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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 34/22 20200101AFI20230314BHJP
   D06F 33/37 20200101ALI20230314BHJP
   D06F 33/57 20200101ALI20230314BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20230314BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20230314BHJP
   D06F 101/20 20200101ALN20230314BHJP
   D06F 103/20 20200101ALN20230314BHJP
   D06F 103/22 20200101ALN20230314BHJP
   D06F 103/68 20200101ALN20230314BHJP
   D06F 105/42 20200101ALN20230314BHJP
【FI】
D06F34/22
D06F33/37
D06F33/57
D06F39/02 Z
D06F39/08 301R
D06F39/08 311F
D06F101:20
D06F103:20
D06F103:22
D06F103:68
D06F105:42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018188251
(22)【出願日】2018-10-03
(65)【公開番号】P2020054688
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】増田 美穂
(72)【発明者】
【氏名】長井 智
(72)【発明者】
【氏名】根岸 昭博
(72)【発明者】
【氏名】須坂 祐輔
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-205340(JP,A)
【文献】特開平06-327882(JP,A)
【文献】特開2018-121899(JP,A)
【文献】特開平06-218183(JP,A)
【文献】特開平02-074290(JP,A)
【文献】特開2018-038699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00 - 34/34
D06F 39/00 - 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記洗濯槽への給水を行う給水装置と、
前記洗濯槽からの排水を行う排水装置と、
前記洗濯槽内に洗剤を自動的に投入する洗剤投入装置と、
前記洗濯槽内の洗濯水の汚れ度合いを検知する汚れ度検知装置と、
前記各装置を制御して洗濯運転を実行する制御装置とを備え、
本洗い運転を実行する前に、前記洗濯槽内で水に洗剤を溶かした洗濯水に洗濯物を一定時間浸しておくつけおき行程を含むつけおきコースの実行が可能に構成されていると共に、
前記制御装置は、前記つけおきコースの実行時において、
前記つけおき行程開始前に、前記汚れ度検知装置による洗濯水の汚れ度合いを検知する汚れ度センシング行程を行い、
前記汚れ度センシング行程で前記汚れ度検知装置の検知した汚れ度合いが基準値よりも大きいときには、
前記つけおき行程を開始する前に、洗濯水の排水、給水、及び洗剤の投入を行う洗濯機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記汚れ度センシング行程における検知結果に基づいて、前記つけおき行程を開始する前に、洗濯水の排水、給水、及び洗剤の追加投入を行うか、洗濯水の排水を行わず洗剤の追加投入を行うか、洗剤の追加投入を行わないか、のいずれかを実行する、
請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記つけおきコースの実行時において、前記汚れ度センシング行程での前記汚れ度検知装置の検知内容から汚れの種類を判断し、その汚れの種類が洗濯物に再付着しやすいものである場合には、前記排水装置により排水を実行した後、前記給水装置による給水を行う請求項1又は2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記汚れ度検知装置は、前記洗濯槽内の洗濯水の光の透過度を検知する透過度センサと、該洗濯水の電導度を検知する電導度センサとを含んでいる請求項1からのいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記洗濯槽内の洗濯水を加熱する加熱装置と、
前記洗濯槽内の洗濯水の温度を検知する温度センサと、を更に備え、
本洗い運転を実行する前に、前記洗濯槽内で水に洗剤を溶かした洗濯水を前記加熱装置により設定温度まで加熱した状態で、洗濯物を一定時間浸しておく水につけおき行程を含む温水つけおきコースの実行が可能に構成されていると共に、
前記制御装置は、前記温水つけおきコースの実行時に、前記加熱装置により洗濯水を設定温度まで上昇させ、前記温度センサにより第1の所定温度が検出された時点で、前記洗剤投入装置による洗剤の追加投入を行う、
請求項1記載の洗濯機。
【請求項6】
前記洗濯水の電導度を検知する電導度センサを備え、
