(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】位置推定装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
G01S 5/04 20060101AFI20230314BHJP
G01S 5/12 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G01S5/04
G01S5/12
(21)【出願番号】P 2021052477
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2022-05-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度 総務省「電波利活用強靭化に向けた周波数創造技術に関する研究開発及び人材育成プログラム」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】西尾 理志
(72)【発明者】
【氏名】角南 智也
(72)【発明者】
【氏名】板原 壮平
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一人
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-017845(JP,A)
【文献】特開2017-181137(JP,A)
【文献】特開2020-051766(JP,A)
【文献】特表2010-525300(JP,A)
【文献】特開2019-174407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00-5/14
G01S 3/00-3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から送信された電波の遮蔽/非遮蔽が経過時間によって変化する通信環境において前記電波を受信したときの第1の受信信号強度の経過時間依存性を示す第1の受信信号強度タイミングチャートを測定する第1の測定器と、
前記第1の測定器と異なる位置に配置されるとともに、前記通信環境において前記電波を受信したときの第2の受信信号強度の前記経過時間依存性を示す第2の受信信号強度タイミングチャートを測定する第2の測定器と、
前記端末装置と前記第1および第2の測定器との間で移動する遮蔽物体の3次元座標からなる位置の前記経過時間依存性を示す位置タイミングチャートを検出する検出器と、
前記受信信号強度タイミングチャートに基づいて前記電波が前記遮蔽物体によって遮られた状態である遮蔽状態の前記経過時間依存性を示す遮蔽タイミングチャートを生成する第1の処理を前記第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する処理手段と、
前記位置タイミングチャートおよび前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートに基づいて前記端末装置から送信された電波が遮蔽される位置である遮蔽位置を求める第2の処理を実行し、前記第1の測定器または前記第2の測定器が配置される第1の焦点と前記端末装置が配置される第2の焦点とを有する楕円によって表される第1フレネルゾーンを用いて前記遮蔽位置に基づいて前記端末装置の位置を推定する推定手段とを備える位置推定装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記第2の処理において、前記位置タイミングチャートおよび前記遮蔽タイミングチャートに基づいて、前記遮蔽状態の開始時間における前記遮蔽物体の位置である第1の位置と前記遮蔽状態の終了時間における前記遮蔽物体の位置である第2の位置とを前記遮蔽タイミングチャートにおける複数の前記遮蔽状態の全てについて求める第3の処理を前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、前記複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と前記複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを前記楕円によってフィッティングして前記楕円の長軸方向を求める第4の処理を前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、前記第4の処理において前記第1の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第1の前記長軸方向を傾きとする第1の直線と前記第2の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第2の前記長軸方向を傾きとする第2の直線との交点の位置を前記端末装置の位置と推定する第5の処理を実行する、請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記推定手段は、前記第4の処理において、前記楕円を表す楕円方程式の右辺を左辺に移項した関数の2乗をN(Nは、2以上の整数である。)個の平面座標について加算した加算結果の平方根からなり、かつ、前記楕円の長軸方向と2つの焦点間の最短距離とをパラメータとする誤差評価関数に前記複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と前記複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを代入して前記誤差評価関数が最小になるときの前記長軸方向を求める、請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記受信信号強度タイミングチャートに基づいて前記受信信号強度が減衰する時間区間の平均時間を検出し、その検出した平均時間に基づいてカットオフ周波数を算出し、前記受信信号強度タイミングチャートから前記カットオフ周波数以上の周波数成分を除去して低周波受信信号強度タイミングチャートを求める処理を前記第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートを生成し、前記低周波受信信号強度タイミングチャートに基づいて前記電波が前記遮蔽物体によって遮られていない状態である非遮蔽状態と前記遮蔽状態とを分類して前記遮蔽タイミングチャートを生成することを前記第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する、請求項2または請求項3に記載の位置推定装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記平均時間の逆数の2倍を前記カットオフ周波数として算出する、請求項4に記載の位置推定装置。
【請求項6】
前記処理手段は、内的結合と外的分離とが達成されるような部分集合に分類対象の集合を分割する方法であるクラスタリング手法または前記遮蔽状態の受信信号強度の減衰パターンを用いたパターンマッチングによって前記非遮蔽状態と前記遮蔽状態とを分類して前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する、請求項4または請求項5に記載の位置推定装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記第3の処理において、前記遮蔽タイミングチャートにおいて前記受信信号強度が減衰し始める減衰開始時間と前記受信信号強度が減衰し終わる減衰終了時間とを検出し、前記位置タイミングチャートにおいて前記減衰開始時間と同じ時間における前記3次元座標を前記第1の位置として求めるとともに前記減衰終了時間と同じ時間における前記3次元座標を前記第2の位置として求める、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の位置推定装置。
【請求項8】
前記推定手段は、前記第4の処理において、前記複数の第1の位置を前記複数の第2の位置の方向へ所定の距離だけ移動して複数の第3の位置を生成し、前記複数の第2の位置を前記複数の第1の位置の方向へ前記所定の距離だけ移動して複数の第4の位置を生成し、前記複数の第3の位置を表す複数の第3の平面座標と前記複数の第4の位置を表す複数の第4の平面座標とを前記楕円によってフィッティングして前記楕円の長軸方向を求める、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の位置推定装置。
【請求項9】
前記推定手段は、前記第3の処理において、前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートのうちの1つの遮蔽タイミングチャートにおける前記複数の遮蔽状態の全てについて前記第1および第2の位置を求め、前記誤差評価関数に前記複数の第3の平面座標と前記複数の第4の平面座標とを代入して前記誤差評価関数が最小になるときの1つの前記長軸方向および1つの前記最短距離を求める第6の処理を前記第4の処理に代えて実行し、前記第6の処理において得られた前記1つの長軸方向および前記1つの最短距離に基づいて前記1つの遮蔽タイミングチャートが生成される元になった前記受信信号強度タイミングチャートを測定した測定器の位置から前記1つの長軸方向に前記1つの最短距離だけ離れた位置を前記端末装置の位置と推定する第7の処理を前記第5の処理に代えて実行する、請求項8に記載の位置推定装置。
【請求項10】
前記端末装置から送信された電波を移動しながら遮蔽/非遮蔽する遮蔽/非遮蔽装置を前記遮蔽物体として更に備え、
前記検出器は、前記3次元座標からなる前記遮蔽/非遮蔽装置の位置の前記経過時間依存性を示すタイミングチャートを前記位置タイミングチャートとして検出する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の位置推定装置。
【請求項11】
端末装置から送信された電波を受信して前記端末装置の位置を推定する位置推定装置において前記端末装置の位置の推定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記位置推定装置は、
前記端末装置から送信された電波の遮蔽/非遮蔽が経過時間によって変化する通信環境において前記電波を受信したときの第1の受信信号強度の経過時間依存性を示す第1の受信信号強度タイミングチャートを測定する第1の測定器と、
前記第1の測定器と異なる位置に配置されるとともに、前記通信環境において前記電波を受信したときの第2の受信信号強度の前記経過時間依存性を示す第2の受信信号強度タイミングチャートを測定する第2の測定器と、
前記端末装置と前記第1および第2の測定器との間で移動する遮蔽物体の3次元座標からなる位置の前記経過時間依存性を示す位置タイミングチャートを検出する検出器とを備え、
前記プログラムは、
処理手段が、前記受信信号強度タイミングチャートに基づいて前記電波が前記遮蔽物体によって遮られた状態である遮蔽状態の前記経過時間依存性を示す遮蔽タイミングチャートを生成する第1の処理を前記第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する第1のステップと、
推定手段が、前記位置タイミングチャートおよび前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートに基づいて前記端末装置から送信された電波が遮蔽される位置である遮蔽位置を求める第2の処理を実行し、前記第1の測定器または前記第2の測定器が配置される第1の焦点と前記端末装置が配置される第2の焦点とを有する楕円によって表される第1フレネルゾーンを用いて前記遮蔽位置に基づいて前記端末装置の位置を推定する第2のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
前記推定手段は、前記第2のステップの前記第2の処理において、前記位置タイミングチャートおよび前記遮蔽タイミングチャートに基づいて、前記遮蔽状態の開始時間における前記遮蔽物体の位置である第1の位置と前記遮蔽状態の終了時間における前記遮蔽物体の位置である第2の位置とを前記遮蔽タイミングチャートにおける複数の前記遮蔽状態の全てについて求める第3の処理を前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、前記複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と前記複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを前記楕円によってフィッティングして前記楕円の長軸方向を求める第4の処理を前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、前記第4の処理において前記第1の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第1の前記長軸方向を傾きとする第1の直線と前記第2の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第2の前記長軸方向を傾きとする第2の直線との交点の位置を前記端末装置の位置と推定する第5の処理を実行する、請求項11に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
前記推定手段は、前記第2のステップの前記第4の処理において、前記楕円を表す楕円方程式の右辺を左辺に移項した関数の2乗をN(Nは、2以上の整数である。)個の平面座標について加算した加算結果の平方根からなり、かつ、前記楕円の長軸方向と2つの焦点間の最短距離とをパラメータとする誤差評価関数に前記複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と前記複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを代入して前記誤差評価関数が最小になるときの前記長軸方向を求める、請求項12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記処理手段は、前記受信信号強度タイミングチャートに基づいて前記受信信号強度が減衰する時間区間の平均時間を検出し、その検出した平均時間に基づいてカットオフ周波数を算出し、前記受信信号強度タイミングチャートから前記カットオフ周波数以上の周波数成分を除去して低周波受信信号強度タイミングチャートを求める処理を前記第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートを生成し、前記低周波受信信号強度タイミングチャートに基づいて前記電波が前記遮蔽物体によって遮られていない状態である非遮蔽状態と前記遮蔽状態とを分類して前記遮蔽タイミングチャートを生成することを前記第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する、請求項12または請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記処理手段は、前記平均時間の逆数の2倍を前記カットオフ周波数として算出する、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
前記処理手段は、内的結合と外的分離とが達成されるような部分集合に分類対象の集合を分割する方法であるクラスタリング手法または前記遮蔽状態の受信信号強度の減衰パターンを用いたパターンマッチングによって前記非遮蔽状態と前記遮蔽状態とを分類して前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する、請求項14または請求項15に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記推定手段は、前記第2のステップの前記第3の処理において、前記遮蔽タイミングチャートにおいて前記受信信号強度が減衰し始める減衰開始時間と前記受信信号強度が減衰し終わる減衰終了時間とを検出し、前記位置タイミングチャートにおいて前記減衰開始時間と同じ時間における前記3次元座標を前記第1の位置として求めるとともに前記減衰終了時間と同じ時間における前記3次元座標を前記第2の位置として求める、請求項12から請求項16のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
前記推定手段は、前記第2のステップの前記第4の処理において、前記複数の第1の位置を前記複数の第2の位置の方向へ所定の距離だけ移動して複数の第3の位置を生成し、前記複数の第2の位置を前記複数の第1の位置の方向へ前記所定の距離だけ移動して複数の第4の位置を生成し、前記複数の第3の位置を表す複数の第3の平面座標と前記複数の第4の位置を表す複数の第4の平面座標とを前記楕円によってフィッティングして前記楕円の長軸方向を求める、請求項12から請求項17のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項19】
前記推定手段は、前記第2のステップの前記第3の処理において、前記第1および第2の遮蔽タイミングチャートのうちの1つの遮蔽タイミングチャートにおける前記複数の遮蔽状態の全てについて前記第1および第2の位置を求め、前記誤差評価関数に前記複数の第3の平面座標と前記複数の第4の平面座標とを代入して前記誤差評価関数が最小になるときの1つの前記長軸方向および1つの前記最短距離を求める第6の処理を前記第4の処理に代えて実行し、前記第6の処理において得られた前記1つの長軸方向および前記1つの最短距離に基づいて前記1つの遮蔽タイミングチャートが生成される元になった前記受信信号強度タイミングチャートを測定した測定器の位置から前記1つの長軸方向に前記1つの最短距離だけ離れた位置を前記端末装置の位置と推定する第7の処理を前記第5の処理に代えて実行する、請求項18に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項20】
前記位置推定装置は、前記端末装置から送信された電波を移動しながら遮蔽/非遮蔽する遮蔽/非遮蔽装置を前記遮蔽物体として更に備え、
前記検出器は、前記3次元座標からなる前記遮蔽/非遮蔽装置の位置の前記経過時間依存性を示すタイミングチャートを前記位置タイミングチャートとして検出する、請求項11から請求項19のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項21】
請求項11から請求項20のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置推定装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電波を送信する端末装置の位置を推定する方法として非特許文献1に記載の方法が知られている。
【0003】
非特許文献1に記載の方法は、電波の伝搬損失モデルに基づいて電波の減衰量から電波の伝搬距離を逆算して端末装置の位置を推定する方法である。
【0004】
また、電波を送信する端末装置の位置を推定する方法として非特許文献2に記載の方法が知られている。
【0005】
非特許文献2に記載の方法は、複数の送信/受信局の受信信号強度RSSI(ReceivedSignal Strength Indicator)を特徴量として位置推定モデルを学習し、学習済のモデルを用いて位置を推定する方法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/index.php action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=105592&item_no=1&attribute_id=1&file_no=1&page_id=13&block_id=8.
【文献】Yiu, Simon, et al. “Wireless RSSI fingerprinting localization.” Signal Processing 131 (2017): 235-244.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、非特許文献1,2に記載の位置推定方法においては、ピンポイントの位置推定には、3点以上の位置に配置された3個以上の測定局が必要であるという問題がある。
【0008】
そこで、この発明の実施の形態によれば、3個未満の測定器を用いて電波を送信する端末装置の位置を推定可能な位置推定装置を提供する。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、3個未満の測定器を用いて電波を送信する端末装置の位置の推定をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、3個未満の測定器を用いて電波を送信する端末装置の位置の推定をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、位置推定装置は、第1および第2の測定器と、検出器と、処理手段と、推定手段とを備える。第1の測定器は、端末装置から送信された電波の遮蔽/非遮蔽が経過時間によって変化する通信環境において電波を受信したときの第1の受信信号強度の経過時間依存性を示す第1の受信信号強度タイミングチャートを測定する。第2の測定器は、第1の測定器と異なる位置に配置されるとともに、端末装置から送信された電波の遮蔽/非遮蔽が経過時間によって変化する通信環境において電波を受信したときの第2の受信信号強度の経過時間依存性を示す第2の受信信号強度タイミングチャートを測定する。検出器は、端末装置と第1および第2の測定器との間で移動する遮蔽物体の3次元座標からなる位置の経過時間依存性を示す位置タイミングチャートを検出する。処理手段は、受信信号強度タイミングチャートに基づいて電波が遮蔽物体によって遮られた状態である遮蔽状態の経過時間依存性を示す遮蔽タイミングチャートを生成する第1の処理を第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する。推定手段は、位置タイミングチャートおよび第1および第2の遮蔽タイミングチャートに基づいて端末装置から送信された電波が遮蔽される位置である遮蔽位置を求める第2の処理を実行し、第1の測定器または第2の測定器が配置される第1の焦点と端末装置が配置される第2の焦点とを有する楕円によって表される第1フレネルゾーンを用いて遮蔽位置に基づいて端末装置の位置を推定する。
【0012】
(構成2)
構成1において、推定手段は、第2の処理において、位置タイミングチャートおよび遮蔽タイミングチャートに基づいて、遮蔽状態の開始時間における遮蔽物体の位置である第1の位置と遮蔽状態の終了時間における遮蔽物体の位置である第2の位置とを遮蔽タイミングチャートにおける複数の遮蔽状態の全てについて求める第3の処理を第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを楕円によってフィッティングして楕円の長軸方向を求める第4の処理を第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、第4の処理において第1の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第1の長軸方向を傾きとする第1の直線と第2の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第2の長軸方向を傾きとする第2の直線との交点の位置を端末装置の位置と推定する第5の処理を実行する。
