(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】テープ貼付装置
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
B65H35/07 K
(21)【出願番号】P 2019187492
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】592026901
【氏名又は名称】マルゴ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀和
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-016461(JP,A)
【文献】特開平07-040203(JP,A)
【文献】特開2017-030951(JP,A)
【文献】特開2017-197309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B65H 35/00-35/10
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬入口から搬出口まで搬送面上で搬送方向の前進及び後退の両向きに搬送可能に構成されたワーク搬送機構と、
前記ワーク搬送機構の前記搬送面に対向して配置され、前記搬送面上の前記ワークの表面に対してテープを張り付けるテープ貼付機構と、
前記搬送面上に搬入された前記ワークが前記搬入口の側に設定された前記搬送方向の検出位置に到達したか否かを検出するワーク検出器と、
前記ワーク検出器の検出結果及び前記ワークへのテープ貼付態様に関する情報に応じて前記ワーク搬送機構及び前記テープ貼付機構を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記ワークが前記ワーク検出器により検出される後まで前記ワーク搬送機構により前記ワークを前進させる前進検出過程と、その後、前記ワーク搬送機構の搬送の向きを逆転させ、前記ワークを後退させ、前記ワーク検出器により前記ワークが検出されなくなったら停止させる後退検出過程とを備えるワーク搬入検出工程を実施し、
前記ワーク搬入検出工程において前記ワークの搬入が確認されたときに、前記ワーク搬入検出工程において取得した原点情報を基準として前記ワークの表面への前記テープの貼付位置を決定し、前記テープ貼付機構により前記テープの貼付位置に対応する貼付開始点及び貼付終了点で前記ワーク毎にテープ貼付工程を実施し、
前記原点情報は、前記後退検出過程において前記ワークが検出されなくなった時点若しくは前記ワークが停止した位置に基づいて定められ、
前記ワーク搬送機構は、少なくとも前記検出位置よりも前記搬入口の側の左右両側に、前記搬送面上のワークの位置を幅方向に規制する側部ガイドを備え、
前記側部ガイドは、それぞれ、前記搬送方向の両端部が前記幅方向
外側に傾斜したガイド端面部を備え、前記ガイド端面部によって前記搬送方向に沿って前進又は後退するワークが前記搬送方向に案内される過程で、ワークの前記幅方向の位置が修正されるように構成される、
テープ貼付装置。
【請求項2】
前記後退検出過程の搬送速度は、前記前進検出過程の搬送速度よりも低い、
請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記ワーク搬送機構は、少なくとも前記検出位置よりも前記搬入口の側に、前記搬送面上のワークを前記搬送面に押し付けるワーク押付機構部を備える、
請求項1又は2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記ワーク搬送機構の前記搬送面の上方において前記テープ貼付機構を支持する支持フレームをさらに具備し、
前記テープ貼付機構は、前記支持フレームに取り付けられた吊下支持部と、前記吊下支持部に吊り下げられたテープ貼付ユニットと、前記支持フレームに取り付けられて前記搬送方向の前後少なくともいずれかの向きに張り出すように形成されたリール架設部と、前記
リール架設部に搭載されて前記テープ貼付ユニットにテープを供給する供給リールと、を含む、
請求項1-3のいずれか一項に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記搬送面の幅方向両側にそれぞれ設置されたフレーム側部と、前記幅方向両側の前記フレーム側部を前記搬送面の上方で接続するフレーム上部とを備え、前記搬送面を跨ぐように構成される、
請求項4に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記テープ貼付機構は、前記支持フレームに対して前記吊下支持部を前記搬送方向と交差する方向に移動可能に案内する幅方向案内機構部をさらに含む、
