第1のシャフト22に伝達しないか、または、第2のシャフト23に逆入力された回転トルクの一部を第1のシャフト22に伝達し残部を遮断する機能を有する。本例では、逆入力遮断クラッチ20は、モータハウジング1のうち、クラッチ収容部21(第2のハウジング素子7)の内側に配置されている。逆入力遮断クラッチ20の構造の詳細については後述する。
【0050】
回転子4は、第1のシャフト22の軸方向中間部の周囲に、該第1のシャフト22と一体的に回転するように配置(外嵌)されている。なお、回転子4は、かご形、巻線形、永久磁石形などの従来から知られている各種構造を採用することができる。
【0051】
固定子5は、回転子4の周囲に該回転子4と同軸に配置され、かつ、モータハウジング1のうち、駆動部収容部19の内側に支持固定されている。具体的には、固定子5の内周面は、回転子4の外周面に径方向の微小隙間を介して対向し、かつ、固定子5の外周面が、第1のハウジング素子6の本体部8の円筒部10の内周面に支持固定されている。固定子5は、巻線形、永久磁石形などの従来から知られている各種構造を採用することができる。
【0052】
次に、逆入力遮断クラッチ20の構造および動作について説明する。
【0053】
<逆入力遮断クラッチ20の構造の説明>
逆入力遮断クラッチ20は、入力部25と、出力部27と、被押圧面39と、係合子40と、付勢部材41とを備える。
【0054】
入力部25は、第1のシャフト22の軸方向片側部分、具体的には、軸方向片側の軸受24aが外嵌された部分から軸方向片側の端部にかけての範囲に備えられている。本例では、入力部25は、図3に示すように、入力軸部42と、入力腕部43と、入力側係合部44とを有する。
【0055】
入力軸部42は、円柱状に構成されており、第1のシャフト22のうち、軸方向片側の軸受24aが外嵌された部分を含む部分に備えられている。なお、入力部25は、入力軸部42の軸方向片側の端面の中央部から軸方向に凹んだシャフト凹部26をさらに備える。すなわち、本例では、軸方向片側の軸受24aは、第1のシャフト22のうち、軸方向片側部分をモータハウジング1に対し回転自在に支持する機能と、逆入力遮断クラッチ20の入力部25を回転自在に支持する機能とを兼ね備える。
【0056】
本例では、入力腕部43は、2個の入力腕部43から構成されている。2個の入力腕部43は、入力軸部42の軸方向片側の端部から、互いに径方向反対側に向けて突出しており、かつ、それぞれの径方向中間部に、軸方向の貫通孔である嵌合孔45を有する。本例では、第1のシャフト22を、第1のハウジング素子6の内側に回転自在に支持した状態で、2個の入力腕部43と、突条13とが径方向に重畳している。具体的には、2個の入力腕部43の軸方向他側の端部を、突条13の軸方向片側の端部の径方向内側に位置させている。
【0057】
入力側係合部44は、2個の入力側係合部44により構成されている。それぞれの入力側係合部44は、円柱状のピンにより構成されており、その軸方向他側の端部が、2個の入力腕部43に備えられた嵌合孔45に圧入により内嵌固定されている。この状態で、2個の入力側係合部44は、2個の入力腕部43から軸方向片側に伸長している。
【0058】
なお、入力部は、全体を一体に、すなわち1部品として構成することもできる。本例では、後述する係合子40の数(本例では、2個)に応じて、入力腕部43および入力側係合部44は、2個の入力腕部43および2個の入力側係合部44により構成されている。ただし、本発明を実施する場合に、入力腕部および入力側係合部の数は2個に限られず、係合子の数に応じて、入力腕部および入力側係合部の数を1個とする、あるいは、3個以上とすることもできる。
【0059】
出力部27は、第2のシャフト23の軸方向他側部分に備えられている。出力部27は、図3に示すように、出力側係合部28を備える。本例では、出力側係合部28は、第2のシャフト23のうちでフランジ部31が備えられた部分の軸方向他側の端面から軸方向に突出している。出力側係合部28の外周面は、図4図6図19(A)、および図19(B)に示すように、短軸方向(図4図6図19(A)、および図19(B)の上下方向)の両側の側面47と、長軸方向(図4図6図19(A)、および図19(B)の左右方向)の両側の側面である1対のガイド面48とを有する。
【0060】
それぞれの側面47は、出力側係合部28の短軸方向に対して直交する平坦面により構成されている。それぞれのガイド面48は、凸曲面により構成されている。具体的には、それぞれのガイド面48は、出力側係合部28の中心軸(第2のシャフト23の中心軸)を中心とする部分円筒状の凸面により構成されている。したがって、第2のシャフト23に関しては、たとえば丸棒素材の外周面を、1対のガイド面48として利用することができ、その分、加工コストを抑えられる。ただし、本発明を実施する場合には、1対のガイド面である凸曲面は、第2のシャフト23の中心軸と平行な軸を中心とする部分円筒状の凸面としたり、あるいは、部分楕円筒状の凸面などの非円筒状の凸面としたりすることもできる。また、本例では、出力側係合部28を含む段付円柱状部材32全体が一体に造られているが、本発明を実施する場合には、互いに別体に造られた軸部材と出力側係合部とを互いに結合固定することもできる。出力側係合部28は、2個の入力側係合部44よりも径方向内側に配置されており、具体的には、2個の入力側係合部44同士の間部分に配置される。
【0061】
被押圧面39は、モータハウジング1の内周面に直接形成され、かつ、出力シャフト2の回転中心を中心とする円筒凹面により構成される。本例では、被押圧面39は、クラッチ収容部21の内周面であって、第2のハウジング素子7の円筒部16の軸方向片側部分、すなわち、第1のハウジング素子6の突条13と嵌合する部分よりも軸方向片側に存在する部分の内周面に直接形成されている。ただし、被押圧面39は、第2のハウジング素子7の円筒部16の軸方向片側部分の内側に、別体の円環状部材を内嵌固定し、該円環状部材の内周面により構成することもできる。あるいは、被押圧面39は、第2のハウジング素子7の円筒部16の軸方向片側部分の内周面に、摩擦材を貼着や接着などにより固定し、該摩擦材の内周面により構成したり、コーティング層を形成し、該コーティング層の表面により構成したりすることもできる。
