(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20230314BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230314BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20230314BHJP
H04N 23/10 20230101ALI20230314BHJP
H04N 23/84 20230101ALI20230314BHJP
【FI】
G06T1/00 510
H04N7/18 J
H04N7/18 K
G06T7/60 200J
H04N23/10
H04N23/84
(21)【出願番号】P 2019037647
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智史
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/014627(WO,A1)
【文献】特開2015-064753(JP,A)
【文献】特開2008-107941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
H04N 7/18
G06T 7/60
H04N 23/10
H04N 23/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラが取得したカラー画像における輝度分布を示す輝度画像を作成する輝度画像作成部と、
前記カラー画像における彩度分布を示す彩度画像を作成する彩度画像作成部と、
前記輝度画像と前記彩度画像とを合成して所定の対象物を検出するための解析画像を作成する解析画像作成部と
、
前記彩度画像に対して収縮処理と膨張処理とを行うことで、前記彩度画像から検出対象よりも大きな図柄を除去した彩度抽出画像を作成する抽出画像作成部と、を備え
、
前記解析画像作成部は、前記彩度画像に代えて前記彩度抽出画像を前記輝度画像と合成して前記解析画像を作成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記抽出画像作成部は、前記彩度画像に対して前記収縮処理と前記膨張処理とを行うことで、前記検出対象とは異なる大きさの図柄を除去して前記彩度抽出画像を作成することを特徴とする
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
カメラが取得したカラー画像における輝度分布を示す輝度画像を作成する輝度画像作成部と、
前記カラー画像における彩度分布を示す彩度画像を作成する彩度画像作成部と、
前記輝度画像と前記彩度画像とを合成して所定の対象物を検出するための解析画像を作成する解析画像作成部と、
前記彩度画像において、検出対象に相当する図柄を抽出した彩度抽出画像を作成する抽出画像作成部と、を備え
、
前記抽出画像作成部は、前記彩度画像を画像解析することで前記検出対象に相当する大きさの図柄を抽出して前記彩度抽出画像を作成し、
前記解析画像作成部は、前記彩度画像に代えて前記彩度抽出画像を前記輝度画像と合成して前記解析画像を作成することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記カラー画像は、上方から平面視する俯瞰画像であることを特徴とする
請求項1から請求項3
までのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カラー画像を処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カメラで取得したカラー画像を輝度画像としてから解析することで、白線等の検出対象を検出する画像処理装置が知られている。しかしながら、画像処理装置は、検出対象が白色以外であると、輝度画像としてから解析しても検出対象を適切に検出できない場合がある。そこで、画像処理装置は、白色以外の検出対象でも検出できるものが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この画像処理装置は、カラー画像におけるRGBの各色信号の強度を個別に求めて、検出対象の色に応じて各色信号の組み合わせを変化させることで、検出対象のコントラストが最大となる組み合わせを求め、検出対象の色に応じて各色信号を組み合わせることで、検出対象の検出を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この画像処理装置は、カラー画像における検出対象の色に応じて各色信号の組み合わせを変化させる必要があるので、解析する検出対象の色に応じて組み合わせを求めることや、解析するカラー画像毎に検出対象のコントラストが最大となる組み合わせを求めることとなる。このため、この画像処理装置は、検出対象を検出するための計算負荷が大きくなってしまう。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、計算負荷の増加を抑制しつつ所定の対象物の検出が容易となる画像を作成することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示の画像処理装置は、カメラが取得したカラー画像における輝度分布を示す輝度画像を作成する輝度画像作成部と、前記カラー画像における彩度分布を示す彩度画像を作成する彩度画像作成部と、前記輝度画像と前記彩度画像とを合成して所定の対象物を検出するための解析画像を作成する解析画像作成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成された本開示の画像処理装置は、計算負荷の増加を抑制しつつ所定の対象物の検出が容易となる画像を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る画像処理装置の一例としての実施例1の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】カメラが取得した一例としてのカラー画像を示す説明図である。
