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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】釣り用リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A01K89/015 D
A01K89/015 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019100146
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020191829
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】武智 邦生
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-223219(JP,A)
【文献】特開平02-049530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体側収容部を有するリール本体と、
前記本体側収容部に一部が配置された駆動軸と、
前記駆動軸と交差する方向に延びるハンドルアーム、及び前記駆動軸の一部が配置されるとともに前記本体側収容部と前記駆動軸の軸方向に隣接する筒状のハンドル側収容部、を有するハンドルと、
前記本体側収容部に配置され、前記駆動軸の糸繰り出し方向の回転を禁止する第1ローラクラッチと、
前記ハンドル側収容部に配置され、前記ハンドルの糸巻き取り方向の回転のみを前記駆動軸に伝達する第2ローラクラッチと、
前記本体側収容部と前記ハンドル側収容部との軸方向間の隙間をシールする第1シール機構と、
を備えた、
釣り用リール。
【請求項2】
前記第1シール機構は、軸方向に突出する第1環状凸部を有し、
前記第1環状凸部は、前記本体側収容部又は前記ハンドル側収容部のいずれか一方に設けられ、前記ハンドルアームが延びる方向において、前記本体側収容部又は前記ハンドル側収容部のいずれか他方に少なくとも一部が重なる、
請求項に記載の釣り用リール。
【請求項3】
前記第1シール機構は、前記第1環状凸部の先端を収容可能な第1環状凹部をさらに有し、
前記第1環状凹部は、前記本体側収容部又は前記ハンドル側収容部のいずれか他方に設けられる、
請求項に記載の釣り用リール。
【請求項4】
前記駆動軸の一端に一体回転可能に装着され、前記ハンドル側収容部と軸方向に対向して配置されたカバー部材と、
前記ハンドル側収容部と前記カバー部材との軸方向間の隙間をシールする第2シール機構と、をさらに備えた、
請求項1からのいずれか1項に記載の釣り用リール。
【請求項5】
前記第2シール機構は、軸方向に突出する第2環状凸部と、前記第2環状凸部の先端を収容可能な第2環状凹部と、を有し、
前記第2環状凸部は、前記ハンドル側収容部又は前記カバー部材のいずれか一方に設けられ、
前記第2環状凹部は、前記ハンドル側収容部又は前記カバー部材のいずれか他方設けられる、
請求項に記載の釣り用リール。
【請求項6】
前記ハンドル側収容部に配置され、前記駆動軸及び前記ハンドルを支持する軸受をさらに備えた、請求項1からのいずれか1項に記載の釣り用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用リール、特に両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、両軸受リールのハンドルにラチェット式のワンウェイクラッチを設けた構成が開示されている。ワンウェイクラッチは、ハンドルの糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸に伝達し、ハンドルの糸繰り出し方向の回転を駆動軸に伝達しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭55-30143
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のラチェット式のワンウェイクラッチでは、外部からワンウェイクラッチに水が侵入するおそれがあった。また、ハンドルにがたつきが生じるといった問題があった。