前記制御装置は、前記つけおき行程において、前記電導度センサの検知した電導度が所定電導度を下回った場合には、前記洗剤投入装置による洗剤の追加投入を行った上で、つけおき行程を続行する請求項記載の洗濯機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばドラム式の洗濯機において、ドラム内に洗剤(液体洗剤)を自動で投入する洗剤自動投入装置を設けることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、洗濯運転開始時に、洗濯物の布量検知を行ってドラム内の布量を判定し、その布量に応じた洗剤投入量を設定して自動で洗剤を投入するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-80229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗濯機においては、がんこな汚れのついた洗濯物をしっかりと洗うための、「つけおき」の行程を含んだつけおきコースの実行が可能とされたものが知られている。つけおき行程は、本洗いの動作(洗い行程)に進む前に、ドラム内に収容された洗濯物を、水に洗剤を溶かした洗濯水に、ユーザにより設定された一定時間(例えば2時間等)浸しておくことにより行われる。
【0005】
ところが、従来では、つけおきコースの実行が可能な洗濯機にあって、洗剤自動投入装置をどのように制御すれば、つけおきの行程を適切に実行できるかについては、考えられていなかったのが実情である。
そこで、洗剤投入装置を備えたものにあって、つけおき行程を適切に実行することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の第1の洗濯機は、洗濯物が収容される洗濯槽と、前記洗濯槽への給水を行う給水装置と、前記洗濯槽からの排水を行う排水装置と、前記洗濯槽内に洗剤を自動的に投入する洗剤投入装置と、前記洗濯槽内の洗濯水の汚れ度合いを検知する汚れ度検知装置と、前記各装置を制御して洗濯運転を実行する制御装置とを備え、本洗い運転を実行する前に、前記洗濯槽内で水に洗剤を溶かした洗濯水に洗濯物を一定時間浸しておくつけおき行程を含むつけおきコースの実行が可能に構成されていると共に、前記制御装置は、前記つけおきコースの実行時において、前記つけおき行程開始前に、前記汚れ度検知装置による洗濯水の汚れ度合いを検知する汚れ度センシング行程を行い、前記汚れ度センシング行程で前記汚れ度検知装置の検知した汚れ度合いが基準値よりも大きいときには、前記つけおき行程を開始する前に、洗濯水の排水、給水、及び洗剤の投入を行う
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態を示すもので、ドラム式洗濯機の概略構成を示す縦断側面図
図2】ドラム式洗濯機の電気的構成を概略的に示すブロック図
図3】制御装置が実行する洗濯運転の制御手順を示すフローチャート
図4】布量と洗剤投入量との関係を示す図
図5】第2の実施形態を示すもので、制御装置が実行する洗濯運転の制御手順を示すフローチャート
図6】第3の実施形態を示すもので、制御装置が実行する洗濯運転の制御手順を示すフローチャート
図7】温水つけおきコースの設定温度としきい値となる温度との関係を示す図
図8】第4の実施形態を示すもので、制御装置が実行する洗濯運転の制御手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、洗濯機能及び乾燥機能の双方を備えたドラム式(横軸形)の洗濯乾燥機に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下に述べる複数の実施形態において、例えば洗濯機のハードウエア的構成など、共通する部分については、同一符号を付して、新たな図示や繰り返しの説明を省略することとする。フローチャートについても、先のべた実施形態と同等の処理を行うステップに関しては、同じステップ番号を付すこととする。
【0009】
(1)第1の実施形態
図1から図4を参照しながら、第1の実施形態について述べる。まず、図1を参照して、本実施形態に係るドラム式洗濯機1の全体構成について述べる。このドラム式洗濯機1は、ほぼ矩形箱状をなす外箱2を有している。この外箱2内には、円筒状の水槽3が後下がりにやや傾斜した状態で、一部のみ図示する弾性支持機構6を介して支持されている。水槽3内には、洗濯物である衣類が収容される洗濯槽である円筒状のドラム4が回転可能に支持されている。このドラム4は、前後方向に延び且つ後下がりにやや傾斜した傾斜軸を中心に回転するように構成されている。
【0010】
このドラム4の周壁部には、一部のみ図示する通水、通気用の多数個の孔5が形成されている。ドラム4の周壁部の内面には、洗濯物撹拌用の複数個のバッフル7が設けられている。ドラム4の後壁部には、図示しない通気口が設けられている。ドラム4の前面部には、衣類が出し入れされる開口部8が設けられている。水槽3の前面部には、前記開口部8に連なる衣類の投入口9が形成されている。外箱2の前面には、前記投入口9を開閉する扉10が設けられている。
【0011】
前記水槽3の後部には、例えばアウタロータ形のブラシレスモータからなる洗濯機モータ11が配置されている。洗濯機モータ11の回転軸11aの先端は、水槽3の背面を貫通して水槽3内に突出し、前記ドラム4の後部中心に連結固定されている。これにより、ドラム4は洗濯機モータ11により直接的に回転駆動される。尚、この洗濯機モータ11には、ロータ、ひいてはドラム4の回転を検出するための回転センサ12(図2にのみ図示)が設けられている。
【0012】
前記水槽3の下部には排水管路13が接続され、この排水管路13の途中部には排水装置を構成する排水弁14が設けられている。詳しく図示はしないが、排水管路13は外箱2の外部まで延びており、水槽3内の水が洗面所などの所定の排水場所に排水される。また、図示はしないが、水槽3の後面下部には水槽3内と連通するエアトラップが設けられ、このエアトラップがエアチューブを介して外箱2内の上部に配置された水位センサ15(図2にのみ図示)に接続されている。