【
図3】
図2のカラー画像において一点鎖線で囲んだ領域の輝度画像を示す説明図である。
【
図4】
図2のカラー画像において一点鎖線で囲んだ領域の彩度画像を示す説明図である。
【
図5】
図2のカラー画像において一点鎖線で囲んだ領域の彩度抽出画像を示す説明図である。
【
図6】抽出画像作成部による一例としての抽出処理の説明に用いる彩度画像を示す説明図である。
【
図7】抽出処理の一例としてのフィルタを用いた収縮処理および膨張処理を説明するための説明図である。
【
図8】
図6の彩度画像に対して一度収縮処理を行った様子を示す説明図である。
【
図9】
図6の彩度画像に対して二度収縮処理を行った様子を示す説明図である。
【
図10】
図6の彩度画像に対して二度の収縮処理の後に一度膨張処理を行った様子を示す説明図である。
【
図11】
図6の彩度画像に対して二度の収縮処理の後に二度膨張処理を行って作成した処理画像を示す説明図である。
【
図12】
図6の彩度画像から
図11の処理画像を減算して作成した彩度抽出画像を示す説明図である。
【
図13】
図2のカラー画像において一点鎖線で囲んだ領域の解析画像を示す説明図である。
【
図14】制御部が実行する画像処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図6の彩度画像に対して一度の収縮処理の後に一度膨張処理を行って作成した処理画像を示す説明図である。
【
図16】
図6の彩度画像から
図15の処理画像を減算して作成した処理画像を示す説明図である。
【
図17】
図12の彩度抽出画像から
図16の処理画像を減算して作成した彩度抽出画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示に係る画像処理装置の一例としての実施例1の画像処理装置10について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0011】
本開示の実施例1の画像処理装置10について、
図1から
図17を用いて説明する。画像処理装置10は、カメラ15で取得したカラー画像における所定の対象物の検出が容易となる画像を作成するための画像処理を行うものであり、実施例1では車両1(
図2参照)に搭載された車載用とされている。なお、画像処理装置10は、車載用の画像処理装置に限定されるものではなく、例えばスマートフォン、タブレット端末およびPDA(Personal Data Assistance)等であってもよい。この場合、画像処理は、これらの装置にインストールされたアプリケーションプログラムによって提供される。この画像処理装置10は、例えば、駐車場での駐車の操作を支援する駐車支援機能や、走行している車線を維持させるレーンキープ機能や、地図や付随する情報の表示、出発地(または現在地)から目的地までの推奨経路の探索、経路誘導および道路交通情報などの表示等のナビゲーション機能等を、併せて備えていてもよい。
【0012】
画像処理装置10は、
図1に示すように、制御部11と記憶部12とを備え、表示部13と操作部14とカメラ15とが、通信プロトコルとしてのCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して制御部11と接続されて構成されている。
【0013】
記憶部12は、画像処理を実行するためのプログラムや、その他の機能を実行するためのプログラムや、それらのプログラムで必要となる情報のうちで書き換えをせずに利用される情報を事前に格納している。記憶部12は、格納する情報が制御部11により適宜読み出すことが可能とされている。
【0014】
表示部13は、画像処理により作成した後述する解析画像55(
図13参照)を表示するもので、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成される。また、表示部13は、上記した各機能を有する場合、駐車支援機能のための支援画像や、レーンキープ機能のための表示画像や、ナビゲーション機能のための経路画像等も適宜表示する。
【0015】
操作部14は、使用者からの指示入力を受け付けるもので、画像処理の実行の有無を指定することができる。また、操作部14は、上記した各機能を有する場合、駐車支援機能やレーンキープ機能の実行の有無を指定や、ナビゲーション機能のための目的地の入力を可能とする。操作部14は、実施例1では、タッチパネルの機能を搭載するものとされた表示部13や、その周囲に設けられた各スイッチで構成される。
【0016】
カメラ15は、画像処理に用いるために車両1の周辺の所定の範囲のカラー画像を取得するもので、実施例1では、車両1の全周囲のカラー画像を取得してカラーの俯瞰画像51(
図2参照)を形成するために車両1の前後左右の4箇所に設けられている。なお、カメラ15は、車両1の前部に設けられて前方(進行方向前側)のカラー画像を取得する単一の広角な魚眼レンズを備えたものでもよく、ドライブレコーダや衝突防止機構のために設けられたものでもよい。カメラ15は、取得したカラー画像を示す画像データを制御部11に出力する。
