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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】重量測定装置およびロードセルユニット
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/23 20060101AFI20230314BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G01G21/23
G01G23/00 C
G01G23/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019162806
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021042970
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】本田 晃久
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第3493410(JP,B2)
【文献】実用新案登録第2576327(JP,Y2)
【文献】特許第5779421(JP,B2)
【文献】特許第3842623(JP,B2)
【文献】特許第2977278(JP,B2)
【文献】特許第2619090(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 21/23
G01G 23/00
-----------------------------------
本件出願を優先基礎とする国際特許出願PCT/JP2020/031266
の調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の荷重を受ける筐体カバーと、
前記筐体カバーを支持して前記荷重を検出する複数のロードセルと、
前記ロードセルの少なくとも一部を収納して固定する、上方に開口した凹部とその凹部に対応して下方に突出した凸部とを有する凹凸形状部を、前記複数のロードセルの各々について有する筐体ベースと、
前記凹凸形状部の少なくとも一部を収納し、前記凹凸形状部の外側の側部に対する位置に、高さ位置を調整する調整機構部を有する調整脚と、を備える、
ことを特徴とする重量測定装置。
【請求項2】
前記調整機構部は、上下動するように螺合する一対のねじ部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の重量測定装置。
【請求項3】
前記一対のねじ部は、前記凹凸形状部の前記凸部の側部の外周に沿ってねじ溝が設けられた雄ねじ部と、前記雄ねじ部に螺合して上下動する雌ねじ部とである、
ことを特徴とする請求項2に記載の重量測定装置。
【請求項4】
測定対象の荷重を検出するロードセルと、
前記ロードセルの少なくとも一部を収納して固定する、上方に開口した凹部とその凹部に対応して下方に突出した凸部とを有する凹凸形状部を有する筐体ベースと、
前記凹凸形状部の少なくとも一部を収納し、前記凹凸形状部の外側の側部に対する位置に、高さ位置を調整する調整機構部を有する調整脚と、を備える、
ことを特徴とするロードセルユニット。
【請求項5】
前記調整機構部は、上下動するように螺合する一対のねじ部である、
ことを特徴とする請求項4に記載のロードセルユニット。
【請求項6】
前記一対のねじ部は、前記凹凸形状部の前記凸部の側部の外周に沿ってねじ溝が設けられた雄ねじ部と、前記雄ねじ部に螺合して上下動する雌ねじ部とである、
ことを特徴とする請求項5に記載のロードセルユニット。
【請求項7】
面状に配置された複数の、請求項4乃至請求項6の何れか一項に記載の、ロードセルユニットと、
前記複数のロードセルユニット上に載置される共通カバーと、を備える、
ことを特徴とする重量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整脚を有する重量測定装置およびロードセルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
重量測定装置を傾斜面に設置して荷重を測定すると、重量測定装置に対して荷重が垂直に作用しなくなるため、荷重に対する正確な出力を得ることができない。これを解消するために、従来から重量測定装置を水平に設置するための機能(レべリング機能)を有する調整脚を備えた重量測定装置が知られている。調整脚を有する重量測定装置の構造形態のタイプを大別すると、ロードセルの真下に調整脚を設けた構造形態のタイプの装置(例えば、特許文献1参照)や、ロードセルから離れた位置に調整脚を設ける構造形態のタイプの装置(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平07-014329号公報
