(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】スキージ、スキージ板保持具、スクリーン印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41F 15/40 20060101AFI20230314BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20230314BHJP
B41F 15/44 20060101ALI20230314BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B41F15/40 B
B41F15/08 303E
B41F15/44 B
H05K3/12 610Q
(21)【出願番号】P 2018026015
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2017118822
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】重岡 赳志
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-309795(JP,A)
【文献】米国特許第5887312(US,A)
【文献】特開2013-63615(JP,A)
【文献】特開2010-149367(JP,A)
【文献】特開2011-212863(JP,A)
【文献】国際公開第2014/013592(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105690982(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0049874(US,A1)
【文献】特開2017-77701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00-15/46
B41N 1/00-3/08
H05K 3/10-3/26
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にインクペーストを塗布するスキージであって、
印刷版に当接しながら移動する当接部を有するスキージ板と、
前記スキージ板のうち前記印刷版の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部と、
を含み、
前記変形調整部は、前記スキージ板を保持するスキージ板保持具と、前記スキージ板保持具から前記スキージ板に向かう押圧力を発生する押圧部材と、を含み、
前記スキージ板保持具は、前記スキージ板を把持する第一板部材と第二板部材とを有し、
前記押圧部材は、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に配置される押板片を含み、
前記押板片は、前記第一板部材または前記第二板部材と前記スキージ板との間に挟みこまれており、前記スキージ板を面状に押圧している、スキージ。
【請求項2】
基材上にインクペーストを塗布するスキージであって、
印刷版に当接しながら移動する当接部を有するスキージ板と、
前記スキージ板のうち前記印刷版の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部と、
を含み、
前記変形調整部は、前記スキージ板を保持するスキージ板保持具と、前記スキージ板保持具から前記スキージ板に向かう押圧力を発生する押圧部材と、を含み、
前記押圧部材は、
前記スキージ板が前記印刷版に当接していない状態にあっても前記スキージ板を押圧しており、
前記スキージ板にかかる押圧力を調整する押圧力調整部と、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に配置される押板片と、を有し、当該押圧力調整部により前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整し、
前記押圧力調整部は、前記押板片を介して前記スキージ板を押圧する止ネジであり、前記止ネジの位置を固定する逆ネジをさらに含
み、該逆ネジは、前記止ネジと一体的に形成されている、スキージ。
【請求項3】
基材上にインクペーストを塗布するスキージであって、
印刷版に当接しながら移動する当接部を有するスキージ板と、
前記スキージ板のうち前記印刷版の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部と、
を含み、
前記変形調整部は、前記スキージ板を保持するスキージ板保持具と、前記スキージ板保持具から前記スキージ板に向かう押圧力を発生する押圧部材と、を含み、
前記スキージ板保持具において、前記押圧部材は前記スキージ板の幅方向に複数配列され、複数の前記押圧部材の一部は、他の前記押圧部材と前記当接部との距離が相違する、スキージ。
【請求項4】
基材上にインクペーストを塗布するスキージであって、
印刷版に当接しながら移動する当接部を有するスキージ板と、
前記スキージ板のうち前記印刷版の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部と、
を含み、
前記変形調整部は、前記スキージ板を保持するスキージ板保持具と、前記スキージ板保持具から前記スキージ板に向かう押圧力を発生する押圧部材と、を含み、
前記押圧部材は、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に配置される押板片を含み、
前記押板片は、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に挟みこまれており、前記スキージ板を面状に押圧しており、
前記スキージ板保持具は、前記スキージ板を把持する第一板部材と第二板部材とを有し、前記第一板部材または前記第二板部材は、前記当接部から遠ざかる方向に向かう切欠きを有する、スキージ。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記スキージ板が前記印刷版に当接していない状態にあっても前記スキージ板を押圧している、請求項1、3、または4に記載のスキージ。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記スキージ板にかかる押圧力を調整する押圧力調整部を有し、当該押圧力調整部により前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する、請求項5に記載のスキージ。
【請求項7】
基材上にインクペーストを塗布するスキージであって、
印刷版に当接しながら移動する当接部を有するスキージ板と、
前記スキージ板のうち前記印刷版の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部と、
を含み、
前記変形調整部は、前記スキージ板を保持するスキージ板保持具と、前記スキージ板保持具から前記スキージ板に向かう押圧力を発生する押圧部材と、を含み、
前記押圧部材は、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に配置される押板片を含み、前記スキージ板が前記印刷版に当接していない状態にあっても前記スキージ板を押圧しており、前記スキージ板にかかる押圧力を調整する押圧力調整部を有し、当該押圧力調整部により前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整し、
前記押板片は、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に挟みこまれており、前記スキージ板を面状に押圧しており、
前記押圧力調整部は、前記押板片を介して前記スキージ板を押圧する止ネジであ