【0017】
制御部11は、俯瞰画像作成部21と輝度画像作成部22と彩度画像作成部23と抽出画像作成部24と解析画像作成部25と対象検出部26とメモリ部27とを有する。このメモリ部27を除く制御部11の各部は、プログラムにより構成されている。なお、これらの各部は、電子回路により専用に構成されていてもよく、実施例1の構成に限定されない。メモリ部27は、制御部11の各部における演算処理過程で必要となる数値データ、演算処理途中の処理結果に対するプログラムの変数等が適宜書き込まれ、それらが制御部11の各部により適宜読み取られる。メモリ部27は、制御部11が行う各処理のためのプログラムを記憶していてもよい。
【0018】
俯瞰画像作成部21は、カメラ15からカラー画像(画像データ)が入力されると、そのカラー画像を視点変換し、上方から地面を見下ろしたようなカラーの俯瞰画像51(
図2等参照)を作成する(俯瞰画像形成処理)。俯瞰画像作成部21は、記憶部12から、カメラ15の設置位置や角度(ピッチ角、ヨー角、ロール角、カメラ高さ)の設計値(外部パラメータ)や、カメラ15の焦点距離、画素サイズ、光軸中心、歪み関数等(内部パラメータ)のカメラパラメータを取得する。俯瞰画像作成部21は、取得した歪み関数を用いてレンズによる画像の歪みを補正する歪み補正処理を行う。俯瞰画像作成部21は、周知のカメラの幾何変換式を使い、世界座標で示される俯瞰画像51におけるすべての座標位置の画素の出力値(各色の輝度値を含む信号値)を、歪み補正した画像の対応する画素の出力値(信号値)に基づいて作成する。このとき、俯瞰画像作成部21は、俯瞰画像51の特定の画素に対応する歪み補正した画像の画素が無い場合には、周知の輝度の補間処理により周辺画素の各出力値に基づいて特定の画素の出力値を求める。さらに、俯瞰画像作成部21は、カメラ15すなわち前後左右の4つのカメラの隣り合う撮影画像を、対応する座標値の輝度を線形補間等することで繋ぎ目の違和感を無くしつつ1枚の画像として繋ぎ合わせることで、車両1の取り囲む俯瞰画像51を作成する。
【0019】
実施例1の俯瞰画像51は、
図2に示すように、車両1が駐車場にいる状態を示しており、正面視して車両1の上側に車両1の影2を写しているとともに、そのさらに上方に駐車スペースを示すアスファルト等の地面に描かれた複数の線3を写している。なお、俯瞰画像作成部21は、俯瞰画像51(その画像データ)を作成すれば、これらの各処理を同時に行ってもよく、他の内容の処理を行ってもよく、実施例1に限定されない。
【0020】
輝度画像作成部22と彩度画像作成部23とは、このカラーの俯瞰画像51に基づいて、後述する輝度画像52(
図3参照)や彩度画像53(
図4参照)を作成する。このため、俯瞰画像51は、カメラで取得されたカラー画像として機能する。輝度画像作成部22と彩度画像作成部23とは、抽出画像作成部24や解析画像作成部25とともに、互いに等しいサイズ(画素数)の各画像(後述する輝度画像52、彩度画像53、彩度抽出画像54、解析画像55)を形成する。なお、各作成部(22、23、24、25)は、互いに等しいサイズで各画像を作成するものであれば、下記に示すように
図2に示す俯瞰画像51における一部の領域(
図2、
図3頭参照)に対して各処理を行うものでもよく、俯瞰画像51全体に対して行うものでもよい。
【0021】
輝度画像作成部22は、俯瞰画像51(カラー画像)における輝度データに基づいて、各画素における輝度値(輝度分布)を求めて、画素毎の輝度値の大きさ(0から255の値)で示すモノクロ画像である輝度画像52(
図3参照)を作成する輝度画像作成処理を行う。輝度画像作成部22は、俯瞰画像51がYUVデータである場合には、各画素におけるそのY値を用い、俯瞰画像51がRGBデータである場合には、各画素において各色(RGB)の輝度値を合算したものを用いる。この輝度画像52は、俯瞰画像51(カラー画像)における輝度分布を、画素毎の輝度値で示したものとなる。
図3に示す輝度画像52は、
図2に示す俯瞰画像51における一点鎖線で囲んだ領域に対応させている。ここで、輝度画像52は、俯瞰画像51における各線3が白色である場合、各線3の輝度値が十分に大きくなり、はっきりと写ることとなる。
図3に示す輝度画像52は、俯瞰画像51における各線3が黄色であって各線3の輝度値があまり大きくないので、薄く写っている(
図3では薄いことを示すために描く線を細くしている)。
【0022】
彩度画像作成部23は、俯瞰画像51(カラー画像)における彩度データに基づいて、各画素における彩度値(彩度分布)を求める。そして、彩度画像作成部23は、画素毎の彩度値の大きさを輝度値の大きさに置き換えて、その置き換えた画素毎の輝度値の大きさで示すモノクロ画像である彩度画像53(
図4参照)を作成する彩度画像作成処理を行う。
図4に示す彩度画像53は、
図2に示す俯瞰画像51における一点鎖線で囲んだ領域を示している。実施例1の彩度画像作成部23は、次のように彩度画像53を作成する。
【0023】
先ず、彩度画像作成部23は、俯瞰画像51がYUVデータである場合には、画素毎に例えば下記の式(1)を用いてRGBデータに変換する変換処理を行う。なお、彩度画像作成部23は、俯瞰画像51がRGBデータである場合には変換処理は行わない。
R値=Y値+1.402×V値
G値=Y値-0.344×U値-0.714×V値 ・・・・(1)
B値=Y値+1.772×U値