【0005】
本発明の課題は、ハンドルの糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸に伝達するワンウェイクラッチを備えた釣り用リールにおいて、ハンドルのがたつきを抑えることにある。
【0006】
また、本発明の別の課題は、ハンドルの糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸に伝達するワンウェイクラッチを備えた釣り用リールにおいて、ワンウェイクラッチへの水の侵入を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る釣り用リールは、リール本体と、駆動軸と、ハンドルと、第1ローラクラッチと、第2ローラクラッチと、を備える。リール本体は、筒状の本体側収容部を有する。駆動軸は、本体側収容部に一部が配置される。ハンドルは、駆動軸と交差する方向に延びるハンドルアーム、及び駆動軸の一部が配置されるとともに本体側収容部と駆動軸の軸方向に隣接する筒状のハンドル側収容部、を有する。第1ローラクラッチは、本体側収容部に配置され、駆動軸の糸繰り出し方向の回転を禁止する。第2ローラクラッチは、ハンドル側収容部に配置され、ハンドルの糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸に伝達する。
【0008】
この釣り用リールでは、ハンドル側収容部に配置されたローラクラッチを介してハンドルが駆動軸に支持される。これにより、例えばラチェット式のワンウェイクラッチを採用した場合に比べてハンドルのがたつきを抑制することができる。
【0009】
好ましくは、本体側収容部とハンドル側収容部との軸方向間の隙間をシールする第1シール機構を備える。この場合は、第1ローラクラッチ及び第2ローラクラッチへの水の侵入を抑制することができる。
【0010】
好ましくは、第1シール機構は、軸方向に突出する第1環状凸部を有する。第1環状凸部は、本体側収容部又はハンドル側収容部のいずれか一方に設けられる。第1環状凸部は、ハンドルアームが延びる方向において、本体側収容部又はハンドル側収容部のいずれか他方に少なくとも一部が重なる。この場合は、簡単な構成で第1ローラクラッチ及び第2ローラクラッチへの水の侵入を抑制することができる。
【0011】
好ましくは、第1シール機構は、第1環状凸部の先端を収容可能な第1環状凹部をさらに有する。第1環状凹部は、本体側収容部又はハンドル側収容部のいずれか他方に設けられる。この場合は、第1環状凸部と第1環状凹部とによって、本体側収容部とハンドル側収容部との軸方向間にラビリンス構造が形成されるので、第1ローラクラッチ及び第2ローラクラッチへの水の侵入をさらに抑制することができる。
【0012】
好ましくは、駆動軸の一端に一体回転可能に装着され、ハンドル側収容部と軸方向に対向して配置されたカバー部材と、ハンドル側収容部とカバー部材との軸方向間の隙間をシールする第2シール機構と、をさらに備える。この場合は、ハンドル側収容部とカバー部材との隙間から第2ローラクラッチに水が侵入することを抑制できる。
【0013】
好ましくは、第2シール機構は、軸方向に突出する第2環状凸部と、第2環状凸部の先端を収容可能な第2環状凹部と、を有する。第2環状凸部は、ハンドル側収容部又はカバー部材のいずれか一方に設けられる。第2環状凹部は、ハンドル側収容部又はカバー部材のいずれか他方設けられる。この場合は、ハンドル側収容部とカバー部材との軸方向間にラビリンス構造が形成されるので、第2ローラクラッチへの水の侵入をさらに抑制することができる。
【0014】
好ましくは、ハンドル側収容部に配置され、駆動軸及びハンドルを支持する軸受をさらに備える。この場合は、駆動軸及びハンドルがハンドル側収容部に配置された軸受によっても支持されるので、ハンドルのガタツキをさらに抑制することができる。
【0015】
本発明によれば、ハンドルの糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸に伝達するワンウェイクラッチを備えた釣り用リールにおいて、ハンドルのがたつきを抑えることができる。
