(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】フィードフォワード双方向注入されたスプリットゲートフラッシュメモリセル
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20230314BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20230314BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20230314BHJP
H10B 41/35 20230101ALI20230314BHJP
【FI】
H01L29/78 371
H10B41/35
(21)【出願番号】P 2021166545
(22)【出願日】2021-10-11
(62)【分割の表示】P 2017550145の分割
【原出願日】2016-03-24
【審査請求日】2021-11-09
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】シャンジェン ボー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス タッド グライダー
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-109390(JP,A)
【文献】特開2001-308317(JP,A)
【文献】特開平08-130193(JP,A)
【文献】特表2009-503856(JP,A)
【文献】特開2012-015499(JP,A)
【文献】特開2009-124106(JP,A)
【文献】特開2002-289714(JP,A)
【文献】AKIL, Nader et al.,Optimization of Embedded Compact Nonvolatile Memories for Sub-100-nm CMOS Generations,IEEE Transactions on Electron Devices,2005年04月,Vol. 52, No. 4,p.492 - 499
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 41/00
H10B 43/00
H01L 21/336
H01L 29/788-792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリットゲートフラッシュメモリセル(セル)であって、
半導体表面を有する基板
と、
第1の浮遊ゲート(FG)上の第1の制御ゲート(CG)
と第2の浮遊ゲート(FG)上の第2のCG
とであって、各々前記半導体表面上のトンネルゲート誘電体層の上にある、前記第1のCG
と前記第2のCG
と、
前記第1のFGと前記第2のFGとの間の前記半導体表面における共通ソース又は共通ドレイン
と、
それぞれ、前記半導体表面における第1のBLソース又はドレイン(S/D)と前記第1のFGとの間
と、前記半導体表面における第2のBL S/Dと前記第2のFGとの間
との、選択ゲート誘電体層上の第1の選択ゲート
と第2の選択ゲート
と、
それぞれ、前記半導体表面における前記第1の選択ゲートと前記第1のBL S/Dとの間と、前記半導体表面における前記第2の選択ゲートと前記第2のBL S/Dとの間との、第1のポケット領域と第2のポケット領域と、
を含み、
前記第1の
ポケット領域が第
1の
ドーピング分布を有し、前記第2のポケット領域
が前記第
1のドーピング分布と異なる第
2のドーピング分布を有し、
前記第1の
ドーピング分布と前記第2の
ドーピング分布と
が、2%から8パーセントの範囲で総統合ドーズにお
いて異なる、セル。
【請求項2】
請求項1に記載のセルであって、
前記第1の選択ゲート
と前記第2の選択ゲート
と前記第1のCG
と前記第2のCG
とが、各々ポリシリコンゲートを含む、セル。
【請求項3】
請求項1に記載のセルであって、
前記第1の選択ゲート
と前記第2の選択ゲート
と前記第1のCG
と前記第2のCG
とが、各々金属ゲートを含む、セル。
【請求項4】
請求項1に記載のセルであって、
前記第1のドーピング分布
と前記第2のドーピング分布
とが、約5パーセントだけ総統合ドーズ
において異なる、セル。
【請求項5】