請求項4又は5に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記幅方向案内機構部は、前記吊下支持部を下方から支持した状態で案内する第1の案内支持部と、前記吊下支持部を前記搬送方向の側から支持した状態で案内する第2の案内支持部とを備える、
請求項6に記載のテープ貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープ貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テープ貼付装置は、半導体製造装置などにおけるマスキングテープの貼り付け、各種部品などの設置固定に用いられる両面テープの貼り付け、梱包材の保持固体に用いられる粘着テープの貼り付けなどに用いられている。
【0003】
しかし、テープの貼り付け対象は上述のような比較的小さなものに限らず、建材などの長尺物にもテープを貼り付けることが必要な場合もある。このような長尺物に対してテープを貼り付ける装置としては、以下の特許文献1-3に開示されているものがある。
【0004】
特許文献1に記載の外装材用のシールテープ貼付け装置では、ワーク端検出機構5がワークWの両端を検出し、ワークWの前端が検出されるとテープ貼付け機構4がワークWにシールテープTを貼付け、ワークWの後端が検出されると、テープ切断機構7がシールテープTを後端相当位置で切断するように構成される。
【0005】
特許文献2に記載のテープ貼り付け装置では、長尺材を次々と投入したときに、次のワークの検出によって前のワークの搬送を停止し、前後の長尺材を連続させた状態でテープを貼り付けた後、両長尺材の間でテープ切断部によりテープを切断するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-346563号公報
【文献】特開2005-53690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2の装置では、いずれも、ワークWの搬送途中における端部の通過を検出しているため、ワーク位置の検出精度が低いとともに、ワーク以外のものに反応することにより生ずる誤検出を防止することができないという問題がある。また、特許文献1の装置では、外装材の搬送方向に沿ってテープ貼付け機構4、ワーク端検出機構5、テープ圧着機構6及びテープ切断機構7が長い範囲に配列されるため、装置の実体的な作動部分が大型化し、占有面積が大きくなるので、設置場所などに制約を受けやすい。さらに、特許文献2の装置では、前後の長尺材にわたり連続してテープを貼り付け、両長尺材の間のテープを切断するように構成されるため、各長尺材へのテープの貼付態様に制約が生じることから、不連続(不定期)に長尺材が搬入される場合への対応や、長尺材の搬送方向の一部にのみテープを貼り付ける場合などのテープ貼付態様への対応ができないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は上記問題を解決するものであり、その課題は、ワーク位置を必要な精度で確実に検出することができるとともに、装置のコンパクト化を阻害せず、しかも、ワークの搬入態様やテープの貼付態様への対応性が高いテープ貼付装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係るテープ貼付装置は、搬入口から搬出口までの搬送面上で搬送方向の前進及び後退の両向きにワークを搬送可能に構成されたワーク搬送機構と、前記ワーク搬送機構の前記搬送面に対向して配置され、前記搬送面上の前記ワークの表面に対してテープを貼り付けるテープ貼付機構と、前記搬送面上に搬入された前記ワークが前記搬入口の側に設定された前記搬送方向の検出位置に到達したか否かを検出するワーク検出器と、前記ワーク検出器の検出結果及び前記ワークへのテープ貼付態様に関する情報に応じて前記ワーク搬送機構及び前記テープ貼付機構を制御する制御部と、を具備する。そして、前記制御部は、前記ワークが前記ワーク検出器により検出される後まで前記ワーク搬送機構により前記ワークを前進させる前進検出過程と、その後、前記ワーク搬送機構の搬送の向きを逆転させ、前記ワークを後退させ、前記ワーク検出器により前記ワークが検出されなくなったら停止させる後退検出過程とを備えるワーク搬入検出工程を実施し、前記ワーク搬入検出工程において前記ワークの搬入が確認されたときに、前記ワーク搬入検出工程において取得した原点情報を基準として、前記テープ貼付機構によりテープ貼付工程を実施することを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記原点情報は、前記後退検出過程において前記ワークが検出されなくなった時点若しくは前記ワークが停止した位置に基づいて定められることが好ましい。これにより、ワーク搬入の確認とともに、原点情報の精度の向上を図ることができる。このとき、前記原点情報は、前記前進検出過程において前記ワークが検出された時点若しくは前記ワークが停止した位置にも依存する形で定められてもよい。
