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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】保持器
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20230314BHJP
【FI】
A24F47/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019535975
(86)(22)【出願日】2017-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017073061
(87)【国際公開番号】W WO2018050720
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2019-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】1615609.3
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】ヘップワース, リチャード
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】間中 耕治
【審判官】松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510994(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084120(WO,A1)
【文献】特表2016-523565(JP,A)
【文献】特表2015-523089(JP,A)
【文献】国際公開第2014/158051(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/121608(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/179524(WO,A1)
【文献】実開昭49-91583(JP,U)
【文献】実開昭60-127794(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00 - 3/18
A24F 40/40
A24F 42/60
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルを含む吸引可能な媒体を供給するためのエアロゾル供給装置に用いられる物質保持器であって、
前記エアロゾル供給装置で生成された前記エアロゾルを流入させ通過させることができるように透過性を有する材料からなる材料体であって、前記材料が、8~12の範囲の単一繊維デニール値を有する、材料体と、
前記エアロゾルが前記材料体を通過する場合に前記エアロゾルの特性を変えるための、前記材料体内に置かれた物質と、
を備え、
使用者が吸引した際の前記材料体の長手方向の端から端までの圧力差が、20mmWater Gauge(WG)の範囲であるように構成されている、物質保持器。
【請求項2】
前記材料が繊維材料である、請求項1に記載の物質保持器。
【請求項3】
前記圧力差が、10~20mm WGの範囲であるように構成されている、請求項1又は2に記載の物質保持器。
【請求項4】
前記材料が、CA、ポリプロピレン、ポリエステル及び紙のうちの少なくとも一つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項5】
前記材料体の長さが、10mm~20mmの範囲、好ましくは12mm~15mmの範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項6】
前記材料体の断面が、5mm~9mmの範囲の直径、好ましくは7.5mm~8mmの範囲の直径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項7】
前記材料体の周囲に被覆層をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項8】
外側の前記被覆層が耐湿性である、請求項7に記載の物質保持器。
【請求項9】
前記物質を含む少なくとも一つのカプセルをさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項10】
前記少なくとも一つのカプセルが、前記物質を放出するよう壊すことができ又は押し潰すことができる、請求項9に記載の物質保持器。
【請求項11】
前記物質が液体又はゲルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項12】
前記材料体の一端から離れる方向に延びる第1の管部分をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項13】
前記材料体の他端から離れる方向に延びる第2の管部分をさらに備える、請求項12に記載の物質保持器。
【請求項14】
前記物質が、前記エアロゾルの官能特性を変えるためのものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項15】
前記物質が、前記エアロゾルの香味を変えるためのものである、請求項1~14のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項16】
前記物質が、前記エアロゾルのPHを変えるためのものである、請求項1~15のいずれか一項に記載の物質保持器。
【請求項17】
エアロゾルを含む吸引可能な媒体を供給するためのエアロゾル供給装置であって、
