IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NEC東芝スペースシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図1
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図2
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図3
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図4
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図5
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図6
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図7
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図8
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図9
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図10
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図11
  • 特許-検査装置、及び検査方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】検査装置、及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/10 20140101AFI20230314BHJP
   H02S 50/15 20140101ALI20230314BHJP
【FI】
H02S50/10
H02S50/15
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019060397
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020162324
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】301072650
【氏名又は名称】NECスペーステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】蛯沢 智也
(72)【発明者】
【氏名】吉永 忠
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107462800(CN,A)
【文献】特開2016-220471(JP,A)
【文献】特開2013-098411(JP,A)
【文献】特開2002-203978(JP,A)
【文献】特開2016-165221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 50/00-50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイパスダイオードが接続された太陽電池のコネクタに接触させるためのプローブと、
前記プローブを介して、前記太陽電池に対し、前記太陽電池が発生する電流と逆の方向である順方向に電流を流す第1電源部と、
前記順方向に電流を流したときの前記太陽電池の発光状態を示す第1撮像画像を撮像する第1撮像部と、
前記第1撮像画像を解析する第1解析部と、
前記太陽電池が発生する電流と同じ方向である逆方向に、前記プローブを介して前記太陽電池に対し電流を流す第2電源部と、
前記逆方向に電流を流したときの前記太陽電池の温度を示す第2撮像画像を撮像する第2撮像部と、
前記第2撮像画像を解析する第2解析部と、
を備え
前記プローブと前記コネクタとが接触した状態で、前記第1電源部および前記第2電源部の何れから電流を流すかを切り替える
検査装置。
【請求項2】
前記太陽電池を設置する金属板を備え、
前記第1電源部及び前記第2電源部は、前記金属板を介して前記太陽電池と電気的に接続する
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記プローブは、前記金属板に設置された前記太陽電池のコネクタと自動的に接触する
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記第1解析部は、前記第1撮像画像において前記太陽電池の発光部分が全体に対し所定割合以上である場合に太陽電池の通電性が正常であると判定し、発光部分が全体に対し所定割合未満である場合に太陽電池の通電性が異常であると判定する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記第2解析部は、前記第2撮像画像において前記太陽電池全体として温度が所定の閾値以下である場合に前記バイパスダイオードが正常に機能していると判定する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記第1解析部は、前記第1撮像画像に基づいて前記太陽電池におけるクラックの有無を判定する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