【0011】
本発明において、前記後退検出過程の搬送速度は、前記前進検出過程の搬送速度よりも低いことが好ましい。これによれば、搬送速度の低い後退検出過程に基づいて原点情報が定められることにより、原点情報の精度をさらに向上できる。このとき、後退検出過程の搬送距離は限定されているため、搬送速度を低下させても、ワーク搬入検出工程の処理時間に与える影響は少ない。
【0012】
本発明において、前記ワーク搬送機構は、少なくとも前記検出位置よりも前記搬入口の側に、前記搬送面上のワークの位置を前記搬送方向と交差する方向に規制する側部ガイドを備えることが好ましい。ただし、上記側部ガイドは、前記検出位置、或いは、前記検出位置よりもテープ貼付範囲の側にも備えるようにしてもよい。また、前記ワーク搬送機構は、少なくとも前記検出位置よりも前記搬入口の側に、前記搬送面上のワークを前記搬送面に押し付けるワーク押付機構部を備えることが好ましい。ただし、上記ワーク押付機構部は、前記検出位置、或いは、前記検出位置よりもテープ貼付範囲の側にも備えるようにしてもよい。このワーク押付機構部は、前記搬送面上のワークの表面に接触し、転動する押付ローラと、前記押付ローラを前記搬送面に向けて付勢する付勢手段(例えば、付勢力として弾性力を与える弾性体)とを含むことが望ましい。これらにより、ワークの姿勢を安定化できるので、ワーク搬入検出工程の確実性をさらに高めることができ、原点情報のさらなる高精度化を図ることもできる。
【0013】
本発明において、前記検出位置は、前記搬入口と前記テープ貼付機構によるテープ貼付範囲との間に設定されることが好ましい。ここで、前記テープ貼付範囲は、テープの貼付態様の異なるワーク毎に設定されていてもよく、或いは、装置の構造上のテープ貼付可能な範囲として、装置毎に設定されていてもよい。
【0014】
本発明において、前記ワーク搬送機構の前記搬送面の上方において前記テープ貼付機構を支持する支持フレームをさらに具備することが好ましい。また、前記テープ貼付機構は、前記支持フレームに取り付けられた吊下支持部と、前記吊下支持部に吊り下げられたテープ貼付ユニットと、前記支持フレームに取り付けられて前記搬送方向の前後少なくともいずれかの向きに張り出すように形成されたリール架設部と、前記リール架設部に搭載されて前記テープ貼付ユニットにテープを供給する供給リールと、を含むことが好ましい。これにより、装置下部の搬送方向の長さを拡大させずに大きな供給リールを搭載することができるので、装置のコンパクト化を妨げずに構成できる。
【0015】
この場合において、前記支持フレームは、前記搬送面の幅方向両側にそれぞれ設置されたフレーム側部と、前記幅方向両側の前記フレーム側部を前記搬送面の上方で接続するフレーム上部とを備え、前記搬送面を跨ぐように構成されることが望ましい。また、前記テープ貼付機構は、前記支持フレームに対して前記吊下支持部を前記搬送方向と交差する方向に移動可能に案内する幅方向案内機構部をさらに含むことが望ましい。このとき、前記幅方向案内機構部は、前記吊下支持部を下方から支持した状態で案内する第1の案内支持部と、前記吊下支持部を前記搬送方向の側から支持した状態で案内する第2の案内支持部とを備えることがさらに望ましい。これらにより、テープ貼付ユニットの支持剛性を確保し、貼付精度を向上できる。この場合において、前記吊下支持部は、前記テープ貼付ユニットの上下方向の位置を設定可能な上下位置調整機構部を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ワーク位置を必要な精度で確実に検出することができるとともに、装置のコンパクト化を阻害せず、しかも、ワークの搬入態様やテープの貼付態様への対応性が高いテープ貼付装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るテープ貼付装置の実施形態からカバー枠を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】同実施形態のワーク搬送機構によりワークWを搬送している様子を示す説明図(a)及び(b)である。
【
図10】同実施形態のワーク搬送機構によるワーク前端の搬送位置を示すグラフ(a)と、これに対応するワーク検出器の検出信号を示すグラフ(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、
図1-
図4並びに
図6-