【0024】
次に、彩度画像作成部23は、各画素において、R値、G値、B値のうち、最も大きな値となるものを最大値V1とし、最も小さな値となるものを最小値V2とする。そして、彩度画像作成部23は、円柱モデルのHSVに基づいて画素毎の彩度値(S値)を下記の式(2)を用いて求める彩度算出処理を行う。
S値=(V1-V2)/V1 ・・・・(2)
これにより、彩度画像作成部23は、画素毎に正規化したS値を取得できる。
【0025】
次に、彩度画像作成部23は、各画素において、下記の式(3)に示すように、正規化したS値に係数Aを乗算することで、画素毎の彩度値の大きさを輝度値の大きさに置き換えたSb値を求める置換処理を行う。この係数Aは、正規化したS値を用いて輝度値の大きさとするもので、実施例1ではモノクロ画像である輝度画像52のスケールに合わせて255とする。
Sb値=S値×A ・・・・(3)
【0026】
そして、彩度画像作成部23は、求めた画素毎のSb値を用いて、画素毎の輝度値の大きさで示すモノクロ画像である彩度画像53(
図4参照)を作成する。この彩度画像53は、俯瞰画像51(カラー画像)における彩度分布を、変換した画素毎の輝度値で示したものとなる。
図4に示す彩度画像53は、
図3に示す輝度画像52と同様に、
図2に示す俯瞰画像51における一点鎖線で囲んだ領域を示している。ここで、彩度画像53は、俯瞰画像51における各線3が黄色であっても各線3の彩度値が十分に大きく、はっきりと写っている。なお、彩度画像作成部23は、俯瞰画像51(カラー画像)における彩度データに基づいて、画素毎の彩度値の大きさを輝度値の大きさに置き換えたモノクロ画像である彩度画像53を作成するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0027】
抽出画像作成部24は、彩度画像作成部23が作成した彩度画像53において、検出対象に相当する図柄を抽出する抽出処理を行って、彩度抽出画像54(
図5参照)を作成する。なお、この図柄は、彩度画像53に写っているものであって、地面に描かれた線および標識や地面に形成された影等を含むものである。
図5に示す彩度抽出画像54は、彩度画像53(
図4参照)において、各線3を検出対象とした場合であって、各線3を抽出することで検出対象とは異なる影2が除去されている。
【0028】
実施例1の抽出画像作成部24は、彩度画像53に対して、収縮処理と膨張処理とを行うことで、検出対象よりも大きな図柄を除去して彩度抽出画像54を作成する。この収縮処理と膨張処理とについて、
図6から
図12を用いて説明する。
図6は、収縮処理と膨張処理との理解を容易とするための一例としての彩度画像53を示すもので、左側に検出対象よりも大きな図柄D1を示し、真ん中に検出対象としての図柄D2を示し、右側に検出対象よりも小さな図柄D3を示す。各図柄(D1、D2、D3)は、彩度画像53において、比較のために等しい縦寸法(10画素)とされており、互いに幅寸法が異なるものとされている。図柄D1は、彩度画像53において8画素の幅とされた線状とされており、外周の1画素分が真ん中よりも低い彩度値(輝度値)とされている。図柄D2(検出対象)は、彩度画像53において4画素の幅とされた線状とされており、外周の1画素分が真ん中よりも低い彩度値(輝度値)とされている。図柄D3は、彩度画像53において2画素の幅とされた線状とされており、図柄D1や図柄D2の真ん中と等しい彩度値(輝度値)とされている。
【0029】
抽出画像作成部24は、
図7に示すように、フィルタFを用いて収縮処理および膨張処理を行う。
図7は、彩度画像53の図柄D1の下端近傍を拡大して示したものに、フィルタFを3つのパターン(以下ではF1、F2、F3とする)で配置して収縮処理および膨張処理を行った場合を説明するためのものである。抽出画像作成部24は、この例では、3×3の枠とされた9画素のサイズのフィルタFを用いており、中心の枠に位置する画素を、収縮処理の場合には周辺の8つの枠の画素のうちの最も低い彩度値(輝度値)に変換し、膨張処理の場合には周辺の8つの枠の画素のうちの最も高い彩度値(輝度値)に変換する。
【0030】
1つ目のパターンのフィルタF1は、図柄D1の左下端の低い彩度値とされた画素G1に真ん中の枠が合わせて配置されて、画素G1を変換させる。フィルタF1は、収縮処理の場合には画素G1を図柄D1の外方の0(零)の彩度値とし、膨張処理の場合には画素G1を図柄D1の中央の高い彩度値とする。
【0031】
2つ目のパターンのフィルタF2は、図柄D1の真ん中の高い彩度値とされた中に全ての枠が収まるように真ん中の枠が画素G2に合わせて配置されて、画素G2を変換させる。フィルタF2は、収縮処理の場合であっても膨張処理の場合であっても、画素G2を高い彩度値とする。
【0032】
3つ目のパターンのフィルタF3は、図柄D1の左外側の0(零)の彩度値とされた画素G3に真ん中の枠が合わせて配置されて、画素G3を変換させる。フィルタF3は、収縮処理の場合には画素G3を図柄D1の周辺の0(零)の彩度値とし、膨張処理の場合には画素G3を図柄D1における外周の低い彩度値とする。
【0033】
