(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】積層型熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20230314BHJP
F28F 9/22 20060101ALI20230314BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F28F9/02 E
F28F9/22
F28D7/16 B
(21)【出願番号】P 2018197991
(22)【出願日】2018-10-19
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸丸 直哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊道
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524005(JP,A)
【文献】特開平11-241891(JP,A)
【文献】特開2014-181855(JP,A)
【文献】特許第6276054(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/073779(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/181404(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28F 9/22
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の平面部(1a)と、両平面部間を連結する一対の側部(1b)とにより偏平チューブ(1)が形成され、夫々の平面部(1a)が平行に位置するように多数の偏平チューブ(1)が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チューブ(1)内にガス流路が形成されると共に、各
偏平チューブ(1)の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ(1)の積層体よりなる第1コア(2a)と、第2コア(2b)と、
第1コア(2a)と第2コア(2b)との間を、
偏平チューブ(1)の積層方向に分離して、前記平面部(1a)に平行に配置した仕切板(3)と、
前記仕切板(3)を中間に位置して前記両コア(2a)(2b)の外周全体に被嵌するケーシング(4)と、を具備し、
第1コア(2a)の第1ガス流路(5a)の一端と、第2コア(2b)の第2ガス流路(5b)の一端との間が、ガス(17)の流れを反転させるガスタンク(15)またはガスパイプ(7)で連結されており、
前記仕切板(3)は、その外周縁の一部に前記ケーシング(4)の内面と接触しない縁(3c)を有し、前記縁(3c)とケーシング(4)との間に連絡路(8)が形成されており、
冷媒(16)の流れが、前記連絡路(8)を介して、第1コア(2a)の第1冷媒流路(6a)から第2コア(2b)の第2冷媒流路(6b)へ反転されて
おり、
前記第1コア(2a)および第2コア(2b)を構成する各偏平チューブ(1)は、その両端開口部が拡開された拡開部(1c)を有し、その拡開部(1c)で各偏平チューブ(1)が積層されて前記第1コア(2a)および第2コア(2b)が形成されており、
前記仕切板(3)が、第1コア(2a)および第2コア(2b)の両端部の位置で、第1コア(2a)の偏平チューブ(1)の拡開部(1c)と第2コア(2b)の偏平チューブ(1)の拡開部(1c)との間に挟まれていることを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項2】
対向する一対の平面部(1a)と、両平面部間を連結する一対の側部(1b)とにより偏平チューブ(1)が形成され、夫々の平面部(1a)が平行に位置するように多数の偏平チューブ(1)が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チューブ(1)内にガス流路が形成されると共に、各
偏平チューブ(1)の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ(1)の積層体よりなる第1コア(2a)と、第2コア(2b)と、
第1コア(2a)と第2コア(2b)との間を、
