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特許7244255発電機の主界磁回路、および発電機と共に使用される方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】発電機の主界磁回路、および発電機と共に使用される方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/12 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
H02P9/12
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018207834
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2019110743
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】15/804,798
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, リジュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ションイー
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-174798(JP,A)
【文献】特開昭55-63600(JP,A)
【文献】特開昭52-124117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0141988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機(300、400)の主界磁回路(350)であって、前記主界磁回路は、
主界磁電流を導通させるよう構成された主界磁巻線(160)と、
前記主界磁巻線の近位に配置された逆界磁巻線(345)と、
導通状態と非導通状態との間で選択的に切り替わるように構成されたスイッチ素子(320b)であって、
前記導通状態では、前記スイッチ素子(320b)が、前記主界磁電流の強度を低減するために前記主界磁電流の少なくとも一部分を前記逆界磁巻線内に連結するよう構成され
前記非導通状態では、前記主界磁巻線が前記主界磁電流を導通させ、かつ前記逆界磁巻線が前記主界磁回路から電気絶縁されるように構成されている、
スイッチ素子(320b)と、
備える、主界磁回路。
【請求項2】
前記スイッチ素子が、既定の負荷不具合条件の検出に応じて、前記主界磁電流の少なくとも一部分を前記逆界磁巻線内に連結するよう構成されている、請求項1に記載の主界磁回路。
【請求項3】
前記逆界磁巻線の第1インダクタンスが、前記主界磁巻線の第2インダクタンスと実質的に等しい、請求項1に記載の主界磁回路。
【請求項4】
前記発電機が、複数のスロット(505)を画定しているロータ(105)を備え、
前記複数のスロットの各スロットが、前記主界磁巻線の一部分(510)と、前記逆界磁巻線の一部分(515)とをそれぞれ含む、請求項1に記載の主界磁回路。
【請求項5】
前記主界磁電流の少なくとも一部分を前記逆界磁巻線内に連結することが、前記主界磁回路の第1脚部(325)と第2脚部(330)との間で前記逆界磁巻線を前記主界磁巻線と並列に構成することを含む、請求項1に記載の主界磁回路。
【請求項6】
前記逆界磁巻線を前記主界磁巻線と並列に構成することが、前記第1脚部と前記第2脚部との間の電圧差分は所定の値を下回ると判定することに応じて行われる、請求項5に記載の主界磁回路。
【請求項7】
前記逆界磁巻線が前記第1脚部と前記第2脚部との間に配置された枝路(335)に含まれ、前記枝路の抵抗は、前記逆界磁巻線が前記主界磁巻線と並列に構成されている時の前記主界磁回路の望ましい時定数を提供するよう選択される、請求項5に記載の主界磁回路。
【請求項8】
前記枝路の少なくとも一部分は、前記枝路から抵抗熱を逃がすために、前記発電機のロータシャフトに物理的に連結されている、請求項7に記載の主界磁回路。
【請求項9】
発電機(300、400)と共に使用される方法(600)であって、前記方法は、
前記発電機の主界磁巻線(160)を通して主界磁電流を導通させること(605)と、
既定の条件に応じて、前記主界磁電流の少なくとも一部分を、前記主界磁巻線の近位に配置されている逆界磁巻線(345)内に連結すること(615)とを含み、
前記主界磁電流の少なくとも一部分(510)を前記逆界磁巻線内に連結することは、前記主界磁電流の強度を低減するよう作用
前記既定の条件が満たされないときには、前記主界磁電流のいずれの部分も前記逆界磁巻線(345)内に連結されない、方法。
【請求項10】
