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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 59/04 20060101AFI20230314BHJP
   B65B 23/02 20060101ALI20230314BHJP
   B65B 5/08 20060101ALI20230314BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B65B59/04
B65B23/02
B65B5/08
B65G47/90 A
B65G47/90 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019540925
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 JP2018032233
(87)【国際公開番号】W WO2019049773
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2017172253
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】南部 隆彦
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-156423(JP,A)
【文献】特開平05-305595(JP,A)
【文献】実開平06-080587(JP,U)
【文献】特開2015-196522(JP,A)
【文献】特開2014-101183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/04
B65B 23/02
B65B 5/08
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の一時待機領域に待機している物品を、前記物品の形態に応じて前記一時待機領域から移載する移載装置であって、
前記物品を前記一時待機領域から持ち上げるための保持機構がそれぞれ設けられた複数のヘッド部と、
複数の前記ヘッド部の中から前記物品の形態に対応したヘッド部が着脱可能に取り付けられるアーム部と、
前記アーム部の可動範囲内に設けられ、前記ヘッド部の交換作業を行うための交換待機場所と
を備え、
前記交換待機場所には、扉が設けられており、該扉で前記交換待機場所は開閉自在とされており、
前記ヘッド部の交換作業が行われる際には、前記アーム部の先端が前記交換待機場所へ移動し、前記扉の外側から、該扉を開いて、前記アーム部の先端に前記ヘッド部を手作業で付け替え作業を行うよう構成された、移載装置。
【請求項2】
記扉が開いた状態では、前記アーム部の動きを停止させる、請求項1記載の移載装置。
【請求項3】
前記物品として、複数の卵座を有する容器に卵を縦方向と横方向とのそれぞれに複数個ずつ配置させた卵パックが移載され、
複数の前記ヘッド部は、前記卵パックに対応している第1ヘッド部を含む、請求項1または2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記物品として、空の段ボール箱が移載され、
複数の前記ヘッド部は、前記空の段ボール箱に対応している第2ヘッド部を含む、請求項1または2に記載の移載装置。
【請求項5】
前記物品として、卵パックおよびトレイのいずれかが収容された他の段ボール箱が移載され、
複数の前記ヘッド部は、前記他の段ボール箱に対応している第3ヘッド部を含む、請求項1または2に記載の移載装置。
【請求項6】
前記物品として、空のコンテナが移載され、
複数の前記ヘッド部は、前記空のコンテナに対応している第4ヘッド部を含む、請求項1、2および4のいずれか1項に記載の移載装置。
【請求項7】
前記物品として、他の卵パックおよび他のトレイのいずれかが収容された他のコンテナが移載され、
複数の前記ヘッド部は、前記他のコンテナに対応している第5ヘッド部を含む、請求項1、2および5のいずれか1項に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置に関し、物品の形態に応じて物品を移載する移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の移載装置として、パック詰めされた卵を輸送用の段ボール箱またはコンテナに収容するためのものが知られている(たとえば、特許文献1)。この移載装置は、卵パックの蓋に吸着可能な複数の吸着部材によって上方から持ち上げる保持機構を備えている。また、他の方法として、卵パックの両端部を把持可能な把持部材によって側方および下方から支持する保持機構を備えたものも知られている(たとえば、特許文献2)。