バイパスダイオードが接続された太陽電池のコネクタに接触させるためのプローブと、
前記プローブを介して、前記太陽電池に対し、前記太陽電池が発生する電流と逆の方向である順方向に電流を流し、
前記順方向に電流を流したときの前記太陽電池の発光状態を示す第1撮像画像を撮像し、
前記第1撮像画像を解析し、
前記太陽電池が発生する電流と同じ方向である逆方向に、前記プローブを介して前記太陽電池に対し電流を流し、
前記逆方向に電流を流したときの前記太陽電池の温度を示す第2撮像画像を撮像し、
前記第2撮像画像を解析し、
前記プローブと前記コネクタとが接触した状態で、電流を流す方向を切り替える
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池から電流を取り出すために、太陽電池にコネクタを接続する必要があるが、人口衛星用の太陽電池においては、信頼性の確保のために、太陽電池とコネクタとを抵抗溶接にて接続している。また太陽電池の保護のために、太陽電池にバイパスダイオードも接続している。人工衛星においてはその試用期間が長いこと、また一度宇宙空間に出てしまうと、修理が不可能であるため、太陽電池の信頼性が重要となっている。そこでコネクタ溶接後の太陽電池の性能に問題が無いかを確認する必要がある。
【0003】
特許文献1には、EL(electroluminescence)発光法による検査とサーモグラフによる検査とを用いて太陽電池セルの欠陥の検査をする技術が記載されている。また特許文献2には、太陽電池を構成する太陽電池素子を加熱し、加熱によって太陽電池素子から生じる光の発光特性を検出して、太陽電池の性能評価を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2007/129585号
【文献】特開2013-098411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した関連する技術では、EL検査とIR(infrared)検査とを別々の検査装置で実施する必要があるため、作業に時間がかかる。また、それぞれ専用の検査装置を使用することにより、検査装置のスペースが大きくなり、高額な設備となってしまうことが課題であった。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる検査装置、及び検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、検査装置は、バイパスダイオードが接続された太陽電池のコネクタに接触させるためのプローブと、前記プローブを介して、前記太陽電池に対し、前記太陽電池が発生する電流と逆の方向である順方向に電流を流す第1電源部と、前記順方向に電流を流したときの前記太陽電池の発光状態を示す第1撮像画像を撮像する第1撮像部と、前記第1撮像画像を解析する第1解析部と、前記太陽電池が発生する電流と同じ方向である逆方向に、前記プローブを介して前記太陽電池に対し電流を流す第2電源部と、前記逆方向に電流を流したときの前記太陽電池の温度を示す第2撮像画像を撮像する第2撮像部と、前記第2撮像画像を解析する第2解析部と、を備え、前記プローブと前記コネクタとが接触した状態で、前記第1電源部および前記第2電源部の何れから電流を流すかを切り替えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、検査方法は、バイパスダイオードが接続された太陽電池のコネクタに接触させるためのプローブと、前記プローブを介して、前記太陽電池に対し、前記太陽電池が発生する電流と逆の方向である順方向に電流を流し、前記順方向に電流を流したときの前記太陽電池の発光状態を示す第1撮像画像を撮像し、前記第1撮像画像を解析し、前記太陽電池が発生する電流と同じ方向である逆方向に、前記プローブを介して前記太陽電池に対し電流を流し、前記逆方向に電流を流したときの前記太陽電池の温度を示す第2撮像画像を撮像し、前記第2撮像画像を解析し、前記プローブと前記コネクタとが接触した状態で、電流を流す方向を切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば1台の検査装置でEL検査とIR検査との両方を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による検査装置の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による解析装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による解析装置の機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による検査装置の処理フローを示す図である。