前記既定の条件が既定の負荷不具合条件を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記既定の条件が、前記発電機の既定の界磁弱化運転を有効化することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記逆界磁巻線の第1インダクタンスが、前記主界磁巻線の第2インダクタンスと実質的に等しい、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記主界磁電流の少なくとも一部分を前記逆界磁巻線内に連結することが、スイッチ素子(320b)を、前記発電機の主界磁回路(350)の第1脚部(325)と第2脚部(330)との間で前記逆界磁巻線を前記主界磁巻線と並列に構成するよう、動作させることを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示の例は、概して発電機に関し、より具体的には、ある種の条件のもとでの発電機内の主界磁電流の望ましくない影響に対処するための技法に関する。現在の電力網における電力の大部分を生成するために、発電機が使用されている。同期発電機又は永久磁石発電機でありうるこれらの発電機は、例えば、内燃機関、風、原子、及び液圧源からの機械的エネルギーを、例えば電気的エネルギーに変換するために、使用される。現代の発電機は各々、数百メガワットの電力を発生させうる。
【0002】
現代の巻線-ロータ発電機はロータとステータとを含み、ロータとステータの各々は、一又は複数の電気巻線を有する。電流がロータ巻線を通過することによって、回転ロータに磁界が生成され、このロータ巻線は、ステータ巻線(複数可)内に電流を誘起し、交流(AC)電気を作り出す。発電機の出力電圧は、ロータ巻線における電流(したがって、ステータ巻線(複数可)に電圧を誘起する磁界の強度)を制御することによって、制御されうる。場合によっては、ロータ巻線内の電流は、例えばスリップリングを使用する、発電機コントローラとの直接的な電気接続によって、供給されうる。他の場合には、電流は、電磁誘導を通じて、ロータに巻き付けられた電機子を使用して、発電機コントローラにより制御されうる。一又は複数の負荷が、ステータの出力に接続され、かつ、ステータの出力によって電力供給されうる。一部の例では、ステータの出力は、直流(DC)電気を発生させるよう整流されうる。
【0003】
負荷に短絡不具合が発生しているというような負荷不具合条件において、発電機によって負荷に供給される電気エネルギーは、不具合の結果の重要性を低減するために制限されるべきである。しかし、発電機コントローラが励磁機電流をオフにできても、主界磁巻線内に蓄えられた磁気エネルギー、及び比較的大きな時定数のせいで、ロータ磁界は即座にゼロまで降下するわけではない。この条件により、ロータの構成要素を通る、界磁電流の「フリーホイール(free-wheeling)」がもたらされ、これが次いで、主電機子による電流の継続生成を引き起こす。不運にも、この電流は短絡部に提供されており、問題を悪化させる。これにより、負荷不具合を解消することは困難になり(依然としてエネルギー供給されているから)、ロータとステータの両方が過熱する可能性がある。この条件が長く持続しすぎると、負荷、配電システム、及び/又は発電機が恒久的に損傷するリスクがある。上記の問題及びその他の問題に対処するために、本開示を提出する。
【発明の概要】
【0004】
一又は複数の例により、発電機の主界磁回路は、主界磁電流を導通させるよう構成された主界磁巻線と、主界磁巻線の近位に配置された逆界磁巻線(counter-field winding)とを備える。主界磁回路は、主界磁電流の強度を低減するために主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に選択的に連結するよう構成された、スイッチ素子を更に備える。
【0005】
一又は複数の例により、システムは、発電機であって、主界磁電流を導通させるよう構成された第1ロータ巻線と、主界磁巻線の近位に配置された第2ロータ巻線とを備える発電機を、備える。システムは、第2ロータ巻線と直列に配置された第1スイッチ素子と、主界磁電流の強度を低減するために主界磁電流の少なくとも一部分を第2ロータ巻線内に選択的に連結するように第1スイッチ素子を動作させるよう構成された、コントローラとを更に備える。
【0006】
一又は複数の例により、発電機と共に使用される方法は、発電機の主界磁巻線を通して主界磁電流を導通させることと、既定の条件に応じて、主界磁電流の少なくとも一部分を、主界磁巻線の近位に配置されている逆界磁巻線内に連結することとを、含む。主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に選択的に連結することは、主界磁電流の強度を低減するよう作用する。
【0007】
前述の特徴、機能、及び利点は、様々な例において個別に実現可能であるか、又は、以下の説明及び図を参照することで更なる詳細事項が理解可能な、更に別の例に組み込まれうる。
【0008】
本開示の上述の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、例を参照することによって得られる。一部の例を付随する図面に示している。しかし、本開示は他の等しく有効な例も許容しうることから、付随する図面は、この開示の典型的な例のみを示しており、したがって、本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】3ステージ発電機を示すブロック図である。
図2】負荷不具合条件における発電機を示す、概略回路図である。
図3】本書で開示されている例による、逆界磁巻線を有する発電機の例示的な通常運転を示す概略回路図である。
図4】本書で開示されている例による、逆界磁巻線を有する発電機の例示的な負荷不具合運転を示す概略回路図である。
