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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/10 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A47L9/10 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019118045
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021003270
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 将
(72)【発明者】
【氏名】大林 史朗
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】中野 俊
(72)【発明者】
【氏名】川本 孔陽
(72)【発明者】
【氏名】横山 大史
(72)【発明者】
【氏名】倉田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 叶登
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-204925(JP,A)
【文献】特開2011-188952(JP,A)
【文献】特開2013-063101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を備える掃除機本体と、該掃除機本体に対して着脱自在な集塵装置と、を有し、該集塵装置は、外筒と、該外筒内に設けられる内筒と、集塵したごみを排出するための底蓋を備え、
前記内筒は、その上部に略筒状の第1のフィルタを有した吸気部と、その下部に下方に開口した傘部とを有し、
前記傘部は、周側板と該周側板の上端内側に続く天板とを有して、下方に開口をもって筒状に形成されるとともに、前記天板には第2のフィルタが設けられ
前記傘部の中央部には、前記天板に連続して下方に開口をもつ筒形状の摺動凸部が設けられ、
前記第2のフィルタは、前記周側板と前記摺動凸部との間の前記天板の上流側に設けられ、
前記摺動凸部と前記吸気部との間には、前記傘部を下方に付勢する圧縮ばねが設けられ、
前記吸気部と前記傘部は、前記底蓋が閉じられると前記第2のフィルタを介して連通していて、かつ前記傘部は、前記底蓋を開口すると、前記圧縮ばねに押圧されて前記開口方向に向かって突出する摺動機構を備え、
前記底蓋が閉じられた状態では、前記圧縮ばねが圧縮されて前記摺動凸部が前記底蓋に当接した状態になり、前記摺動凸部の前記開口から前記外筒の上部のフィルタケースに収納された捕塵フィルタに直接に到達するごみを抑制することを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1に記載の電気掃除機において、前記第2のフィルタは、前記第1のフィルタよりも目が細かいことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項1に記載の電気掃除機において、前記傘部は、前記底蓋側が広がった逆テーパー形状にすることを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸引したごみを紙パック内に圧縮する紙パック式の集塵装置と、旋回気流により遠心分離し集塵装置内に収容するサイクロン方式の集塵装置と、大きく分けて二種類の集塵方式がある。サイクロン方式は、旋回気流を発生させるため紙パック方式と比べ、集塵装置のメンテナンスの手間が増える傾向にある。
【0003】
特開2007-167450号(特許文献1)には、吸引される塵埃と吸引風とを遠心力により分離する旋回室と、旋回室と電動送風機の間に位置し旋回室通過後の吸引風をろ過するフィルタ室と、分離された塵埃を蓄積する塵埃室とを有し、フィルタ室または旋回室の塵埃室側を略平面とし、前記平面の部分に塵埃室に連通するバイパス通路を備えた電気掃除機の集塵ユニットが記載されている。
特開特開2015-204925号公報(特許文献2)には、本体吸気口と吸引力を発生する電動送風機とを備えた掃除機本体と、本体吸気口と電動送風機との間に着脱自在な集塵装置と、を有し、集塵装置は、外殻を形成する略円筒状の外筒と、外筒内に外筒と略同心円状に内筒を備え、外筒の下部には開閉可能な底蓋を有した電気掃除機であって、内筒は、上部がフィルタを有した略円筒状の枠体で下部に底面が開口した傘部を備え、傘部には略同形状で内部に嵌合する内傘部を備え、内傘部には底蓋まで延伸する筒体を前記内筒と略同心円状に形成し、内傘部は底蓋を開口すると開口方向に向かって