請求項1~16のいずれか一項に記載の物質保持器を備える、エアロゾル供給装置。
【請求項18】
液体又は材料を保持するための保持器と、
使用時にエアロゾルの流れを生成するために前記保持器内に保持された液体を揮発させるためのヒータ、又は使用時にエアロゾルの流れを生成するために前記材料を燃焼させずに加熱するためのヒータと、
をさらに備える、請求項17に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項19】
マウスピースを更に備える、請求項17又は18に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項20】
前記物質保持器が、前記マウスピース内にあり又は前記マウスピースに取り付けられている、請求項19に記載のエアロゾル供給装置。
【請求項21】
請求項1~16のいずれか一項に記載の物質保持器と、エアロゾルを生成することが可能である材料を含む別の保持器とを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持器に関し、より詳細には、吸引可能な材料を生成するための装置に用いられる保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコ等の喫煙品は、使用時、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。一方、燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによってこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みもなされている。そのような製品の例としては、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する加熱装置がある。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【0003】
他の例としては、いわゆる電子タバコ装置がある。これらの装置は、典型的には、吸引可能な蒸気又はエアロゾルを生成するために加熱されて気化される液体を含む。液体は、ニコチン、香料、及び、グリセリン等のエアロゾル発生物質のうちの一つ又はこれらの組合せを含有してもよい。公知の電子タバコ装置は、典型的には、タバコを含まず、又はタバコを使用しない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾルを含む吸引可能な媒体を供給するためのエアロゾル供給装置に用いられる物質保持器が提供され、この物質保持器は、エアロゾル供給装置で生成されたエアロゾルを流入させ通過させることができるように透過性を有する、材料からなる材料体と、エアロゾルが材料体を通過する場合にエアロゾルの特性を変えるための、材料体内に置かれた物質とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、前述したような保持器を備える、エアロゾルを含む吸引可能な媒体を供給するためのエアロゾル供給装置が提供される。
【0006】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面を参照する、単なる例として与えられた本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。また、それぞれの図に現れる同様な特徴は、異なる図面において同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的なエアロゾル供給装置の概略図である。
図2】香料保持器の一例の概略断面図である。
図3】香料保持器の他の例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、エアロゾル供給装置100の概略図が示されている。エアロゾル供給装置100は吸引装置(すなわち、使用者が、この装置により供給されるエアロゾルを吸引するために用いる装置100)であり、この装置100は携帯型の装置である。この例において、装置100は電子装置、例えば電子タバコ(eシガレットともいう)100である。
【0009】
概略的に述べるならば、装置100は、例えば装置100のマウスピース102に収容された香料保持器200を通過する蒸気又はエアロゾルを形成するために、液体を揮発させる。少なくともいくつかの例では、蒸気が生成され、その後、その蒸気は装置100から出る前に部分的に凝縮してエアロゾルを形成する。香料保持器200は、使用者による吸引のためのマウスピース102を通る蒸気又はエアロゾルに香味を付与する。
【0010】
これに関して、まず、蒸気は、その臨界温度よりも低い温度で気相にある物質の状態であり、これは、例えば、その蒸気を、温度を下げることなく圧力を増加させることによって液体に凝縮させることができることを意味する。一方、エアロゾルは、一般に、空気中又は他のガス中の微細な固体粒子又は液滴のコロイドをいう。コロイドはある物質の状態をいい、その物質内の微視的に分散した不溶性粒子が他の物質中に懸濁している状態をいう。
【0011】
便宜上の理由から、本書で用いられる用語「エアロゾル」は、エアロゾル、蒸気又はエアロゾル及び蒸気の組合せを意味するものとして解釈すべきである。
【0012】
図1に戻ると、装置100は、カートリッジ108を収容する上部分106と、バッテリー部分112を収容する下部分110とからなるアウタボディ又はハウジング104を備える。カートリッジ108は、バッテリー部分112に取外し可能に接続される。この例において、アウタボディ104の少なくとも上部分106は、カートリッジ108を露出させるために取り外すことでき、それによってカートリッジ108の取付け、取外し及び/又は交換が可能になる。カートリッジ108は、eシガレット用液体116を収容する液体保持器114を有する。