図5A】本書で開示されている例による、例示的な通常運転中の、複数のスロットを有するロータを示す図である。
図5B】本書で開示されている例による、例示的な負荷不具合運転中の、複数のスロットを有するロータを示す図である。
図6】本書で開示されている例による、発電機と共に使用される方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、同一の参照番号を使用した。一例において開示されている要素は、特に明示しなくとも、他の例でも有利に利用されうると想定される。本書で言及されている図は、特に記載のない限り、縮尺どおりに描かれていると理解すべきではない。また、図面は、わかりやすい提示及び説明のために、多くの場合、単純化されており、詳細事項又は構成要素が省略されている。図面と記述は、以下で述べる原理についての解説の役割を果たし、そこでは、同様の記号表示が同様の要素を表わしている。
【0011】
本開示の例は、概して発電機に関し、より具体的には、主界磁巻線の近位に配置された逆界磁巻線を使用して、発電機内の界磁電流を急速に散逸させるための技法に関する。主界磁巻線は主界磁電流を導通させるよう構成されており、逆界磁巻線は、主界磁電流が、主界磁巻線とは反対の方向に、逆界磁巻線を通って流れるように配置される。場合によっては、主界磁巻線及び逆界磁巻線によって生成される正味磁界が実質的にゼロになることにより、負荷に供給される電流が実質的に消去される。
【0012】
一部の例では、スイッチ素子は、主界磁電流の強度を低減するために主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に選択的に連結するよう、構成される。一部の例は、コントローラ、一又は複数の追加スイッチ素子、一又は複数の論理ゲート、及び/又は、一又は複数のエネルギー散逸素子を、更に含みうる。エネルギー散逸素子の非限定的な例の一部は、レジスタ、コンデンサ、バッテリなどを含む。
【0013】
一部の例では、主界磁電流の急速散逸は、既定の負荷不具合条件又は既定の界磁弱化運転の有効化といった、既定の条件に応じて行われる。主界磁電流の一部分を逆界磁巻線内に連結することは、主界磁巻線に関連する時定数を著しく低減するよう作用する。これにより、負荷不具合条件が起こった場合、負荷不具合のより迅速な解消が可能になると共に、発電機の構成要素が保護される。
【0014】
一部の例では、主界磁におけるエネルギーは、外部の制御回路からの信号がなくとも、自律的に散逸しうる。かかる特徴により、設計が大いに単純化され、配線の複雑性が低減される。これにより、システムの信頼性は向上する傾向がある。一部の例では、システムは全て、ロータに及び/又はロータ内に実装されうる。一部の例では、システムは、2つの電圧条件を使用して稼働しうる。(1)通常運転電圧(又は通常電圧範囲)と、(2)通常運転電圧又は通常電圧範囲から外れた電圧、である。ゆえに、システムが通常運転電圧又は通常電圧範囲から外れた電圧で運転されている場合、不具合補正を有効化するために主界磁エネルギーが取り出されうる。
【0015】
本開示の様々な要素を作り上げるものとして以下に記載している材料及び構成要素は、限定ではなく例示を意図している。本開示の範囲には、本書に記載の材料及び構成要素と同じ又は類似した機能を実施しうる多数の好適な材料及び構成要素が包含されることが、意図されている。本書に記載のもの以外のかかる材料及び構成要素は、本開示の開発時点の後に開発される材料及び構成要素を含みうるが、それらに限定されるわけではない。
【0016】
図1は、3ステージ発電機100を示すブロック図である。図示しているように、発電機100は同期発電機を含むが、その他の種類の発電機、及び/又はその他のステージ数も想定される。発電機100は、回転セクション(すなわち「ロータ」)105と、静止セクション(すなわち「ステータ」)110とを備える。永久磁石(PMG)ステージ130において、永久磁石120がロータ105に装着され、一又は複数の主巻線135がステータ110に装着される。ロータ105は、機械的動力源(その非限定的な例の一部は、内燃エンジンや、風、蒸気、又は水を使用して電力供給されるタービンなどを含む)に連結される。
【0017】
発電機100の励磁機ステージにおいて、励磁機界磁ステータ巻線140が、ステータ110に装着され、かつ、PMGステージ130で生成された励磁機界磁電流を調節するよう構成されている発電機制御ユニット145に通信可能に連結される。励磁機ステージでは、一又は複数の励磁機界磁電機子巻線150が、ロータ105に配置される。励磁機界磁電機子巻線150からの出力電流は、DC電流を発生させるために、三相整流器155によって整流される。整流されたDC電流は次いで、発電機100のメインステージの主界磁巻線160に伝えられる。
【0018】
メインステージは、ロータ105に配置された主界磁巻線160と、ステータ110に配置された一又は複数の主電機子巻線165(三相発電に対応する3つの巻線として図示されている)とを備える。主電機子巻線165からの三相出力170は、配電バスに、ヒューズパネルに、又は一又は複数の負荷に直接、接続されうる。
【0019】
図示していないが、励磁機ステージは、一又は複数の主巻線135に連結された、励磁機電力供給装置と励磁機ドライバとを、更に備えうる。発電機制御ユニット145は、発電機100によって生成される出力電圧及び出力電流を制御するために、励磁機ドライバへの電圧及び/又は電流を変動させうる。