偏平チューブ(1)の積層方向に分離して、前記平面部(1a)に平行に配置した仕切板(3)と、
前記仕切板(3)を中間に位置して前記両コア(2a)(2b)の外周全体に被嵌するケーシング(4)と、を具備し、
第1コア(2a)の第1ガス流路(5a)の一端と、第2コア(2b)の第2ガス流路(5b)の一端との間が、ガス(17)の流れを反転させるガスタンク(15)またはガスパイプ(7)で連結されており、
前記仕切板(3)は、その外周縁の一部に前記ケーシング(4)の内面と接触しない縁(3c)を有し、前記縁(3c)とケーシング(4)との間に連絡路(8)が形成されており、
冷媒(16)の流れが、前記連絡路(8)を介して、第1コア(2a)の第1冷媒流路(6a)から第2コア(2b)の第2冷媒流路(6b)へ反転されて
おり、
前記第1コア(2a)および第2コア(2b)を構成する各偏平チューブ(1)は、その両端開口部が拡開された拡開部(1c)を有し、
前記第1コア(2a)と第2コア(2b)の両端部で、前記各偏平チューブ(1)の拡開部(1c)の位置に、それぞれ環状で各コア(2a)(2b)を束ねる方形の束枠(10)が被嵌されており、
前記仕切板(3)が、第1コア(2a)および第2コア(2b)の両端部の位置で、第1コア(2a)を束ねる束枠(10)と、第2コア(2b)を束ねる束枠(10)との間に挟まれていることを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項3】
対向する一対の平面部(1a)と、両平面部間を連結する一対の側部(1b)とにより偏平チューブ(1)が形成され、夫々の平面部(1a)が平行に位置するように多数の偏平チューブ(1)が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チューブ(1)内にガス流路が形成されると共に、各
偏平チューブ(1)の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ(1)の積層体よりなる第1コア(2a)と、第2コア(2b)と、
第1コア(2a)と第2コア(2b)との間を、
偏平チューブ(1)の積層方向に分離して、前記平面部(1a)に平行に配置した仕切板(3)と、
前記仕切板(3)を中間に位置して前記両コア(2a)(2b)の外周全体に被嵌するケーシング(4)と、を具備し、
第1コア(2a)の第1ガス流路(5a)の一端と、第2コア(2b)の第2ガス流路(5b)の一端との間が、ガス(17)の流れを反転させるガスタンク(15)またはガスパイプ(7)で連結されており、
前記仕切板(3)は、その外周縁の一部に前記ケーシング(4)の内面と接触しない縁(3c)を有し、前記縁(3c)とケーシング(4)との間に連絡路(8)が形成されており、
冷媒(16)の流れが、前記連絡路(8)を介して、第1コア(2a)の第1冷媒流路(6a)から第2コア(2b)の第2冷媒流路(6b)へ反転されて
おり、
前記第1コア(2a)および第2コア(2b)を構成する各偏平チューブ(1)の軸線方向の両端が一対ずつのヘッダープレート(11)の偏平孔に挿通されており、
前記仕切板(3)が、第1コア(2a)および第2コア(2b)の両端部の位置で、第1コア(2a)の各偏平チューブ(1)を挿通するヘッダープレート(11)と、第2コア(2b)の各偏平チューブ(1)を挿通するヘッダープレート(11)の間に挟まれていることを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記ケーシング(4)は、前記偏平チューブの側部(1b)の外面に平行で且つ、ケーシング(4)に一体に外側に膨出した複数の膨出部(20)が形成され、
前記偏平チューブ(1)の平面部(1a)の四隅に位置する膨出部(20)の一つに一対の第1冷媒流路(6a)に連通する冷媒パイプ(14)と、第2冷媒流路(6b)に連通する冷媒パイプ(14)が突設され、その一対の冷媒パイプ(14)の存在する対角の位置の膨出部(20)は、前記連絡路(8)の形成用とし、
前記仕切板(3)には、前記縁(3c)を除く位置で、膨出部(20)の断面に整合する凸部(3b)が形成されて、各膨出部(20)内を前記積層方向に閉塞されていることを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項5】
請求項1