り、前記止ネジの位置を固定する逆ネジをさらに含み、該逆ネジは、前記止ネジと一体的に形成されている、スキージ。
【請求項8】
基材上に印刷版を介してインクペーストを塗布するスキージ板を保持するスキージ板保持具であって、
前記印刷版の印刷領域に当接する前記スキージ板の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部を含み、
前記変形調整部は、前記スキージ板保持具から前記スキージ板に向かう押圧力を発生する押圧部材を含み、
前記押圧部材は、
前記スキージ板が前記印刷版に当接していない状態にあっても前記スキージ板を押圧しており、
前記スキージ板にかかる押圧力を調整する押圧力調整部と、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に配置される押板片と、を有し、当該押圧力調整部により前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整し、
前記押圧力調整部は、前記押板片を介して前記スキージ板を押圧する止ネジであり、前記止ネジの位置を固定する逆ネジをさらに含
み、該逆ネジは、前記止ネジと一体的に形成されている、スキージ板保持具。
【請求項9】
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載のスキージを有するスクリーン印刷装置。
【請求項10】
請求項
8に記載のスキージ板保持具を有するスクリーン印刷装置。
【請求項11】
前記印刷版を備え、前記印刷版は、メタル版であって、開口パターンが形成される印刷領域と、当該印刷領域内にあって前記印刷領域の張力を補強する補強部材をさらに備える、請求項
9または
10に記載のスクリーン印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキージ、スキージ板保持具、スクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子部品の製造にスクリーン印刷が使用されている。電子機器に対する小型化及び高機能化に伴って、電子部品の配線に対する高密度化の要求が高まっている。配線を高密度化する技術の一つとして、多層回路基板がある。多層回路基板は、基材の両面に回路を形成する、あるいは回路を2層以上の多層としたものである。公知の多層回路基板は、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されている。
特許文献1に記載の混成多層回路基板は、多層のフレキシブル回路配線基板である。特許文献1には、複数の種類の電子部品を実装する多層回路基板や硬質回路基板を、コネクタ等を介して別体のフレキシブルプリント配線板と接続することや、フレキシブルフラットケーブルを一体化した可撓性ケーブル部を有する回路基板が記載されている。このような多層回路基板は、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話及びゲーム機等に多く使用されている。
【0003】
また、特許文献2には、導電性ペーストを使って多層回路基板の層間を接続した多層回路基板(多層プリント配線板)が記載されている。ただし、導電性ペーストによる層間接続は、有底ビア、貫通スルーホールあるいはバンプの形成が必要になる、または導電層に導電性ペーストを充填することが必要になる。このように導電性ペースト下にコンタクト用の部材を形成すると、導電性ペーストの上面の形状や高さを高精度に制御し難くなる。公知の樹脂スキージゴムを使った印刷により導電性ペーストを充填する、あるいは導電性ペーストの上面を整面すると、スキージが導電性ペーストに加える圧力に分布が発生し、導電性ペーストの上面の形状や高さが均一にならない場合がある。導電性ペースト上面の形状や高さの不均一は、層間におけるクラックや、基板の平坦性低下の一因となっていた。
【0004】
特許文献3には、スキージのインクペーストに向かう側の面に対する裏面(背面)に、背面と隙間を開けて押え部材を設けることが記載されている。特許文献3に記載のスクリーン印刷装置では、スキージがスクリーンに押し付けられている間押え部材に押し付けられて撓み難くしている。スクリーン印刷では、スキージの幅方向の両端部においてスクリーンの張力が高いため、スキージは中央部分よりも両端部分において大きく変形し、スクリーンにかかる実効的な圧力が小さくなる。特許文献3に記載のスキージは、少なくとも両端部に押え部材を備え、両端部における圧力の低下を防いで中央部と両端部とで被印刷面にかかる圧力を均一化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平1-7697号
【文献】特開2015-61058号
【文献】特開2006-168278号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような特許文献3に記載のスキージは、スキージの製造精度や経時劣化等によって不規則に発生する被印刷面への圧力のばらつきを均一化することはできない。特に、樹脂製のスキージ板は、被印刷面に押し当てられる端面の平坦性の精度を高めることが難しく、被印刷面にかかる圧力にばらつきが生じ易いことが知られている。
また、スキージ端面の平坦性が充分に高い場合でも、印刷マスク上の金属や樹脂が存在しない「抜きパターン」においては、スキージによって抜きパターン内のインクペーストが削り取られる現象が発生し得る。このような現象が生じると、配線の高さや表面形状が制御できず、配線の信頼性の低下が懸念される。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、スキージ端面の平坦性や印刷版側のパターン等に応じて被印刷面への当接状態を任意に調整可能なスキージ、スキージ板保持具及びスクリーン印刷装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスキージは、基材上にインクペーストを塗布するスキージであって、印刷版に当接しながら移動する当接部を有するスキージ板と、前記スキージ板のうち前記印刷版の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部と、を含む。
本発明のスキージ板保持具は、基材上に印刷版を介してインクペーストを塗布するスキージ板を保持するスキージ板保持具であって、前記印刷版の印刷領域に当接する前記スキージ板の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部を含む。
本発明のスクリーン印刷装置は、上記スキージまたはスキージ板保持具を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、スキージ端面の平坦性や印刷版側のパターン等に応じて被印刷面への当接状態を任意に調整可能なスキージ、スキージ板保持具及びスクリーン印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態及び第二実施形態に共通の印刷版を説明するための図である。
【
図2】本発明の第一実施形態のスキージの斜視図である。
【
図8】
図3に示した押板片及び止ネジを説明するための図である。
【
図9】
図2に示したスキージ板の変形を説明するための模式図である。
【
図10】本発明の第一実施形態の印圧分布の検出の一例を説明するための図である。
【
図11】本発明の第一実施形態のスクリーン印刷装置を説明するための図である。
【
図12】三層フレキシブルプリント配線板を製造する工程を説明するための図である。
【
図13】
図12に続く三層フレキシブルプリント配線板の製造工程を説明するための図である。
【
図14】
図13に続く三層フレキシブルプリント配線板の製造工程を説明するための図である。
【
図15】本発明の第二実施形態のスキージを説明するための図である。
【