【0020】
図2は、負荷不具合条件における発電機200を示す、概略回路図である。上述したように、発電機200に発生する問題の1つは、三相出力170に連結されている負荷205に負荷不具合が起こった場合である。負荷不具合の非限定的な例の一部は、負荷205における部分的又は完全な短絡の発生を含む。負荷不具合が起こった場合、関連する発電機制御ユニット(例えば、図1の発電機制御ユニット145)は、この負荷不具合を感知し、それに応じて、励磁機界磁電機子巻線150によって提供されている電流を(例えば、一又は複数の主巻線135への出力を無効化することによって)遮断する。
【0021】
しかし、励磁機界磁電機子巻線150によって提供される電流をゼロまで減少させても、そのことは主界磁電流iを即座に止めるよう作用するわけではない。主界磁巻線160内にエネルギーが確立されており、かつ、主界磁回路210に関連する時定数が比較的大きいからである。整流器155のダイオードによる抵抗Rは比較的小さく、その順電圧降下を通じて比較的少ない電力しか散逸しないので、主界磁回路210によって形成される単純なRL回路が比較的大きな時定数(L/R)を有することにより、主界磁電流iは比較的長時間にわたり大振幅を有することになる。これにより、発電機200の遮断が遅延する。
【0022】
その結果として、負荷不具合の後に、主界磁電流iが、主界磁回路210を巡って継続的に流れる、すなわち「フリーホイール」することになる。主界磁電流iは緩やかに減少するが、その間、発電機200は、主界磁が持続している限り、既知の負荷不具合がある負荷205に電流(位相電流i、i、iとして図示している)を供給し続ける。主電機子巻線165が負荷205に比較的大きな電流を提供し続けるので、負荷不具合の解消が難しくなる。加えて、主電機子巻線165における大電流は、発電機200の様々な構成要素(巻線及び/又は配線ハーネス(図示せず)など)の過熱をもたらすことがあり、負荷205を更に損傷しうる。ゆえに、主界磁電流iがフリーホイールすることにより、発電機200の運転再開が遅延するか又はできなくなることがあり、かつ、発電機200及び/又は関連配線の損傷が引き起こされる可能性もある。
【0023】
図3は、本書で開示されている例による、逆界磁巻345線を有する発電機300の例示的な通常運転を示す概略回路図である。場合によっては、発電機300の「通常」運転とは、負荷不具合が検出されない条件に対応する。場合によっては、発電機300の「通常」運転とは、界磁弱化運転が有効化されていない条件に対応する。発電機300の励磁機ステージ及びメインステージの構成要素が図示されている一方、PMGステージの構成要素は図示されていない。
【0024】
発電機300において、主界磁回路350は、コントローラ305、論理ゲート310、一又は複数のスイッチドライバ315a、315b(スイッチドライバ315と総称される)、及び、一又は複数の制御可能なスイッチ素子320a、320b(スイッチ素子320と総称される)を備える。コントローラ305は、任意の好適な実行形態の一又は複数のコンピュータプロセッサを含みうる。コントローラ305の非限定的な例の一部は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積チップ(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。別の例示的な実行形態では、コントローラ305は、出力電圧と通常電圧とを比較するよう構成された単一の比較器と同等に単純なものでありうる。かかる例示的な実行形態では、発電機300の不具合なし(no-fault)運転は通常電圧に対応してよく、出力電圧が通常電圧とは異なることにより、負荷不具合が示される。更に別の例示的な実行形態では、コントローラ305は、出力電圧の降下が既定の電圧範囲内のものであるか否かを判定してよく、出力電圧が既定の電圧範囲を超えて降下することにより、負荷不具合が示される。
【0025】
論理ゲート310は、コントローラ305の出力に通信可能に連結される。図示しているように、論理ゲート310は、スイッチ素子320a、320bをそれぞれ駆動するために使用される2つのスイッチドライバ315a、315bに、相補出力を提供する。例えば、発電機300の不具合なし運転において、コントローラ305は、論理ゲート310に論理「ハイ(high)」信号を出力する。次いで、論理ゲート310は、スイッチ素子320aを導通状態に維持するために論理「ハイ」をスイッチドライバ315aに送信し、かつ、スイッチ素子320bを非導通状態に維持するために論理「ロー(low)」をスイッチドライバ315bに送信する。その逆であることもある。論理ゲート310は補完バッファ素子として図示されているが、追加的又は代替的な論理が主界磁回路350内に実装されることもある。一代替例では、論理ゲート310及び/又はスイッチドライバ315は、コントローラ305内に組み込まれうる。
【0026】
スイッチドライバ315a、315bは、任意の好適な実行形態を有しうる。一部の例では、スイッチドライバ315a、315bは、スイッチ素子320a、320bのゲート端子を駆動するようそれぞれ構成された、ゲートドライバを含む。有利には、スイッチドライバ315a、315bは、主界磁回路350によってサポートされる大電流レベルの切り替えスピードの向上及び精度を提供しうる。一代替例では、スイッチドライバ315a、315bは省略されてよく、スイッチ素子320a、320bは、論理ゲート310又はコントローラ305により直接制御されうる。