【文献】特開2013-011489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に示されるような装置においては、装置の所定の性能を確保するために調整脚の取り付け位置をロードセルの真下に設けており、装置の総厚みが厚いものとなってしまう。また、特許文献2に示されるような装置においては、ロードセルから離れた位置に調整脚があるので、装置の所定の性能を確保するために剛性を有する構造となり、装置の総厚みが厚いものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解消するものであって、所定の性能を確保しつつ、総厚みの薄型化を実現できる調整脚を有する重量測定装置およびロードセルユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の重量測定装置は、測定対象の荷重を受ける筐体カバーと、筐体カバーを支持して荷重を検出する複数のロードセルと、ロードセルの少なくとも一部を収納して固定する、上方に開口した凹部とその凹部に対応して下方に突出した凸部とを有する凹凸形状部を、複数のロードセルの各々について有する筐体ベースと、凹凸形状部の少なくとも一部を収納し、凹凸形状部の側部に対する位置に、高さ位置を調整する調整機構部を有する調整脚と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この重量測定装置において、調整機構部は、上下動するように螺合する一対のねじ部であってもよい。
【0008】
また、この重量測定装置において、一対のねじ部は、凹凸形状部の凸部の側部の外周に沿ってねじ溝が設けられた雄ねじ部と、雄ねじ部に螺合して上下動する雌ねじ部とであってもよい。
【0009】
また、本発明のロードセルユニットは、測定対象の荷重を受ける筐体カバーと、筐体カバーを支持して荷重を検出するロードセルと、ロードセルの少なくとも一部を収納して固定する、上方に開口した凹部とその凹部に対応して下方に突出した凸部とを有する凹凸形状部を有する筐体ベースと、凹凸形状部の少なくとも一部を収納し、凹凸形状部の側部に対する位置に、高さ位置を調整する調整機構部を有する調整脚と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このロードセルユニットにおいて、調整機構部は、上下動するように螺合する一対のねじ部であってもよい。
【0011】
また、このロードセルユニットにおいて、一対のねじ部は、凹凸形状部の凸部の側部の外周に沿ってねじ溝が設けられた雄ねじ部と、雄ねじ部に螺合して上下動する雌ねじ部とであってもよい。
【0012】
また、本発明の重量測定装置は、面状に配置された複数の上記ロードセルユニットと、上記ロードセルユニットの各筐体カバーを互いに一体化する共通カバーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の重量測定装置によれば、凹凸形状部が有する上方に開口した凹部にロードセルが収納固定され、ロードセルが収納固定された凹部に対応して下方に突出した凸部の側部に対する位置に、高さ位置を調整する調整機構部を有する調整脚を備えるので、調整脚による装置の総厚み増加を低減でき、所定の性能を確保しつつ薄型化を実現できる。また、本発明のロードセルユニットによれば、ロードセルが収納固定された凹凸形状部の凸部の側部に対する位置に、高さ位置を調整する調整機構部を有する調整脚を備えるので、調整脚によるロードセルユニットの総厚み増加を低減でき、ロードセルユニットの所定の性能を確保しつつ薄型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る重量測定装置の一部破断された分解斜視図。
図2】同重量測定装置の裏面から見た分解斜視図。
図3】(a)は同重量測定装置の側面図、(b)は同重量測定装置の底面図。
図4】同重量測定装置におけるロードセルの分解斜視図。
図5】同重量測定装置に組み込まれた状態を示すロードセルの斜視図。
図6】同重量測定装置における凹凸形状部の側部を説明する断面図。
図7】同重量測定装置における調整脚と動作を概念的に説明する断面図。
図8】同重量測定装置における調整脚とロードセルとを含む部分の断面図。
図9図8の調整脚を伸ばした状態の断面図。
図10図8の外観を示す側面図。
図11】同重量測定装置の調整脚部分の変形例を示す一部破断された分解斜視図。
図12】同重量測定装置の調整脚部分の他の変形例を示す分解斜視図。
図13】(a)は第2の実施形態に係る重量測定装置における調整脚とロードセルとを含む部分の断面図、(b)は(a)における同調整脚を伸ばした状態の断面図。
図14】第3の実施形態に係るロードセルユニットの断面斜視図。
図15】同ロードセルユニットから化粧カバーと筐体カバーとを外してロードセルが見える状態の斜視図。
図16図15の同ロードセルユニットに筐体カバーを取り付けた状態の斜視図。
図17】同ロードセルユニットの外観を示す斜視図。
図18】同ロードセルユニットの分解斜視図。
図19】同ロードセルユニットを用いて構成した重量測定装置の透視斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る、調整脚を有する重量測定装置およびロードセルユニットについて、図面を参照して説明する。本明細書において、重量測定装置およびロードセルユニットの各部の空間配置の説明のために、図中に示したxyz(またはx’y’z)直交座標系を参照する。ここで、z軸の正の方向は、重量測定装置およびロードセルユニットの使用状態における上方であり、逆は下方であり、それぞれz軸に上、下と付記されている。
