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  • 特許-グリル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A47J37/06 366
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019094403
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020188851
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】榊原 隆文
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-035670(JP,A)
【文献】特開平08-254089(JP,A)
【文献】特開2009-172041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/12
F24C 3/00-3/14、15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開放されたグリル庫と、グリル庫の横側部に配設されたバーナと、バーナを上方から覆うようにグリル庫の側壁から横方向内方に張出すバーナカバーと、グリル庫内にバーナカバーの上面を覆うようにして着脱自在に装着されるカバー板とを備えるグリルであって、
カバー板は、バーナカバーに載置される載置板部と、載置板部の横方向外側縁からグリル庫の側壁を覆うようにして上方にのびる側板部とを有し、
バーナカバーの後部に、上方に隆起する第1隆起部が形成されると共に、カバー板の載置板部の後部に、第1隆起部に係合するように上方に隆起する第2隆起部が形成されるものにおいて、
カバー板の側板部の前縁上部に、前方にのびる舌片部が設けられ、グリル庫の前端部に、舌片部のグリル庫内方を向く内側面に下方から係合する爪部が設けられ
舌片部の爪部が係合する部分に、内側面側とは反対の外側に窪んだ凹部が形成され、爪部が、舌片部の凹部以外の部分よりも外側に位置して、凹部の内側面に係合することを特徴とするグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面が開放されたグリル庫と、グリル庫の横側部に配設されたバーナと、バーナを上方から覆うようにグリル庫の側壁から横方向内方に張出すバーナカバーと、グリル庫内にバーナカバーの上面を覆うようにして着脱自在に装着されるカバー板とを備えるグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のグリルにおいて、カバー板は、バーナカバーに載置される載置板部と、載置板部の横方向外側縁からグリル庫の側壁を覆うようにして上方にのびる側板部とを有している。そして、従来、グリル庫の側壁の前後に、横方向内方に突出する頭付きの係止ピンを設けると共に、カバー板の側板部の前後に、係止ピンの頭部より大径の孔部を下部に有する係止孔を形成し、前後の係止孔を前後の係止ピンに係止することでカバー板を横ずれしないようにグリル庫に装着するものが知られている。然し、後側の係止ピンは、カバー板を装着する際に見えにくく、当該係止ピンに後側の係止孔を位置合わせして係止させることが困難になっている。
【0003】
そこで、従来、バーナカバーの後部に、上方に隆起する第1隆起部を形成すると共に、カバー板の載置板部の後部に、第1隆起部に係合するように上方に隆起する第2隆起部を形成し、第2隆起部を第1隆起部に係合させることでカバー板の後部の横ずれを防止するようにし、係止ピンと係止孔は、グリル庫の側壁前部とカバー板の側板部前部のみに設けるものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このものでは、カバー板の載置板部をバーナカバー上で後方にずらすことにより、第2隆起部が第1隆起部に係合するため、後側の係止ピンに後側の係止孔を係止させるものに比しカバー板の装着作業が容易になる利点がある。