、請求項2または請求項4のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア(2a)および第2コア(2b)の他端側にガスの出入口となるフランジ(9)が設けられ、そのフランジ(9)は第1コア(2a)と第2コア(2b)の中間に架橋部(9a)を有し、前記架橋部(9a)に前記仕切板(3)が接続された積層型熱交換器。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア(2a)および第2コア(2b)の他端側にガスの出入口となるフランジ(9)が設けられ、そのフランジ(9)が重力方向の上方に位置し、前記ガスタンク(15)またはガスパイプ(7)が下方に配置され、
前記仕切板(3)の前記フランジ(9)に隣接した位置に空気抜き(3a)が形成された積層型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の内燃機関等に用いられる熱交換器に最適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1および特許文献2に記載の熱交換器には、偏平チューブの積層体からなるコアの一方の出入口側にフランジ部材が設けられ、他方側にUターン用タンクが配置されている。そして、出入口側のフランジに上下方向を仕切る架橋部が設けられ、その架橋部が上下方向の中間部に接続されている。
そして、コア全体をカバーで被嵌し、カバーと各偏平チューブの外面との間に冷媒流路を形成し、ガスと冷媒との間に熱交換を行うものである。
図9はこの状態を示したものである。この時、ガス17のみがU字状タンクで反転され、ガス流路が2パスに形成される。しかしながら、冷媒流路はUターンすることなく、1パスに流通する。冷媒流路が1パスの場合、基本的には、冷媒の出入口となる一対のパイプが離間して配置されることになる。一対のパイプを近接して配置する必要がある場合、対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-88010号公報
【文献】特許第6276054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題を解決する手段として、
図10のような例が考えられる。すなわち、ケーシング4を上下一対設け、内部に各コアを形成するとともに、両コアの端部間をガス流反転パイプ21で連結し、且つ一対のケーシング4間を冷媒流反転パイプ19によって連結したものである。
このような構造により、ガス側を2パスに流通させるとともに、冷媒側を2パスにすることができる。なお、
図10の構造は、本発明者が本願発明を創作するに当たり、その過程で考案したものであり、従来技術ではない。
しかしながら、
図10の構造は、冷媒流反転パイプ19により両コアを接続しなければならないため、コンパクト性に欠ける。
【0005】
そこで、積層方向の上下に配置されたコアの端部間をUターンする2パスのガス流路を有するとともに、冷媒自体も2パスに流通することができる構造が簡単で、性能の良い熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、対向する一対の平面部1aと、両平面部間を連結する一対の側部1bとにより偏平チューブ1が形成され、夫々の平面部1aが平行に位置するように多数の偏平チューブ1が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チューブ1内にガス流路が形成されると共に、各偏平チューブ1の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ1の積層体よりなる第1コア2aと、第2コア2bと、
第1コア2aと第2コア2bとの間を、偏平チューブ1の積層方向に分離して、前記平面部1aに平行に配置した仕切板3と、
前記仕切板3を中間に位置して前記両コア2a、2bの外周全体に被嵌するケーシング4と、を具備し、
第1コア2aの第1ガス流路5aの一端と、第2コア2bの第2ガス流路5bの一端との間が、ガス17の流れを反転させるガスタンク15またはガスパイプ7で連結されており、
前記仕切板3は、その外周縁の一部に前記ケーシング4の内面と接触しない縁3cを有し、前記縁3cとケーシング4との間に連絡路8が形成されており、
冷媒16の流れが、前記連絡路8を介して、第1コア2aの第1冷媒流路6aから第2コア2bの第2冷媒流路6bへ反転されており、
前記第1コア2aおよび第2コア2bを構成する各偏平チューブ1は、その両端開口部が拡開された拡開部1cを有し、その拡開部1cで各偏平チューブ1が積層されて前記第1コア2aおよび第2コア2bが形成されており、