図9を参照して、本発明に係るテープ貼付装置の実施形態の全体構成について説明する。
【0019】
テープ貼付装置1は、支持台11と、この支持台11上に構成された支持フレーム12とを有する支持部10と、ワークWを搬入口22aから搬出口22bまでの搬送面22c上で所定の搬送方向22Fの前進及び後退の両向きに搬送可能に構成された搬送コンベア22を備えるワーク搬送機構20と、ワーク搬送機構20の搬送面22cの上方に配置され、搬送面22c上のワークWの表面に対して所定のテープ貼付範囲でテープを貼り付けるテープ貼付ユニット40を備えるテープ貼付機構30と、光電センサ(透過型光センサ)等により構成され、搬送面22c上に搬入されたワークWが上記テープ貼付範囲よりも搬入口22aの側に設定された搬送方向22Fの検出位置23pに到達したか否かを検出するワーク検出器23と、ワーク検出器23の検出結果及びワークWへのテープ貼付態様に関する情報に応じてワーク搬送機構20及びテープ貼付機構30を制御する制御部50と、を具備する。なお、制御部50は特に限定されないが、支持台11の内部に設置することができる。
【0020】
支持部10において、支持台11の内部には、電源、エアコンプレッサ、コントローラ、制御用コンピュータなどといった、上記ワーク搬送機構20、上記テープ貼付機構30(上記テープ貼付ユニット40を含む。)、上記制御部50を構成し、動作させるために必要な設備などが設置される。また、支持フレーム12は、搬送コンベア22の幅方向両側にそれぞれ支持台11上に固定された一対のフレーム側部13と、これらのフレーム側部13の間を搬送面22cの上方で接続するフレーム上部14とを備える。これらのフレーム側部13及びフレーム上部14により、支持フレーム12は、搬送コンベア22を跨ぐように設置される。また、搬送面22cの上方ではあるが、フレーム上部14よりも低い位置、図示例では、フレーム上部14よりも下方の搬入口22aの側に、一対のフレーム側部13の間に架設されたフレーム横断部15が設けられる。フレーム横断部15は、図示例では、一対のフレーム側部13に接続された板状部材により構成される。
【0021】
ワーク搬送機構20において、支持台11上に設置されたモータ、伝動ベルト、減速機などからなる駆動部21が設けられ、この駆動部21により搬送コンベア22が上記搬送方向22Fに前進及び後退が可能な態様で駆動される。搬送コンベア22は、搬入口22aから搬出口22bまで、図示例では一対の搬送ベルト22d,22dをそれぞれ架設する搬送ローラを含む一対の搬送機構部(ベルトコンベア)により構成される。ここで、一対の搬送機構部の幅方向の間隔は、間隔調整機構によって変更可能に構成される。搬送コンベア22は、上記搬送ベルト22dの表面で構成される搬送面22cを備え、この搬送面22c上に載せたワークWを、上記搬送方向22Fに沿って前進させ、並びに、後退させることができるように構成される。また、左右一対の搬送機構部を連動させるための左右連動軸22e(
図2参照)が設けられる。さらに、後述するテープ貼付ユニット40の下方には、左右一対の搬送ベルト22d,22dの間で、下方からワークを支持し、テープ貼付時に受ける応力によるワークの撓みを防止するための中間支持ローラ22f(
図1及び
図2参照)が転動自在に取り付けられる。
【0022】
搬送コンベア22の上記搬入口22aの側には、搬送面22cの幅方向両側にセンサ発光部23a(
図1参照)とセンサ受光部23b(
図2参照)とがそれぞれ配置され、これらが構成する光電センサ(透過型光センサ)により搬送面22c上の検出位置23p(
図2参照)にワークWが到達しているか否かを検出するワーク検出器23が設けられる。この検出位置23pは、搬入口22aと、テープ貼付ユニット30によってテープが貼付可能なテープ貼付範囲との間に設定される。図示例では、ワークWによってセンサ発光部23aからセンサ受光部23bに照射される光線が遮られると検出信号がオン(H)となり、ワークWによって光線が遮られなくなると検出信号がオフ(L)となる。なお、オン(H)とオフ(L)の関係には特に限定はなく、二つの状態を相互に識別可能な検出態様であればよく、上記とは逆の対応関係であっても構わない。
【0023】
上記搬送面22cの左右両側には、それぞれワークWの幅方向の位置を規制する一対の側部ガイド24、26が設けられる。側部ガイド24は、上記テープ貼付範囲の搬入口22aの側に設置され、上記検出位置23pよりも搬入口22aの側に設けられる。ただし、ワーク検出を妨げなければ、検出位置23pやこれよりもテープ貼付範囲の側に形成されていても構わない。また、側部ガイド26は、上記テープ貼付範囲の搬出口22bの側に設けられる。なお、各側部ガイド24,26は、それぞれ、搬送方向22Fの両端部が幅方向外側に傾斜したガイド端面部を備え、これらの傾斜したガイド端面部によって搬送方向22Fに沿って前進又は後退するワークWが搬送方向に案内される過程で、ワークWの幅方向の位置が修正されるように構成される。