【0003】
卵パックには種々の大きさ、形状のものがある。具体的には、たとえば、パック内に10個の卵を収容できるもの、6個の卵を収容できるもの等、収容可能な個数が異なる卵パックがある。また、パック内にLサイズの卵を収容できるもの、Sサイズの卵を収容できるもの等、収容可能な卵のサイズが異なる卵パックがある。この卵パックでは、ホールピッチが異なる。さらに、蓋の天面が平坦な「フラットパック」、卵の形状に沿った凹凸が蓋の天面に形成されている「レギュラーパック」等、蓋の外形が異なる卵パックがある。このように、卵パックの種類は多岐にわたる。しかしながら、これらの全てに対応可能な保持機構はないのが現状である。
【0004】
また、選別装置で選別された卵は、卵パックに詰められる以外に、蓋のないトレイに詰められることも多い。このようなトレイに詰められた卵を、輸送用の段ボール箱またはコンテナに収容することも行われている。この場合には、上述したような卵パック用の移載装置をそのまま使うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-196522号公報
【文献】国際公開第2011/162601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、物品の形態に応じて保持機構を簡単に切り替えることが可能な移載装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る移載装置は、所定の一時待機領域に待機している物品を、前記物品の形態に応じて前記一時待機領域から移載する移載装置であって、前記物品を前記一時待機領域から持ち上げるための保持機構がそれぞれ設けられた複数のヘッド部と、複数の前記ヘッド部の中から前記物品の形態に対応したヘッド部が着脱可能に取り付けられるアーム部と、前記アーム部の可動範囲内に設けられ、前記ヘッド部の交換作業を行うための交換待機場所とを備え、前記交換待機場所には、扉が設けられており、該扉で前記交換待機場所は開閉自在とされており、前記ヘッド部の交換作業が行われる際には、前記アーム部の先端が前記交換待機場所へ移動し、前記扉の外側から、該扉を開いて、前記アーム部の先端に前記ヘッド部を手作業で付け替え作業を行うよう構成されている
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品の形態に応じて保持機構を簡単に切り替え可能な移載装置を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る移載装置の概略を示す側面図である。
図2】同実施形態において、移載装置のヘッド部を交換する際の状態を概略的に示す側面図である。
図3】同実施の形態において、変形例に係る移載装置のヘッド部を交換する際の状態を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る移載装置を、箱詰めシステムに適用させた場合について、図1図2および図3を用いて説明する。ここでは、移載の対象とされる「物品」が、卵パックまたはトレイである場合の移載装置について説明する。すなわち、物品が、卵が収容された入れ物であり、複数の卵座P3を有する容器P1に卵を縦方向と横方向とのそれぞれに複数個ずつ配置させた被収容物Pである場合について説明する。
【0011】
一実施形態に係る移載装置2を備えた箱詰めシステム1では、複数個の卵が配置された被収容物Pが複数集められ、集められた被収容物Pが、輸送または管理を容易にするための段ボール箱または合成樹脂製のコンテナなどの収容容器Cに箱詰めされる。被収容物Pとして、内部に卵が収容され、蓋P2が閉じられた状態となっている卵パック(たとえば、蓋P2を備えたプラスチック製の卵パック)、または、卵が収容されたトレイ(たとえば、蓋を備えない紙製のモールドトレイ)(図示せず)が挙げられる。この箱詰めシステム1は、移載装置2と、搬送装置8と、制御装置とを主体に構成される。搬送装置8には、一時待機領域4が設けられている。なお、図1等では、制御装置として、移載装置2を制御する制御装置3を示す。
【0012】