【0013】
前記外箱2内には、乾燥行程において水槽3内に温風を供給するための乾燥ユニット16及び空気循環ダクト17が設けられている。空気循環ダクト17は、全体として、水槽3の背部下端部の入口部17aから、水槽3の背部を上方に延びた後、水槽3の上部を前方に延び、水槽3の上部前端部の出口部17bに接続されている。前記乾燥ユニット16は、送風ファン18及びヒータ19を備えて構成され、前記空気循環ダクト17の途中部、例えば水槽3の上部に配設されている。
【0014】
乾燥行程では、前記送風ファン18が駆動されて水槽3、ドラム4内の空気が入口部17aから空気循環ダクト17内に吸込まれ、ヒータ19により加熱された後、出口部17bから水槽3内に供給されるといった循環が行われる。尚、空気循環ダクト17の途中部に除湿機を設けることもできる。さらには、ヒータ式の乾燥ユニット16に代えて、周知構成のヒートポンプを備えた乾燥ユニットを設けても良い。
【0015】
前記外箱2の前面上部には、操作パネル20が設けられている。操作パネル20には、例えば各種運転コースを選択したり運転を開始させたりするための各種キーや、ユーザに対して必要な表示を行う表示部等が設けられている。この操作パネル20の裏側に位置して、全体を制御するための制御装置21(図2にのみ図示)が設けられている。詳しくは後述するように、この制御装置21は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、各種の入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯機1の動作全般を制御する。
【0016】
前記外箱2の上部には、水道からの水を前記水槽3、ドラム4内に給水するための給水装置22が設けられている。この給水装置22部分には、液体洗剤を水槽3内に自動投入するための洗剤投入装置30が組込まれている。外箱2内の上部には、前側部分に位置して注水ケース23が設けられている。注水ケース23は、給水ホース23aを介して水槽3の前側上部に接続されている。図示はしないが、注水ケース23には、引出し式の洗剤類投入部が設けられており、この洗剤類投入部に予め粉末洗剤、仕上げ剤、漂白剤などの洗剤類が投入されていることで、それら洗剤類が水道水と共に水槽3内に供給される。
【0017】
外箱2の上部の後端側には、ホース接続部24が設けられている。図示はしないが、ホース接続部24には、一端が水道の蛇口に接続されたホースの他端が接続される。外箱2内には、このホース接続部24から前記注水ケース23まで延びる給水経路25が設けられている。この給水経路25には、電磁式の給水弁26が設けられている。給水経路25の途中部のうち、前記給水弁26の下流側に、例えばプラスチック製のアスピレータ27が挿設されている。
【0018】
周知のように、アスピレータ27はベンチュリ効果を利用して減圧状態を作り出すもので、図で左右方向に延び絞り部を有する直管部と、その中央部から直角、図で上方に延びる分岐管とを一体に有する逆T字状をなしている。分岐管内には、図示しない逆流防止用の逆止弁が設けられている。アスピレータ27は、図中で右側が入口部27a、左側が出口部27b、上方に延びる部分が吸込部27cであり、入口部27aが給水経路25における上流の給水源側、出口部27bが下流の注水ケース23側となっている。給水弁26が開放されて給水経路25内を水が流れると、入口部27a側から出口部27b側に向けて水が流れ、絞り部の出口部分で流速が増し、吸込部27c内が減圧状態となる。
【0019】
外箱2の上部の後部側には、液体洗剤を収容し液体洗剤の供給源となる洗剤投入装置30が設けられている。本実施形態では、この洗剤投入装置30は、市販の液体洗剤のボトル31が直接的に接続可能に構成され、該ボトル31が下向きの状態で接続されるボトル接続口32と、その状態のボトル31を支持するボトル保持部33とを備えている。尚、ボトル31を外箱2内に収容する構成を採用しても良い。
【0020】
外箱2内には、前記ボトル接続口32に接続されたボトル31から流下した液体洗剤が一時的に溜められる液体洗剤貯留部34が設けられていると共に、基端部がその液体洗剤貯留部34に接続された洗剤供給路35が設けられている。この洗剤供給路35の先端部が、前記アスピレータ27の吸込部27cに接続されている。洗剤供給路35の途中部には、該洗剤供給路35を開閉する開閉弁36が設けられている。
【0021】
前記ボトル接続口32にボトル31が接続されて液体洗剤貯留部34に液体洗剤が溜められている状態で、給水弁26が開放されて給水経路25に水が流れているときに開閉弁36が開放されると、吸込部27cより洗剤供給路35を通って液体洗剤がアスピレータ27内に吸込まれる。吸込まれた液体洗剤は水と混合されながら出口部27bから流出し、注水ケース23を通して水槽3内に自動投入される。給水弁26及び開閉弁36は、制御装置21により開閉制御される。
【0022】
このとき、液体洗剤貯留部34からアスピレータ27への液体洗剤の供給量は開閉弁36の開放時間に比例するので、例えば開閉弁36の開放時間を制御することにより、液体洗剤の投入量が制御されるようになっている。このように、洗剤投入装置30は、給水装置22による水槽3内への給水と同時に、所定量の洗剤を水槽3(ドラム4)内に供給することができるのである。尚、アスピレータ27に替えて、例えば特表2017-509464号公報に開示されているように、ポンプや電磁弁を用いて洗剤を投入する機構を用いても良い。
【0023】