請求項1に記載のセルであって、
前記セルが
、前記半導体表面上に複数あり、共に相互接続され、アレイ状に配置される、セル。
【請求項6】
請求項1に記載のセルであって、
前記セルがnチャネル金属酸化物半導体(MOS)トランジスタを含み、前記第1のポケット領域
と前記第2のポケット領域
とがいずれもボロンドープされる、セル。
【請求項7】
請求項1に記載のセルであって、
前記基板がシリコンを含む、セル。
【請求項8】
請求項1に記載のセルであって、
前記選択ゲート誘電体層が、少なくとも5の誘電率kを有する高k誘電体層である、セル。
【請求項9】
スプリットゲートフラッシュメモリセル(セル)を製造する方法であって、
半導体表面を有する基板を提供することであって、前記基板が、
第1の浮遊ゲート(FG)上の第1の制御ゲート(CG)と第2のFG上の第2のCGとであって、各々前記半導体表面上のトンネルゲート誘電体層の上にある、前記第1のCGと第2のCGと、
前記第1のFGと前記第2のFGとの間の前記半導体表面における共通ソース又は共通ドレインと、
それぞれ、前記半導体表面における第1のBLソース又はドレイン(S/D)と前記第1のFGとの間と、前記半導体表面における第2のBL S/Dと前記第2のFGとの間との、選択ゲート誘電体層上の第1の選択ゲートと第2の選択ゲートと、
を含む、前記基板を提供することと、
前記第1の選択ゲート
の臨界寸法(CD)と前記第2の選択ゲートのCD
とに基づいて、第1のドーズを含む第1のポケット注入パラメータのセットと、第2のドーズを含む第2のポケット注入パラメータとのセットとを選択することと、
双方向ポケット注入を実施することであって、前記第1の選択ゲートに関連付けられる第1のポケット領域への前記第1の
ポケット注入パラメータを用いる第1のポケット注入と、前記第2の選択ゲートに関連付けられる第2のポケット領域への前記第2の
ポケット注入パラメータを用いる第2のポケット注入とを含む、前記双方向ポケット注入を実施することと、
を含み、
前記第1のドーズと前記第2のドーズとが2%から8パーセントの範囲で異なり、
前記第1の選択ゲートが前記第2のポケット注入の間に注入マスクとして機能し、前記第2の選択ゲートが前記第1のポケット注入の間に注入マスクとして機能する、方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の方法であって、
前記第1のドーズ
と前記第2のドーズ
とが
、約5%異なる、方法。
【請求項11】
請求項
9に記載の方法であって、
前記第1の選択ゲートに対する不整合データを前記第1の選択ゲートの前記CDに
変換し、前記第2の選択ゲートに対する不整合データを前記第2の選択ゲートの前記CDに変換することを
更に含む、方法。
【請求項12】
請求項
9に記載の方法であって、
前記第1のポケット注入
と前記第2のポケット注入
とに対する注入角度が、いずれも15度~45度である、方法。
【請求項13】
請求項
9に記載の方法であって、
前記第1の選択ゲート
と前記第2の選択ゲート
と前記第1のCG
と前記第2のCG
とが、各々ポリシリコンゲートを含む、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法であって、
前記第1のCG
と前記第2のCG
と前記第1の選択ゲート
と前記第2の選択ゲート
と前記共通ソース又は共通ドレイン
との上にシリサイド層を形成することを
更に含む、方法。
【請求項15】
請求項
9に記載の方法であって、
前記セルが
、nチャネル金属酸化物半導体(MOS)トランジスタを含み、前記第1のポケット注入
と前記第2のポケット注入
とが、いずれもボロン注入を含む、方法。
【請求項16】
請求項
9に記載の方法であって、
前記セルを含むダイを有するロットにおける複数のウェハの各々に対して前記ドーズ
の差をカスタマイズすることを
更に含む、方法。
【請求項17】
請求項9に記載の方法であって、