移載装置2は、ヘッド部21とアーム部22とを備えている。移載装置2は、所定の空間5内において、被収容物Pの箱詰めを行う。詳述すれば、移載装置2では、収容容器Cに被収容物Pが詰められる、一時待機領域4から収容すべき収容容器C内へ被収容物Pとしての容器P1が移載される。具体的には、移載装置2では、複数の卵座P3を有する容器P1に卵を縦方向と横方向とのそれぞれに複数個ずつ配置させた被収容物Pが、所定の一時待機領域4から収容すべき収容容器C内へ移載される。この移載を行うために、移載装置2は、ヘッド部21と、アーム部22と、制御装置3とを主体に構成されている。本実施形態では、移載装置2として、ヘッド部21が任意に作動する慣用の多関節ロボット(たとえば、6軸垂直多関節ロボット)を用いるが、X、Y、Z軸に対してヘッド部21が任意に移動することができるロボットまたは装置など種々のものを採用することができる。なお、移載装置2では、フレーム6によって囲まれた空間5内のみで、移載動作が行われることになる。
【0013】
ヘッド部21には、被収容物Pを所定の一時待機領域4から持ち上げるための保持機構23が設けられている。本実施形態では、ヘッド部21は、アーム部22の先端24に対して付け替え可能であり、少なくとも2種類のヘッド部21が用意されている。本実施形態では、容器P1が卵の上方を覆う蓋P2を備えた被収容物Pに対応可能なヘッド部21と、容器が卵の上方を覆う蓋を備えない被収容物(図示せず)に対応可能なヘッド部21との少なくとも2種類ある。なお、他の例としては、一の大きさと形状をなす蓋付きの容器(たとえば、10個入りの卵パック用)に入った被収容物に対応可能なヘッド部と、その容器とは、大きさおよび形状の少なくとも一方が異なる蓋付きの容器(たとえば、6個入りの卵パック用)に入った被収容物に対応可能なヘッド部との少なくとも2種類であってもよい。
【0014】
言い換えれば、複数種類のヘッド部21は、卵が収容された第一の入れ物を保持するヘッド部21と、卵が収容された第二の入れ物を保持するヘッド部21とを、少なくとも備える。第一の入れ物と第二の入れ物とは、互いに形態が異なる。ここで、形態とは、形として表れるものであり、たとえば、トレイかパックかの違い、大きさの違い、形状の違い、材質の違いなどが挙げられる。
【0015】
ヘッド部21の具体的な一例としては、保持機構23が容器P1の蓋P2に吸着可能な複数の吸着部材25を備えたヘッド部21が挙げられる。吸着部材25は、容器P1の蓋P2に対応する位置に配置された複数の吸着パッドであり、複数の吸着パッドは、縦方向と横方向とに配置されている。複数の吸着部材25のそれぞれは、容器P1の蓋P2を吸着することが可能なように真空機構に接続されている。
【0016】
また、他のヘッド部(図示せず)としては、保持機構が卵に吸着可能な複数の吸着部材と、容器の両端部を把持可能な把持部材とを備えたヘッド部がある。この吸着部材は、蓋無し容器の卵座に対応する位置に配置された複数の吸着パッドであり、複数の吸着パッドは、縦方向と横方向とに配置されている。複数の吸着部材のそれぞれは、卵を吸着することが可能なように真空機構(図示せず)に接続されている。把持部材は、蓋無し容器を側面側および下面側から支えて保持する保持姿勢と、この保持状態を解放する解放姿勢との間で動くように制御されるアーム状である(たとえば、特許文献2参照)。把持部材は、各吸着部材の外側に配置すればよい。
【0017】
さらに他のヘッド部(図示せず)としては、保持機構が吸着部材を備えておらず、容器の両端部を把持することが可能な把持部材によって形成されてもよい。
【0018】
アーム部22では、アーム部22の先端24にヘッド部21が取り付けられる。本実施形態のアーム部22では、複数種類のヘッド部21が交換可能とされる。図2に示すように、ヘッド部21の交換作業時に、後述する交換待機場所9へアーム部22の先端24が移動するように制御される。なお、アーム部22に対するヘッド部21の付け替え(交換作業)は、空間5の外側で人による手作業によって行われる。
【0019】
交換待機場所9は、フレーム6に設けられている。交換待機場所9では、ヘッド部21はフレーム6の外側に向けられる。交換待機場所9では、ヘッド部21の保持機構23は、横向きの状態である。すなわち、交換待機場所9では、ヘッド部21の姿勢が、通常の移載動作時の姿勢とは異なる。
【0020】
アーム部22の可動範囲内には、作業者がヘッド部21の交換作業を行うための交換待機場所9が設けられている。本実施形態の交換待機場所9は、移載装置2に隣接した場所に設定されており、作業者が作業しやすい高さ位置に設定されている。
【0021】