【0016】
(第1の実施形態)
図1乃至図10は、第1の実施形態に係る重量測定装置1を示す。この重量測定装置1は、例えば四角扁平薄型かつ軽量可搬型の体重計としてレベリング調整されて用いられる。図1図2図3(a)(b)に示すように、重量測定装置1は、筐体カバー2と、筐体カバー2を支持して測定対象の荷重を検出する複数(本実施形態では4つ)のロードセル3と、ロードセル3を固定し保持する筐体ベース4と、レベリング調整用の調整脚5とを備えている。また、重量測定装置1は、筐体カバー2に化粧カバー20を備えている。
【0017】
筐体カバー2は、荷重を受けて、その荷重をロードセル3に伝達する部材であり、ねじ11によって、ロードセル3に固定される。筐体カバー2は、ロードセル3のみによって支持されて固定される部材である。筐体カバー2は、十分な強度を有して荷重を受けることができ変形を抑制できる剛性構造を有し、例えば、鋼板により成形される。また、筐体カバー2は、十分な機械強度を持たせて、CFRP樹脂などの樹脂により成形されてもよい。
【0018】
化粧カバー20は、筐体カバー2のみに支持されて、筐体カバー2のみに固定される部材である。化粧カバー20は、例えば、体重測定を行う被測定者の足が乗せられて足に接触する部材である。また、化粧カバー20は、筐体カバー2が有する凹凸の表面形状を覆って平らな面を形成して、美感機能を有し、被測定者の足との接触面を清潔に維持できるように、清掃容易な表面を有する。化粧カバー20は、例えばABS樹脂などの樹脂成形によって形成される。
【0019】
筐体ベース4は、図中のz軸方向から見て大略四角の扁平な外形を有し、筐体カバー2にかかる荷重をロードセル3のみを介して受ける部材である。筐体ベース4は、四角形のそれぞれの隅部に、下方に突出した複数(本実施形態では4つ)の凹凸形状部40を有する。それぞれの凹凸形状部40は、上方に開口した凹部42とその凹部42に対応して下方に突出した凸部41とを有する。凹部42の表面と凸部41の表面とは、互いに表裏の関係にある。なお、4隅部における凹凸形状部40(凸部41と凹部42)の位置は、図中における位置A,B,C,Dに対応する。
【0020】
ロードセル3の各々は、凹凸形状部40における上方に開口した凹部42に少なくとも一部が収納されるように配置され、それぞれ2個のねじ12によって、筐体ベース4に固定される。位置A,B,C,Dにおける計4個のロードセル3は、実質的に同一構造の部品であり、z軸方向の回転軸に関して、隣り合う順に互いに同一回転方向に90度づつ回転されて配置される。ロードセル3からの出力信号は、筐体ベース4の中央凹部4aに配置され固定される回路基板6によって処理される。ロードセル3の詳細は後述する(図4乃至図9参照)。
【0021】
調整脚5は、筐体ベース4の凹凸形状部40に組付けられたときに凸部41の外周に沿ってねじ溝が設けられた状態となる雄ねじ部51と、雄ねじ部51に螺合して上下動する雌ねじ部52と、を有する。雄ねじ部51と雌ねじ部52とは、高さ位置を調整(レベリング調整)するために用いられる調整機構部50を構成する。本実施形態において、雄ねじ部51は、筐体ベース4に設けられた凸部41とは別体の部品として構成されている。雌ねじ部52は、ねじ付き蓋の形状を有し、内側にねじ溝を有する有底の円筒形状の部材である。各位置A,B,C,Dに配置される雄ねじ部51と雌ねじ部52の各組は、本質的に同一構造の部品である。雄ねじ部51と雌ねじ部52とは、例えば、ABS樹脂などを用いる樹脂成形によって形成されるが、これに限定されることなく、必要な機械強度を満たすものであればよい。
【0022】
雄ねじ部51は、凸部41に外挿される円筒部51aと、円筒部51aの上端から突出した3本の係合突起51bとを有している。円筒部51aは、その外表面にねじ溝を有する。このねじ溝は、雄ねじ部51が凸部41に外挿されて固定されることにより、凸部41の外周に沿ったねじ溝となる。係合突起51bは、可撓性の係合片と、その係合片の上端において外向きに突出形成された係合爪とを有する。各係合突起51bは、互いに90度または180度の角度間隔をおいて円筒部51aから突出している。
【0023】
雄ねじ部51を保持して固定するため、筐体ベース4は、凹凸形状部40の凸部41の外壁からその基部に至る部分に、係合突起51bに係合する係合部41aを有する。係合部41aは、係合突起51bが筐体ベース4の下面から上面に向けて挿通されるスリット状の孔である。雄ねじ部51は、凸部41に外挿されることにより、係合突起51bが係合部41aに挿通され、係合突起51bの係合爪が係合部41aの孔の上面の開口縁部41bに係合して筐体ベース4に固定される。雄ねじ部51は、係合突起51bが係合部41aに挿通されて係合されることにより、調整脚5による高さ調整の際に、抜けることがなく回転することがない。係合部41aは、雄ねじ部51の3つの係合突起51bに対応して、各位置A,B,C,Dの、それぞれの隅部寄りの3箇所に形成されている。
【0024】