図16】本発明の第三実施形態の印刷装置で使用されるメタル版を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第一実施形態及び第二実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、第一実施形態の図面は、スキージ、スキージ保持具及びスクリーン印刷装置の各構成部品、構成部品の係り合い、位置関係及び動作を説明するためのものであり、その幅や厚さ、長さ等が必ずしも正確に表現されているものではない。また、第一実施形態のスキージ、スキージ保持具及びスクリーン印刷装置は、その幅や厚さ、長さ等が図中に示したものに限定されるものでなく、任意に設計することが可能である。
【0011】
図1は、本発明の第一実施形態及び第二実施形態に共通の印刷版を説明するための図である。
図1は、スクリーン印刷版10の斜視図である。本実施形態では、
図1から
図3に示す座標のz方向をスクリーン印刷版10の「上」、-z方向を「下」とする。
【0012】
図1に示したスクリーン印刷版10は、版枠1の開口部1aに紗張りされたスクリーンメッシュ5を備えている。版枠1は、ステンレスやアルミ合金等を中空フレーム化したものや鋳造したもので形成される枠体である。版枠1の開口部1aは、形状が正方形、あるいは長方形を有していて、印刷が行われる領域(印刷領域)9よりも少なくとも一回り以上大きくなっている。
スクリーンメッシュ5は、例えばポリエステルやステンレス等の糸(ワイヤ)を織って形成されたメッシュ素材である。一般にスクリーンメッシュ5の糸の線径が太い場合にはメッシュ数が少なくなり、線径が細い場合にはメッシュ数が多くなる。スクリーンメッシュ5の線径や材料は、スクリーンメッシュ5に要求される強度やスクリーン印刷版10によって印刷される印刷塗膜の厚さ等によって決定される。スクリーンメッシュ5に使用される糸の断面の直径は、糸がポリエステル等の合繊である場合に250μmから20μm、金属である場合には160μmから12μm程度である。また、メッシュの数は、スクリーンメッシュ5に要求される強度や印刷の解像度によって決定される。一般にスクリーンメッシュ5の1インチ当たりの線数は、糸が合繊の場合に25本から500本、糸が金属である場合に40本から900本程度である。
【0013】
スクリーンメッシュ5は、ある程度の張力(テンションともいう)を持たせて版枠1に例えば接着剤等で固定される。その際に、スクリーンメッシュ5は、様々な印刷パターン形状に対応するため、通常、版枠1に対してスクリーンメッシュ5の糸方向に角度を持たせて固定される、所謂バイアス張りで固定される。
【0014】
スクリーンメッシュ5には印刷マスク7が形成されている。印刷マスク7はスクリーンメッシュ5を被覆する乳剤の膜(乳剤膜)であり、印刷マスク7は乳剤膜が形成されていない開口部分8を有し、開口部分8の上面視の形状が、スクリーン印刷版10が印刷すべき印刷パターンと一致している。印刷マスク7に使用される乳剤としては、例えば感光性のものが使用される。感光性乳剤は、感光基の種類によってジアゾ系とSBQ(スチルバゾリウム)系とに大別される。感光性乳剤の選定は、材質、解像性、露光感度、乳剤の膜厚や供給形態を基準にして行われる。
図1中に示した印刷パターンは、基板に印刷される配線層のパターンである。本実施形態は、スクリーン印刷版10が電子部品の配線層を基板に印刷する例をあげて説明するものとする。
【0015】
本実施形態では、印刷マスク7のうち、印刷すべき画像が形成されている領域を「印刷領域」9と記す。印刷マスク7の印刷領域9の領域外にはスクリーン印刷後にインクペーストが残り、残ったインクペーストはスクリーン印刷時にスキージによってかきとられる。印刷マスク7のうち印刷領域9の位置は任意であるが、印刷パターンの品質等の観点から開口部1aの縦横の長さのそれぞれ50%以下の長さの範囲であって、かつ、その中央部分を含むことが望ましい。
以上の観点から、第一実施形態では、印刷領域9は、例えば、開口部1aの二方向の中心線の交点を含み、かつ、一方向の長さが開口部1aの対応する方向の50%以下、他方向の長さが開口部1aの対応する方向の50%以下である範囲としてもよい。
【0016】
[第一実施形態]
(構成)
図2から
図7は、第一実施形態のスキージ2を説明するための図であって、
図2から
図7にはいずれもスキージ2と座標軸とが示されている。
図2はスキージ2の斜視図であって、
図3は
図2のスキージ2をx方向から見た正面図、
図4はスキージ2を-z方向から見た上面図、
図5はスキージ2をz方向から見た底面図、
図6はスキージ2をy方向から見た側面図、
図7はスキージ2の矢線VII-VIIにおける断面図である。
スキージ2は、例えば
図11に示した示す基材w上にインクペーストを塗布する部材であって、
図1に示したスクリーン印刷版10に当接しながら移動する当接部200を有するスキージ板20を備えている。また、スキージ2は、スキージ板20のうちスクリーン印刷版10の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、スキージ板20にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する部位を有している。
スキージ板20は、ウレタンゴム、シリコンゴム及び合成ゴム等のゴム材でなる板部材である。スキージ板20のゴム材としては、凡そ硬度70(デュロメータA硬度)のものが公知である。スキージ板20の硬度は、ウレタンゴム等の組成によって調整することが可能である。また、スキージ板20には、その当接部200の形状により平型、角型及び剣型等の種類がある。
【0017】
ここで、上記した「単位荷重当たりの変形量を調整する」について説明する。第一実施形態でいう単位荷重は、当接部200の全幅を例えば板材等の平面を有する部材に押し当てながら一方向(スキージング方向)に移動(スキージング動作)させたときに当接部200が平面から受ける摩擦力を正規化した値である。また、変形量は、上記スキージング動作の過程で当接部200の各所がスキージ板20の厚さ方向に変位する量を指すものとする。第一実施形態では、厚さ方向のうち、特にスキージング中に当接部200がスキージング方向に歪む局所ごとの歪み量を変形量とする。調整は、このような変形量(歪み量)を意図して増加または低減の少なくとも一つを行うことを指す。
【0018】
第一実施形態でいう上記印刷領域は、
図1で説明したように、印刷マスク7において開口部分8が存在する領域である。印刷マスク7が複数存在する場合、個々の印刷マスク7が存在する範囲が印刷領域9ではなく、複数の開口部分8を包括する領域を印刷領域9とする。印刷領域9の多くは、印刷によって形成される配線等の印刷パターンの品質の観点から
図1に示した開口部1aの中央部分を含む。このため、第一実施形態のスキージ板20のうちスクリーン印刷版10の少なくとも印刷領域に当接する範囲は、スキージ板20の幅方向の中心を含んでいる。
【0019】
また、スキージ2は、スキージ板20を保持するスキージ板保持具23を有している。スキージ板保持具23は、スキージ板20を保持するスキージ板保持具であって、スクリーン印刷版10の印刷領域9に当接するスキージ板20の複数の個所において、スキージ板20にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する部位を含んでいる。
つまり、スキージ板保持具23は、スキージ板20を把持する第一板部材21、第二板部材22を有している。
図2、
図6に示すように、共に板部材である第一板部材21、第二板部材22は、いずれも正面視がy軸に沿って長い長方形の形状を有している。第一板部材21はy軸に沿って長い長方形の基板部26を有している。第二板部材22は、基板部26と共に基板部26と一体的に形成され、かつ基板部26よりもy軸に沿う方向(以下、「幅方向」と記す)が第一板部材21よりも短い付加板部28を有している。このような構成により、第一実施形態の第二板部材22は、第一板部材21よりも幅方向に垂直な方向の長さ(以下、「高さ」と記す)が長い部位を有している。第二板部材22において、基板部26と第二板部材22の間には段差部27が生じている。