突出する摺動機構を備えた電気掃除機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-346141号公報
【文献】特開2015-204925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電気掃除機は、塵埃室での塵埃の圧縮をおこない、塵埃室に堆積した塵埃が舞い上がり、旋回室を逆流してフィルタ室へと進入するのを防止しつつ、塵埃の排出作業の回数を減らし、使い勝手の良い電気掃除機を提供することを目的としている。
【0006】
特許文献2に記載の電気掃除機は、ごみの廃棄時に集塵容器内の塵埃を手で触れることなく排出できる、使い勝手の良い電気掃除機を提供することすることを目的としている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の電気掃除機では、フィルタ部が固定であるので、バイパスフィルタに付着した塵埃が、ごみ捨て時に取れにくい恐れがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の電気掃除機では、ごみの廃棄時もフィルタ部が固定であるので、フィルタに付着した塵埃が、ごみ捨て時に取れにくい恐れがある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであって、ごみの廃棄時にフィルタ部が摺動することにより、ごみの廃棄時に、蓄積したごみと同時にフィルタに付着した塵埃が、排出され、フィルタ掃除の手間が軽減できる電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の電気掃除機は、電動送風機を備える掃除機本体と、該掃除機本体に対して着脱自在な集塵装置と、を有し、該集塵装置は、外筒と、該外筒内に設けられる内筒と、集塵したごみを排出するための底蓋を備え、前記内筒は、その上部に略筒状の第1のフィルタを有した吸気部と、その下部に下方に開口した傘部とを有し、前記傘部は、周側板と該周側板の上端内側に続く天板とを有して、下方に開口をもって筒状に形成されるとともに、前記天板には第2のフィルタが設けられ前記傘部の中央部には、前記天板に連続して下方に開口をもつ筒形状の摺動凸部が設けられ、前記第2のフィルタは、前記周側板と前記摺動凸部との間の前記天板の上流側に設けられ、前記摺動凸部と前記吸気部との間には、前記傘部を下方に付勢する圧縮ばねが設けられ、前記吸気部と前記傘部は、前記底蓋が閉じられると前記第2のフィルタを介して連通していて、かつ前記傘部は、前記底蓋を開口すると、前記圧縮ばねに押圧されて前記開口方向に向かって突出する摺動機構を備え、前記底蓋が閉じられた状態では、前記圧縮ばねが圧縮されて前記摺動凸部が前記底蓋に当接した状態になり、前記摺動凸部の前記開口から前記外筒の上部のフィルタケースに収納された捕塵フィルタに直接に到達するごみを抑制する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、傘部内部にごみが圧縮されるため、ごみの集塵量を増やすことができ、かつ集塵蓄積部から集塵分離部への舞い戻りを抑え、塵埃分離性能の向上や吸気部への髪の毛等の巻きつきを抑えられ、かつ傘部内部にごみが圧縮されるため、ごみの排出時にごみの舞い上がりを抑えられ、そしてごみ捨てと同時に、バイパスフィルタ(フィルタ2)に付着した塵埃が排出されるためフィルタ掃除の手間が軽減できる、メンテナンス性の良い電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る実施形態の電気掃除機の外観斜視図。
図2】実施形態の電気掃除機から延長管を外した状態の側面図。
図3】電気掃除機から延長管を外した状態の上面図。
図4】掃除機本体から集塵装置や吸引ホースを取り外した状態の外観斜視図。
図5】掃除機本体の上ケースと下ケースを取り外した状態の斜視図。
図6】掃除機本体を側方から見た図3のI-I断面図。
図7A】集塵装置の正面図。
図7B】集塵装置10の上面図。
図7C図7AのII-II断面。
図8A】蓋部を左斜め上後方から見た分解斜視図。
図8B】蓋部を右側方から見た分解斜視図
図8C】蓋部を斜め左上後方から見た分解斜視図