制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換部等の専用または汎用のコンピュータにより構成されている。内部メモリに格納されたプログラムにしたがって、CPU、その他の周辺機器が協働することによって、制御装置3としての機能が発揮される。本実施形態では、制御装置3は、作業者がヘッド部21の交換作業を行う際に、アーム部22の可動範囲内に設けられた交換待機場所9へアーム部22の先端24が移動するよう移載装置2を制御する。特に、制御装置3は、ヘッド部21の付け替え作業時に、通常の移載動作を停止して、アーム部22の先端24が空間5の外側にせり出すよう制御する。また、制御装置3は、交換待機場所9に設けられた扉91が開いた状態では、アーム部22の動きを停止させるよう移載装置2を制御する。
【0022】
搬送装置8は、被収容物Pを搬送するためのコンベヤである。搬送装置8は、外形または材質の異なる複数種類の容器P1を搬送することが可能である。搬送装置8の下流側には、一時待機領域4が設定されており、本実施形態では、一時待機領域4にも搬送装置8が配置されている。一時待機領域4は、容器P1の動きが規制される場所である。具体的には、次々と搬送されてくる容器P1が、搬送装置8上に設けられたストッパまたはガイド(図示せず)によって規制される。
【0023】
次に、箱詰めシステム1の動作の一例について説明する。ここでは、説明の便宜上、10個入りの卵パックを、卵パックPAとする。卵パックPAとは種類が異なる卵パックまたはトレイを、卵パックまたはトレイPBとする。卵パックまたはトレイPBとは種類が異なる卵パックまたはトレイを、卵パックまたはトレイPCとする。なお、図には、これらの符号は示されていない。まず、10個入りの卵パックPAを箱詰めする場合について説明する。
【0024】
たとえば、10個の卵座P3を有する蓋付きの容器P1に、卵を縦方向に2個配置し、横方向に5個配置させて、蓋P2を閉めた状態の被収容物Pが作られる。容器P1に所定個数ずつ卵が収容された後、一時待機領域4に被収容物Pが集められる。
【0025】
被収容物Pが一時待機領域4に集められる前に、または、被収容物Pが一時待機領域4に集められるのと並行して、制御装置3は、交換待機場所9へアーム部22の先端24が移動するように移載装置2を制御する。この状態で、作業者が交換待機場所9の扉91を開くと、制御装置3はアーム部22の動きを停止するよう制御する。扉91が開いた状態が続く限り、アーム部22の動きを停止する状態が継続される。アーム部22が停止している間に、作業者が、10個入りの卵パックPAに対応したヘッド部21をアーム部22の先端24に手動で取り付ける。その後、扉91を閉じるなどして、ヘッド部21の付け替えが完了した旨の信号を制御装置3が受け取ると、移載装置2が、10個入りの卵パックPAを箱詰めする移載動作を開始する。具体的には、一時待機領域4に所定個数の容器P1が搬送された状態で、移載装置2のヘッド部21が被収容物Pの上方に位置する。次に、制御装置3は、吸着部材25を真空引きするように移載装置2を制御する。次に、真空引きした状態を保ったまま、一時待機領域4から被収容物Pが持ち上げられて、一時待機領域4に隣接して設けられた搬送装置7上に載置された収容容器C内へ移載される。次に、収容容器C内で吸着部材25の吸着状態が解除される。その後、ヘッド部21が収容容器Cの外へ移動する。以下、この作業が繰り返される。
【0026】
次に、同じ移載装置2を用いて、10個入りの卵パックPAとは種類が異なる卵パックまたはトレイPBを箱詰めする場合について説明する。この場合には、10個入りの卵パックPAの移載動作が完了した後に、制御装置3は、交換待機場所9へアーム部22の先端24が移動するように制御する。この状態で、作業者が交換待機場所9の扉91を開くと、制御装置3はアーム部22の動きを停止するよう制御する。アーム部22が停止している間に、作業者はアーム部22に取り付けられていた10個入りの卵パックPAに対応したヘッド部21を、アーム部22の先端24から手動で取り外し、次に使用する卵パックとは種類が異なる卵パックまたはトレイPBに対応したヘッド部21を、アーム部22の先端24に手動で取り付ける。その後、上述した10個入りの卵パックPAの移載動作に準じて、移載動作を行う。
【0027】
その後、さらに、同じ移載装置2を用いて、卵パックまたはトレイPBとは種類が異なる卵パックまたはトレイPCを箱詰めする場合には、前述した卵パックまたはトレイPBの移載動作が完了した後に、制御装置3は、交換待機場所9へアーム部22の先端24が移動するように制御する。この状態で、作業者が交換待機場所9の扉91を開くと、制御装置3はアーム部22の動きを停止するよう制御する。アーム部22が停止している間に、今まで使用していた卵パックまたはトレイPBに対応したヘッド部21を、アーム部22の先端24から手動で取り外し、次に使用する種類が異なる卵パックまたはトレイPCに対応したヘッド部21を、アーム部22の先端24に手動で取り付ける。その後、上述した移載動作と同様の移載動作を行えばよい。