【0013】
(構成3)
構成2において、推定手段は、第4の処理において、楕円を表す楕円方程式の右辺を左辺に移項した関数の2乗をN(Nは、2以上の整数である。)個の平面座標について加算した加算結果の平方根からなり、かつ、楕円の長軸方向と2つの焦点間の最短距離とをパラメータとする誤差評価関数に複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを代入して誤差評価関数が最小になるときの長軸方向を求める。
【0014】
(構成4)
構成2または構成3において、処理手段は、受信信号強度タイミングチャートに基づいて受信信号強度が減衰する時間区間の平均時間を検出し、その検出した平均時間に基づいてカットオフ周波数を算出し、受信信号強度タイミングチャートからカットオフ周波数以上の周波数成分を除去して低周波受信信号強度タイミングチャートを求める処理を第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートを生成し、低周波受信信号強度タイミングチャートに基づいて電波が遮蔽物体によって遮られていない状態である非遮蔽状態と遮蔽状態とを分類して遮蔽タイミングチャートを生成することを第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する。
【0015】
(構成5)
構成4において、処理手段は、平均時間の逆数の2倍をカットオフ周波数として算出する。
【0016】
(構成6)
構成4または構成5において、処理手段は、内的結合と外的分離とが達成されるような部分集合に分類対象の集合を分割する方法であるクラスタリング手法または遮蔽状態の受信信号強度の減衰パターンを用いたパターンマッチングによって非遮蔽状態と遮蔽状態とを分類して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する。
【0017】
(構成7)
構成2から構成6のいずれかにおいて、推定手段は、第3の処理において、遮蔽タイミングチャートにおいて受信信号強度が減衰し始める減衰開始時間と受信信号強度が減衰し終わる減衰終了時間とを検出し、位置タイミングチャートにおいて減衰開始時間と同じ時間における3次元座標を第1の位置として求めるとともに減衰終了時間と同じ時間における3次元座標を第2の位置として求める。
【0018】
(構成8)
構成2から構成7のいずれかにおいて、推定手段は、第4の処理において、複数の第1の位置を複数の第2の位置の方向へ所定の距離だけ移動して複数の第3の位置を生成し、複数の第2の位置を複数の第1の位置の方向へ所定の距離だけ移動して複数の第4の位置を生成し、複数の第3の位置を表す複数の第3の平面座標と複数の第4の位置を表す複数の第4の平面座標とを楕円によってフィッティングして楕円の長軸方向を求める。
【0019】
(構成9)
構成8において、推定手段は、第3の処理において、第1および第2の遮蔽タイミングチャートのうちの1つの遮蔽タイミングチャートにおける複数の遮蔽状態の全てについて第1および第2の位置を求め、誤差評価関数に複数の第3の平面座標と複数の第4の平面座標とを代入して誤差評価関数が最小になるときの1つの長軸方向および1つの最短距離を求める第6の処理を第4の処理に代えて実行し、第6の処理において得られた1つの長軸方向および1つの最短距離に基づいて1つの遮蔽タイミングチャートが生成される元になった受信信号強度タイミングチャートを測定した測定器の位置から1つの長軸方向に1つの最短距離だけ離れた位置を端末装置の位置と推定する第7の処理を第5の処理に代えて実行する。
【0020】
(構成10)
構成1から構成9のいずれかにおいて、位置推定装置は、遮蔽/非遮蔽装置を遮蔽物体として更に備える。遮蔽/非遮蔽装置は、端末装置から送信された電波を移動しながら遮蔽/非遮蔽する。検出器は、3次元座標からなる遮蔽/非遮蔽装置の位置の経過時間依存性を示すタイミングチャートを位置タイミングチャートとして検出する。
【0021】
(構成11)
また、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、端末装置から送信された電波を受信して端末装置の位置を推定する位置推定装置において端末装置の位置の推定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
位置推定装置は、
端末装置から送信された電波の遮蔽/非遮蔽が経過時間によって変化する通信環境において電波を受信したときの第1の受信信号強度の経過時間依存性を示す第1の受信信号強度タイミングチャートを測定する第1の測定器と、
第1の測定器と異なる位置に配置されるとともに、端末装置から送信された電波の遮蔽/非遮蔽が経過時間によって変化する通信環境において電波を受信したときの第2の受信信号強度の経過時間依存性を示す第2の受信信号強度タイミングチャートを測定する第2の測定器と、
端末装置と第1および第2の測定器との間で移動する遮蔽物体の3次元座標からなる位置の経過時間依存性を示す位置タイミングチャートを検出する検出器とを備え、
プログラムは、
処理手段が、受信信号強度タイミングチャートに基づいて電波が遮蔽物体によって遮られた状態である遮蔽状態の経過時間依存性を示す遮蔽タイミングチャートを生成する第1の処理を第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する第1のステップと、
推定手段が、位置タイミングチャートおよび第1および第2の遮蔽タイミングチャートに基づいて端末装置から送信された電波が遮蔽される位置である遮蔽位置を求める第2の処理を実行し、第1の測定器または第2の測定器が配置される第1の焦点と端末装置が配置される第2の焦点とを有する楕円によって表される第1フレネルゾーンを用いて遮蔽位置に基づいて端末装置の位置を推定する第2のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0022】
(構成12)
構成11において、推定手段は、第2のステップの第2の処理において、位置タイミングチャートおよび遮蔽タイミングチャートに基づいて、遮蔽状態の開始時間における遮蔽物体の位置である第1の位置と遮蔽状態の終了時間における遮蔽物体の位置である第2の位置とを遮蔽タイミングチャートにおける複数の遮蔽状態の全てについて求める第3の処理を第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを楕円によってフィッティングして楕円の長軸方向を求める第4の処理を第1および第2の遮蔽タイミングチャートの全てについて実行し、第4の処理において第1の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第1の長軸方向を傾きとする第1の直線と第2の遮蔽タイミングチャートに対応して得られた第2の長軸方向を傾きとする第2の直線との交点の位置を端末装置の位置と推定する第5の処理を実行する。
【0023】
(構成13)
構成12において、推定手段は、第2のステップの第4の処理において、楕円を表す楕円方程式の右辺を左辺に移項した関数の2乗をN(Nは、2以上の整数である。)個の平面座標について加算した加算結果の平方根からなり、かつ、楕円の長軸方向と2つの焦点間の最短距離とをパラメータとする誤差評価関数に複数の第1の位置を表す複数の第1の平面座標と複数の第2の位置を表す複数の第2の平面座標とを代入して誤差評価関数が最小になるときの長軸方向を求める。
【0024】
(構成14)
構成12または構成13において、処理手段は、受信信号強度タイミングチャートに基づいて受信信号強度が減衰する時間区間の平均時間を検出し、その検出した平均時間に基づいてカットオフ周波数を算出し、受信信号強度タイミングチャートからカットオフ周波数以上の周波数成分を除去して低周波受信信号強度タイミングチャートを求める処理を第1および第2の受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートを生成し、低周波受信信号強度タイミングチャートに基づいて電波が遮蔽物体によって遮られていない状態である非遮蔽状態と遮蔽状態とを分類して遮蔽タイミングチャートを生成することを第1および第2の低周波受信信号強度タイミングチャートの全てについて実行して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する。
【0025】
(構成15)
構成14において、処理手段は、平均時間の逆数の2倍をカットオフ周波数として算出する。
【0026】
(構成16)
構成14または構成15において、処理手段は、内的結合と外的分離とが達成されるような部分集合に分類対象の集合を分割する方法であるクラスタリング手法または遮蔽状態の受信信号強度の減衰パターンを用いたパターンマッチングによって非遮蔽状態と遮蔽状態とを分類して第1および第2の遮蔽タイミングチャートを生成する。
【0027】
(構成17)
構成12から構成16のいずれかにおいて、推定手段は、第2のステップの第3の処理において、遮蔽タイミングチャートにおいて受信信号強度が減衰し始める減衰開始時間と受信信号強度が減衰し終わる減衰終了時間とを検出し、位置タイミングチャートにおいて減衰開始時間と同じ時間における3次元座標を第1の位置として求めるとともに減衰終了時間と同じ時間における3次元座標を第2の位置として求める。
【0028】
(構成18)
構成12から構成17のいずれかにおいて、推定手段は、第2のステップの第4の処理において、複数の第1の位置を複数の第2の位置の方向へ所定の距離だけ移動して複数の第3の位置を生成し、複数の第2の位置を複数の第1の位置の方向へ所定の距離だけ移動して複数の第4の位置を生成し、複数の第3の位置を表す複数の第3の平面座標と複数の第4の位置を表す複数の第4の平面座標とを楕円によってフィッティングして楕円の長軸方向を求める。
【0029】
(構成19)
構成18において、推定手段は、第2のステップの第3の処理において、第1および第2の遮蔽タイミングチャートのうちの1つの遮蔽タイミングチャートにおける複数の遮蔽状態の全てについて第1および第2の位置を求め、誤差評価関数に複数の第3の平面座標と複数の第4の平面座標とを代入して誤差評価関数が最小になるときの1つの長軸方向および1つの最短距離を求める第6の処理を第4の処理に代えて実行し、第6の処理において得られた1つの長軸方向および1つの最短距離に基づいて1つの遮蔽タイミングチャートが生成される元になった受信信号強度タイミングチャートを測定した測定器の位置から1つの長軸方向に1つの最短距離だけ離れた位置を端末装置の位置と推定する第7の処理を第5の処理に代えて実行する。
【0030】
(構成20)
構成11から構成19のいずれかにおいて、位置推定装置は、遮蔽/非遮蔽装置を遮蔽物体として更に備える。遮蔽/非遮蔽装置は、端末装置から送信された電波を移動しながら遮蔽/非遮蔽する。検出器は、3次元座標からなる遮蔽/非遮蔽装置の位置の経過時間依存性を示すタイミングチャートを位置タイミングチャートとして検出する。
【0031】
(構成21)
更に、この発明の実施の形態によれば、記録媒体は、構成11から構成20のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0032】
3個未満の測定器を用いて電波を送信する端末装置の位置を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】この発明の実施の形態1による位置推定装置の概略図である。
【
図2】
図1に示す測定器およびカメラが配置される部屋の概略図である。
【
図3】
図1に示す測定器およびカメラが配置される部屋の別の概略図である。
【
図4】実験における受信信号強度と経過時間との関係を示す図である。
【
図5】x-z平面における測定器1,2、カメラ3および端末装置30と遮蔽物50との相互の位置関係を示す図である。
【
図6】カットオフ周波数を算出する方法を説明するための図である。
【
図7】受信信号強度と経過時間との関係を示す図である。
【
図8】遮蔽状態と非遮蔽状態とを分類する方法を説明するための図である。
【
図9】k-means法によって遮蔽状態と非遮蔽状態とに分類した結果を示す図である。
【
図10】遮蔽物の位置の経過時間依存性を示す図である。
【
図11】遮蔽物の位置(x座標およびz座標からなる。)および受信信号強度の経過時間依存性を示す図である。
【
図12】表1に示す遮蔽物のx座標x
start_1~x
start_8およびz座標z
start_1~z
start_8をプロットした図である。
【
図14】楕円ELL_2によるフィッティングを示す図である。
【
図15】遮蔽状態の開始時間における位置と遮蔽状態の終了時間における位置とを楕円方程式によってフィッティングしたときの図である。
【
図16】推定方法1による端末装置30の位置の推定結果を示す図である。
【
図17】測定器1を用いて推定方法2によって端末装置30の位置を推定した結果を示す図である。
【
図18】測定器2を用いて推定方法2によって端末装置30の位置を推定した結果を示す図である。
【
図19】
図1に示す位置推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図20】
図19に示すフローチャートのステップS7の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図21】
図19に示すフローチャートのステップS10の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図22】
図19に示すステップS11の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図23】実施の形態2による位置推定装置の概略図である。
【
図25】
図23に示す位置推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図26】実施の形態2による別の位置推定装置の概略図である。
【
図30】
図26に示す位置推定装置によって端末装置30の位置を推定する方法を説明するための図である。
【
図31】
図26に示す位置推定装置によって端末装置30の位置を推定する方法を説明するための別の図である。
【
図32】
図26に示す位置推定装置によって端末装置30の位置を推定する方法を説明するための更に別の図である。
【
図33】受信信号強度と経過時間との関係を示す図である。
【
図34】
図27に示す遮蔽/非遮蔽装置の移動方向を示す図である。
【
図35】
図26に示す位置推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図36】
図35に示すステップS25の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図37】
図35に示すステップS26の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図38】
図35に示すステップS27の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図39】
図35に示すステップS28の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0035】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による位置推定装置の概略図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態1による位置推定装置10は、測定器1,2と、カメラ3と、処理手段4と、推定手段5とを備える。
【0036】
測定器1は、端末装置から送信された電波を遮蔽物を介して受信し、電波を受信したときの受信信号強度RSSIの経過時間依存性を示す受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1を測定する。そして、測定器1は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1を処理手段4へ出力する。
【0037】
測定器2は、測定器1と異なる位置に配置されるとともに、端末装置から送信された電波を遮蔽物を介して受信し、電波を受信したときの受信信号強度RSSIの経過時間依存性を示す受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2を測定する。そして、測定器1は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2を処理手段4へ出力する。
【0038】
カメラ3は、例えば、GRB-Dカメラからなり、3次元座標からなる遮蔽物の位置の経過時間依存性を示す位置タイミングチャートPS_CHTを検出し、その検出した位置タイミングチャートPS_CHTを推定手段5へ出力する。
【0039】
処理手段4は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1を測定器1から受け、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2を測定器2から受ける。
【0040】
そして、処理手段4は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1に基づいて、後述する方法によって、電波が遮蔽物によって遮られた状態である遮蔽状態と電波が遮蔽物によって遮られていない状態である非遮蔽状態との経過時間依存性を示す遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1を生成する。
【0041】
また、処理手段4は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2に基づいて、後述する方法によって、遮蔽状態と非遮蔽状態との経過時間依存性を示す遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_2を生成する。
【0042】
そうすると、処理手段4は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1,SHD/UNSHD_CHT_2を推定手段5へ出力する。
【0043】
推定手段5は、測定器1の位置を示す座標(x1,z1)と、測定器2の位置を示す座標(x2,z2)とを予め保持する。推定手段5は、カメラ3から位置タイミングチャートPS_CHTを受け、処理手段4から遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1,SHD/UNSHD_CHT_2を受ける。
【0044】
そして、推定手段5は、位置タイミングチャートPS_CHTおよび遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1,SHD/UNSHD_CHT_2に基づいて、後述する方法によって、端末装置の位置を推定する。
【0045】
図2は、
図1に示す測定器1,2およびカメラ3が配置される部屋の概略図である。
図2においては、x-y-z軸を規定する。x軸は、
図2の紙面において、上側から下側に向かう方向が正の方法である。y軸は、部屋20の高さ方向に沿って設定される。y軸は、
図2の紙面において、奥側から手前に向かう方向が正の方向である。x-z平面が部屋20の底面である。従って、
図2は、上側から部屋20を見たときの測定器1,2、カメラ3、端末装置30および基地局40の配置関係を示す平面図である。
【0046】
図2を参照して、測定器1,2は、部屋20の壁21からz軸方向に所定の距離だけ離れた位置において、x軸方向の相互に異なる位置に配置される。カメラ3は、部屋20の底面から所定の高さにおいて壁21に固定される。
【0047】
図3は、
図1に示す測定器1,2およびカメラ3が配置される部屋の別の概略図である。
図3においても、x-y-z軸を規定する。
図3において、x軸は、
図3の紙面上、奥側から手前に向かう方向が正である。
【0048】
図3を参照して、測定器1,2、端末装置30および基地局40は、部屋20の底面22から所定の高さに配置される。カメラ3は、測定器1,2よりも高い位置において壁21に固定される。なお、
図3においては、端末装置30が図示されていないが、端末装置30は、
図3の紙面において基地局40の奥側に配置される。従って、
図3は、側面から部屋20を見たときの測定器1,2、カメラ3、端末装置30および基地局40の配置関係を示す平面図である。
【0049】
部屋20は、例えば、z軸方向の長さが7mであり、y軸方向の長さが6mであり、x軸方向の長さが6mである。
【0050】
端末装置30は、基地局40への上りリンクにおいて電波を基地局40へ送信する。測定器1,2と端末装置30との間には、移動する遮蔽物50が存在する。遮蔽物50は、例えば、人間である。
【0051】
その結果、測定器1は、端末装置30が上りリンクにおいて基地局40へ送信した電波を遮蔽物50を介して傍受し、受信信号強度タイミングチャートSHD/UNSHD_CHT_1を測定する。また、測定器2は、測定器1と異なる位置において、端末装置30が上りリンクにおいて基地局40へ送信した電波を遮蔽物50を介して傍受し、受信信号強度タイミングチャートSHD/UNSHD_CHT_2を測定する。更に、カメラ3は、遮蔽物50を撮影し、位置タイミングチャートPS_CHTを取得する。
【0052】
図2および
図3に示す測定器1,2、カメラ3、端末装置30および基地局40の配置関係において、遮蔽物50としてホワイトボードを用いて測定器1,2における受信信号強度RSSIを測定する実験を行ったときの結果について説明する。
【0053】
実験においては、人間によってホワイトボードを移動させた。測定器1,2および端末装置30として、MacBook Proを用い、カメラ3として、ZED Stereo Cameraを用いた。また、通信環境は、周波数が5GHzであり、チャネルが44である。
【0054】
図4は、実験における受信信号強度と経過時間との関係を示す図である。
図4において、縦軸は、受信信号強度RSSIを表し、横軸は、経過時間を表す。
【0055】
また、曲線k1は、測定器1における受信信号強度と経過時間との関係を示し、曲線k2は、測定器2における受信信号強度と経過時間との関係を示す。
【0056】
図4を参照して、受信信号RSSIは、複数の時間区間において減衰する。そして、曲線k1において、受信信号強度RSSIが減衰する時間区間は、曲線k2において、受信信号強度RSSIが減衰する時間区間と異なる(曲線k1,k2参照)。
【0057】
なお、曲線k1によって示す受信信号強度RSSIと経過時間との関係は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1を構成し、曲線k2によって示す受信信号強度RSSIと経過時間との関係は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2を構成する。