スキージ2に示すように、第二板部材22において付加板部28の幅が基板部26の幅よりも短いことにより、第一実施形態は、第一板部材21と第二板部材22との間に入ったインクペーストや塵の除去を容易にすることができる。
【0020】
また、第一板部材21は段差部21aを有し、第二板部材22は段差部22aを有している。第一板部材21と第二板部材22とを段差部21a、22a同士が対向するように合わせ、ネジ24によって互いに固定することにより、第一板部材21と第二板部材22との間に溝231が形成される。スキージ板20は、溝231に嵌めこまれてスキージ板保持具23に固定される。なお、第一板部材21と第二板部材22の固定は、例えば、ネジ24によって行われる。
また、第一板部材21、第二板部材22の材質は、インクペーストの付着や繰り返し使用することに耐える耐久性、メンテナンス時に使用される溶剤等の関係から選定される。第一板部材21、第二板部材22は、このような要求を満たすものであればどのようなものであってもよいが、ステンレス等の金属が好適である。
【0021】
第一実施形態のスキージ板20の変形量を調整する部位は、スキージ板20を保持するスキージ板保持具23と、スキージ板保持具23からスキージ板20に向かう押圧力を発生する押圧部材と、を含んでいる。押圧部材は、スキージ板20にかかる押圧力を調整する押圧力調整部を備えている。第一実施形態では、例えば、押圧部材がスキージ板保持具23とスキージ板20との間に配置される押板片29とし、押圧力調整部は、押板片29を介してスキージ板20を押圧する止ネジ25とした。
押板片29としては、例えば金属片等を使用することができる。スキージ板保持具23の第二板部材22とスキージ板20との間に押板片29を挟みこむことによってスキージ板20の第二板部材22に向かう側が変形し難くなる。第一実施形態では、このような現象を、以降「見かけ上の硬度が高まる」とも記す。
【0022】
図8(a)及び
図8(b)は、第一実施形態の押板片29及び止ネジ25を説明するための図である。
図7に示すように、押板片29は、スキージ板20と第二板部材22との間に挿入されている。第二板部材22にはネジ孔251が形成されていて、ネジ孔251には止ネジ25がネジ止めされている。止ネジ25を進行方向に回転させることにより、止ネジ25がスキージ板20に向かって移動し、止ネジ25による押板片29の押圧力が大きくなる。第一実施形態において、止ネジ25の進行方向端部と押板片29とは接触し、押板片29は止ネジ25によって押圧されることによって固定されている。
図8(a)は、押板片29が止ネジ25に接している状態を示している。
【0023】
ところで、上記構成においては、押板片29及びスキージ板20からの抗力(スキージゴムのスプリングバック)によって止ネジ25が後退し、押板片29がスキージ板20を押圧する押圧力が変化することが考えられる。
図8(b)は、押板片29による押圧力の変化を抑えるための構成を示している。
図8(a)に示した構成は、第一実施形態の押圧力調整部が、止ネジ25の位置を固定するストッパーとして逆ネジ85をさらに含むものである。
図8(b)に示した構成は、止ネジ25の押板片29と反対の側に、ネジ溝の方向が止ネジ25と反対の逆ネジ85が設けられている。逆ネジ85の止ネジ25に向かう側にはスペーサー83が形成されている。このような構成では、逆ネジ85のスペーサー83が止ネジ25の端部と面接触している。また、止ネジ25及び逆ネジ85は、止ネジ25のネジ溝の加工中にネジ溝の方向を逆にして止ネジ25を逆ネジ85と一体的に形成するものであってもよい。このような方法によって止ネジ25及び逆ネジ85を加工、形成した場合、止ネジ25と逆ネジ85との間にネジ溝のないスペーサー83が形成される。
【0024】
このような構成によれば、止ネジ25に後退方向の回転力が生じた場合、この回転力が逆ネジ85に伝わっても逆ネジ85に進行方向の回転力が与えられる。このため、止ネジ25はスキージ板20や押板片29の抗力を受けても後退することがなく、スキージ板20に加えられる押圧力が変化することがない。
【0025】
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)は、第一実施形態のスキージ板20の変形を説明するための模式図である。
図9(a)は、第一実施形態の比較例を示した図であって、押え部材として機能する押板片29を持たないスキージ板保持具73を示している。スキージ板保持具73は、第一板部材71及び第二板部材72を対向させて構成されている。第一板部材71及びスキージ板保持具73は、スキージ板20を把持して固定する。ただし、第一板部材71及びスキージ板保持具73は、形状及び大きさが等しい板部材である。
図9(b)及び
図9(c)は、スキージ板保持具23に保持されたスキージ板20を示している。
図9(c)は、
図9(b)に示した状態よりも止ネジ25を進行方向に進ませて押板片29に大きな押圧力を作用させた状態を示している。
【0026】
図9(b)に示すように、スキージ板20に押板片29を接触させることによってスキージ板20の見かけの硬度が高くなる。このため、第二板部材22との間に押板片29が挟み込まれた箇所では、スキージ板20が印刷時にスクリーン印刷版10にかける圧力(以下、「印圧」と記す)が、押板片29の無い箇所よりも高くなる。さらに、止ネジ25をスキージ板20に向かう方向に進めて押板片29による押圧力を大きくすると、この箇所におけるスキージ板20の見かけ上の硬度がいっそう高くなる。
一方、
図9(a)に示したスキージ板保持具73では、スキージ板20のスキージ板保持具73に把持されていない部分が規制を受けることなく撓み、変形する。このとき、スキージ板20の変形量は、スキージ板20の弾性や硬度及びスクリーン印刷版10と当接している間にスキージ板20に加えられる圧力等によって決まる。
図9(a)に示したスキージでは、変形量によってスキージ板20による印圧に分布が生じた場合、これを補正することができない。
【0027】
一方、第一実施形態のスキージ2は、上記したように、止ネジ25を回転させて押し込むことによりスキージ板20の印圧を高めることができる。反対に、止ネジ25を回転させて引き戻すことによってスキージ板20の印圧を弱めることができる。このため、第一実施形態は、スキージ板20をスキージ板保持具23に保持させた状態で印圧の分布を検出する。そして、検出された分布に応じて止ネジ25を進行または後退させ、スキージ板20の印圧の分布が一様になるように調整する。スキージ板20の印圧の調整後、第一実施形態では、スキージ2によってスクリーン印刷を開始する。
なお、印圧の分布の調整は、例えば、予め定めた基準の印圧よりもスキージ板20の印圧の強い箇所に対応する位置にある止ネジ25を後退させ、基準の印圧よりも印圧の低い箇所に対応する位置にある止ネジ25を前進させることによって行ってもよい。また、基準となる印圧よりもスキージ板20の印圧が高い箇所の周辺の止ネジ25を前進させることによって行ってもよい。反対に、基準となる印圧よりもスキージ板20の印圧が低い箇所の周辺の止ネジ25を後退させることによって行ってもよい。
【0028】
上記したように、第一実施形態は、スキージ板20の印圧を調整した後にスクリーン印刷を開始する。つまり、第一実施形態は、スキージ板20がスクリーン印刷版10に当接していない状態にあっても、押圧部材である押板片29はスキージ板20を押圧している。このような第一実施形態は、スキージ動作をしていない状態にあるスキージ板20の印圧を測定することができる。このため、例えば、上記した特許文献3のように、印刷版に当接中のスキージの印圧を測定することなく調整するよりもスキージの印圧の分布を高い精度で調整することができる。