図5】本発明の一実施形態による検査の第1工程における検査装置の状態を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による検査の第2工程における検査装置の状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による検査の第3工程における検査装置の状態を示す図である。
図8】本発明の一実施形態による検査の第4工程における検査装置の状態を示す図である。
図9】本発明の一実施形態による検査の第5工程における検査装置の状態を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による検査の第6工程における検査装置の状態を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による検査の第7工程における検査装置の状態を示す図である。
図12】本発明の一実施形態による検査装置の最小構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による検査装置、及び検査方法を、図面を参照して説明する。
図1は本実施形態による検査装置の構成を示す図である。
検査装置1は太陽電池20を検査する装置である。太陽電池20には、太陽電池20から電流を取り出すためのコネクタ21が接続されている。また太陽電池20には、太陽電池20に電流の逆流が生じて故障が発生することを防ぐために、バイパスダイオードが接続されている。バイパスダイオードは太陽電池20の逆流方向に生じた電流を流すための回路である。つまり太陽電池20とバイパスダイオードとはアノードとカソード(正極と負極)の方向が逆になるように接続されている。コネクタ21はパラレルギャップ方式の溶接方法により太陽電池20及びバイパスダイオードに接続されている。
【0012】
検査装置1は、バイパスダイオードが接続された太陽電池20にコネクタ21を溶接した後、カバーガラスを貼った組立品に対し検査を実施する。検査装置1はEL検査により太陽電池20の通電性(すなわち太陽電池20とコネクタ21との接続の良否)を判定する。また検査装置1はIR検査によりバイパスダイオードが正常に機能するか(すなわち太陽電池20とバイパスダイオードの接続の良否)を判定する。
【0013】
検査装置1は、Y軸13、金属板14、X軸15、Z軸16、測定ユニット18、電源19、軸制御コントローラ22、PLC23(PLC:Programmable Logic Controller)、解析装置24、スイッチ25等により構成される。
【0014】
図示するように、検査装置1は、それぞれ互いに直交するY軸13、X軸15、及びZ軸16を備える。Y軸13上には、Y軸13に沿って移動可能な金属板14が設置されている。金属板14は検査対象となる太陽電池20を設置するステージである。金属板14は表面処理を施していない金属性である。金属板14は配線を通して電源19に接続されている。金属板14は太陽電池20を通電させるためのコンタクトとして機能する。なお、金属板14とコネクタ21とが通電しないように、金属板14とコネクタ21の間には、樹脂等の絶縁体が設けられる。
【0015】
X軸15及びZ軸16は金属板14の上方に設置されている。Z軸16には、CCDカメラ11(CCD:Charge-Coupled Device)、IRカメラ12(IR:InfraRed)、及びプローブ17を備える測定ユニット18が設置されている。測定ユニット18はX軸15及びZ軸16に沿って移動可能である。
【0016】
プローブ17は金属性の探針である。プローブ17は配線を通して電源19に接続されている。プローブ17は太陽電池20を通電させるためのコンタクトとして機能する。検査の際にプローブ17が金属板14に設置された太陽電池20のコネクタ21と自動的に接触することにより、プローブ17とコネクタ21と太陽電池20と金属板14とが電気的に接続される。
【0017】
電源19は第1電源部19-1と第2電源部19-2とを備える。第1電源部19-1及び第2電源部19-2は、金属板14及びプローブ17を介して、金属板14に設置された太陽電池20と電気的に接続する。第1電源部19-1はEL検査のための電源である。第1電源部19-1は、太陽電池20が発生する電流と逆の方向(以下「順方向」とする。)に組立品を通電させるように金属板14及びプローブ17と接続されている。すなわち第1電源部19-1は太陽電池20を通電させる方向に電流を流す。第2電源部19-2はIR検査のための電源である。第2電源部19-2は、太陽電池20が発生する電流と同じ方向(以下「逆方向」とする。)に組立品を通電させるように金属板14及びプローブ17と接続されている。すなわち第2電源部19-2は太陽電池20に接続されているバイパスダイオードを通電させる方向に電流を流す。
【0018】
CCDカメラ11及びIRカメラ12は、金属板14を上面から撮像する。CCDカメラ11は、順方向に電流を流したときの太陽電池20の発光状態を示す第1撮像画像を撮像する第1撮像部である。IRカメラ12は、逆方向に電流を流したときの太陽電池20の温度を示す第2撮像画像を撮像する第2撮像部である。第2撮像画像は温度を明度や色相で示すサーモグラフィ画像である。
【0019】
