(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】光学素子および撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20230314BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20230314BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230314BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230314BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02B13/00
G02B3/00
G02B7/02 B
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
G02B7/02 A
(21)【出願番号】P 2018099067
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-04-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521351719
【氏名又は名称】東京晨美光学電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】大内 達也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 滋
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-152401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0158633(US,A1)
【文献】実開昭63-047316(JP,U)
【文献】実開平06-002310(JP,U)
【文献】特開2009-025584(JP,A)
【文献】特開平07-027960(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0031798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00
G02B 13/00
G02B 3/00
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学素子を備え、そのうちの少なくとも1つが、
光学有効部の周囲に形成されたコバ部を有する光学素子であって、
前記コバ部は当該光学素子の光軸と並行する方向の少なくとも一面に隣接する光学素子と嵌合する略台形形状の突起部および当該外周側面部に
同一単位形状の繰り返しを複数含み、その繰り返し数が10以上である凹凸部を備え、
前記凹凸部は、前記光軸の方向から見て凹凸形状をなし、
その高さが0.01mm以上0.065mm以下、凹側エッジ部の曲率半径が0.03mm以上0.15mm以下、凸側エッジの曲率半径が0.03mm以上0.05mm以下とされ、前記光軸から前記外周側面部に向かう放射方向に突出して形成されると共に光軸と並行する方向に延伸して形成され、その表面にはシボ層が形成され
、前記外周側面部に沿って連続的に形成された光学素子であり、
前記複数の光学素子の間には中央に開口部を有する平板で円環状の遮光部材からなる遮光板が配置され、
前記開口部の径は撮像レンズに入射する有効光線の光軸上に結像する光束および最大画角から入射して最大像高に結像する光束の通過を妨げない最小の径に設定されていることを特徴とする撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に使用される光学素子および当該光学素子を用いた撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報端末機器を始めとする様々な商品にカメラ機能が搭載されるようになった。
【0003】
このような機器に搭載されるカメラには、ゴーストやフレアが抑制されたクリアな画像が撮影できる撮像レンズが求められている。ゴーストやフレアを抑制するためには、結像に寄与しない不要光の抑制が重要になる。
【0004】
従来、不要光を抑制する技術としては、以下の特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1には、撮影光学系に組み込まれ、撮影光軸を中心として撮影に寄与する有効光束を通過させる有効径エリアと、この有効径エリアを囲む有効径外エリアと、この有効径外エリアを囲む外周面とを備えた光学素子であって、物体側の面から入射し、像面側の面で反射して前記外周面に入射し、その外周面で反射した光線が像面に入射しないように、前記外周面の厚み方向の少なくとも一部、または周方向の少なくとも一部を、撮影光軸に対して傾きをもつ非平行面にしたものが開示されている。
【0006】
特許文献2には、複数の光学素子を備え、物体の光学像を結像する撮像光学系と、前記撮像光学系を保持する撮像光学系保持部とを備え、前記複数の光学素子のうちの少なくとも1つは、物体からの光束を通過させる有効領域部と、光軸と直交する直交方向において前記有効領域部を囲むように設けられた非有効領域部と、前記直交方向における前記有効領域部と前記非有効領域部との間に設けられ、互いの光軸を一致させるように、隣接する光学素子と嵌合する嵌合凹部または嵌合凸部と、前記非有効領域部の外周側面に設けられ、光を散乱する散乱部を備えたことを特徴とするレンズユニットが開示されている。散乱部とは、「この散乱部は、前記非有効領域部の前記外周側面を粗面化したシボ層である。このシボ層における表面は、表面粗さが十点平均粗さで約10μm以下であり、好ましくは、約4~6μmである。このような表面粗さの表面は、例えば、粗面の押し型としてアヤマダイ株式会社の#1003等を用いることで形成される。」(特許文献2の[0033]段落参照)と認識されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-164755号公報