なお、第一実施形態では、がスクリーン印刷版10に当接していないスキージ板20に対する押圧力を低減する方向に調整することも可能である。
【0029】
なお、第一実施形態は、以上説明したように、止ネジ25を使って押板片29がスキージ板20を押圧する力を調整するものに限定されるものではない。例えば、第一実施形態は、止ネジ25を用いることなく、第二板部材22とスキージ板20との間に挟みこまれる押板片29の枚数を増減することによって押圧力を調整するようにしてもよい。さらに、止ネジ25と押板片29とを一体的な構成とし、押圧と同時に押圧力を調整可能にしてもよい。さらに、止ネジ25を前進または後退させる際の止ネジ25の回転は、作業者が手動で行ってもよいし、図示しないモータ等によって行ってもよい。止ネジ25を回転させる第一実施形態は、止ネジ25の回転量と前進、後退の移動量とが比較的高い精度で対応するため、手動であっても押板片29の押圧量を高精度に調整することができる。
また、第一実施形態は、スキージ板20を局所的に押圧することによってスキージ板20の変形量を調整するものに限定されるものではない。例えば、スキージ板20を剥離可能な複数の層による多層構造とし、印圧の強い箇所においてスキージ板20を剥離して薄くするようにしてもよい。
【0030】
[調整方法]
ここで、第一実施形態のスキージ板20の印圧分布を調整する方法を説明する。第一実施形態では、印圧分布の調整に先立って、印圧分布を検出する。印圧分布の検出は、特に限定されないが、例えば、以下の方法によって実現することができる。
図10(a)、
図10(b)は、印圧分布の検出の一例を説明するための図である。
図10(a)は、印圧分布の検出に使用されたスキージ2の模式的な拡大図である。
図10(b)は、
図10(a)に示したスキージ2のスキージ板20を当接させて所定の圧力を加えた状態の感圧紙100を示している。
図10に示した感圧紙100には、加えられた圧力の大きさ及び範囲に応じた変色パターン101、102、103が発生する。
図10においては、スキージ2の幅方向に配列された複数の止ネジ25を、止ネジ25aから25fとして区別して示す。
【0031】
図10に示した例では、変色パターン101、102,103の全てが、周囲よりもスキージ板20の印圧が高いことを示すものとする。このような場合、例えば、変色パターン101から103を発生させたスキージ板20の部位の周辺の印圧を高め、スキージ板20全体の印圧を一様にすることが考えられる。変色パターン101から103を発生させたスキージ板20の部位の周辺の印圧を高めるためには、周辺の部位に対応する位置の止ネジ25を前進させることが考えられる。なお、第一実施形態でいう「対応する位置にある止ネジ」は、例えば、変色パターンを発生させたスキージ板20の部位に最も近接した位置にある止ネジであってもよい。例えば、変色パターン101から103が示す印圧の分布を一様にするためには、止ネジ25a、25c、25dを前進させて押板片29がスキージ板20に加える押圧力を高めてもよい。
第一実施形態では、以上の処理をスキージ板20の印圧が一様になるまで繰り返す。また、第一実施形態では、スクリーン印刷版10を介してスキージ板20の印圧を調整することで、スクリーン印刷版10による干渉も考慮して印圧分布を調整することができる。
【0032】
また、第一実施形態は、例えば、止ネジ25b、25e、25fを退行させて押板片29がスキージ板20に加える押圧力を低くしてもよい。さらに、この際、例えば、止ネジ25a、25c、25dを前進または後退させ、押圧力の分布を調整してもよい。
また、上述した印圧分布の検出において、第一実施形態は、スキージ板20の上面全体を感圧紙100に当接させるものであってもよいし、スキージ2をスクリーン印刷版10に対して所定の角度(例えば60度程度)を持って当接させ、当接部200の印圧を検出するものであってもよい。
【0033】
[スクリーン印刷装置]
図11は、以上説明したスキージ2を備えたスクリーン印刷装置3を説明するための図である。スクリーン印刷装置3は、図示しないベース台座上に、図示しない駆動機構によって保持されるスクリーン印刷の基材wを載置する略四角形状の載置テーブル113を備えている。また、スクリーン印刷装置3は、ベース台座に固定された保持部材115aによって載置テーブル113の上方に保持され、印刷マスク7及び開口部分8が形成されたスクリーンメッシュ5と、載置テーブル113の周囲を囲んで配置された版枠1と、版枠1に設けられ、長板状ゴム製のスキージ2を往復移動させる往復駆動機構118と、スキージ2の移動方向に応じて所定の印刷傾斜角度にスキージ2の傾斜角度を変更する図示しない傾斜変更機構と、同移動方向に応じて同移動途中にスクリーンメッシュ5を所定範囲内に下降、上昇させる図示しない上下動機構と、同移動方向に応じてスキージ2の横位置を変更する図示しない横位置変更機構と、これらの機構の動作状態を判別し、連係動作させて、自動的にスクリーン印刷する図示しない制御部を備えている。
【0034】
なお、第一実施形態のスクリーン印刷装置は、
図11に示したスキージ2を有するスクリーン印刷装置3に限定されるものでなく、スキージ板20のないスキージ板保持具23を有するものであってもよい。
即ち、スキージ2において、スキージ板20は消耗品であり、経時的な劣化や印刷マスク7の仕様等により交換され得る。このため、第一実施形態のスクリーン印刷装置は、スキージ板保持具23にスキージ板20を取り付けることなく、スキージ板保持具23だけを取り付けてユーザに提供されるものであってもよい。
【0035】
以上説明した第一実施形態は、スキージ板20のうちスクリーン印刷版10の少なくとも印刷領域9に当接する範囲の複数の個所において、スキージ板20にかかる単位荷重当たりの変形量を調整するスキージ板保持具23及び押板片29を備えている。このため、第一実施形態は、スキージ板20の複数の箇所においてスキージ板20に押圧力を加えることができる。そして、スキージ板20に押圧力を加えることにより、スキージ板20の変形を抑え、見かけ上の硬度を高めることができる。さらに、第一実施形態は、押板片29毎に止ネジ25を備えているから、押板片29の押圧力を調整し、スキージ板20の見かけ上の硬度を高める、あるいは低減することができる。
さらに、第一実施形態は、上記したスキージ板20の見かけの硬度を調整する部位を複数備えているため、スキージ板20において見かけ上の硬度を局所的に高める、あるいは低減することができる。
以上のことから、第一実施形態は、スキージ端面の平坦性や印刷版側のパターン等に応じて被印刷面への当接状態を任意に調整可能なスキージ、スキージ板保持具及びスクリーン印刷装置を提供することができる。
【0036】
[プリント配線版の製造]
ここで、以上説明したスキージ2、スキージ2を備えたスクリーン印刷装置3を使って三層フレキシブルプリント配線板を製造する工程を説明する。
図12(a)から
図12(d)、
図13(a)から
図13(d)及び
図14(a)から
図14(e)は、三層フレキシブルプリント配線板を製造する工程を説明するための図である。
上記工程では、先ず、
図12(a)に示すように、片面銅張積層板123を用意する。片面銅張積層板123は、絶縁樹脂121の片面に銅箔122を形成して構成される。絶縁樹脂121には、例えば厚さ100μmのLCP(Liquid Crystal Polymer)が用いられる。銅箔122の厚さは12μm程度が好ましい。また、上記工程では、
図12(b)に示すように、両面銅張積層板126を用意する。両面銅張積層板126は、LCP等の絶縁樹脂124の両面に銅箔125を形成して構成されている。このとき、LCPの厚さは100μm程度が好ましい。また、銅箔125の厚さは12μm程度が好ましい。第一実施形態では、両面銅張積層板126のシート面積を250mm×300mmとした。