抽出画像作成部24は、上記したように、フィルタFを用いた収縮処理を、元となる彩度画像53の全画素に対して行うことで、彩度画像53の図柄を1画素分だけ小さくする。また、抽出画像作成部24は、上記したように、フィルタFを用いた膨張処理を、元となる彩度画像53の全画素に対して行うことで、彩度画像53の図柄を1画素分だけ大きくする。なお、抽出画像作成部24は、上記したように、フィルタFの全ての枠内が0(零)の彩度値であると、収縮処理の場合であっても膨張処理の場合であっても0(零)の彩度値とする。ここで、収縮処理および膨張処理は、彩度画像53における対象とした領域の全ての画素に対して行うので、図柄の全ての方向から1画素分だけ小さくしたり大きくしたりする。このため、抽出画像作成部24は、検出対象における縦寸法および幅寸法のうちの小さな寸法の半分の回数だけ収縮処理を行うことで、検出対象を除去できることとなる。抽出画像作成部24は、このことを用いて、検出対象を除去できる回数の収縮処理を行い、その後に同じ回数で膨張処理を行うことで、処理画像56を作成する。
【0034】
先ず、抽出画像作成部24は、
図6に示す彩度画像53に対して1回の収縮処理を行い、
図8に示すように、図柄D1を一回り小さくし、図柄D2を一回り小さくするとともに低い彩度値とし、図柄D3を0(零)の彩度値として除去した彩度画像53とする。次に、抽出画像作成部24は、
図8に示す彩度画像53に対して1回の収縮処理を行い、
図9に示すように、図柄D1を一回り小さくし、図柄D2を0(零)の彩度値として除去し、図柄D3を除去したままの彩度画像53とする。
【0035】
次に、抽出画像作成部24は、
図9に示す彩度画像53に対して1回の膨張処理を行い、
図10に示すように、図柄D1を一回り大きくし、除去された図柄D2および図柄D3に対しては0(零)の彩度値とされているので除去したままの彩度画像53とする。次に、抽出画像作成部24は、
図10に示す彩度画像53に対して1回の膨張処理を行い、
図11に示すように、図柄D1を一回り大きくし、除去された図柄D2および図柄D3に対しては引き続き何らの変化はさせない彩度画像53とする。これにより、抽出画像作成部24は、彩度画像53から検出対象としての図柄D2よりも大きい図柄(この例では図柄D1)のみを残した彩度画像53としての処理画像56を作成する。
【0036】
そして、抽出画像作成部24は、
図6に示す元の彩度画像53から
図11に示す処理画像56(それらの各画素の彩度値(輝度値))を減算することで、
図12に示す彩度抽出画像54を作成する。この彩度抽出画像54は、彩度画像53から検出対象としての図柄D2よりも大きな図柄(図柄D1)を除去したものとなる。このように、抽出画像作成部24は、彩度画像53に対して、収縮処理と膨張処理とを行うことで、検出対象よりも大きな図柄を除去した彩度抽出画像54を作成する。
【0037】
解析画像作成部25は、基本的に、輝度画像作成部22が作成した輝度画像52(
図3参照)と、彩度画像作成部23が作成した彩度画像53(
図4参照)と、を合成して、所定の対象物(検出対象)を検出するための解析画像55(
図13参照)を作成する。解析画像作成部25は、互いに等しいサイズ(画素数)である輝度画像52および彩度画像53において、画素毎に、輝度画像52における輝度値と、彩度画像53における輝度値(彩度値を置き換えたもの)と、を加算することで、画素毎の輝度値の大きさで示すモノクロ画像である解析画像55を作成する。
【0038】
実施例1の解析画像作成部25は、彩度画像作成部23が作成した彩度画像53に代えて、抽出画像作成部24が作成した彩度抽出画像54(
図5参照)と輝度画像52とを合成して、
図13に示す解析画像55を作成する。解析画像作成部25は、彩度画像53の場合と同様に、輝度画像52と彩度抽出画像54とを合成する。これらのことから、輝度画像作成部22と彩度画像作成部23と抽出画像作成部24と解析画像作成部25とは、カメラ15が取得したカラー画像(俯瞰画像51)に基づいて解析画像55を作成する画像処理機能を実現する画像処理装置として機能する。
【0039】
対象検出部26は、解析画像作成部25が作成した解析画像55を解析して、解析画像55における検出対象に相当する図柄を検出する。対象検出部26は、解析画像55に対してエッジ抽出処理を施し、エッジ抽出処理で得られた画像において検出対象の大きさや形状を示す理論比較領域を抽出することで、検出対象(図柄)を抽出する。なお、対象検出部26は、検出対象に相当する図柄を抽出するものであれば、他の方法で抽出してもよく、実施例1の構成に限定されない。実施例1では、各線3を検出対象としているので、対象検出部26は、解析画像55における各線3を検出する。
【0040】
次に、画像処理装置10において、制御部11の制御下で、カメラ15が取得したカラー画像における検出対象を検出する画像処理の一例について、
図14を用いて説明する。
図14は、実施例1における制御部11で実行される画像処理を示すフローチャートである。この画像処理は、記憶部12に記憶されたプログラムに基づいて制御部11が実行する。以下では、
図14のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。
図14のフローチャートは、画像処理装置10の電源が投入されてカメラ15が取得したカラー画像(そのデータ)が制御部11に出力されることにより開始される。
【0041】
ステップS1は、俯瞰画像51を作成し、ステップS2へ進む。ステップS1は、俯瞰画像作成部21が、カメラ15から入力されたカラー画像(画像データ)に基づいて、カラーの俯瞰画像51(
図2参照)を作成する。
【0042】
ステップS2は、輝度画像52を作成し、ステップS3へ進む。ステップS2は、輝度画像作成部22が、俯瞰画像51に基づいて、画素毎の輝度値の大きさで示すモノクロ画像である輝度画像52(
図3参照)を作成する。
【0043】