【文献】特開2015-90484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の光学素子は、外周面の厚み方向の少なくとも一部、または周方向の少なくとも一部を、撮影光軸に対して傾きをもつ非平行面に形成することで反射光を撮像素子側に向かわないように制御するのが目的である。しかしながら、このような光学素子の場合は、反射光のパワーを減衰する効果は得られないため、撮像レンズ内で発生する不要光の抑制に対して不十分である。
【0009】
特許文献2に記載の撮像レンズは、特許文献1に記載の光学素子の構成に加えて、外形側面部にシボ層を形成して光を散乱させることで、反射光のパワーを減衰させるものである。しかし、シボ層を形成するだけでは結像に寄与しない不要光の抑制は不十分である。
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、光学素子の外周側面部に十分に反射光を抑制するための形状を形成することで、結像に寄与しない不要光を十分に抑制させること、およびその光学素子を用いた撮像レンズを提供することを目的とする。
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係る光学素子は、光学有効部の周囲に形成されたコバ部を有する光学素子であって、前記コバ部は、当該光学素子の光軸と並行する方向の少なくとも一面に隣接する光学素子と嵌合する略台形形状の突起部および当該外周側面部に凹凸部を備え、前記凹凸部は、前記光軸の方向から見て凹凸形状をなし、前記光軸から前記外周側面部に向かう放射方向に突出して形成されると共に光軸と並行する方向に延伸して形成され、その表面にはシボ層が形成されたものとした。
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明に係る撮像レンズは、複数の光学素子を備え、そのうちの少なくとも1つが上記の光学素子であって、前記複数の光学素子の間には中央に開口部を有する平板で円環状の遮光部材からなる遮光板が配置されているものとした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光学素子の内部から外周側面部へ入射して反射する光のパワーを複数の凹凸部によって十分に減衰させることができるため、ゴーストやフレアを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光学素子を示す模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る光学素子の断面を示す模式図である。
【
図3】外周側面部の凹凸部での不要光の振る舞いを示す模式図である。
【
図4】
図1の一部(103)を拡大した凹凸部の一実施形態を示す図である。
【
図5】本発明の光学素子を適用した撮像レンズ構造の一実施形態を示した断面図である。
【
図6】従来の撮像レンズ内部に発生した不要光を示す図(a)、および
図5の撮像レンズに本発明の光学素子を適用した一実施形態を示す図(b)である。
【
図7】従来の撮像レンズ内部に発生した不要光を示す図(a)、および
図5の撮像レンズに本発明の光学素子を適用した一実施形態を示す図(b)である。
【0015】
本発明による光学素子は、光学有効部の周囲に形成されたコバ部の外周側面部に凹凸部を形成することによって、光学素子の外周側面部で反射する不要光を減衰させるものである。
【0016】
本発明の実施形態について、
図1から
図7を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の光学素子の一実施形態を示している。
【0018】
図1に示すように、光学素子100は、有効光線が入射する光学有効部101と、光学有効部101の周囲にコバ部102が一体に形成されている。コバ部102の外周側面部103には、複数の凹凸部200が形成されている。
【0019】
図2は、
図1の光学素子100の断面図(A-A’)を示している。
【0020】
図2において、外周側面部103に形成された凹凸部200は、光学素子100の光軸Xの方向に平行に延伸して形成されている。なお、凹凸部200は、光軸Xに対して角度をなすように延伸して形成してもよい。
【0021】
図3は、外周側面部103に形成された凹凸部200に入射した光線SLの振る舞いを示している。
【0022】
図3に示すように、光線SLが外周側面部103に形成された凹凸部200に入射すると、光線SLは凹凸部200で散乱光になって光のパワーは減衰する。
【0023】
ここで、凹凸部200の詳細な形状は、ゴーストシミュレーションソフトを用いることで、光線SLの反射方向を高精度に制御可能な形状に設定することができる。すなわち、設計段階でゴースト・フレアを抑制するための解析が可能である。
【0024】
従来のような、撮像レンズを組み込んだ後にゴースト・フレアの発生を評価して、原因分析を行い、設計にフィードバックするという、トライ・アンド・エラーを抑制することができる。
【0025】