【0037】
次に、第一実施形態では、
図12(c)に示すように、
図12(a)に示した片面銅張積層板123の銅箔122上にフォトリソグラフィによって図示しないエッチングマスクを作製する。そして、エッチングマスク上から銅箔122をエッチングし、銅パターン122aを作製する。銅パターン122aを備えた絶縁樹脂121は、片面基材128となる。また、
図12(d)に示すように、
図12(b)に示した両面銅張積層板126の銅箔125上にフォトリソグラフィによって図示しないエッチングマスクを作製する。そして、エッチングマスク上から銅箔125をエッチングし、銅パターン125a、125bを作製する。銅パターン125a、125bを備えた絶縁樹脂124は、両面基材129となる。なお、
図12(d)において、銅パターン125aは外層の銅パターンとなり、層間導通孔の受けランドや配線を形成する。銅パターン125bは内層のパターンとなり、層間導通孔の受けランドや配線、さらにはコンフォーマルマスクを形成する。さらに、銅パターン125a、125bには、銅箔と接着材の密着強度を上げるため粗化処理を行うこともできる。
【0038】
さらに、第一実施形態では、
図13(a)に示すように、片面基材128の絶縁樹脂121の銅パターン122aが形成されていない面を接着材132でラミネートする。このとき、接着材132としては、例えば厚さ15μmのローフローボンディングシートが用いられる。接着材132上には、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の保護フィルム133が貼り付けられる。保護フィルム133の厚さは、20μm程度が好ましい。
図13(a)に示した工程により、第一実施形態は、片面基材134を得る。
また、第一実施形態は、
図13(b)に示すように、
図12(d)に示した両面基材129の銅パターン125aの側を保護フィルム135でラミネートする。保護フィルム135は、厚さ10μm程度の微粘着材が片面に形成されたPETフィルム等であり、保護フィルム135の厚さは20μm程度とする。
図13(b)の工程により、第一実施形態は、両面基材136を得る。
【0039】
なお、保護フィルム133、135は、後の工程で導電性ペーストを印刷する際のペースト飛び出し量を規定することになる。このため、保護フィルム133、135の厚さは、厚過ぎると積層後に接着材厚みで吸収しきれないために基板の平坦度が損なわれる。一方、保護フィルム133、135の厚さが薄すぎる場合には、充分な接続信頼性が得られない虞がある。以上の観点から、保護フィルム133、135の厚さは、20μm±5μmの範囲が好適である。また、接着材132で片面基材128をラミネートする際には、銅パターン125bを充填し、さらに後の積層の際に必要な接着性が残るよう、熱硬化温度以下でラミネート処理を行う必要がある。
【0040】
次に、第一実施形態では、
図13(c)に示すように、絶縁樹脂121、接着材132、保護フィルム133を部分的に除去して有底ビアホール(有底導通用孔)137を形成する。有底ビアホール137の底面には銅パターン122aが露出する。有底ビアホール137の径は、例えばφ150μm~200μmである。
有底ビアホール137は、例えば、レーザ加工によって形成することができる。有底ビアホール137の形成加工に使用されるレーザとしては、加工容易性の観点から、例えば炭酸ガスレーザ等の赤外線レーザを用いることが好ましい。炭酸ガスレーザを用いる場合、ビーム径を有底ビアホール137の所望の穴径と略等しくする。また、有底ビアホール137の形成加工には、UV-YAGレーザ等の他のレーザを用いてもよい。形成した有底ビアホールにはデスミア処理を施すことが好ましい。
図13(c)に示した工程により片面基材138を得ることができる。
【0041】
また、第一実施形態では、
図13(d)に示すように、絶縁樹脂124、銅パターン125a及び保護フィルム135を部分的に除去して有底ビアホール139を形成する。有底ビアホール139の底面には銅パターン125bが露出する。なお、有底ビアホール139の径及び加工方法は、図
13(c)に示した有底ビアホール137と同様である。
【0042】
次に、第一実施形態では
図14(a)に示すように、有底ビアホール137(図
13(c))に、スキージ2を備えたスクリーン印刷装置3を使って導電性ペースト141を充填する。これにより、有底ビアホール137の位置に配線の導電電極が印刷される。ここでは、印刷された導電性ペースト141中にエアボイドが混入するのを避けるため、スクリーン印刷用の真空印刷機内で印刷を行うことが好ましい。導電電極形成後の片面基材を、片面基材142と記す。導電電極の印刷の際、片面基材142の保護フィルム133がマスクになり、有底ビアホール137に導電性ペースト141が選択的に充填される。
また、
図14(b)に示すように、スクリーン印刷装置3は、有底ビアホール139に導電性ペースト143を充填する。これにより、有底ビアホール139の位置に配線の導電電極が印刷される。導電電極形成後の両面基材を、両面基材144と記す。導電電極の印刷の際、両面基材144の保護フィルム135がマスクになり、有底ビアホール139に導電性ペースト143が選択的に充填される。
【0043】
次に、片面基材142においては、
図14(c)に示すように、保護フィルム133が剥離される。保護フィルム133を剥離することにより、導電性ペースト141が保護フィルム133の厚さに略等しい厚さ分だけ露出する。保護フィルム133剥離後の片面基材142を、片面基材145と記す。また、両面基材144においては、
図14(d)に示すように、保護フィルム135が剥離される。保護フィルム135を剥離することにより、導電性ペースト143が保護フィルム135の厚さに略等しい厚さ分だけ露出する。保護フィルム135剥離後の両面基材144を、両面基材146と記す。
さらに、第一実施形態では、
図14(e)に示すように、片面基材145と両面基材146とを積層する。積層は、真空プレスまたは真空ラミネータによって行うことができる。積層時の条件は、例えば、温度200℃、加圧圧力は数MPa程度が好適である。このような積層においては、金属結合と接着とが同時に行われる。積層後の片面基材145及び両面基材146を、配線板147と記す。
【0044】
上記した積層を真空プレスで行う場合、配線板147は、上記条件で30分から60分程度保持される。この間に、接着材132や導電性ペースト141、143のバインダー樹脂の熱硬化が完了する。また、配線板147を真空ラミネータにより作製する場合、真空ラミネートは数分程度で完了する。真空ラミネートの完了後、配線板147には、200℃前後で60分程度のポストキュアが行われる。このような処理により、接着材132や導電性ペースト141、143のバインダー樹脂の熱硬化が完了する。
上記工程によれば、いずれも導電性ペースト141、143内の金属粒子同士は、金属結合し、かつ、銅箔122、125とも金属結合する。第一実施形態では、必要に応じ、表面処理やソルダーレジスト等の形成を行い、外形加工を行うことで導電性ペースト接続による三層フレキシブルプリント配線板を得ることができる。
【0045】
なお、以上説明した第一実施形態では、三層フレキシブルプリント配線板のうち、第一層及び第三層の配線パターン(銅パターン122a、銅パターン125a及び銅パターン125b)を
図12(c)、
図12(d)の工程において形成している。ただし、第一実施形態は、このような構成に限定されるものでなく、積層工程まで銅箔122、125を残しておき、積層後に第二層と位置合わせを行うものであってもよい。このような場合、フォトリソグラフィを使ってマスクを作製し、エッチングを用い、第一層、第三層に必要な配線パターンを形成することもできる。このような手法は、積層による寸法収縮ばらつきが大きい場合等に有効である。
