(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】無軸スクリュー搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 33/26 20060101AFI20230314BHJP
B65G 33/14 20060101ALI20230314BHJP
A23N 7/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B65G33/26
B65G33/14
A23N7/00 Z
(21)【出願番号】P 2018068480
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】514306456
【氏名又は名称】株式会社新光工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 経雄
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-225134(JP,A)
【文献】特開2008-043226(JP,A)
【文献】特開昭63-117813(JP,A)
【文献】特開昭54-159984(JP,A)
【文献】特開昭56-088017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 33/00-33/38
A23N 1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮除去機と、
前記皮除去機の下方に配置される、無軸スクリュー羽根と、
前記無軸スクリュー羽根をその内部に収納するトラフと、
前記無軸スクリュー羽根の外径端部と前記トラフの内壁面との間に配置されるライナーと、を備え、
(1)無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最下位端部から当該垂直線(z)上のライナーの内面の最下点(z0)までの間隔(d0)が0~1.0mmであり、
(2)前記無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る水平線(x)上の無軸スクリュー羽根外径の左端部からライナー左内壁面までの間隔(d2)あるいは当該水平線上のライナーがない場合におけるトラフ左内壁面までの間隔(d2)、および/または無軸スクリュー羽根外径の右端部からライナー右内壁面までの間隔(d1)あるいは当該水平線上のライナーがない場合におけるトラフ右内壁面までの間隔(d1)を1としたときに、無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最上位端部から当該垂直線(z)上の前記皮除去機あるいはトラフカバーの底面までの間隔(d3)が1.5倍~3.0倍である、
無軸スクリュー搬送装置。
【請求項2】
前記皮除去機の長手方向と、前記無軸スクリュー搬送装置の長手方向が平行になるように配置されている、請求項1に記載の無軸スクリュー搬送装置。
【請求項3】
前記皮除去機における野菜の移動方向と、前記無軸スクリュー搬送装置における被搬送物の搬送方向が互いに逆向きである、請求項1または2に記載の無軸スクリュー搬送装置。
【請求項4】
前記請求項1~3のいずれか一項に記載の無軸スクリュー搬送装置であって、少なくとも1以上の皮除去機を備える第一無軸スクリュー搬送装置と、
前記第一無軸スクリュー搬送装置の被搬送物が排出される第一出口部に対応して連結される少なくとも1以上の第二入口部と、長尺方向出口側あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側と反対の羽根先端側に配置され、かつ被搬送物を排出する第二出口部とを有する第二無軸スクリュー搬送装置とを有する野菜の皮除去搬送システム。
【請求項5】
長尺方向入口側あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側に配置され、かつ被搬送物が投入される第三入口部と、前記第二無軸スクリュー搬送装置の前記第二出口部に対応して連結される中間入口部と、被搬送物を排出する第三出口部とを有する第三無軸スクリュー搬送装置をさらに有する請求項
4に記載の野菜の皮除去搬送システム。
【請求項6】
