(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20230314BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230314BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230314BHJP
A61Q 7/02 20060101ALI20230314BHJP
A61K 133/00 20060101ALN20230314BHJP
A61K 35/747 20150101ALN20230314BHJP
C12P 1/04 20060101ALN20230314BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K8/9789
A61P17/00
A61Q7/02
A61K133:00
A61K35/747
C12P1/04 Z
(21)【出願番号】P 2018235952
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】P 2018085850
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508001073
【氏名又は名称】株式会社シーエスラボ
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-218476(JP,A)
【文献】特開2008-081440(JP,A)
【文献】特開2008-063270(JP,A)
【文献】特開2008-063266(JP,A)
【文献】特開2017-001985(JP,A)
【文献】特開2004-182687(JP,A)
【文献】J. Anal. Bioanal. Tech., (2016), 7, [6], Article.341<DOI:10.4172/2155-9872.1000341>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
C12P 1/00-41/00
A61K 8/00-8/99
A61P 1/00-43/00
A61Q 1/00-90/00
CAplus/BIOSIS/MEDLINE/EMBASE(STN)
REGISTRY/CASREACT/MARPAT/KOSMET/GSTA/RDISCLOSURE/ReaxysFile/CHEMCATS/AGRICOLA/BIOTEHNO/CABA/SCISEARCH/TOXCENTER(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アオイ科(Malvaceae)フヨウ属(Hibiscus)に属するハイビスカス(Hibisucas sabdariffa L.)の花部の乳酸菌
(Lactobacillus plantarum)発酵物を有効成分とする体毛成長抑制用の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体安全性にすぐれた皮膚外用剤であって、すぐれた体毛成長抑制効果等を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美観上の理由等により、体毛(手、足、腋、胴、顔等)を除去する方法(除毛クリーム、テープストリッピング)が提案されているが、皮膚刺激や体毛除去後の肌荒れや皮膚の不健全化等の問題が生じた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、生体安全性の観点から天然物由来の新たな有効成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、フヨウ属の植物の発酵物が、すぐれた体毛成長抑制効果を有することを新たに見出した。
【0004】
従来、フヨウ属に属する植物の抽出物又はそれら植物の発酵物を化粧料に使用する特許文献1~2により知られていたが、それら抽出物及び発酵物が体毛成長抑制効果を有することは知られていなかった。
【文献】特開昭57-99517号
【文献】特開2006-347925号
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フヨウ属の植物の発酵物を有効成分とする体毛成長抑制用皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生体安全性にすぐれ、かつ、すぐれた体毛成長抑制効果を有する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いるアオイ科(Malvaceae)フヨウ属(Hibiscus)の植物としては、例えば、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)、ムクゲ(Hibiscus syriacus)、フヨウ(Hibiscus mutabills)、モミジアオイ(Hibiscus coccineus)、オオハマボウ(Hibiscus tiliaceus)、ブッソウゲ(Hibiscus schizopetalus)などが挙げられるが、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)が好ましい。使用部位としては、全草、葉、花部、茎、根、子実等が挙げられるが、花部が好ましい。花部を使用する場合は、その開花時期及び大きさ等は特に限定されるものではなく、又花弁、萼等のいずれかまたはそれらの全部を含むものを使用してもよい。
【0008】
フヨウ属の植物の発酵処理は以下のようにして行うことが好ましい。すなわち、発酵の資化源としては植物それ自体(以下、植物体という)を用いてもよく、又は植物体から以下の溶媒抽出方法により得られる抽出物を用いてもよい。また、抽出物を用いる場合には、被抽出物の植物体を固液分離によって除去することなく、植物体を含んだままで発酵を行うことも可能である。ここで、植物は、生のままであっても、又予め乾燥若しくは半乾燥したものであってもよい。また、形状としては採取したものをそのまま用いることも可能である。
【0009】
発酵処理に抽出物を使用する場合は、抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類;エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、トリオクタン酸グリセリル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルエーテル、イソプロピル、エーテル等のエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルム等の炭化水素系溶媒等が挙げられ、それらは単独で若しくは二種以上混合して用いることができる。
【0010】
混合溶媒を用いる場合の混合比は、例えば水とエチルアルコールとの混合溶媒であれば、容量比(以下同じ)で1:1~25:1、水とグリセリンとの混合溶媒であれば1:1~15:1、又水と1,3-プロパンジオール若しくは1,3-ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、1:1~15:1の範囲とすることが好ましい。