【0016】
本発明の別の発明によれば、ハンドルの糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸に伝達するワンウェイクラッチを備えた釣り用リールにおいて、ワンウェイクラッチへの水の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態が採用された釣り用リールの斜視図。
図2】駆動軸周辺の断面図。
図3】駆動軸周辺の拡大断面図。
図4】変形例に係る駆動軸周辺の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を採用した釣り用リール100は、レバードラグ型の両軸受リールである。釣り用リール100は、釣り糸を前方に繰り出し可能である。釣り用リール100は、図1から図3に示すように、リール本体2と、スプール3と、駆動軸4と、ハンドル5と、第1ローラクラッチ21と、第2ローラクラッチ22と、を備えている。また、釣り用リール100は、好ましくは、カバー部材26と、第1シール機構31と、第2シール機構32と、を備えている。
【0019】
なお、以下の説明において、釣りを行うときに、釣糸が繰り出される方向を前、その反対方向を後という。また、左右とは、釣り用リール100を前方から見たときの左右をいう。また、駆動軸4(図2参照)が延びる方向を「軸方向」、駆動軸4と直交する方向を「径方向」、駆動軸4の軸回りの方向を「周方向」という。
【0020】
リール本体2は、フレーム6と、第1側カバー7aと、第2側カバー7bと、本体側収容部8と、を有している。フレーム6は、第1側板6aと、第2側板6bと、複数の連結部6cと、を有している。
【0021】
第1側板6aは、フレーム6の右側に配置されている。第2側板6bは、第1側板6aと軸方向に間隔を隔てて、フレーム6の左側に配置されている。複数の連結部6cは、軸方向に延び、第1側板6aと第2側板6bとを連結している。
【0022】
第1側カバー7aは、フレーム6の右側方に設けられ、フレーム6の第1側板6aの右側方を覆う。第1側カバー7aは、本実施形態では、フレーム6に一体的に形成されている。第2側カバー7bは、フレーム6の左側方に設けられ、フレーム6の第2側板6bの左側方を覆う。
【0023】
本体側収容部8は、第2側カバー7bの側面の下部付近から軸方向に延びて形成されている。本体側収容部8は、第2側板6bから離れる方向に延びている。本体側収容部8は、第2側カバー7bと一体的に形成されている。本体側収容部8は、筒状であり、本実施形態では円筒状に形成されている。本体側収容部8の両端には、駆動軸4を支持する軸受12a,12bが配置されている。軸受12aは、本体側収容部8の内周部に設けられた段部8aによって位置決めされている。軸受12bは、本体側収容部8の内周部に設けられた位置決め突起8bによって位置決めされている。
【0024】
スプール3は、第1側板6aと第2側板6bとの間で、リール本体2に回転可能に支持されている。スプール3は、スプール3の中央を貫通するスプール軸10に回転可能に支持されている。スプール軸10は、軸方向に延び、リール本体2に軸方向に移動可能に支持されている。スプール軸10は、スプール軸10に装着された図示しない一対の軸受を介して、スプール3を回転可能に支持している。
【0025】
駆動軸4は、第1端4a(右端)が軸受12aを介してリール本体2に回転可能に支持されている。駆動軸4の第2端4b(左端)は、ハンドル5の後述するハンドル側収容部5bに配置された軸受14bにより支持されている。駆動軸4は、一部が本体側収容部8に配置されている。駆動軸4は、円筒状の軸であり、両端の内周面に雌ねじ部4c,4dが形成されている。
【0026】
ハンドル5は、リール本体2に回転可能に設けられている。ハンドル5の回転は、第2ローラクラッチ22により、糸巻き取り方向の回転のみが駆動軸4に伝達される。
【0027】
ハンドル5は、ハンドルアーム5aと、ハンドル側収容部5bと、を有している。ハンドルアーム5aは、ハンドル側収容部5bの外周部から駆動軸4と交差する方向に延びている。本実施形態では、ハンドルアーム5aは、径方向に延びている。ハンドルアーム5aには、ハンドル5を回転操作するための把手部5cが装着されている。