そして、前記水槽3の内底部には、洗濯水の汚れ度合いを検知するための汚れ度検知装置39が設けられている。本実施形態では、図2に示すように、汚れ度検知装置39は、水槽3内の洗濯水の光の透過度を検知する透過度センサ37と、該洗濯水の電導度を検知する電導度センサ38とを含んでいる。これらセンサ37、28の検知信号に基づいて、洗濯水の汚れ度合いや、汚れの種類例えば泥などの固体分、色素汚れ等の洗濯物に再付着しやすい汚れかどうかを判定することができ、更には、洗濯水中の洗剤成分の量を判定することができる。
【0024】
また、本実施形態では、図1に示すように、前記水槽3の底部の洗濯水が溜められる部分には、凹所3aが設けられている。この凹所3a内に位置して、水槽3内の洗濯水を加熱して温水を生成するための加熱装置としての、シーズヒータ等からなる温水ヒータ40が設けられている。また、詳しく図示はしないが、凹所3a内には、例えばサーミスタからなり、洗濯水の温水ヒータ40の近傍部分の温度を検出する温度センサ41(図2にのみ図示)が設けられている。
【0025】
さて、図2は、上記した制御装置21を中心とした、本実施形態に係るドラム式洗濯機1の電気的構成を概略的に示している。制御装置21は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータを主体として構成され、そのソフトウエア構成により、ドラム洗濯機1全体を制御して洗濯運転の各行程を実行する。この制御装置21には、前記操作パネル20の操作部からの操作信号が入力されると共に、制御装置21が操作パネル20の表示部の表示を制御する。
【0026】
ここで、図示はしないが、操作パネル20の操作部には、電源入り切りキー、洗濯運転のコースを選択するためのコース選択キー、スタートキーなどが設けられている。このとき、本実施形態では、洗濯運転のコースには、デフォルト設定される「標準コース」や、がんこな汚れの衣類をつけおきして洗う「つけおきコース」、常温よりも高く洗浄効果の向上が図られる温水を使用して洗い行程を行う「温水洗浄コース」などが含まれている。温水洗浄コースでは、30℃~60℃の温水の温度設定が可能とされる。ユーザは、操作パネル20を操作して所望のコースを選択し、実行させることができる。
【0027】
また、図2に示すように、制御装置21には、前記回転センサ12、水位センサ15、透過度センサ37、電導度センサ38、温度センサ41からの検知信号が入力される。制御装置21は、前記洗濯機モータ11を駆動制御すると共に、前記給水弁26、排水弁14、乾燥ユニット16、洗剤投入装置30、温水ヒータ40を夫々制御する。これにて、制御装置21は、ユーザによる操作パネル20の操作信号や、水位センサ15等の検出信号に基づき、運転制御プログラムに従って、洗濯機モータ11、給水弁26、排水弁14、乾燥ユニット16、洗剤投入装置30、温水ヒータ40等の各機構を制御し、洗い、すすぎ、脱水などの各行程からなる洗濯運転を実行する。
【0028】
例えば「標準コース」では、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程の洗濯運転が順に実行される。すすぎ行程では、脱水すすぎ行程、ためすすぎ行程が実行される。そのうち、洗い行程及びためすすぎ行程では、水槽3内の所定水位までの給水状態で、ドラム4を比較的低速で正、逆方向に所定時間間隔で交互に回転させる制御が行われる。脱水すすぎ行程および脱水行程では、ドラム4を一方向(例えば正方向)に連続して高速回転する制御が行われる。
【0029】
また、本実施形態では、制御装置21は、最初の給水の開始前のドラム4内に乾燥した衣類が収容されている状態で、前記ドラム4を短時間回転させる布量検知動作を実行し、その際の回転センサ12の出力信号に基づいて回転負荷、つまり衣類の重量を判定する。制御装置21は、検知した衣類の重量に応じて、給水弁26による給水水量、及び、洗い行程における洗剤投入装置30(開閉弁36)の洗剤投入量、各行程の運転時間等を制御する。尚、制御装置21は、更に乾燥ユニット16を制御して、例えば洗濯運転後の乾燥運転を実行する。
【0030】
そして、本実施形態では、上記したように、ユーザの操作パネル20の操作によるコース選択に基づき、制御装置21は、「つけおきコース」の洗濯運転を実行することが可能とされている。次の作用説明でも述べるように、このつけおきコースでは、洗濯運転がスタートされると、上記布量検知動作が行われ、給水及び洗剤自動投入が行われた上で、ドラム4を比較的低速で回転させる前洗いが短時間だけ実行された後、洗濯水中に衣類を漬けておくつけおき行程が例えば1、2、4、6時間など設定された所定時間実行される。つけおき行程が終了すると、排水後、標準コースと同様に、洗い(本洗い)、すすぎ、脱水の行程が順に実行される。
【0031】
このとき、本実施形態では、制御装置21は、つけおき行程の開始前この場合前洗いの実行時に、汚れ度検知装置39による汚れ度センシング行程を行い、洗濯水の汚れ度合いを検知する。そして、制御装置21は、汚れ度センシング行程の検知結果に基づいて、洗剤投入装置30による洗剤の追加投入を行った上で、つけおき行程を実行する。この場合、つけおき行程における洗剤の濃度は、汚れ度センシング行程における洗剤の濃度よりも高くなるよう構成されている。
【0032】
また、本実施形態では、制御装置21は、汚れ度センシング行程で汚れ度検知装置39の検知した汚れ度合いが基準値よりも大きいときには、排水弁14を開放させて洗濯水の排水を行い、その後給水及び洗剤の投入を行ってつけおき行程を開始するようになっている。また、汚れ度センシング行程で汚れ度検知装置30の検知した汚れ度合いが基準値よりも小さい場合には、排水を行わずに、洗剤の追加投入を行った上で、つけおき行程を実行する。
【0033】
