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特許7243972ファインバブルの製造装置及びファインバブルの製造方法
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  • 特許-ファインバブルの製造装置及びファインバブルの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】ファインバブルの製造装置及びファインバブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/45 20220101AFI20230314BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20230314BHJP
【FI】
B01F25/45
B01F23/2373
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018169968
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020040021
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(73)【特許権者】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】水上 友人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 祐介
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 暢之
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-018467(JP,A)
【文献】特開2002-301345(JP,A)
【文献】特開2007-237161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259218(US,A1)
【文献】特開2010-269200(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107709478(CN,A)
【文献】国際公開第2011/040554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01D 24/00-41/04、
53/22、
61/00-71/82
C02F 1/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続気孔を有する多孔質体、前記多孔質体に液体を供給して前記連続気孔に流通させる液体供給部、及び前記連続気孔を流通した液体を排出させる液体排出部を含む、ファインバブル製造装置であって、
前記多孔質体が、複数の入口流路及び複数の出口流路を有し、前記入口流路と前記出口流路とが多孔質壁で隔てられている、多孔質フィルター基材であり、
前記多孔質フィルター基材が、ウォールフロータイプのハニカム基材である、
ファインバブル製造装置。
【請求項2】
前記多孔質体が、セラミック製である、請求項1に記載のファインバブル製造装置。
【請求項3】
前記多孔質体のパームポロメーターによって測定される平均流量径が、5μm以上100μm以下である、請求項1又は2に記載のファインバブル製造装置。
【請求項4】
前記多孔質体の気孔率が、40%以上80%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のファインバブル製造装置。
【請求項5】
前記多孔質体の水銀ポロシメーターにより測定される平均細孔径が、10μm以上300μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のファインバブル製造装置。
【請求項6】
前記多孔質壁の厚みが、1.0mm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のファインバブル製造装置。
【請求項7】
以下を含む、ファインバブルの製造方法:
請求項1~のいずれか一項に記載のファインバブル製造装置の前記液体供給部から液体を供給すること、及び
前記供給した液体を、前記多孔質体の連続気孔に流通させて、ファインバブルを含む液体を前記液体排出部から得ること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインバブルの製造装置及びファインバブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファインバブルは、直径が100μm以下の気泡をいい、ウルトラファインバブルは、ファインバブルの中でも特に直径が1μm以下の気泡をいう。これらは、通常の気泡とは異なる性質を有することから、近年、様々な分野で応用が検討されている。
【0003】
ファインバブル又はウルトラファインバブルの製造方法としては、主に、旋回液流式、加圧溶解・減圧式、及び微細孔式を挙げることができる。
【0004】
旋回液流式では、円筒容器に液を高速で圧入し、内部に高速旋回流を形成して、その中心部で圧力降下部を発生させる。ここで、円筒容器の下部の小孔からガスを導入し、上部の小孔からガスを導出すると、ファインバブルが得られる。
【0005】
加圧溶解・減圧式では、ガスを加圧して液中に溶解させる。そして、その液を急激に減圧又は常圧の液体に抽出することによって溶解したガスをファインバブルとして析出させることができる。