ステップS3は、彩度画像53を作成し、ステップS4へ進む。ステップS3は、彩度画像作成部23が、俯瞰画像51に基づいて、画素毎の彩度値の大きさを置き換えた輝度値の大きさで示すモノクロ画像である彩度画像53(
図4参照)を作成する。なお、ステップS2とステップS3とは、順番を逆にしてもよく、同時に行ってもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0044】
ステップS4は、彩度抽出画像54を作成し、ステップS5へ進む。ステップS4は、抽出画像作成部24が、彩度画像53に基づいて、検出対象よりも大きな図柄を除去して彩度抽出画像54(
図5参照)を作成する。
【0045】
ステップS5は、解析画像55を作成し、ステップS6へ進む。ステップS5は、解析画像作成部25が、ステップS2で作成した輝度画像52と、ステップS4で作成した彩度抽出画像54とを合成して解析画像55(
図13参照)を作成する。このステップS2からステップS5は、カメラ15が取得したカラー画像(俯瞰画像51)に基づいて解析画像55を作成する工程となる。
【0046】
ステップS6は、解析画像55における検出対象を検出して、この画像処理を終了する。ステップS6は、対象検出部26が、ステップS5で作成した解析画像55を解析して、解析画像55における検出対象(図示の例では各線3)を検出する。制御部11は、この検出結果を様々な機能に用いる。制御部11は、例えば、検出対象としての各線3の位置に基づいて駐車支援機能を実現したり、レーンキープ機能を実現したりすることができる。
【0047】
このように、制御部11は、カメラ15が取得したカラー画像に基づく俯瞰画像51から作成した輝度画像52と彩度抽出画像54(彩度画像53)を合成して、解析画像55を作成することで、対象検出部26での解析による所定の対象物の検出を容易とする。制御部11は、画像処理により作成した解析画像55または検出対象の検出結果を適宜表示部13に表示させる。
【0048】
ここで、検出対象は、例えば、実施例1の各線3のように地面に描かれた図形とされる。その図形は、白色で地面に描かれることが多く輝度値が高いので、カメラ15が取得したカラー画像を輝度画像としてから解析することで、適切に検出することができる。ところが、その図形(検出対象)は、白色の他にも黄色や赤色や緑色等で描かれることも少なくない。すると、白色以外の検出対象は、輝度値が低い場合が多く、人間の目視でははっきりと認識できる場合であっても、輝度画像としてから解析しても適切に検出できないことが少なくない。また、カメラ15からのカラー画像は、暗い環境下で取得された場合、全体的な輝度値が低下することで輝度画像とした際に十分なコントラストが得られず、人間の目視では認識できる場合であっても、輝度画像を解析しても検出対象を適切に検出できないこともある。
【0049】
そこで、従来の画像処理装置は、カラー画像におけるRGBの各色信号の強度を個別に求めて、検出対象の色に応じて各色信号の組み合わせを変化させることで、検出対象のコントラストが最大となる組み合わせを求める。そして、従来の画像処理装置は、検出対象の色に応じて各色信号を組み合わせることで、検出対象の検出を可能としている。しかしながら、従来の画像処理装置は、このような算出処理を行うので、検出対象を検出するための計算負荷が大きくなってしまう。
【0050】
これに対して、本開示の画像処理装置10は、検出対象の色に拘わらず、カメラ15が取得したカラー画像(俯瞰画像51)に基づいて、輝度画像52に加えて彩度画像53を作成し、それらを合成して解析画像55を作成する。ここで、白色以外の検出対象は、人間の目視でははっきりと認識できる場合、輝度値が低くても彩度値が高いことが考えられる。そして、画像処理装置10は、輝度画像52と彩度画像53とを合成することで、輝度値が高い箇所と、彩度値が高い箇所と、の双方を強調した解析画像55を作成できる。これにより、画像処理装置10は、解析画像55を解析するだけで、輝度が高い箇所と彩度が高い箇所との双方、すなわち白色の検出対象と白色以外の検出対象との双方を検出することができ、検出対象の色に拘わらず検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0051】
また、画像処理装置10は、彩度画像53を、俯瞰画像51(カラー画像)の画素毎の彩度値の大きさ(彩度分布)を輝度値の大きさに置き換えて、その置き換えた画素毎の輝度値の大きさで示すモノクロ画像としている。このため、画像処理装置10は、輝度画像52と彩度画像53との双方とも輝度値の大きさで示すモノクロ画像とすることができ、それらを合成した解析画像55も輝度値の大きさで示すモノクロ画像とすることができる。これにより、画像処理装置10は、従来の輝度画像52を解析して検出対象を検出するものと全く同じ方法で、解析画像55を解析して検出対象を検出できる。よって、画像処理装置10は、従来と同様に解析画像55を解析するだけの簡易な工程で、検出対象の色に拘わらず検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0052】
さらに、画像処理装置10は、彩度画像53に代えて、彩度抽出画像54と輝度画像52とを合成して、解析画像55を作成している。ここで、彩度画像53は、元となる俯瞰画像51(カラー画像)において、例えば、地面が夕日で照らされていたりライトで照明されていたりする等のように有色の光が当てられていると、検出対象とは異なる領域(