次に、上記構成のドラム式洗濯機1の作用について、図3及び図4も参照して述べる。ドラム式洗濯機1において、例えばがんこな汚れが付着した衣類を洗う場合、ユーザは、衣類をドラム4内に収容すると共に、操作パネル20にて、「つけおきコース」を選択した上で洗濯運転をスタートさせる。或いは、通常の汚れの衣類を洗う場合には、「標準コース」を選択した上で洗濯運転をスタートさせる。図3のフローチャートは、制御装置21が実行する洗濯運転の手順を示している。
【0034】
即ち、ユーザは、洗濯機1の電源オンの状態で、ステップS1にて、操作パネル20を操作して洗濯運転のコースを設定する。引続きステップS2にて、洗濯運転をスタートさせる。すると、ステップS3にて、布量検知動作が実行され、衣類の重量が判定される。次のステップS4では、つけおきコースかどうかが判断され、以下、標準コースと、つけおきコースとで異なる処理が行われる。
【0035】
ここで、図4は、標準コース及びつけおきコースの夫々について、検知された布量と、投入する洗剤量との関係の具体例を示している。この場合、布量は、6kg、4kg、2kg、1kgの4段階で判定され、標準コースの場合、投入洗剤量は、夫々45g、40g、30g、20gとされる。つけおきコースの場合、最初の前洗いにおける投入洗剤量は、前記標準コースの場合よもやや多く、夫々、50g、45g、40g、35gとされる。
【0036】
図3に戻って、標準コースの場合には(ステップS4にてNo)、ステップS6にて、決定された水位までの給水が行われると共に、ステップS7にて、洗剤が自動投入される。次のステップS8にて、洗い行程が実行され、ステップS9にて排水が行われた後、ステップS10にて脱水すすぎ行程が実行される。この後、ステップS11にて給水が行われ、ステップS12にて、ためすすぎ行程が実行される。更にこの後、ステップS13にて排水が行われ、ステップS14にて脱水行程が実行され、洗濯運転が終了する。
【0037】
一方、つけおきコースの場合には(ステップS4にてYes)、ステップS5にて、布量の検知結果に応じて、洗剤量及び給水水位等が決定される。ステップS6にて、決定された水位までの給水が行われると共に、ステップS7にて、決定された量の洗剤が自動投入される。そして、次のステップS15にて、前洗いが実行され、その際に、汚れ度センシング行程が行われる。この汚れ度センシング行程では、汚れ度検出装置39を構成する透過度センサ37及び電導度センサ38により、洗濯水の透過度及び電導度が夫々検出され、洗濯水の汚れ度合いが大きいほど透過度が低くなると共に、電導度が高くなることに基づいて汚れ度合いが判断される。ステップS16では、検出された汚れ度合いが、基準値よりも大きいかどうかが判断される。
【0038】
汚れ度合いが基準値よりも大きい場合には(ステップS16にてYes)、次のステップS17にて、排水が行われ、ステップS19に進む。排水量は汚れ量によって制御され、例えば汚れが基準値よりもさらに所定量以上多い場合には、槽内の水をすべて排水し、汚れ量が基準値より多く所定量より少ないと判断された場合には、半量程度の排水量となるように、排水量が制御される。これに対し、汚れ度合いが基準値以下であった場合には(ステップS16にてNo)、ステップS17の排水が行われずに、そのままステップS19に進む。ステップS19では、洗剤の追加での自動投入が行われる。洗剤の投入と一緒に水を追加しても良い。このときに追加投入される洗剤量は、図4に示した通りであり、排水が行われない場合には、前洗い時の洗剤投入量よりもやや少ない(マイナス10g)の追加投入量とされる。これに対し、排水が行われた場合には、排水が行われない場合の2倍程度の量の洗剤が投入される。
【0039】
洗剤の追加投入後、ステップS20にて、つけおき行程が実行される。設定時間のつけおき行程が終了すると、次のステップS21にて、本洗い行程が実行され、ステップS22にて排水が行われた後、ステップS23にて脱水すすぎ行程が実行される。この後、ステップS24にて給水が行われ、ステップS25にて、ためすすぎ行程が実行される。更にこの後、ステップS26にて排水が行われ、ステップS27にて脱水行程が実行され、洗濯運転が終了する。
【0040】
これにより、つけおきコースの実行時には、本洗い行程の前に、ドラム4内で水に洗剤を溶かした洗濯水に衣類を一定時間浸しておくつけおき行程が行われ、洗濯水が衣類の繊維の奥まで浸透してがんこな汚れを落としやすくする。このとき、制御装置21は、つけおき行程開始前の前洗いにおいて洗剤を投入し、その後、洗剤投入装置30による洗剤の追加投入を行ってつけおき行程を実行するよう制御を行う。このように、つけおき行程において洗剤をより多く投入することにより、衣類の汚れが大きい場合における十分な汚れ落としの効果が得られる。
【0041】
本実施形態では、前洗いにおける汚れ度センシング行程において、汚れ度検知装置39により、洗濯水の汚れ度合いが検知され、制御装置21は、汚れ度合いが基準値よりも大きいときには、つけおき行程を開始する前に、洗濯水の排水を行う。その後、給水及び洗剤の投入を行って新たな洗濯水によるつけおき行程を実行する。このように汚れが大きい洗濯水を排水することによって、一旦汚れが排出され、衣類への汚れの再付着を未然に防止できる。洗濯水の汚れが比較的小さい場合には、排水やそれ以上の給水はしなくて済むので、水の無駄な使用を抑制することができる。尚、つけおき行程における洗剤成分の量を、汚れ度センシング行程における洗剤成分の量よりも高くする、言い換えれば、汚れ度センシング行程における洗剤成分の量を低くするので、洗剤の使い過ぎを防止することができる。
【0042】