【0006】
微細孔式では、ナノレベルの微細孔からガスを液中に噴出させる。
【0007】
また、他の方式も検討されており、例えば特許文献1では、ガスをポンプで加圧して液中に溶解させ、その気液混合物を、微細孔路を有する金属フィルターに通過させることによって、微細化された気泡が得られるとしている。ここで、その微細孔路は、30mm~60mmの長さで、かつ300μm以下の孔径を有し、規則的な直線状の流路となっている。また、特許文献1に記載の発明では、微細孔路に気液混合物が通過することによって、微細気泡がせん断破壊され、キメの細かい微細気泡が得られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-217585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、簡易な構成でファインバブルを発生させることができる、ファインバブルの製造装置及びファインバブルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、以下の態様を有する本発明により、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
連続気孔を有する多孔質体、前記多孔質体に液体を供給して前記連続気孔に流通させる液体供給部、及び前記連続気孔を流通した液体を排出させる液体排出部を含む、ファインバブル製造装置。
《態様2》
前記多孔質体が、セラミック製である、態様1に記載のファインバブル製造装置。
《態様3》
前記多孔質体のパームポロメーターによって測定される平均流量径が、5μm以上100μm以下である、態様1又は2に記載のファインバブル製造装置。
《態様4》
前記多孔質体の気孔率が、40%以上80%以下である、態様1~3のいずれか一項に記載のファインバブル製造装置。
《態様5》
前記多孔質体が、複数の入口流路及び複数の出口流路を有し、前記入口流路と前記出口流路とが多孔質壁で隔てられている多孔質フィルター基材である、態様1~4のいずれか一項に記載のファインバブル製造装置。
《態様6》
前記多孔質フィルター基材の前記複数の入口流路及び複数の出口流路が、それぞれ略平行に延在し、かつ互いに隣接している、態様5に記載のファインバブル製造装置。
《態様7》
前記多孔質壁の厚みが、1.0mm以下である、態様5又は6に記載のファインバブル製造装置。
《態様8》
以下を含む、ファインバブルの製造方法:
態様1~7のいずれか一項に記載のファインバブル製造装置の前記液体供給部から液体を供給すること、及び
前記供給した液体を、前記多孔質体の連続気孔に流通させて、ファインバブルを含む液体を前記液体排出部から得ること。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成でファインバブルを発生させることができる、ファインバブルの製造装置及びファインバブルの製造方法を提供することができる。特に、本発明によれば、ポンプで加圧しなくてもファインバブルを発生させることができるため、本発明の装置は、小型化も可能であり、家庭でも使用できる。さらに、本発明の装置は、運転エネルギーを非常に低くすることができ、また騒音等を発生させずに使用することができる。同様に、本発明の製造方法も家庭で実施が可能であり、低い運転エネルギーで実施できる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の装置の1つの態様の概略図である。
図2図2は、本発明の装置の多孔質体の1つの態様の概略図である。
図3図3は、実施例で用いられた基材の平均流量径とファインバブル発生数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《ファインバブル製造装置》
本発明のファインバブル製造装置は、連続気孔を有する多孔質体、多孔質体に液体を供給して連続気孔に流通させる液体供給部、及び連続気孔を流通した液体を排出させる液体排出部を含む。
【0014】
例えば、図1に示すように、本発明の装置(100)では、液体供給部(1)から液体が供給され、その液体が多孔質体(10)の連続気孔を流通し、多孔質体(10)から得られたファインバブルを含む液体が液体排出部(2)から排出させる。
【0015】
本発明者らは、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)のような多孔質体に液体を通過させると、その液中にファインバブルが発生することを発見した。これは、多孔質フィルター基材のような多孔質体に、液体が通過するとベンチュリ効果によって圧力が低下し、その液体に溶存しているガスがファインバブルとして発生するためであると考えられる。すなわち、通常の流路から多孔質体の細孔に液体が侵入すると、ベルヌーイの定理により、動圧と静圧との合計が一定に保たれるため、動圧が非常に大きくなり、静圧が非常に小さくなる。静圧が低くなることによって、液体中に溶存しているガスがファインバブルとして発生する。そして、ファインバブルは、一度形成されると消失しにくいために、液体が孔を通過して、通常の流路に戻っても、ファインバブルが残留するものと考えられる。
【0016】
なお、多孔質体の孔径がある程度小さければ、ファインバブルの発生には十分であり、孔径が非常に小さいとしても、それに応じてファインバブルが多く発生するかどうかは明らかではない。孔径が一定程度の大きさを有している方が、ファインバブルが発生する空間領域が広くなり、ファインバブルの発生総数が多くなることも考えられる。
【0017】