【0028】
ハンドル側収容部5bは、ハンドルアーム5aの駆動軸4に近接する端部において、ハンドルアーム5aと一体的に形成されている。ハンドル側収容部5bは、筒状であり、本実施形態では円筒状に形成されている。ハンドル側収容部5bは、本体側収容部8と軸方向に隣接する。ハンドル側収容部5bは、本体側収容部8と軸方向に対向して配置されている。ハンドル側収容部5bは、本体側収容部8の収容空間とハンドル側収容部5bの収容空間とが軸方向に連なるように本体側収容部8の左側に配置されている。ハンドル側収容部5bと本体側収容部8との間には、僅かな隙間が設けられている。ハンドル側収容部5bには、駆動軸4の一部が配置される。ハンドル側収容部5bの両端には、軸受14a,14bが配置されている。軸受14a,14bは、駆動軸4及びハンドル5を支持する。軸受14aと軸受12bとの間には、環状のスペーサ34が配置されている。スペーサ34は、軸受14aの内輪と軸受12bの内輪に接触している。軸受14bは、ハンドル側収容部5bの内周部に設けられた位置決め突起5dによって位置決めされている。
【0029】
回転伝達機構40は、ドラグ機構50を介して、駆動軸4の糸巻き取り方向の回転をスプール3に伝達する。回転伝達機構40は、駆動ギア41と、ピニオンギア42と、を有している。駆動ギア41は、駆動軸4の雌ねじ部4cに螺合する固定部材45によって駆動軸4の第1端4a側の外周部に固定されている。ピニオンギア42は、駆動ギア41にかみ合う。ピニオンギア42は、スプール3に回転自在に装着されている。
【0030】
ドラグ機構50は、制動円盤50aと、摩擦円盤50bと、を有している。制動円盤50aは、ピニオンギア42に一体回転可能に連結されている。摩擦円盤50bは、制動円盤50aと軸方向に対向して配置され、スプール3に一体回転可能に連結されている。制動円盤50aは、摩擦円盤50bと摩擦係合する摩擦部50cを有している。駆動軸4の糸巻き取り方向の回転は、駆動ギア41、ピニオンギア42、そして制動円盤50aから摩擦円盤50bに伝達されて、スプール3が回転する。なお、ドラグ力の調整は、ドラグ調整レバー51の操作によって調整される。
【0031】
第1ローラクラッチ21は、ローラ型のワンウェイクラッチである。第1ローラクラッチ21は、リール本体2の本体側収容部8内に配置されている。第1ローラクラッチ21は、駆動軸4の糸繰り出し方向の回転を禁止する。
【0032】
第1ローラクラッチ21は、外輪21aと、転動体21bと、を有している。外輪21aは、本体側収容部8に回転不能に装着されている。外輪21aの内周面には図示しないカム面が形成されている。転動体21bは、円柱状であり、外輪21aと駆動軸4の間に配置されている。転動体21bは、糸繰り出し方向の回転を外輪21aに伝達する。外輪21aは、本体側収容部8に回転不能に装着されているため、結果的に駆動軸4の糸繰り出し方向の回転が禁止される。一方、転動体21bは、糸巻き取り方向の回転を外輪21aに伝達しない。すなわち、第1ローラクラッチ21は、駆動軸4の糸巻き取り方向の回転を許容する。
【0033】
第2ローラクラッチ22は、ローラ型のワンウェイクラッチである。第2ローラクラッチ22は、ハンドル側収容部5b内に配置されている。第2ローラクラッチ22は、ハンドル5の糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸4に伝達する。
【0034】
第2ローラクラッチ22は、外輪22aと、転動体22bと、を有している。外輪22aは、ハンドル側収容部5bに回転不能に装着されている。外輪22aの内周面には図示しないカム面が形成されている。転動体22bは、円柱状であり、外輪22aと駆動軸4の間に配置されている。転動体22bは、ハンドル5の糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸4に伝達する。転動体21bは、ハンドル5の糸繰り出し方向の回転を駆動軸4に伝達しない。
【0035】