また、第一実施形態は、三層フレキシブルプリント配線板の第一層及び第三層の位置合わせに高い精度が要求される場合、積層後に両面同時露光を用いて露光マスクを作製することが好ましい。なお、以上説明した第一実施形態では、三層フレキシブルプリント配線板を製造する工程について説明した。しかし、第一実施形態は、片面基材または両面基材を組み合わせてさらに多数積層することにより、さらに多層のフレキシブルプリント基板を作製することが可能である。
【0046】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図15(a)、
図15(b)及び
図15(c)は、本発明の第二実施形態のスキージを説明するための説明するための図である。
図15(a)は、スキージ4のスキージ板保持具91を示している。また、
図15(b)はスキージ41のスキージ板保持具92を示し、
図15(c)はスキージ42のスキージ板保持具93を示している。
図15(a)に示すように、スキージ板保持具91では、押板片29a、29bが第二板部材221の幅方向に複数配列されている。そして、複数の押板片の一部は、他の押板片と当接部との距離が相違している。つまり、スキージ板保持具91においては、複数の押板片のうちに、当接部200との距離がd1である押板片29aと、当接部200との距離がd2である押板片29bとが混在している。このようにすることにより、第二実施形態は、スキージ板20に対する押圧力が異なる箇所を任意に設定し、スキージの幅方向に押圧力を変動させることができる。
【0047】
このような第二実施形態のスキージ4は、スクリーン印刷においてメタル版を使用した場合に版にかかる印圧を一様にすることに有効である。つまり、金属を印刷マスクとするメタル版は、乳剤等をマスクにするよりも版の厚さが厚くなる。特に100μm以上の厚さのメタル版では、メタル版と被印刷部材となる基材との間に生じる段差による印圧が印圧に及ぼす影響が無視できなくなる。メタル版と基材との間の段差が凡そ100μm以上になると、この周囲の印圧が不均一になる。
図15(a)に示したスキージ4は、上記した点に考慮してなされたものである。そして、基材との間に段差が生じるメタル版の開口端部近くの押板片及び止ネジ25を当接部200から離し、押圧片による印圧の影響を抑止している。
具体的には、
図15(a)に示した例では、スキージ4のスキージ板20の両端部にあたる位置メタル版の開口端部が存在している。このため、スキージ4では、第二板部材221の両端部において当接部200との距離が他より遠い押板片29aを設けている。なお、ここで第二板部材221の端部とは、例えば、第二板部材221の幅に垂直な中心線C1から第二板部材221の幅の1/4以上離れた領域を指すものであってもよい。
【0048】
また、第二実施形態は、
図15(b)に示すスキージ41のように、スキージ板保持具92が、スキージ板を把持する第一板部材(図示せず)と第二板部材222とを有し、第一板部材または第二板部材は、当接部200から遠ざかる方向に向かう切欠きを有するようにしてもよい。
図15(b)に示した例では、押板片29a及び止ネジ25を当接部200から遠ざけると共に、第二板部材222に、当接部200から遠ざかる方向に切欠225が形成されている。
このようにすることにより、スキージ41では、第二板部材222の端部において押圧箇所が当接部200から遠ざかる上、第二板部材222による圧力が緩和される。このようなことにより、スキージ41に保持されるスキージ板20の見かけ上の硬度が第二板部材222の端部において緩和される。なお、第二板部材222の端部とは、例えば、第二板部材222の幅に垂直な中心線C2から第二板部材222の幅の1/4以上離れた領域を指すものであってもよい。
【0049】
上記したメタル版の開口端部に生じる段差により、メタル版の厚さを薄くすることが印圧分布を一様にすることについては有利である。しかし、メタル版の厚さを50μm以下にすると、メタル版に220mm×230mmの開口部を作製した場合、メタルの張力にメタル版が耐えられなくなって破断等の不具合が生じることが知られている。このような不具合に対応するため、開口部の中心を通るように開口端から対向する開口端まで張力補助用メタルを形成することがある。張力補助用メタルは、例えば幅10mm程度のテープ状のメタルである。
図15(c)は、上記した張力補助用メタルと基材との段差によって生じる印圧の不均一を考慮したスキージ42を示している。スキージ42のスキージ板保持具93では、第二板部材223の幅方向に垂直な中心線C3を含む領域に、当接部200から遠ざかる方向に切欠224が形成されている。このようにすれば、第二実施形態は、第二板部材223の中央部分がスキージ板20に与える押圧力を低減し、張力補助用メタルの印圧に与える影響を抑止することができる。
なお、本発明の発明者は、以上説明した第一実施形態、第二実施形態のスキージにより、スキージ板20の交換時に印圧を調整した後、次回の交換(使用状況によるが3か月程度)時まで調整の必要がないことを確認した。
【0050】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態のスクリーン印刷装置について説明する。第三実施形態のスクリーン印刷装置は、第一実施形態のスクリーン印刷装置3と、メタル版である印刷版を備えている。第三実施形態のメタル版は、開口パターンが形成される印刷領域と、この印刷領域内にあって印刷領域の張力を補強する補強部材をさらに備えている。第三実施形態のメタル版は、例えば、第一実施形態で説明した有底ビアホール137に導電性ペースト141を充填する工程、あるいは有底ビアホール139に導電性ペースト143を充填する工程に使用することができる。
【0051】
図16(a)から16(d)は、スクリーン印刷装置3に使用されるメタル版を説明するための図であって、
図16(a)、
図16(b)は第一実施形態の導電性ペースト141、143の充填に使用されるメタル版15を示している。
図16(a)はメタル版15の上面図、
図16(b)は
図16(a)中に示したメタル版15を矢線b-bの方向に見たb-b断面図である。
メタル版15は、金属製の枠体76と、枠体76に支持された金属製の薄板74とを有している。薄板74には印刷領域300が形成されていて、印刷領域300は保護フィルム133、保護フィルム135と重なっている。印刷領域300には張力補強部材75が形成されていて、印刷領域300は張力補強部材75によって領域98、99を含むようになる。この結果、印刷領域300は、二つの開口パターン981、991が形成されていることになる。
【0052】
上記のメタル版15によれば、開口パターン981、991上から印刷領域300の全面に導電性ペースト141を塗付することによって有底ビアホール137、139に導電性ペースト141を充填することができる。保護フィルム133、保護フィルム135は、導電性ペースト141の塗付後に剥離される。このような工程により、印刷領域300内には導電性ペースト141が充填された複数の電極が形成される。
【0053】
ただし、第三実施形態のメタル版は、ビアホールの充填に使用されるものに限定されるものではない。
図16(c)、(d)は、メタル版30を説明するための図であって、
図16(c)は印刷領域400を有するメタル版30の上面図、
図16(d)は
図16(c)中に示したメタル版15を矢線d-dの方向に見たd-d断面図である。メタル版30は、
ステンレス等の金属製の薄板をステンシルレーザー等を使ってカッティングし、所望のパターンを形成した印刷版であって、多くは電子部品を基板に実装するためのクリーム半田等の導電性インクのパターンを形成することに使用される。
メタル版30は、金属製の枠体76と、枠体76に支持された金属製の薄板74とを有している。薄板74には印刷領域400が形成されていて、印刷領域400に複数の開口パターン77が形成されている。印刷領域400には張力補強部材80が形成されていて、印刷領域400は張力補強部材80によって領域78、79を含むようになる。