【0058】
図5は、x-z平面における測定器1,2、カメラ3および端末装置30と遮蔽物50との相互の位置関係を示す図である。
【0059】
図5において、縦軸は、z軸方向の位置を表し、横軸は、x軸方向の位置を表す。なお、x軸は、カメラ3の配置位置を原点とする。
【0060】
図5を参照して、遮蔽物50の位置は、カメラ3によって検出された遮蔽物50の3次元座標における(x,z)座標からなる。そして、遮蔽物50は、x軸方向において、約-2m~約1.6mの範囲、z軸方向において、約1.9m~約3.7mの範囲で移動したことが分かる。また、遮蔽物50の移動範囲は、端末装置30と測定器1,2との間の領域に存在する。
【0061】
従って、測定器1,2は、移動する遮蔽物50を介して、端末装置30から基地局40へ送信された電波を受信し、電波を受信したときの受信信号強度RSSIを測定したことが分かる。
【0062】
図6は、カットオフ周波数を算出する方法を説明するための図である。
図6の(a),(b)において、縦軸は、受信信号強度RSSIを表し、横軸は、経過時間を表す。曲線k1は、測定器1によって測定された受信信号強度RSSIと経過時間との関係を示し、曲線k2は、測定器2によって測定された受信信号強度RSSIと経過時間との関係を示す。
【0063】
図6の(a)を参照して、処理手段4は、曲線k1に基づいて、電波の受信信号強度RSSIが減衰し始める時間t
1,t
2,t
3,t
4と電波の受信信号強度RSSIが減衰し終わる時間t
5,t
6,t
7,t
8とを検出する。
【0064】
そして、処理手段4は、時間t5から時間t1を減算して受信信号強度RSSIが減衰している時間区間Titv_1を算出する。処理手段4は、同様にして、時間t2,t6に基づいて時間区間Titv_2を算出し、時間t3,t7に基づいて時間区間Titv_3を算出し、時間t4,t8に基づいて時間区間Titv_4を算出する。
【0065】
そうすると、処理手段4は、4個の時間区間Titv_1~Titv_4の平均時間を算出し、その算出した平均時間の逆数の2倍をカットオフ周波数fOFF_1として算出する。
【0066】
図6の(b)を参照して、処理手段4は、曲線k2に基づいて、電波の受信信号強度RSSIが減衰し始める時間t
9,t
10,t
11,t
12と電波の受信信号強度RSSIが減衰し終わる時間t
13,t
14,t
15,t
16とを検出する。そして、処理手段4は、
図6の(a)において説明した方法と同じ方法によって、時間t
9~t
16に基づいて4個の時間区間T
itv_5~T
itv_8を算出し、4個の時間区間T
itv_5~T
itv_8の平均時間の逆数の2倍をカットオフ周波数f
OFF_2として算出する。
【0067】
このように、処理手段4は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1(=曲線k1)または受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2(=曲線k2)に基づいて、受信信号強度RSSIが減衰している複数の時間区間を検出し、標本化定理に基づいて、複数の時間区間の平均時間の逆数の2倍をカットオフ周波数として算出する。
【0068】
図7は、受信信号強度と経過時間との関係を示す図である。
図7において、縦軸は、受信信号強度RSSIを表し、横軸は、経過時間を表す。曲線k1は、測定器1によって測定された受信信号強度RSSIと経過時間との関係を示し、曲線k2は、測定器2によって測定された受信信号強度RSSIと経過時間との関係を示す。曲線k3は、曲線k1をローパスフィルタLPF1で処理した後の受信信号強度RSSIと経過時間との関係を示し、曲線k4は、曲線k2をローパスフィルタLPF2で処理した後の受信信号強度RSSIと経過時間との関係を示す。
【0069】
図7を参照して、処理手段4は、カットオフ周波数f
OFF_1を有するローパスフィルタLPF1で曲線k1を処理してカットオフ周波数f
OFF_1以上の周波数成分を曲線k1から除去し、曲線k3を生成する。また、処理手段4は、カットオフ周波数f
OFF_2を有するローパスフィルタLPF2で曲線k2を処理してカットオフ周波数f
OFF_2以上の周波数成分を曲線k2から除去し、曲線k4を生成する。
【0070】
その結果、曲線k3は、曲線k1よりも受信信号強度RSSIのばらつきが小さい受信信号強度RSSIの経過時間依存性からなり、曲線k4は、曲線k2よりも受信信号強度RSSIのばらつきが小さい受信信号強度RSSIの経過時間依存性からなる。
【0071】
図8は、遮蔽状態と非遮蔽状態とを分類する方法を説明するための図である。
図8において、曲線k3は、ローパスフィルタLPF1によってカットオフ周波数f
OFF_1以上の周波数成分を曲線k1から除去した後の受信信号強度の経過時間依存性を示す。
【0072】
処理手段4は、曲線k3によって示される受信信号強度の経過時間依存性に基づいて、曲線k3の各点をk-means法によって遮蔽状態と非遮蔽状態とに分類する。
【0073】
より具体的には、処理手段4は、時間区間SECにおいて一定の時間毎に曲線k3上のN個の点P1~PNを検出する。ここで、N個は、受信信号強度RSSIが減衰している少なくとも1つの領域と受信信号強度RSSIが殆ど減衰していない少なくとも1つの領域とを含むように決定された個数からなる。
【0074】
点P1~PNの各々は、(時間t,受信信号強度RSSI)からなる。処理手段4は、次の工程(I)~(IV)を実行することによって、k-means法によってN個の点P1~PNを遮蔽状態からなるクラスタAと非遮蔽状態からなるクラスタBとに分類する。
【0075】
(I)N個の点P1~PNをランダムにクラスタA,Bに割り振る。
【0076】
(II)クラスタA,Bの各々に割り振られた点について重心を算出する。
【0077】
(III)各点について、算出された重心からの距離を算出し、各点を距離が一番近い重心のクラスタに割り振り直す。
【0078】
(IV)各点に割り振られるクラスタが変化しなくなるまで工程(II),(III)を繰り返し実行する。
【0079】
図9は、k-means法によって遮蔽状態と非遮蔽状態とに分類した結果を示す図である。
図9の(a)は、曲線k3に基づいて曲線k3上の各点をk-means法によって遮蔽状態と非遮蔽状態とに分類した結果を示し、
図9の(b)は、曲線k4に基づいて曲線k4上の各点をk-means法によって遮蔽状態と非遮蔽状態とに分類した結果を示す。ここで、k-means法によって分類された2つのクラスタのうち、受信信号強度RSSIの最小値または平均値が小さい方のクラスタが遮蔽状態SHL_1,SHL_2,SHL_3,SHL_4を示すクラスタAであり、受信信号強度RSSIの最小値または平均値が大きい方のクラスタが非遮蔽状態UNSHL_1,UNSHL_2,UNSHL_3,UNSHL_4,UNSHL_5を示すクラスタBである。
【0080】
図9の(a)を参照して、処理手段4は、曲線k3に基づいてクラスタAに分類された点(点P
1~P
Nのうちの一部の点からなる。)に基づいて遮蔽状態SHL_1,SHL_2,SHL_3,SHL_4を検出し、クラスタBに分類された点(点P
1~P
Nのうちの残りの点からなる。)に基づいて非遮蔽状態UNSHL_1,UNSHL_2,UNSHL_3,UNSHL_4,UNSHL_5を検出する。
【0081】
そして、処理手段4は、遮蔽状態SHL_1が始まる点の時間を遮蔽状態SHL_1の開始時間Tstart_1として検出し、遮蔽状態SHL_1が終わる点の時間を遮蔽状態SHL_1の終了時間Tend_1として検出する。同様にして、処理手段4は、遮蔽状態SHL_2の開始時間Tstart_2と遮蔽状態SHL_2の終了時間Tend_2とを検出し、遮蔽状態SHL_3の開始時間Tstart_3と遮蔽状態SHL_3の終了時間Tend_3とを検出し、遮蔽状態SHL_4の開始時間Tstart_4と遮蔽状態SHL_4の終了時間Tend_4とを検出する。
【0082】
図9の(b)を参照して、処理手段4は、曲線k4に基づいてクラスタAに分類された点(点P
1~P
Nのうちの一部の点からなる。)に基づいて遮蔽状態SHL_5,SHL_6,SHL_7,SHL_8を検出し、クラスタBに分類された点(点P
1~P
Nのうちの残りの点からなる。)に基づいて非遮蔽状態UNSHL_6,UNSHL_7,UNSHL_8,UNSHL_9,UNSHL_10を検出する。
【0083】
そして、処理手段4は、
図9の(a)において説明した方法によって、遮蔽状態SHL_5の開始時間T
start_5と遮蔽状態SHL_5の終了時間T
end_5とを検出し、遮蔽状態SHL_6の開始時間T
start_6と遮蔽状態SHL_6の終了時間T
end_6とを検出し、遮蔽状態SHL_7の開始時間T
start_7と遮蔽状態SHL_7の終了時間T
end_7とを検出し、遮蔽状態SHL_8の開始時間T
start_8と遮蔽状態SHL_8の終了時間T
end_8とを検出する。
【0084】
なお、
図9の(a)に示す遮蔽状態SHL_1,SHL_2,SHL_3,SHL_4および非遮蔽状態UNSHL_1,UNSHL_2,UNSHL_3,UNSHL_4,UNSHL_5の経過時間依存性は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1を構成し、
図9の(b)に示す遮蔽状態SHL_5,SHL_6,SHL_7,SHL_8および非遮蔽状態UNSHL_6,UNSHL_7,UNSHL_8,UNSHL_9,UNSHL_10の経過時間依存性は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_2を構成する。
【0085】
従って、処理手段4は、測定器1によって測定された受信信号強度タイミングチャート(=
図4に示す曲線k1)に基づいて遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1を生成し、測定器2によって測定された受信信号強度タイミングチャート(=
図4に示す曲線k2)に基づいて遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_2を生成する。
【0086】
図10は、遮蔽物50の位置の経過時間依存性を示す図である。
図10において、縦軸は、遮蔽物50の位置を表し、横軸は、経過時間を表す。遮蔽物50の位置は、3次元座標(x,y,z)からなる。
【0087】
カメラ3は、例えば、
図10に示す遮蔽物50の位置の経過時間依存性を検出する。この遮蔽物50の位置の経過時間依存性は、位置タイミングチャートPS_CHTを構成する。
【0088】
図10の(a)を参照して、推定手段5は、
図9の(a)に示す遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1(曲線k3参照)を処理手段4から受けると、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1(曲線k3参照)における遮蔽状態SHL_1~SHL_4の開始時間T
start_1~T
start_4を検出し、その検出した開始時間T
start_1~T
start_4と同じ時間における位置PS
start_1~PS
start_4を位置タイミングチャートPS_CHTから検出する(
図10の(a)参照)。
【0089】
また、推定手段5は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_1(曲線k3参照)における遮蔽状態SHL_1~SHL_4の終了時間T
end_1~T
end_4を検出し、その検出した終了時間T
end_1~T
end_4と同じ時間における位置PS
end_1~PS
end_4を位置タイミングチャートPS_CHTから検出する(
図10の(a)参照)。
【0090】
図10の(b)を参照して、推定手段5は、
図9の(b)に示す遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_2(曲線k4参照)を処理手段4から受けると、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_2(曲線k4参照)における遮蔽状態SHL_5~SHL_8の開始時間T
start_5~T
start_8を検出し、その検出した開始時間T
start_5~T
start_8と同じ時間における位置PS
start_5~PS
start_8を位置タイミングチャートPS_CHTから検出する(
図10の(b)参照)。
【0091】
また、推定手段5は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_2(曲線k4参照)における遮蔽状態SHL_5~SHL_8の終了時間T
end_5~T
end_8を検出し、その検出した終了時間T
end_5~T
end_8と同じ時間における位置PS
end_5~PS
end_8を位置タイミングチャートPS_CHTから検出する(
図10の(b)参照)。
【0092】
図11は、遮蔽物50の位置(x座標およびz座標からなる。)および受信信号強度の経過時間依存性を示す図である。
【0093】
図11において、縦軸は、受信信号強度RSSIおよび遮蔽物50の位置のx座標およびz座標を表し、横軸は、経過時間を表す。また、
図11の(a)は、
図9の(a)に示す受信信号強度RSSIの経過時間依存性(曲線k3参照)と、遮蔽物50の位置のx座標およびz座標の経過時間依存性を示し、
図11の(b)は、
図9の(b)に示す受信信号強度RSSIの経過時間依存性(曲線k4参照)と、遮蔽物50の位置のx座標およびz座標の経過時間依存性を示す。
【0094】
図11の(a)を参照して、推定手段5は、
図10の(a)に示す遮蔽物50の位置と経過時間との関係に基づいて、各経過時間における遮蔽物50の位置のx座標およびz座標を検出して遮蔽物50の位置のx座標の経過時間依存性k5を作成するとともに遮蔽物50の位置のz座標の経過時間依存性k6を生成する。また、推定手段5は、
図9の(a)に示す受信信号強度RSSIの経過時間依存性を
図11の(a)に示す受信信号強度RSSIの経過時間依存性とする。
【0095】
そうすると、推定手段5は、遮蔽状態SHL_1の開始時間T
start_1におけるx座標x
start_1および遮蔽状態SHL_1の終了時間T
end_1におけるx座標x
end_1を
図11の(a)に示すx座標の経過時間依存性k5から検出する。また、推定手段5は、遮蔽状態SHL_1の開始時間T
start_1におけるz座標z
start_1および遮蔽状態SHL_1の終了時間T
end_1におけるz座標z
end_1を
図11の(a)に示すz座標の経過時間依存性k6から検出する。
【0096】
以下、同様にして、推定手段5は、遮蔽状態SHL_2,SHL_3,SHL_4の開始時間Tstart_2,Tstart_3,Tstart_4におけるx座標xstart_2,xstart_3,xstartd_4および遮蔽状態SHL_2,SHL_3,SHL_4の終了時間Tend_2,Tend_3,Tend_4におけるx座標xend_2,xend_3,xend_4を検出する。また、推定手段5は、遮蔽状態SHL_2,SHL_3,SHL_4の開始時間Tstart_2,Tstart_3,Tstart_4におけるz座標zstart_2,zstart_3,zstart_4および遮蔽状態SHL_2,SHL_3,SHL_4の終了時間Tend_2,Tend_3,Tend_4におけるz座標zend_2,zend_3,zend_4を検出する。
【0097】
図11の(b)を参照して、推定手段5は、
図11の(a)において説明した方法によって、
図10に示す遮蔽物50の位置と経過時間との関係に基づいて、各経過時間における遮蔽物50の位置のx座標およびz座標を検出して遮蔽物50の位置のx座標の経過時間依存性(曲線k7)を作成するとともに遮蔽物50の位置のz座標の経過時間依存性(曲線k8)を生成する。また、推定手段5は、
図9の(b)に示す受信信号強度RSSIの経過時間依存性を
図11の(b)に示す受信信号強度RSSIの経過時間依存性とする。
【0098】
そして、推定手段5は、
図11の(a)において説明した方法によって、遮蔽状態SHL_5,SHL_6,SHL_7,SHL_8の開始時間T
start_5,T
start_6,T
start_7,T
start_8におけるx座標x
start_5,x
start_6,x
start_7,x
start_8および遮蔽状態SHL_5,SHL_6,SHL_7,SHL_8の終了時間T
end_5,T
end_6,T
end_7,T
end_8におけるx座標x
end_5,x
end_6,x
end_7,x
end_8を検出する。また、推定手段5は、
図11の(a)において説明した方法によって、遮蔽状態SHL_5,SHL_6,SHL_7,SHL_8の開始時間T
start_5,T
start_6,T
start_7,T
start_8におけるz座標z
start_5,z
start_6,z
start_7,z
start_8および遮蔽状態SHL_5,SHL_6,SHL_7,SHL_8の終了時間T
end_5,T
end_6,T
end_7,T
end_8におけるz座標z
end_5,z
end_6,z
end_7,z
end_8を検出する。
【0099】
測定器1,2と、遮蔽状態SHL_1~SHL_8と、遮蔽状態SHL_1~SHL_8の開始時間Tstart_1~Tstart_8/終了時間Tend_1~Tend_8と、遮蔽状態SHL_1~SHL_8の開始時間Tstart_1~Tstart_8における遮蔽物50の位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_8,zstart_8)および遮蔽状態SHL_1~SHL_8の終了時間Tend_1~Tend_8における遮蔽物50の位置(xend_1,zend_1)~(xend_8,zend_8)との対応関係を表1に示す。
【0100】
【0101】
表1においては、遮蔽状態SHL_1~SHL_4は、測定器1が測定した受信信号強度RSSIの経過時間依存性(
図4の曲線k1参照)に基づいて検出されるので、測定器1に対応付けられる。そして、開始時間T
start_1および終了時間T
end_1は、遮蔽状態SHL_1に対応付けられ、位置(x
start_1,z
start_1)は、開始時間T
start_1に対応付けられ、位置(x
end_1,z
end_1)は、終了時間T
end_1に対応付けられる。
【0102】
また、開始時間Tstart_2および終了時間Tend_2は、遮蔽状態SHL_2に対応付けられ、位置(xstart_2,zstart_2)は、開始時間Tstart_2に対応付けられ、位置(xend_2,zend_2)は、終了時間Tend_2に対応付けられる。
【0103】
更に、開始時間Tstart_3および終了時間Tend_3は、遮蔽状態SHL_3に対応付けられ、位置(xstart_3,zstart_3)は、開始時間Tstart_3に対応付けられ、位置(xend_3,zend_3)は、終了時間Tend_3に対応付けられる。
【0104】
更に、開始時間Tstart_4および終了時間Tend_4は、遮蔽状態SHL_4に対応付けられ、位置(xstart_4,zstart_4)は、開始時間Tstart_4に対応付けられ、位置(xend_4,zend_4)は、終了時間Tend_4に対応付けられる。
【0105】
また、表1においては、遮蔽状態SHL_5~SHL_8は、測定器2が測定した受信信号強度RSSIの経過時間依存性(
図4の曲線k2参照)に基づいて検出されるので、測定器2に対応付けられる。そして、開始時間T
start_5および終了時間T
end_5は、遮蔽状態SHL_5に対応付けられ、位置(x
start_5,z
start_5)は、開始時間T
start_5に対応付けられ、位置(x
end_5,z
end_5)は、終了時間T
end_5に対応付けられる。
【0106】
また、開始時間Tstart_6および終了時間Tend_6は、遮蔽状態SHL_6に対応付けられ、位置(xstart_6,zstart_6)は、開始時間Tstart_6に対応付けられ、位置(xend_6,zend_6)は、終了時間Tend_6に対応付けられる。
【0107】
更に、開始時間Tstart_7および終了時間Tend_7は、遮蔽状態SHL_7に対応付けられ、位置(xstart_7,zstart_7)は、開始時間Tstart_7に対応付けられ、位置(xend_7,zend_7)は、終了時間Tend_7に対応付けられる。
【0108】
更に、開始時間Tstart_8および終了時間Tend_8は、遮蔽状態SHL_8に対応付けられ、位置(xstart_8,zstart_8)は、開始時間Tstart_8に対応付けられ、位置(xend_8,zend_8)は、終了時間Tend_8に対応付けられる。
【0109】
従って、推定手段5は、表1によれば、遮蔽状態SHL_1~SHL_8の開始時間Tstart_1~Tstart_8における遮蔽物50の位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_8,zstart_8)および終了時間Tend_1~Tend_8における遮蔽物50の位置(xend_1,zend_1)~(xend_8,zend_8)を検出する。
【0110】
図12は、表1に示す遮蔽物50のx座標x
start_1~x
start_8およびz座標z
start_1~z
start_8をプロットした図である。
【0111】
図12を参照して、推定手段5は、表1に示す遮蔽物50の位置(x
start_1,z
start_1),(x
end_1,z
end_1);(x
start_2,z
start_2),(x
end_2,z
end_2);(x
start_3,z
start_3),(x
end_3,z
end_3);(x
start_4,z
start_4),(x
end_4,z
end_4)をx-z平面にプロットする。その結果、領域REG1に含まれる五角形およびREG2に含まれる五角形がx-z平面にプロットされる。なお、
図12においては、五角形は、領域REG1内に3個しか存在しないが、これは、遮蔽状態SHL_1~SHL_4のうちの2つの遮蔽状態の開始時間における位置(x座標,z座標)が同じであるからである。
【0112】
また、推定手段5は、表1に示す遮蔽物50の位置(xstart_5,zstart_5),(xend_5,zend_5);(xstart_6,zstart_6),(xend_6,zend_6);(xstart_7,zstart_7),(xend_7,zend_7);(xstart_8,zstart_8),(xend_8,zend_8)をx-z平面にプロットする。その結果、領域REG3に含まれる円形およびREG4に含まれる円形がx-z平面にプロットされる。
【0113】
領域REG1に含まれる3個の五角形は、遮蔽状態SHL_1~SHL_4の開始時間Tstart_1~Tstart_4における遮蔽物50の位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4)を表す。
【0114】