前記選択ゲート誘電体層が、少なくとも5の誘電率kを有する高k誘電体層である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、スプリットゲートフラッシュメモリセルに関連する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュメモリは、ブロック毎に消去し得る、電気的に消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)の改善されたバージョンである。フラッシュメモリは、パワーダウンの間のメモリデータの損失なくプログラム性を要求する(不揮発性の)種々の応用例において用いられる。スプリットゲートフラッシュメモリセルは、ドープされたポリシリコン、一層低いプログラム電流、一層高い耐久性、及び改善されたデータ保持を概して含む、ワード線(WL)又は選択ゲートトランジスタにより制御される低リークに起因して、半導体業界において広く用いられてきている。
【0003】
特定のフラッシュメモリセルは、フラッシュメモリセルの中間において共通ソース(又はドレイン)領域を共用する2つのサイドバイサイドトランジスタ構造を含むスプリットゲートフラッシュセルである。スプリットゲートフラッシュセルにおいて、選択ゲートは、電圧を浮遊ゲート(FG)上に結合するように、及びトランジスタのチャネル領域を制御するように形成される。これらの目的を達成するために、選択ゲートは、基板に直接的に重なって及びFGに重なって(又は近接して)物理的に形成される。スプリットゲートフラッシュセルは、選択ゲートトランジスタにより制御される一層低いリーク、一層低いプログラム電流、一層高い耐久性、及び改善されたデータ保持という(従来のフラッシュセルに対する)利点に起因して、半導体業界において広く用いられている。
【発明の概要】
【0004】
記載される例において、スプリットゲートフラッシュメモリセル(セル)が半導体表面を含む。第1の浮遊ゲート(FG)上の第1の制御ゲート(CG)及び第2の浮遊ゲート(FG)上の第2のCGが、各々、半導体表面上のトンネルゲート誘電体層上にある。共通ソース又は共通ドレインが、第1のFGと第2のFGとの間の半導体表面にある。第1の選択ゲート及び第2の選択ゲートが、それぞれ、第1のBLソース又はドレイン(S/D)と第1のFGとの間、及び、第2のBL S/Dと第2のFGとの間の選択ゲート誘電体層上にある。第1の選択ゲートは、第2の選択ゲートに関連付けられる第2のポケット領域における第2のドーピング分布とは異なる第1のドーピング分布を有する第1のポケット領域を有し、これにより、第1の選択ゲートを用いる読出し電流(Ir)の測定と、第2の選択ゲートを用いるIrの測定との間のセルに対するIrにおける変動が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】例示の一実施例に従った、フィードフォワード双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセルを製造するための例示の方法における工程のフローチャートである。
【0006】
【
図2A】例示の一実施例に従った、例示のフィードフォワード双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセルの断面図である。
【0007】
【
図2B】
図2Aのフィードフォワード双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセルの断面図であり、シリサイド層が取り除かれており、それぞれの角度付けられたポケット注入を示し、双方向ポケット注入を構成する例示の角度を示すために矢が提供されている。
【0008】
【
図3】例示の一実施例に従った、相互接続されるフィードフォワード双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセルのアレイを含む、不揮発性メモリを含むモノリシックICプロセッサチップコンビネーションのブロック図表現である。
【0009】
【
図4】1.2VのBL読出し電圧及び12.5Vの消去電圧を用いる消去された状態における表及びグラフの形態での偶数奇数選択ゲート読出しに対するウェハにわたるセルに対する正規化されたIr分布データを示す。
【0010】
【
図5】正規化されたIr対選択ゲートCDのグラフであり、(テストされる特定のスプリットゲートフラッシュセル設計では)増大する選択ゲートCDと共にIrが単調に増加することを明示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示において、幾つかの動作又は事象が、異なる順及び/又は他の動作又は事象と同時に起こり得、幾つかの例示される動作又は事象は任意選択である。