スイッチ25は検査装置1をオンまたはオフにするスイッチである。軸制御コントローラ22は金属板14及び測定ユニット18の移動を制御する。PLC23は検査装置1を統括して制御する制御装置である。PLC23には、CCDカメラ11、IRカメラ12、電源19、軸制御コントローラ22及び解析装置24が接続されている。PLC23は、軸制御コントローラ22、電源19、CCDカメラ11、及びIRカメラ12をそれぞれ制御する。また、PLC23はCCDカメラ11が撮像した第1撮像画像及びIRカメラ12が撮像した第2撮像画像を解析装置24に送信する。解析装置24はパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。解析装置24はPLC23から受信した第1撮像画像及び第2撮像画像を解析して太陽電池20の良否判定を行う。
【0020】
図2は解析装置のハードウェア構成を示す図である。
この図が示すように解析装置24はCPU101(CPU:Central Processing Unit)、ROM102(ROM:Read Only Memory)、RAM103(RAM:Random Access Memory)、容量記憶装置104、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。
【0021】
ROM102には、プログラムが記憶されている。CPU101は、プログラムをROM102から読み出してRAM103に展開し、当該プログラムに従って処理を実行する。また、CPU101は、プログラムに従って所定の記憶領域をRAM103に確保する。
【0022】
プログラムは、解析装置24に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、解析装置24は、図2に示す構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、CPU101によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0023】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をROM102に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0024】
図3は解析装置の機能ブロック図である。
解析装置24は電源が投入されると起動し、CPU101がROM102に記憶された解析プログラムを実行する。これにより解析装置24には、第1画像取得部241、第1解析部242、第2画像取得部243、第2解析部244、記憶部245、出力部246が少なくとも備わる。
第1画像取得部241はCCDカメラ11が撮像した第1撮像画像をPLC23から受信して取得する。第1画像取得部241は、取得した第1撮像画像を第1解析部242に出力する。
【0025】
第1解析部242は第1撮像画像を解析する。すなわち第1解析部242は第1撮像画像に基づいてEL検査の解析処理を実行する。例えば第1解析部242は第1撮像画像に基づいて太陽電池20の通電性を判定する。具体的には第1解析部242は、通電前後の第1撮像画像を比較し、その色の差に基づいて発光している発光部分を特定する。そして第1解析部242は、発光部分が全体に対し所定割合以上である場合に太陽電池20の通電性が正常と判定し、発光部分が全体に対し所定割合未満である場合に太陽電池20の通電性が異常と判定する。また第1解析部242は、第1撮像画像に対しエッジ検出等の画像処理を行うことにより太陽電池20におけるクラックの有無も判定する。第1解析部242は第1撮像画像と当該第1撮像画像に基づく判定結果(以下、「EL検査結果」とする。)とを対応付けて記憶部245に書き込む。また第1解析部242は第1撮像画像と当該第1撮像画像に基づくEL検査結果とを出力部246に出力する。
【0026】
第2画像取得部243はIRカメラ12が撮像した第2撮像画像をPLC23から受信して取得する。第2画像取得部243は、取得した第2撮像画像を第2解析部244に出力する。
【0027】
第2解析部244は第2撮像画像を解析する。すなわち第2解析部244は第2撮像画像に基づいてIR検査の解析処理を実行する。例えば第2解析部244は第2撮像画像に基づいてバイパスダイオードが正常に機能するか否かを判定する。第2解析部244は第2撮像画像における太陽電池20の明度や色相からその部分の温度を特定する。そして第2解析部244は温度が所定の閾値を超える場合に、その部分またはその近傍に異常があると判定する。また第2解析部244は太陽電池20全体として温度が閾値以下である場合にバイパスダイオードが正常に機能していると判定する。第2解析部244は第2撮像画像と当該第2撮像画像に基づく判定結果(以下、「IR検査結果」とする。)とを対応付けて記憶部245に書き込む。また第2解析部244は第2撮像画像と当該第2撮像画像に基づくIR検査結果とを出力部246に出力する。
【0028】
記憶部245は第1撮像画像と当該第1撮像画像に基づくEL検査結果とを対応付けて記憶する。また記憶部245は第2撮像画像と当該第2撮像画像に基づくIR検査結果とを対応付けて記憶する。