また、領域REG2に含まれる4個の五角形は、遮蔽状態SHL_1~SHL_4の終了時間Tend_1~Tend_4における遮蔽物50の位置(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)を表す。
【0115】
更に、領域REG3に含まれる4個の円形は、遮蔽状態SHL_5~SHL_8の開始時間Tstart_5~Tstart_8における遮蔽物50の位置(xstart_5,zstart_5)~(xstart_8,zstart_8)を表す。
【0116】
更に、領域REG4に含まれる4個の円形は、遮蔽状態SHL_5~SHL_8の終了時間Tend_5~Tend_8における遮蔽物50の位置(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)を表す。
【0117】
[推定方法1]
推定方法1における端末装置30の位置の推定方法について説明する。
【0118】
図13は、第1フレネルゾーンの概念図である。
図13の(a)を参照して、第1フレネルゾーンは、楕円ELL_1の内側の領域である。第1フレネルゾーンの外周は、楕円ELL_1によって表され、楕円ELL_1の中心がx-z平面の原点にあるとき、楕円ELL_1は、次式によって表される。
【0119】
【0120】
焦点FCS_1の座標は、(c,0)であり、焦点FCS_2の座標は、(-c,0)である。その結果、原点と焦点FCS_1との距離および原点と焦点FCS_2との距離は、cである。また、焦点FCS_1と焦点FCS_2との最短距離は、dである。
【0121】
フレネルゾーンの外周を表す楕円上の任意の点Aと焦点FCS_1との距離をr1とし、点Aと焦点FCS_2との距離をr2としたとき、次式が成り立つ。
【0122】
【0123】
式(2)において、λは、電波の波長である。
【0124】
第1フレネルゾーンを想定してm=1とすると、a,b,cは、次式によって表される。
【0125】
【0126】
第1フレネルゾーンは、2つの焦点FCS_1,FCS_2からの距離の和(r1+r2)が2つの焦点FCS_1,FCS_2間の最短距離dよりも半波長(λ/2)だけ長い楕円ELL_1の内側の領域である。従って、第1フレネルゾーンは、送信局と受信局との間を直線で結んだ最短経路からの電波の伝搬経路の差が半波長以内に収まるような曲がった伝搬経路が存在する領域である。
【0127】
図13の(b)を参照して、第1フレネルゾーンの存在位置を一般化するために、中心を原点から移動し、x軸方向に対して角度θだけ回転した楕円ELL_2を想定する。
【0128】
楕円ELL_2の焦点FCS_2の座標を(x0,z0)とし、楕円ELL_2の中心の座標を(X0,Z0)とすると、座標(X0,Z0)と座標(x0,z0)との関係は、次式によって表される。
【0129】
【0130】
式(4)に示す座標(X0,Z0)と座標(x0,z0)との関係を用いると、楕円ELL_2は、次式によって表される。
【0131】
【0132】
図14は、楕円ELL_2によるフィッティングを示す図である。
図14を参照して、測定器1は、楕円ELL_2の一方の焦点に配置される。その結果、端末装置30の位置は、楕円ELL_2の他方の焦点であると推定できる。
【0133】
上述したように、遮蔽状態SHL_1~SHL_4の開始時間T
start_1~T
start_4における遮蔽物50の位置(x
start_1,z
start_1)~(x
start_4,z
start_4)は、領域REG1に存在し、遮蔽状態SHL_1~SHL_4の終了時間T
end_1~T
end_4における遮蔽物50の位置(x
end_1,z
end_1)~(x
end_4,z
end_4)は、領域REG2に存在する(
図12参照)。
【0134】
そこで、推定手段5は、
図14に示すように、位置(x
start_1,z
start_1)~(x
start_4,z
start_4)と位置(x
end_1,z
end_1)~(x
end_4,z
end_4)とを楕円ELL_2でフィッティングする。
【0135】
より具体的には、推定手段5は、次の方法によって位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4)と位置(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)とを楕円ELL_2でフィッティングする。
【0136】
N(Nは、2以上の整数である。)個のデータ群のi(iは、1~Nの整数である。)番目のデータの座標を(xi,zi)とし、誤差評価関数Eを次式によって規定する。
【0137】
【0138】
そして、式(6)のF(xi,zi;d,θ)は、次式によって表される。
【0139】
【0140】
式(7)において、x0,z0は、測定器1または測定器2の位置の座標であり、λは、電波の波長であるので、x0,z0,λは、既知である。また、式(7)のxi,ziには、N個のデータ群(例えば、8個の位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4),(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4))が代入される。その結果は、誤差評価関数Eは、dおよびθをパラメータとする関数である。即ち、誤差評価関数Eは、第1フレネルゾーンの外周を表す楕円方程式の右辺を左辺に移項した関数F(xi,zi;d,θ)の2乗をN個の平面座標について加算した加算結果の平方根からなり、かつ、楕円の長軸方向θと2つの焦点間の最短距離dとをパラメータとする関数からなる。
【0141】
そうすると、推定手段5は、dおよびθの値を所定の間隔で変化させながら誤差評価関数Eが最小となるときのパラメータd,θを求める。
【0142】
推定手段5は、上記の方法によって位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4),(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)を楕円ELL_2でフィッティングする。
【0143】
推定手段5は、上述した楕円ELL_2によるフィッティングを遮蔽状態SHL_5~SHL_8の開始時間Tstart_5~Tstart_8における遮蔽物50の位置(xstart_5,zstart_5)~(xstart_8,zstart_8)と、遮蔽状態SHL_5~SHL_8の終了時間Tend_5~Tend_8における遮蔽物50の位置(xend_5,zend_5)~(xend_8,zend_8)とについても実行する。
【0144】
図15は、遮蔽状態の開始時間における位置と遮蔽状態の終了時間における位置とを楕円方程式によってフィッティングしたときの図である。
【0145】
図15において、(a)は、測定器1によって測定された受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1に基づいて分類された遮蔽状態の開始時間における位置と終了時間における位置とを楕円ELL_2によってフィッティングした結果を示し、(b)は、測定器2によって測定された受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2に基づいて分類された遮蔽状態の開始時間における位置と終了時間における位置とを楕円ELL_2によってフィッティングした結果を示す。
【0146】
また、測定器1を用いたときのパラメータd,θの変化範囲および変化幅とパラメータd,θの最適値とを表2に示し、測定器2を用いたときのパラメータd,θの変化範囲および変化幅とパラメータd,θの最適値とを表3に示す。
【0147】
【0148】
【0149】
図15を参照して、方向θは、概ね合っているが、距離dが合っていない。そこで、推定手段5は、測定器1からθ
1(表2の73.0度からなる。)の方向を傾きa
SLP1とする直線L1と、測定器2からθ
2(表2の108.5度からなる。)の方向を傾きa
SLP2とする直線L2とを求める。
【0150】
直線L1は、式(8)によって表され、直線L2は、式(9)によって表される。
【0151】
【0152】
【0153】
式(8)において、tan(θ1)が傾きaSLP1であり、式(9)において、tan(θ2)が傾きaSLP2である。
【0154】
推定手段5は、測定器1の位置の座標(x1,z1)を式(8)のx,zに代入して式(8)の切片b1を算出し、測定器2の位置の座標(x2,z2)を式(9)のx,zに代入して式(9)の切片b2を算出する。
【0155】
図16は、推定方法1による端末装置30の位置の推定結果を示す図である。
図16を参照して、推定手段5は、直線L1,L2を求めると、直線L1と直線L2との交点の座標を算出し、その算出した交点の座標によって示される位置(交点の位置)を端末装置30の位置と推定する。
【0156】
図16において、端末装置30の真の位置は、(0.0,4.5)であり、端末装置30の推定位置は、(-0.02,4.03)である。従って、端末装置30の真の位置と推定位置との誤差は、0.47mである。
【0157】
このように、2個の測定器1,2を用いれば、パラメータd,θのうち、パラメータθのみを2個の測定器1,2について求めることによって端末装置30の位置を推定できる。
【0158】
[推定方法2]
推定方法2における端末装置30の位置の推定方法について説明する。
【0159】
推定手段5は、位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4),(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)を検出すると、位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4)を位置(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)の方向(x軸方向)に所定の距離だけ移動させて位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4)を生成する。
【0160】
また、推定手段5は、位置(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)を位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4)の方向(x軸方向)に所定の距離だけ移動させて位置(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4)を生成する。
【0161】
そして、所定の距離は、遮蔽物50の幅の約半分に設定される。例えば、遮蔽物50の幅を90cmとすると、所定の距離は、40cmである。
【0162】
このように、推定手段5は、遮蔽物50の幅を考慮して位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4),(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)を位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4),(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4)に補正する。
【0163】
そうすると、推定手段5は、補正した位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4),(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4)を楕円ELL_2でフィッティングしたときのθ’1およびd’1を求める。即ち、推定手段5は、補正した位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4),(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4)を誤差評価関数Eに代入して誤差評価関数Eが最小になるときのθ’1およびd’1を求める。
【0164】
そして、推定手段5は、測定器1の位置からθ’1の方向に距離d’1だけ離れた位置を端末装置30の位置と推定する。より具体的には、推定手段5は、端末装置30の位置を示す座標を座標(x30,z30)とし、測定器1の位置を示す座標(x1,z1)を用いて式(10)の2つの式(10A),(10B)によって表される連立方程式を解いてx30およびz30を算出し、その算出した座標(x30,z30)を端末装置30の位置と推定する。
【0165】
【0166】
なお、式(10A)の切片b1は、z=tan(θ1’)x+b1の式に測定器1の位置(x1,z1)を代入して算出される。
【0167】
推定手段5は、上述した方法によって、位置(xstart_5,zstart_5)~(xstart_8,zstart_8),(xend_5,zend_5)~(xend_8,zend_8)を位置(x’start_5,z’start_5)~(x’start_8,z’start_8),(x’end_5,z’end_5)~(x’end_8,z’end_8)に補正する。
【0168】
そして、推定手段5は、補正した位置(x’start_5,z’start_5)~(x’start_8,z’start_8),(x’end_5,z’end_5)~(x’end_8,z’end_8)を楕円ELL_2でフィッティングしたときのθ’2およびd’2を求める。即ち、推定手段5は、補正した位置(x’start_5,z’start_5)~(x’start_8,z’start_8),(x’end_5,z’end_5)~(x’end_8,z’end_8)を誤差評価関数Eに代入して誤差評価関数Eが最小になるときのθ’2およびd’2を求める。
【0169】
そうすると、推定手段5は、測定器2の位置からθ’2の方向に距離d’2だけ離れた位置を端末装置30の位置と推定する。より具体的には、推定手段5は、端末装置30の位置を示す座標を座標(x30,z30)とし、測定器2の位置を示す座標(x2,z2)を用いて式(11)の2つの式(11A),(11B)によって表される連立方程式を解いてx30およびz30を算出し、その算出した座標(x30,z30)を端末装置30の位置と推定する。
【0170】
【0171】
なお、式(11A)の切片b2は、z=tan(θ2’)x+b2の式に測定器2の位置(x2,z2)を代入して算出される。
【0172】
図17は、測定器1を用いて推定方法2によって端末装置30の位置を推定した結果を示す図である。
【0173】
図17の(a)は、補正前の位置を用いた端末装置30の位置の推定結果を示し、
図17の(b)は、補正後の位置を用いた端末装置30の位置の推定結果を示す。
【0174】
図17の(a)を参照して、測定器1は、楕円ELL_2の1つの焦点に配置される。そして、楕円ELL_2のもう1つの焦点は、端末装置30の実際の位置よりも遠い位置に存在する。その結果、補正前の位置を用いて端末装置30の位置を推定した場合、方向θ
1は、合っているが、距離d
1が合っていない。
【0175】
図17の(b)を参照して、測定器1は、楕円ELL_2’の1つの焦点に配置され、推定位置PS
estは、楕円ELL_2’のもう1つの焦点に配置される。その結果、補正後の位置を用いて端末装置30の位置を推定した場合、補正前の位置を用いた推定結果(
図17の(a)参照)よりも方向θ’
1および距離d’
1が合っている。そして、端末装置30の実際の位置と推定位置PS
estとの誤差は、69cmである。
【0176】
図18は、測定器2を用いて推定方法2によって端末装置30の位置を推定した結果を示す図である。
【0177】
図18の(a)は、補正前の位置を用いた端末装置30の位置の推定結果を示し、
図18の(b)は、補正後の位置を用いた端末装置30の位置の推定結果を示す。なお、
図18の(a)には、外れ値が存在するので、
図18の(b)においては、外れ値を除去して補正後の位置を楕円ELL_2’でフィッティングした。
【0178】
図18の(a)を参照して、補正前の位置を用いて端末装置30の位置を推定した場合、
図17の(a)と同様に、方向θ
2は、合っているが、距離d
2が合っていない。
【0179】
図18の(b)を参照して、測定器2は、楕円ELL_2’の1つの焦点に配置され、推定位置PS
estは、楕円ELL_2’のもう1つの焦点に配置される。その結果、補正後の位置を用いて端末装置30の位置を推定した場合、補正前の位置を用いた推定結果(
図18の(a)参照)よりも方向θ’
2および距離d’
2が合っている。そして、端末装置30の実際の位置と推定位置PS
estとの誤差は、62cmである。
【0180】
このように、推定方法2においては、推定手段5は、測定器1,2のうちの1つの測定器で測定された受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT(受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2のいずれか)に基づいて検出された遮蔽状態SHLの開始時間における遮蔽物50の位置PS_startおよび終了時間における遮蔽物50の位置PS_endを遮蔽物50の幅に応じて補正し、その補正した位置PS’_startおよび位置PS’_endを用いて端末装置30の位置を推定する。
【0181】
従って、推定方法2によれば、1個の測定器を用いて端末装置30の位置を推定できる。
【0182】
[推定方法3]
推定方法3における端末装置30の位置の推定方法について説明する。
【0183】
推定手段5は、推定方法2において説明した方法によって、位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4),(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4)を位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4),(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4)に補正する。
【0184】
そして、推定手段5は、上述した方法によって、位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4),(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4)を楕円ELL_2’でフィッティングし、誤差評価関数Eが最小となるときのθ’1を求め、その求めたθ’1を用いて直線L1’を求める。直線L1’は、式(8)のθ1にθ’1を代入した式によって表される。
【0185】
また、推定手段5は、推定方法2において説明した方法によって、位置(xstart_5,zstart_5)~(xstart_8,zstart_8),(xend_5,zend_5)~(xend_8,zend_8)を位置(x’start_5,z’start_5)~(x’start_8,z’start_8),(x’end_5,z’end_5)~(x’end_8,z’end_8)に補正し、その補正した位置(x’start_5,z’start_5)~(x’start_8,z’start_8),(x’end_5,z’end_5)~(x’end_8,z’end_8)を楕円ELL_2’でフィッティングして誤差評価関数Eが最小となるときのθ’2を求め、その求めたθ’2を用いて直線L2’を求める。直線L2’は、式(9)のθ2にθ’2を代入した式によって表される。
【0186】
そうすると、推定手段5は、直線L1’,L2’の交点の位置を算出し、その算出した交点の位置を端末装置30の位置と推定する。
【0187】
このように、推定方法3においては、補正した位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4),(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4)を楕円ELL_2’でフィッティングして方向θ’1を求め、補正した位置(x’start_5,z’start_5)~(x’start_8,z’start_8),(x’end_5,z’end_5)~(x’end_8,z’end_8)を楕円ELL_2’でフィッティングして方向θ’2を求め、その求めた方向θ’1,θ’2をそれぞれ傾きとする2つの直線L1’,L2’の交点の位置を端末装置30の位置と推定する。
【0188】
図19は、
図1に示す位置推定装置10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0189】
図19を参照して、位置推定装置10の動作が開始されると、カメラ3は、遮蔽物50の位置タイミングチャートPS_CHTを検出し(ステップS1)、その検出した位置タイミングチャートPS_CHTを推定手段5へ出力する。そして、推定手段5は、位置タイミングチャートPS_CHTをカメラ3から受ける。
【0190】
そして、測定器M_1,M_2は、端末装置30が基地局40へ電波を送信する通信環境において、移動する遮蔽物50を介して、それぞれ、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を測定する(ステップS2)。そして、測定器M_1,M_2は、それぞれ、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を処理手段4へ出力する。処理手段4は、測定器M_1,M_2からそれぞれ受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を受ける。
【0191】
引き続いて、推定手段5は、i=1を設定する(ステップS3)。そして、処理手段4は、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_iに基づいて、標本化定理によって、上述した方法によってカットオフ周波数fOFF_iを算出する(ステップS4)。
【0192】
その後、処理手段4は、カットオフ周波数fOFF_iを有するローパスフィルタLPF_iによって受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_iのカットオフ周波数fOFF_i以上の周波数成分を除去する(ステップS5)。
【0193】
引き続いて、処理手段4は、ローパスフィルタLPF_iによって処理した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_iに基づいて、k-means法によって受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_i上の各点を遮蔽状態および非遮蔽状態の2つにクラスタリングし(ステップS6)、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_iを生成する。そして、処理手段4は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_iを推定手段5へ出力する。
【0194】