次に、ロードセル3の詳細を説明する。図4に示すように、ロードセル3は、使用時に水平配置される角柱状の起歪部30と、それぞれ起歪部30の両端(固定端と可動端)を支持する固定部31および可動部32と、を一体物として形成された板状のロードセル本体を有する。ロードセル本体は、z軸に直交するx’y’面に平行に配置されている。起歪部30は変形することを前提とし、固定部31と可動部32は変形しないことを前提とする部材である。起歪部30は一定断面積の部分であり、大きな断面積に変化するところが、固定部31および可動部32との境目となる。この図4において、起歪部30は、その長手方向を、上下方向(z軸)に直交する前後方向(y’軸)に向けて配置され、x’軸が左右方向とされている。
【0025】
固定部31は、起歪部30の固定端から左右対称に伸びた後に、後方に曲った腕を有し、その腕の端部寄りに固定用孔31aを有する。可動部32は、同様に可動端から左右対称に伸びた後に、前方に曲った腕と固定用ねじ孔32aを有する。また、固定部31の2つの固定用孔31aの中心と、可動部32の2つの固定用ねじ孔32aの中心とが、起歪部30の長手方向に直交する面(zx’面)であって起歪部30の長さを2分する面に含まれるように、各腕がそれぞれ起歪部30の側方位置まで延在している。言い換えると、2つの固定用孔31a,31aと2つの固定用ねじ孔32a,32aの計4つの孔が、起歪部30に関する対称位置に一直線上に並ぶ。なお、この板状のロードセル本体の構造は、一実施形態としての例示であり、ここに示した構造に限定されるものではない。
【0026】
起歪部30は、その上面に密着固定された抵抗式のひずみゲージ30aを有する。起歪部30は、荷重を受けた可動端が固定端に対して移動することによって変形し、ひずみゲージ30aは、その変形量を抵抗値変化に変換する。固定部31は、その表面にフレキシブル基板30bを有する。ひずみゲージ30aとフレキシブル基板30bとは、例えば、リード線によって電気接続されている。
【0027】
フレキシブル基板30bは、ひずみゲージ30aに接続することで構成されるホイートストンブリッジ回路、感度調整抵抗、温度補償抵抗などを有し、ひずみゲージ30aの抵抗値変化を検出して、荷重に応じて得られる検出信号を出力する。フレキシブル基板30bからの出力は、配線によって、回路基板6(図1参照)に接続される。その配線は、筐体ベース4の凹部42から回路基板6が固定された筐体ベース4の中央凹部4aに至るまで形成された、配線配設用の溝42bに納められる。この配線配設用の溝42bは、上方に配設される筐体カバー2に、配線を接触させないための逃げ空間を構成し、さらに筐体ベース4の剛性を高める構造体としての機能を有する。
【0028】
ロードセル本体は、ねじ12を、固定部31の固定用孔31aを通して筐体ベース4の凹部42におけるねじ穴42aにねじ止めすることにより、凹部42の底部に固定される。このとき、可動部32が凹部42の底面に接触しないように、スペーサ35が用いられ、ねじ穴42aは凹部42の底面に設けた台座42cに形成されている。
【0029】
可動部32は、上方に位置する筐体カバー2に接続するための部材として荷重伝達部材33を備えている。荷重伝達部材33は、スペーサおよび支持材として機能する金属円板と、金属円板の上に配されている、断面が台形状の柔軟弾性を有する台形円錐体と、を組み合わせて構成されている。荷重伝達部材33は、可動部32の固定用ねじ孔32aに対応した2つの固定用孔33aを有し、さらに中央上部に、ねじ11(図1図8参照)がねじ止めされるねじ孔33bを有する。荷重伝達部材33は、ねじ13を、固定用孔33aに通して、可動部32の固定用ねじ孔32aにねじ止めすることにより、可動部32に固定される。このとき、荷重伝達部材33と固定用孔32aとの間にスペーサ34が挿入される。
【0030】
スペーサ34は、荷重伝達部材33を起歪部30等に接触させないためのものである。荷重伝達部材33の金属円板は、固定用孔33aの周辺が下方に突出しており、スペーサ34とともにスペーサとして機能する。荷重伝達部材33の中心は、起歪部30の中央の真上に配置される。荷重伝達部材33は、断面が上方にいくほど狭くなる柔軟弾性を有する台形円錐体の先端部分で筐体カバー2から荷重が伝達される。
【0031】
図5は、筐体ベース4の凹部42に配置固定されたロードセル3を示す。図中の矢印30cは、フレキシブル基板30bから、筐体ベース4に設けられた溝42bを通って、回路基板6に向かう配線を示す。
【0032】
次に、重量測定装置1における調整脚5、ロードセル3の格納と取付の構造、および調整脚5によって装置を水平に設置するレベリング機能を説明する。まず、調整脚5の配置に関する基本概念を説明する。図6に示すように、重量測定装置1の凹凸形状部40は、その側壁の外側表面である側部40aから外方に拡がる側部空間40bを有する。この側部空間40bは、凹凸形状部40の凸部41を囲む自由空間として存在する。
【0033】
調整脚5は、図7に示すように、自由空間である側部空間40bに、凹凸形状部40を取り囲むように配設されている。従って、調整脚5は、凹凸形状部40の少なくとも一部を収納する態様で、凹凸形状部40の側部40aに対する位置に、側部40aに対して接触または離間した状態で、高さ位置を調整する調整機構部50を有して配設される。本実施形態における調整機構部50は、互いに螺合して上下動する雄ねじ部51と雌ねじ部52とが有する一対のねじ部で構成されている(図1)。