【0013】
装置100は、アウタボディ104の上部分106に取外し可能に接続されるマウスピース102を有する。マウスピース102は、このマウスピース102を通るエアロゾルの流れに香味を付与するための香料保持器200を収容している。香料保持器200の例については、以下でより詳細に説明する。
【0014】
装置100は、エアロゾルを生成するように液体116が揮発される際、エアロゾルの少なくとも一部、好ましくはその全て又はその実質的に全てが、例えば香料保持器200の成分をそこに同伴させるために、マウスピース102に収容された香料保持器200を通過するように構成されている。
【0015】
液体保持器114は、カートリッジ108の概ね中央に設けられている。液体保持器114は円錐台形状であるが、円錐形や円筒形等の異なる形状であってもよい。液体保持器114は環状の形状であり、液体保持器114の長さ全体にわたる円筒状のチャネル(流路)114aを画定している。液体保持器114は、金属や適切なプラスチック等のような剛性、防水性及び気密性を有する材料から形成されるとよい。
【0016】
カートリッジ108には、ヒータ118と、ヒータ118に(熱的に)接するウィック(wick)(図示せず)とが設けられている。この例では、ヒータ118及びウィックは単一のユニットとして設けられ、このユニットは「アトマイザ」としても知られている。この場合、カートリッジ108がアトマイザを含む場合、そのようなカートリッジ108は「カトマイザ(cartomiser)」と呼ばれることもある。
【0017】
ヒータ118の向きが概略的に図示されており、例えば、ヒータ118は、その長手方向軸線がカートリッジ104の長手方向軸線に垂直又は平行であるコイルとすることができる。
【0018】
ウィック(図示せず)は液体116と接している。これは、例えば、液体保持器114の端壁124の貫通孔(図示せず)を通して挿入されるウィック(図示せず)によって達成され得る。代替的に又は追加的に、端壁124は、液体を液体保持器114から通過させることを可能にする多孔部材であってもよく、ウィック(図示せず)はこの多孔の端壁124と接するようにしてもよい。端壁124は、例えば、多孔セラミックディスクの形態であってもよい。この種の多孔端壁124は、ウィック(図示せず)への液体の流れを調節するのを助ける。ウィック(図示せず)は一般的に吸収性であり、毛管作用(図1に矢印Aで概略的に示す)によって液体保持器114から液体116を引き込むように作用する。ウィックは好ましくは不織布であり、例えば綿若しくはウール材料等、例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレン等の合成材料、又はセラミック材料であってもよい。
【0019】
カートリッジ104は、ヒータ118に電力を供給することができるよう、バッテリー部分112内のバッテリーに(電気的に)接続される。ヒータ118に電力が供給されると(例えば、公知であるように、使用者が装置100のボタン(図示せず)を操作することによって、又は装置100全体のパフ検出器(図示せず)によって起動されてもよい)、液体116がウィックによって液体保持器114から引き込まれ(図1に矢印Aで示す)、エアロゾルの流れを生成するために液体を揮発又は気化させるようヒータ118によって加熱される。
【0020】
使用時、液体116は、約100℃~約300℃の間、より詳細には約150℃~250℃の間の温度に加熱されるとよい。液体116はニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【0021】
使用者がマウスピース102を吸うと、空気が空気入口126を通して引き込まれる。液体116は、ヒータ118によって空気入口126からの空気中へと揮発又は気化され、それによってエアロゾルを生成する。エアロゾルの流れは、液体保持器114のチャネル114aを通って引き込まれ、マウスピース102に収容された香料保持器200を通り、使用者による吸引のために装置100から流出される(図1の矢印Bによって示される)。
【0022】
エアロゾルは、香料保持器200内の香料物質から香料(及び/又は他の成分)をピックアップ(同伴)する。これにより、香料物質の一つ以上の成分が、エアロゾルの流れと混合され、これによって使用者の感覚的体験を向上させる。好適には、これにより、使用者は、液体116をまず変更することなく、また、装置1の繰返し使用の後に実際の液体116に与えられた香料に対して生じることがある香料の熱的な崩壊が起きる可能性を減じる態様で、香味の感覚を迅速に付加したり改変したりすることを可能とする。
【0023】
図2は、上述したような装置100に使用することができる香料保持器200の一例を示している。
【0024】
この例では、香料保持器200は、ある材料からなる細長い材料体202を備え、この材料体の構成は、装置100において使用されるときに、装置100内で生成されるエアロゾルの流れが「上流側」端部204にて香料保持器200内に入り、香料保持器200の長さ全体を通って「下流側」端部206にて香料保持器200から流出するようなものである。言い換えるならば、細長い材料体202は、装置100内で生成されたエアロゾルの流れに対して透過性を有する。
【0025】
いくつかの例において、細長い材料体202は、繊維材料を含み、例えば、伝統的な可燃性の紙巻タバコにおけるフィルタ材料として一般的に用いられる繊維材料(例えばセルロースアセテート繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、及び、波形紙(crimped paper)を含む紙を含む)であり得る。使用され得る他の材料としては、例えばナイロン等がある。