推定手段5は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_iを処理手段4から受ける。そして、推定手段5は、位置タイミングチャートPS_CHTを用いて、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_iのJ(Jは、1以上の整数)個の遮蔽状態1~Jの各々について、遮蔽状態SHL_jの開始時間における遮蔽物50の位置PSstart_j_iと、遮蔽状態SHL_jの終了時間における遮蔽物50の位置PSend_j_iとを検出する(ステップS7)。
【0195】
その後、推定手段5は、i=2であるか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8において、i=2でないと判定されたとき、推定手段5は、i=i+1を設定する(ステップS9)。その後、一連の動作は、ステップS4へ移行し、ステップS8において、i=2であると判定されるまで、ステップS4~ステップS9が繰り返し実行される。
【0196】
そして、ステップS8において、i=2であると判定されると、推定手段5は、N(N=2×J)個の位置PSstart_1_1~PSstart_J_1,PSend_1_1~PSend_J_1とN個の位置PSstart_1_2~PSstart_J_2,PSend_1_2~PSend_J_2とに基づいて端末装置30の位置の推定に用いるデータ群DGを取得する(ステップS10)。
【0197】
その後、推定手段5は、データ群DGに含まれる複数の位置を楕円でフィッティングして端末装置30の位置を推定する(ステップS11)。これによって、位置推定装置10の動作が終了する。
【0198】
図20は、
図19に示すフローチャートのステップS7の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0199】
図20を参照して、推定手段5は、
図19のステップS6の後、j=1を設定する(ステップS71)。ここで、jは、遮蔽状態SHL_1~SHL_4の引数1,2,3,4のいずれかを表し、遮蔽状態SHL_5~SHL_8の引数5,6,7,8をそれぞれ引数1,2,3,4に読み替え、その読み替えた引数1,2,3,4のいずれかを表す。
【0200】
ステップS71の後、推定手段5は、遮蔽/非遮蔽タイミングチャートSHL/UNSHL_CHT_iの遮蔽状態SHL_jにおける開始時間Tstart_j_iおよび終了時間Tend_j_iを検出する(ステップS72)。
【0201】
そして、推定手段5は、位置タイミングチャートPS_CHTにおいて、開始時間Tstart_j_iと同じ時間における遮蔽物50の位置PSstart_j_iと、終了時間Tend_j_iと同じ時間における遮蔽物50の位置PSend_j_iとを検出する(ステップS73)。
【0202】
その後、推定手段5は、j=Jであるか否かを判定する(ステップS74)。ここで、Jは、例えば、J=4である。
【0203】
ステップS74において、j=Jでないと判定されたとき、推定手段5は、j=j+1を設定する(ステップS75)。その後、一連の動作は、ステップS72へ移行し、ステップS74において、j=Jであると判定されるまでステップS72~ステップS75が繰り返し実行される。
【0204】
そして、ステップS74において、j=Jであると判定されると、一連の動作は、
図19のステップS8へ移行する。
【0205】
図20に示すフローチャートにおいては、
図19のステップS3が実行された後に、ステップS74においてj=J(=4)であると判定されるまでステップS72~ステップS75が繰り返し実行されることによって、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1(
図9の(a)に示す曲線k3参照)の4個の遮蔽状態SHL_1~SHL_4における開始時間T
start_1~T
start_4および終了時間T
end_1~T
end_4が検出され(ステップS72参照)、位置タイミングチャートPS_CHTにおいて、開始時間T
start_1~T
start_4と同じ時間における遮蔽物50の位置PS
start_1~PS
start_4と(
図10の(a)参照)、終了時間T
end_1~T
end_4と同じ時間における遮蔽物50の位置PS
end_1~PS
end_4と(
図10の(a)参照)が検出される(ステップS73参照)。
【0206】
また、
図20に示すフローチャートにおいては、
図19のステップS9が実行された後に、ステップS74においてj=J(=4)であると判定されるまでステップS72~ステップS75が繰り返し実行されることによって、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2(
図9の(b)に示す曲線k4参照)の4個の遮蔽状態SHL_5~SHL_8における開始時間T
start_5~T
start_8および終了時間T
end_5~T
end_8が検出され(ステップS72参照)、位置タイミングチャートPS_CHTにおいて、開始時間T
start_5~T
start_8と同じ時間における遮蔽物50の位置PS
start_5~PS
start_8と(
図10の(b)参照)、終了時間T
end_5~T
end_8と同じ時間における遮蔽物50の位置PS
end_5~PS
end_8と(
図10の(b)参照)が検出される(ステップS73参照)。
【0207】
図21は、
図19に示すフローチャートのステップS10の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0208】
図21を参照して、推定手段5は、
図19のステップS8において、i=2であると判定されると、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2であるか否かを判定する(ステップS101)。この場合、推定手段5は、端末装置30の位置を推定する推定方法を予め保持しており、予め保持している推定方法が推定方法1,3のいずれかであるとき、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2でないと判定し、予め保持している推定方法が推定方法2であるとき、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2であると判定する。
【0209】
ステップS101において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2であると判定されたとき、推定手段5は、N個の位置PSstart_1_1~PSstart_J_1,PSend_1_1~PSendt_J_1とN個の位置PSstart_1_2~PSstart_J_2,PSend_1_2~PSendt_J_2とのいずれかからなるデータ群DG1を選択する(ステップS102)。
【0210】
一方、ステップS101において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2でないと判定されたとき、推定手段5は、N個の位置PSstart_1_1~PSstart_J_1,PSend_1_1~PSendt_J_1とN個の位置PSstart_1_2~PSstart_J_2,PSend_1_2~PSendt_J_2とからなるデータ群DG2を選択する(ステップS103)。
【0211】
そして、ステップS102またはステップS103の後、一連の動作は、
図19のステップS11へ移行する。
【0212】
図21に示すフローチャートにおいては、ステップS101において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2であると判定されたとき、ステップS102において、位置(x
start_1,z
start_1)~(x
start_4,z
start_4),(x
end_1,z
end_1)~(x
end_4,z
end_4)と位置(x
start_5,z
start_5)~(x
start_8,z
start_8),(x
end_5,z
end_5)~(x
end_8,z
end_8)とのいずれかからなるデータ群DG1が選択される。これは、推定方法2においては、測定器1,2のいずれか一方の測定器(即ち、1個の測定器)を用いて端末装置30の位置が推定されるからである。
【0213】
また、
図21に示すフローチャートにおいては、ステップS101において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2でないと判定されたとき、ステップS103において、位置(x
start_1,z
start_1)~(x
start_4,z
start_4),(x
end_1,z
end_1)~(x
end_4,z
end_4)と位置(x
start_5,z
start_5)~(x
start_8,z
start_8),(x
end_5,z
end_5)~(x
end_8,z
end_8)とからなるデータ群DG2が選択される。これは、推定方法1,3においては、測定器1,2の2個の測定器を用いて端末装置30の位置が推定されるからである。
【0214】
図22は、
図19に示すステップS11の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0215】
図22を参照して、
図19のステップS10の後、推定手段5は、データ群DG1が選択されたか否かを判定する(ステップS111)。この場合、推定手段5は、
図19のステップS10において選択されたデータ群DGがN個の位置を含むとき、データ群DG1が選択されたと判定し、
図19のステップS10において選択されたデータ群DGが(2×N)個の位置を含むとき、データ群DG1が選択されなかったと判定する。
【0216】
ステップS111において、データ群DG1が選択されたと判定されたとき、推定手段5は、上述した方法によって、データ群DG1に含まれるN個の位置P1~PNをN個の位置P’1~P’Nに補正する(ステップS112)。
【0217】
そして、推定手段5は、N個の位置P’1~P’Nを楕円でフィッティングして方向θおよび最短距離dを取得する(ステップS113)。
【0218】
そうすると、推定手段5は、N個の位置P1~PNの元になった受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT(受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2のいずか)を測定した測定器(測定器1,2のいずれか)の位置から方向θに最短距離dだけ離れた位置を端末装置30の位置と推定する(ステップS114)。
【0219】
一方、ステップS111において、データ群DG1が選択されなかったと判定されたとき、推定手段5は、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法1であるかを判定する(ステップS115)。なお、ステップS115において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法1であるかを判定する方法は、
図21のステップS101において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法2であるか否かを判定する方法と同じである。
【0220】
ステップS115において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法1であると判定されたとき、推定手段5は、i=1を設定する(ステップS116)。
【0221】
そして、推定手段5は、データ群DG2に含まれるN個の位置P1_i~PN_iを楕円でフィッティングして方向θiを取得する(ステップS117)。
【0222】
その後、推定手段5は、i=2であるか否かを判定する(ステップS118)。
【0223】
ステップS118において、i=2でないと判定されたとき、推定手段5は、i=i+1を設定する(ステップS119)。その後、一連の動作は、ステップS117へ移行し、ステップS118において、i=2であると判定されるまで、ステップS117~S119が繰り返し実行される。
【0224】
そして、ステップS118において、i=2であると判定されると、推定手段5は、tan(θ1)を傾きとする直線とtan(θ2)を傾きとする直線との交点の位置を端末装置30の位置と推定する(ステップS120)。
【0225】
一方、ステップS115において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法1でないと判定されたとき、推定手段5は、i=1を設定する(ステップS121)。
【0226】
そして、推定手段5は、上述した方法によって、データ群DG2に含まれるN個の位置P1_i~PN_iをN個の位置P’1_i~P’N_iに補正する(ステップS122)。
【0227】
そうすると、推定手段5は、N個の位置P’1_i~P’N_iを楕円でフィッティングして方向θ’iを取得する(ステップS123)。
【0228】
その後、推定手段5は、i=2であるか否かを判定する(ステップS124)。
【0229】
ステップS124において、i=2でないと判定されたとき、推定手段5は、i=i+1を設定する(ステップS125)。その後、一連の動作は、ステップS122へ移行し、ステップS124において、i=2であると判定されるまで、ステップS122~S125が繰り返し実行される。
【0230】
そして、ステップS124において、i=2であると判定されると、推定手段5は、tan(θ’1)を傾きとする直線とtan(θ’2)を傾きとする直線との交点の位置を端末装置30の位置と推定する(ステップS126)。
【0231】
そうすると、ステップS114、ステップS120およびステップS126のいずれかの後、一連の動作は、
図19の“終了”へ移行する。
【0232】
図22に示すフローチャートにおいては、ステップS112~ステップS114は、上述した推定方法2によって端末装置30の位置を推定するステップであり、ステップS116~ステップS120は、上述した推定方法1によって端末装置30の位置を推定するステップであり、ステップS122~ステップS126は、上述した推定方法3によって端末装置30の位置を推定するステップである。
【0233】
また、
図22に示すフローチャートにおいては、ステップS111においてデータ群DG1が選択されたとき、推定方法2が実行されるのは、データ群DG1がN個の位置P
1~P
Nを含むからである(
図21のステップS102参照)。
【0234】
更に、
図22に示すフローチャートにおいては、ステップS115において、端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法1であるか否かが判定されるのは、ステップS111において、データ群DG1が選択されなかったと判定されたので、データ群DG2が選択されたことになり、データ群DG2は、N個の位置P
1_1~P
N_1(=N個の位置PS
start_1_1~PS
start_J_1,PS
end_1_1~PS
endt_J_1)とN個の位置P
1_2~P
N_2(=N個の位置PS
start_1_2~PS
start_J_2,PS
end_1_2~PS
endt_J_2)とを含み(
図21のステップS103参照)、N個の位置P
1_1~P
N_1とN個の位置P
1_2~P
N_2とを用いて端末装置30の位置を推定する推定方法が推定方法1,3であるので、推定方法1と推定方法3とを識別する必要があるからである。
【0235】
図19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)のステップS6は、遮蔽状態を判定するステップであり、教師無し学習によってクラスタリングするステップである。
【0236】
また、19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)のステップS8において、i=2であるか否かを判定するのは、ステップS4~ステップS7が2個の測定器M_1,M_2によって測定された2個の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2の各々に基づいて実行されるからである。
【0237】
更に、
図19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)においては、カットオフ周波数f
OFF_1以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1に基づいてクラスタリングされた遮蔽状態の個数は、カットオフ周波数f
OFF_2以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2に基づいてクラスタリングされた遮蔽状態の個数と同じJ個であるとしているが(ステップS7参照)、この発明の実施の形態においては、これに限らず、カットオフ周波数f
OFF_1以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1に基づいてクラスタリングされた遮蔽状態の個数Jは、カットオフ周波数f
OFF_2以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2に基づいてクラスタリングされた遮蔽状態の個数J’と異なっていてもよい。この場合、ステップS10における位置PS
start_1_1~PS
start_J_1,PS
end_1_1~PS
end_J_1の個数は、位置PS
start_1_2~PS
start_J’_2,PS
end_1_2~PS
end_J’_2の個数と異なる。
【0238】
更に、
図19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)においては、Jを1以上の整数としているのは、1個の測定器M_1によって測定された受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1に基づいて少なくとも1つの遮蔽状態SHLを検出すれば、楕円によってフィッティングされる位置の個数が2個以上になり、楕円によるフィッティングが可能であるからである。
【0239】
更に、
図19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)に従って推定した端末装置30の位置の誤差は、0.47m~0.69mであるので、
図19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)に従って精度良く端末装置30の位置を推定できることが分かった。
【0240】
図19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)によれば、1個または2個の測定器によって測定された受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHTに基づいて端末装置30の位置を推定するので、3個未満の測定器を用いて端末装置30の位置を推定できる。
【0241】
なお、この発明の実施の形態においては、処理手段4および推定手段5の動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、位置推定装置10は、測定器1,2と、カメラ3と、パーソナルコンピュータPCとを備える。パーソナルコンピュータPCは、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。
【0242】
ROMは、
図19に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)のステップS3~ステップS11を備えるプログラムProg_Aを記憶する。RAMは、カットオフ周波数f
OFF_1,f
OFF_2、カットオフ周波数f
OFF_1以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1、カットオフ周波数f
OFF_2以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2、および直線L1,L2を一時的に記憶する。
【0243】
そして、CPUは、測定器1,2からそれぞれ受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を受け、カメラ3から位置タイミングチャートPS_CHTを受ける。そして、CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出して実行し、測定器1,2がそれぞれ測定した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2とカメラ3が検出した位置タイミングチャートPS_CHTとに基づいて端末装置30の位置を推定する。
【0244】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行して、測定器1,2がそれぞれ測定した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2とカメラ3が検出した位置タイミングチャートPS_CHTとに基づいて端末装置30の位置を推定する。
【0245】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0246】
上記においては、k-means法によって遮蔽状態SHLと非遮蔽状態UNSHLとを分類すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、内的結合(internal cohesion)と外的分離(external isolation)とが達成されるような部分集合に分類対象の集合を分割する方法であるクラスタリング手法を用いて遮蔽状態SHLと非遮蔽状態UNSHLとを分類してもよく、遮蔽状態の受信信号強度RSSIの減衰パターンを用いたパターンマッチングによって遮蔽状態SHLと非遮蔽状態UNSHLとを分類してもよい。
【0247】
クラスタリング手法には、上述したk-means法の他に、最短距離法(nearest neighbor method)、最長距離法(furthest neighbor method)、群平均法(group average method)およびウォード法(Ward’s method)等がある。
【0248】
また、パターンマッチングによって遮蔽状態SHLと非遮蔽状態UNSHLとを分類する場合、遮蔽状態の受信信号強度RSSIの減衰パターンを予め検出しておき、上述した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2において、予め検出した受信信号強度RSSIの減衰パターンにマッチングする受信信号強度の減衰パターンと、予め検出した受信信号強度RSSIの減衰パターンにマッチングしない受信信号強度の減衰パターンとを検出することによって遮蔽状態SHLと非遮蔽状態UNSHLとを分類する。
【0249】
[実施の形態2]
図23は、実施の形態2による位置推定装置の概略図である。
図23を参照して、実施の形態2による位置推定装置10Aは、