長尺方向出口側あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側と反対の羽根先端側に配置され、かつ前記第三無軸スクリュー搬送装置の前記第三出口部に対応して連結される第四入口部と、長尺方向入口側あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側に配置され、かつ被搬送物を排出する第四出口部とを有する第四無軸スクリュー搬送装置を有する請求項
5に記載の野菜の皮除去搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、野菜の剥き皮を搬送するための無軸スクリュー搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
皮むき機あるいは皮剥ぎ機で、取り除かれた剥き皮は、一旦コンテナに収納され、一定量が溜まった後、そのコンテナを人が粉砕機まで運んでおり、大変な重労働であった。
根菜類の野菜の場合、ある程度の土がその表面に付着しており、皮むき機において水を供給しながら皮剥きを行うことが一般的である。
皮むき機あるいは皮剥ぎ機の前工程において、野菜を水洗浄する場合には、野菜に水が付着している状態となっている。
【0003】
特許文献1には、ごみを地階から地上へ搬送するのに無軸スクリューコンベアを利用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1は、有軸スクリューコンベアから無軸スクリューコンベアに変更することで、ごみ袋を破砕して生じるごみ詰まりを低減できることを開示しているに過ぎない。
【0006】
本発明の第一の目的は、野菜の剥き皮を好適に搬送することができる、無軸スクリュー搬送装置を提供することである。また、第二の目的は、野菜の剥き皮を好適に搬送することができる、皮除去機を備える無軸スクリュー搬送装置を提供することである。第三の目的は、野菜の剥き皮を好適に搬送することができる、野菜の皮除去搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無軸スクリュー搬送装置は、
無軸スクリュー羽根と、
前記無軸スクリュー羽根をその内部に収納するトラフと、
前記無軸スクリュー羽根の外径端部と前記トラフの内壁面との間に配置されるライナーと、を有する。
無軸スクリュー搬送装置は、前記トラフを覆うトラフカバーを有していてもよい。
【0008】
前記ライナーの内面(無軸スクリュー羽根の外径端部側の面)あるいはトラフカバーと前記無軸スクリュー羽根との間隔は、(1)無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最下位端部から当該垂直線(z)上のライナーの内面の最下点(z0)までの間隔(d0)が0mmであり、(2)前記無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る水平線(x)上の無軸スクリュー羽根外径の左端部
からライナー左内壁面までの間隔(d2)あるいは当該水平線上のライナーがない場合におけるトラフ左内壁面までの間隔(d2)、および/または無軸スクリュー羽根外径の右端部からライナー右内壁面までの間隔(d1)あるいは当該水平線上のライナーがない場合におけるトラフ右内壁面までの間隔(d1)を1としたときに、無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最上位端部から当該垂直線(z)上のトラフカバーの内面までの間隔(d3)が1.5倍~3.0倍であってもよい(符号は
図4参照)。
前記d1(=d2)が、例えば10~40mmの範囲、好ましくは12~30mmの範囲、より好ましくは15~25mmの範囲であってもよい。
ライナーは、無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る水平線より下方に配置されていてもよく、水平線より上方にまで配置されていてもよい。水平線よりも上方に配置されているほうが好ましい。
トラフは、その断面がUの字状であってもよい。
トラフカバーは、平面状、U字状であってもよい。
【0009】