第2ローラクラッチ22と軸受14aとの軸方向間には、環状のスペーサ35が配置されている。スペーサ35は、第2ローラクラッチ22の外輪22aと軸受14aの外輪に接触している。
【0036】
カバー部材26は、駆動軸4の第2端4bに一体回転可能に装着されている。カバー部材26は、ハンドル側収容部5bと軸方向に対向して配置されている。
【0037】
カバー部材26は、カバー部26aと、固定部26bと、を有している。カバー部26aは、ハンドル側収容部5bの左側端面に対向して配置される。カバー部26aとハンドル側収容部5bとの間には、僅かな隙間が設けられている。カバー部26aは、軸方向において、軸受14bの内輪及び駆動軸4の第2端4bの端面に接触している。固定部26bは、カバー部26aから軸方向に延びている。固定部26bは、外周面に雄ねじ部26cを有している。雄ねじ部26cは、駆動軸4の雌ねじ部4dと螺合する。
【0038】
第1シール機構31は、外部から本体側収容部8内及びハンドル側収容部5b内に侵入する水を防止する。本実施形態では、第1シール機構31は、本体側収容部8とハンドル5のハンドル側収容部5bとの軸方向間の隙間をシールする。第1シール機構31は、第1環状凸部31aと、第1環状凹部31bと、を有している。
【0039】
第1環状凸部31aは、軸方向に突出し、周方向に環状に延びている。第1環状凸部31aは、本体側収容部8又はハンドル側収容部5bのいずれか一方に設けられる。また、第1環状凸部31aは、ハンドルアーム5aが延びる方向において、本体側収容部8又はハンドル側収容部5bのいずれか他方に少なくとも一部が重なる。
【0040】
本実施形態では、第1環状凸部31aは、本体側収容部8に設けられ、本体側収容部8のハンドル側収容部5bに対向する端面からハンドル側収容部5bの端面に向かって突出する。第1環状凸部31aは、第1環状凹部31bに向かって延びている。第1環状凸部31aは、径方向において、ハンドル側収容部5bに一部が重なる。
【0041】
第1環状凹部31bは、本体側収容部8又はハンドル側収容部5bのいずれか他方に設けられる。本実施形態では、第1環状凹部31bは、ハンドル側収容部5bに設けられる。第1環状凹部31bは、ハンドル側収容部5bの本体側収容部8に対向する端面から軸方向に凹み、周方向に環状に延びている。第1環状凹部31bは、第1環状凸部31aの先端を収容可能である。第1シール機構31の第1環状凸部31aと第1環状凹部31bとによって、本体側収容部8とハンドル側収容部5bとの軸方向間にラビリンス構造が形成される。第1環状凸部31aと第1環状凹部31bとで形成されるラビリンス構造によって、本体側収容部8とハンドル側収容部5bとの軸方向間の隙間がシールされている。なお、第1環状凸部31a及び第1環状凹部31bの少なくとも一方には撥水処理が施されている。
【0042】
第2シール機構32は、ハンドル側収容部5bとカバー部材26との軸方向間の隙間をシールする。第2シール機構32は、第2環状凸部32aと、第2環状凹部32bと、を有している。
【0043】
第2環状凸部32aは、軸方向に突出し、周方向に環状に延びている。第2環状凸部32aは、ハンドル側収容部5b又はカバー部材26のいずれか一方に設けられる。また、第2環状凸部32aは、ハンドルアーム5aが延びる方向において、ハンドル側収容部5b又はカバー部材26のいずれか他方に少なくとも一部が重なる。
【0044】
本実施形態では、第2環状凸部32aは、ハンドル側収容部5bに設けられ、ハンドル側収容部5bのカバー部材26に対向する端面からカバー部材26のカバー部26aに向かって突出する。第2環状凸部32aは第2環状凹部32bに向かって延びている。第2環状凸部32aは、径方向において、カバー部材26のカバー部26aに一部が重なる。
【0045】
第2環状凹部32bは、ハンドル側収容部5b又はカバー部材26のいずれか他方に設けられる。本実施形態では、第2環状凹部32bは、カバー部材26に設けられる。第2環状凹部32bは、カバー部材26のカバー部26aのハンドル側収容部5bに対向する端面から軸方向に凹み、周方向に環状に延びている。第2環状凹部32bは、第2環状凸部32aの先端を収容可能である。第2シール機構32の第2環状凸部32aと第2環状凹部32bとによって、ハンドル側収容部5bとカバー部材26との軸方向間にラビリンス構造が形成される。第2環状凸部32aと第2環状凹部32bとで形成されるラビリンス構造によってハンドル側収容部5bとカバー部材26との軸方向間の隙間がシールされている。なお、第2環状凸部32a及び第2環状凹部32bの少なくとも一方には撥水処理が施されている。