本発明の装置によれば、ポンプで加圧しなくてもファインバブルを発生させることができるため、本発明の装置は、小型化も可能であり、家庭でも使用できる。さらに、本発明の装置は、運転エネルギーを非常に低くすることができ、また騒音等を発生させずに使用することができる。
【0018】
本発明のファインバブル製造装置で用いられる液体としては、ガスが溶存している液体であれば特に限定されず、本発明のファインバブル製造装置を用いれば、様々な液体から様々な種類のガスのファインバブルを発生することが可能である。用いられる液体は、事前に加圧する等の手段で、ガスを溶存させた液体であってもよい。具体的には、本発明のファインバブル製造装置で用いられる液体としては、水系液体、例えば水道水、純水、脱イオン水等の水;界面活性剤等を含有する水溶液;メタノール、エタノール等の親水性液体等を挙げることができ、有機溶媒であってもよい。ガスの種類についても、用いられる液体に溶存させることができるガスであれば、特に限定されず、例えば酸素、水素等を挙げることができる。
【0019】
また多孔質体の孔径を変化させること等によって、様々な径のファインバブルを発生させることが可能である。ファインバブルの平均粒径は、例えば100μm以下、50μm以下、30μm以下、10μm以下、5μm以下、3μm以下、1μm以下、500nm以下、300nm以下、又は100nm以下であってもよく、10nm以上、50nm以上、100nm以上、300nm以上、又は500nm以上であってもよい。したがって、本発明の装置で得られるファインバブルは、平均粒径が1μm以下のウルトラファインバブルであってもよい。ウルトラファインバブルの平均粒径は、ナノ粒子解析システムNanoSight(Malvern社)を用いて測定することができ、ファインバブルの平均粒径は、マイクロトラック PartAn SI(マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて測定することができる。
【0020】
本発明のファインバブル製造装置で得られたファインバブルは、様々な用途で用いることができ、例えば洗浄、化学合成、殺菌及び消毒、脱臭、微粒子吸着等の用途で用いることができる。
【0021】
〈多孔質体〉
本発明において用いられる多孔質体は、連続気孔を有し、液体が連続気孔に流通することができるものであれば特に限定されない。液体が連続気孔を通過することによって、局所的に液体の流速が高くなり、すなわち局所的に動圧が高くなると共に静圧が低くなり、ファインバブルが発生すると考えられる。連続気孔は、不規則形状であってもよい。
【0022】
多孔質体の材質についても特に限定されないが、例えば、多孔質金属、多孔質セラミック、多孔質樹脂等を挙げることができる。この中でも特に、好ましい連続気孔を有する多孔質体、特に不規則形状の連続気孔を有する多孔質体を容易に入手できる観点から、セラミック製の多孔質体を好ましく用いることができる。例えば、セラミック材料としては、特にコージェライト(2MgO・2Al・5SiO)、アルミナ、シリカ、ジルコニア、炭化ケイ素を挙げることができる。
【0023】
多孔質体の孔径は、ファインバブルを発生させることができれば特に限定されないが、例えば、水銀ポロシメーターにより測定される平均細孔径が8μm以上、10μm以上、又は15μm以上であってもよく、500μm以下、300μm以下、100μm以下、50μm以下、30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であってもよい。
【0024】
また、本発明者らは、パームポロメーターによって測定される平均流量径がファインバブル発生数と高い相関があることを見出した。この平均流量径は、多孔質体に存在する連続気孔の、最も細い部分の孔径の平均に対応しており、その最も細い部分の孔径がファインバブル発生に大きな影響を与えていると考えられる。例えば、パームポロメーターによって測定される平均流量径は、5μm以上、8μm以上、10μm以上、又は15μm以上であってもよく、500μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってもよい。
【0025】
多孔質体の気孔率は、ファインバブルを効果的に発生させることができれば特に限定されないが、例えば30%以上、40%以上、50%以上、又は60%以上であってもよく、90%以下、80%以下、70%以下、又は60%以下であってもよい。気孔率は、多孔質体の材質による理論的な中実体の重量に対する、多孔質体の重量の割合から求めることができる。
【0026】
液体が流通する多孔質体の厚みは、ファインバブルを効果的に発生させることができれば特に限定されないが、流体の圧力損失を考慮して、10mm以下、5.0mm以下、1.0mm以下、500μm以下、300μm以下、又は200μm以下であってもよく、100μm以上、200μm以上、又は300μm以上であってもよい。
【0027】
多孔質体は、複数の流路を有し、流路が多孔質壁で隔てられている多孔質基材であることが好ましい。そのような多孔質基材としては、流路が略平行に延在し、かつ互いに隣接している、いわゆるストレートフロータイプのハニカム基材であってもよい。
【0028】
このようなストレートフロータイプのハニカム基材としては、自動車用の排ガス浄化触媒等を製造するのに用いられる、その分野においては周知のハニカム基材をそのまま用いることができる。
【0029】