前記ライナーの内面( 無軸スクリュー羽根の外径端部側の面)あるいはトラフカバーと前記無軸スクリュー羽根との間隔は、(1)無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最下位端部から当該垂直線(z)上のライナーの内面の最下点(z0)までの間隔(d0)が0mm(接触している状態)~1.0mmの範囲であり、(2)前記無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る水平線(x)上の無軸スクリュー羽根外径の左端部
からライナー左内壁面までの間隔(d2)あるいは水平線上にライナーがない場合におけるトラフの左内壁面までの間隔(d2)、および/または無軸スクリュー羽根外径の右端部からライナー右内壁面までの間隔(d1)あるいは水平線上にライナーがない場合におけるトラフの右内壁面までの間隔(d1)が15mm~25mmの範囲であり、(3)無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最上位端部から当該垂直線(z)上のトラフカバーの内面までの間隔(d3)が40mm~60mmの範囲であってもよい。(符号は
図4参照)。
【0010】
前記無軸スクリュー羽根の外径(r1)とピッチ(p)の関係が、外径1に対し、ピッチが1~3/4の範囲、好ましくは1~2/3の範囲であってもよい。
前記無軸スクリュー羽根の外径(r1)が、80mm~600mmであり、前記無軸スクリュー羽根のピッチ(p)が、60mm~450mmであってもよい。また、前記無軸スクリュー羽根の外径(r1)が、600mm~800mmであり、前記無軸スクリュー羽根のピッチが、450mm~600mmであってもよい。
【0011】
前記無軸スクリュー羽根の内径(r2)が、30mmから500mmの範囲であってもよい。内径(r2)と羽根幅(w)との和が外径(r1)であり、または(r2+w≒r1)であり、ここでwが径方向から垂直に伸びておらず傾斜している場合にはr1の方が小さい。二枚羽根の場合において、内径(r2)と羽根幅(w)の2倍との和が外径(r1)である。または(r2+w×2≒r1)であり、ここでwが径方向から垂直に伸びておらず傾斜している場合にはr1の方が小さい。
【0012】
無軸スクリュー羽根は、断面矩形であり、羽根の厚み(t)は例えば、10mm~35mmの範囲であり、羽根幅(w)は例えば、30mm~80mmの範囲である。スクリュー羽根の外径(r1)が大きくなるほど羽根幅(w)、羽根厚み(t)も大きい値に設定してもよい。水分含有被搬送物の物性および/または単位時間あたりの搬送量(スクリューの回転速度)に応じて、スクリュー羽根外径およびピッチを設定してもよい。
【0013】
無軸スクリュー搬送装置は、駆動部を有し、駆動部は、モータ、変速ギア、連結手段、制御装置、電源などで構成されていてもよい。
【0014】
無軸スクリュー羽根の外径の誤差(公差)は±5mm以内が好ましく、±4mm以内がより好ましく、±3mm以内がさらに好ましい。間隔(d1、d2)の2倍よりも外径の誤差は小さいことが好ましい。トラフの長手方向の直線誤差(公差)、内径の誤差(公差)は、±3mm以内が好ましく、±2mm以内がより好ましく、±1mm以内がさらに好ましい。無軸スクリュー羽根の外径の誤差およびトラフの直線誤差、内径誤差があっても、実質的に上記間隔(d1、d2)の範囲は維持されるように構成される。また、ライナーによっても誤差を調整できる。
【0015】
無軸スクリュー羽根および/またはトラフとトラフカバーの原材料となる鋼材としては、例えば、一般構造用圧延鋼材(SS330、SS400、SS490、SS540など)、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCD、SPCE、SPCF、SPCGなど)、炭素鋼鋼材(S25C、S30C、S35C、S45C、S50C、S55Cなど)、熱間または冷間圧延ステンレス鋼板(SUS304,SUS316,SUS430,SUS410など)、耐摩耗鋼板(スエーデンスチール社のハードックス(HARDOX(登録商標))、JFEスチール社のエバーハード(EVERHARD(登録商標))など)、高張力鋼板(SM570、SMA570Wなど)、TMCP型高張力鋼板(SM570TMC、SMA570WTMCなど)が挙げられる。
【0016】