【0062】
本例では、係合子40は、2個の係合子40により構成されている。2個の係合子40は、被押圧面39の径方向内側に配置されている。それぞれの係合子40は、係合子本体49と、係合子本体49に対して揺動可能に連結されたリンク部材50とを含む、複数の部品から構成されている。ただし、本発明を実施する場合に、係合子の数は2個に限られず、たとえば、前記係合子を、2個の係合子を構成する2個の係合子の片方を省略して、1個の係合子により構成することもできる。あるいは、前記係合子を、3個以上の係合子により構成することも可能である。
【0063】
係合子本体49は、図12図17に示すように、複数の部品を組み合わせることにより構成されている。以下、組立後の係合子本体49の構造について説明した後、係合子本体49を構成する各部品の構造について説明する。
【0064】
係合子本体49は、略半円形板形状を有しており、被押圧面39に対向する2つの押圧面51と、揺動支持部である揺動支持軸52と、出力側係合部28と係合する出力側被係合部53とを備える。
【0065】
本例では、係合子本体49の外周面は、係合子本体49の弧に相当する凸円弧状の径方向外側面と、係合子本体49の弦に相当するクランク状の径方向内側面から構成されている。なお、係合子本体49に関して径方向とは、係合子本体49の弦に直交する、図4に矢印Aで示す方向をいい、係合子本体49に関して幅方向とは、係合子本体49の弦に対して平行な、図4に矢印Bで示す方向をいう。本例では、係合子本体49に関する径方向が、係合子40を構成する係合子本体49の被押圧面39に対する遠近動方向であって、第1方向に相当し、係合子本体49の幅方向が、第1方向と被押圧面39の軸方向との両方に直交する第2方向に相当する。
【0066】
本例では、2個の係合子40は、それぞれの係合子本体49の径方向外側面を反対側に向け、それぞれの係合子本体49の径方向内側面を対向させた状態で、被押圧面39の径方向内側に配置されている。このように2個の係合子40が被押圧面39の径方向内側に配置された状態で、被押圧面39と係合子本体49の径方向外側面との間部分、および、係合子本体49の径方向内側面同士の間部分のうちの少なくとも一方の間部分に、係合子本体49が径方向に移動することを許容する隙間が存在するように、被押圧面39の内径寸法および係合子本体49の径方向寸法が規制されている。
【0067】
係合子本体49は、径方向外側面に、2つの押圧面51を有する。2つの押圧面51は、出力部27(第2のシャフト23)のロック状態または半ロック状態で、被押圧面39に対して押し付けられる部分であり、係合子本体49の径方向外側面のうち、周方向に離隔した2箇所に配置されている。それぞれの押圧面51は、係合子本体49の径方向外側面のうち、周方向に関して押圧面51から外れた部分よりも、被押圧面39に向けて突出している。それぞれの押圧面51は、被押圧面39の曲率半径よりも小さな曲率半径を有する部分円筒状の凸面である。係合子本体49の径方向外側面のうち、2つの押圧面51から周方向に外れた部分、すなわち、周方向に関して2つの押圧面51同士の間に位置する部分は、被押圧面39に対して接することのない、非接触面である。
【0068】
係合子本体49は、幅方向中央部の厚さ方向(軸方向)中央部に、内部空間54を有する。内部空間54の径方向両側の端部は、係合子本体49の径方向外側面と径方向内側面とにそれぞれ開口している。係合子本体49は、軸方向に配置された揺動支持軸52を有し、揺動支持軸52の軸方向中間部は、内部空間54の幅方向中央部の径方向外側部に配置されている。揺動支持軸52は、円柱状のピンにより構成されている。揺動支持軸52の軸方向両側の端部が、係合子本体49のうち、内部空間54を軸方向両側から挟む部分に支持されている。
【0069】
係合子本体49は、径方向内側面の幅方向中央部に、出力側被係合部53を有する。出力側被係合部53は、係合子本体49の径方向内側面(被押圧面39に対して遠い側の側面)の幅方向中央部から径方向外方に向けて凹んだ、略矩形状の凹部により構成されている。
【0070】
出力側被係合部53は、図4図5図19(A)、および図19(B)に示すように、その内側に出力側係合部28の短軸方向の先半部を配置できる大きさを有する。特に、本例では、出力側被係合部53は、図5および図19(B)に示すように、出力側係合部28の短軸方向の先半部の外周面に合致する内面形状を有する。
【0071】
出力側被係合部53の内面は、底面55と、1対の被ガイド面56とを有する。底面55は、係合子本体49の径方向に対して直交する平坦面により構成されている。1対の被ガイド面56は、出力側被係合部53の内面のうち、係合子本体49の幅方向に関して両側の端部に位置し、かつ、該幅方向に関して互いに対向している。1対の被ガイド面56は、係合子本体49の径方向内側に向かうほど、すなわち、係合子本体49の径方向に関して被押圧面39から遠ざかる方向に向かうほど、互いの間隔が拡がる方向に傾斜した1対の凹曲面により構成されている。
【0072】
1対の被ガイド面56は、出力側係合部28の1対のガイド面48に接触可能であり、それぞれの被ガイド面56は、それぞれのガイド面48と同じ曲率半径、または、それぞれのガイド面48よりも僅かに大きい曲率半径を有する部分円筒状の凹面により構成されている。つまり、本例では、出力側被係合部53は、図5および図19(B)に示すように、出力側係合部28の短軸方向の先半部の外周面に合致する内面形状を有する。このため、出力側被係合部53の底面55を、出力側係合部28の側面47に面接触させ、かつ、出力側被係合部53の1対の被ガイド面56を、出力側係合部28の1対のガイド面48のうち短軸方向に関する先半部に面接触させることが可能である。なお、本発明を実施する場合には、それぞれの被ガイド面を、部分楕円筒状の凹面などの非円筒状の凹面により構成することもできる。
【0073】