【0026】
この例では、第1の香料構成要素208は細長い材料体202内で支持されている。
【0027】
好適な例では、第1の香料構成要素208は、香味料を含む香料物質を囲むアウタシェル(外殻)を備える少なくとも一つの香料カプセルである。香料物質は、例えば液体、ゲル、エマルション、懸濁液又はビーズであってもよい。使用者は、例えば、細長い材料体202に香料物質を放出するために、香料カプセル2085のシェルを破るよう、香料保持器200を取り扱うことができる、使用時、細長い材料体を通るエアロゾルの流れが、放出された香料物質から香料(及び/又は他の成分)をピックアップ(同伴)し、これによって、香料物質の一つ以上の成分がエアロゾルの流れと混合されて、使用者の感覚的体験をより良いものとする。
【0028】
他の例において、香料構成要素208は、同様に、香味料を含む物質を囲むアウタシェルを備える香料カプセルであるが、使用時、アウタシェルは、エアロゾル流の熱によって破られ(溶かされ)、香料物質を放出する。したがって、この例では、使用者が手動でカプセルを壊して開く必要がない。
【0029】
他の例では、香料物質はカプセルに含まれていない。例えば、香料物質は、粒子の形態、例えば細長い材料体202全体に実質的に均等に分配され又は材料体202の一つ以上の特定の部分(例えば中間部)に集められた、粉末、顆粒、粒状物(grain)、繊維、ビーズ又は同様な粒子の形態になるように粉砕され又は他の方法で処理された材料を含む。
【0030】
いくつかの例では、香料材料の前述したような粒子はタバコを含むが、他の植物性薬剤又は香味剤も使用され得る。
【0031】
他の例では、香料物質は、材料体202内にあるが、カプセルから放出されないゲルや液体等からなるものでもよい。
【0032】
一例では、細長い材料体202は、細長い材料体202(例えば、材料体202は、「ダルメシアン」タイプのフィルタとして当技術分野で公知のものである)へと形成された連続的なCA繊維を含む。
【0033】
別の例では、細長い材料体202は、細長い材料体202を形成するようにランダムに配向された多数の短く切られたCA繊維(例えば、いわゆるトルマリン(Turmalin)装置を用いて切断された繊維)を含む。
【0034】
短く切られたCA繊維を使用することの利点は、第1の香料構成要素208を支持する「ロッド状」の形状の細長い材料体202を形成するために必要とされる繊維の量は比較的少量でよいという点である。これは、細長い材料体202の端から端までのエアロゾルの流れにおける圧力降下が小さいという利点を提供する。さらに、連続的な繊維CAを使用する際に要求されるよりも、このロッド形状を維持するために必要とされる可塑剤、例えばトリアセチンは少なくて済む(又は実際には全く必要とされない)。
【0035】
いくつかの例では、細長い材料体202の長さは、10mm~20mmの範囲、好ましくは12mm~15mmの範囲である。
【0036】
いくつかの例では、細長い材料体202の断面の直径は、5mm~9mmの範囲、好ましくは7.5mm~8mmの範囲である。
【0037】
トウの断面は、例えば、Y字状断面でも、X字状断面でも、丸みを帯びた断面でもよい。
【0038】
いくつから例において、香料構成要素208がカプセルである場合、そのカプセルは実質的に丸い形状(すなわち球状)であり、その直径は3mm~5mmの範囲、好ましくは3mm~4mmの範囲である。他の例では、香料構成要素208がカプセルである場合、そのカプセルは実質的に扁長形状(すなわち楕円体形状)であり、その長手方向の長さ(すなわち主軸線に沿う長さ)は、3mm~5mmの範囲、好ましくは3mm~4mmの範囲である。
【0039】
いくつかの例において、使用者が吸引した際の細長い材料体202の長手方向の端から端までの圧力差は、0~40mmWater Gauge(WG)の範囲又は0~30mmWater Gauge(WG)の範囲、好ましくは5~20mmWater Gauge(WG)の範囲、最も好ましくは10~20mm WGの範囲である。或いはまた、圧力差は、最も好ましくは5~15mm WGの範囲である。
【0040】
いくつかの例において、細長い材料体202がCAを含んでいる場合、用いられるCA繊維は、1本のより糸について8~12の範囲の単一デニール値を有する(すなわち、CA繊維は、CA繊維9000m当たり8~12のグラムの質量を有する)。このデニールの範囲は、上述した無圧力差を得るために特に好適である。
【0041】
香料保持器200は、香料保持器200に追加的な構造上の健全性を与えるためにその長さに沿って細長い材料体202を囲む外側被覆層210をさらに含むとよい。外側被覆層210は、任意の適切な材料、例えば紙を含み得る。いくつかの例では、外側被覆層210は、液体、例えば使用中に香料保持器200の周囲に形成される結露が香料保持器200の内部に入り込み香料保持器200が濡れてしまうのを防止する耐液性バリアとして作用するように構成される。香料構成要素208が香料液体又は香料ゲルを放出させるために手で扱われるカプセルであるという例においては、外側被覆層210は、使用者の指が液体又はゲルが被着するのを防止し、香料保持器200内に液体又はゲルを保持するように機能する。一例では、耐液性被覆層210は、バリア材料若しくはネイチャーフレックス(Natureflex)が含侵された紙、又はその他の適切な薄いポリマーフィルム若しくはプラスチックを含む。被覆層は、例えば香料の種類の示す等の情報が印刷されてもよい。
【0042】