【0012】
スプリットゲートフラッシュセルの寸法が縮小されると、選択ゲート長がより短くなり、そのため、セルの反対の端部のそれぞれの選択ゲート(本明細書において偶数/奇数選択ゲートと称し、それらの長さの差を偶数/奇数選択ゲート臨界寸法(CD)変動と称する)間のゲート長変動や、選択ゲート閾値電圧(Vt)に影響を与える注入のための注入ドーピング変動など、プロセス変動の影響を一層受け易くなる。基板(ウェハなど)にわたるダイ内及びダイ間の選択ゲートVt分布が拡がると、基板(ウェハなど)にわたるダイ内及びダイ間の読み出し電流(Ir)分布が一層大きくなり、フラッシュ回路設計マージンが低減される。
【0013】
スプリットゲートフラッシュセル統合における偶数/奇数選択ゲートCD変動を低減するための従来のアプローチにおいて、改善されたリソグラフィ装置を用いることなどにより、WLフォトアライメントマージンがタイトになる。しかし、偶数/奇数選択フラッシュセルCD差が概して常に存在するように、整合マージンはゼロとされ得ないので、選択ゲートフォトアライメントマージンをこのようにタイトにすることで効率が制限される。
【0014】
例示の実施例は、選択ゲートCD整合マージンを補償するため双方向ポケット注入を判定するためにフィードフォワードされる、偶数/奇数選択ゲートCDインラインプロセス制御データを用いる。フラッシュ方位は1方向に制約されることが認識されており、これにより、2回転注入が可能となる。スプリットゲートフラッシュセルの偶数選択ゲート側のため及び奇数選択ゲート側のための注入パラメータ(ドーズ、エネルギー、及び/又は角度)は、それぞれ、インライン偶数/奇数選択ゲートCDデータに基づいて、偶数/奇数選択ゲートCD差に対する補償として用いられる2回転の各々に対して異なる注入パラメータで調整され得る。タイトにされた消去スプリットゲートフラッシュセルIrは、双方向ポケット注入の結果であり、これにより、フラッシュ設計及びプロセスマージンが改善される。開示される実施例は、概して、全てのソース又はドレイン中央共有スプリットゲートフラッシュセルデバイスに適用され得る。
【0015】
図1は、例示の一実施例に従った、フィードフォワード双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセルを製造するための例示の方法100における工程のフローチャートである。スプリットゲートフラッシュセルは、nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)又はpチャネルMOS(PMOS)トランジスタのいずれかに基づき得る。本明細書においてNMOSトランジスタが概して記載され得るが、この情報は、nドープされた領域をpドーピングで置換することによりPMOSトランジスタにも有用であり、その逆も同様である。開示される実施例は、NOR又はNANDベースのフラッシュメモリ設計に適用され得、これらにより、異なるポケット注入を、スプリットゲートフラッシュセルのそれぞれのポケット領域に用いることが可能となる。
【0016】
ステップ101は、各々が半導体表面上のトンネルゲート誘電体層上にある、第1のFG上の第1のCGと第2のFG上の第2のCGとを含む半導体表面を有する基板を提供することを含む。誘電体酸化物層などのトンネルゲート誘電体層211は、厚みが約50オングストローム~120オングストロームであり得る。トンネルゲート誘電体層は、(プログラミング又は消去の間)上にあるFGへの電荷移動を可能にするように比較的薄いが、非プログラミング及び非消去オペレーションの間、良好な電荷保持を提供するように充分に厚いように選択される。FGは、FGのトンネルゲート誘電体層により半導体表面から電気的に隔離されるので、FGに到達する電子は、電界の別の印加(例えば、EPROMにおける場合の印加される電圧又は紫外線(UV)光など)により取り除かれるまでトラップされる。
【0017】
共通ソース又は共通ドレインが、第1のCG/FGと第2のCG/FGとの間の半導体表面にある。第1の選択ゲートが、半導体表面における第1のBLソース又はドレイン(S/D)と第1のFGとの間の選択ゲート誘電体層上にある。第2の選択ゲートが、半導体表面における第2のBL S/Dと第2のFGとの間の選択ゲート誘電体層上にある。基板は、シリコン、シリコンゲルマニウム、或いは、III-V又はII-VI材料を含むその他の半導体材料を含み得、バルク基板、又はバルク基板上のエピタキシャル層を含み得る。一つの特定の配置は、シリコン基板上のシリコン/ゲルマニウム(SiGe)半導体表面である。