係合子本体49は、幅方向中央部の径方向内側部に、挿通孔57を有する。挿通孔57は、係合子本体49の幅方向中央部の径方向内側部を軸方向に貫通し、かつ、周方向に伸長する円弧形の長孔により構成されている。挿通孔57は、入力側係合部44を緩く挿入できる大きさを有する。具体的には、挿通孔57の内側に入力側係合部44を挿入した際に、入力側係合部44と挿通孔57の内面との間に、周方向に関する隙間および係合子本体49の径方向に関する隙間が存在する。このため、入力側係合部44は、前記周方向に関する隙間の存在に基づいて、係合子本体49の挿通孔57に対し、入力部25(第1のシャフト22)の回転方向に関する変位が可能である。また、出力部27に回転トルクが逆入力された場合には、係合子本体49の径方向に関する隙間の存在に基づいて、係合子本体49が入力側係合部44に対して径方向に変位することが可能となっている。換言すれば、後述する逆入力遮断クラッチ20の動作時に、挿通孔57の内周縁と入力側係合部44とが干渉して該動作が阻害されることがないように、挿通孔57の大きさが規制されている。
【0074】
係合子本体49は、複数の部品を組み合わせることにより構成されている。具体的には、係合子本体49は、1対の本体プレート58と、1対の中間プレート59と、揺動支持軸52と、結合部材である複数ずつのボルト60およびナット61とからなる。
【0075】
1対の本体プレート58は、係合子本体49の厚さ方向の両側部を構成する部品であり、軸方向に重畳して配置されている。それぞれの本体プレート58は、鋼板などの金属板にプレス加工による打ち抜き加工を施して造られたプレス成形品であり、略半円形板形状を有する。本体プレート58は、径方向外側面のうち、周方向に離隔した2箇所位置に、係合子本体49を組み立てた状態で押圧面51を構成する凸面62を有する。本体プレート58は、径方向外側部の幅方向中央部に、円形の取付孔63を有する。本体プレート58は、径方向内側面の幅方向中央部に、係合子本体49を組み立てた状態で出力側被係合部53を構成する、凹部64を有する。このため、本例では、軸方向に離隔して配置された2個の凹部64が、出力側被係合部53を構成する。本体プレート58は、径方向内側部の幅方向中央部に、係合子本体49を組み立てた状態で挿通孔57を構成する、貫通孔65を有する。本体プレート58は、幅方向両側部に、複数(図示の例では3個)の通孔66を有する。本体プレート58は、幅方向両側部のそれぞれにおいて、複数の通孔66から外れた箇所に、位置決め孔67を有する。
【0076】
1対の中間プレート59は、係合子本体49の厚さ方向の中間部を構成する部材である。それぞれの中間プレート59は、鋼板などの金属板にプレス加工による打ち抜き加工を施して造られたプレス成形品であり、略扇板形状を有する。1対の中間プレート59は、1対の本体プレート58の幅方向両側部同士の間に挟持されている。中間プレート59の径方向外側面は、1対の本体プレート58の径方向外側面よりも径方向内側に位置しており、被押圧面39と接触することはない。中間プレート59は、径方向内側面の幅方向中間部に凸部68を有する。凸部68は、1対の本体プレート58の径方向内側面よりも径方向内側に突出している。それぞれの中間プレート59のうち、凸部68以外の部分は、1対の本体プレート58同士の間に配置されている。それぞれの中間プレート59は、1対の本体プレート58の通孔66と整合する複数箇所に、通孔69を有する。中間プレート59は、1対の本体プレート58のそれぞれの位置決め孔67と整合する箇所に、位置決め孔70を有する。
【0077】
1対の本体プレート58および1対の中間プレート59は、互いに整合する1対の本体プレート58の通孔66と1対の中間プレート59の通孔69とを挿通した複数のボルト60の先端部に、ナット61を螺合し、さらに締め付けることによって、互いに結合固定されている。なお、本例の構造では、このような結合固定の作業を行う際に、互いに整合する1対の本体プレート58の位置決め孔67と1対の中間プレート59の位置決め孔70とに、作業用の位置決めロッドを挿通することによって、1対の本体プレート58の通孔66と1対の中間プレート59の通孔69とを整合させる作業を容易に行うことができる。本例の構造では、上述のように1対の本体プレート58と1対の中間プレート59とを結合固定した状態で、1対の本体プレート58同士の間で、かつ、幅方向に関して1対の中間プレート59同士の間に、内部空間54が形成される。
【0078】
揺動支持軸52は、円柱状のピンにより構成されている。揺動支持軸52の軸方向両側の端部は、1対の本体プレート58の取付孔63に圧入により内嵌固定されている。揺動支持軸52の軸方向中間部は、内部空間54に配置されている。
【0079】
リンク部材50は、図16に示すように、鋼板などの金属板にプレス加工による打ち抜き加工を施して造られたプレス成形品であって、略矩形板形状または略長円板形状を有しており、係合子本体49の内部空間54、すなわち、軸方向に関して1対の本体プレート58同士の間で、かつ、周方向に関して1対の中間プレート59同士の間に配置されている。
【0080】
リンク部材50の厚さ寸法は、内部空間54の軸方向幅寸法(=1対の本体プレート58の互いに対向する側面同士の間隔=中間プレート59の厚さ寸法)よりも小さい。リンク部材50は、その長手方向の一方側の端部である第1の端部71に、軸方向に貫通した円孔であって、揺動被支持部を構成する支持孔72を有し、かつ、その長手方向の他方側の端部である第2の端部73に、軸方向に貫通した円孔である入力側被係合部74を有する。
【0081】
支持孔72には、揺動支持軸52が緩く挿通している。これにより、第1の端部71は、揺動支持軸52に揺動可能に連結されている。入力側被係合部74には、入力側係合部44が緩く挿通している。これにより、第2の端部73は、入力側係合部44に揺動可能に連結されている。
【0082】
支持孔72は、その内側に揺動支持軸52を緩く挿通するために、揺動支持軸52の外径寸法よりも大きい内径寸法を有する。また、入力側被係合部74は、その内側に入力側係合部44を緩く挿通するために、入力側係合部44の外径寸法よりも大きい内径寸法を有する。さらに、係合子40の2つの押圧面51が被押圧面39に接触し、かつ、入力側係合部44が係合子本体49の幅方向中央部に位置する状態で、図9に示すように、揺動支持軸52と入力側係合部44との互いに遠い側の端縁同士の間隔Waが、支持孔72と入力側被係合部74との互いに遠い側の端縁同士の間隔Wb以下になるように設定されている(Wa≦Wb)。