前記仕切板3が、第1コア2aおよび第2コア2bの両端部の位置で、対向する第1コア2aの偏平チューブ1の拡開部1cと第2コア2bの偏平チューブ1の拡開部1cとの間に挟まれていることを特徴とする積層型熱交換器である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、対向する一対の平面部1aと、両平面部間を連結する一対の側部1bとにより偏平チューブ1が形成され、夫々の平面部1aが平行に位置するように多数の偏平チューブ1が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チューブ1内にガス流路が形成されると共に、各偏平チューブ1の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ1の積層体よりなる第1コア2aと、第2コア2bと、
第1コア2aと第2コア2bとの間を、偏平チューブ1の積層方向に分離して、前記平面部1aに平行に配置した仕切板3と、
前記仕切板3を中間に位置して前記両コア2a、2bの外周全体に被嵌するケーシング4と、を具備し、
第1コア2aの第1ガス流路5aの一端と、第2コア2bの第2ガス流路5bの一端との間が、ガス17の流れを反転させるガスタンク15またはガスパイプ7で連結されており、
前記仕切板3は、その外周縁の一部に前記ケーシング4の内面と接触しない縁3cを有し、前記縁3cとケーシング4との間に連絡路8が形成されており、
冷媒16の流れが、前記連絡路8を介して、第1コア2aの第1冷媒流路6aから第2コア2bの第2冷媒流路6bへ反転されており、
前記第1コア2aおよび第2コア2bを構成する各偏平チューブ1は、その両端開口部が拡開された拡開部1cを有し、
前記第1コア2aと第2コア2bの両端部で、前記各偏平チューブ1の拡開部1cの位置に、それぞれ環状で各コア2a、2bを束ねる方形の束枠10が被嵌されており、
前記仕切板3が、第1コア2aおよび第2コア2bの両端部の位置で、第1コア2aを束ねる束枠10と、第2コア2bを束ねる束枠10との間に挟まれていることを特徴とする積層型熱交換器である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、対向する一対の平面部1aと、両平面部間を連結する一対の側部1bとにより偏平チューブ1が形成され、夫々の平面部1aが平行に位置するように多数の偏平チューブ1が積層されてコアを形成し、
コアの外周に沿ってケーシングが被嵌され、各偏平チューブ1内にガス流路が形成されると共に、各偏平チューブ1の外周とケーシングとの間に冷媒流路が形成され、ガス流路に流通するガスと冷媒流路に流通する冷媒との間に熱交換が行われる熱交換器において、
それぞれ前記偏平チューブ1の積層体よりなる第1コア2aと、第2コア2bと、
第1コア2aと第2コア2bとの間を、偏平チューブ1の積層方向に分離して、前記平面部1aに平行に配置した仕切板3と、
前記仕切板3を中間に位置して前記両コア2a、2bの外周全体に被嵌するケーシング4と、を具備し、
第1コア2aの第1ガス流路5aの一端と、第2コア2bの第2ガス流路5bの一端との間が、ガス17の流れを反転させるガスタンク15またはガスパイプ7で連結されており、
前記仕切板3は、その外周縁の一部に前記ケーシング4の内面と接触しない縁3cを有し、前記縁3cとケーシング4との間に連絡路8が形成されており、
冷媒16の流れが、前記連絡路8を介して、第1コア2aの第1冷媒流路6aから第2コア2bの第2冷媒流路6bへ反転されており、
前記第1コア2aおよび第2コア2bを構成する各偏平チューブ1の軸線方向の両端が一対ずつのヘッダープレート11の偏平孔に挿通されており、
前記仕切板3が、第1コア2aおよび第2コア2bの両端部の位置で、第1コア2aの各偏平チューブ1を挿通するヘッダープレート11と、第2コア2bの各偏平チューブ1を挿通するヘッダープレート11の間に挟まれていることを特徴とする積層型熱交換器である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記ケーシング4は、前記偏平チューブの側部1bの外面に平行で且つ、ケーシング4に一体に外側に膨出した複数の膨出部20が形成され、
前記偏平チューブ1の平面部1aの四隅に位置する膨出部20の一つに一対の第1冷媒流路6aに連通する冷媒パイプ14と、第2冷媒流路6bに連通する冷媒パイプ14が突設され、その一対の冷媒パイプ14の存在する対角の位置の膨出部20は、前記連絡路8の形成用とし、