【0011】
抽出物の調製に際して、そのpHに特に限定はないが、一般には3~9の範囲とすることが好ましい。かかる意味で、必要であれば、前記抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ性調整剤、又はクエン酸、塩酸、リン酸、硫酸等の酸性調整剤を配合し、所望のpHとなるように調整してもよい。
【0012】
抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpHによっても異なるが、例えば、水もしくは1,3-ブチレングリコール、又は水と1,3-ブチレングリコールとの混液を溶媒とする場合であれば、抽出温度は好ましくは0℃~90℃の範囲であり、又抽出時間は好ましくは0.5時間~7日間である。
【0013】
また、本発明は、発酵に用いる微生物として、は、乳酸菌、酵母、麹菌又は枯草菌等が挙げられる。
【0014】
本発明において、乳酸菌とは、例えばラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシルス ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシルス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)等のラクトバシルス(Lactobacillus)属の乳酸菌;カルノバクテリウム ディバージェンス(Carnobacterium divergens)、カルノバクテリウム ピシコーラ(Carnobacterium piscicola)等のカルノバクテリウム(Carnobacterium)属の乳酸菌;ロイコノストック メセンテロイズ(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック ラクティス(Leuconostoc lactis)、ロイコノストック シトレウム(Leuconostoc citreum)等のロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌; ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)等のストレプトコッカス属の乳酸菌;エンテロコッカス カゼリフラバス(Enterococcus caseliflavus)、エンテロコッカス サルフレウス(Enterococcus sulfreus)等のエンテロコッカス(Enterococcus)属の乳酸菌;ラクトコッカス プランタラム(Lactococcus plantarum) ラクトコッカス ラフィノラクティス(Lactococcus rafinolactis)等のラクトコッカス属の乳酸菌;ヴェイセラ コンフューザ(Weissella confusa)、ヴェイセラ カンドウレリ(Weissella kandleri)等のヴェイセラ属の乳酸菌;アトポビウム ミニュタム(Atopobium minutum)、アトポビウム パービュラス(Atopobiumparvulus)等のアトポビウム(Atopobium)属の乳酸菌;バゴコッカス フルビアリス(Vagococcus fluvialis)、バゴコッカス サーモニナラム(Vagococcus salmoninarum)等のバゴコッカス(Vagococcus)属の乳酸菌;ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス(Pediococcus)属の乳酸菌等が挙げられる。
【0015】
また、本発明において、酵母とは、例えば、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayonus)等のサッカロミセス属の酵母、ガラクトミセス(Galactomyces)属の酵母;シゾサッカロミセス ポンべ(Schizosaccharomyces pombe)等のシゾサッカロミセスの酵母;トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosacchar omyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウムプルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー(Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母等が挙げられる。また、本発明に係る酵母としては、清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母、植物の花(バラ、ユリ、サクラ等)由来の酵母、海由来の酵母の何れであっても良い。の酵母等が挙げられる。
【0016】
また、本発明において、麹菌とは、例えばアスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス ポリオキソジェネス(Aspergillus polyoxogenes)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)等の黄麹菌、アスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス カワウチ(Aspergillus kawauchii)、アスペルギルス ウサミ(Aspergillus usami)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等の黒麹菌、モナスカス アンカ(Monascus anka)、モナスカス ピロサス(Monascus pilosus)等の紅麹菌等が挙げられる。
【0017】
また、本発明において、枯草菌とは、例えば、バシルス ナットー(Bacillus natto)、バシルス サブチルス(Bacillus subtilis)、バシルス サーキュランス(Bacillus circulans)等が挙げられる。
【0018】
上述の懸濁液又は抽出物を微生物により発酵させるときには、発酵工程前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去することが必要である。この雑菌の殺菌除去方法としては、発酵素材を予め殺菌用エタノール等で洗浄した後無菌水等の無菌溶媒に懸濁する方法を用いてもよく、又発酵素材を溶媒に懸濁した後、懸濁液を加熱殺菌等により殺菌するようにしてもよい。加熱殺菌処理としては、懸濁液を120~130℃で10~20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、80~90℃に60~120分間保持することを1日1回2~3日間繰り返す間断殺菌法といった加熱殺菌法が一般に用いられる。
【0019】
無菌化した懸濁液を発酵タンクに入れ、これに微生物を植菌して発酵させる。微生物の接種量は107~108個/mLが適量である。接種量が上記の範囲より多くなっても発酵の進行時間は殆ど変わらず、一方上記の範囲より少なくなると発酵完了までに長時間を要することとなって好ましくない。