図1に示す位置推定装置10に遮蔽/非遮蔽装置6を追加し、推定手段5を推定手段5Aに変えたものであり、その他は、位置推定装置10と同じである。
【0250】
推定手段5Aは、遮蔽/非遮蔽装置6を駆動する。推定手段5Aは、その他、推定手段5と同じ機能を実行する。
【0251】
遮蔽/非遮蔽装置6は、推定手段5Aによって駆動されると、端末装置30と測定器1,2との間で移動しながら端末装置30から送信された電波を遮蔽および透過(非遮蔽)する。
【0252】
図24は、
図23に示す遮蔽/非遮蔽装置6の概略図である。
図24を参照して、遮蔽/非遮蔽装置6は、本体部61と、支持部材62と、制御装置63と、電源64と、モータ65と、駆動装置66と、車輪67,68と、遮蔽部材69とを備える。
【0253】
制御装置63、電源64、モータ65および駆動装置66は、本体部61に内蔵される。遮蔽部材69は、支持部材62によって本体部61に固定される。
【0254】
制御装置63は、推定手段5Aから駆動信号を受けると、モータ65に電力を供給するように電源64を制御する。また、制御装置63は、所定の回転数で駆動輪(車輪67)を回転させるようにモータ65を制御する。即ち、制御装置63は、遮蔽/非遮蔽装置6の移動速度を制御する。更に、制御装置63は、遮蔽/非遮蔽装置6が前進または後進するように回転方向を切り替えるようにモータ65を制御する。更に、制御装置63は、遮蔽/非遮蔽装置6が進行方向に対して右方向または左方向に移動するように駆動輪(車輪67)の方向を変えるための制御信号を駆動装置66へ出力する。
【0255】
電源64は、充電可能な電池からなり、制御装置63からの制御に従って電力をモータ65に供給する。
【0256】
モータ65は、電源64から電力を受け、制御装置63からの制御に従って駆動輪(車輪67)を回転させるための動力を駆動装置66に供給する。
【0257】
駆動装置66は、モータ65から動力を受け、その受けた動力によって遮蔽/非遮蔽装置6が前進または後進するように駆動輪(車輪67)を回転する。また、駆動装置66は、制御装置63からの制御信号に従って駆動輪(車輪67)の方向を変える。
【0258】
図24においては、A方向から見た遮蔽部材69の平面図が図示されている。遮蔽部材69は、円形の平面形状を有し、遮蔽部691と、軸部材692とを含む。遮蔽部691は、軸部材692の外周側に配置される。遮蔽部691は、端末装置30から送信された電波を遮蔽する。そして、遮蔽部691は、電波を遮蔽できるものであれば、どのような材料からなっていてもよく、例えば、金属からなる。軸部材692は、支持部材62の一方端に連結される。
【0259】
駆動装置66には、遮蔽/非遮蔽装置6が移動する範囲が予め設定されている。即ち、駆動装置66には、x-z平面において、x軸方向へ移動可能な範囲とz軸方向へ移動可能な範囲とが予め設定されている。
【0260】
駆動装置66は、駆動輪(車輪67)の回転速度および向きを検知し、その検知した回転速度および向きに基づいて遮蔽/非遮蔽装置6が移動したx軸方向の距離およびz軸方向の距離を算出する。そして、駆動装置66は、算出したx軸方向の距離が予め設定されたx軸方向へ移動可能な範囲内になり、算出したz軸方向の距離が予め設定されたz軸方向へ移動可能な範囲内になるように駆動輪(車輪67)を駆動する。
【0261】
位置推定装置10Aにおいては、測定器1,2は、端末装置30から送信された電波を遮蔽/非遮蔽装置6の遮蔽部材69を介して受信し、それぞれ、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を測定する。
【0262】
また、位置推定装置10Aにおいては、カメラ3は、3次元座標からなる遮蔽/非遮蔽装置6の位置の経過時間依存性を示す位置タイミングチャートPS_CHTを検出する。
【0263】
図25は、
図23に示す位置推定装置10Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0264】
図25に示すフローチャートは、
図19に示すフローチャートにステップS20を追加し、ステップS2をステップS2Aに変えたものであり、その他は、
図19に示すフローチャートと同じである。その結果、
図25に示すフローチャートのステップS7の詳細な動作は、
図20に示すフローチャートに従って実行され、
図25に示すフローチャートのステップS10の詳細な動作は、
図21に示すフローチャートに従って実行され、
図25に示すフローチャートのステップS11の詳細な動作は、
図22に示すフローチャートによって実行される。従って、
図25に示すフローチャートは、
図20から
図22に示すフローチャートを含む。
【0265】
図25を参照して、位置推定装置10Aの動作が開始されると、推定手段5Aは、遮蔽/非遮蔽装置6を駆動するための駆動信号を遮蔽/非遮蔽装置6の制御装置63へ出力し、遮蔽/非遮蔽装置6の制御装置63は、駆動信号を推定手段5Aから受けると、遮蔽/非遮蔽装置6を駆動する。そして、駆動装置66は、予め設定された範囲内で移動するように駆動輪(車輪67)を駆動する。その結果、遮蔽/非遮蔽装置6は、予め設定された範囲内で移動する(ステップS20)。
【0266】
その後、上述したステップS1が実行された後、端末装置30が基地局40へ電波を送信する通信環境において、測定器M_1,M_2は、移動する遮蔽/非遮蔽装置6を介して、それぞれ、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を測定する(ステップS2A)。
【0267】
ステップS2Aの後、上述したステップS3~ステップS11が順次実行され、推定手段5Aは、上述した方法によって、端末装置30の位置を推定する。これによって、位置推定装置10Aの動作が終了する。
【0268】
図25に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)によれば、遮蔽/非遮蔽装置6の移動速度を制御できるので、端末装置30から送信された電波を遮蔽するときの遮蔽/非遮蔽装置6のx軸方向への移動速度を端末装置30から送信された電波を遮蔽しないときの遮蔽/非遮蔽装置6のx軸方向への移動速度よりも低速に制御することによって受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2において受信信号強度RSSIが減衰する領域の経過時間がより長くなり、受信信号強度RSSIが減衰する領域におけるより多くの点(各点は、経過時間および受信信号強度RSSIからなる。)をk-menas法によって遮蔽状態SHLに分類できる。その結果、遮蔽状態SHLの開始時間T
startおよび終了時間T
endをより正確に決定でき、最終的に端末装置30の位置をより正確に推定できる。
【0269】
なお、この発明の実施の形態においては、処理手段4および推定手段5Aの動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、位置推定装置10Aは、測定器1,2と、カメラ3と、遮蔽/非遮蔽装置6と、パーソナルコンピュータPCとを備える。パーソナルコンピュータPCは、CPUと、ROMと、RAMとを備える。
【0270】
ROMは、
図25に示すフローチャート(
図20から
図22に示すフローチャートを含む。)のステップS3~ステップS11を備えるプログラムProg_Aを記憶する。RAMは、カットオフ周波数f
OFF_1,f
OFF_2、カットオフ周波数f
OFF_1以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1、カットオフ周波数f
OFF_2以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2、および直線L1,L2を一時的に記憶する。
【0271】
そして、CPUは、測定器1,2からそれぞれ受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を受け、カメラ3から位置タイミングチャートPS_CHTを受ける。そして、CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出して実行し、測定器1,2がそれぞれ測定した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2とカメラ3が検出した位置タイミングチャートPS_CHTとに基づいて端末装置30の位置を推定する。
【0272】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行して、測定器1,2がそれぞれ測定した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2とカメラ3が検出した位置タイミングチャートPS_CHTとに基づいて端末装置30の位置を推定する。
【0273】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0274】
図26は、実施の形態2による別の位置推定装置の概略図である。実施の形態2による位置推定装置は、
図26に示す位置推定装置10Bであってもよい。
【0275】
図26を参照して、位置推定装置10Bは、
図23に示す位置推定装置10Aの推定手段5Aを推定手段5Bに変え、遮蔽/非遮蔽装置6を遮蔽/非遮蔽装置6Aに変えたものであり、その他は、
図23に示す位置推定装置10Aと同じである。
【0276】
推定手段5Bは、遮蔽/非遮蔽装置6Aを駆動する。推定手段5Bは、カットオフ周波数fOFF_1以上の周波数成分を除去した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1とカットオフ周波数fOFF_2以上の周波数成分を除去した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2とを処理手段4から受ける。また、推定手段5Bは、位置タイミングチャートPS_CHTをカメラ3から受ける。
【0277】
そして、推定手段5Bは、カットオフ周波数以上の周波数成分を除去した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2および位置タイミングチャートPS_CHTに基づいて、後述する方法によって、端末装置30の位置を推定する。
【0278】
なお、推定手段5Bは、測定器1の位置(x1,z1)および測定器2の位置(x2,z2)を予め保持している。
【0279】
遮蔽/非遮蔽装置6Aは、推定手段5Bによって駆動されると、端末装置30と測定器1,2との間でx軸方向に移動しながらz軸方向に往復運動を行い、端末装置30から送信された電波を遮蔽および透過(非遮蔽)する。
【0280】
図27は、
図26に示す遮蔽/非遮蔽装置6Aの概略図である。
図27を参照して、遮蔽/非遮蔽装置6Aは、
図24に示す遮蔽/非遮蔽装置6にモータ75を追加し、
図24に示す遮蔽/非遮蔽装置6の制御装置63を制御装置63Aに変え、遮蔽部材69を遮蔽/非遮蔽部材76に変え、支持部材62を支持部材72に変えたものであり、その他は、遮蔽/非遮蔽装置6と同じである。
【0281】
支持部材72は、モータ75を本体部61に固定する。遮蔽/非遮蔽部材76は、モータ75の軸751の一方端に連結される。
【0282】
制御装置63Aは、モータ75にも電力を供給するように電源64を制御する。また、制御装置63Aは、軸751を所定の回転数で回転するようにモータ75を制御する。更に、制御装置63Aは、遮蔽/非遮蔽装置6Aをx軸方向に移動しながらz軸方向において往復するように駆動装置66を制御する。制御装置63Aは、その他、制御装置63と同じ機能を果たす。
【0283】
モータ75は、制御装置63Aからの制御に従って軸751を所定の回転数で回転する。
【0284】
遮蔽/非遮蔽部材76は、カバー部材76-1と、回転部材76-3とを備える。カバー部材76-1は、図示しない支持部材によって本体部61に固定される。回転部材76-3は、カバー部材76-1の内部に配置される。
【0285】
回転部材76-3は、軸部材781と、遮蔽部材782と、遮蔽/非遮蔽部材783とを備える。
【0286】
軸部材781は、モータ75の軸751の一方端に連結される。遮蔽部材782は、軸部材781の外周側に配置される。遮蔽/非遮蔽部材783は、遮蔽部材782の外周側に配置される。
【0287】
図28は、
図27に示すカバー部材76-1の平面図である。
図28の(a)は、
図27に示すA方向から見たカバー部材76-1の平面図を示し、
図28の(b)は、
図27に示すモータ75側から見たカバー部材76-1の平面図を示す。
【0288】
図28の(a)を参照して、カバー部材76-1は、円形の平面形状を有し、開口部762と、遮蔽部763とを有する。2つの開口部762および2つの遮蔽部763の各々は、扇形の平面形状を有する。2つの開口部762は、水平方向に沿って配置され、2つの遮蔽部763は、垂直方向に沿って配置される。そして、2つの開口部762は、カバー部材76-1の円周方向において、2つの遮蔽部763と交互に配置される。
【0289】
図28の(b)を参照して、カバー部材76-1は、モータ75側において、開口部764と、支持部765とを有する。4個の開口部764の各々は、扇形の平面形状をする。4個の開口部764のうち、2個の開口部764は、水平方向に沿って配置され、残りの2個の開口部764は、垂直方向に沿って配置される。
【0290】
そして、各支持部765は、カバー部材76-1の円周方向において隣接する2つの開口部764間に配置される。
【0291】
図29は、
図27に示す回転部材76-3の平面図である。
図29を参照して、回転部材76-3の遮蔽/非遮蔽部材783は、遮蔽部783-1~783-4と非遮蔽部783-5~783-8とを備える。
【0292】
遮蔽部783-1~783-4および非遮蔽部783-5~783-8の各々は、扇形の平面形状を有する。遮蔽部783-1~783-4および非遮蔽部783-5~783-8は、円弧の長さが相互に同じである。そして、遮蔽部783-1~783-4および非遮蔽部783-5~783-8の各々は、円弧の長さがカバー部材76-1の開口部762(
図28の(a)参照)の円弧の長さよりも短い。
【0293】
遮蔽部783-1~783-4は、回転部材76-3の円周方向において非遮蔽部783-5~783-8と交互に配置される。
【0294】
遮蔽部783-1~783-4の各々は、例えば、金属からなる。非遮蔽部783-5~783-8の各々は、貫通孔からなる。
【0295】
回転部材76-3の直径は、x軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との距離よりも大きい直径(例えば、2.5m)を有する。そして、回転部材76-3は、時計方向ARW1または反時計方向ARW2に回転する。
【0296】
回転部材76-3が時計方向ARW1または反時計方向ARW2に回転すると、遮蔽部材782、遮蔽部783-1~783-4および非遮蔽部783-5~783-8は、カバー部材76-1の開口部762(
図28の(a)参照)を通過する。
【0297】
その結果、遮蔽部材782は、端末装置30から送信された電波を遮蔽し、遮蔽/非遮蔽部材783は、端末装置30から送信された電波を遮蔽部783-1~783-4によって遮蔽し、端末装置30から送信された電波を非遮蔽部783-5~783-8によって透過する。
【0298】
このように、回転部材76-3は、端末装置30から送信された電波を常に遮蔽する遮蔽部材782と、端末装置30から送信された電波を遮蔽および透過(非遮蔽)する遮蔽/非遮蔽部材783とを備える。
【0299】
図30は、
図26に示す位置推定装置10Bによって端末装置30の位置を推定する方法を説明するための図である。
【0300】
図30においては、x軸方向における端末装置30の位置が測定器1の位置と測定器2の位置との中点である場合について端末装置30の位置を推定する方法を説明する。
【0301】
図30を参照して、遮蔽/非遮蔽装置6Aの回転部材76-3は、軸部材781の中心がx軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との中点を通過するように配置される。そして、遮蔽/非遮蔽装置6Aは、z軸方向に移動する。また、x軸方向における測定器1と測定器2との距離は、vであり、回転部材76-3の遮蔽部材782の半径は、aである。距離vは、測定器1の位置と測定器2の位置とに基づいて算出可能であるので、既知である。また、遮蔽部材782の半径aは、例えば、0.5mに設定され、既知である。
【0302】
回転部材76-3が位置zr1に存在するとき、端末装置30から送信された電波は、回転部材76-3の遮蔽/非遮蔽部材783の非遮蔽部(非遮蔽部783-5~783-8のうちのいずれか2つ)を透過してそれぞれ測定器1,2に直接入射可能である。
【0303】
また、回転部材76-3が位置zr2に存在するとき、端末装置30から測定器1,2に直接入射する電波は、遮蔽部材782によって遮蔽され始める。
【0304】
更に、回転部材76-3が位置zr3に存在するとき、端末装置30から測定器1,2に直接入射する電波は、遮蔽部材782によって遮蔽される。
【0305】
その結果、測定器1,2で電波を受信したときの受信信号強度RSSIは、回転部材76-3が位置zr1から端末装置30側に移動するに伴って低下する。
【0306】
回転部材76-3が位置zr2に存在するとき、端末装置30、回転部材76-3の点Aおよび測定器1(点C)は、1つの直線上に存在し、端末装置30、回転部材76-3の点Dおよび測定器2(点E)は、1つの直線上に存在する。
【0307】
そして、点Aのx座標と同じx座標を有する点Bを設定すると、△ABCは、直角三角形になる。同様に、点Dのx座標と同じx座標を有する点Fを設定すると、△DEFは、直角三角形になる。
【0308】
そうすると、点Bと点Cとの距離および点Eと点Fとの距離は、v/2-aによって表される。また、点Aと点Bとの距離は、dS1であり、点Dと点Fとの距離は、dS2(=dS1)である。そして、dS1,dS2は、それぞれ、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2と、カメラ3によって検出される回転部材76-3の位置の経過時間依存性を示す位置タイミングチャートPS_CHTとに基づいて検出される。
【0309】
従って、∠CABは、θS1と同じであり、端末装置30の位置を点Sで表すと、tan(θS1)は、点Sと点Cとを結ぶ直線の傾きの逆数を表し、点Sと点Cとを結ぶ直線の傾きは、負の値になるので、次式が成り立つ。
【0310】
【0311】
また、∠EDFは、θS2と同じであり、tan(θS2)は、点Sと点Eとを結ぶ直線の傾きの逆数を表し、点Sと点Eとを結ぶ直線の傾きは、正の値になるので、次式が成り立つ。
【0312】
【0313】
θS1は、端末装置30からの電波が測定器1に直接入射するときのz軸方向と電波の入射方向との成す角度を表し、θS2は、端末装置30からの電波が測定器2に直接入射するときのz軸方向と電波の入射方向との成す角度を表す。
【0314】
式(12)におけるvは、x軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との距離であり、既知である。また、aは、遮蔽部材782の半径であり、既知である。更に、点Aの位置および点Dの位置は、カメラ3によって検出される位置タイミングチャートPS_CHTから求めることができるので、dS1,dS2は、既知である。従って、推定手段5Bは、式(12),(13)によってそれぞれθS1,θS2を算出することができる。
【0315】
[推定方法4]
推定手段5Bは、θS1,θS2を算出すると、次の方法によって端末装置30の位置を推定する。
【0316】
推定手段5Bは、点Aと点Bとの距離であるdS1と、点Bと点Cとの距離である(v/2-a)とを用いて、点Aと点Cとの距離dAC1を次式によって算出する。
【0317】
【0318】
そして、推定手段5Bは、点Sと点Cとの距離をdSC1と仮定する。そうすると、距離dSC1は、次式によって表される。
【0319】
【0320】
式(15)においては、式(15A)から式(15B)が得られ、式(15B)と式(14)とから式(15C)が得られる。
【0321】
式(15C)の右辺におけるv,dS1,aは、既知であるので、推定手段5Bは、v,dS1,aを式(15C)に代入して距離dSC1を算出する。なお、a=0.5mであり、v=約2mであるので、式(15C)の分母(=v-2a)は、正である。
【0322】
フレネルゾーンによれば、送信局と受信局とは、第1フレネルゾーンの外周を規定する楕円(式(5)参照)の2つの焦点に配置される。
【0323】
従って、推定手段15は、第1フレネルゾーンを用いて次のように端末装置30の位置を推定する。θS1は、式(12)に示すように負の値になるので、角度(π/2-θS1)は、実質的に、θS1の絶対値をπ/2に加算した値からなる。その結果、方向(π/2-θS1)は、x軸の正方向を0度にして、反時計回りに(π/2+|θS1|)だけ回転した方向(π/2+|θS1|)になる。従って、推定手段5Bは、測定器1の位置から方向(π/2+|θS1|)に距離dSC1だけ離れた位置を端末装置30の位置と推定する。
【0324】
推定手段5Bは、より具体的には、端末装置30の位置の座標を(x30,z30)とし、式(16A),(16B)の連立方程式を解いて座標(x30,z30)を算出する。
【0325】
【0326】
なお、推定手段5Bは、式(16A)におけるtan(π/2+|θS1|)をtan(π/2+|θS1|)=1/tan(|θS1|)=dS1/(v/2-a)によって算出する。
【0327】
また、推定手段5Bは、点Dと点Fとの距離であるdS2と、点Eと点Fとの距離である(v/2-a)とを用いて、点Dと点Eとの距離dDE1を次式によって算出する。
【0328】
【0329】
そして、推定手段5Bは、点Sと点Eとの距離をdSE1と仮定する。そうすると、距離dSE1は、次式によって表される。
【0330】
【0331】
式(18)においては、式(18A)から式(18B)が得られ、式(18B)と式(17)とから式(18C)が得られる。
【0332】
式(18C)の右辺におけるv,dS2,aは、既知であるので、推定手段5Bは、v,dS2,aを式(18C)に代入して距離dSE1を算出する。なお、式(18)においても、分母(=v-2a)は、正である。
【0333】
上述したように、送信局と受信局とは、第1フレネルゾーンの外周を規定する楕円(式(5)参照)の2つの焦点に配置されるので、推定手段5Bは、測定器2の位置から方向(π/2-θS2)に距離dSE1だけ離れた位置を端末装置30の位置として推定する。
【0334】
より具体的には、推定手段5Bは、端末装置30の位置の座標を(x’30,z’30)とし、式(19A),(19B)の連立方程式を解いて座標(x’30,z’30)を算出する。
【0335】
【0336】
なお、推定手段5Bは、式(19A)におけるtan(π/2-θS2)をtan(π/2-θS2)=dS2/(v/2-a)によって算出する。
【0337】
そして、推定手段5Bは、座標(x30,z30)と座標(x’30,z’30)との距離Δdを算出し、その算出した距離Δdがしきい値Δd_th以下であるとき、座標(x30,z30)および座標(x’30,z’30)のいずれかを端末装置30の位置と推定する。