【0034】
この一対のねじ部による調整機構部50は、雌ねじ部52を連続して任意に回転することにより、連続して高さ調整をすることができる。
【0035】
ロードセル3の格納と取付は、図8図9に示すように、筐体ベース4に形成された有底円筒状の凹凸形状部40の凹部42に対して行われる。凹部42は、底面と側壁の内面からなる立ち面とを有する。ロードセル3は、凹部42の立ち面によって周りを囲まれて保護された状態で、凹部42の底面に固定されている。
【0036】
本実施形態において、ロードセル3は、その荷重伝達部材33の上部が凹部42の開口上面よりも突出した状態で、凹部42に収納されて固定されている。ロードセル3は、このように少なくとも一部が凹部42に収納されていればよく、ロードセル3の全体が凹部42に収納されていてもよい。筐体ベース4は、CFRPまたは鋼板などにより成形されている。内部に立ち面を有する凹部42は、外部から見ると下方に突出して凸部41を形成している。凸部41は、上部から下部に向けて外径が減少するテーパ形状になっている。この凸部41の外形を案内面として雄ねじ部51が凸部41に外挿される。従って、雄ねじ部51は、凹凸形状部40の側部40a(図7参照))に対する位置に存在する側部空間40bに、配設される。
【0037】
雄ねじ部51の円筒部51aは、凸部41に嵌合して凸部41にかかる荷重を支持する(この円筒部51aは、雌ねじ部52によって下方から支持される)。円筒部51aは、内面形状を凸部41の外面形状に合わせたテーパ形状として内面で荷重の一部または全てを支持するようにしてもよく、また、円筒部51aの上端面で筐体ベース4にかかる荷重の一部または全てを支持するようにしてもよい。雄ねじ部51の係合突起51bは、筐体ベース4に形成された貫通孔である係合部41aに挿通されて開口縁部41bに係合され、雄ねじ部51の落脱防止と回転防止に寄与する。雌ねじ部52は、筐体ベース4に装着された雄ねじ部51に対し、互いのねじ溝とねじ山とを合わせて螺合(回転ねじ止め)される。雄ねじ部51は、雌ねじ部52を螺合させて一体化した状態で筐体ベース4に装着してもよく、雄ねじ部51だけを筐体ベース4に装着した後に、雄ねじ部51に雌ねじ部52を螺合させてもよい。
【0038】
調整脚5が筐体ベース4の凸部41に装着されると、雌ねじ部52を回転することにより、凸部41すなわち凹凸形状部40の高さ位置を調整することができる。つまり、互いに螺合する一対のねじ部である雄ねじ部51と雌ねじ部52によって、高さ位置を調整する調整機構部50が構成されている。高さ位置の調整代hは、調整脚5を最も縮めた状態(図8)と最も伸ばした状態(図9)とにおける凸部41の高さの差であって、雄ねじ部51と雌ねじ部52の互いのねじの噛み合わせ範囲で決まる設計事項である。本実施形態の重量測定装置1は、4つの凸部41を有し、それぞれに備えられた調整脚5を用いて凸部41の高さ位置を調整することにより、重量測定装置1を水平に設置するレベリング操作を行うことができる。図10は、調整脚5を最も縮めて凸部41の高さ位置を最も低くした状態を示す。
【0039】
(変形例)
次に、図11図12を参照して、重量測定装置1における高さ調整のための調整脚5の変形例を説明する。図11に示す調整脚5は、雄ねじ部51が、筐体ベース4の凸部41の底部にねじ14によって固定されるものである。筐体ベース4は、凸部41の基部周辺に形成される係合部41aに換えて、凸部41の底部にねじ14を締結するためのねじ孔41cを備えている。また、雄ねじ部51は、円筒部51aの上端から突出した係合突起51bに換えて、円筒部51aの下端を塞ぐ底板51cを備えている。底板51cは、ねじ14が通る挿通孔51dを有する。雄ねじ部51は、挿通孔51dを通ってねじ孔41cに締結されるねじ14によって底板51cが凸部41の底部に固定されることにより、凸部41に固定される。ねじ止め用の底板51cは、雄ねじ部51の円筒部51aの一端を塞ぐようにその全面に設けられている。
【0040】
調整脚5の他の変形例を説明する。雄ねじ部51は、凸部41に固定して脱落と回転とを防止できればよいので、図11に示すような全面の底板を有さなくてもよい。そこで、図12に示すように、雄ねじ部51の円筒部の底部に、ねじ挿通用の孔の開いた舌片51eを備えてもよい。舌片51eは、必要な強度を有する最小限の面積と厚さを有するものとすればよい。また、凸部41の底部外面に凹部を設けて、その凹部に舌片51eを嵌合させて雄ねじ部51を固定することにより、凸部41の脚長の増加抑制と回転防止を行うことができる。この場合、ねじ14を用いずに、接着剤で固定してもよい。
【0041】
また、雄ねじ部51の脱落防止の機能と、回転防止の機能とを分離することにより、それぞれを単純な機構で実現してもよい。例えば、簡単なねじや、爪による係合構造によって脱落を防止し、雄ねじ部51内面と凸部41外面に、キー溝とキーの組合せ構造や凹凸係合構造を持たせて回転を防止してもよい。
【0042】