スクリュー羽根および/またはトラフとトラフカバーの原材料となる鋼材としては、一般構造用圧延鋼材(SS400)よりも高強度(高引張強度)の鋼材が好ましい。耐摩耗性、耐久性の観点で好ましい。SS400の場合、長時間使用(例えば6ケ月、7時間/日)でスクリュー羽根の全長が初期値と比較して10%~15%程度縮むが、SS400よりも高強度(高引張強度)のステンレス鋼板、耐摩耗鋼板(スエーデンスチール社のハードックス(HARDOX(登録商標))、JFEスチール社のエバーハード(EVERHARD(登録商標))などは、縮みの程度が極めて小さい。
【0017】
ライナーは、プラスチック材料、鋼、ステンレス鋼などで構成されていてもよい、プラスチック材料としては、例えば、ポリスチレン系、ビニル系、ポリプロピレン、ポリアセタール、アクリル系、ポリアミド系の樹脂を使用してもよく、ポリエチレンが好ましく、超高分子量ポリエチレンがより好ましい。
【0018】
他の発明の皮除去機を備える無軸スクリュー搬送装置は、
皮除去機(例えば、皮むき機あるいは皮剥ぎ機)と、
前記皮除去機の下方に配置される、無軸スクリュー羽根と、
前記無軸スクリュー羽根をその内部に収納するトラフと、
前記トラフの内壁面に配置されるライナーと、を有する。
無軸スクリュー搬送装置は、前記剥き皮を受け入れるための入口開口部を有し、かつ前記トラフを覆うトラフカバーを有していてもよい。
皮むき機から排出される剥き皮は、自然落下で無軸スクリュー羽根の上に投入されてもよく、滑り台状の渡り部が介在していてもよい。
【0019】
前記皮除去機は、
ケーシングと、
野菜を投入する投入部と、
皮が剥かれた野菜を皮除去機から送る出口部と、
野菜を所定方向に回転あるいは自転させながら前記出口部方向に移動させる移動機構と、
野菜の皮を剥く皮除去機構(例えば、刃で皮をむく機構、互いに逆回転する一対のローラで皮を剥ぎ機構など)と、
剥き皮を下方に排出する排出部と、を有していてもよい。
前記刃で皮をむく機構は、単一の刃あるいは一対の刃を所定運動させる刃運動機構を有していてもよく、従来公知の機構でもよい。
前記皮を剥ぎ機構は、一対のローラを互いに逆回転させることで皮を剥ぐ機構であってもよく、従来公知の機構でもよい。
前記皮除去機は、液体を導入する液体導入部を少なくとも1つまたは2つ以上有していてもよい。
前記皮除去機は、投入側から出口側へ上方に向かって所定角度傾斜していてもよい。所定角度は、1°~20°であってもよく、好ましくは5°~15°、より好ましくは8°から12°であってもよい。
ケーシングの投入側は、液体が溜まる空間を有する。
ケーシングの投入側で液体が溜まることで、野菜を洗浄させながら移動および皮除去を効果的に行える。
【0020】
前記皮除去機の長手方向と、前記無軸スクリュー搬送装置の長手方向が平行になるように配置されていてもよい。
前記皮除去機における野菜の移動方向と、前記無軸スクリュー搬送装置における被搬送物の搬送方向が互いに逆向きであってよい。
【0021】
他の発明の野菜の皮除去搬送システムは、
少なくとも1以上の皮除去機を備える第一無軸スクリュー搬送装置と、
少なくとも1以上の皮除去機を備える第一無軸スクリュー搬送装置の被搬送物が排出される第一出口部に対応して連結される少なくとも1以上の第二入口部と、長尺方向出口側(あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側と反対の羽根先端側)に配置され、かつ被搬送物を排出する第二出口部とを有する第二無軸スクリュー搬送装置、を有する。
前記野菜の皮除去搬送システムは、長尺方向入口側(あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側)に配置され、かつ被搬送物が投入される第三入口部と、前記第二無軸スクリュー搬送装置の前記第二出口部に対応して連結される中間入口部と、被搬送物を排出する第三出口部とを有する第三無軸スクリュー搬送装置と、を有していてもよい。
前記第二無軸スクリュー搬送装置の前記第二出口部に対応して連結される中間入口部が、第三入口部であってもよい。この場合、中間入口部はなくてもよい。
前記野菜の皮除去搬送システムは、長尺方向出口側(あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側と反対の羽根先端側)に配置され、かつ前記第三無軸スクリュー搬送装置の前記第三出口部に対応して連結される第四入口部と、長尺方向入口側(あるいは無軸スクリュー羽根の駆動側)に配置され、かつ被搬送物を排出する第四出口部とを有する第四無軸スクリュー搬送装置を有していてもよい。