図4の例では影2)の彩度が高められたり、全体の彩度が高められたりする。そして、このような彩度画像53を輝度画像52に合成して解析画像55を作成すると、その解析画像55において検出対象ではない領域の輝度値も高くなって、検出対象の適切な検出が困難となる場合がある。これに対して、画像処理装置10は、彩度画像53における検出対象よりも大きな図柄を除去して彩度抽出画像54を作成し、その彩度抽出画像54と輝度画像52とを合成して解析画像55を作成している。このため、画像処理装置10は、有色の光が当てられている彩度画像53であっても、彩度抽出画像54において検出対象よりも大きな図柄が除去されているので、解析画像55において輝度値の高い検出対象よりも大きな領域をなくすことができ、検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0053】
本開示に係る画像処理装置の一実施例の画像処理装置10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0054】
画像処理装置10は、カメラ15が取得したカラー画像(実施例1では俯瞰画像51)における輝度分布を示す輝度画像52を作成する輝度画像作成部22と、カラー画像における彩度分布を示す彩度画像53を作成する彩度画像作成部23と、輝度画像52と彩度画像53とを合成して所定の対象物を検出するための解析画像55を作成する解析画像作成部25と、を備える。このため、画像処理装置10は、輝度値が高い箇所と彩度値が高い箇所との双方を強調した解析画像55を作成できるので、その解析画像55を解析するだけで検出対象の色に拘わらず検出対象の適切な検出を可能とすることができる。これにより、画像処理装置10は、検出対象の色に拘わらず輝度画像52と彩度画像53とから作成した解析画像55を解析するだけでよいので、従来の画像処理装置と比較して計算負荷が高くなることを防止しつつ、検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0055】
特に、画像処理装置10は、カラー画像(俯瞰画像51)に基づいて、画素毎に、正規化したS値(彩度値)を求め、そのS値に係数Aを乗算して輝度画像52のスケールに合わせた輝度値であるSb値を求めている。そして、画像処理装置10は、各画素のSb値を用いて彩度画像53を作成している。このため、画像処理装置10は、カラー画像(俯瞰画像51)が暗い環境下で取得されたものであっても、明るい環境下で取得された場合と同様の彩度分布を、変換した画素毎の輝度値で示した彩度画像53を作成できる。これにより、画像処理装置10は、カラー画像(俯瞰画像51)を取得した際の明るさに拘わらず、検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0056】
また、画像処理装置10は、彩度画像53において、検出対象に相当する図柄を抽出した彩度抽出画像54を作成する抽出画像作成部24を備え、解析画像作成部25は、彩度画像53に代えて彩度抽出画像54を輝度画像52と合成して解析画像55を作成する。このため、画像処理装置10は、有色の光が当てられている彩度画像53であっても、彩度抽出画像54において検出対象に相当する図柄が抽出されているので、解析画像55において輝度値の高い検出対象とは異なる領域をなくすことができ、検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0057】
さらに、画像処理装置10は、抽出画像作成部24が、彩度画像53に対して収縮処理と膨張処理とを行うことで、検出対象よりも大きな図柄を除去して彩度抽出画像54を作成する。このため、画像処理装置10は、簡単な工程で検出対象よりも大きな図柄を除去した彩度抽出画像54を作成することができ、解析画像55において輝度値の高い検出対象よりも大きな領域をなくすことができ、検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0058】
画像処理装置10は、カラー画像を、上方から平面視(俯瞰)する俯瞰画像51としている。このため、画像処理装置10は、車両1において、運転を支援するための俯瞰画像51における検出対象の適切な検出を可能とすることができ、より適切な運転の支援を可能とすることができる。
【0059】
したがって、本開示に係る画像処理装置としての実施例1の画像処理装置10は、計算負荷の増加を抑制しつつ所定の対象物の検出が容易となる画像を作成することができる。
【0060】
以上、本開示の画像処理装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0061】
例えば、実施例1では、抽出画像作成部24が、彩度画像53に対して収縮処理と膨張処理とを行うことで、検出対象よりも大きな図柄を除去して彩度抽出画像54を作成するものとしている(
図12、
図13参照)。しかしながら、抽出画像作成部24が、彩度画像53に対して収縮処理と膨張処理とを行うことで、検出対象よりも小さな図柄も併せて除去した彩度抽出画像54、すなわち検出対象とは異なる大きさの図柄を除去した彩度抽出画像54を作成するものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。この一例を、
図6、
図12に加えて、
図15から
図17を用いて説明する。
【0062】
抽出画像作成部24は、検出対象を除去することのない最も大きな回数だけ収縮処理を行った後に、膨張処理を行って彩度画像53としての処理画像561(
図15参照)を作成する。