然し、前側の係止ピンに前側の係止孔を位置合わせして係止するには、グリル庫内をのぞき込んで前側の係止ピン及び係止孔の位置を目視確認する必要があり、後側の係止ピンに後側の係止孔を係止する場合ほどではないにしても、作業が面倒になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-35670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、カバー板の装着作業性を可及的に向上させることができるようにしたグリルを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、前面が開放されたグリル庫と、グリル庫の横側部に配設されたバーナと、バーナを上方から覆うようにグリル庫の側壁から横方向内方に張出すバーナカバーと、グリル庫内にバーナカバーの上面を覆うようにして着脱自在に装着されるカバー板とを備えるグリルであって、カバー板は、バーナカバーに載置される載置板部と、載置板部の横方向外側縁からグリル庫の側壁を覆うようにして上方にのびる側板部とを有し、バーナカバーの後部に、上方に隆起する第1隆起部が形成されると共に、カバー板の載置板部の後部に、第1隆起部に係合するように上方に隆起する第2隆起部が形成されるものにおいて、カバー板の側板部の前縁上部に、前方にのびる舌片部が設けられ、グリル庫の前端部に、舌片部のグリル庫内方を向く内側面に下方から係合する爪部が設けられ、舌片部の爪部が係合する部分に、内側面側とは反対の外側に窪んだ凹部が形成され、爪部が、舌片部の凹部以外の部分よりも外側に位置して、凹部の内側面に係合することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、舌片部がカバー板の側板部前縁に設けられ、この舌片部に係合する爪部がグリル庫の前端部に設けられるため、グリル庫内をのぞき込まなくても舌片部と爪部の位置を目視確認でき、舌片部に爪部を容易に係合できる。特に、バーナカバー上でカバー板を載置板部の横方向内側縁を支点にして横方向内方に傾倒させて、載置板部と側板部との間の曲げ部をグリル庫の側壁に当接させた状態で、カバー板をその後端がグリル庫の後壁に当接する位置まで押し込んだ後に、載置板部がバーナカバーに載置され、且つ、側板部がグリル庫の側壁に沿う正規姿勢になるようにカバー板を起立させれば、わざわざ位置合わせしなくても、第1隆起部に第2隆起部が係合すると共に、舌片部の内側面に爪部が係合する。そのため、カバー板の装着作業性が可及的に向上する。
【0009】
更に、本発明においては、舌片部の爪部が係合する部分に、上記の如く内側面側とは反対の外側に窪んだ凹部が形成され、爪部が、舌片部の凹部以外の部分よりも外側に位置して、凹部の内側面に係合するため、爪部がカバー板の内方に突出せず、調理物を爪部に邪魔されることなくグリル庫にスムーズに出し入れすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態のグリルの切断側面図。
図2図1のII-II線で切断した断面図。
図3】実施形態のグリルのカバー板の装着状態を示す斜視図。
図4図1のIV-IV線で切断した要部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図2を参照して、Aは、図示省略したガスコンロに組み込む本発明の実施形態のグリルを示している。このグリルAは、コンロ本体(図示せず)内に設置される、前面が開放されたグリル庫1と、グリル庫1の前面開口を開閉するグリル扉2とを備えている。グリル庫1内には、グリル皿3とその上方の焼網4とが収納されている。グリル扉2には、後方にのびるスライド枠21が連結されており、このスライド枠21にグリル皿3を支持する皿支持板22が固定されている。また、皿支持板22の前後に、焼網4を支持する支持枠23が立設されている。そして、グリル扉2を前方に開くことで、グリル皿3と焼網4とが一緒にグリル庫1の前方に引き出されるようにしている。
【0012】
グリル庫1の天井壁11には、上火バーナ5が設けられている。上火バーナ5は、多数の炎孔(図示省略)を形成したセラミックス製の燃焼板51を有する表面燃焼式バーナで構成され、燃焼板51を下向きにした姿勢でグリル庫1の天井壁11に上火バーナ5を装着している。尚、上火バーナ5には、その後部に設けた混合管52から混合気が供給される。
【0013】
グリル庫1の横方向両側の横側部の下部(焼網4よりも低い部分)には、本発明のバーナたる下火バーナ6が配置されている。下火バーナ6は、横方向内方に向けて開口する炎口61を前後方向の間隔を存して複数有している。また、下火バーナ6には、後部の点火プラグ62と前部の熱電対63とが付設されている。