【0027】
スイッチ素子320a、320bは、電流を選択的に導通させるのに好適な任意の実行形態を有してよく、この電流は、場合によっては、主界磁電流i(又はその一部分)を含みうる。スイッチ素子320a、320bの非限定的な例の一部は、スイッチングダイオードや、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、及び金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのトランジスタ等を含む。
【0028】
主界磁巻線160は、主界磁回路350の第1脚部325と第2脚部330との間に配置される。主界磁回路350は、第1脚部325と第2脚部330との間に、主界磁巻線160と並列に配置されている枝路335を更に備える。図示しているように、枝路335は、抵抗340と、逆界磁巻線345と、スイッチ素子320bとの直列接続を備える。
【0029】
逆界磁巻線345は、主界磁巻線160の近位に配置される。本書において、「近位に配置される(arranged proximate)」とは、逆界磁巻線345によって生成される磁界が、主界磁巻線160によって生成される磁界(すなわち主界磁)の有意の低減をもたらすことを示す。主界磁が低減された結果、それに対応して、主電機子巻線165によって負荷205に供給される電流(位相電流i、i、iとして図示している)が減少する。ゆえに、逆界磁巻線345を通して電流を選択的に導通させることによって、主界磁巻線160によって生成される磁界(及び、負荷205に供給される電流)が選択的に低減されうる。一部の例では、スイッチ素子320a及び/又は320bは、逆界磁巻線345内に主界磁電流iの少なくとも一部分を選択的に連結して、主界磁電流iの強度を低減するために、使用される。
【0030】
主界磁巻線160及び逆界磁巻線345は各々、単一巻線として図示されているが、代替的な実行形態は、主界磁巻線160及び/又は逆界磁巻線345として複数巻線(分割巻線など)を含みうる。
【0031】
一部の例では、主界磁回路350は、主界磁巻線160及び逆界磁巻線345によって生成される正味磁界を、所定の量だけ低減させるよう構成される。一部の例では、主界磁巻線160と逆界磁巻線345との構成は、正味磁界が実質的にゼロになることによって、負荷205に供給される電流が実質的に消去されるようなものになる。一部の例では、逆界磁巻線345の第1インダクタンスL’は、主界磁巻線160の第2インダクタンスLと実質的に等しい。
【0032】
一部の例では、負荷205に供給される電流を実質的に消去するには、主界磁巻線160と逆界磁巻線345との複合動作が有効である。したがって、主界磁電流iからエネルギーを散逸させるために、主界磁回路350に別個の素子が含まれる必要はない。しかし、主界磁巻線160と逆界磁巻線345のそれぞれの導電特性により、主界磁巻線160が抵抗Rを示し、逆界磁巻線345も抵抗を示し、各抵抗は、電流が各巻線を通って流れる時にエネルギーを散逸させるよう作用する。場合によっては、抵抗340が逆界磁巻線345の抵抗であることもある。しかし、場合によっては、枝路335は、一又は複数の散逸素子であって、各々が、電流が枝路335を通って流れる時に散逸するはずであったエネルギーを吸収するよう構成されている、散逸素子を更に備えうる。そのような場合、抵抗340は、逆界磁巻線345と直列に配置されている、別個に設けられたレジスタを含みうる。散逸素子のその他の非限定的な例は、コンデンサ及びバッテリを含む。
【0033】
一部の例では、枝路335の抵抗340は、逆界磁巻線が主界磁巻線160と並列に構成されている時の主界磁回路350の望ましい時定数を提供するよう、選択される。例えば、逆界磁巻線345及び/又は別個に設けられたレジスタは、望ましい時定数に対応する抵抗340を提供するよう、寸法決定されうる。場合によっては、望ましい時定数は、主界磁巻線160の抵抗Rにも基づく。例えば、図4では、主界磁電流iは、枝路335と主界磁巻線160との直列接続を通るように導かれる。等価RL回路の時定数は、次の式で表わされうる。
【0034】
一部の例では、枝路335の少なくとも一部分は、枝路335から抵抗熱を逃がすために、発電機300のロータシャフトに物理的に連結されている。ロータシャフトは、典型的には、枝路335の構成要素と比較して相対的に大きな質量を有しており、構成要素から熱を伝達して逃がすのに好適でありうる。一例では、逆界磁巻線345及び/又は別個に設けられたレジスタは、ロータシャフトに装着される。
【0035】
通常条件における発電機300の運転中、励磁機界磁電流iが、一又は複数の主巻線135に提供され、主巻線135は、一又は複数の励磁機界磁電機子巻線150内に電流(位相電流iea、ieb、iecとして図示している)を誘起する。位相電流iea、ieb、iecは整流器155へと流れ、各位相電流iea、ieb、iecは、整流された主界磁電流iの構成に寄与する。
【0036】
コントローラ305に提供されるシステム電圧Vは、次の式で定義されうる。
V=V-V (2)