【0046】
上記構成の釣り用リール100では、第2ローラクラッチ22がハンドル5の糸巻き取り方向の回転のみを駆動軸4に伝達する。すなわち、ハンドル5からの糸繰り出し方向への荷重がリール本体2に作用しない。これにより、ハンドル5から糸繰り出し方向への荷重を受けることによる第1ローラクラッチ21の破損を防止することができる。また、ハンドル5を糸繰り出し方向に回転させて、ハンドル5の回転方向における位置を任意の位置に変更することができるので、例えばハンドル5を一定の範囲で往復移動させて釣り糸を巻き上げることが可能になる。
【0047】
また、ハンドル5は、ハンドル側収容部5bに配置された第2ローラクラッチ22を介して駆動軸4に支持されている。さらに、ハンドル5は、ハンドル側収容部5bに配置された軸受14a,14bによっても支持されている。これにより、例えば、ラチェット式のワンウェイクラッチを採用した場合に比べて、ハンドル5のがたつきを抑制することができる。また、第1シール機構31及び第2シール機構32によって、本体側収容部8及びハンドル側収容部5bへの水の侵入を抑制することができるので、第1ローラクラッチ21及び第2ローラクラッチ22の腐食を防止することができる。
【0048】
なお、第1ローラクラッチ21と軸受12aとの軸方向間には、駆動軸4に向かって先細るリップ形状を有する環状のシール部材38が配置されている。シール部材38は、駆動軸4の外周面に接触している。シール部材38は、駆動軸4の第1端4a側から第1ローラクラッチ21に侵入する水を抑制する。本実施形態では、駆動軸4が円筒形状であるため、シール部材38を容易に採用することができる。なお、シール部材38の位置は、本実施形態に限定されるものではない。
【0049】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0050】
前記実施形態では、レバードラグ型の両軸受リールに本発明を採用していたが、例えば、ハンドル5の回転をスプール3に伝達及び遮断するクラッチ機構を備えた両軸受リール等に本発明を適用してもよい。また、第1ローラクラッチ21及び第2ローラクラッチ22は、内輪を有していてもよい。
【0051】
前記実施形態では、第1シール機構31及び第2シール機構32は、環状凸部と環状凹部とによってラビリンス構造を形成していたが、第1シール機構31及び第2シール機構32の構成は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、本体側収容部8及びハンドル側収容部5bにおいて、複数の環状凸部を径方向に重ねて配置してもよい。また、必ずしもラビリンス構造である必要はない。
【0052】
図4は、変形例に係る駆動軸4周辺の断面図である。なお、図4では、前記実施形態と同様の構成については同じ符号を付している。変形例では、回転伝達機構40がハンドル5の回転を高速と低速の2速に切り換え可能な変速機構60を有している。
【0053】
変速機構60は、高速巻き取り用の第1駆動ギア61aと、第1駆動ギア61aにかみ合う第1ピニオンギア61bと、低速巻き取り用の第2駆動ギア62aと、第2駆動ギア62aにかみ合う第2ピニオンギア62bとを有している。高速と低速との切り換えは、図示しない付勢部材により付勢された操作軸63の軸方向の移動により切り換えられる。変速機構60の詳細ついては、従来と同様の構成であるため説明を省略する。
【0054】
2 リール本体
3 スプール
4 駆動軸
5 ハンドル
5a ハンドルアーム
5b ハンドル側収容部
8 本体側収容部
14a 軸受
14b 軸受
21 第1ローラクラッチ
22 第2ローラクラッチ
26 カバー部材
31 第1シール機構
31a 第1環状凸部
31b 第1環状凹部
32 第2シール機構
32a 第1環状凸部
32b 第2環状凹部
100 釣り用リール
図1
図2
図3
図4