このような本実施形態のドラム式洗濯機1によれば、つけおきコースを備え、つけおきコースにおけるつけおき行程の開始時に、洗剤の追加投入を行うように構成したので、洗剤投入装置30を備えたものにあって、つけおき行程を適切に実行することができるという優れた効果を奏する。特に本実施形態では、汚れ度センシング行程において検知された汚れ度合いが基準値よりも大きいときに、一旦排水を行った後、新たな洗濯水でつけおき行程を実行する構成とした。これにより、汚れが大きい衣類に対する汚れ落としを良好に行うことができ、つけおき行程の効果をより高めることができる。汚れが小さい衣類の場合には、水等の無駄な使用を抑制することができる。
【0043】
尚、つけおき行程の実行時における、洗剤の追加投入を行う場合の追加投入量には、上限を設けることができる。これにより、洗剤の投入しすぎを防止することができ、使用量を適切に抑えることができる。また、図3に破線で示したように、汚れ度センシング行程において検知した汚れ度合いの結果が、基準値以下であった場合に(ステップS16にてNo)、洗剤の追加投入を行合わずに、つまり上記ステップS19を行わずに、そのままつけおき行程(ステップS20)に進む構成としても良い。
【0044】
(2)第2の実施形態、
図5は、第2の実施形態を示すものであり、以下、上記第1の実施形態と異なる点について述べる。この第2の実施形態では、制御装置21は、つけおきコースの実行時において、汚れ度センシング行程での汚れ度検知装置39の検知内容から汚れの種類を判断し、その汚れの種類が衣類に再付着しやすいものである場合には、排水弁14により排水を実行した後、給水装置22による給水、洗剤投入装置30による洗剤の自動投入を行ってつけおき行程を実行する。
【0045】
図5のフローチャートは、制御装置21が実行する洗濯運転の制御手順を示し、上記第1の実施形態(図3のフローチャート)と異なるところは、次の点にある。即ち、上記第1の実施形態と同様に、ステップS15にて、前洗いが実行されると共に、汚れ度センシング行程が実行される。すると、次のステップS31にて、洗濯水の汚れの種類の判定、つまり衣類に再付着しやすい汚れかどうかが判定される。ここで、衣類に付着していた汚れのうち、泥などの固体分、色素汚れ等については、衣類に再付着しやすい汚れといえる。主に透過度センサ37により検出される洗濯水の透過度に基づいて、衣類に再付着しやすい汚れかどうかを判定することができる。具体的には、例えば透過度センサ37の値が所定値以上である場合や、汚れ検知開始時と検知終了時との透過度センサ37の値の変化度合いが大きい場合、また、検知開始時から検知終了時までに電導度の変化よりも透過度が大きく増加した場合に、再付着しやすい汚れと判定することができる。
【0046】
ステップS32では、洗濯水の汚れ種類の判定結果が、衣類に再付着しやすい汚れであったかどうかが判断される。衣類に再付着しやすい汚れである場合には(ステップS32にてYes)、次のステップS17にて、排水が行われ、ステップS19に進む。これに対し、衣類に再付着しやすい汚れでない場合には(ステップS32にてNo)、ステップS17の排水が行われずに、そのままステップS19に進む。ステップS19では、洗剤の追加での自動投入が行われる。このとき、水の追加を行っても良い。その後は、つけおき行程からの洗濯運転が、上記第1の実施形態と同様に実行される。
【0047】
この第2の実施形態によれば、汚れ度センシング行程が実行されることにより、汚れ度検知装置39の検知内容から、洗濯水の汚れの種類が衣類に再付着しやすい汚れかどうかを判断することができる。洗濯水の汚れが衣類に再付着しやすい汚れである場合には、つけおき行程の実行時において、排水を行った後、給水、洗剤投入が行われる。これにより、衣類に再付着しやすい汚れを一旦排出し、その後の給水により、洗濯水の十分な洗浄性能を確保して、つけおき行程を実行することができ、衣類の汚れ落としをより良好に行うことができる。
【0048】
このとき、汚れ度検知装置39は、洗濯水の光の透過度を検知する透過度センサ37と、洗濯水の電導度を検知する電導度センサ38とを含んで構成されている。それら2種類のセンサ37、38によって、洗濯水の汚れ度合いを良好に検知できると共に、汚れの種類、即ち、泥などの固体分、色素汚れ等の、衣類に再付着しやすい汚れかどうかをも良好に判定することが可能となる。この場合、例えば、電導度の変化度合いに比べて、透過度の変化度合いが大きい場合や、透過度センサ37の値が閾値以上となった場合に、再付着しやすい汚れと判定することができる。
【0049】
(3)第3の実施形態
図6及び図7は、第3の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態と異なる点について述べる。この第3の実施形態では、洗濯槽ドラム4内で水に洗剤を溶かした洗濯水を温水ヒータ40により設定温度(例えば60℃、50℃、40℃、30℃のいずれか)まで加熱した状態で、衣類を一定時間浸しておく「温水つけおきコース」の実行が可能に構成されている。そして、制御装置21は、温水つけおきコースの実行時に、温水ヒータ40により洗濯水を設定温度まで上昇させ、温度センサ41により第1の所定温度が検出された時点で、洗剤投入装置30による洗剤の追加投入を行う。
【0050】
図6のフローチャートは、制御装置21が実行する洗濯運転の制御手順を示し、上記第1の実施形態(図3のフローチャート)と異なるところは、次の点にある。即ち、ステップS41にて、温水つけおきコースかどうかが判断され、標準コースの場合には(ステップS41にてNo)、上記と同様にステップS6~ステップS14の処理が実行される。温水つけおきコースの場合には(ステップS41にてYes)、最初の給水(ステップS6)が行われると共に洗剤投入(ステップS7)が行われる。次のステップS42では、洗濯水の汚れ度センシングが行われる。この汚れ度センシングにより検出された汚れ度合いに基づいて、ステップS45の洗剤の追加投入量が決定される。尚、上記第1、第2の実施形態と同様に、検出された汚れ度合いに応じて、排水、給水を行うように構成しても良い。