また、調整脚5のさらに他の変形例として、雄ねじ部51が係合突起51bやねじ14を用いるものではなく、凸部41の外周に接着して固定するものであってもよい。また、雄ねじ部51が凸部41と別体ではなく、ねじ溝とねじ山を凸部41の外周に直接形成して雄ねじ部51としてもよい。この場合、ねじ溝とねじ山はそれぞれ、ねじの一回転以上連続していてもよく、連続していなくてもよい。例えば、凸部41の外形が円柱状でなく多角柱状であって、その多角柱状の各角部にねじが設けられたものであってもよい。より一般的には、雌ねじ部52を回転することにより、雌ねじ部52が凸部41の長さ方向に上下するように、雌ねじ部52に螺合するねじ状の構造が凸部41の表面に形成されていればよい。
【0043】
本実施形態の重量測定装置1において、各ロードセル3からの信号は回路基板6によって処理されて重量測定結果が得られ、その重量測定結果は回路基板6から外部に送信される。重量測定装置1は、重量測定結果を表示する表示部を筐体ベース4と一体的に備えてもよい。この場合、筐体ベース4は、例えば、筐体カバー2および化粧カバー20に干渉することなく、筐体カバー2および化粧カバー20よりも外方に伸ばされた拡張部を備え、その拡張部に表示部を備えればよい。
【0044】
また、重量測定装置1は、表示部を筐体ベース4と一体的に備えずに、回路基板6と、筐体ベース4とは別体に設けた表示ボックスとを配線ケーブルまたは無線通信によって電気的に接続して、表示ボックスの表示部に重量測定結果を表示するようにしてもよい。
【0045】
本実施形態の重量測定装置1によれば、凹凸形状部40が有する上方に開口した凹部42にロードセル3が固定され、筐体ベース4に設けられた凹凸形状部40の凹部42に対応して下方に突出した凸部41の側部に対する位置における空間である側部空間40bに、凹凸形状部40を取り囲むように、高さ位置を調整する調整機構部50を有する調整脚5を備えるので、所定の性能を確保しつつ、総厚みの薄型化を実現できる。また、筐体ベース4が、凹凸形状部40が有する凹部42と凸部41による強化構造によって軽量化を実現できるので、装置重量を増やすことなく、所定の性能を確保しつつ調整脚5を備えることができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図13(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係る重量測定装置1の調整脚5とロードセル3とを含む部分を示す。本実施形態の重量測定装置1は、第1の実施形態における一対のねじ部を構成する雄ねじ部51と雌ねじ部52の互いの役割を逆にしたものである。すなわち、第1の実施形態では、雄ねじ部51が筐体ベース4に固定され、雌ねじ部52が回転されて筐体ベース4に対して上下に移動するが、本実施形態では、雌ねじ部52が筐体ベース4に固定され、雄ねじ部51が回転されて上下に移動する。
【0047】
具体的に説明する。雄ねじ部51は、外周に雄ねじを有する円筒部51aと、円筒部51aの下部に蓋をする底板51fと、底板51fが外方に延在した形状のフランジ部51gと、を一体化した構成とされている。雄ねじ部51は、凹凸形状部40の凸部41のほぼ全体を円筒部51aの内部に収納できるように構成されている。
【0048】
雌ねじ部52は、円筒の内周に雌ねじを有する円筒ねじ部52aと、円筒ねじ部52aの上端側において側方に突出した取付片52bと、を一体化した構成とされている。取付片52bには、リベット52cを挿通するための貫通孔を有する。雌ねじ部52は、凹凸形状部40の凸部41と、雄ねじ部51の円筒部51aと、を円筒ねじ部52aの内部に収納できる構造を有し、それらを収容するように、凹凸形状部40(凸部41)の側部に対する位置における空間である側部空間40bに配置されている。
【0049】
雌ねじ部52は、複数の取付片52bとリベット52cとを用いて、筐体ベース4に固定されている。雌ねじ部52は、凹凸形状部40の凸部41と同軸とされている。取付片52bは、円筒ねじ部52aの上端側に周設された、貫通孔を有する、複数の個別の舌片状のものでもよく、連続したフランジであってもよい。取付片52bとリベットによる固定は、雌ねじ部52が筐体ベース4から脱落するのを防止し、雄ねじ部51との螺合の際に雌ねじ部52が回転するのを防止する機能を有する。
【0050】
雌ねじ部52の筐体ベース4への固定はこれに限られず、脱落と回転を防止できる任意の固定方法を用いることができる。例えば、ねじで固定できる。また、円筒ねじ部52aの上端面に突起を設け、その突起が嵌入する孔を筐体ベース4に設けて回転防止構造としてもよい。また、取付片52bとリベットによる固定構造に換えて、第1の実施形態の雄ねじ部51を固定するための構造である複数の係合突起51bを、本実施形態の雌ねじ部52を固定するための係合突起として、雌ねじ部52の円筒ねじ部52aの上端に備えてもよい。この場合、筐体ベース4には、その係合突起が挿入されて係合する貫通孔である係合部が設けられる。
【0051】
筐体ベース4に固定された雌ねじ部52に対し、雄ねじ部51を螺合させて回転することにより、互いのねじ部によって雄ねじ部51を上下動させる調整機構部50が形成される。雄ねじ部51の回転は、例えば、フランジ部51gの外周縁部に指をかけて掴んで、回転させることができる。高さ位置の調整代hは、雄ねじ部51と雌ねじ部52の互いのねじの噛み合わせ範囲で決まる。