第二、第三、第四無軸スクリュー搬送装置は、無軸スクリュー羽根と、無軸スクリュー羽根をその内部に収納するトラフと、無軸スクリュー羽根の外径端部とトラフの内壁面との間に配置されるライナーと、トラフを覆うトラフカバーを有していてもよい。
前記野菜の皮除去搬送システムは、前記第二無軸スクリュー搬送装置の前記第二出口部、前記第三無軸スクリュー搬送装置の前記第三出口部または前記第四無軸スクリュー搬送装置の第四出口部から排出された被搬送物を粉砕する粉砕機を有していてもよい。
前記野菜の皮除去搬送システムは、皮除去機に投入される野菜を予め洗浄する洗浄機を有していてもよい。
【0022】
野菜は、特に制限されないが、根菜類、土物類、葉茎菜類などが挙げられる。根菜類としては、例えは、ごぼう、ニンジン、大根、レンコン、ピーツ、かぶなどが挙げられる。土物類としては、じゃがいも、さつまいも、山芋、さといも、たまねぎなどが挙げられる。葉茎菜類としては、例えばキャベツ、白菜、ねぎ、トレビスなどが挙げられる。
【0023】
剥き皮の長手方向の長さは、野菜の種類によって異なるが、短い剥き皮で5~10cm、中程度の長さの剥き皮で10~15cmあるいは15~20cm、長い剥き皮で40~60cm程度であり、しかしながら特にこれらサイズに制限されない。
野菜の長手方向長さあるいは剥き皮の長さに比例して、皮除去機および無軸スクリュー搬送装置の長手方向長さが大きくなってもよい。
【0024】
[発明の効果]
本発明の無軸スクリュー搬送装置は、野菜の剥き皮を好適に搬送することができる。
また、野菜の根、上皮などの廃棄物も好適に搬送できる。
また、野菜のカッティング物(製品として出荷するいわゆるカット野菜)も好適に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】皮除去機を備える無軸スクリュー搬送装置の概略図である。
【
図4】無軸スクリュー羽根とライナーとの間隔を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態1)
図1から3を参照しながら本実施形態の野菜の皮除去搬送システムを説明する。本実施形態において、野菜としてはごぼうであるが、特にこれに制限されない。皮除去機をごぼうから別の野菜の皮除去機にすることで対応できる。本実施形態において皮除去機は、刃でごぼうの皮をカットする皮むき機である。
【0027】
野菜の皮むき搬送システム100は、少なくとも1以上の皮むき機2を備える第一無軸スクリュー搬送装置1を備える。本実施形態において、皮むき機2を備える第一無軸スクリュー搬送装置1は、6台が並列配置され、その内の3台は長手方向長さが短く、他の3台は長手方向長さがそれよりも長い。これはごぼうの長さに応じて皮むき機2の長手方向長さが調整されている。従って、この実施形態に制限されず、台数および長さは適宜設定されるものであり、また、並列配置に制限されるものでもない。
【0028】
野菜の皮除去搬送システム100は、少なくとも1以上の皮むき機2を備える無軸スクリュー搬送装置1の被搬送物(剥き皮)の第一出口部16に対応して連結される少なくとも1以上の第二入口部31と、被搬送物(剥き皮)を排出する第二出口部32とを有する第二無軸スクリュー搬送装置3を有する。
第二無軸スクリュー搬送装置3は、無軸スクリュー羽根と、無軸スクリュー羽根をその内部に収納するトラフ34と、無軸スクリュー羽根の外径とトラフ34の内壁面との間に配置されるライナー34と、トラフ34を覆うトラフカバー35を有する。本実施形態において、第二入口部31は、6台分の第一出口部16に対応して6つあり、トラフ34の側面に形成される。また、第二出口部32は、無軸スクリュー羽根の駆動側と反対の無軸スクリュー羽根の長手方向先端側に配置される。
第二無軸スクリュー搬送装置3は、被搬送物(剥き皮)と共に搬送されてきた水分を排水するために、第二出口部32の手前(あるいは近傍)にメッシュ状の排水口33を有する。排水口33は、第二無軸スクリュー搬送装置3のトラフ34の底部に形成される。
【0029】
野菜の皮除去搬送システム100は、被搬送物が投入される第三入口部51と、第二無軸スクリュー搬送装置3の第二出口部32に対応して連結される中間入口部52と、被搬送物(剥き皮)を排出する第三出口部53を有する第三無軸スクリュー搬送装置5を有する。