図示しているように、システム電圧Vは、整流器155の両端間の電圧である。一部の例では、システム電圧Vは、コントローラ305、論理ゲート310、スイッチドライバ315、及び/又はスイッチ素子320の電源として、使用されうる。他の例では、これらの構成要素の一部又は全部のための電力は、外部電源(複数可)を使用して提供されうる。
【0037】
発電機300の通常運転中、システム電圧Vは正である(すなわちV>0)。より具体的には、V-V>0であり、かつV-V>0である。このような条件のもとでは、スイッチ素子320aは導通状態となり、スイッチ素子320bは非導通状態となる。ゆえに、主界磁電流iが主界磁巻線160に提供され、主界磁巻線160が、負荷205に提供される位相電流i、i、iを誘起する。スイッチ素子320bが非導通状態であれば、枝路335の構成要素は、実質的に、主界磁回路350から電気絶縁される。
【0038】
対照的に、図4は、本書で開示されている例による、逆界磁巻345線を有する発電機400の例示的な負荷不具合運転を示している。あるいは、図4は、別の既定条件(例えば、発電機400の既定の界磁弱化運転におけるもの)に応じた、発電機400の運転に対応しうる。
【0039】
負荷205の負荷不具合の検出に応じて、発電機400の発電機制御ユニット(図示せず)は、一又は複数の主巻線135への励磁機界磁電流を遮断する。しかし、主界磁巻線160内に主界磁エネルギーが既に確立されているので、主界磁電流iは、主界磁回路350を巡って流れる、すなわち「フリーホイール」する傾向がある。整流器155からの電流の寄与がなければ、主界磁電流iは緩やかに減少するが、主界磁が持続している限り、発電機400は(既知の負荷不具合があっても)負荷205に電流を供給することになる。
【0040】
主界磁電流iの減少により、主界磁巻線160の両端間の電圧に極性逆転が起こる(すなわちV-V>0)。加えて、システム電圧Vにも極性逆転が起こる(すなわちV-V<0)。このような条件のもとでは、スイッチ素子320aは非導通状態であり、スイッチ素子320bは導通状態である。
【0041】
一例では、コントローラ305が電圧差分(すなわちシステム電圧V)は所定の値を下回ると判定することに応じて、逆界磁巻線345は主界磁巻線160と並列に構成される。ゆえに、主界磁電流iは、整流器155及びスイッチ素子320aの代わりに枝路335を通るように導かれる。逆界磁巻線345と主界磁巻線160とのこの相対構成により、逆界磁巻線345を通る主界磁電流iの流れが磁界を発生させ、この磁界は、主界磁巻線によって生成される主界磁を低減させる。
【0042】
図示しているように、主界磁巻線160と逆界磁巻線345には、同じ強度の電流が流れるが、その方向は反対である。その結果として、正味磁界は実質的にゼロになり、主電機子巻線165内に起電力は生成されない。これにより、負荷205に供給される電流が実質的にゼロまで減少する(すなわち、位相電流i’=i’=i’=0)ことになる。これは、場合によっては、実質的に一瞬で実現される。いずれにせよ、負荷205に供給される電流の減少は、大きな時定数(すなわち、図2の発電機200におけるL/R)を有する主界磁回路の実行形態に関連する緩やかな減少よりも、ずっと迅速に実現される。有利には、負荷不具合がより迅速に解消され、かつ、発電機400及び/又は負荷205の構成要素の過熱及び/又は損傷が回避されうる。
【0043】
枝路335を有効化または無効化して、主界磁電流iの全量を逆界磁巻線345を通るように導通させることに関して説明したが、主界磁回路350の代替例は、(例えば界磁弱化運転中に)正味磁界の望ましい減少を実現するよう、逆界磁巻線を通って流れる電流の量を更に制御しうる。一例では、主界磁回路350は、主界磁電流iの一部分だけを逆界磁巻線345を通るように導きなおすよう、構成されうる。別の例では、主界磁回路350は、望ましい量の電流を逆界磁巻線345を通るように導通させるために、主界磁電流iとは別個の電流源を備えうる。
【0044】
図5Aは、本書で開示されている例による、例示的な通常運転中の、複数のスロットを有するロータを示す図500である。より具体的には、図500は、ロータ105の4極実行形態の断面図に対応している。図500に示している実行形態は、図3図4に示している発電機300、400といった他の例と併せて使用されうる。
【0045】
ロータ105は、ロータ105の外表面525から内側へと延在している、複数のスロット505-1、505-2、505-3、505-4(スロット505と総称される)を画定している。各スロット505-1、505-2、505-3、505-4は、主界磁巻線160の各部分510-1、510-2、510-3、510-4(部分510と総称される)と、逆界磁巻線345の各部分515-1、515-2、515-3、515-4(部分515と総称される)とをそれぞれ含む。図示しているように、部分510、515は、部分510が、部分515よりも、ロータ105の外表面525の近くに配置されている、スタック構成になっている。主界磁巻線160と逆界磁巻線345は、互いから、かつロータ105から電気絶縁されている。
【0046】
主界磁巻線160及び逆界磁巻線345によって生成される正味磁界の好適な減少のための、他の構成も可能である。一例では、各スロット505は、隣り合って配置されている(例えば、ロータ105の外表面525からの距離が実質的に同じである)、対応する部分510、515を含みうる。他の例では、部分510、515は、同一のスロット505内に配置される必要はないが、部分515によって生成される磁界が部分510によって生成される磁界を適切に低減するように、配置される。