出力部246は第1撮像画像と当該第1撮像画像に基づくEL検査結果とをディスプレイ等に表示する。また出力部246は第2撮像画像と当該第2撮像画像に基づくIR検査結果とをディスプレイ等に表示する。或いは出力部246は第1撮像画像と当該第1撮像画像に基づくEL検査結果、または第2撮像画像と当該第2撮像画像に基づくIR検査結果を他の機器に送信してもよい。
【0029】
図4は検査装置の処理フローを示す図である。
続いて、検査装置1による検査方法を説明する。以下、検査における第1工程から第7工程までの各工程における検査装置1の動作を説明する。
【0030】
図5は検査の第1工程における検査装置の状態を示す図である。
まず、第1工程において、検査を行う作業者が金属板14の指定の位置に組立品(バイパスダイオード及びコネクタ21が接続されている太陽電池20)を設置する。
【0031】
図6は検査の第2工程における検査装置の状態を示す図である。
続いて、第2工程において、作業者は軸制御コントローラ22にあるスイッチ25を押す。検査装置1はスイッチ25が入力を受け付けると起動する。
【0032】
図7は検査の第3工程における検査装置の状態を示す図である。
第3工程において、軸制御コントローラ22はY軸13上にある金属板14をY軸に沿って移動させ、測定ユニット18をX軸15に沿って移動させることにより、ステージである金属板14の位置合わせを行う(ステップS101)。軸制御コントローラ22はプローブ17がコネクタ21の真上にくるよう金属板14及び測定ユニット18を移動させる。
【0033】
図8は検査の第4工程における検査装置の状態を示す図である。
第4工程において、軸制御コントローラ22は測定ユニット18をZ軸16に沿って下降(下方向AR18に移動)させ、プローブ17をコネクタ21に接触させる(ステップS102)。
【0034】
図9は検査の第5工程における検査装置の状態を示す図である。
第5工程において、PLC23は第1電源部19-1をONにして作動させる(ステップS103)。これにより太陽電池20に対して順方向に電流が印加され、太陽電池20が通電する。太陽電池20は通電すると発光する。続いてPLC23はCCDカメラ11を制御して太陽電池20を撮像させる(ステップS104)。PLC23はCCDカメラ11が撮像した第1撮像画像を解析装置24に送信する。
【0035】
解析装置24は第1撮像画像に基づいてEL検査の解析処理を実行する(ステップS105)。第1撮像画像の撮像時には、太陽電池20に対して順方向に電流を流しているため、太陽電池20の通電性が正常である場合には、太陽電池20の正孔に電子が入り、太陽電池20が発光する。そのため、解析装置24の第1解析部242は、第1撮像画像から発光している部分を特定し、発光している部分が全体に対し所定割合以上である場合に太陽電池20の通電性が正常と判定する。また第1解析部242は、発光している部分が全体に対し所定割合未満である場合に太陽電池20の通電性が異常と判定する。また太陽電池20にクラックがある場合には、当該クラックの部分が黒い線で第1撮像画像に表れる。そのため第1解析部242は、第1撮像画像に対してエッジ検出等を行うことにより太陽電池20のクラックの有無も判定する。出力部246は第1撮像画像及びEL検査結果をディスプレイ等に表示する。
【0036】
図10は検査の第6工程における検査装置の状態を示す図である。
第6工程において、PLC23は第1電源部19-1をOFFにして動作を停止させる(ステップS106)。そしてPLC23は第2電源部19-2をONにして作動させる(ステップS107)。これにより太陽電池20に対して逆方向に電流が印加され、バイパスダイオードが通電する。続いてPLC23はIRカメラ12を制御して太陽電池20を撮像させる(ステップS108)。PLC23はIRカメラ12が撮像した第2撮像画像を解析装置24に送信する。
【0037】
解析装置24は第2撮像画像に基づいてIR検査の解析処理を実行する(ステップS109)。第2撮像画像の撮像時には、太陽電池20に対して逆方向に電流を流しているが、バイパスダイオードが正常に機能している場合には、太陽電池20に対する逆流の電流をバイパスダイオードが迂回させるため、太陽電池20の発熱を抑えることができる。一方、バイパスダイオードに故障等がある場合や太陽電池20と適切に接続されていない場合には、バイパスダイオードまたはその近傍の太陽電池20に負荷がかかり、発熱が生じる。そのため、解析装置24の第2解析部244は、第2撮像画像から太陽電池20の温度を特定し、温度が所定の閾値を超える場合にその部分またはその近傍に異常があると判定する。また第2解析部244は、太陽電池20全体として温度が閾値以下である場合にバイパスダイオードが正常に機能していると判定する。出力部246は第2撮像画像及びIR検査結果をディスプレイ等に表示する。その後、PLC23は第2電源部19-2をOFFにして動作を停止させる(ステップS110)。
【0038】
図11は検査の第7工程における検査装置の状態を示す図である。