【0018】
第1のCG、第1のFG、第1の選択ゲート、第2のCG、第2のFG、及び第2の選択ゲートは全て、ポリシリコンゲートを含み得る。しかし、他の候補となり得るゲート材料に、CG、FG、及び選択ゲートのための金属含有ゲートのための金属が含まれる。例示のプロセス統合の間、選択ゲート(ポリシリコンゲートなど)は、CG/FGスタックの形成の後、形成される。
【0019】
ステップ102において、第1の選択ゲートのCD及び第2の選択ゲートのCDに基づいて、第1のポケット注入パラメータのセットが、第1のドーズを含んで選択され、第2のポケット注入パラメータのセットが、第2のドーズを含んで選択される。また、選択ゲート不整合データが、ポケット注入パラメータを決定するための選択ゲートCDデータの代わりに有用であり、選択ゲート不整合データは、それぞれのポケット注入パラメータを決定するために選択ゲートCDデータに変換され得る。ウェハファブにおいて、経験的相関関係が、不整合とCDとの間で確立され得る。不整合CDがゼロである場合、偶数/奇数選択ゲートCDが、「xx」ナノメートルで同じである。奇数選択ゲート方向に対する不整合が「yy」ナノメートルである場合、奇数選択ゲートCDは「xx+yy」nmであり、偶数選択ゲートCDは「xx-yy」nmである。
【0020】
ポケット注入パラメータは、ドーズ(これらは、概して異なる)、注入エネルギー、及び注入角度の少なくとも一つであり得る。MOSデバイスのためのポケットにp型ドーパント(概してボロン)が用いられる。ポケット注入ドーズは、フラッシュセルIrに対する選択ゲートCDとの明確な相関を有し、ポケットドーズは、最近のイオン注入機器により小さな範囲内で容易に制御され得及び精密に処理され得る。例示のポケット注入ドーズ範囲は、5×1012cm-2~1×1014cm-2であり、例示のポケット注入エネルギーは概して、10KeV~50KeVであり、例示の注入角度は15度~45度である(注入されている偶数又は奇数選択ゲートに関連付けられる半導体表面に対して測定される)。
【0021】
ステップ103は、第1の選択ゲートに関連付けられる第1のポケット領域への第1の注入パラメータを用いる第1のポケット注入を実施すること、及び第2の選択ゲートに関連付けられる第2のポケット領域への第2の注入パラメータを用いる第2のポケット注入を実施することを含む、双方向ポケット注入を実施することを含む。第1のポケット注入は、第1のポケット領域を形成するため第1の方向であり、第2のポケット注入は、第2のポケット領域を形成するため第2の(異なる)方向である。それぞれのポケット注入は、それぞれのポケット注入が、スプリットゲートフラッシュセルの偶数選択ゲートなど、スプリットゲートフラッシュセルの一つの選択のゲート(ポリシリコンゲートなど)により物理的にブロックされる(又は遮られる)一方で、スプリットゲートフラッシュセルの奇数選択ゲートなど、選択ゲートの他のセットをポケット注入するように、15度~50度など、充分に角度付けられる。フラッシュメモリ及び周辺CMOS回路要素を含むICを製造するプロセスでは、フラッシュLDD及びポケット注入が、CMOS回路要素にではなく、スプリットゲートフラッシュセルのチャネル領域にのみ向かうように、周辺CMOSは概して、フラッシュLDD及びポケット注入のプロセスの間、フォトレジストによりマスクされる。
【0022】
第1の注入パラメータ及び第2の注入パラメータは異なり、第1及び第2のポケット領域において異なるドーパント分布となる差(ドーズ差など)があり、これにより、第1の選択ゲートを用いるIrの測定と第2の選択ゲートを用いるIrの測定との間のスプリットゲートフラッシュセルに対するIrの変動が低減される。プログラム状態読み出し電流は比較的に非常に小さく、そのため、偶数/奇数選択ゲートIr差は概して無視し得る一方、消去状態は、選択ゲートCD差が数μA(後述の例を参照)などの比較的著しいIr差を生成し得るように、一層高い読み出し電流を有する。
【0023】