【0047】
発電機の通常運転中(例えば、負荷不具合が検出されず、界磁弱化運転が有効化されていない時)に、主界磁電流は、部分510-1、510-3を通って第1方向(図ではページから出る方向)に流れ、部分510-2、510-4を通って第2方向(図ではページに入る方向)に流れる。電流は、実質的には、逆界磁巻線345を通って流れない。
【0048】
部分510-1、510-2、510-3、510-4の各々を通って流れる電流は、それぞれ、磁界520-1、520-2、520-3、520-4(磁界520と総称される)を誘起する。視認できるように、磁界520-1、520-3は反時計回り方向の磁力線を有し、磁界520-2、520-4は時計回り方向の磁力線を有する。接続されている負荷に電流を供給するために、磁界520は、主電機子巻線(例えば、図3図4の主電機子巻線165)と連結する。
【0049】
対照的に、図5Bは、本書で開示されている例による、例示的な負荷不具合運転中の、複数のスロットを有するロータを示す図550である。図550は、代替的に、既定の条件(発電機の既定の界磁弱化運転など)に、対応しうる。図550において、電流は、逆界磁巻線345の部分515-1、515-2、515-3、515-4を通って流れる。各スロット505において、電流は、対応する部分515を通って、対応する部分510における主界磁電流の方向とは反対の方向に流れる。このやり方では、部分515によって生成される磁界は、部分510によって生成される磁界に反作用する(すなわち、かかる磁界を低減する)。
【0050】
図示しているように、正味磁界は実質的にゼロになり、これは、主界磁電流の全量が主界磁巻線160と逆界磁巻線345とを通るように導かれた場合に対応しうる。この場合、主界磁巻線160のインダクタンスと逆界磁巻線345のインダクタンスは実質的に等しくなる。他の例では、部分515によって生成される磁界は、部分510によって生成される磁界を全て低減する必要はない。
【0051】
図6は、本書で開示されている例による、発電機と共に使用される方法600である。方法600は、他の例(図3図4に示している主界磁回路350など)と併せて使用されうる。
【0052】
主界磁回路が発電機の主界磁巻線を通して主界磁電流を導通させるブロック605において、方法600は始まる。ブロック615において、かつ既定の条件に応じて、主界磁回路は、主界磁電流の少なくとも一部分を、主界磁巻線の近位に配置されている逆界磁巻線内に連結する。一例では、既定の条件は既定の負荷不具合条件を含む。別の例では、既定の条件は、発電機の既定の界磁弱化運転を有効化することを含む。
【0053】
主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に連結することは、主界磁電流の強度を低減するよう作用する。一例では、主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に連結することは、スイッチ素子を、発電機の主界磁回路の第1脚部と第2脚部との間で逆界磁巻線を主界磁巻線と並列に構成するよう動作させることを、含む。一例では、逆界磁巻線の第1インダクタンスは、主界磁巻線の第2インダクタンスと実質的に等しく、主界磁電流の全量が逆界磁巻線内に連結される。方法600は、ブロック615の完了後に終了する。
【0054】
更に、本開示は下記の条項による例を含む。
【0055】
条項1.発電機の主界磁回路であって、主界磁電流を導通させるよう構成された主界磁巻線と、主界磁巻線の近位に配置された逆界磁巻線と、主界磁電流の強度を低減するために主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に選択的に連結するよう構成された、スイッチ素子とを備える、主界磁回路。
【0056】
条項2.スイッチ素子が、既定の負荷不具合条件の検出に応じて、主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に連結するよう構成されている、条項1に記載の主界磁回路。
【0057】
条項3.逆界磁巻線の第1インダクタンスが、主界磁巻線の第2インダクタンスと実質的に等しい、条項1に記載の主界磁回路。
【0058】
条項4.発電機が、複数のスロットを画定しているロータを備え、複数のスロットの各スロットが、主界磁巻線の一部分と逆界磁巻線の一部分とをそれぞれ含む、条項1に記載の主界磁回路。
【0059】
条項5.主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に連結することが、主界磁回路の第1脚部と第2脚部との間で逆界磁巻線を主界磁巻線と並列に構成することを含む、条項1に記載の主界磁回路。
【0060】
条項6.逆界磁巻線を主界磁巻線と並列に構成することが、第1脚部と第2脚部との間の電圧差分は所定の値を下回ると判定することに応じて行われる、条項5に記載の主界磁回路。
【0061】
条項7.逆界磁巻線が第1脚部と第2脚部との間に配置された枝路に含まれ、枝路の抵抗は、逆界磁巻線が主界磁巻線と並列に構成されている時の主界磁回路の望ましい時定数を提供するよう選択される、条項5に記載の主界磁回路。