【0083】
間隔Waと間隔Wbとの差Wb-Waは、逆入力遮断クラッチ20の組み立てを容易にする観点からは、極力大きいことが望ましい。ただし、入力部25に回転トルクが入力された際に、直ちに係合子40を径方向内側に移動させて非ロック状態を実現できるようにする観点からは、極力小さいことが望ましい。
【0084】
本例では、付勢部材41は、2個の付勢部材41により構成されている。2個の付勢部材41は、図12および図13に示すように、2個の係合子40を構成する、2個の係合子本体49の径方向内側面の幅方向両側部同士の間に配置されている。つまり、2個の付勢部材41は、第2方向に相当する係合子本体49の幅方向に関して出力側係合部28から外れた位置に配置されている。2個の付勢部材41は、2個の係合子40を径方向外側に向かう方向、すなわち、2個の係合子40を被押圧面39に近づける方向に弾性的に付勢している。これにより、入力部25(第1のシャフト22)および出力部27(第2のシャフト23)にトルクが加わっていない中立状態において、それぞれの係合子40の2つの押圧面51が被押圧面39に接触した状態となるようにしている。
【0085】
本例では、付勢部材41は、コイルばねにより構成されており、付勢部材41の軸方向両側部の内側に、2個の係合子40の凸部68を挿入することによって、付勢部材41が2個の係合子本体49の径方向内側面同士の間から脱落することを防止している。
【0086】
本例では、付勢部材41の外径寸法は、係合子本体49の軸方向の厚さ寸法よりも小さい。このため、付勢部材41は、図14および図15に示すように、係合子本体49の軸方向両側の側面よりも軸方向両側(外側)に突出しない。
【0087】
上述のように中立状態においてそれぞれの係合子40の2つの押圧面51が被押圧面39に接触した状態となるようにしておく理由は、後述するように出力部27に回転トルクが逆入力された際に、直ちにロック状態が実現されるようにするためである。
【0088】
逆入力遮断クラッチ20は、その組立状態で、軸方向他側に配置した入力部25の2個の入力側係合部44を、2個の係合子40の挿通孔57(本体プレート58の貫通孔65)およびリンク部材50の入力側被係合部74に軸方向に挿入し、かつ、軸方向片側に配置した出力部27の出力側係合部28を、2個の係合子40の出力側被係合部53同士の間に軸方向に挿入している。すなわち、2個の係合子40は、それぞれの係合子40の出力側被係合部53により、出力側係合部28を径方向外側から挟むように配置されている。
【0089】
<逆入力遮断クラッチ20の動作説明>
次に、逆入力遮断クラッチ20の動作について説明する。
【0090】
(入力部25(第1のシャフト22)に回転トルクが入力された場合)
まず、入力部25(第1のシャフト22)に回転トルクが入力された場合について説明する。本例の逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、固定子5に通電し、固定子5の内側で回転子4に回転方向の力を付与することにより、出力シャフト2の第1のシャフト22が回転駆動される。第1のシャフト22が回転駆動されると、図5に示すように、入力側被係合部74の内側で、入力部25の入力側係合部44が第1のシャフト22の回転方向(図5の例では時計方向)に回転する。すると、図4から図5に示すように、入力側係合部44は、入力側被係合部74との係合に基づき、リンク部材50を揺動させつつ径方向内側に移動させる。これにより、入力側係合部44は、リンク部材50を介して、揺動支持軸52を径方向内側に向けて引っ張る。この結果、図5に示すように、2個の係合子40が、被押圧面39から遠ざかる方向(径方向内側)にそれぞれ移動する。2個の係合子40の2つの押圧面51が被押圧面39から離れ、図19(A)から図19(B)に示すように、2個の係合子40の出力側被係合部53が出力部27の出力側係合部28を径方向両側から挟持し、出力側係合部28と出力側被係合部53とが、がたつきなく係合する。この結果、入力部25に入力された回転トルクが、2個の係合子40を介して、出力部27(第2のシャフト23)に伝達され、第2のシャフト23の歯車部30から取り出される。具体的には、歯車部30に噛合する歯車または歯車部30にかけ渡されたベルトにトルクが伝達される。
【0091】
特に、本例の構造では、上述のように係合子40が被押圧面39から遠ざかる方向(径方向内側)に移動する際に、図4から図5、および、図19(A)から図19(B)に示すように、出力側係合部28に備えられた1対のガイド面48により、出力側被係合部53に備えられた1対の被ガイド面56が案内されることで、係合子40が幅方向に移動することを規制される。そして、図5および図19(B)に示すように、出力側被係合部53の底面55が、出力側係合部28の側面47に面接触するとともに、出力側被係合部53の1対の被ガイド面56が、出力側係合部28の1対のガイド面48に面接触する。このため、本例の構造では、ロックまたは半ロック状態の解除後に、係合子40が幅方向にずれ動いて被押圧面39に接触することを有効に防止できる。本例の構造では、上述したような係合子40の径方向内側への移動の案内を、出力側係合部28を用いて行えるため、該案内を行うためだけに用いられる別部品を組み込む構造に比べて、部品点数を少なくできる。
【0092】
また、本例の構造では、出力側被係合部53の1対の被ガイド面56のそれぞれが、径方向内側に向かうほど互いの間隔が拡がる方向に傾斜した1対の凹曲面により構成され、かつ、出力側係合部28の1対のガイド面48のそれぞれが、前記1対の凹曲面に合致する1対の凸曲面により構成されている。このため、図19(A)に示すように、係合子40が出力側係合部28から径方向外側に離れた状態では、1対の被ガイド面56と1対のガイド面48との間に隙間が形成され、かつ、該隙間の大きさ(幅方向寸法)は、径方向外側に向かうほど大きくなる。このため、本例の構造では、係合子40が出力側係合部28から径方向外側に離れた状態において、幅方向や回転方向に関する係合子40の動きを適度に許容することができ、係合子40に無理な力が加わることを有効に防止できる。