図2Aは、例示の一実施例に従った、例示のフィードフォワード双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセル200の断面図である。スプリットゲートフラッシュセル200の上のコンタクト及びメタライゼーションスタックは図示していない。スプリットゲートフラッシュセル200は、半導体表面205aを有する基板205を含む。第1のFG210及び第2のFG220が、半導体表面205a上のトンネルゲート誘電体層211上にある。第1の制御ゲート(CG)230が第1のFG210上にあり、第2のCG240が第2のFG220上にあり、第1の誘電体層234、第2の誘電体層235、及び第3の誘電体層236を含むCGとFGとの間に誘電体スタックがある。
【0024】
共通ソース又は共通ドレイン245が、第1のFG210と第2のFG220との間の半導体表面205aにあり、その上にシリサイド層231を有して示される。シリサイド層231はまた、第1のCG230、第2のCG240、第1の選択ゲート215(「偶数選択ゲート」として示される)、及び第2の選択ゲート225(「奇数選択ゲート」として示される)上にも示され、これらのゲートは、ポリシリコンゲートを含むときに概してあてはまる。
【0025】
第1の選択ゲート215は、半導体表面205aにおける第1のBLソース又はドレイン(S/D)218と第1のFG210との間の選択ゲート誘電体層216上にある。第2の選択ゲート225は、半導体表面205aにおける第2のBL S/D228と第2のFG220との間の選択ゲート誘電体層216上にある。選択ゲート誘電体層216は、(約3.9である二酸化シリコンの誘電率kに比して)少なくとも5の誘電率kを有する材料として定義される、高k誘電体層を含み得る。スペーサが、第1及び第2のFG210及び220からソースの上のシリサイド層231と、第1及び第2の選択ゲート215及び225から第1及び第2のBL218、228との間の電気的隔離を提供する、第2の誘電体層239(シリコン酸化物など)上の第3の誘電体層238(シリコン窒化物など)を含む。また、第4の誘電体層237が、CG/FGと選択ゲートとの間のスペーサの下にある。
【0026】
第1の選択ゲート215は、第2の選択ゲート225に関連付けられる第2のポケット領域227における第2のドーピング分布とは異なる第1のドーピング分布を有する第1のポケット領域217を有し、これにより、第1の選択ゲート215を用いるIrの測定と、第2の選択ゲート225を用いるIrの測定との間のスプリットゲートフラッシュセル200に対するIrの変動が低減される。第1の軽くドープされたドレイン領域219が、第1の選択ゲート215に関連付けられ、第2のLDD領域229が、第2の選択ゲート225に関連付けられる。
【0027】
図2Bは、
図2Aのフィードフォワード双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセル200の断面図であり、シリサイド層231が取り除かれており、例示の角度を示すために提供されている矢が、双方向ポケット注入を構成するそれぞれの角度付けられたポケット注入を示す。第1のポケット注入265は、第1の注入パラメータを用い、偶数選択ゲート215として示される第1の選択ゲートに関連付けられる第1のポケット領域に注入され、第2のポケット注入270は、奇数選択ゲート225として示される第2の選択ゲートに関連付けられる第2のポケット領域に注入される第2の注入パラメータを用いる。第1のポケット注入265及び第2のポケット注入275に対して示される異なる数の矢は、これら2つの注入間の注入ドーズ差を示すために提供されている。上述のように、ポリシリコンゲートは注入マスクとして機能し得(そのため、フォトレジストが不要である)、第1のポケット注入265が、奇数選択ゲート225として示される第2の選択ゲートに関連付けられる第2のポケット領域に入らないようにし、第2のポケット注入275が、偶数選択ゲート215として示される第1の選択ゲートに関連付けられる第1のポケット領域に入らないようにする。
【0028】