前記仕切板3には、前記縁3cを除く位置で、膨出部20の断面に整合する凸部3bが形成されて、各膨出部20内を前記積層方向に閉塞されていることを特徴とする積層型熱交換器である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1、請求項2または請求項4のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア2aおよび第2コア2bの他端側にガスの出入口となるフランジ9が設けられ、そのフランジ9は第1コア2aと第2コア2bの中間に架橋部9aを有し、前記架橋部9aに前記仕切板3が接続された積層型熱交換器である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載の積層型熱交換器において、
前記第1コア2aおよび第2コア2bの他端側にガスの出入口となるフランジ9が設けられ、そのフランジ9が重力方向の上方に位置し、前記ガスタンク15またはガスパイプ7が下方に配置され、
前記仕切板3の前記フランジ9に隣接した位置に空気抜き3aが形成された積層型熱交換器である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1~3に記載の発明は、仕切板3の外周縁の一部に前記ケーシング4と接触しない縁3cを有し、その縁3cとケーシング4との間に連絡路8が形成されており、第1コア2aの第1冷媒流路6aと第2コア2bの第2冷媒流路6bとが連絡路8で連結され、
その連絡路8により、冷媒16の流れが第1冷媒流路6aの流通方向とは逆向きに第2冷媒流路6bを移動するようにしたことを特徴とする2パスの冷媒流路を有する。
このような構成により、冷媒流路を長く確保でき、且つ、冷媒の反転部をケーシング内部に設けることができる。そのため、簡単な構造で省スペース化ができ、ガスと冷媒との熱交換が効果的に行われる。
また、請求項1に記載の発明は第1コア2aおよび第2コア2bを構成する各偏平チューブ1が、その両端開口部が拡開された拡開部1cを有し、その拡開部1cで各偏平チューブ1が積層されてなり、前記仕切板3が、第1コア2aおよび第2コア2bの両端部の位置で、対向する第1コア2aの偏平チューブ1の拡開部1cと第2コア2bの偏平チューブ1の拡開部1cとの間に挟まれているものである。
拡開部1cの積層体によりヘッダープレートの代わりを構成できるので、より構造の簡単な、2パスの冷媒流路と2パスのガス流路を有するものとなる。
請求項2に記載の発明は、第1コア2aと第2コア2bの両端部で、前記各偏平チューブ1の拡開部1cの位置に、それぞれ環状で各コア2a、2bを束ねる方形の束枠10が被嵌され、前記仕切板3が、第1コア2aおよび第2コア2bの両端部の位置で、第1コア2aを束ねる束枠10と、第2コア2bを束ねる束枠10との間に挟まれたものである。そのため、各コアの組立てが容易であると共に、束枠10による冷媒流路を確保できる。
請求項3に記載の発明は、第1コア2aおよび第2コア2bを構成する各偏平チューブ1の軸線方向の両端が一対ずつのヘッダープレート11の偏平孔に挿通され、前記仕切板3が、第1コア2aおよび第2コア2bの両端部の位置で、第1コア2aの各偏平チューブ1を挿通するヘッダープレート11と、第2コア2bの各偏平チューブ1を挿通するヘッダープレート11の間に挟まれたものである。本発明は、このような、ヘッダープレートを有する従来型の熱交換器にも、適用できる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、偏平チューブ1の平面部1aの四隅に位置する膨出部20の一つに一対の第1冷媒流路6aに連通する冷媒パイプ14と、第2冷媒流路6bに連通する冷媒パイプ14が突設され、その一対の冷媒パイプ14の存在する対角の位置の膨出部20は連絡路8の形成用とし、仕切板3は、縁3cを除く位置で、膨出部20の断面に整合する凸部3bが形成されて、各膨出部20内を積層方向に閉塞するものである。
この構造により、一対の冷媒パイプ14を1つの膨出部20の位置に配管でき、近接して配管できる2パス型の冷媒流路を確保できる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、第1コア2aおよび第2コア2bの他端側にガスの出入口となるフランジ9が設けられ、そのフランジ9は第1コア2aと第2コア2bの中間に架橋部9aを有し、前記架橋部9aに前記仕切板3が接続されたものである。