また、そのような多孔質基材の中でも特に、複数の流路が、複数の入口流路及び複数の出口流路で構成されており、液体の実質的にすべての量が入口流路に流入し、多孔質壁の連続気孔を流通し、出口流路から流出する多孔質フィルター基材を挙げることができる。この場合、低い圧力損失で、溶液を多孔質壁に効果的に流通させることができる。特に、多孔質フィルター基材は、複数の入口流路及び複数の出口流路が、それぞれ略平行に延在し、かつ互いに隣接している、いわゆるウォールフロータイプのハニカム基材であってもよい。
【0030】
このようなウォールフロータイプのハニカム基材としては、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)、ガソリンパティキュレートフィルター(GPF)等を製造するのに用いられる、その分野においては周知のハニカム基材をそのまま用いることができる。
【0031】
ハニカム基材の流路が略平行に並んだ断面において、その断面の単位面積あたりの流路の数をセル数と呼ぶ場合、このセル数は、例えば、300セル/inch以上、500セル/in以上、800セル/inch以上、1000セル/inch以上、又は1200セル/inch以上であってもよく、2000セル/inch以下、1500セル/inch以下、1200セル/inch以下、1000セル/inch以下、又は800セル/inch以下であってもよい。
【0032】
ハニカム基材の多孔質壁の厚みは、1.0mm以下、500μm以下、300μm以下、又は200μm以下であってもよく、100μm以上、200μm以上、又は300μm以上であってもよい。
【0033】
図2は、本発明の装置で用いられる多孔質体(10)の1つの態様の概略図であり、この多孔質体(10)は、複数の入口流路(11)及び複数の出口流路(12)を有し、入口流路(11)と出口流路(12)とが多孔質壁(13)で隔てられており、かつ複数の入口流路(11)及び複数の出口流路(12)が、それぞれ略平行に延在し、かつ互いに隣接している。この多孔質フィルター基材(10)では、入口流路(11)から液体が流入し、その液体が多孔質壁(13)の連続気孔を流通する際に、ファインバブルが発生する。そして、ファインバブルを含む液体が出口流路(12)から流出する。なお、図2は概略図であり、作図の関係上、非常に少ないセル数で多孔質体(10)を表示している。
【0034】
〈液体供給部及び液体排出部〉
本発明の装置で用いられる液体供給部は、多孔質体の連続気孔に液体を供給する事ができれば特に限定されない。液体排出部についても、多孔質体の連続気孔を流通した液体を排出させることができれば、特に限定されない。
【0035】
液体供給部及び液体排出部には、適宜、液体を流通させるための流路、液体を貯留するための容器、液体を圧送するためのポンプ、液体の流量を制御するためのバルブ、並びにポンプ及び/又はバルブを自動で制御するための制御器等が存在していてもよい。当業者は、ファインバブルの製造装置の用途、使用場所等に対応して、それに適した構成を設計することができる。
【0036】
《ファインバブルの製造方法》
本発明のファインバブルの製造方法は、上記のようなファインバブル製造装置の液体供給部から液体を供給すること、及び供給した液体を、多孔質体の連続気孔に流通させて、ファインバブルを含む液体を液体排出部から得ることを含む。
【0037】
本発明のファインバブルの製造方法の各構成については、本発明のファインバブル製造装置に関して説明した各構成を参照することができる。
【0038】
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例
【0039】
表1に記載の市販の各種の多孔質フィルター基材を、その入口流路が垂直になるようにしてビーカーの上に設置した。入口流路から蒸留水を滴下して、重力のみで蒸留水を多孔質フィルター基材に流通させた。多孔質フィルター基材を流通した蒸留水を出口流路から排出してビーカーに収集した。そしてビーカーに収集した蒸留水に含まれていたファインバブルの発生数(FB発生数)を、ナノ粒子解析システムNanoSight(Malvern社)を用いて測定した。
【0040】
比較例として、二輪車用の排ガス浄化触媒に用いられる市販のストレートフロー型メタル基材を使用して、上記と同様にしてファインバブルの発生数を測定した。
【0041】
また、各基材の平均流量径を、パームポロメーターによって測定した。具体的には、Porous Materials Inc.社製のパームポロメーターを用いて、バブルポイント法で、WetUP/DryUP(Galwick/空気)の条件で、Tortuosity Factorを0.715として測定した。なお、平均細孔径及び気孔率については、多孔質フィルター基材の販売業者が表示している数値を用いたが、これらは上記の方法によって測定された値である。
【0042】
各例の構成及び結果を以下の表1に示す:
【表1】
【0043】
比較例1のストレートフロー型メタル基材を使用した場合には、ファインバブルの発生数が、使用したナノ粒子解析システムの検出限界レベルの数となっており、したがってファインバブルは、発生していなかった。それに対して、実施例1~4では、ファインバブルの発生数が有意に高くなっていた。
【0044】
実施例1~4と比較例1の平均流量径とファインバブル発生数との関係を図3に示す。平均流量径は、多孔質体に存在する連通孔の、最も細い部分の孔径の平均に対応しており、この平均流量径がファインバブル発生数と高い相関があることが分かった。
【0045】
なお、実施例1~4で得られたファインバブルの粒径は、100~400nm程度であり、ウルトラファインバブルであった。
【符号の説明】
【0046】
1 液体供給部
2 液体排出部
10 多孔質体
11 入口流路
12 出口流路
13 多孔質壁
100 ファインバブル製造装置
図1
図2
図3