【0024】
また、上記搬送面22cの左右両側には、それぞれ搬送されてきたワークWを搬送面22cに押し付けるためのワーク押付機構部25,27が設けられる。図示例では、ワーク押付機構部25,27は、ワークWの表面に接触して転動可能に構成された押付ローラと、この押付ローラを押付の向き(下向き)に付勢する付勢手段(トーションばねなどを内蔵する弾性力付与機構)によって構成される。ワーク押付機構部25は、搬入口22aの側に設置され、ワーク押付機構部27は、搬出口22bの側に設置される。なお、ワーク押付機構部25の形成範囲については、側部ガイド24と同様に、検出位置23よりも搬入口22aの側に形成されるが、ワーク検出を妨げなければ、検出位置23pやこれよりもテープ貼付範囲の側に形成されていても構わない。
【0025】
テープ貼付機構30は、支持フレーム12に搭載された幅方向案内機構部31と、この幅方向案内機構部31の第1の案内支持部31A(図示例ではその上)に搭載された取付台32と、この取付台32に取り付けられるとともに幅方向案内機構部31の第2の案内支持部31B(図示例ではその搬送方向22Fの側)にも搭載された吊下支持部33とを有する。この吊下支持部33は、上記テープ貼付ユニット40を吊下げた状態で支持する。吊下支持部33には送りねじ機構(ボールネジ機構)等からなる上下位置調整機構部34が設けられ、この上下位置調整機構部34の接続軸34a(
図3参照)は、下方へ延在してテープ貼付ユニット40に接続されている。上述のような幅方向案内機構部31によるテープ貼付機構30の案内支持構造は、支持剛性の向上や案内精度の向上によりテープ貼付ユニット40の位置精度を高めることに寄与する。なお、本実施形態では、二つの左右一対の取付台32が第1の案内支持部31A上に設置されているが、図示例では、一方の取付台32のみに対して、上記吊下支持部33、上下位置調整機構部34及びテープ貼付ユニット40が搭載され、他方の取付台32にはこれらが搭載されていない。実際には二組のテープ貼付ユニット40及び後述する各リールがそれぞれ搭載可能に構成される。
【0026】
また、テープ貼付機構30は、上記取付台32(図示例ではその上)に取り付けられたリール架設部35を有する。このリール架設部35は、搬送方向22Fに沿って前後に伸びるビーム構造を備えるとともにテープに適度の引出抵抗を与えつつリールを駆動する供給側駆動部36及び離型シートに対する適度な巻取力を維持しつつリールを駆動する回収側駆動部38を搭載し、上記ビーム構造の搬送方向22Fの前後位置に、供給側駆動部36に接続された供給リール37及び回収側駆動部38に接続された回収リール39が回転可能に軸支されている。なお、供給リール37は貼付前のテープを搭載し、回収リール39は、供給されるテープが両面粘着テープである場合の離型シート(離型紙)を巻き取るためのものである。したがって、回収側駆動部38及び回収リール39は、必要がなければ設置しなくてもよい。また、各リールの位置は、搬送方向22Fの前後いずれであってもよい。
【0027】
センサ発光部36a及びセンサ受光部36bは供給リール37のテープロール径を検出し、その径に応じて供給側駆動部36の駆動状態が制御される。同様に、センサ発光部38a及びセンサ受光部38bは回収リール39の離型シートの巻き取り径を検出し、その径に応じて回収側駆動部38の駆動状態が制御される。本実施形態では、センサ発光部36a及びセンサ受光部36bと、センサ発光部38a及びセンサ受光部38bとは、それぞれ複数組(図示3組)が設置され、それらの各組の検出態様により各リール径を段階的に検出するようになっている。ここで、リール架設部35は搬送方向22Fの前後に延在し、各リール37、39を搬送コンベア22の上方に配置するので、大径のリールを用いた場合でも、装置の大型化を招きにくいという利点がある。換言すれば、供給リール37(及び回収リール39)は、搬送コンベア22の搬送面22cの上方であって、リール架設部35によって搬送方向22Fの前後いずれかの位置に配置されるので、装置のコンパクト性に影響を与えない態様で、大きな外径とすることができる。したがって、長いテープのテープロールを取り付けることができる。
【0028】