このようにすることにより、構造が簡単で、水密性の高い積層型熱交換器を提供できる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、フランジが重力方向の上方に位置し、前記ガスタンク15またはガスパイプ7が下方に配置され、前記仕切板3の前記フランジ9に隣接した位置に空気抜き3aが形成されたものである。
そのため、縦向きに配置された熱交換器において、フランジ近傍に保持された空気を、空気抜き3aを介して、冷媒の流通に伴い外部に排出し、各部の熱交換を均一に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の熱交換器の第1実施形態の分解斜視図。
【
図3】(A)は
図2のIII-III矢視断面図、及び(B)は
図3(A)のB-B矢視断面図。
【
図5】(A)は同組み立て斜視図、及び(B)は
図5(A)のB-B矢視断面図、並びに(C)は
図5(B)のC部拡大図。
【
図8】本発明の第5実施形態の仕切板3(A)、及び仕切板3を含む熱交換器の縦断面図(B)。
【
図10】改良型熱交換器として考案した熱交換器の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、図面に基づいて、本発明の実施の形態につき、説明する。
図1~
図3は、本発明の第1実施形態を示し、
図1はその分解斜視図、
図2は同組み立て図、
図3はその縦断面図及び横断面図である。
この熱交換器は、それぞれ偏平チューブ1の積層体からなる第1コア2aと第2コア2bとを有する。各偏平チューブ1は、その横断面が矩形に形成されており、対向する一対の平面部1aと、その平面部1a間を連結する側部1bを有する。各コア2a、2bは、平面部1aが平行になるように積層される。
それらの各コア2a、2bが、後述の仕切板3を介して、さらに積層されて、積層コアが形成される。積層コアの外周がケーシング本体4aと蓋体4bとからなるケーシング4で被嵌される。
【0024】
この形態では、各偏平チューブ1の軸線方向の両端には、厚み方向に拡開され、その開口が方形となる拡開部1cが形成されている。そして、第1コア2a、第2コア2bはそれぞれ偏平チューブ1の拡開部1cにおいて、積層される。
第1コア2a、第2コア2bの軸線方向の両端には、一対のガスヘッダ13が被嵌されている。
【0025】
第1コア2a、第2コア2bを被嵌するケーシング4には、複数の膨出部20が形成されており、偏平チューブ1の平面部1aの4隅に配置された膨出部20は、そのうちの1つの隅部に連絡路8を構成する膨出部20を配置することが好ましい。この例では、各膨出部20は、側部1bに平行で、且つケーシング4に一体に外側に膨出している。
第1コア2aと第2コア2bとの間には、それらを積層方向に分離する仕切板3が、偏平チューブ1の平面部1aに平行に配置される。
仕切板3は、その平面において、3つの隅部(ケーシング4の連絡路8以外の膨出部20に相当する位置)に、仕切板3の幅方向に突出する凸部3bを有し、ケーシング4の連絡路8を構成する1つの隅部には、ケーシング4と接触しない縁3cを有する。
そして、その連絡路8以外の膨出部20では、仕切板3の凸部3bが膨出部20の内面と接触し、膨出部20内を積層方向に閉塞する。
【0026】
第1コア2a、第2コア2bの一方の端部間は、ガスヘッダ13を介して、U字状の幅広のガスパイプ7により連結される。さらに、第1コア2a、第2コア2bの他方の端部間は、フランジ9に接続される。フランジ9は、前記積層方向の中間に架橋部9aが形成され、その内側に一対のガスヘッダ13の開口縁が接続される。
また、ケーシング4には、一対の冷媒パイプ14を設ける。この一対の冷媒パイプ14は、連絡路8を設けた膨出部20の対角の位置の膨出部20に設けるとよい。この時、一方の冷媒パイプ14は仕切板で分離された第1コア2aの第1冷媒流路6aに連通し、他方の冷媒パイプ14は第2コア2bの第2冷媒流路6bに連通する。
図2はその接続状態を示し、
図3(A)は
図2のIII-III矢視断面図であり、
図3(B)は
図3(A)のB-B矢視断面図である。なお、
図3(B)における冷媒パイプ14は、
図2における冷媒パイプ14を想像線で示したものである。
【0027】
(第1実施形態の作用)
図2において、ガス17がフランジ9の架橋部9aの下方側から第1コア2a(