【0014】
グリルAは、更に、グリル庫1の後壁12上部から後方にのびる排気通路13を備えている。排気通路13の後部は、コンロ天板の後部の排気口に向けて斜め上方に立ち上がる排気ダクト13aで構成されている。排気通路13の下面には、燃焼排ガス中に含まれる油煙を焼き切るアフターバーナ7が配置されている。アフターバーナ7は、多数の炎孔(図示省略)を形成したセラミックス製の燃焼板71を有する表面燃焼式バーナで構成され、燃焼板71を上向きにした姿勢で排気通路11の下面にアフターバーナ7を装着している。
【0015】
また、図3も参照して、グリルAは、下火バーナ6を覆うようにしてグリル庫1の横方向各側の側壁14から横方向内方に張出すバーナカバー15と、グリル庫1内にバーナカバー15の上面を覆うようにして着脱自在に装着されるカバー板16とを備えている。カバー板16は、バーナカバー15に載置される載置板部161と、載置板部161の横方向外側縁からグリル庫1の側壁14を覆うようにして上方にのびる側板部162とを有している。尚、側板部162の上部162aは、横方向内方に傾斜している。
【0016】
バーナカバー15の後部には、上方に隆起する第1隆起部151が形成されている。カバー板16の載置板部161の後部にも、第1隆起部151に係合するように上方に隆起する第2隆起部163が形成されている。そして、第1隆起部151への第2隆起部163の係合により、カバー板16の後部が横方向内方にずれることを防止できるようにしている。
【0017】
また、カバー板16の側板部162の前縁上部に、前方にのびる舌片部164が設けられている。更に、グリル庫1の前端部に、舌片部164のグリル庫1内方を向く内側面に下方から係合する爪部17が設けられている。そして、舌片部164の内側面に爪部17を係合させることで、カバー板16の前部が横方向内方にずれることを防止できるようにしている。尚、本実施形態では、図3に明示されているように、グリル庫1の前面開口を囲うグリル庫1の前面枠18に爪部17を曲成しているが、グリル庫1の側壁14前端部に爪部17を取付けてもよい。
【0018】
以上の構成によれば、舌片部164がカバー板16の側板部162前縁に設けられ、この舌片部164に係合する爪部17がグリル庫1の前端部に設けられるため、グリル庫1内をのぞき込まなくても舌片部164と爪部17の位置を目視確認でき、舌片部164に爪部17を容易に係合できる。特に、バーナカバー15上でカバー板16を載置板部161の横方向内側縁を支点にして横方向内方に傾倒させて、載置板部161と側板部162との間の曲げ部をグリル庫1の側壁14に当接させた状態(図4の2点鎖線示の状態)で、カバー板16をその後端がグリル庫1の後壁12に当接する位置まで押し込んだ後に、載置板部161がバーナカバー15に載置され、且つ、側板部162がグリル庫1の側壁14に沿う正規姿勢(図4の実線示の姿勢)になるようにカバー板16を起立させれば、わざわざ位置合わせしなくても、第1隆起部151に第2隆起部163が係合すると共に、舌片部164の内側面に爪部17が係合する。そのため、カバー板16の装着作業性が可及的に向上する。
【0019】
また、本実施形態では、舌片部164の爪部17が係合する部分に、内側面側とは反対の外側に窪んだ凹部164aを形成している。そして、爪部17が、舌片部164の凹部164a以外の部分よりも外側に位置して、凹部164aの内側面に係合するようにしている。これによれば、爪部17がカバー板16の内方に突出せず、調理物を爪部17に邪魔されることなくグリル庫1にスムーズに出し入れすることができる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態のグリルAは、上火バーナ5、アフターバーナ7を備えるが、上火バーナやアフターバーナの無いグリルや、グリル庫1の横方向片側の横側部のみにバーナを備えるグリルにも同様に本発明を適用できる。また、上記実施形態は、ガスコンロに組み込むグリルに本発明を適用したものであるが、ガスコンロに組み込まずに独立して設けられるグリルにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0021】
A…グリル、1…グリル庫、14…側壁、15…バーナカバー、151…第1隆起部、16…カバー板、161…載置板部、162…側板部、163…第2隆起部、164…舌片部、164a…凹部、6…下火バーナ(バーナ)。
図1
図2
図3
図4