【0028】
上述したように、本実施形態に係る移載装置2は、複数の卵座P3を有する容器P1に卵を縦方向と横方向とのそれぞれに複数個ずつ配置させた被収容物Pを所定の一時待機領域4から移載する移載装置2であって、ヘッド部21とアーム部22とを備えている。ヘッド部21は、被収容物Pを持ち上げるための保持機構23が設けられている。アーム部22では、先端24にヘッド部21が取り付けられる。アーム部22では、複数種類のヘッド部21を交換することが可能とされる。作業者が、ヘッド部21の交換作業を行う際には、アーム部22の可動範囲内に設けられた交換待機場所9へアーム部22の先端24が移動することになる。
【0029】
本実施形態に係る移載装置2によれば、収容容器C内に収容すべき被収容物Pの形態に応じて保持機構23を、簡単に、かつ、短時間で切り替えることができる。
【0030】
移載装置2のアーム部22では、複数種類のヘッド部21を付け替えることが可能とされる。作業者は、作業しやすい位置に設定された交換待機場所9へアーム部22の先端24が移動してからヘッド部21の付け替え作業を行う。特に、本実施形態に係る移載装置2では、アーム部22の先端24が、空間5の外側にせり出すように移動する。そのため、フレーム6で囲まれた空間5内に作業者の手を入れる必要がないので、ヘッド部21の付け替え作業に手間がかからない。
【0031】
また、交換待機場所9に設けられた扉91が開いた状態で、アーム部22の動きを停止させるよう制御される。このため、この制御は、作業者が作業している間に、ロボット(アーム部22)が急に動き出したりするのを防ぐことができる安全装置としての役割を果たす。なお、このような扉を設けることなく、他のセンサなどを用いて安全を確保するようにしてもよい。
【0032】
特に、ヘッド部21の付け替え作業を行う際に、作業者の作業しやすい高さ位置と向きにヘッド部21を配置させることができれば、付け替え作業を容易に行うことができる。具体的な一例としては、図2に示すように、ヘッド部21の下面側を空間5の外側に向けてせり出すようにヘッド部21を配置すると、付け替え作業がいっそう容易になる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
<変形例1(ケースパレタイザー)>
移載装置として、卵パックまたはトレイが詰められた段ボール箱またはコンテナを、輸送パレットに移載する移載装置でもよい。ヘッド部は、搬送装置上、または、搬送装置に隣接して設けられた一時待機領域から、載置すべき輸送パレット上へ段ボール箱またはコンテナを移載する。ヘッド部として、段ボール箱に対応するヘッド部と、コンテナに対応するヘッド部との少なくとも2種類のヘッド部を備えている。たとえば、段ボール箱に対応するヘッド部は、保持機構が段ボール箱の上面に吸着可能な複数の吸着部材を備えている。コンテナに対応するヘッド部は、保持機構がコンテナの両端部を把持可能な把持部材を備えている。
【0034】
さらに他のヘッド部として、保持機構が段ボール箱の両端部を把持可能なヘッド部でもよい。複数種類のヘッド部として、卵パックまたはトレイが収容された第一の入れ物を保持するヘッド部と、卵パックまたはトレイが収容された第二の入れ物を保持するヘッド部とを少なくとも備えている。第一の入れ物と第二の入れ物とは、互いに形態が異なる。なお、形態とは、前述したとおりである。
【0035】
輸送パレットとして、板状の輸送パレットでもよいし、側方を覆うフレームまたは壁を有する輸送パレットでもよい。また、輸送パレットに替えて、いわゆるインナーロールでもよい。
【0036】
上述した変形例1に係る移載装置によれば、物品として、卵パックまたはトレイが収容された入れ物を移載することができ、たとえば、卵パックまたはトレイを複数個ずつ配置させた段ボール箱またはコンテナを移載することができる。
【0037】
<変形例2(ケースフィーダー)>
移載装置として、卵の箱詰めシステムに向けて空の段ボール箱または空のコンテナを供給(移載)する移載装置でもよい。ヘッド部は、段ボール箱またはコンテナが山積みにされた一時待機領域から、段ボール箱またはコンテナを、箱詰めシステムの上流側の搬送装置上へ移載する。ヘッド部として、段ボール箱に対応するヘッド部と、コンテナに対応するヘッド部との少なくとも2種類のヘッド部を備えている。たとえば、段ボール箱に対応するヘッド部は、保持機構が段ボール箱の面に吸着可能な複数の吸着部材を備えている。コンテナに対応するヘッド部は、保持機構がコンテナの両端部を把持可能な把持部材を備えている。