テープ貼付ユニット40は、一例としては、特開2017-197309号公報に記載のテープ貼付ユニット110を用いることができる。この場合、ユニット40は、図示しないテープ供給経路の上流側に設けられた上下動可能なテープ貼付ローラ41と、図示しないテープ供給経路の下流側に設けられた上下動可能なテープ押付ローラ42と、テープ貼付ローラ41とテープ押付ローラ42との間に架設されたテープ部分を切断可能な図示しないテープ切断機構部43とを備える。このテープ貼付ユニット40によるテープ貼付方法は以下の通りである。まず、好ましくはワークWの搬送を停止した状態で、テープ貼付ローラ41をワークWの表面に降下させることでテープ始端(前回、テープ切断機構部43によりカットされたテープの残された端部)を貼り付ける。その後、ワークWを搬送方向22Fに沿って前進させることによりテープが搬送方向に沿って貼り付けられていくとともに、テープの貼付終了位置の少し前でテープ押付ローラ42を降下させてから、その後、テープ貼付ローラ41を上昇させ、好ましくはワークの搬送を停止させることにより、両ローラ間に斜めに架設されたテープ部分をテープ切断機構部43により切断する。最後に、ワークWを搬送方向22Fに沿って再び前進させることで、テープ押付ローラ42によってテープ終端部分を貼り付ける。
【0029】
なお、テープ貼付装置1は、装置の搬送方向22Fの長さを短縮するために、搬送コンベア22の搬送方向22Fの長さを最小限とし、ワークWの長さに応じて、必要な場合には、補助の搬入テーブル51及び搬出テーブル52を設置して使用するように構成される。図示例では、搬入テーブル51及び搬出テーブル52は、搬送方向に複数の支持ローラを配列させた(独立した)ローラコンベアによりそれぞれ構成される。
【0030】
図6-
図9に示すように、テープ貼付装置1は、支持台11の上に取り付けられたカバー枠16を備える。カバー枠16は、支持台11に固定され、相互に連結された枠材16a、16b、16c、16dによって枠体として構成され、この枠体に取り付けられた保護パネル16s、16tにより、上記ワーク搬送機構20及び上記テープ貼付機構30を覆う。保護パネル16s,16tは透視性を備えた素材で構成されることが望ましい。ただし、カバー枠16は、上記搬入口22a及び搬出口22bに相当する部分は、ワークの搬入及び搬出を阻害しないように、外部に開放された構造となっている。カバー枠16を設けることにより、作業の安全を確保できるとともに、塵埃や虫などの侵入(センサの誤動作の原因になる。)を抑制することができる。
【0031】
テープ貼付装置の搬入口22a及び搬出口22bの傍らには、設置台17a,17bが設けられる。これらの設置台17a,17bには、各種操作が可能な操作部18を設置できるようになっている。図示例では、操作部18は、磁力などによって、設置台17a,17bに対して着脱可能に構成される。操作部18は、例えば、タッチパネル方式の操作表示面を備えたものとすることができる。なお、本実施形態では、操作部18をいずれの設置台17a,17bにおいて用いてもよいとともに、前述のようにワーク搬送機構20(搬送コンベア22)が前進と後退のいずれの搬送の向きでも実現可能に構成されるので、搬入口22aと搬出口22bを逆転させ、前後を入れ替えて用いることも可能である。
【0032】
制御部50は、例えば、マイクロプロセッサユニットやコンピュータを搭載し、所定の動作プログラムに従った制御処理を実行するもので構成できる。制御部50は、テープ貼付ユニット40を制御することによりテープをワークWに貼り付けることができる。また、制御部50は、その制御処理において、ワーク搬送機構20を制御し、以下のようなワーク搬入検出工程を実施することもできる。まず、ワーク搬送機構20の搬送コンベア22を駆動部21により稼働させ、搬送面22cを前進させる。このとき、ワークWが投入されるまで搬送面22cの前進動作が維持される待機状態にすることが好ましい。この待機状態で、ワークWが搬入口22aに供給されると、
図5(a)に示すように、搬送コンベア22の搬送面22c上でワークWが搬送方向22Fに沿って前進させられる。このとき、ワークWの側部が側部ガイド24に案内され、幅方向に位置決めされ、ワーク押付機構部25によって搬送面22c上に保持された状態で搬送されていく。
【0033】
次に、
図10(a)に示すように、ワークWの前端Wsが検出位置23pに達すると、
図10(b)に示すように、ワーク検出器23の検出信号がオン(H)となる。このとき、制御部50は、搬送コンベア22を一旦停止させる。そして、駆動部21を逆転させることによりワークWを後退させる。ワークWの前進時において、検出信号がオンとなってから停止するまでの前進量(ワークWを前進させる距離若しくは時間)は適宜に設定できる。ただし、後述するように前進量を予め設定したり、他の条件に前進量を合せたりする場合を除き、上記の前進量を殊更設定するのではなく、検出信号がオンとなったときに搬送コンベア22を停止し、その後、後退させるだけでもよい。この場合でも、搬送コンベア22は直ちに停止できないので、ワークWは検出位置よりも僅かに前方で停止する。しかし、このときの停止位置には大きなばらつきが生ずる。特に、搬送コンベア22の前進速度が大きい場合には、停止位置の前方へのずれは無視できず、ずれのばらつきも大きい。この停止位置に到達するまでのプロセスは、ワーク搬入検出工程の前進検出過程である。