【0051】
ステップS43にて、温水ヒータ40がオンされて洗濯水が加熱され、洗濯水の温度が常温から次第に上昇していく。ステップS44では、温度センサ41の検出に基づき、洗濯水の温度が第1の所定温度に到達したかどうかが判断される。この第1の所定温度とは、洗剤の追加投入を行う目安となる温度である。具体的には、図7に示すように、温水つけおきコースの設定温度が60℃、50℃、40℃の場合には、第1の所定温度が35℃とされ、設定温度が30℃の場合には、第1の所定温度が30℃とされる。温度センサ41の検出温度が第1の所定温度に到達した場合には(ステップS44にてYes)、ステップS45にて洗剤の追加投入が行われる。このとき追加の給水を行っても良い。ステップS46では、更に洗濯水の加熱が行われる。
【0052】
このような追加給水及び洗剤の追加投入により、洗濯水中の洗剤成分の量がより高くなる。この場合、洗濯水のある程度の加熱が進んだ状態で洗剤が追加投入されるので、洗剤の溶け具合を良好とすることができる。次のステップS47では、温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達したかどうかが判断される。この第2の所定温度は、洗濯水の設定温度での温度調整、つまり温水ヒータ40のオン・オフ制御を行う場合の上限となる温度である。具体的には、図7に示すように、設定温度が60℃の場合には第2の所定温度が65℃となるなど、設定温度より例えばプラス5度だけ高い温度とされる。
【0053】
温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達した場合には(ステップS47にてYes)、ステップS48にて、温水ヒータ40による加熱が停止(オフ)されると共に、つけおき行程が開始される。このつけおき行程中には、ステップS49にて、所定時間(設定されたつけおき時間)が経過したかどうかが判断される。所定時間が経過するまでは(ステップS49にてNo)、次のステップS50にて、温度センサ41の検出温度が第3の所定温度以下に低下したかどうかが監視される。この第3の所定温度は、洗濯水の設定温度での温度調整、つまり温水ヒータ40のオン・オフ制御を行う場合の下限となる温度である。具体的には、図7に示すように、例えば、設定温度が60℃の場合には第3の所定温度も60℃となる等、設定温度と同等の温度とされる。
【0054】
温度センサ41の検出温度が第3の所定温度以下となった場合には(ステップS50にてYes)、ステップS51にて、温水ヒータ40による加熱が再度行われる。次のステップS52では、温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達したかどうかが判断される。温度センサ41の検出温度が未だ第2の所定温度に到達していない場合には(ステップS52にてNo)、ステップS51に戻り洗濯水の加熱が続行される。
【0055】
そして、温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達するまで加熱が継続され、第2の所定温度に到達した場合には(ステップS52にてYes)、ステップS49に戻る。所定時間(設定されたつけおき時間)が経過した場合には(ステップS49にてYes)、ステップS53にて、つけおき行程が終了される。その後、上記第1の実施形態等と同様に、ステップS21~ステップS27にて、本洗い行程から脱水行程までの行程が実行され、洗濯運転が終了する。
【0056】
これによれば、温水つけおきコース実行時には、ドラム4内で水に洗剤を溶かした洗濯水を、温水ヒータ40により設定温度まで加熱した状態で、衣類を一定時間浸しておくつけおき行程を実行することができる。この場合、温水を使用することによって、常温の洗濯水を用いる場合と比べて、洗剤の溶け具合も良く、衣類の汚れの落ちをより良好にすることができる。
【0057】
このとき、温水つけおきコースの実行時に、洗濯水を設定温度まで上昇させ、温度センサ41により第1の所定温度が検出されたときに、洗剤投入装置30による洗剤の追加投入が行われる。洗濯水の加熱途中に洗剤を追加投入することによって、比較的高い温度になった洗濯水に洗剤を素早く溶かすことができ、つけおき行程における、汚れ落としの効果をより一層高めることができる。従って、この第3の実施形態によれば、洗剤投入装置を備えたものにあって、つけおき行程を適切に実行することができるという優れた効果を奏する。
【0058】
また、本実施形態では、温水つけおきコースの実行時に、温度センサ41により第3の所定温度以下が検出されたときに、温水ヒータ40による洗濯水の加熱を行うことにより、水温を保つことができ、洗濯水の温度低下に起因する汚れ落とし効果の低下を未然に防止することができる。
【0059】
(4)第4の実施形態、その他の実施形態
図8は、第4の実施形態を示すものであり、上記第3の実施形態と異なるところは、以下の点にある。即ち、この第4の実施形態では、制御装置21は、温水つけおきコースの実行時において、前記電導度センサ38の検出した洗濯水の電導度に基づいて、洗濯水の洗剤成分の量が所定値以上かどうかを判断する。そして、制御装置21は、電導度センサ38の検知した電導度が所定電導度を下回った場合には、洗濯水中の使用されていない(汚れと反応していない)洗剤成分の量が減少したと判断し、洗剤投入装置30による洗剤の追加投入を行った上で、つけおき行程を続行する。
【0060】