【0020】
発酵温度は一般に5~50℃の範囲、好ましくは各微生物の生育至適温度である20℃~40℃(例えば、乳酸菌であれば30℃~40℃、酵母であれば25℃~30℃)の範囲である。発酵日数は、至適温度に於いて一般に1~10日、好ましくは2~5日の範囲である。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日を越えて長くしても有効性のそれ以上の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなっていずれも好ましくない。
【0021】
発酵物を調製する際には、対象使用部位の成分が微生物の資化源としてより有効に利用されるようにするため、微生物の植菌前又は同時に前記の懸濁液又は抽出物溶液に対して、酸、アルカリ又は酵素により加水分解処理を行ってもよい。
【0022】
上述のように調製した抽出物又は発酵物は、一般にはpHを3~9に調製した上で、これをそのままの状態で使用しても良く、又減圧濃縮等により所望の濃度として使用しても良い。また、スプレードライ法等の常法により乾燥物としても良い。
【0023】
また、上述のように調製した抽出物又は発酵物は、保存安定性等を高めるために、一定時間冷蔵保存した上で、上清を使用しても良い。
【0024】
本発明に係る発酵物を配合可能な製剤(化粧料又は医薬部外品が挙げられ、以下「化粧品等」という)としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディクリーム、ボディシャンプー、石けん、浴用剤等も挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0025】
化粧料等に配合する本発明の抽出物又は発酵物の量は、その固形分量として、基礎化粧料の場合は、0.0002~3.0重量%(固形分重量%、以下同じ)、メイクアップ化粧料の場合は、0.002~1.0重量%、又清浄用化粧料の場合は、一般に0.002~10.0重量%である。
【0026】
本発明を化粧料等に配合する場合は、その有効成分である抽出物又は発酵物のほかに、通常、化粧料等に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明に係る抽出物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分と組み合わせて配合することも何ら差し支えない。
【0027】
ここで、油性成分としては、例えばハス油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米糠油、米胚芽油、ヤシ油、カミツレ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油、ランベンダー油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′,N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0029】
乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)、サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0030】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0031】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0032】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、ポリリン酸、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3-ブチレングリコール等がある。
【0033】
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、小豆等)のパウダー等がある。
【0034】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0035】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ムラサキシキブの抽出物、シラン根の抽出物、シャクヤク抽出物、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
【0036】
キレート剤としては、例えばエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、エデト酸又はその塩類、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムなどがある。
【0037】
pH調整剤としては、例えばクエン酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、グリコール酸、コハク酸、塩酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどがある。
【0038】
美白剤としては、t-シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0039】
上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレート等のコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等のコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、L-アスコルビン酸-5-グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基等)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステル等のL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L-アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L-アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3-O-Dラクトース-L-アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)等が挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0040】