第三無軸スクリュー搬送装置5は、無軸スクリュー羽根と、無軸スクリュー羽根をその内部に収納するトラフと、無軸スクリュー羽根の外径とトラフの内壁面との間に配置されるライナーと、トラフを覆うトラフカバーを有する。本実施形態において第三入口部51は、無軸スクリュー羽根の駆動側に配置される。第三入口部51には、野菜の切り屑(例えば根、外表皮など)が投入される。中間入口部52から、第二無軸スクリュー搬送装置3から送られた被搬送物(剥き皮)が送り込まれ、中間入口部52において、野菜の切り屑と剥き皮とが共に搬送方向下流の第三出口部53へ送られる。
第三入口部51は、第三無軸スクリュー搬送装置5のトラフカバーに形成された開口であってもよく、その開口に連結される投入ホッパを含むものでもよい。
第三出口部53は、第三無軸スクリュー搬送装置5のトラフの長手方向端部が開口して形成される。
【0030】
野菜の皮除去搬送システム100は、無軸スクリュー羽根の駆動側と反対の羽根先端側に配置され、かつ前記第三無軸スクリュー搬送装置5の第三出口部53に対応して連結される第四入口部61と、無軸スクリュー羽根の駆動側に配置され、かつ被搬送物を排出する第四出口部62とを有する第四無軸スクリュー搬送装置6を有する。
第四無軸スクリュー搬送装置6は、無軸スクリュー羽根と、無軸スクリュー羽根をその内部に収納するトラフと、無軸スクリュー羽根の外径とトラフの内壁面との間に配置されるライナーと、トラフを覆うトラフカバーを有する。
第四無軸スクリュー搬送装置6の第四出口部62から排出された被搬送物を粉砕する粉砕機7が、第四出口部62に連結される。第四出口部62は、第四無軸スクリュー搬送装置6のトラフ底面に形成された開口であってもよく、その開口に連結される排出配管を含むものでもよい。
第三出口部53の形状に対応するように、第四入口部61は、第四無軸スクリュー搬送装置6のトラフの長手方向端部が開口して形成される。
本実施形態では、粉砕機7へ被搬送物を投入するために、第四無軸スクリュー搬送装置6は、その被搬送部の搬送方向に向かって上方に所定角度傾斜しているが、これに限定されるものではない。
【0031】
本実施形態において、第二、第三、第四無軸スクリュー搬送装置の無軸スクリュウ羽根とトラフおよびトラフカバーとの間隔は以下の通りである。
(1)無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最下位端部から当該垂直線(z)上のライナーの内面の最下点(z0)までの間隔(d0)が0mm(接触している状態)である。
(2)前記無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る水平線(x)上の無軸スクリュー羽根外径の左端部からライナー左内壁面までの間隔(d2)、および無軸スクリュー羽根外径の右端部からライナー右内壁面までの間隔(d1)が15mm~25mmの範囲である。
(3)無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最上位端部から当該垂直線(z)上のトラフカバーの内面までの間隔(d3)が40mm~60mmの範囲である。
【0032】
本実施形態において、第二、第三、第四無軸スクリュー搬送装置の無軸スクリュウ羽根の外径、ピッチ、内径は以下の通りである。
無軸スクリュー羽根の外径(r1)が227mmmmであり、無軸スクリュー羽根のピッチ(p)が227mmである。無軸スクリュー羽根の内径(r2)が177mmである。羽根の厚み(t)は20mm、羽根幅(w)は50mmである。
【0033】
本実施形態において、第一、第二、第三、第四無軸スクリュー搬送装置は、駆動部を有し、駆動部は、モータ、変速ギア、連結手段、制御装置、電源などで構成されている。
また、第一、第二、第三、第四無軸スクリュー搬送装置は、点検窓(不図示)が形成されているが、これに制限されない。
また、野菜の皮除去搬送システム100は、皮むき機2に投入される野菜を洗浄する洗浄機(不図示)が、皮むき機2の近傍に配置されるが、これに限定されるものではない。
図1、2、3において、無軸スクリュー羽根を破線で示し、中間部分を省略しているが入口から出口に掛けて無軸スクリュー羽根は連続して設けられている。
図1の平面図において、第一無軸スクリュー搬送装置1の上部に皮むき機2が配置されるが、図面では省略している。
【0034】
皮むき機2を備える第一無軸スクリュー搬送装置1を説明する。
皮むき機2を備える第一無軸スクリュー搬送装置1は、皮むき機2と、皮むき機2の下方に配置される無軸スクリュー羽根11と、無軸スクリュー羽根11をその内部に収納するトラフ(12a、12b)と、トラフ(12a、12b)の内壁面に配置されるライナー13と、を有する。