【0062】
条項8.枝路の少なくとも一部分は、枝路から抵抗熱を逃がすために、発電機のロータシャフトに物理的に連結されている、条項7に記載の主界磁回路。
【0063】
条項9.発電機であって、主界磁電流を導通させるよう構成された第1ロータ巻線と、主界磁巻線の近位に配置された第2ロータ巻線と、第2ロータ巻線と直列に配置された第1スイッチ素子と、主界磁電流の強度を低減するために主界磁電流の少なくとも一部分を第2ロータ巻線内に選択的に連結するように、第1スイッチ素子を動作させるよう構成された、コントローラとを備える、発電機を備える、システム。
【0064】
条項10.コントローラが、既定の負荷不具合条件の検出に応じて、第1スイッチ素子を導通状態で動作させるよう構成されている、条項9に記載のシステム。
【0065】
条項11.第2スイッチ素子を更に備え、コントローラが、励磁機電機子電流を、主界磁巻線内に付加されている状態から選択的に連結解除するように、第2スイッチ素子を動作させるよう更に構成されている、条項10に記載のシステム。
【0066】
条項12.第1ロータ巻線の第1インダクタンスが、第2ロータ巻線の第2インダクタンスと実質的に等しい、条項9に記載のシステム。
【0067】
条項13.発電機が、複数のスロットを画定しているロータを更に備え、複数のスロットの各スロットが、第1ロータ巻線の一部分と第2ロータ巻線の一部分とをそれぞれ含む、条項9に記載のシステム。
【0068】
条項14.主界磁電流の少なくとも一部分を第2ロータ巻線内に連結することが、発電機の主界磁回路の第1脚部と第2脚部との間で第2ロータ巻線を第1巻線と並列に構成することを含む、条項9に記載のシステム。
【0069】
条項15.第2ロータ巻線を第1ロータ巻線と並列に構成することは、コントローラが、第1脚部と第2脚部との間の電圧差分は所定の値を下回ると判定することに応じて行われる、条項14に記載のシステム。
【0070】
条項16.発電機と共に使用される方法であって、発電機の主界磁巻線を通して主界磁電流を導通させることと、既定の条件に応じて、主界磁電流の少なくとも一部分を、主界磁巻線の近位に配置されている逆界磁巻線内に連結することとを含み、主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に連結することは、主界磁電流の強度を低減するよう作用する、方法。
【0071】
条項17.既定の条件が既定の負荷不具合条件を含む、条項16に記載の方法。
【0072】
条項18.既定の条件が、発電機の既定の界磁弱化運転を有効化することを含む、条項16に記載の方法。
【0073】
条項19.逆界磁巻線の第1インダクタンスが、主界磁巻線の第2インダクタンスと実質的に等しい、条項16に記載の方法。
【0074】
条項20.主界磁電流の少なくとも一部分を逆界磁巻線内に連結することが、スイッチ素子を、発電機の主界磁回路の第1脚部と第2脚部との間で逆界磁巻線を主界磁巻線と並列に構成するよう、動作させることを含む、条項16に記載の方法。
【0075】
上記では、この開示で提示されている例について言及している。しかし、本開示の範囲は、記載されている具体的な例に限定されるわけではない。その代わりに、想定されている例を実装し、実践するために、記載している特徴及び要素のあらゆる組み合わせが、種々の例に関連しているか否かに関わらず、想定される。更に、本書で開示されている例は他の可能な手法又は従来技術を凌駕する利点を実現しうるが、特定の利点が所与の例によって達成されるか否かによって、本開示の範囲が限定されることはない。ゆえに、上記の態様、特徴、例、及び利点は、単なる例示であり、請求項(複数可)に明記されている場合を除き、付随する特許請求の範囲の要素であるとも、付随する特許請求の範囲を限定するものであるとも、見なされない。
【0076】
図中のフロー図及びブロック図は、様々な例によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の実現可能な実行形態のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示している。そのため、フロー図及びブロック図における各ブロックは、特定の論理機能(複数可)を実装するための一又は複数の実行可能命令を含む、コードのモジュール、コードのセグメント、又はコードの一部分を表わしうる。代替的な実行形態の一部では、ブロックに記載された複数の機能が、図に記載されている順序を逸脱して行われうることにも、留意すべきである。例えば、実際には、関連する機能性に応じて、連続して図示されている2つのブロックが実質的に同時に実行されうるか、又は、それらのブロックが時には逆順で実行されうる。ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びに、ブロック図及び/又はフロー図におけるブロックの組み合わせは、特定の機能若しくは作用を実施する特殊用途のハードウェアベースのシステムによって、又は、特殊用途ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって、実装されうることにも、留意されたい。
【0077】
上記を踏まえて、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6