第7工程において、検査が終了すると、軸制御コントローラ22は金属板14及び測定ユニット18を指定の位置(例えば初期位置)に移動させる(ステップS111)。その後、検査装置1は処理を終了する。これにより組立品であるバイパスダイオード及びコネクタ21が接続された太陽電池20の検査が終了する。作業者は検査終了後に組立品を検査装置1から回収する。上述した処理に示す検査方法により、組立品の検査を効率よく実施することができる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、検査装置1は、バイパスダイオードとコネクタ21とが接続された太陽電池20に対し、太陽電池20が発生する電流と同じ順方向に、コネクタ21を介して電流を流す第1電源部19-1と、順方向に電流を流したときの太陽電池20の発光状態を示す第1撮像画像を撮像するCCDカメラ11と、第1撮像画像を解析する第1解析部242と、順方向に対する逆方向に、コネクタ21を介して太陽電池20に対し電流を流す第2電源部19-2と、逆方向に電流を流したときの太陽電池20の温度を示す第2撮像画像を撮像するIRカメラ12と、第2撮像画像を解析する第2解析部244と、を備える。これにより、1台の検査装置1でEL検査とIR検査との両方を実施することができる。よって、設備の省スペース化及び低コスト化を実現することができる。
【0040】
また、検査装置1は、太陽電池20を設置する金属板14を備え、第1電源部19-1及び第2電源部19-2は、金属板14を介して太陽電池20と電気的に接続する。これにより、ステージである金属板14の一つの箇所でEL検査とIR検査とを同時に実施することができる。よって、検査対象である太陽電池20を移動させることなくEL検査とIR検査とを実施することができるため、太陽電池20の検査を効率良く実施することができる。
【0041】
また、検査装置1は、金属板14に設置された太陽電池20のコネクタ21と自動的に接触するプローブ17を備え、第1電源部19-1及び第2電源部19-2は、プローブ17を介して太陽電池20と電気的に接続する。これにより、作業者が金属板14の指定位置に太陽電池20を設置するだけで、検査装置1がEL検査及びIR検査を全て自動で実施するため、検査工程のリードタイムを短縮させることができる。またハンドリング作業の削減により工程歩留りを向上させることもできる。
【0042】
また、第1解析部242は、第1撮像画像において太陽電池20の発光部分が全体に対し所定割合以上である場合に太陽電池20の通電性が正常であると判定し、発光部分が全体に対し所定割合未満である場合に太陽電池20の通電性が異常であると判定する。これにより、太陽電池20の通電性、すなわち太陽電池20とコネクタ21との接続の良否を検査することができる。
【0043】
また、第2解析部244は、第2撮像画像において太陽電池20全体として温度が所定の閾値以下である場合にバイパスダイオードが正常に機能していると判定する。これにより、バイパスダイオードが正常に機能しているか、すなわち太陽電池20とバイパスダイオードとの接続の良否を検査することができる。
【0044】
また、第1解析部242は、第1撮像画像に基づいて太陽電池20におけるクラックの有無を判定する。これにより、太陽電池20におけるクラックの有無を検査することができる。
【0045】
図12は検査装置の最小構成を示す図である。
検査装置1は少なくとも上述の第1電源部19-1、CCDカメラ11、第1解析部242、第2電源部19-2、IRカメラ12、及び第2解析部244の機能を備えればよい。
第1電源部19-1は、バイパスダイオードが接続された太陽電池20に対し、太陽電池20が発生する電流と逆の順方向に電流を流す。
CCDカメラ11は、順方向に電流を流したときの太陽電池20の発光状態を示す第1撮像画像を撮像する。
第1解析部242は、第1撮像画像を解析する。
第2電源部19-2は、太陽電池20が発生する電流と同じ方向である逆方向に、太陽電池20に対し電流を流す。
IRカメラ12は、逆方向に電流を流したときの太陽電池20の温度を示す第2撮像画像を撮像する。
第2解析部244は、第2撮像画像を解析する。
【0046】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、検査装置1はEL検査の後にIR検査を実施しているが、これに限らず、IR検査の後にEL検査を実施してもよい。
【0048】
また、本発明の各実施形態は、EL検査とIR検査との組み合わせに限らず、2種類のカメラを同時に使用し撮像画像を解析する検査であれば他の検査装置及び検査方法にも適用可能である。
【0049】
上述の解析装置24及びPLC23は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0050】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 検査装置
11 CCDカメラ
12 IRカメラ
13 Y軸
14 金属板
15 X軸
16 Z軸
17 プローブ
18 測定ユニット
19 電源
19-1 第1電源部
19-2 第2電源部
20 太陽電池
21 コネクタ
22 軸制御コントローラ
23 PLC
24 解析装置
241 第1画像取得部
242 第1解析部
243 第2画像取得部
244 第2解析部
245 記憶部
246 出力部
25 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12