図3は、不揮発性メモリ372を含む基板205の半導体表面205aの中及び上に形成される、モノリシックICプロセッサチップコンビネーション(ICコンビネーション)300のブロック図表現であり、例示の一実施例に従った、相互接続される開示される双方向ポケット注入されたスプリットゲートフラッシュセル200のアレイを含む。スプリットゲートフラッシュセル200間の接続は、ビット線に平行であり得、そのため、各セルは、個別に読み出し/書き込み/消去され得、又は直列に接続され得るようになっている。オンチップフラッシュメモリは、それが、大抵、中央処理装置(CPU又はプロセッサ)375のための全ての命令の源であるため、任意の用途において恐らく最も重要なメモリ要素である。命令が効率的にフェッチされない場合、全体的なプロセッサ性能が損なわれがちである。ICコンビネーション300は、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、又はマイクロコントローラユニット(MCU)を含み得る。
【0029】
図示していないが、ICコンビネーション300は、概して、USB(ユニバーサルシリアルバス)コントローラ及びトランシーバなど、他の集積回路モジュールを含む。また、ICコンビネーション300は、揮発性データメモリ373、デジタルI/O(インタフェース)374、クロック(又はタイマー)376、デジタルデータバス378、及びアドレスバス379を含んで示されている。
例
【0030】
開示される実施例を、更に以下の非制限的例で例示する。
【0031】
図4は、ウェハにわたるフラッシュセルに対する正規化されたIr分布データを示す。このようなデータは、45msに対して12.5Vの消去電圧を印加した後の消去された状態における表及びグラフ形態での偶数奇数選択ゲート読み取り値に対する正規化を備える、実際のデータである。グラフにおけるy軸は正規変位値(normal quantile)である。偶数及び奇数選択ゲートフラッシュセル平均Ir読み取り値は、いずれも約5%のみ異なる。この差は、主として、偶数及び奇数選択ゲート間の選択ゲート(ポリシリコンなど)CD差に起因する。
【0032】
FGスタック上のFG又はCGに対する選択ゲートフォトアライメント誤差は、偶数及び奇数選択ゲート(ポリシリコンゲートなど)CD変動を生成する。(上述のような)整合誤差は、偶数及び奇数選択ゲートCDに変換され得るか、又は奇数/偶数選択ゲートCD変動はインラインで直接測定され得る。インラインの偶数及び奇数選択ゲートCDに基づいて、後続の双方向ポケット注入ドーズは、異なるドーズとなるよう調節され得る。例えば、より長い選択ゲート(奇数選択ゲートなど)が、より軽いポケット注入ドーズを受けることができ、より短い選択ゲート(偶数選択ゲートなど)が、約5%多いなどのより重いポケット注入ドーズを受けることができる。
【0033】
ポケット注入(ドーズなど)差はロット全体の全てのウェハに適用され得、或いは、各ウェハがカスタマイズされたポケット注入を受け得る。そのため、選択ゲート偶数及び奇数平均Ir差は、低減され得、低減された標準偏差を有する組み合わされたスプリットゲートフラッシュセル分布を生成し得る。その結果、偶数選択ゲートCD及び奇数選択ゲートCD平均Ir差が低減され、組み合わされたスプリットゲートフラッシュセルIr分布が、一層低い標準偏差を有する。タイトにされた消去スプリットゲートフラッシュセルIr分布が、フラッシュ設計及びプロセスマージンを改善する。
【0034】
図5は、正規化されたIr対選択ゲートCDのグラフであり、(テストされる特定のスプリットゲートフラッシュセル設計では)増大する選択ゲートCDと共にIrが単調に増加することを明示する。他のセル設計が逆のトレンドを有し得る。Irが、増大する選択ゲートCDと共に単調に増加する場合、奇数選択ゲートは、一つの特定の例において2%~8%高いドーズなど、偶数選択ゲートに比べて高いドーズでポケット注入され得る。
【0035】
開示される実施例は、種々の異なるデバイス及び関連する製品を形成するために種々のアッセンブリフローに統合され得る半導体ダイを形成するために有用である。半導体ダイは、その中の種々の要素及び/又はその上の層を含み得る。これらは、障壁層、誘電体層、デバイス構造、或いは、ソース領域、ドレイン領域、ビット線、ベース、エミッタ、コレクタ、導電性線、導電性ビアなどを含む能動要素及び受動要素を含み得る。また、半導体ダイは、バイポーラ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、CMOS、BiCMOS、及びMEMSを含む種々のプロセスから形成され得る。
【0036】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。