【0093】
(出力部27(第2のシャフト23)に回転トルクが逆入力された場合)
次に、出力部27(第2のシャフト23)に回転トルクが逆入力された場合を説明する。歯車部30に噛合する歯車または歯車部30にかけ渡されたベルトに、外部からの力が作用すると、歯車部30を介して第2のシャフト23に回転トルクが逆入力されることがある。第2のシャフト23に回転トルクが逆入力されると、図6に示すように、出力側係合部28が、2個の出力側被係合部53同士の内側で、第2のシャフト23の回転方向(図6の例では時計方向)に回転する。すると、出力側係合部28の側面47とガイド面48との接続部である角部が、出力側被係合部53の底面55を径方向外方に向けて押圧し、2個の係合子40を、被押圧面39に近づく方向(径方向外側)に移動させる。これにより、それぞれの係合子40の1対の押圧面51が、被押圧面39に対して押し付けられ、押圧面51が被押圧面39に摩擦係合する。この結果、第2のシャフト23に逆入力された回転トルクが、他の部材に固定されて回転しないモータハウジング1に伝わることで完全に遮断されて第1のシャフト22に伝達されない、または、第2のシャフト23に逆入力された回転トルクの一部のみが第2のシャフト23に伝達され残部が遮断される。
【0094】
第2のシャフト23に逆入力された回転トルクを完全に遮断して第1のシャフト22に伝達されないようにするには、押圧面51が被押圧面39に対して摺動(相対回転)しないように、2個の係合子40を出力側係合部28と被押圧面39との間で挟持し、第2のシャフト23をロックする。これに対し、第2のシャフト23に逆入力された回転トルクのうちの一部のみが第1のシャフト22に伝達され残部が遮断されるようにするには、押圧面51が被押圧面39に対して摺動するように、2個の係合子40を出力側係合部28と被押圧面39との間で挟持し、第2のシャフト23を半ロックする。第2のシャフト23が半ロックした状態で、さらに第2のシャフト23に回転トルクが逆入力されると、2個の係合子40が、出力側係合部28と出力側被係合部53との係合に基づいて、押圧面51を被押圧面39に対して摺動させつつ、第2のシャフト23の回転中心を中心として回転する。2個の係合子40が回転すると、入力側係合部44がリンク部材50を介して揺動支持軸52に引っ張られ、第1のシャフト22に回転トルクの一部が伝達される。
【0095】
本例では、2個の係合子40が、それぞれの係合子本体49の径方向外側面の周方向に離隔した2箇所に押圧面51を有しているため、第2のシャフト23に回転トルクが逆入力された際に、くさび効果によって、被押圧面39と押圧面51との摩擦係合力を大きくすることができる。ただし、本発明を実施する場合には、係合子本体の径方向外側面の周方向1箇所にのみ押圧面を有する構造を採用することもできる。
【0096】
本例の逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、出力シャフト2を、互いに同軸に配置された第1のシャフト22と第2のシャフト23とを逆入力遮断クラッチ20により接続することにより構成している。したがって、本例の逆入力遮断クラッチ付電動モータは、特開2007-16878に記載の電動アクチュエータのように、逆入力遮断クラッチの入力部材および出力部材を、電動モータの出力軸と平行に配置した構造と比較して、小型化を図りやすい。
【0097】
特に、本例では、第2のシャフト23のうち、軸方向に関して歯車部30を挟んで第1のシャフト22の反対側に位置する軸方向片側の端部を、軸受装置3により、モータハウジング1とは別のハウジングなどにより構成される固定部分34に対して回転自在に支持している。このため、回転子4と固定子5とからなるモータ駆動部および逆入力遮断クラッチ20を収容するモータハウジング1の軸方向寸法を短く抑えやすい。
【0098】
すなわち、図20に示す比較例のように、第2のシャフト23zのうち、軸方向に関して歯車部30よりも第1のシャフト22zに近い軸方向中間部を、軸受装置3zにより、モータハウジング1zに対し回転自在に支持する構造では、第1のハウジング素子6の軸方向片側の端面からの第2のハウジング素子7zの軸方向片側の端面の突出量(第1のハウジング素子6の軸方向片側の端面と第2のハウジング素子7zの軸方向片側の端面との間の距離)Lzが大きくなる。要するに、比較例の構造では、第2のハウジング素子7zに、軸受装置3zの外輪36zを内嵌保持するための軸受保持部75を設ける必要がある分、前記突出量Lzが大きくなる。
【0099】
これに対し、本例の逆入力遮断クラッチ付電動モータでは、第2のハウジング素子7に、軸受装置3の外輪36を内嵌保持するための軸受保持部を設ける必要がないため、その分、第1のハウジング素子6の軸方向片側の端面からの第2のハウジング素子7の軸方向片側の端面の突出量Lを小さく抑えることができ、モータハウジング1の軸方向寸法を短く抑えることができる。この面からも、逆入力遮断クラッチ付モータの小型化を図りやすい。
【0100】
本例では、軸受装置3は、4点接触型若しくは深溝型の単列ラジアル玉軸受により構成されている。特に軸受装置3を、4点接触型の単列ラジアル玉軸受により構成すれば、第2のシャフト23のうち、軸受装置3が外嵌される軸方向片側の端部の軸方向寸法を抑えつつ、軸受装置3の負荷容量を大きくすることができる。なお、本発明を実施する場合、軸受装置を、複列アンギュラ玉軸受などの複列ラジアル転がり軸受により構成することもできる。
【0101】
また、図20に示す比較例の逆入力遮断クラッチ付電動モータは、既存の電動モータに、逆入力遮断クラッチ20を組み付けることにより構成されている。このために、第1のシャフト22zを、シャフト本体82の軸方向片側の端部に、入力部25zを構成する2個の入力腕部43を有するアタッチメント83をトルク伝達を可能に外嵌することにより構成している。このような比較例の構造では、シャフト本体82とアタッチメント83との嵌合長さをある程度確保する必要がある分、第1のシャフト22zの軸方向片側の端部(軸方向片側の軸受24zが外嵌された部分よりも軸方向片側に突出した部分)の長さが長くなる。