【0038】
さらに他のヘッド部として、保持機構が段ボール箱の両端部を把持可能なヘッド部でもよい。複数種類のヘッド部として、卵パックまたはトレイを収容する第一の入れ物を保持するヘッド部と、卵パックまたはトレイを収容する第二の入れ物を保持するヘッド部とを少なくとも備えている。第一の入れ物と第二の入れ物とは、互いに形態が異なる。なお、形態とは、前述したとおりである。
【0039】
また、段ボール箱に対応するヘッド部として、折り畳み状態の段ボール箱を展開して製函装置に供給(移載)するヘッド部でもよい。
【0040】
上述した変形例2に係る移載装置によれば、物品として、卵パックまたはトレイが収容される入れ物を移載することができ、たとえば、卵パックまたはトレイを詰めるための空の段ボール箱または空のコンテナを移載することができる。
【0041】
<その他の変形例>
移載装置2では、交換待機場所9は、アーム部の可動範囲内に設けられていればよく、たとえば、図3に示すように、フレーム6に囲まれた空間の内側に交換待機場所9を設けてもよい。また、フレーム6の内側空間と外側空間とにまたがるように、交換待機場所を設けてもよい。
【0042】
また、交換待機場所9では、周囲が壁またはフレーム6で囲まれていなくてもよい。交換待機場所9が設けられる位置も、図1図3に示される位置に限られず、種々変更することが可能である。交換待機場所9に入るアーム部の向きについては、下向き、横向き、斜め下向き等であってもよく、特に制限はない。交換待機場所9に設けられる扉91としては、開き戸式、シャッター式、その他、交換待機場所9の内外を区画できるよう開閉可能な扉であればよい。また、扉が設けられる位置も種々変更することが可能である。
【0043】
容器としては、複数の卵座を有する容器であれば、大きさまたは形状に特に制約はなく、トレイ状の容器、または、パック状の容器など種々変更することが可能である。また、紙製の容器でもよいし、プラスチック製の容器でもよい。容器における卵座の数も、上述した個数に限られない。なお、卵座の数が同じ場合であっても、隣接する卵座間の距離(ホールピッチ)が異なる場合には、別の種類の容器とみなしてよい。容器としては、図1図3に示されるフラットパックの他に、レギュラーパックであってもよい。フラットパックとは、卵の下半部を個別に収容する複数の凹部を備えた容器本体と、蓋を閉めた状態で複数個の卵を一括して全体的に覆う蓋体とを備えた容器である。レギュラーパックとは、卵を個別に収容する複数の凹部を備えた容器本体と、蓋を閉めた状態で各凹部と対向する箇所に卵を個別に覆う複数の覆い部を備えた蓋体とを備えた容器である。
【0044】
収容容器としては、卵が入った被収容物を配置可能な収容容器であればよく、輸送用の段ボール箱またはコンテナなど種々変更することが可能である。
【0045】
ヘッド部21としては、図1図3に示されるヘッド部21に限られない。また、保持機構23も、種々変更することが可能である。たとえば、上述した吸着部材25に加えて、または吸着部材25に代えて、たとえば、特許文献2に提案されている、卵パックの側面側と下面側とから支えて卵パックを保持する一対の把持部材を備えていてもよい。すなわち、ヘッド部として、吸着部材を備えていないヘッド部でもよい。
【0046】
移載装置では、1回の移載動作によって移載する物品の数が1つであってもよいし、複数であってもよい。また、アーム部の先端に付け替えることが可能な複数種類のヘッド部として、4個入りの卵パックに対応したヘッド部または2個入りの卵パックに対応したヘッド部など、1回の移載動作によって移載する物品の数に対応するようなヘッド部であってもよい。
【0047】
一時待機領域4としては、搬送装置が配置されていない一時待機領域でもよい。すなわち、卵パック等を移動させる機構を備えない台等でもよい。
【0048】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、卵パックまたはトレイなどの包装用の容器に所定個数ずつ収容された卵を収容容器内に詰めるための移載装置と、そのような移載装置を用いた箱詰めシステムとに利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 箱詰めシステム、2 移載装置、3 制御装置、4 一時待機領域、5 空間、6 フレーム、7、8 搬送装置、9 交換待機場所、21 ヘッド部、22 アーム部、23 保持機構、24 先端、25 吸着部材、91 扉、C 収容容器、P 被収容物、P1 容器、P2 蓋、P3 卵座。
図1
図2
図3