【0034】
次に、上述の前進検出過程に引き続いて、ワークWを後退させていく後退検出過程について説明する。この後退検出過程では、ワークWの後退によってやがて前端Wsが検出位置23pよりも搬入口22aの側に戻るので、
図10(b)に示すように、検出信号は再びオフ(L)に戻る。これを確認することによって、制御部50は、ワークWが本当に搬入されてきたことを確実に認知することができる。すなわち、ゴミなどが検出位置23pを横切ったことなどによる誤検出ではないことを確認できる。また、このようにしてワークWを検出することにより、搬送コンベア22の前進時において、どのタイミングでワークWが搬入されるかわからない状態で、複雑で迅速な演算処理を行わなくても、ワークWの搬入を確実に検出できる。このとき、ワークWの搬入確認プロセスとして、検出信号がオン(H)になってからワークWが停止するまでの前進量の概略値を把握しておき、搬送の向きを逆転してから検出信号がオフ(L)となるまでの後退量の範囲を上記の把握した前進量の概略値に近い所定範囲に限定し、この所定範囲内で検出信号がオフ(L)にならなければ後退を中止して誤検出とするようにしてもよい。これは、特に、上記前進量を大きく設定した場合に有効である。このワーク搬入検出工程でワークWの搬入が確認されないと、テープ貼付工程は実施されない。
【0035】
制御部50は、上記ワーク搬入検出工程において、ワークWの原点情報を取得する。例えば、上述の検出信号がオン(H)になったことでワーク搬入検出工程を開始し、後退検出過程において、検出信号がオフ(L)になった時点、或いは、これを検出するによりワークWが停止した静止位置に基づいて原点情報を設定する。例えば、上記時点に対応するワークWの位置、或いは、上記静止位置を原点位置とする。これにより、以後に行われるテープ貼付機構30によるテープ貼付工程において、ワークWの表面Waへのテープの貼付位置(貼付開始点及び貼付終了点)は上記原点情報を基準として決定される。このとき、ワーク搬入検出工程における2回の検出は、この工程中の搬送の往復動作によって同じ地点で行なわれるので、搬送方向22Fに沿った二箇所で行う必要がないことから、装置の搬送方向22Fの長さを低減することにも寄与している。また、搬送コンベア22の上記前進検出過程における搬送速度よりも上記後退検出過程における搬送速度を低くすることにより、上述のばらつきの影響をさらに低減し、原点情報(位置)の精度をさらに高めることができる。さらに、検出位置23pを一旦通過してから再び戻る過程で原点情報を取得することで、ワークWが側部ガイド24やワーク押付機構部25により、より深い位置まで、より長い時間、案内された状態で検出できるので、ワークWが安定した姿勢にあるときに取得されたことによっても、原点情報の精度を高めることができる。
【0036】
ただし、本発明において、上記原点情報の取得は、ワークWの後退検出過程における検出信号がオフ(L)となるタイミングに基づく場合に限らず、例えば、最初の検出信号がオン(H)となるタイミングに基づいたものでもよく、両タイミングの平均値とするなどのさらに異なる方法であってもよい。また、検出信号がオン(H)となったことにより、詳細かつ正確な原点情報取得プロセスを稼働させ、このプロセスにより検出信号がオフ(L)となった時点若しくはそれによるワークWの静止位置に基づいて原点情報を取得することでも、原点情報の高精度化を図ることができる。なお、前進検出過程における検出信号がオン(H)となった時点若しくはそれによるワークWの静止位置に基づいて原点情報を取得してもよく、或いは、前進検出過程と後退検出過程の双方の検出時点若しくは静止位置を利用して原点情報を取得してもよい。
【0037】
図5(b)には、前に搬入されたワークWが搬出される前に、次の新たなワークWが搬入されている様子を示す。このような場合には、前のワークWに対するテープ貼付工程と、次のワークWに対する上記ワーク搬入検出工程とが並行して行われる場合がある。
図10は、このようなときの制御態様の一例を示すものである。
図10(a)に示すように、まず、前のワークWについてワーク搬入検出工程が実施され、ワークWの搬入が確認されるとともに、原点情報が取得される。その後、必要に応じて搬送コンベア22を前のワークWが貼付開始点に来た時に一旦停止し、テープの始端の貼付を行う。その後、搬送コンベア22により前のワークWを前進させながらテープを貼り付けていく。やがて、テープの貼付終了近くになると、必要に応じて前のワークWを一旦停止し、テープ切断機構部43によるテープの切断を行い、必要に応じて再度前進を行い、テープ終端部を貼着する。