【0102】
これに対し、本例では、第1のシャフト22は、逆入力遮断クラッチ20を構成する入力部25と、回転子4が外嵌固定される部分とが一体に構成されているため、第1のシャフト22の軸方向片側の端部の長さを短く抑えることができる。この面からも逆入力遮断クラッチ付モータの小型化を図りやすい。ただし、本発明を実施する場合、第1のシャフトを、回転子が外嵌固定されたシャフト本体と、入力腕部を有するアタッチメントとを、トルク伝達を可能に結合することにより構成することもできる。
【0103】
さらに、本例では、第1のシャフト22を、第1のハウジング素子6の内側に回転自在に支持した状態で、2個の入力腕部43と、突条13とを径方向に重畳させている。したがって、逆入力遮断クラッチ20を収容するクラッチ収容部21の軸方向寸法を短く抑えることができる。この面からも逆入力遮断クラッチ付モータの小型化を図りやすい。
【0104】
また、本例では、トルク出力部である歯車部30からのトルク出力時に該歯車部30に加わる反力や、歯車部30に噛合する歯車または歯車部30にかけ渡されたベルトに外部から加わる力に基づいて、歯車部30に加わる力の一部は、第2のシャフト23および軸受装置3を介して固定部分34により支承される。このため、回転子4を外嵌する第1のシャフト22を、モータハウジング1に対して回転自在に支持する2個の軸受24a、24b、特に軸方向片側の軸受24aに加わる力を小さく抑えることができる。したがって、2個の軸受24a、24b、特に軸方向片側の軸受24aを小型化することができる。
【0105】
また、本例では、第1のシャフト22の軸方向片側の端面に形成されたシャフト凹部26と、第2のシャフト23の軸方向他側の端部に形成されたシャフト凸部29とをインロー嵌合している。このため、第2のシャフト23の軸方向片側の端部を、単列深溝玉軸受である軸受装置3により固定部分34に対し回転自在に支持しても、第2のシャフト23ががたつく、すなわち、軸方向片側の端部を中心とする第2のシャフト23の揺動が過度に大きくなることを防止することができる。なお、本例では、第1のシャフト22にシャフト凹部26が形成され、かつ、第2のシャフト23にシャフト凸部29が形成されているが、第1のシャフトに形成されたシャフト凸部と、第2のシャフトに形成されたシャフト凹部とをインロー嵌合させることもできる。また、第1のシャフトと第2のシャフトとの同軸性を確保できる限り、シャフト凸部とシャフト凹部とを省略することもできる。
【0106】
さらに、本例によれば、第1のシャフト22への回転トルクの入力時に、逆入力遮断クラッチ20を、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行うことができる。この点について、図18(A)および図18(B)を参照しつつ説明する。
【0107】
図18(A)(a)および図18(A)(b)は、本例の構造に関して、入力部25の一部と係合子40の一部との相互の位置関係を示している。より具体的には、図18(A)(a)は、図6に示したロックまたは半ロック状態において、入力側係合部44が係合子40の幅方向中央部に位置し、かつ、リンク部材50が最も径方向内側に寄った状態での、前記位置関係を示している。図18(A)(b)は、図18(A)(a)に示した状態から、入力部25に回転トルクTが入力されることにより、入力側係合部44が入力部25の回転方向(図示の例では時計方向)に回転して、入力側係合部44から揺動支持軸52にリンク部材50を介して並進荷重Fが作用し始めた状態での、前記位置関係を示している。
【0108】
一方、図18(B)(a)および図18(B)(b)は、比較例の構造(=入力部25zの入力側係合部44zの形状が円柱状である点を除き、前述した従来構造と同様の構成を有する構造)に関して、入力部25zの一部と係合子40zの一部との相互の位置関係を示している。より具体的には、図18(B)(a)は、ロックまたは半ロック状態において、入力側係合部44zが係合子40zの幅方向中央部に位置する状態での、前記位置関係を示している。図18(B)(b)は、図18(B)(a)に示した状態から、入力部25zに回転トルクTが入力されることにより、入力側係合部44zが入力部25zの回転方向(図示の例では時計方向)に回転して、入力側係合部44zが係合子40zの入力側被係合部74zに当接し、入力側係合部44zと入力側被係合部74zとの当接部Xに、回転トルクTに基づく並進荷重Ftが作用し始めた状態での、前記位置関係を示している。
【0109】
比較例の構造では、図18(B)(b)に示したように、並進荷重Ftの方向、すなわち、入力部25zから係合子40zに作用する荷重の方向は、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換え時に係合子40zが移動すべき方向である、係合子40zの径方向(被押圧面に対する係合子40zの遠近方向)に対して大きく傾いている。
【0110】
これに対して、本例の構造では、図18(A)(b)に示したように、並進荷重Fの方向、すなわち、入力部25から係合子40に作用する荷重の方向は、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換え時に係合子40が移動すべき方向である、係合子40の径方向(被押圧面39に対する係合子40の遠近方向)とほぼ平行な方向になっている。換言すれば、並進荷重Fの方向と係合子40が移動すべき方向とのなす角度が、比較例の構造における、並進荷重Ftの方向と係合子40zが移動すべき方向とのなす角度よりも小さい。つまり、本例の構造では、入力部25に入力された回転トルクTを、係合子40を径方向内側に移動させるための荷重に効率良く変換することができる。このため、本例の構造によれば、入力部25(第1のシャフト22)への回転トルクの入力時に、ロックまたは半ロック状態から非ロック状態への切り換えを円滑に行うことができる。