図3(B)参照)に流入する。そのガス17が偏平チューブ1の内部を流通して、ガスパイプ7によりガスの流れが上方に反転し、フランジ9の架橋部9aの上方から流出する。
また、冷媒16は、第1冷媒流路6aと連通する下側の冷媒パイプ14から流入し、第1コア2aの各偏平チューブ1の外面側を流通する。その冷媒の流れが、仕切板3の縁3c(
図1参照)とケーシング4の内周との間に形成される連絡路8を流通(
図3(B)参照)することで、冷媒流れが反転する。そして、第2コア2bの各偏平チューブ1の外面側を流通して、それが第2冷媒流路6bと連通する上側の冷媒パイプ14から流出する。
そして、冷媒16とガス17との間に熱交換が行われる。
図2の冷媒とガスの流れのように、冷媒流れとガス流れとは並行流とすることができる。その場合、ガスの流入口近傍に冷媒入口用の冷媒パイプ14を配管し、ガスの流出口近傍に冷媒出口用の冷媒パイプを配管すると、沸騰が起こりやすいガス入口側を集中的に冷却することができるため、沸騰を防止できる。
図3において、第1コア2aから第2コア2bへ流通する冷媒16は、
図3(A)のごとく、流通する。本実施形態及び下記に紹介する各実施形態において、冷媒は一例として冷却水を用いることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、
図4及び
図5は、本発明の第2実施形態であり、前記第1実施形態と異なる点は、第1コア2a、第2コア2bの軸線方向の両端に束枠10が被嵌されている点、及び第1コア2a、第2コア2bの一方の端部にガスタンク15が被嵌される点、並びにフランジ9に一対の案内枠9cが突設されている点である。
この形態では、第1コア2a、第2コア2bの両端に束枠10を配置することにより、それらの組立てが容易となる。さらには、束枠10の存在により、各コア2a、2bの端部に冷媒の流路が環状に形成される。
【0029】
(第2実施形態の作用)
この形態においては、
図5に示す如く、ガス17が架橋部9aの一方から流入し、ガスタンク15でUターンして第2コア2b側を流通する。この形態では、仕切板3はフランジ9の案内枠9cに接続される。なお、冷媒の流れは前記第1実施形態と同一である。
【0030】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態である。この形態は、偏平チューブ1が偏平管からなり、その偏平チューブ1の各横断面は同一に形成されている。そして、各偏平チューブ1の両端が一対のヘッダープレート11の偏平孔に挿通され、各ヘッダープレート11にそれぞれヘッダ本体12が被嵌される。
そして、図において、左側の一対のヘッダ本体12はガスパイプ7によって接続され、右側の一対のヘッダ本体12はフランジ9によって接続される。そして、偏平チューブ1の縁3cの位置にケーシング4の連絡路8が形成される。このように本発明は、偏平チューブ1がその軸線方向のすべての横断面で同一に形成されたものにも適用できる。
その作用は、前記実施形態1、実施形態2に準拠する。
【0031】
(第4実施形態)
次に、
図7は本発明の第4実施形態である。
この形態は、第2実施形態の
図4における束枠10及び第1実施形態のガスヘッダ13に相当するものが存在しない。その他の構造及び作用は、前記第1~第3実施形態と同一である。
【0032】
(第5実施形態)
次に、
図8は本発明の第5実施形態である。
この実施形態が前記各実施形態と異なる点は、熱交換器全体が重力方向に平行に位置される点である。(
図8では、ガスタンク15またはガスパイプ7が下側に配置され、フランジ9が上側に配置される。)
それに伴って、仕切板3の側部端に空気抜き3aが欠設された点である。この空気抜き3aは、熱交換器を上下方向に位置したとき、各コアの上端部に滞留する空気を一方のコアから他方のコアに流通させ、出口側の冷媒パイプ14から外部に滞留した空気を放出するものである。
【符号の説明】
【0033】
1 偏平チューブ
1a 平面部
1b 側部
1c 拡開部
2a 第1コア
2b 第2コア
3 仕切板
3a 空気抜き
3b 凸部
3c 縁
4 ケーシング
4a ケーシング本体
4b 蓋体
5a 第1ガス流路
5b 第2ガス流路
6a 第1冷媒流路
6b 第2冷媒流路
【0034】
7 ガスパイプ
8 連絡路
9 フランジ
9a 架橋部
9c 案内枠
10 束枠
11 ヘッダープレート
12 ヘッダ本体
13 ガスヘッダ
14 冷媒パイプ
15 ガスタンク
16 冷媒
17 ガス
18 ディンプル
19 冷媒流反転パイプ
20 膨出部
21 ガス流反転パイプ