【0054】
メタル版15の張力補強部材75、メタル版30の張力補強部材80は、いずれも薄板74と一体の金属製の薄板で構成されている。張力補強部材75、80を薄板74と一体とすることにより、第三実施形態は、メタル版15、30の表裏を平滑にすることができる。なお、メタル版15、メタル版30のいずれにあっても、薄板74の厚さt1は50μm、張力補強部材75、80の幅t2は10mmとした。また、印刷領域300、400のx方向の長さは220mm、y方向の長さは230mmである。
【0055】
なお、第三実施形態は、当然のことながら、このような寸法形状に限定されるものではない。厚さt1は、例えば50μm以上、150μm以下の範囲で任意に設定可能である。また、幅t2は、印刷領域300、400の大きさや薄板74の厚さt1に応じて決定されるが、形成される開口パターンに影響を及ぼさない範囲であることが好ましい。また、張力補強部材75、80は、
図16(a)、
図16(c)に示した図中のx方向に延伸するものに限定されず、スキージの移動方向に延伸するものであればよい。さらに、第三実施形態は、張力補強部材75、80を一つ備えるものに限定されず、それぞれ複数備えるものであってもよい。張力補強部材を複数備える場合、複数の張力補強部材は、互いに異なる方向に延伸するものであってもよい。
【0056】
張力補強部材75、80がスキージの移動方向に延伸する場合、幅t2の好ましい範囲としては、例えば、印刷領域を包含する最小幅(第三実施形態では230mm)の1%以上、5%以下が好ましい。なお、このような構成において、「幅」はスキージの移動方向と直行する方向の長さを指す。また、第三実施形態でいう「印刷領域」は、例えば、一つの被印刷パターンを形成するための開口パターンを包含する最小の面積を有する領域とすることができる。ここで、被印刷パターンとは、基板等の印刷がされる側の部材に形成されるインク一層のパターンである。一つの被印刷パターンとは、例えば、一単位のスキージの移動で形成され、かつ、一つまたは複数の完成品に適用される被印刷パターンである。「一単位」とは、一つの被印刷パターンを形成するのにスキージを一度移動させる場合には一回、スキージを複数回移動させる場合には複数回である。
図16(a)に示したメタル版15の印刷領域300は、開口パターン981、991を包含する最小の領域である。また、
図16(c)に示したメタル版30の印刷領域400は、複数の開口パターン77を包含する最小の領域である。
【0057】
以上説明した構成においては、第三実施形態のスクリーン印刷装置は、以下のように動作する。なお、メタル版15、メタル版30のいずれを用いた場合であってもスクリーン印刷装置3は同様に動作するため、ここではメタル版15を用いた場合を例に挙げて説明する。
作業者は、スクリーン印刷装置にメタル版15をセットし、薄板74の+z軸に向かう側(以下、「上面」と記す)に導電性インクを乗せる。そして、例えば第一実施形態のスキージ2を、メタル版15の薄板74の上面で薄板74に当接させながら移動させる。このような動作により、開口パターン77を通じて導電性インクがメタル版15の下方にセットされている基板等に塗付されてインクパターンを形成する。
【0058】
上記動作によれば、メタル版15にスキージ2が当接しながら移動することによってメタル版15全体に張力が加えられる。印刷領域300は、開口されているためにスキージ2によって加えられる押圧力に対向する張力が他の部位より弱まっている。印刷領域300の張力が弱いと、スキージ2が通過した後にメタル版15が基板等の被印刷物に付着して、版離れし難くなり作業効率が低下することが考えられる。
第三実施形態は、張力補強部材80を設けることによって印刷領域300にかかる張力に対する応力を補強し、メタル版15の版離れを促して作業効率の低下を防いでいる。
【0059】
以上説明した実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)基材上にインクペーストを塗布するスキージであって、印刷版に当接しながら移動する当接部を有するスキージ板と、前記スキージ板のうち前記印刷版の少なくとも印刷領域に当接する範囲の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部と、を含む、スキージ。
(2)前記変形調整部は、前記スキージ板を保持するスキージ板保持具と、前記スキージ板保持具から前記スキージ板に向かう押圧力を発生する押圧部材と、を含む、(1)のスキージ。
(3)前記押圧部材は、前記スキージ板が前記印刷版に当接していない状態にあっても前記スキージ板を押圧している、(2)のスキージ。
(4)前記押圧部材は、前記スキージ板にかかる押圧力を調整する押圧力調整部を有し、当該押圧力調整部により前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する、(3)のスキージ。
(5)前記押圧部材は、前記スキージ板保持具と前記スキージ板との間に配置される押板片を含み、前記押圧力調整部は、前記押板片を介して前記スキージ板を押圧する止ネジである、(4)のスキージ。
(6)前記押圧力調整部は、前記止ネジの位置を固定する逆ネジをさらに含む、(5)のスキージ。
(7)前記スキージ板保持具において、前記押圧部材は前記スキージ板の幅方向に複数配列され、複数の前記押圧部材の一部は、他の前記押圧部材と前記当接部との距離が相違する、(2)から(6)のいずれか一つのスキージ。
(8)前記スキージ板保持具は、前記スキージ板を把持する第一板部材と第二板部材とを有し、前記第一板部材または前記第二板部材は、前記当接部から遠ざかる方向に向かう切欠きを有する、(2)から(6)のいずれか一つのスキージ。
(9)基材上に印刷版を介してインクペーストを塗布するスキージ板を保持するスキージ板保持具であって、前記印刷版の印刷領域に当接する前記スキージ板の複数の個所において、前記スキージ板にかかる単位荷重当たりの変形量を調整する変形調整部を含む、スキージ板保持具。
(10)(1)から(8)のいずれか一つのスキージを有するスクリーン印刷装置。
(11)(9)のスキージ板保持具を有するスクリーン印刷装置。
(12)前記印刷版を備え、前記印刷版は、メタル版であって、開口パターンが形成される印刷領域と、当該印刷領域内にあって前記印刷領域の張力を補強する補強部材をさらに備える、請求項10または11に記載のスクリーン印刷装置。
【符号の説明】
【0060】
1・・・版枠
1a・・・開口部
2、41、42・・・スキージ
3・・・スクリーン印刷装置
5・・・スクリーンメッシュ
7・・・印刷マスク
8・・・開口部分
9、300、400・・・印刷領域
10・・・スクリーン印刷版
15、30・・・メタル版
20・・・スキージ板
21・・・第一板部材
21a、22a・・・段差部
22・・・第二板部材
23・・・スキージ板保持具
24・・・ネジ
25、25aから25f・・・止ネジ
26・・・基板部
28・・・付加板部
29・・・押板片
71・・・第一板部材
72・・・第二板部材
74・・・薄板
75、80・・・張力補強部材
76・・・枠体
77、981、991・・・開口パターン
78、79、98、99・・・領域
83・・・スペーサー
85・・・逆ネジ
100・・・感圧紙
101、102、103・・・変色パターン
113・・・載置テーブル
115a・・・保持部材
118・・・往復駆動機構
121・・・絶縁樹脂
122、125・・・銅箔
122a、125a、125b・・・銅パターン
123・・・片面銅張積層板
124・・・絶縁樹脂
126,136、・・・両面銅張積層板
128、134、138、142、145・・・片面基材
129、144,146・・・両面基材
132・・・接着材
133、135・・・保護フィルム
137、139・・・有底ビアホール
141、143・・・導電性ペースト
147・・・配線板