図9A】蓋ベースを左斜め上後方から見た斜視図。
図9B】蓋ベースを左斜め上前方から見た斜視図。
図9C】蓋ベースの左側面図。
図10A】ダストケースハンドルを左斜め上前方から見た斜視図。
図10B】ダストケースハンドルを左斜め上後方から見た斜視図。
図10C】ダストケースハンドルを上方から見た上面図。
図11A】ダストケースピースを左斜め前上方から見た斜視図。
図11B】ダストケースピースを右斜め後上方から見た斜視図。
図12A】ダストケースカバーを斜め左上前方から見た斜視図。
図12B】ダストケースカバーを斜め左上後方から見た斜視図。
図13A】集塵装置が掃除機本体に設置されている蓋部周りの断面図。
図13B】集塵装置が掃除機本体から取り外す際の集塵装置の蓋部周りの断面図。
図14A】集塵装置の蓋部を開けて捕塵フィルタを取り出した状態の斜視図。
図14B】捕塵フィルタを掃除している状態の斜視図。
図15A】集塵装置を斜め右後方から見た斜視図。
図15B】集塵装置の蓋部を開けた状態の左側面図。
図15C】塵埃捨てのために底蓋を開いた集塵装置を斜め左下方から見た状態の斜視図。
図15D】塵埃捨てのために底蓋を開いた集塵装置の左縦断面図。
図16A】集塵装置から内筒を外し、傘部が摺動した状態の断面図。
図16B】集塵装置から内筒を外し、傘部が摺動していない状態の断面図。
図17図14Aに示す底蓋31の外筒30に対する回動軸31j周りを斜め左前上方から見た一部切り欠き拡大斜視図。
図18A図7CのIII部拡大断面図。
図18B図15DのIV部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に、本発明に係る実施形態の電気掃除機Sの外観斜視図を示す。なお、上下方向、左右方向、前後方向については図1に示す方向とする。なお、左右方向は、掃除機本体1側から見たものである。
【0014】
図2に、実施形態の電気掃除機Sから延長管6を外した状態の側面図を示す。
【0015】
図1に示す電気掃除機Sは、吸口体7と、掃除機本体1と、掃除機本体1に着脱自在に設けられるサイクロン方式の集塵装置10とを備えている。
吸口体7は、塵埃などを吸込む。掃除機本体1は、吸口体7からの吸引力を発生させる電動送風機14が内蔵されている。集塵装置10には、吸口体7で吸込んだ塵埃などのごみが収集される。
【0016】
掃除機本体1は、吸引ホース2を介して手元ハンドル3と接続される。手元ハンドル3は、延長管6を介して吸口体7と接続されている。
【0017】
掃除機本体1には、自在に移動できるように、左右に一対の車輪15aと、前側に一つのキャスタ15b(図2参照)とが備えられている。
図3に、電気掃除機Sから延長管6を外した状態の上面図を示す。
掃除機本体1には、利用者が電気掃除機Sを持ち運ぶ際に把持される本体ハンドル19が取り付けられている。
【0018】
図1に示す手元ハンドル3には、掃除機本体1に内蔵される電動送風機14や、吸口体7に設けられる電動回転ブラシ(図示せず)などの駆動制御を担う操作部4を備えている。操作部4には、操作ボタン5が配置されている。操作ボタン5には、運転を開始する際、押下される(強・中・弱)ボタンや、運転を停止する際に押下される(切)ボタンなどがある。
【0019】
図2に示すように、掃除機本体1の本体ハンドル19の後方には電源コード23a(図5参照)を巻き取るためのコードリール23の巻き取り釦23oが設けられている。
【0020】
<掃除機本体1>
図4に、掃除機本体1から集塵装置10や吸引ホース2を取り外した状態の外観斜視図を示す。
掃除機本体1は、上ケース1aと下ケース1cとホース口部材11とが組み合わされ外殻が形成されている。上ケース1a、下ケース1c、ホース口部材11は、軽量な樹脂材料、例えば軽量なPP(ポリプロピレン)で形成されている。
【0021】
ここで、PPの比重は、約0.95~0.97であり、一般的な電気掃除機の外郭で使用されることの多いABSは比重が約1.1であり、PPはABSより軽量である。
【0022】
上ケース1aは、シボ加工を施し、デザイン性や意匠性を向上させている。
ホース口部材11の前部には、塵埃を含む空気が吸い込まれるホース取り付け口(本体吸気口)が開口されている。
【0023】
図3に示すように、下ケース1cの後部には、電源コード23a(図5参照)のコードプラグ23bのカバー1b1が形成されている。
【0024】
図5に、掃除機本体1の上ケース1aと下ケース1cを取り外した状態の斜視図を示す。
図6に、掃除機本体1を側方から見た図3のI-I断面を示す。