生理活性成分としては、例えば、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、シソ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌醗酵米、ハス種子抽出物又はその加水分解物、ハス種子発酵物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、酒粕抽出物又はそれに含まれるセラミド、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物等が挙げられる。また、サンゴ草抽出物、イネの葉の抽出物又はその加水分解物、ナス(ハス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、アンズ果実の抽出物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、豆乳発酵物、クラゲ水、アマモ抽出物、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵エキス、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、ダマスクバラの花の抽出物、タケノコの皮の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸等)、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t-シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、ニンジン抽出物、オタネニンジン抽出物又はその発酵物、紅参抽出物、ミツイシコンブ抽出物、ヘチマ抽出物、アナアオサ抽出物、モモ抽出物、桃仁抽出物、キウイ抽出物、ヒマワリ抽出物、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物、パウダルコ樹皮抽出物、萱草(デイリリー)抽出物又は発酵物、ハゴロモグサ抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、フノリ抽出物、烏龍茶抽出物、紅富貴抽出物、シラン抽出物、山椒果皮又は種皮の抽出物または加水分解物、ベニバナ花抽出物、カサブランカ抽出物、甘藷抽出物又はその発酵物、グアバ葉抽出物、ドクダミ抽出物、晩白柚抽出物、アロエ抽出物、イチジク花抽出物、リンゴ抽出物、ホワイトアスパラガス抽出物等がある。
【0041】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0042】
製造例1.ハイビスカス発酵物の調製
ハイビスカス(Hibisucas sabdariffa L.)の花部50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り、80℃で1時間加温して殺菌を行った。殺菌した懸濁液に乳酸菌(ラクトバシルス プランタラム)を108個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。培養終了後培養液を加熱殺菌し、ろ過して乳酸菌発酵物溶液730g(固形分濃度3.21%)を得た。
【0043】
試験例1.外毛根鞘細胞増殖抑制効果
ヒト外毛根鞘細胞HHORSCを、MSCM培地(ScienCell Research Laboratories社製)を入れた96穴マイクロプレートに2×103個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、製造例1に基づき調製した溶液を試料溶液として含む培地を添加し、同条件でさらに2日間培養した。ここで、試料溶液の濃度は、培地全量に対して溶液としての終濃度が1.0%,2.0%になるように調製した。2日間培養後上清を捨て、PBS(-)で1回洗浄後、PBS(-)で100倍希釈したhoechst33342試薬を100μL/穴添加し、37℃で1時間インキュベートし、DNAを蛍光染色した。その後、蛍光強度(励起:355nm、放射:460nm:蛍光マイクロプレートリーダー[フルオロスキャンアセント(Thermo Fisher Scientific社製)]を測定し、DNA量を求めた。試料溶液の代わりに30%の1,3-ブチレングリコールを添加した区に対しても同様の操作を行った区をコントロールとし、ここに得られた蛍光強度(DNA量)に対する各試料添加区の蛍光強度の相対値を求め、細胞増殖率(%)とした。
【0044】
【0045】
表1に示すように、本発明に係る発酵物は、外毛根鞘細胞増殖抑制効果を有することが確認された。すなわち、本発明に係る発酵物は、外毛根鞘細胞増殖抑制効果を示すことから、同じ毛包上皮由来細胞である毛母細胞の増殖も抑制するものと考えられる。よって、毛の伸長抑制効果が示唆され、体毛成長抑制用(抑毛用)の皮膚外用剤として有用であることが確認された。さらに、脱毛用、又は除毛用の皮膚外用剤にも適用することもできる。
【0046】
処方例1.化粧水
[成分] 部
オリーブ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
ブチルパラベン 0.1
製造例1の発酵物 3.0
エタノール 5.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0047】
処方例2.乳液
[成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
製造例1の発酵物 3.0
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0048】
処方例3.乳液
[成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
製造例1の発酵物 5.0
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0049】
処方例4.ローション
[成分] 部
製造例1の発酵物 5.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0050】
処方例5.エッセンス
[成分] 部
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
ヒアルロン酸 0.1
製造例1の発酵物 5.0
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
精製水 全量が100部となる量
【0051】
処方例6.ボディシャンプー
[成分] 部
N-ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の発酵物 5.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0052】
処方例7.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
スクワラン 5.0
ホホバ油 5.0
ホホバワックス 3.0
ベヘニールアルコール 1.0
ステアリルアルコール 1.5
キャンデリラワックス 0.5
乳酸菌発酵米 2.0
製造例1の発酵物 1.0
水素添加レシチン 0.5
カルボキシビニルポリー 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.2
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
精製水 全量が100部となる量