図6に示す彩度画像53の例では、検出対象としての図柄D2が4画素の幅とされた線状とされているので、1回の収縮処理を行った後に1回の膨張処理を行う。すると、抽出画像作成部24は、
図15に示すように、図柄D1が元の
図6の彩度画像53と同じものとされ、図柄D2が元の
図6の彩度画像53から中央の輝度値が低下されたものとされ、図柄D3が除去された処理画像561を作成する。その後、抽出画像作成部24は、
図6に示す元の彩度画像53から
図15に示す処理画像561(それらの各画素の彩度値(輝度値))を減算することで、
図16に示す処理画像562(彩度画像53)を作成する。そして、抽出画像作成部24は、
図12に示す彩度抽出画像54から
図16に示す処理画像563(それらの各画素の彩度値(輝度値))を減算することで、
図17に示す彩度抽出画像54を作成する。この
図17の彩度抽出画像54は、彩度画像53から検出対象としての図柄D2とは異なる大きさの図柄(D1、D3)を除去したものとなる。画像処理装置10は、このように作成した彩度抽出画像54を輝度画像52に合成して解析画像55を作成することで、検出対象のより適切な検出を可能とすることができる。
【0063】
また、実施例1では、抽出画像作成部24が、彩度画像53に対して収縮処理と膨張処理とを行うことで彩度抽出画像54を作成している。すなわち、実施例1では、抽出画像作成部24が、検出対象よりも大きな図柄を除去(上記したように併せて小さな図柄を除去する場合も含む)することで、結果として検出対象を抽出した彩度抽出画像54を作成するものとしている。しかしながら、抽出画像作成部24は、彩度画像53において検出対象に相当する図柄を抽出した彩度抽出画像54を作成するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。この一例として、抽出画像作成部24は、彩度画像53を画像解析することで検出対象に相当する大きさの図柄を抽出することで、彩度抽出画像54を作成するものにできる。この場合、抽出画像作成部24は、彩度画像53に対してエッジ抽出処理を施し、エッジ抽出処理で得られた画像において検出対象の大きさや形状を示す理論比較領域を抽出することで、検出対象(図柄)を抽出する。なお、抽出画像作成部24は、検出対象に相当する図柄を抽出するものであれば、他の方法で抽出してもよく、この構成に限定されない。このような構成とすると、画像処理装置10は、簡単な工程で検出対象に相当する図柄を抽出した彩度抽出画像54を作成することができ、解析画像55において輝度値の高い検出対象とは異なる領域をなくすことができ、検出対象の適切な検出を可能とすることができる。
【0064】
さらに、実施例1では、抽出画像作成部24が、3×3の枠とされた9画素のサイズのフィルタFを用いて収縮処理および膨張処理を行っている。しかしながら、フィルタFは、中心の枠に位置する画素の彩度値(輝度値)に、周辺の複数の枠に位置する彩度値(輝度値)を採用することで、収縮処理および膨張処理を行うものであれば、枠の数(画素数)は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0065】
実施例1では、抽出画像作成部24が、Sb値を求める際にS値(彩度値)に乗算する係数Aを255としている。しかしながら、係数Aは、輝度値(輝度画像52)と彩度値(彩度画像53)とのバランスを考慮して適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0066】
実施例1では、抽出画像作成部24が、彩度画像作成部23が作成した彩度画像53に対して抽出処理を行うことで、彩度抽出画像54を作成している。しかしながら、抽出画像作成部24は、彩度画像53に基づいて彩度抽出画像54を作成するものであれば、彩度画像53を平滑化した後に抽出処理を行って彩度抽出画像54を作成してもよく、実施例1の構成に限定されない。このような構成とすると、彩度画像作成部23が作成した彩度画像53に多くのノイズが含まれている場合であっても、検出対象に相当する図柄をより適切に抽出した彩度抽出画像54を作成することができる。
【0067】
実施例1では、抽出画像作成部24が、彩度画像作成部23が作成した彩度画像53に対して収縮処理および膨張処理を行うことで、彩度抽出画像54を作成している。しかしながら、抽出画像作成部24は、彩度画像53に基づいて彩度抽出画像54を作成するものであれば、彩度画像53を2値化(2値化処理)した後に収縮処理および膨張処理を行って彩度抽出画像54を作成してもよく、実施例1の構成に限定されない。このような構成とすると、収縮処理および膨張処理を簡易なものとしつつ、検出対象とは異なる大きさの図柄の除去を容易なものにできる。
【0068】
実施例1では、輝度画像52と彩度画像53との元となるカラー画像として、俯瞰画像51を用いている。しかしながら、カラー画像は、輝度画像作成部22が輝度画像52を作成する元となるとともに、彩度画像作成部23が彩度画像53を作成する元となるものであれば、車両1の周囲の一部の画像を取得するカメラが取得したものでもよく、車両1とは異なる箇所に設けられたカメラが取得したものでもよく、実施例1の構成に限定されない。
【符号の説明】
【0069】
3 (検出対象の一例としての)線 10 画像処理装置 15 カメラ 22 輝度画像作成部 23 彩度画像作成部 24 抽出画像作成部 25 解析画像作成部 51 (カラー画像の一例としての)俯瞰画像 52 輝度画像 53 彩度画像 54 彩度抽出画像 55 解析画像