【0025】
ホース取り付け口11は、掃除機本体1内の塵埃を含む空気が通過する導入管20(図5参照)に接続されている。
【0026】
掃除機本体1の内部には、吸口体7(図1参照)での吸引力を発生する電動送風機14(図6参照)が収納されている。また、電動送風機14で吸引した塵埃を除去した後の空気の流路には排気を清浄化するプリーツ状の高捕塵フィルタ29(図6参照)が配置されている。
【0027】
図5に示すように、掃除機本体1の正面である前側には、ホース取り付け口11を備えている。
掃除機本体1内の右側には、導入管20を介して内部を気体が流通するように流体的に接続される導入管出口12が備わっている。導入管出口12は、掃除機本体1に着脱される集塵装置10に気体が流通するように流体的に接続される。集塵装置10は、吸口体7(図1参照)で吸込んだ塵埃などを含む空気から塵埃を分離し、塵埃を収容する。
【0028】
一方、掃除機本体1の正面上部には、電動送風機14と連通するダクト21(図5参照)へのダクト入口部13が備わっている。ダクト入口部13は、集塵装置10で塵埃を除去した後の空気が吸い込まれる口である。図4に示すように、ダクト入口部13の手前には、保護フィルタ17aが設けられる。保護フィルタ17aはフィルタカバー17より上流に設けられている。
【0029】
<集塵装置10の設置>
集塵装置10は、図2の矢印α1、α2に示すように、上部が後側に傾斜した状態で着脱自在に取り付けられる。集塵装置10は、塵埃が外筒30内に溜まった際に、図2に示す矢印α2方向に移動させることで、掃除機本体1から取り外される。一方、外筒30内の塵埃排出(ごみ捨て)後に、集塵装置10を矢印α1方向に移動させることで、掃除機本体1に取り付けられる。
【0030】
掃除機本体1は、集塵装置10を掃除機本体1に取り付けた際に容易に気密を保持できるように、集塵装置10を位置決めするための構造や固定するための構造を備えている。
【0031】
図4に示す掃除機本体1における凹状の取っ手収納部22には、集塵装置10の後方に備わっている取っ手35(図15A参照)が収納される。取っ手35と取っ手収納部22は、集塵装置10を掃除機本体1にセットする際の集塵装置10の位置決めのための構造となっている。
【0032】
また、掃除機本体1における集塵装置10の取り付け箇所の下部には、集塵装置10を固定するための構造として、集塵装置10の底蓋31(図2参照)の底面との嵌合部1a6(図4参照)が設けられている。
【0033】
図6に示すように、集塵装置10が掃除機本体1に取り付けられた状態では、集塵装置10は、ダクト21と流体的に接続されている。ダクト21は、ホース取り付け口11に隣接する導入管20およびダクト21に設けた図示しないツメで固定される保護フィルタ17aに隣接する。
【0034】
図6に示す電動送風機14は、上流側に塵埃を除去後の保護フィルタ17aを通った空気が流れるダクト21が流体的に接続される一方、下流側に高捕塵フィルタ29が流体的に接続されている。
【0035】
電気掃除機Sにおいて、集塵装置10は、電動送風機14よりも上流側に位置している。つまり、吸口体7(図1参照)の吸引力の上流側から、集塵装置10、ダクト21、電動送風機14の順に構成されている。具体的には、集塵装置10から電動送風機14までは、集塵装置10の上部からダクト21、ダクト21から電動送風機14の上部へと連通している。
【0036】
<コードリール23と導入管出口12>
図6に示す電動送風機14を収納するモータケース16は、掃除機本体1右側後方に配置されている。
掃除機本体1左側後方にはコンセント等から電動送風機14などへ電力を供給するための電源コード23a(図5参照)を収納するためのコードリール23(図5参照)が配置されている。
掃除機本体1の左右方向にて、コードリール23の位置する側とは反対側に導入管20の出口の導入管出口12が設けられる。
【0037】
図5に示すように、導入管20および導入管出口12は、コードリール23が大きいためにモータケース16およびコードリール23の配置を勘案して、右側に寄せて配置している。
【0038】
導入管20を掃除機本体1の中央ではなく、右の側部に寄せて配置するのは、集塵装置10の外筒30の内周面の接線方向(掃除機本体1の右の側部に位置する)から、吸込んだ空気を流入させることにより旋回流を発生させ易くするためである。本実施形態では、導入管20を右側に配置し、反時計回りの旋回流としている。
【0039】
<ダクト21>