【0038】
一方、搬送コンベア22が前進状態にあれば、次のワークWが搬入されると、搬送コンベア22により次のワークWも前進する。このとき、前のワークWがテープ貼付工程中であって搬送コンベア22が前進状態にあれば、そのまま前のワークWのテープ貼付工程を優先し、次のワークWもそのまま前進する。また、前のワークWのテープ貼付工程で搬送コンベア22が一時的に停止すれば、やはり、それを優先して次のワークWも停止する。
図10(a)では、この優先状態を表すために、前のワークWのための移動制御が優先する部分については移動態様を実線で示し、次のワークWの移動態様については点線で示している。この状態では、次のワークWは前のワークWのテープ貼付状態の搬送状態で移動するが、ワーク搬入検出工程自体は制御部50により並行して実行される。すなわち、前のワークWに従った搬送態様で次のワークWの前端Wsが検出位置23pに到達すれば、検出信号はオン(H)となる。その後、前のワークWのテープ貼付工程が終了するまでは、そのまま次のワークWも前進若しくは停止するので、前後のタイミングによっては、次のワークWのワーク搬入検出工程では、検出位置23pを通過してそのままさらに前進(或いは、前進及び停止)を続ける場合もある。この場合には、次のワークWに関しては、ワーク搬入検出工程の前進検出過程が継続していることになる。
【0039】
上記の状態で、前のワークWのテープ貼付工程が終了すると、今度は次のワークWの処理が優先される。すなわち、次のワークWの上記ワーク搬入検出工程が進められ、次のワークWの前端Wsが検出位置23pに到達していなければそのまま前進して上述のように次のワークWについてワーク搬入検出工程が実施されるが、次のワークWの前端Wsが既に検出位置に到達し、当該位置を通過していれば、搬送コンベア22は停止し、搬送の向きを逆転して後退検出過程に入り、次のワークWは前のワークWとともに後退する。そして、次のワークWの前端Wsが検出位置23pに戻り、検出信号がオフ(L)になると停止する。ここで、原点情報が取得され、次のワークWについてワーク搬入検出工程が完了する。その後、再び搬送コンベア22が前進を開始し、次のワークWのテープ貼付工程が行われる。
【0040】
上記のように前後のワークWに対する並行処理が実施される場合においても、ワークWの検出位置23pからの前進量は変動するものの、ワーク搬入検出工程の態様そのものを変化させる必要はなく、ワークWの搬入検出の確実化(誤検出の防止)を図ることができ、また、条件によっては原点情報の精度向上を図ることもできる。また、このような並行処理が支障なく行えることにより、搬送コンベア22の搬送方向22Fの長さを短くすることが可能になるため、装置のコンパクト化を妨げることもない。さらに、ワークWの搬入態様(例えば、不定期な搬入タイミングや搬入頻度)やワークWに対するテープ貼付態様(貼付範囲や貼付位置)への対応性に支障を与えることもない。
【0041】
なお、本発明のテープ貼付装置は、上述の図示例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、支持台11上に支持フレーム12を立設し、支持台11の上方にワーク搬送機構20やテープ貼付機構30を設置しているが、本発明はこのような構成に限らず、支持台の下方に搬送経路を構成したり、搬送経路の下方にテープ貼付機構を配置したりしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…テープ貼付装置、10…支持部、11…支持台、12…支持フレーム、13…フレーム側部、14…フレーム上部、15…フレーム横断部、16…カバー枠、17a,17b…設置台、18…操作部、20…ワーク搬送機構、21…駆動部、22…搬送コンベア、22a…搬入口、22b…搬出口、22c…搬送面、22d…搬送ベルト、22e…左右連動軸、22f…中間支持ローラ、23…ワーク検出器、23a…センサ発光部,23b…センサ受光部、24…搬入口側の側部ガイド、25…搬入口側のワーク押付機構部、26…搬出口側の側部ガイド、27…搬出口側のワーク押付機構部、28…搬送幅変更機構部、30…テープ貼付機構、31…幅方向案内機構部、31A…第1の案内支持部、31B…第2の案内支持部、32…取付台、33…吊下支持部、34…上下位置調整機構部、35…リール架設部、36…供給側駆動部、36a…センサ発光部、36b…センサ受光部、37…供給リール、38…回収側駆動部、38a…センサ発光部、38b…センサ受光部、39…回収リール、40…テープ貼付ユニット、41…テープ貼付ローラ、42…テープ押付ローラ、43…テープ切断機構部、50…制御部、51…搬入テーブル(コンベア)、52…搬出テーブル(コンベア)、W…ワーク、Wa…表面、Ws…前端、Wt…後端