【0111】
なお、本例の構造における、図18(A)(a)に示した状態での、入力側係合部44の径方向内側面とリンク部材50の入力側被係合部74の内周面との間に存在する隙間Gの大きさ(前述した差Wb-Wa)、および、比較例の構造における、図18(B)(a)に示した状態での、入力側係合部44zの径方向内側面と入力側被係合部74zとの間に存在する隙間Gzの大きさは、いずれも、逆入力遮断クラッチの組み立てを容易にする観点からは、極力大きいことが望ましいが、その一方で、入力部25、25zに回転トルクが入力された際に、直ちに係合子40、40zを径方向内側に移動させて非ロック状態を実現できるようにする観点からは、極力小さいことが望ましい。したがって、逆入力遮断クラッチの製造においては、これらの事情を考慮して、隙間G、Gzの大きさを、適度な大きさに調整する必要がある。
【0112】
比較例の構造では、隙間Gzの大きさを調整するために、入力側被係合部74zのうち、入力側係合部44zの径方向内側面と当接する部分を、切削加工で高精度に仕上げることが必要になる場合があり、この場合には、コストが嵩むと想定される。これに対して、本例の構造では、リンク部材50の支持孔72と入力側被係合部74との中心間距離を管理するだけで、隙間Gの大きさを調整することができ、リンク部材50は安価なプレス加工で造れるため、コストを抑えやすい。
【0113】
また、本例では、クラッチ収容部21の外周面に備えられた内径側インロー嵌合面79を、固定部分34に備えられた外径側インロー嵌合面80にインロー嵌合することで、固定部分34に対してモータハウジング1を位置決めした状態で、固定部分34に対しモータハウジング1を支持固定することができる。すなわち、本例では、クラッチ収容部21の外径を、駆動部収容部19の外径よりも小さくしているため、クラッチ収容部21の外周面に、モータハウジング1を固定部分34に対して位置決めするための内径側インロー嵌合面79を設けることができる。このため、固定部分34へのモータハウジング1の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0114】
なお、本例では、それぞれの係合子40は、係合子本体49を構成する1対の本体プレート58の間に、リンク部材50を、揺動支持軸52を中心とする揺動を可能に支持することにより構成されている。ただし、本発明を実施する場合、係合子は、1個の本体プレートの軸方向両側に、1対のリンク部材を、揺動支持軸を中心とする揺動を可能に支持することにより構成することもできる。
【0115】
[実施の形態の第2例]
図21図26は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例では、逆入力遮断クラッチ20aの構造が、実施の形態の第1例に係る逆入力遮断クラッチ20と異なる。
【0116】
逆入力遮断クラッチ20aは、入力部25aと、出力部27aと、被押圧面39と、係合子40aとを備える。
【0117】
入力部25aは、第1のシャフト22(図1参照)の軸方向片側の端部に備えられている。入力部25aは、図23に示すように、入力軸部42aと、入力側係合部44aとを有する。入力軸部42aは、段付円柱形状を有し、第1のシャフト22のうち、軸方向片側の軸受24aが外嵌された部分を含む部分に備えられている。本例では、入力側係合部44aは、2個の入力側係合部44aにより構成されている。それぞれの入力側係合部44aは、入力軸部42aの先端面の直径方向反対側2箇所位置から軸方向に伸長した凸部により構成されている。なお、入力軸部42aの軸方向片側の端面には、中央部から軸方向に凹んだシャフト凹部26が備えられている。
【0118】
出力部27aは、第2のシャフト23(図1参照)の軸方向他側の端部に備えられている。出力部27aは、図24に示すように、出力軸部76と、出力側係合部28aとを有する。出力軸部76は、段付円柱形状を有し、第2のシャフト23の軸方向他側の端部に備えられている。出力側係合部28aは、略長円柱状で、出力軸部76の先端面の中央部から軸方向に伸長している。出力側係合部28aは、2個の入力側係合部44aの間部分に配置される。なお、出力側係合部28の軸方向他側の端面には、中央部から軸方向に突出し、かつ、シャフト凹部26とインロー嵌合する円筒状のシャフト凸部29が備えられている。
【0119】
被押圧面39は、モータハウジング1の内周面に直接形成され、かつ、出力シャフト2の回転中心を中心とする円筒凹面により構成される。
【0120】
本例では、係合子40aは、2個の係合子40aにより構成されている。2個の係合子40aは、被押圧面39の径方向内側に配置されている。それぞれの係合子40aは、被押圧面39に対向する径方向外側面に、部分円筒状の凸面である押圧面51aを有し、互いに対向する径方向内側面に、後述する出力側被係合部53aが形成された部分を除く第2方向両側部分が平坦面により構成された底面77を有する。なお、押圧面51aの曲率半径は、被押圧面39の曲率半径以下である。
【0121】
2個の係合子40aが被押圧面39の径方向内側に配置された状態で、被押圧面39と押圧面51aとの間部分、および、底面77同士の間部分の少なくとも一方に隙間が存在するように、被押圧面39の内径寸法および係合子40aの径方向寸法が規制されている。
【0122】
それぞれの係合子40aは、入力側被係合部74aと、出力側被係合部53aとを有する。入力側被係合部74aは、係合子40aの径方向中間部を軸方向に貫通する孔により構成されている。入力側被係合部74aは、入力側係合部44aを緩く挿入できる大きさを有する。このため、入力側係合部44aは、入力側被係合部74a(係合子40a)に対し、入力部25aの回転方向に関する変位が可能であり、入力側被係合部74a(係合子40a)は、入力側係合部44aに対し、係合子40aの径方向の変位が可能である。出力側被係合部53aは、係合子40aの底面77の幅方向中央部から径方向外方に向けて凹んだ略矩形状の凹部により構成されている。出力側被係合部53aは、その内側に出力側係合部28aの短軸方向の先半部を配置できる大きさを有する。