【0052】
本実施形態の重量測定装置1によれば、凹凸形状部40が有する上方に開口した凹部42にロードセル3が固定され、筐体ベース4に設けられた凹凸形状部40の凹部42に対応して下方に突出した凸部41の側部に対する位置における空間である側部空間40bに、凹凸形状部40を取り囲むように、高さ位置を調整する調整機構部50を有する調整脚5を備えるので、所定の性能を確保しつつ、総厚みの薄型化を実現できる。また、筐体ベース4が、凹凸形状部40が有する凹部42と凸部41による強化構造によって軽量化を実現できるので、装置重量を増やすことなく、所定の性能を確保しつつ調整脚5を備えることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
図14乃至図18は、本発明の第3の実施形態に係るロードセルユニット10を示す。ロードセルユニット10は、測定対象の荷重を受ける筐体カバー102と、筐体カバー102を支持して荷重を検出するロードセル3と、ロードセル3を格納する筐体ベース104と、筐体ベース104の高さ位置を調整する調整脚5とを備える。この第3の実施形態に係るロードセルユニット10は、第1の実施形態の重量測定装置1における1つのロードセル3と、そのロードセル3を収納して固定する凹凸形状部40、調整脚5、筐体カバー2(102)、および化粧カバー20(120)の各部分を取り出して、ユニット化したものである。従って、調整脚5は、雄ねじ部51と雌ねじ部52の一対のねじ部で構成された調整機構部50を有し、凹凸形状部40の側部40aに対する位置における側部空間40bに配置されている。
【0054】
筐体ベース104は、凹部42と凸部41を有する凹凸形状部40と、凹凸形状部40の開口上部において外向きに延在する外形が円形のフランジ部104aと、を備えている。凹部42の内部には、ロードセル3が格納されて底部に固定されている。凸部41の外周には、調整脚5の雄ねじ部51が保持されている。調整脚5は、その雄ねじ部51の係合突起51bが90度角度間隔で4本形成されている他は、第1の実施形態における調整脚5と同様である。筐体ベース104は、ロードセル3を囲む凹凸形状部の側壁に形成されたスリット状の係合部41aを、雄ねじ部51の係合突起51bに対応させて90度間隔で4箇所に有する。係合部41aは、筐体ベース104のフランジ部104aの上面に開口し、その開口縁部41bに雄ねじ部51の係合突起51bが係合している。
【0055】
また、このロードセルユニット10においても、第1の実施形態の図11図12に関連して説明した調整脚5の各変形例を、同様に適用することができる。ロードセル3の固定部31の上面に設けられたフレキシブル基板30bからの出力は、筐体ベース104の上面から、配線30cによって、ロードセルユニット10の外部に取り出される。
【0056】
筐体カバー102は、丸い盆を上下逆にした形状の蓋であり、筐体ベース104と内部のロードセル3とを覆い、さらに調整脚5の上部外周を覆うように構成されている。筐体カバー102は、ロードセル3の荷重伝達部材33の上部に、ねじ11によって固定されている。筐体カバー102は、上部に受ける荷重をロードセル3に確実に伝えるため、荷重伝達部材33のみに接触し、固定部である筐体ベース104、配線30c、および調整脚5には接触しないように、構成されている。
【0057】
化粧カバー120は、ロードセルユニット10の外感を整える意匠部品として、またはロードセルユニット10を保護する部品としての機能を有するものであり、必ずしもロードセルユニット10に備えてなくともよい。この化粧カバー120は、筐体カバー102に密着して、その上面と側面とを覆う形状を有している。化粧カバー120は、例えば、下端内面の複数箇所に係合突起2bを有し、この係合突起2bに対応して筐体カバー2の下端に設けられた係合切欠2aに係合し、筐体カバー102に固定され一体化される。
【0058】
筐体カバー102と化粧カバー120とは、それぞれ、配線引き出し用の切欠2c,20cを側面に有し、配線30cを筐体カバー102と化粧カバー120に接触させることなく外部引き出し可能とされている。配線30cによってロードセルユニット10の外部に出力されるロードセル3からの出力信号は、第1の実施形態における回路基板6等を備えた、信号処理と表示等を行う制御装置(表示ボックス)に送られる。ロードセルユニット10は、ロードセル3からの出力信号を処理する表示ボックスに接続することにより、複数個を集合的に用いて、重量測定装置すなわち台秤を構成する部品として用いられる。
【0059】
なお、ロードセルユニット10の調整機構部50を有する調整脚5は、本実施形態で示すものに限られず、例えば、第2の実施形態における調整脚5のように、雌ねじ部52が筐体ベース104に固定され、雄ねじ部51が回転されて上下に移動する構成としてもよい。また、高さ位置を調整する調整機構部50は、一対のねじ部で構成されるものに限られず、凹凸形状部40の側部40aに対する位置における側部空間40bに配設される任意の高さ位置を調整する機構を用いてもよい。
【0060】