【0338】
一方、距離Δdがしきい値Δd_thよりも大きいとき、推定手段5Bは、端末装置30の位置を推定し直す。
【0339】
なお、しきい値Δd_thは、例えば、0.5mに設定される。
【0340】
図31は、
図26に示す位置推定装置10Bによって端末装置30の位置を推定する方法を説明するための別の図である。
【0341】
図31においては、端末装置30の位置のx座標がx軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との中点と測定器1との間に存在する場合について端末装置30の位置を推定する方法について説明する。そして、
図31においては、以下に説明する方法によって端末装置30の位置を推定する場合、端末装置30と測定器1のx座標が同一にならないことを前提とする。
【0342】
回転部材76-3が位置zr1に存在するとき、端末装置30から送信された電波は、回転部材76-3の遮蔽/非遮蔽部材783の非遮蔽部(非遮蔽部783-5~783-8のうちのいずれか2つ)を透過してそれぞれ測定器1,2に直接入射可能である。
【0343】
また、回転部材76-3が位置zr4に存在するとき、端末装置30から送信された電波は、回転部材76-3の遮蔽/非遮蔽部材783の非遮蔽部(非遮蔽部783-5~783-8のうちのいずれか2つ)を透過して測定器1に直接入射可能であるが、測定器2に直接入射する電波は、遮蔽部材782によって遮蔽され始める。
【0344】
更に、回転部材76-3が位置zr5に存在するとき、端末装置30から測定器1に直接入射する電波は、遮蔽部材782によって遮蔽され始め、端末装置30から測定器2に直接入射する電波は、遮蔽部材782によって遮蔽される。
【0345】
更に、回転部材76-3が位置zr6に存在するとき、端末装置30から測定器1,2に直接入射する電波は、遮蔽部材782によって遮蔽される。
【0346】
その結果、端末装置30から測定器1,2に直接入射する電波が遮蔽部材782によって遮蔽され始めるときの回転部材76-3の位置が測定器1,2間で異なる。そして、測定器1,2で電波を受信したときの受信信号強度RSSIは、回転部材76-3が位置z1から端末装置30側に移動するに伴って低下する。
【0347】
回転部材76-3が位置zr4に存在するとき、端末装置30、回転部材76-3の点Dおよび測定器2(点E)は、1つの直線上に存在し、回転部材76-3が位置zr5に存在するとき、端末装置30、回転部材76-3の点Aおよび測定器1(点C)は、1つの直線上に存在する。
【0348】
そして、点Aのx座標と同じx座標を有する点Bを設定すると、△ABCは、直角三角形になり、点Dのx座標と同じx座標を有する点Fを設定すると、△DEFは、直角三角形になる。
【0349】
そうすると、点Bと点Cとの距離および点Eと点Fとの距離は、v/2-aによって表される。また、点Aと点Bとの距離は、dS1であり、点Dと点Fとの距離は、dS2である。そして、距離dS2は、距離dS1よりも小さい(dS1>dS2)。
【0350】
図31に示す場合においても、∠CABは、θ
S1と同じであり、tan(θ
S1)は、式(12)によって表され、∠EDFは、θ
S2と同じであり、tan(θ
S2)は、式(13)によって表される。
【0351】
従って、推定手段5Bは、式(12),(13)によってそれぞれθS1,θS2を算出することができる。
【0352】
[推定方法5]
推定手段5Bは、次の方法によって端末装置30の位置を推定する。
【0353】
図31においては、端末装置30の位置のx座標が分からないが、d
1>d
2であるので、推定手段5Bは、端末装置30の位置のx座標がx軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との中点Gと測定器1との間に存在することを検知する。
【0354】
そこで、推定手段5Bは、中点Gと測定器1との間に点H,Iを設定し、点Cと点Hとの距離をdx1と仮定し、点Eと点Iとの距離をdx2と仮定する。
【0355】
そして、推定手段5Bは、端末装置30の位置を示す点Sを設定し、△SHCおよび△SEIが直角三角形であると仮定し、△SHCにおける点Hと点Sとの距離をdz1と仮定し、△SEIにおける点Iと点Sとの距離をdz2と仮定する。
【0356】
その結果、次式が得られる。
【0357】
【0358】
式(20A)は、△ABCと△SHCとが相似であると仮定したことによって得られ、式(20B)は、△DEFと△SEIとが相似であると仮定したことによって得られる。
【0359】
式(20A)および式(20B)からそれぞれdz1,dz2を算出すると、dz1,dz2は、次式によって表される。
【0360】
【0361】
端末装置30の位置のx座標と同じx座標を有する点を点Kと仮定すると、△ABCと△SKCとが相似になり、△DEFと△SEKとが相似になる。この場合、式(21A)におけるdz1と式(21B)におけるdz2とが一致するので、式(21A)の右辺と式(21B)の右辺とが等しくなり、dx2は、dx1を用いて次式によって表わされる。
【0362】
【0363】
そして、式(20C)と式(22)とによってdx1,dx2を求めると、dx1,dx2は、次式によって表される。
【0364】
【0365】
推定手段5Bは、式(23A)によって表されるdx1を式(21A)に代入してdz1を算出し、式(23B)によって表されるdx2を式(21B)に代入してdz2を算出する。その結果、dz1,dz2は、次式によって表される。
【0366】
【0367】
式(24)に示すように、dz1は、dz2に一致する。推定手段5Bは、dz1,dz2を算出すると、dz1がdz2に一致することを確認する。
【0368】
dz1がdz2に一致するとき、dx1は、点Kと点Cとの距離を表し、dx2は、点Eと点Kとの距離を表す。
【0369】
従って、推定手段5Bは、点Sと点Cとの距離dSC2を距離dx1,dz1を用いて次式によって算出する。
【0370】
【0371】
そうすると、推定手段5Bは、推定方法4と同様にして、測定器1の位置から方向(π/2+|θS1|)に距離dSC2だけ離れた位置を端末装置30の位置として推定する。
【0372】
より具体的には、推定手段5Bは、端末装置30の位置の座標を(x30,z30)とし、式(26A),(26B)の連立方程式を解いて座標(x30,z30)を算出する。
【0373】
【0374】
なお、推定手段5Bは、式(26A)におけるtan(π/2+|θS1|)をtan(π/2+|θS1|)=1/tan(|θS1|)=-dS1/(v/2-a)によって算出する。
【0375】
また、推定手段5Bは、距離dS2、方向θS2および測定器2の位置(x2,z2)を用いて、同様にして、点Sと点Eとの距離dSE2を次式によって算出する。
【0376】
【0377】
そうすると、推定手段5Bは、推定方法4と同様にして、測定器2の位置から方向(π/2-θS2)に距離dSE2だけ離れた位置を端末装置30の位置として推定する。
【0378】
より具体的には、推定手段5Bは、端末装置30の位置の座標を(x’30,z’30)とし、式(28A),(28B)の連立方程式を解いて座標(x’30,z’30)を算出する。
【0379】
【0380】
なお、推定手段5Bは、式(28A)におけるtan(π/2-θS2)をtan(π/2-θS2)=dS2/(v/2-a)によって算出する。
【0381】
そして、推定手段5Bは、座標(x30,z30)と座標(x’30,z’30)との距離Δdを算出し、その算出した距離Δdがしきい値Δd_th以下であるとき、座標(x30,z30)および座標(x’30,z’30)のいずれかを端末装置30の位置と推定する。
【0382】
一方、距離Δdがしきい値Δd_thよりも大きいとき、推定手段5Bは、端末装置30の位置を推定し直す。
【0383】
なお、
図31は、端末装置30の位置のx座標がx軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との中点と測定器1との間に存在する場合を示すが、端末装置30の位置のx座標がx軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との中点と測定器2との間に存在する場合も、推定手段5Bは、上述した方法によって端末装置30の位置を推定できる。
【0384】
この場合、点H,Iは、x軸方向において点Fと点Gとの間に設定され、点Kは、x軸方向において点Iと点Hとの間に設定される。また、dS1<dS2となる。
【0385】
図32は、
図26に示す位置推定装置10Bによって端末装置30の位置を推定する方法を説明するための更に別の図である。
【0386】
図32においては、端末装置30の位置のx座標が測定器2から測定器1へ向かう方向において測定器2から見て測定器1の位置より遠い位置に存在する場合について端末装置30の位置を推定する方法を説明する。
【0387】
回転部材76-3が位置zr7に存在するとき、端末装置30から送信された電波は、回転部材76-3の遮蔽部材782によって遮蔽されずに測定器1に直接入射可能である。
【0388】
また、回転部材76-3が位置zr8に存在するとき、端末装置30から測定器1に直接入射する電波は、回転部材76-3の遮蔽部材782によって遮蔽され始める。
【0389】
更に、回転部材76-3が位置zr10に存在するとき、端末装置30から送信された電波は、回転部材76-3によって遮蔽されずに測定器2に直接入射可能である。
【0390】
更に、回転部材76-3が位置zr9に存在するとき、端末装置30から測定器2に直接入射する電波は、回転部材76-3の遮蔽部材782によって遮蔽され始める。
【0391】
その結果、測定器1で電波を直接受信したときの受信信号強度RSSI1は、回転部材76-3が位置zr7から測定器1,2側に移動するに伴って低下し、測定器2で電波を直接受信したときの受信信号強度RSSI2は、回転部材76-3が位置zr9から測定器2側に移動するに伴って大きくなる。
【0392】
回転部材76-3が位置zr8に存在するとき、端末装置30、回転部材76-3の点Aおよび測定器1(点C)は、1つの直線上に存在する。
【0393】
また、回転部材76-3が位置zr9に存在するとき、端末装置30、回転部材76-3の点Dおよび測定器2(点E)は、1つの直線上に存在する。
【0394】
そして、点Aのx座標と同じx座標を有する点Bを設定すると、△ABCは、直角三角形になり、点Dのx座標と同じx座標を有する点Fを設定すると、△DEFは、直角三角形になる。
【0395】
そうすると、点Bと点Cとの距離は、点Aのx座標xAから点Cのx座標x1を減算した距離(xA-x1)になり、点Eと点Fとの距離は、点Dのx座標xDから点Eのx座標x2を減算した距離(xD-x2)になる。点A,Dの位置は、カメラ3によって検出された位置タイミングチャートPS_CHTに基づいて決定される。
【0396】
従って、∠CABは、θ
S1と同じであり、tan(θ
S1)は、点Sと点Cと結ぶ直線の傾きの逆数を表し、点Sと点Cと結ぶ直線の傾きは、(π/2-θ
S1)となり、正の値からなるので、次式が成り立つ。
図32においては、x
A>x
1であるので、式(29)の右辺は、正の値になる。
【0397】
【0398】
また、∠EDFは、θS2と同じであり、tan(θS2)は、次式によって表される。
【0399】
【0400】
従って、推定手段5Bは、式(29),(30)によってそれぞれθS1,θS2を算出することができる。
【0401】
[推定方法6]
推定手段5Bは、θS1,θS2を算出すると、次の方法によって端末装置30の位置を推定する。
【0402】
図32においては、端末装置30の位置のx座標が分からないが、d
S1>d
S2であり、回転部材76-3が位置z
r8から測定器1,2側に移動するに伴って測定器1で測定した受信信号強度RSSI1が低下した状態を維持するので、推定手段5Bは、端末装置30の位置のx座標がx軸方向において測定器1の位置よりも遠い位置に存在することを検知する。
【0403】
そこで、推定手段5Bは、測定器1からの距離が点Bよりも長くなる点M,Nを設定し、点Cと点Mとの距離をdx3とし、点Eと点Nとの距離をdx4とする。
【0404】
そして、推定手段5Bは、端末装置30の位置を示す点Sを設定し、△SCMおよび△SENが直角三角形であると仮定し、△SCMにおける点Mと点Sとの距離をdz3と仮定し、△SENにおける点Nと点Sとの距離をdz4と仮定する。
【0405】
その結果、次式が得られる。
【0406】
【0407】
式(31A)は、△ACBと△SCMとが相似であると仮定したことによって得られ、式(31B)は、△DEFと△SENとが相似であると仮定したことによって得られる。
【0408】
式(31A)および式(31B)からそれぞれdz3,dz4を算出すると、dz3,dz4は、次式によって表される。
【0409】
【0410】
端末装置30の位置のx座標と同じx座標を有する点Pを仮定すると、△ACBと△SCPとが相似になり、△DEFと△SEPとが相似になる。この場合、式(32A)におけるdz3と式(32B)におけるdz4とが一致するので、式(32A)の右辺と式(32B)の右辺とが等しくなり、dx4は、dx3を用いて次式によって表わされる。
【0411】
【0412】
式(33)において、xAは、点Aのx座標であり、xDは、点Dのx座標である。
【0413】
式(31C)と式(33)とによってdx3,dx4を求めると、dx3,dx4は、次式によって表される。
【0414】
【0415】
推定手段5Bは、式(34A)によって表されるdx3を式(32A)に代入してdz3を算出し、式(34B)によって表されるdx4を式(32B)に代入してdz4を算出する。その結果、dz3,dz4は、次式によって表される。
【0416】
【0417】
式(35)に示すように、dz3は、dz4に一致する。推定手段5Bは、dz3,dz4を算出すると、dz3がdz4に一致することを確認する。
【0418】
dz3がdz4に一致するとき、dx3は、点Pと点Cとの距離を表し、dx4は、点Eと点Pとの距離を表す。
【0419】
従って、推定手段5Bは、点Sと点Cとの距離dSC3を距離dx3,dz3を用いて次式によって算出する。
【0420】
【0421】
そうすると、推定手段5Bは、推定方法4と同様にして、測定器1の位置から方向(π/2-θS1)に距離dSC3だけ離れた位置を端末装置30の位置として推定する。
【0422】
より具体的には、推定手段5Bは、端末装置30の位置の座標を(x30,z30)とし、式(37A),(37B)の連立方程式を解いて座標(x30,z30)を算出する。
【0423】
【0424】
なお、推定手段5Bは、式(37A)におけるtan(π/2-θS1)をtan(π/2-θS1)=dS1/(xA-x1)によって算出する。
【0425】
また、推定手段5Bは、距離dS2、方向θS2および測定器2の位置(x2,z2)を用いて、同様にして、点Sと点Eとの距離dSE3を次式によって算出する。
【0426】
【0427】
そうすると、推定手段5Bは、推定方法4と同様にして、測定器2の位置から方向(π/2-θS2)に距離dSE3だけ離れた位置を端末装置30の位置として推定する。
【0428】
より具体的には、推定手段5Bは、端末装置30の位置の座標を(x’30,z’30)とし、式(39A),(39B)の連立方程式を解いて座標(x’30,z’30)を算出する。
【0429】
【0430】
なお、推定手段5Bは、式(39A)におけるtan(π/2-θS2)をtan(π/2-θS2)=dS2/(xD-x2)によって算出する。
【0431】
そして、推定手段5Bは、座標(x30,z30)と座標(x’30,z’30)との距離Δdを算出し、その算出した距離Δdがしきい値Δd_th以下であるとき、座標(x30,z30)および座標(x’30,z’30)のいずれかを端末装置30の位置と推定する。
【0432】
一方、距離Δdがしきい値Δd_thよりも大きいとき、推定手段5Bは、端末装置30の位置を推定し直す。
【0433】
なお、
図32は、端末装置30の位置のx座標が測定器2から測定器1へ向かう方向において測定器2から見て測定器1の位置より遠い位置に存在する場合を示すが、端末装置30の位置のx座標が測定器1から測定器2へ向かう方向において測定器1から見て測定器2の位置より遠い位置に存在する場合も、推定手段5Bは、上述した方法によって端末装置30の位置を推定できる。
【0434】
この場合、点Mは、測定器1から測定器2へ向かう方向において測定器1から見て点Eよりも遠い位置に設定され、点Nは、x軸方向において点Mよりも遠い位置に設定される。また、d
S2>d
S1となる。更に、
図32の点Cおよび点Eから点Sに向かう2つの直線の傾きは、負の値になる。
【0435】
図30から
図32に示すように、x軸方向における端末装置30の位置と測定器1,2の位置との関係によって、端末装置30から送信された電波が測定器1,2に直接入射するときの入射方向のz軸方向に対する角度θ
S1,θ
S2の相互の関係が異なる。
【0436】
x軸方向において、端末装置30の位置が測定器1の位置と測定器2の位置との間に存在するとき、角度θ
S1,θ
S2は、相互に独立した角度であるが(
図30および
図31参照)、x軸方向において、測定器2から見て端末装置30が測定器1よりも遠い位置に存在するとき、θ
S1は、θ
S2の一部であり、θ
S2に包含される(
図32参照)。
【0437】
従って、角度θS1,θS2の相互の関係によって、x軸方向において、端末装置30の位置と測定器1,2の位置との関係を判定することができる。
【0438】
より具体的には、2つの角度θ
S1,θ
S2が相互に独立であれば、x軸方向における端末装置30の位置は、x軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との間であると判定され、2つの角度θ
S1,θ
S2の一方が他方を包含していれば、x軸方向における端末装置30の位置は、x軸方向において、測定器1,2の一方から見て他方よりも遠い位置であると判定される。ここで、「測定器1,2の一方から見て他方よりも遠い位置」と記載しているのは、
図32に示す場合と異なり、x軸方向における端末装置30の位置が測定器1から見て測定器2よりも遠い位置である場合もあるからである。
【0439】
図33は、受信信号強度と経過時間との関係を示す図である。
図33において、縦軸は、受信信号強度RSSIを表し、横軸は、経過時間を表す。また、曲線k9は、受信信号強度RSSIと経過時間との関係を示す。なお、
図33に示す受信信号強度と経過時間との関係は、カットオフ周波数以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度と経過時間との関係を示す。
【0440】
図33を参照して、回転部材76-3が
図30に示す位置z
r2に到達すると、時刻T
start_9において、受信信号強度RSSIが低下し始め、回転部材76-3が位置z
r2から更に端末装置30側に移動すると、測定器1に直接入射する電波が遮蔽部材782によって更に遮蔽されるので、受信信号強度RSSIが更に低下しながら遮蔽/非遮蔽部材783によって電波が遮蔽および透過され、受信信号強度RSSIが上下する(曲線k9参照)。
【0441】
従って、カメラ3によって検出された位置タイミングチャートPS_CHTを参照して時刻Tstart_9における3次元座標を検出することによって回転部材76-3の点Aの位置を示す座標を取得することができる。
【0442】
図31に示す点Dの位置、
図32に示す点A,Dの位置および
図33に示す点A,Dの位置についても、同様に取得することができる。
【0443】
図34は、
図27に示す遮蔽/非遮蔽装置6Aの移動方向を示す図である。
図34を参照して、遮蔽/非遮蔽装置6Aは、矢印で示すように、x-z平面においてx軸方向に移動しながらz軸方向に往復運動を行うように移動する。
【0444】
遮蔽/非遮蔽装置6Aが
図34に示すように移動することによって、
図30から
図32に示す点A,Dの位置を検出することができると共に、
図30および
図31に示す端末装置30の位置と
図32に示す端末装置30の位置との違いを識別できる。
【0445】
位置推定装置10Bにおける遮蔽/非遮蔽装置6Aの駆動装置66は、遮蔽/非遮蔽装置6Aがx軸方向に移動する範囲と遮蔽/非遮蔽装置6Aがz軸方向に移動する範囲とを予め保持しており、遮蔽/非遮蔽装置6Aがx-z平面においてx軸方向に移動しながらz軸方向に往復運動を行うように駆動輪(車輪67)を駆動する。この場合、駆動装置66は、駆動輪(車輪67)の回転速度と駆動輪(車輪67)の方向と遮蔽/非遮蔽装置6Aの走行時間とによって、遮蔽/非遮蔽装置6Aがx軸方向またはz軸方向に移動した距離を検出し、x軸方向の移動距離が予め設定されたx軸方向に移動する範囲内になり、z軸方向の移動距離が予め設定されたz軸方向に移動する範囲内になるように駆動輪(車輪67)を駆動する。
【0446】
図35は、
図26に示す位置推定装置10Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0447】
図35に示すフローチャートは、
図25に示すフローチャートのステップS6,S7をステップS21,S22に変え、
図25に示すフローチャートのステップS10,S11をステップS23~ステップS28に変えたものであり、その他は、
図25に示すフローチャートと同じである。
【0448】
図35を参照して、位置推定装置10Bの動作が開始されると、上述したステップS20,S1,S2A,S3~S5が順次実行される。
【0449】
そして、ステップS5の後、推定手段5Bは、位置タイミングチャートPS_CHTおよびローパスフィルタLPF_iによって処理した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_iに基づいて、測定器M_iに直接入射する電波が遮蔽部材782によって遮蔽され始めるときのz軸方向における遮蔽部材782の最外周の位置と測定器M_iの位置との距離dSiを検出する(ステップS21)。
【0450】
その後、推定手段5Bは、電波が測定器M_iに直接入射するときのz軸方向に対する電波の入射方向θSiを距離dSiを用いて算出する(ステップS22)。
【0451】
ステップS22の後、上述したステップS8が実行され、ステップS8において、i=2でないと判定されたとき、上述したステップS9が実行され、一連の動作は、ステップS4へ移行する。
【0452】
その後、ステップS8において、i=2であると判定されるまで、ステップS4,S5,S21,S22,S8,S9が繰り返し実行される。
【0453】
そして、ステップS8において、i=2であると判定されると、推定手段5Bは、θS1,θS2の一方が他方を包含するか否かを判定する(ステップS23)。
【0454】
ステップS23において、θS1,θS2の一方が他方を包含しないと判定されたとき、推定手段5Bは、dS1=dS2であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0455】