【0123】
逆入力遮断クラッチ20aは、その組立状態で、入力部25aの2個の入力側係合部44aを、2個の係合子40aの入力側被係合部74aに軸方向に挿入し、かつ、出力部27aの出力側係合部28aを、2個の出力側被係合部53a同士の間に軸方向に挿入している。すなわち、2個の係合子40aは、それぞれの出力側被係合部53aにより、出力側係合部28aを径方向外側から挟むように配置されている。
【0124】
<逆入力遮断クラッチ20aの動作説明>
(入力部25a(第1のシャフト22)に回転トルクが入力された場合)
固定子5(図1参照)への通電に基づいて、入力部25a(第1のシャフト22)が回転すると、図25に示すように、入力側被係合部74aの内側で、入力側係合部44aが入力部25aの回転方向(図25の例では時計方向)に回転する。すると、入力側係合部44aの径方向内側面が入力側被係合部74aの内面を径方向内方に向けて押圧し、2個の係合子40aを、被押圧面39から遠ざかる方向にそれぞれ移動させる。この結果、2個の出力側被係合部53aが出力部27aの出力側係合部28aを径方向両側から挟持し、出力側係合部28aと2個の出力側被係合部53aとが、がたつきなく係合する。この結果、入力部25aに入力された回転トルクが、2個の係合子40aを介して、出力部27aに伝達され、第2のシャフト23の歯車部30から出力される。
【0125】
(出力部27a(第2のシャフト23)に回転トルクが逆入力された場合)
出力部27a(第2のシャフト23)に、歯車部30から回転トルクが逆入力されると、図26に示すように、出力側係合部28aが、一対の出力側被係合部53a同士の内側で、出力部27aの回転方向(図26の例では時計方向)に回転する。すると、出力側係合部28aの角部が出力側被係合部53aの底面を径方向外方に向けて押圧し、2個の係合子40aを、被押圧面39に近づく方向にそれぞれ移動させる。この結果、2個の係合子40aのそれぞれの押圧面51aが、被押圧面39に対して押し付けられる。この結果、出力部27aに逆入力された回転トルクが、モータハウジング1に伝わることで完全に遮断されて入力部25aに伝達されない、または、出力部27aに逆入力された回転トルクの一部のみが入力部25aに伝達され残部が遮断される。
【0126】
本例の逆入力遮断クラッチ20aは、実施の形態の第1例に係る逆入力遮断クラッチ20よりも簡易に構成することができ、コストを抑えることができる。なお、本例では、それぞれの係合子40aは、1つの押圧面51aを有しているが、実施の形態の第1例と同様に、周方向に離隔した2箇所位置にそれぞれ押圧面を有することもできる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例と同様である。
【0127】
[実施の形態の第3例]
図27は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例では、第1のシャフト22aは、軸方向片側の端面の中央部に、円筒状のシャフト凹部26aを有する。また、第2のシャフト23aは、軸方向他側の端部に、シャフト凹部26aの内径よりも小さい外径を有する円筒状のシャフト凸部29aを有する。本例では、シャフト凸部29aをシャフト凹部26aに挿入し、かつ、シャフト凹部26aの内周面とシャフト凸部29aの外周面との間に複数個の転動体84を配置することにより、シャフト凹部26aの内周面とシャフト凸部29aの外周面との間部分にラジアル転がり軸受81を構成している。図示の例では、転動体84として、ニードル(ころ)を使用している。これにより、第1のシャフト22aと第2のシャフト23aとを同軸に、かつ、相対回転を可能に組み合わせている。
【0128】
なお、シャフト凹部の内周面とシャフト凸部の外周面との間に、複数個の転動体に代えて、円筒状の滑り軸受(ブッシュ)を配置することもできる。また、実施の形態の第2例の逆入力遮断クラッチ20aにおいて、シャフト凹部の内周面とシャフト凸部の外周面との間に、ラジアル転がり軸受または滑り軸受を配置することもできる。その他の部分の構成および作用効果は、実施の形態の第1例および第2例と同様である。
【符号の説明】
【0129】
1 モータハウジング
2 出力シャフト
3、3z 軸受装置
4 回転子
5 固定子
6 第1のハウジング素子
7、7z 第2のハウジング素子
8 本体部
9 蓋部
10 円筒部
11 円輪部
12 保持円筒部
13 突条
14 底板部
15 保持円筒部
16 円筒部
17 内径側円輪部
18 外径側円輪部
19 駆動部収容部
20、20a 逆入力遮断クラッチ
21 クラッチ収容部
22 第1のシャフト
23、23z 第2のシャフト
24a、24b 軸受
25、25a、25z 入力部
26 シャフト凹部
27、27a 出力部
28、28a 出力側係合部
29 シャフト凸部
30 歯車部
31 フランジ部
32 段付円柱状部材
33 円筒状部材
34 固定部分
35 内輪
36、36z 外輪
37 玉
38 シール装置
39、39a 被押圧面
40、40a、40z 係合子
41 付勢部材
42、42a 入力軸部
43 入力腕部
44、44a、44z 入力側係合部
45 嵌合孔
47 側面
48 ガイド面
49 係合子本体
50 リンク部材
51、51a 押圧面
52 揺動支持軸
53、53a 出力側被係合部
54 内部空間
55 底面
56 被ガイド面
57 挿通孔
58 本体プレート
59 中間プレート
60 ボルト
61 ナット
62 凸面
63 取付孔
64 凹部
65 貫通孔
66 通孔
67 位置決め孔
68 凸部
69 通孔
70 位置決め孔
71 第1の端部
72 支持孔
73 第2の端部
74、74a、74z 入力側被係合部
75 軸受保持部
76 出力軸部
77 底面
78 駆動部
79 内径側インロー嵌合面
80 外径側インロー嵌合面
81 ラジアル転がり軸受
82 シャフト本体
83 アタッチメント
84 転動体
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