本実施形態のロードセルユニット10によれば、凹凸形状部40が有する上方に開口した凹部42にロードセル3が固定され、筐体ベース104に設けられた凹凸形状部40の凹部42に対応して下方に突出した凸部41の外周に、ロードセル3を囲む態様で、調整脚5を有するので、所定の性能を確保しつつ、総厚みの薄型化を実現できるロードセルユニットが得られる。このようなロードセルユニット10を複数組み合わせて用いることにより、任意形状の乗り台を有してレベリング機能を備えた、薄型の重量測定装置を容易に構成することができる。
【0061】
(ロードセルユニットを用いた重量測定装置)
図19は、ロードセルユニット10を用いて構成した重量測定装置1を示す。この重量測定装置1は、面状に配置された複数(本実施形態では4つ)のロードセルユニット10と、ロードセルユニット10の各筐体カバー102(図14図16、および図18参照)上に載置して各筐体カバー102を互いに一体化する共通カバー20aと、を備えている。共通カバー20aは、四角板形状を有し、4隅にロードセルユニット10を備えている。ロードセルユニット10は、共通カバー20aが受ける荷重を分担して受ける支持脚としての機能を有する。この支持脚は、ロードセルユニット10が有する調整脚5を用いて、高さ位置を調整できる。
【0062】
また、重量測定装置1は、各ロードセルユニット10から引き出された配線30cに接続された表示ボックス10bを有する。表示ボックス10bは、配線30cを通して得られる各ロードセルユニット10からの出力信号を処理し、共通カバー20aにかかる荷重を算出するための、回路やプロセッサ、および求められた荷重等を表示するディスプレイなどを備えている。このような重量測定装置1は、レベリング機能を有する、薄型化された装置を実現する。
【0063】
この重量測定装置1におけるロードセルユニット10は、化粧カバー120を備えることなく、共通カバー20aに筐体カバー102を直接固定してもよい。このような構成の重量測定装置1は、任意数のロードセルユニット10を組み合わせて、任意形状の共通カバー20aに固定してもよい。例えば、測定対象を共通カバー20aに載置する、または測定対象が共通カバー20aに乗る際の、測定対象と共通カバー20aとの相互の接触構造に合わせて、共通カバー20aを、長細い形状、円形状、リング形状等としてもよい。高さを調整できる調整脚5を有するユニット化されたロードセルユニット10を用いることにより、任意形状の共通カバー20a(乗り台)を有する、薄型化された重量測定装置1を、容易に実現できる。
【0064】
本発明に係る重量測定装置は、調整脚5による高さ位置調整(レベリング)の際にレベリング状態を評価するための水準器を、筐体カバー2や筐体ベース4に備えてもよい。また、本発明の重量測定装置およびロードセルユニットは、上述した歪ゲージを用いる構成のロードセル3に換えて、凹凸形状部40に少なくとも一部を収納することができる、他の任意の構成のロードセルを用いてもよい。
【0065】
また、高さ位置を調整する調整機構部50は、上下動するように螺合する一対のねじ部による構成に限られず、ピンと、そのピンが摺動または固定される溝または孔と、の組合せによる構成であってもよい。このような調整機構部50は、図6図7に示すように、凹凸形状部40の側部40aに対する位置に存在する側部空間40bに、配設される。
【0066】
より一般的に述べる。調整脚5は、高さ位置を調整する調整機構部50を有する。調整機構部50は、凹凸形状部40の側部40aに対する位置に存在する側部空間40bに配設される機構部であって、筐体ベース4に固定された固定部材と、固定部材に対して上下動可能な移動部材とを備える。移動部材は、固定部材に対して上下動可能であり、かつ所定の複数位置で固定可能である。この固定可能の意味は、固定状態において測定対象の荷重を受けても固定状体を維持できるという意味である。
【0067】
このような調整機構部50をピンと溝とで構成する場合、移動部材と固定部材とは、例えば、同軸の内外二重円筒状の構造とし、一方が他方に対して移動して固定される構造とすればよい。ピンは、例えば、円筒の内面から内側に向けて、または円筒の外面から外方に向けて立設される。溝の構造は、ピンが移動する移動用溝を、円筒の内面または外面に、螺旋状に形成し、螺旋状の溝に適宜の間隔でピンが陥入する窪みを設けて、その窪みにピンが嵌りこむことによりピンが固定(停留)されるようにすればよい。ピンを移動させる際には、ピンを上方に持ち上げてその窪みから脱出させればよい。螺旋状の溝に換えて、階段状の溝としてもよい。階段の各段に、ピンを固定させるための傾斜や窪みを設ければよい。また、他の溝の構造として、例えば、自動車の手動式ギヤチェンジ機構に習って、ピンの上下方向移動溝と、ピンを固定する複数の周方向溝と、を組み合わせて、円筒の内面または外面に設ければよい。
【符号の説明】
【0068】
1 重量測定装置
10 ロードセルユニット
2,102 筐体カバー
20a 共通カバー
3 ロードセル
4,104 筐体ベース
40 凹凸形状部
40a 側部
40b 側部空間
41 凸部
41a 係合部
42 凹部
5 調整脚
50 調整機構部
51 雄ねじ部
51a 円筒部
51b 係合突起
52 雌ねじ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19