ステップS24において、dS1=dS2であると判定されたとき、推定手段5Bは、式(14),(15),(17),(18)を用いて第1フレネルゾーンを表す楕円の2つの焦点間の最短距離dSD_1,dSD_2を算出する(ステップS25)。
【0456】
一方、ステップS24において、dS1=dS2でないと判定されたとき、推定手段5Bは、式(20)~(25),(27)を用いて第1フレネルゾーンを表す楕円の2つの焦点間の最短距離dSD_1,dSD_2を算出する(ステップS26)。
【0457】
また、ステップS23において、θS1,θS2の一方が他方を包含すると判定されたとき、推定手段5Bは、式(29)~(36),(38)を用いて第1フレネルゾーンを表す楕円の2つの焦点間の最短距離dSD_1,dSD_2を算出する(ステップS27)。
【0458】
そして、ステップS25,S26,S27のいずれかの後、推定手段5Bは、最短距離dSD_1および方向(π/2+|θS1|)(または方向(π/2-θS1))に基づいて端末装置30の位置を推定し、最短距離dSD_2および方向(π/2-θS2)に基づいて端末装置30の位置を推定する(ステップS28)。これによって、位置推定装置10Bの動作が終了する。
【0459】
図35に示すフローチャートにおいては、ステップS4,S5,S21,S22が1回目に実行されると、距離d
S1(点Aと点Bとの距離)および電波の入射方向θ
S1が求められる。
【0460】
そして、ステップS4,S5,S21,S22が2回目に実行されると、距離dS2(点Dと点Fとの距離)および電波の入射方向θS2が求められる。
【0461】
そして、電波の2つの入射方向θS1,θS2の相互の関係および距離dS1,dS2の相互の関係に応じて、異なる式を用いて楕円の2つの焦点間の最短距離dSD_1,dSD_2を算出し、その算出した最短距離dSD_1,dSD_2を用いて端末装置30の位置を推定する(ステップS25~S28参照)。
【0462】
従って、2つの測定器1,2を用いて端末装置30の位置を推定できる。
【0463】
図36は、
図35に示すステップS25の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0464】
図36を参照して、
図35のステップS24において、d
1=d
2であると判定されたとき、推定手段5Bは、i=1を設定する(ステップS251)。そして、推定手段5Bは、測定器M_iに直接入射する電波が遮蔽部材782によって遮蔽され始めるときの遮蔽部材782の最外周の位置P
SOUT_iと測定器M_iの位置との距離d
HYP_iを算出する(ステップS252)。
【0465】
そして、推定手段5Bは、x軸方向における2つの測定器の中点MPと測定器M_iの位置との距離v/2を算出する(ステップS253)。
【0466】
その後、推定手段5Bは、x軸方向における最外周の位置PSOUT_iと測定器M_iの位置との距離v/2-aを算出する(ステップS254)。
【0467】
そうすると、推定手段5Bは、楕円の2つの焦点間の最短距離dSD_iと距離dHYP_iとの比が距離v/2と距離v/2-aとの比に等しいことを用いて最短距離dSD_iを算出する(ステップS255)。
【0468】
そして、推定手段5Bは、i=2であるか否かを判定する(ステップS256)。
【0469】
ステップS256において、i=2でないと判定されたとき、推定手段5Bは、i=i+1を設定する(ステップS257)。その後、一連の動作は、ステップS252へ移行し、ステップS256において、i=2であると判定されるまで、ステップS252~ステップS257が繰り返し実行される。
【0470】
そして、ステップS256において、i=2であると判定されると、一連の動作は、
図35のステップS28へ移行する。
【0471】
図36に示すフローチャートにおいて、位置P
SOUT_iは、
図30に示す点Aまたは点Dの位置からなり、距離d
HYP_iは、
図30に示す距離d
S1または距離d
S2からなり、最短距離d
SD_iは、式(15C)に示すd
SC1または式(18C)に示すd
SE1からなる。
【0472】
図37は、
図35に示すステップS26の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0473】
図37を参照して、
図35のステップS24において、d
1=d
2でないと判定されたとき、推定手段5Bは、x軸方向における測定器1の位置と測定器2の位置との中点MPよりも測定器1側または測定器2側に第1の点Point_1および第2の点Point_2を設定する(ステップS261)。
【0474】
そして、推定手段5Bは、x軸方向において、測定器1の位置と第1の点Point_1との距離をdx1と仮定し、測定器2の位置と第2の点Point_2との距離をdx2と仮定する(ステップS262)。
【0475】
その後、推定手段5Bは、i=1を設定し(ステップS263)、端末装置30から測定器M_iに直接入射する電波が遮蔽部材782によって遮蔽され始めるときのx軸方向における遮蔽部材782と測定器M_iとの距離dDown_iを遮蔽部材782の半径aを用いて算出する(ステップS264)。
【0476】
そして、推定手段5Bは、測定器M_iの位置、点Point_i、および仮定した端末装置30の位置によって直角三角形が形成されると仮定し、その仮定した直角三角形において、仮定した端末装置30の位置と点Point_iとの距離をdziと仮定する(ステップS265)。
【0477】
そうすると、推定手段5Bは、i=2であるか否かを判定する(ステップS266)。
【0478】
ステップS266において、i=2でないと判定されたとき、推定手段5Bは、i=i+1を設定する(ステップS267)。その後、一連の動作は、ステップS264へ移行し、ステップS266において、i=2であると判定されるまで、ステップS264~ステップS267が繰り返し実行される。
【0479】
そして、ステップS266において、i=2であると判定されると、推定手段5Bは、距離dDown_1と距離dx1との比が距離dS1と距離dz1との比に等しく、距離dDown_2と距離dx2との比が距離dS2と距離dz2との比に等しく、距離dz1が距離dz2に等しいことを用いて距離dx1,dx2,dz1,dz2を算出する(ステップS268)。この場合、推定手段5Bは、式(22)の右辺を式(20C)のdx2に代入してdx1を算出し、その算出したdx1を式(22)のdx1に代入してdx2を算出し、算出したdx1を式(21A)のdx1に代入してdz1を算出し、算出したdx2を式(21B)のdx2に代入してdz2を算出する。
【0480】
その後、推定手段5Bは、仮定した端末装置30の位置と測定器1の位置との距離dSC2を距離dx1,dz1を用いて最短距離dSD_1として算出する(ステップS269)。
【0481】
そして、推定手段5Bは、仮定した端末装置30の位置と測定器2の位置との距離dSE2を距離dx2,dz2を用いて最短距離dSD_2として算出する(ステップS270)。
【0482】
ステップS270の後、一連の動作は、
図35のステップS28へ移行する。
【0483】
図37に示すフローチャートにおいては、距離d
Down_iは、
図31に示すx軸方向における点Aと点Cとの距離v/2-aまたは点Dと点Eとの距離v/2-aからなる。
【0484】
図38は、
図35に示すステップS27の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0485】
図38に示すフローチャートは、
図37に示すフローチャートのステップS261,S264をそれぞれステップS261A,S264Aに変えたものであり、その他は、
図37に示すフローチャートと同じである。
【0486】
図38を参照して、
図35に示すフローチャートのステップS23において、θ
S1,、θ
S2の一方が他方を包含すると判定されると、推定手段5Bは、x軸方向において、測定器1,2の一方から見て他方よりも遠い位置に第1の点Point_1および第2の点Point_2を設定する(ステップS261A)。
【0487】
そして、ステップS261Aの後、上述したステップS262~263が順次実行されると、推定手段5Bは、端末装置30から測定器M_iに直接入射する電波が遮蔽部材782によって遮蔽され始めるときのx軸方向における遮蔽部材782と測定器M_iとの距離dDown_iを遮蔽部材782の最外周の位置を用いて算出する(ステップS264A)。
【0488】
その後、上述したステップS265~ステップS270が順次実行され、ステップS270の後、一連の動作は、
図35のステップS28へ移行する。
【0489】
図38に示すフローチャートにおいては、距離d
Down_iは、
図32に示すx軸方向における点Aと点Cとの距離x
A-x
1または点Dと点Eとの距離x
D-x
2からなる。
【0490】
図39は、
図35に示すステップS28の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0491】
図39を参照して、
図35のステップS25,S26,S27のいずれかの後、推定手段5Bは、
図35のステップS25またはステップS26が実行済であるか否かを判定する(ステップS281)。
【0492】
ステップS281において、
図35のステップS25またはステップS26が実行済であると判定されたとき、推定手段5Bは、測定器1の位置から方向(π/2+|θ
S1|)に最短距離d
SD_1だけ離れた位置を示す座標(x
30,z
30)を算出する(ステップS282)。この場合、ステップS25からステップS28へ移行したとき、推定手段5Bは、式(16A)と、d
SC1に最短距離d
SD_1を代入した式(16B)との連立方程式を解くことによって座標(x
30,z
30)を算出し、ステップS26からステップS28へ移行したとき、推定手段5Bは、式(26A)と、d
SC2に最短距離d
SD_1を代入した式(26B)との連立方程式を解くことによって座標(x
30,z
30)を算出する。
【0493】
一方、ステップS281において、
図35のステップS25またはステップS26が実行済でないと判定されたとき、推定手段5Bは、測定器1の位置から方向(π/2-θ
S1)に最短距離d
SD_1だけ離れた位置を示す座標(x
30,z
30)を算出する(ステップS283)。この場合、推定手段5Bは、式(37A)と、d
SC3に最短距離d
SD_1を代入した式(37B)との連立方程式を解くことによって座標(x
30,z
30)を算出する。
【0494】
ステップS282またはステップS283の後、推定手段5Bは、測定器2の位置から方向(π/2-θS2)に最短距離dSD_2だけ離れた位置を示す座標(x’30,z’30)を算出する(ステップS284)。この場合、ステップS25からステップS28へ移行したとき、推定手段5Bは、式(19A)と、dSE1に最短距離dSD_2を代入した式(19B)との連立方程式を解くことによって座標(x’30,z’30)を算出し、ステップS26からステップS28へ移行したとき、推定手段5Bは、式(28A)と、dSE2に最短距離dSD_2を代入した式(28B)との連立方程式を解くことによって座標(x’30,z’30)を算出し、ステップS27からステップS28へ移行したとき、推定手段5Bは、式(39A)と、dSE3に最短距離dSD_2を代入した式(39B)との連立方程式を解くことによって座標(x’30,z’30)を算出する。
【0495】
そうすると、推定手段5Bは、座標(x30,z30)と座標(x’30,z’30)との距離Δdを算出し(ステップS285)、距離Δdがしきい値Δd_th以下であるか否かを判定する(ステップS286)。
【0496】
ステップS286において、距離Δdがしきい値Δd_th以下でないと判定されたとき、一連の動作は、
図35のステップS20へ移行する。
【0497】
一方、ステップS286において、距離Δdがしきい値Δd_th以下であると判定されたとき、推定手段5Bは、座標(x
30,z
30)および座標(x’
30,z’
30)のいずれかを端末装置30の位置と推定する(ステップS287)。その後、一連の動作は、
図35の“終了”へ移行する。
【0498】
図39に示すフローチャートにおいては、第1フレネルゾーンによれば、送信局および受信局は、第1フレネルゾーンを表す楕円の2つの焦点に配置されるので、測定器1が2つの焦点のうちの一方に配置され、端末装置30が測定器1の位置から方向(π/2+|θ
S1|)または方向(π/2-θ
S1)に最短距離d
SD_1だけ離れた他方の焦点に配置されることになり、測定器2が2つの焦点のうちの一方に配置され、端末装置30が測定器2の位置から方向(π/2-θ
S2)に最短距離d
SD_2だけ離れた他方の焦点に配置されることになる。従って、座標(x
30,z
30)および座標(x’
30,z’
30)は、端末装置30の位置を示すことになる。
【0499】
座標(x
30,z
30)および座標(x’
30,z’
30)は、相互に一致するはずであるが、
図30から
図32に示す距離d
S1,d
S2が正確に検出されなかったために、方向θ
S1,θ
S2および最短距離d
SD_1,d
SD_2が相互に異なることを想定して距離Δdがしきい値Δd_th以下であることを確認した上で、座標(x
30,z
30)および座標(x’
30,z’
30)のいずれかを端末装置30の位置と推定することにしたものである。
【0500】
なお、測定器1の位置から方向(π/2+|θS1|)または方向(π/2-θS1)に最短距離dSD_1だけ離れた位置を示す座標(x30,z30)を算出することは、方向(π/2+|θS1|)または方向(π/2-θS1)と、最短距離dSD_1とを第1フレネルゾーンを表す楕円でフィッティングして座標(x30,z30)を算出することに相当し、測定器2の位置から方向(π/2-θS2)に最短距離dSD_2だけ離れた位置を示す座標(x’30,z’30)を算出することは、方向(π/2-θS2)および最短距離dSD_2を第1フレネルゾーンを表す楕円でフィッティングして座標(x’30,z’30)を算出することに相当する。上述したように、測定器1および端末装置30(または測定器2および端末装置30)が第1フレネルゾーンを表す楕円の2つの焦点に配置されることを用いて座標(x30,z30)(または座標(x’30,z’30))を算出するからである。
【0501】
また、
図39に示すフローチャートにおいては、ステップS285,S286を実行せずにステップS284の後、ステップS287を実行するようにしてもよい。
【0502】
更に、
図39に示すフローチャートにおいては、ステップS282,S283とステップS284とのいずれかのみを実行し、その後、ステップS287において、座標(x
30,z
30)(または座標(x’
30,z’
30))を端末装置30の位置と推定するようにしてもよい。
【0503】
この発明の実施の形態においては、処理手段4および推定手段5Bの動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、位置推定装置10Bは、測定器1,2と、カメラ3と、遮蔽/非遮蔽装置6Aと、パーソナルコンピュータPCとを備える。パーソナルコンピュータPCは、CPUと、ROMと、RAMとを備える。
【0504】
ROMは、
図35に示すフローチャートのステップS3~ステップS5,S8,S9,S21~S28(
図36~
図39に示すフローチャートを含む。)を備えるプログラムProg_Bを記憶する。RAMは、カットオフ周波数f
OFF_1,f
OFF_2、カットオフ周波数f
OFF_1以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1、カットオフ周波数f
OFF_2以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2を一時的に記憶する。
【0505】
そして、CPUは、測定器1,2からそれぞれ受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2を受け、カメラ3から位置タイミングチャートPS_CHTを受ける。そして、CPUは、ROMからプログラムProg_Bを読み出して実行し、測定器1,2がそれぞれ測定した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2とカメラ3が検出した位置タイミングチャートPS_CHTとに基づいて端末装置30の位置を推定する。
【0506】
また、プログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Bを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Bを読み出して実行して、測定器1,2がそれぞれ測定した受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2とカメラ3が検出した位置タイミングチャートPS_CHTとに基づいて端末装置30の位置を推定する。
【0507】
従って、プログラムProg_Bを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0508】
実施の形態2についてのその他の説明は、実施の形態1における説明と同じである。
【0509】
上述した実施の形態1においては、遮蔽物50が移動しながら測定器1,2によって測定された受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2および遮蔽物50の位置タイミングチャートPS_CHTに基づいて、遮蔽状態SHLが開始する位置PSstartと遮蔽状態SHLが終了する位置PSendとを求め、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1に基づいて検出された位置PSstartおよび位置PSendを第1フレネルゾーンを表す楕円でフィッティングして方向θ1を取得し、受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2に基づいて検出された位置PSstartおよび位置PSendを第1フレネルゾーンを表す楕円でフィッティングして方向θ2を取得し、1/tan(θ1)(正または負の値からなる)を傾きとする直線と1/tan(θ2)を傾きとする直線との交点の位置を端末装置30の位置と推定することを説明した。
【0510】
また、上述した実施の形態2においては、実施の形態1と同じ方法によって端末装置30の位置と推定することと、方向(π/2+|θS1|)および最短距離dSD_1(または方向(π/2-θS1)および最短距離dSD_1、または方向θS2および最短距離dSD_2)を求め、その求めた方向(π/2+|θS1|)および最短距離dSD_1(または方向(π/2-θS1)および最短距離dSD_1、または方向θS2および最短距離dSD_2)をそれぞれ第1フレネルゾーンを表す楕円の長軸方向および2つの焦点間の最短距離に当てはめて端末装置30の位置(座標(x30,z30)または座標(x’30,z’30))を推定することを説明した。
【0511】
従って、この発明の実施の形態による位置推定装置は、端末装置30から送信された電波が遮蔽/非遮蔽される通信環境において測定器1,2によって測定された受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1,RSSI_CHT_2および遮蔽物50(または遮蔽/非遮蔽装置6,6A)の位置タイミングチャートPS_CHTに基づいて、端末装置30から送信された電波が遮蔽される遮蔽位置を求め、測定器1または測定器2が配置される第1の焦点と端末装置30が配置される第2の焦点とを有する楕円によって表される第1フレネルゾーンを用いて遮蔽位置に基づいて端末装置30の位置を推定するものであればよい。
【0512】
ここで、遮蔽位置は、実施の形態1による遮蔽物50によって遮蔽された位置PSstart_1~PSstart_8,PSend_1~PSend_8、実施の形態2による遮蔽/非遮蔽装置6によって遮蔽された位置PSstart_1~PSstart_8,PSend_1~PSend_8および実施の形態2による遮蔽/非遮蔽装置6Aによって遮蔽された点Aおよび点Dからなる。
【0513】
この発明の実施の形態においては、測定器1は、「第1の測定器」を構成し、測定器2は、「第2の測定器」を構成し、カメラ3は、「検出器」を構成する。
【0514】
また、この発明の実施の形態においては、カットオフ周波数fOFF_1以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_1は、「第1の低周波受信信号強度タイミングチャート」を構成し、カットオフ周波数fOFF_2以上の周波数成分を除去した後の受信信号強度タイミングチャートRSSI_CHT_2は、「第2の低周波受信信号強度タイミングチャート」を構成する。
【0515】
更に、この発明の実施の形態においては、遮蔽状態SHL_1~SHL_4の経過時間依存性は、「第1の遮蔽タイミングチャート」を構成し、遮蔽状態SHL_5~SHL_8の経過時間依存性は、「第2の遮蔽タイミングチャート」を構成する。
【0516】
更に、この発明の実施の形態においては、遮蔽状態SHL_1~SHL_4または遮蔽状態SHL_5~SHL_8は、「複数の遮蔽状態」を構成する。
【0517】
更に、この発明の実施の形態においては、位置(xstart_1,zstart_1)~(xstart_4,zstart_4);(xstart_5,zstart_5)~(xstart_8,zstart_8)は、「複数の第1の平面座標」を構成し、位置(xend_1,zend_1)~(xend_4,zend_4);(xend_5,zend_5)~(xend_8,zend_8)は、「複数の第2の平面座標」を構成する。
【0518】
更に、この発明の実施の形態においては、位置(x’start_1,z’start_1)~(x’start_4,z’start_4);(x’start_5,z’start_5)~(x’start_8,z’start_8)は、「複数の第3の平面座標」を構成し、位置(x’end_1,z’end_1)~(x’end_4,z’end_4);(x’end_5,z’end_5)~(x’end_8,z’end_8)は、「複数の第4の平面座標」を構成する。
【0519】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0520】
この発明は、位置推定装置、コンピュータに実行させるためのプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に適用される。
【符号の説明】
【0521】
1,2 測定器、3 カメラ、4 処理手段、5,5A 推定手段、6,6A 遮蔽/非遮蔽装置、10,10A,10B 位置推定装置、30 端末装置、40 基地局、50 遮蔽物、61 本体部、62,72 支持部材、63,63A 制御装置、64 電源、65,75 モータ、66 駆動装置、67,68 車輪、69,782 遮蔽部材、76,783 遮蔽/非遮蔽部材、76-1 カバー部材、76-3 回転部材、691,763,783-1~783-4 遮蔽部、692,761 軸部材、762,764 開口部、765 支持部、770~773,783-5~783-8 非遮蔽部。