図6に示すように、導入管20の上方には、集塵装置10を通って塵埃を除去した空気がダクト口21aから吸込まれるダクト21が配設されている。ダクト21の下部開口21oの周囲には、ダクトベース21sの複数の爪部21s1(図5参照)がそれぞれ係合する係合孔が複数を設けられている。
【0040】
ダクト21の係合孔に、図5に示すダクトベース21sの複数の爪部21s1がそれぞれ係合することで、ダクト21がダクトベース21sに固定される。図4に示すように、ダクト口21aは、格子形状としている。
【0041】
また、上ケース1aには、集塵装置10の蓋部24におけるハンドルアーム26cのアーム鉤部26d(図10A図10B参照)が係合する係合孔1a7(図4参照)がダクト口21aの両側方に形成されている。
【0042】
図5図6に示すダクトベース21sは内部を目視できる透明性を有する材料で形成されている。これにより、ダクトベース21sの内側に配置される電動送風機14の防振用ゴム21g(図6参照)を目視できる。目視により、組立て時に防振用ゴム21gが正常にセットされているか、一目で確認できる。
【0043】
<掃除機本体1内に吸い込まれた塵埃を含む空気の流路>
集塵装置10が掃除機本体1に取り付けられた状態では、縦断面図の図6に示すように、ホース取り付け口11から高捕塵フィルタ29に至るまで、一連の流路となっている。
【0044】
電気掃除機Sの掃除機本体1において、吸口体7(図1参照)から掃除機本体1に吸込まれた空気は図6に示す矢印β1~β8のように流れる。
【0045】
図6に示すように、吸口体7(図1参照)で吸い込まれた塵埃などを含む空気は、ホース取り付け口11から掃除機本体1内の導入管20に流入する(図6の矢印β1)。流入した空気は、導入管20内を通って導入管出口12を通り、集塵装置10に至る(図6の矢印β2)。集塵装置10内に入った塵埃などを含む空気は内筒40の廻りを回る気流となる(図6の矢印β3)。この気流により発生する遠心力で空気と塵埃を分離し、空気は内筒40内に吸い込まれ、一部の気流(図6の矢印β4)は集塵装置10の下部へ流れる。塵埃は、この気流(図6の矢印β4)により、外筒30内面に沿って落下し、集塵装置10の下部に溜まる。
【0046】
集塵装置10の下部への気流(図6の矢印β4)は、円筒状の傘部44の外周面に沿って上昇する(図6の矢印β5)。また、後記する傘部44のメッシュフィルタ44f(図15C参照)を通過して塵埃が除去された気流が上昇し(図6の矢印β51)、内筒40内に吸い込まれる。
内筒40内には、遠心分離しきれなかった微細な塵埃を含む空気が流れ、集塵装置10に設けた捕塵フィルタ32で微細な塵埃が除去される。そして、塵埃が除去された空気は、ダクト21の内部を通過して、電動送風機14に吸い込まれる(図6の矢印β6)。そして、電動送風機14に吸い込まれた空気は、高捕塵フィルタ29を通過して残留する異物などが除去され(図6の矢印β7)、掃除機本体1の後下部の排出口34から外部に排出される(図6の矢印β8)。
【0047】
<本体ハンドル19>
本体ハンドル19は、前記したように、電気掃除機Sを持ち運ぶ際に利用者に把持される部材である。
【0048】
図1図4に示すように、下ケース1cと上ケース1aとの間には、本体ハンドル19が取り付けられている。
【0049】
<集塵装置10の構成>
次に、集塵装置10について説明する。
図7Aに集塵装置10の正面図を示し、図7Bに集塵装置10の上面図を示す。図7Cに、図7BのII-II断面を示す。
【0050】
集塵装置10は、吸口体7で吸込んだ塵埃などを含む空気から塵埃を分離し、塵埃を集める機能をもつ。
【0051】
図7Cに示すように、集塵装置10は、外筒30、内筒40、捕塵フィルタ32を収納するフィルタケース33、蓋部24および底蓋31で形成されている。軸O-Oは、図4に示すように、略円柱形状の集塵装置10の中心軸である。
掃除機本体1では、上ケース1aを軽量なPPで形成しているので、意匠性を向上させるために、底蓋31の外装をABSで形成し、表面を光沢面としている。底蓋31は意匠性の向上のため、シボ加工を施したり、例えば銀色に塗装にしても良い。
フィルタケース33は、内部の捕塵フィルタ32を目視できる材料、例えば半透明な樹脂で製作されている。
【0052】
塵埃がろ過される捕塵フィルタ32の波状のフィルタ部32f(図7C参照)は、横向きに設けられる。そのため、フィルタケース33の外側から横向きの波状のフィルタ部32fを容易に目視できる。したがって、捕塵フィルタ32の視認性が向上する。