また、ゴースト・フレアの抑制に対しては、凹凸形状によって光を散乱させたほうが、シボ層のみを形成するより高い効果が得られる。
【0026】
したがって、外周側面部103に形成する凹凸部200の面に、シボ層を形成することが望ましい。
【0027】
図4は、凹凸部200の形状に関する一実施形態を示している。本実施形態は、凹凸部200の高さHを0.065mm、凸側のエッジ部E1の
曲率半径Rの大きさをR0.05mm、凹側のエッジ部E2の
曲率半径Rの大きさをR0.15mmとして、凹凸形状の同一単位形状の繰り返し数を72(光軸を中心としたピッチPを5°)として、コバ部外周の全周に連続的に形成した例である。
【0028】
なお、凹凸部200の形状は、上述した数値に限定させるものではない。凹凸部200の高さHは、0.01mm以上、凸側のエッジ部E1の曲率半径Rの大きさは、R0.03mm以上、凹側のエッジ部E2の曲率半径Rの大きさは、R0.03mm以上であることが望ましく、凹凸形状の同一単位形状の繰り返し数は10以上(光軸を中心としたピッチPを36°以下)として、コバ部外周の必要な部分に部分的に形成してもよい。
【0029】
図5は、本発明の光学素子を6枚の光学素子で構成された撮像レンズ300に適用した一実施形態を示している。本実施形態では、6枚の光学素子のうち、1枚に本発明の光学素子を適用している。
【0030】
図5に示すように、撮像レンズ300は、バレル302の内部に第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6、後方遮光リング304を被写体側(図上方)から撮像素子IMG側(図下方)に向かって順に配置されて構成されている。
【0031】
また、第1レンズL1と第2レンズL2の間、第2レンズL2と第3レンズL3の間、第3レンズL3と第4レンズL4の間、第4レンズL4と第5レンズL5の間、および第5レンズL5と第6レンズL6との間には、遮光板303が配置されている。
【0032】
後方遮光リング304は、第1レンズL1から第6レンズL6を光軸X方向に固定する部材であり、バレル302の内周部に、酢酸メチル等の溶剤を用いて溶着固定されている。なお、後方遮光リング304のバレル302への固定方法は、溶着固定に限らず、接着や圧入、またはそれらの組み合わせを採用してもよい。
【0033】
また、それぞれの光学素子を形成するレンズの材料は、シクロオレフィンポリマーやポリカーボネート等の光学用樹脂であり、それぞれの光学素子は、射出成形で形成されている。
【0034】
撮像レンズ300は、例えば携帯電話やスマートフォンに搭載される小型の撮像レンズに適用される。撮像レンズ300の撮像素子IMG側には、赤外線をカットするためのフィルタIRが配置され、フィルタIRの次にCCDセンサーやC-MOSセンサーの撮像素子IMGが配置され、撮像レンズ300とフィルタIRと撮像素子IMGとをパッケージしてカメラモジュールが構成される。
【0035】
それぞれのレンズは、光学有効部(レンズ部)と光学有効部の周囲にコバ部を有している。それぞれのレンズのコバ部には、隣り合うレンズと嵌合させるための突起部が形成されている。突起部は、円錐状の斜面と当該斜面から連接する平面部が形成された、略台形形状になっている。
【0036】
次に、撮像レンズ300の構造について説明する。
【0037】
第1レンズL1のコバの平面部L1aを、バレル302の内面に形成された光軸Xに垂直な受け面302aに当接させる。これにより、第1レンズL1の光軸X方向の位置が決定される。
【0038】
また、第1レンズL1の外形側面部L1cが、バレル302の内径部302bに嵌合する。これにより、双方の芯出しがなされ、光軸X上に一致した状態になる。
【0039】
次に、第1レンズL1の斜面L1bが、第2レンズL2の斜面L2aと嵌合することで、双方の芯出しがなされ、光軸X上に一致した状態になる。
【0040】
次に、第2レンズL2の斜面L2bが、第3レンズL3の斜面L3aと嵌合することで、双方の芯出しがなされ、光軸X上に一致した状態になる。
【0041】
次に、第3レンズL3の斜面L3bが、第4レンズL4の斜面L4aと嵌合することで、双方の芯出しがなされ、光軸X上に一致した状態になる。
【0042】
次に、第5レンズL5の斜面5bが、第6レンズL6の斜面L6aと嵌合することで、双方の芯出しがなされ、光軸X上に一致した状態になる。
【0043】
第6レンズL6の外形側面L6cが、バレル302の内径部302cと嵌合することで双方の芯出しがなされ、光軸X上に一致した状態になる。
【0044】
上述した構造にすることで、レンズ組み品301は、第1レンズL1から第6レンズL6の中心が光軸X上に一致した状態になり、かつバレル302の中心が光軸X上に一致した状態になる。
【0045】
また、第1レンズL1から第4レンズL4、および第5レンズL5と第6レンズL6に形成した、コバ部の突起部の斜面に連接する平面部は、隣り合うレンズのコバ部の平面部に当接させている。これにより、それぞれのレンズの間隔が決定されている。なお、第4レンズL4と第5レンズL5の間隔は、遮光板303の厚みによって決定されている。
【0046】
従って、レンズ組み品301は、それぞれのレンズを重ね合わせるだけでそれぞれの中心が光軸Xに一致した状態になるとともに、それぞれのレンズ間隔も決定された状態になる。
【0047】
なお、それぞれのレンズの間に配置される遮光板303は、中央に開口部を有する平板で円環状の遮光部材からなっている。
【0048】