図8のフローチャートは、制御装置21が実行する洗濯運転の制御手順を示している。以下、主に、上記第3の実施形態(図6のフローチャート)と異なるところを説明する。ステップS41にて、温水つけおきコースかどうかが判断され、標準コースの場合には(ステップS41にてNo)、上記と同様にステップS8~ステップS14の処理が実行される。温水つけおきコースの場合には(ステップS41にてYes)、次のステップS42にて、洗濯水の汚れ度センシングが行われ、洗剤の追加投入量が決定される。この場合も、上記第1、第2の実施形態と同様に、検出された汚れ度合いに応じて、排水、給水を行うように構成しても良い。ステップS43では、温水ヒータ40がオンされて洗濯水が加熱され、洗濯水の温度が常温から次第に上昇していく。温水ヒータ40がオンされて洗濯水が加熱される。ステップS44では、洗濯水の温度が第1の所定温度に到達したかどうかが判断され、温度センサ41の検出温度が第1の所定温度に到達した場合には(ステップS44にてYes)、ステップS45にて洗剤の追加投入が行われる。
【0061】
次のステップS61では、電導度センサ38の検出した洗濯水の電導度に基づいて、洗剤濃度が所定値以上かどうかが判断される。電導度が所定値未満であると判断された場合には(ステップS61にてNo)、ステップS45にて洗剤の追加投入が行われる。電導度が所定値以上であると判断された場合には(ステップS61にてYes)、ステップS46では、更に洗濯水の加熱が行われる。次のステップS47では、温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達したかどうかが判断される。
【0062】
温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達した場合には(ステップS47にてYes)、ステップS48にて、温水ヒータ40による加熱が停止(オフ)されると共に、つけおき行程が開始される。このつけおき行程中には、ステップS62にて、所定時間(設定されたつけおき時間)が経過したかどうかが判断される。所定時間が経過するまでは(ステップS62にてNo)、次のステップS63にて、電導度センサ38の検出した洗濯水の電導度に基づいて、洗濯水中の洗剤成分の量が所定値以上であるかどうかが常に監視される。洗剤成分の量が所定値以上であると判断された場合には(ステップS63にてYes)、ステップS50にて、温度センサ41の検出温度が第3の所定温度以下に低下したかどうかが監視される。
【0063】
温度センサ41の検出温度が第3の所定温度以下となった場合には(ステップS50にてYes)、ステップS51にて、温水ヒータ40による加熱が再度行われる。次のステップS52では、温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達したかどうかが判断される。温度センサ41の検出温度が未だ第2の所定温度に到達していない場合には(ステップS52にてNo)、ステップS51に戻り洗濯水の加熱が続行される。そして、温度センサ41の検出温度が第2の所定温度に到達するまで加熱が継続され、第2の所定温度に到達した場合には(ステップS52にてYes)、ステップS62に戻る。
【0064】
これに対し、電導度が所定値未満と判断された場合には(ステップS63にてNo)、ステップS64にて洗剤の追加投入が行われる。このときも追加給水を行うようにしても良い。そして、所定時間(設定されたつけおき時間)が経過した場合には(ステップS62にてYes)、ステップS65にて、つけおき行程が終了される。その後、上記第1の実施形態等と同様に、ステップS21~ステップS27にて、本洗い行程から脱水行程までの行程が実行され、洗濯運転が終了する。
【0065】
このような第4の実施形態によれば、電導度センサ38の検出した電導度によって、洗濯水の洗剤成分の量を十分な確かさで判定することができ、洗濯水の洗剤成分の量が低下したときに、洗剤投入装置30による洗剤の追加投入が行われ、つけおき行程が続行される。従って、つけおき行程の途中に洗濯水中の洗剤成分の量が減少することに伴う洗浄効果の悪化を、洗剤投入装置30による洗剤の追加投入によってカバーすることができ、汚れ落とし効果の低下を抑制することができる。
【0066】
尚、上記した第1、第2の実施形態では、汚れ度センシング行程(前洗い行程)を、洗剤を投入して行うように構成したが、洗剤を使用せずに水のみで(洗剤濃度0で)行うようにしても良い。また、汚れ度センシング行程を行うものにあっては、単純に、汚れ度センシング行程で検知された汚れ度合いに応じて、汚れが大きいほど洗剤の量を多くしてつけおき行程開始時に洗剤の追加投入を行う構成としても良い。汚れ度検知装置としても、透過度センサ、電導度センサの一方だけを備えるものであっても良い等、変更して実施することが可能である。
【0067】
数100μm~数10nmの微細気泡を含んだファインバブル水、なかでも1μm~数10nmのウルトラファインバブルを多数含んだファインバブル水を生成する機能を備えた洗濯機にあっては、ファインバブル水を用いてつけおき行程を実行するようにしても良い。さらに、洗濯機の全体的な構成についても様々な変更が可能であり、例えばいわゆる縦軸型の洗濯機にも適用することができる。乾燥機能を有していない構成の洗濯機であっても良い。その他、図4に示した洗剤投入量や、図7に示した所定温度などの具体的数値については、一例を示したに過ぎず、適宜変更することが可能であることは勿論である。
【0068】
上記した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
図面中、1はドラム式洗濯機、2は外箱、3は水槽、4はドラム(洗濯槽)、14は排水弁(排水装置)、20は操作パネル、21は制御装置、22は給水装置、30は洗剤投入装置、37は透過度センサ、38は電導度センサ、39は汚れ度検出装置、40は温水ヒータ(加熱装置)、41は温度センサを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8