【0035】
本実施形態において、上部トラフ12aと下部トラフ12bは、連結部14で連結される。上部トラフ12aと下部トラフ12bの連結位置においてそれぞれフランジ部を有し、フランジ部がボルトナット(連結部14)で支持脚15に固定される。上部トラフ12aと下部トラフ12bは、断面U字状に形成される。トラフは、上部トラフ12aと下部トラフ12bの2パーツに限定されず、1パーツで構成されていてもよい。
本実施形態において、ライナー13は、その断面が半円弧状であり、超高分子量ポリエチレン製である。第二、第三、第四無軸スクリュー搬送装置のライナーも同様に高密度ポリエチレン製である。
【0036】
本実施形態において、ライナー13の内面と無軸スクリュー羽根11との間隔は以下の通りである。
(1)無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る垂直線(z)上の無軸スクリュー羽根外径の最下位端部から当該垂直線(z)上のライナーの内面の最下点(z0)までの間隔(d0)が0mm(接触している状態)である。
(2)前記無軸スクリュー羽根の回転軸中心を通る水平線(x)上の無軸スクリュー羽根外径の左端部からライナー左内壁面までの間隔(d2)、および無軸スクリュー羽根外径の右端部からライナー右内壁面までの間隔(d1)が15mm~25mmの範囲である。
無軸スクリュー羽根11の回転軸中心を通る垂直線上の羽根最外径(端部)と当該垂直線上のライナー13の内面が接触している状態は、初期運転および運転時も維持される。
この間隔(d0)が0.1~1mmの範囲であってもよい。
【0037】
本実施形態において、無軸スクリュウ羽根11の外径、ピッチ、内径は以下の通りである。
無軸スクリュー羽根11の外径(r1)が227mmmmであり、無軸スクリュー羽根のピッチ(p)が151mmである。無軸スクリュー羽根の内径(r2)が177mmである。羽根の厚み(t)は20mm、羽根幅(w)は50mmである。
【0038】
本実施形態において、トラフカバーはなく、皮むき機2が上部トラフ12aの開口を覆う構成である。
【0039】
皮むき機2は、ケーシング22と、ごぼうを投入する投入部21と、皮が剥かれたごぼうを皮むき機から送る出口部23と、ごぼうを所定方向に回転あるいは自転させながら出口部方向に移動させる移動機構(不図示)と、ごぼうの皮を剥く皮むき機構(不図示)と、剥き皮を下方に排出する排出部(不図示)とを有する。
皮むき機構は、刃と刃を所定運動させる刃運動機構を有する。皮むき機2は、水を導入する水導入部(不図示)を少なくとも1つまたは2つ以上有する。
本実施形態において、皮むき機2の移動機構および皮むき機構は、投入部21から出口部23へ上向き所定角度傾斜している。本実施形態では、所定角度は10°である。ケーシング22の投入側で水が溜まることで、ごぼうを洗浄させながら移動および皮むきを効果的に行える。
【0040】
本実施形態において、皮むき機2の長手方向と、第一無軸スクリュー搬送装置1の長手方向が平行になるように配置されている。
また、皮むき機2におけるごぼうの移動方向と、第一無軸スクリュー搬送装置1における被搬送物(剥き皮)の搬送方向が互いに逆向きになっている。
【0041】
[実施例]
野菜として、ごぼう、にんじん、じゃがいもを用いた。
剥き皮の単位時間当たりの搬送量を時間あたり2トンに設定して野菜の皮むきを実施した。皮むき機は、野菜の種類に応じて機種を選定した。
無軸スクリュー羽根の外径、内径、ピッチは、剥き皮の長さに対応して設定した。
【0042】
表1に、第一無軸スクリュー搬送装置1の無軸スクリュー羽根11の一例を示す。
【表1】
【0043】
表2に、第二、第三、第四無軸スクリュー搬送装置3、5、6、の無軸スクリュー羽根の一例を示す。
【表2】
【0044】
ごぼう、にんじん、じゃがいものいずれにおいても、搬送詰まり、機械異常(例えば、過大な負荷、羽根破損など)など起こすことなく、剥き皮を搬送することができた。
【符号の説明】
【0045】
1 第一無軸スクリュー搬送装置
2 皮むき機
3 第二無軸スクリュー搬送装置
5 第三無軸スクリュー搬送装置
6 第四無軸スクリュー搬送装置
11 無軸スクリュー羽根
12a 上部トラフ
12b 下部トラフ
13 ライナー
100 野菜の皮除去搬送システム。