遮光板303の開口部の径は、撮像レンズ300に入射する有効光線の、光軸X上に結像する光束B0、および最大画角から入射して最大像高に結像する光束B1の通過を妨げない最小の径に設定され、光束B1よりも外側から入射する光線を遮光する。すなわち、遮光板303は、有効光線以外の不要光を遮光するためのものである。
【0049】
ここで、
図5は、撮像レンズ300を構成するレンズのうち、第5レンズL5に、本発明の光学素子を適用した実施形態である。
【0050】
次に、
図5の実施形態において、本発明の光学素子がゴーストやフレアの原因になる反射光のパワーを減衰させる様子を説明する。
【0051】
図6は、従来の撮像レンズ300’内部に不要光が発生したときの状態(
図6(a))と、
図5の撮像レンズ300が当該不要光を抑制した状態(
図6(b))を模式的に表わしたものである。
【0052】
図6(a)は、撮像レンズ300’を通過した光線SLが、フィルタIRの表面で反射して第6レンズL6のコバ部に入り、第6レンズL6と第5レンズL5の嵌合部を通過したあと、第5レンズL5の外周面で反射し、更に第5レンズL5の有効径部で全反射し、フィルタIRを通過して撮像素子IMGに到達する様子を表わしている。
【0053】
撮像素子IMGに到達した光線SLは、ゴーストやフレアになって撮像画に現れるため、画質を悪化させる原因になる。
【0054】
図6(b)は、
図6(a)に示した撮像レンズ300’の第5レンズL5に、本発明の光学素子を適用した例である。すなわち、第5レンズL5の外周側面部103に、凹凸部200を形成した例である。
【0055】
図6(b)に示すように、撮像レンズ300を通過した光線SLが、フィルタIRの表面で反射して第6レンズL6のコバ部に入り、第6レンズL6と第5レンズL5の嵌合部を通過したあと、第5レンズL5の外周面103に入射するが、外周側面部103に形成した凹凸部200によって、光線SLが散乱する。これにより、第5レンズL5の外周面に入射して反射する光のパワーが減衰する。
【0056】
第5レンズL5の外周面の凹凸部200で散乱した光線SLは、光のパワーが減衰されているので、第5レンズL5の有効径部で全反射し、フィルタIRを通過して撮像素子IMGに到達するようなことはない。したがって、ゴースト・フレアの発生を効果的に抑制する。
【0057】
図7は、従来の撮像レンズ300’内部に不要光SLが発生したときの状態(
図7(a))と、
図5の撮像レンズ300が当該不要光を抑制した状態(
図7(b))を模式的に表わしたものである。
【0058】
図7(a)は、不要光SLが撮像レンズ300’の第5レンズL5のコバ面で反射した後、第5レンズL5の外周側面部103で反射し、第5レンズL5の有効径部で全反射し、フィルタIRを通過して撮像素子IMGに到達する様子を表わしている。撮像素子IMGに到達した光線SLは、ゴーストやフレアになって撮像画に現れるため、画質を悪化させる原因になる。
【0059】
図7(b)は、
図7(a)に示した撮像レンズ300’の第5レンズL5に、本発明の光学素子を適用した例である。すなわち、第5レンズL5の外周側面部103に、凹凸部200を形成した例である。
【0060】
図7(b)に示すように、不要光SLが撮像レンズ300の第5レンズL5のコバ面で反射した後、第5レンズL5の外周側面部103に入射するが、外周側面部103に形成した凹凸部200によって、光線SLが散乱する。これにより、第5レンズL5の外周面に入射して反射する光のパワーが減衰する。
【0061】
第5レンズL5の外周面の凹凸部200で散乱した不要光SLは、光のパワーが減衰されているので、第5レンズL5の有効径部で全反射し、フィルタIRを通過して撮像素子IMGに到達するようなことはない。したがって、ゴースト・フレアの発生を効果的に抑制する。
【0062】
以上説明したように、本発明に係る光学素子、および当該光学素子を使用した撮像レンズは、光学有効部の周囲に形成されたコバの外形側面部に不要光を抑制する凹凸部を形成することで、効果的にゴーストやフレアの発生を抑制することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、6枚で構成される撮像レンズの第5レンズに本発明の光学素子を適用した例を示したが、これに限定されるものではない。光学素子の外周部における光の反射を抑制することが必要な場所に適宜適用すればよい。また、複数枚で構成される撮像レンズの、複数のレンズに適用しても良いし、1枚の光学素子で構成される撮像レンズにも応用が可能である。
【0064】
また、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易になし得ることである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明により、光学素子の内部の反射を効果的に抑制することが可能になり、高い画質を要求される撮像装置に適用した場合、光学性能、品質の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0066】
100 光学素子
101 光学有効部(レンズ部)
102 コバ部
103 外形側面部
200 凹凸部
300、300’ 撮像レンズ
301 レンズ組み品
302 バレル
303 遮光板
304 後方遮光リング
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
L1b、L2a、L2b、L3a、L3b、L4a、L5b、L6a レンズ嵌合部
L1a、L1c、L6c、302a、302b、303c バレル嵌合部
B0 光軸上の有効光線束
B1 最大像高の有効光線束
SL 光線、不要光
X 光軸
IR フィルタ
IMG 撮像素子