次に図3を参照すると、いくつかの例では、香料保持器200はさらに、「上流側」端部204の領域から延びる中空管部分212及び/又は「下流側」端部206の領域から延びる中空管部分214を備えるものとすることができる。「上流側」端部204の領域から延びる中空管部分212が存在する場合、これを使用して香料保持器200を喫煙装置1のマウスピース102に取り付けることができる。「下流側」端部206の領域から延びる中空管部分214が存在する場合、この管部分214自体が装置100の使用者によってマウスピースとして使用されてもよい。管部分212又は214のいずれかは、任意の適切な材料、例えば紙、ボール紙、プラスチック又はCAを含み得る。
【0043】
例えば20~50回の一定回数の吸引の後、香料保持器200の香料は使い果たされ、その時点で使用者は装置100内の使用済み香料保持器200を交換用の香料保持器200と交換することができると考えられる。交換用の香料保持器200は、もちろんパックで提供されてもよい。したがって、各香料保持器200は、喫煙装置1の複数回の使用セッションにわたって使用されてもよい。
【0044】
いくつかの例では、複数の使用者セッションを続けるために、十分な液体116が液体保持器114内に提供される。いくつかの例では、液体保持器114は、使用者が選択したときに使用者が新鮮な液体116を再充填又は補充できるように構成される。他の例では、使用者は、液体を追加するために液体保持器114にアクセスすることができず、したがって、いくつかの例では、液体保持器114に提供される液体116が使い果たされるか、少なくなると、使用者は使用済みカートリッジ108を新しいものに単に交換することにしてもよい。
【0045】
いくつかの例では、カートリッジ108及び保持器200は、バッテリー部分112に接続しバッテリー部分112から取り外すことができる消耗品として一体的に組み合わせて設けられてもよい。この消耗品は、単一の使用者セッション(又は限られた数の使用者セッション)を続けるために十分な液体116及び十分な香料物質を保持器200内に含み、その後、使用者は消耗品を処分して新しいものと交換する、という単一セッション用消耗品(又は少なくとも限られた数のセッション用の消耗品)となるように設計され得る。
【0046】
上述した例では、保持器200は香料保持器であり、エアロゾルが材料体を通って流れるときにエアロゾルの香味を変更するため物質を含むとしているが、これは本質的なものではなく、これに代えて(又は付加的に)保持器200は、香味以外の(又はそれに加えて)エアロゾルの特性を改変するための物質を含んでもよい。
【0047】
いくつかの例では、保持器200は、エアロゾルの一つ以上の他の官能特性を改変する物質(例えば、使用者に対するエアロゾルの感触、匂い又は見た目を改変する物質)を含んでもよい。
【0048】
いくつかの例では、保持器200は、PHを低下させるか又は上昇させる(例えば、エアロゾルの酸性度又は塩基性度を変更する)ことによってエアロゾルのPHを変更する物質を含んでもよい。
【0049】
いくつかの例では、保持器200はエアロゾル中のアルデヒドの量を変更(例えば、低減)する物質を含んでもよい。
【0050】
いくつかの例では、保持器200は、エアロゾルのこれらの特性又は実際には他の特性のうちの二つ以上の様々な組合せを変更する物質を含んでもよい。
【0051】
上記の例では、装置100は液体を加熱することによってエアロゾルを生成するが(装置は一般にe-cigと呼ばれるタイプのものである)、これは本質的なものではなく、他の例では、装置は、例えばタバコを含む材料を燃焼せず加熱することによってエアロゾルを生成するものであってもよい(例えば、タバコ加熱製品(THP)装置と呼ばれる装置)。
【0052】
実際には、いずれの例においても、装置100は、エアロゾルを生成するための任意の適切な材料を含んでもよく、また任意の適切な形態、例えばゲルであってもよい。
【0053】
保持器200は複数の保持器を含むパックで提供されてもよいことは理解されよう。
【0054】
本書で使用される場合、「香料」及び「香味料」という用語は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りをつけるために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料のことをいう。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油等)、香味強化剤、苦味収容体部位遮断剤、感覚収容体部位活性化剤若しくは感覚収容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、或いはこれらの混合物であってもよい。これらは、油、液体又は粉末等、任意の適切な形態をとることができる。例えば、液体、油又は他のそのようなお液体香味料は、多孔性固体材料に対して香り及び/又は他の特性を付与するために、多孔性固体材料に含浸されてもよい。このように、液体又は油は、それが含浸される材料の成分である。
【0055】
上記実施形態は、本発明の例示的な実施形態として理解されるべきである。任意の一つの実施形態に関連して説明される任意の特徴は、単独で使用されても、記載された他の特徴と組み合わせて使用されても、任意の他の実施形態の一つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよく、任意の他の実施形態と組み合わせて使用されてもよい。さらに、添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく、上記に記載されていない均等物及び改変物を使用することもできる。
図1
図2
図3