外筒30の上部にフィルタケース33が配置され、下部に底蓋31が配置されている。そして、外筒30内に外筒30と同心状に内筒40を備えている。
【0053】
集塵装置10は、外筒30と内筒40との間に、吸口体7で吸込んだ塵埃を含む空気からの遠心力による塵埃の分離および集塵のための空間を有している。つまり、外筒30と内筒40とで形成される空間のうち、上部に塵埃分離部10Aを備え、下部に塵埃収容部10Bを備える。
【0054】
塵埃分離部10Aは、塵埃を含む空気から塵埃を分離する空間である。塵埃収容部10Bは、塵埃を溜める空間である。
【0055】
<外筒30>
図7Cに示すように、外筒30は、上下が開口した上開口30iと下開口30jを有する略円筒形状を有している。
外筒30の側面に導入管出口12から塵埃を含む空気(気体)が流入される流入管を備えている。流入管の外側内面は、外筒30の内周面30mと略接線方向で繋がるように形成されている。流入管は、導入管出口12への接続部であり、導入管出口12から塵埃を含む空気が流入される開口部が形成されている。
【0056】
流入管は、外筒30の円弧形状に沿った絞り壁によって形成されている。開口部が外筒30の内周面30mの接線に沿った形状であることで、塵埃などを含んだ空気が外筒30の内周面30mに沿った旋回状の気流となる。
【0057】
この構成により、導入管出口12から集塵装置10の外筒30内に流入する空気は、外筒30の中心軸O(図7A参照)(集塵装置10の中心軸)廻りの気流となり、中心軸Oを中心として反時計廻りに外筒30内を旋回する。旋回する気流により、塵埃分離部10Aにおいて、空気に含まれる塵埃が遠心力によって分離され、塵埃収容部10Bに溜められる。
【0058】
<蓋部24>
図7Cに示す蓋部24は、利用者が集塵装置10を掃除機本体1から外す機能と、利用者が集塵装置10を持つ機能と、集塵装置10の蓋体を成す機能とを兼ねている。
【0059】
図8Aに蓋部24を左斜め上前方から見た分解斜視図を示し、図8Bに蓋部24を右側方から見た分解斜視図を示す。
また、図8Cに蓋部24を斜め右上後方から見た分解斜視図を示す。
蓋部24は、下から蓋ベース25、ダストケースハンドル26、ダストケースピース27、ダストケースカバー28、およびハンドル押し上げバネ29を備えている。ハンドル押し上げバネ29は、圧縮ばねである。
【0060】
図9Aに、蓋ベース25を左斜め上後方から見た斜視図を示し、図9Bに、蓋ベース25を左斜め上前方から見た斜視図を示す。また、図9Cに、蓋ベース25の左側面図を示す。
蓋ベース25は、上面視で前円後方形状を有している。つまり、蓋ベース25は、半円筒形状の前部25Aと扁平な略箱形状の後部25Bとを有している。
蓋ベース25は、ダクト排出口25aとバネ受け25cを有している。
【0061】
ダクト排出口25aは、矩形状の開口である。ダクト排出口25aは、ダクト21(図5参照)へのダクト入口部13に連通している。蓋ベース25のダクト排出口25aから集塵装置10で塵埃を除去した後の空気がダクト入口部13に送り込まれる。
バネ受け25cは、円筒形状を有している。図8Cに示すように、バネ受け25cには、ハンドル押し上げバネ29が嵌入される。
【0062】
図10Aに、ダストケースハンドル26を左斜め上前方から見た斜視図を示し、図10Bに、ダストケースハンドル26を左斜め上後方から見た斜視図を示す。図10Cに、ダストケースハンドル26を上方から見た上面図を示す。
ダストケースハンドル26は、前部の扁平な円筒形状の円筒部26a、一対の支持軸26b(図10C参照)、一対のハンドルアーム26c、および一対のアーム鉤部26dを有している。
【0063】
円筒部26aには、集塵装置10を外す際に利用者が手を差し入れる把持部26eが凹形状に形成されている。
一対の支持軸26bは、ダストケースハンドル26の回動軸である。一対の支持軸26bは、円柱形状を有しており、図10Cに示すように、円筒部26aのやや後部から左右外方に延びて形成されている。
アーム鉤部26dは、ハンドルアーム26cの先端部から上方に凸形状に形成されている。
【0064】
ダストケースハンドル26の一対のアーム鉤部26dは、それぞれ図4に示す上ケース1aの一対の係合孔1a7に係止される。
図11Aにダストケースピース27を左斜め前上方から見た斜視図を示し、図11Bにダストケースピース27を右斜め後上方から見た斜視図を示す。
ダストケースピース27は、ABSで形成された意匠部品である。
ダストケースピース27は、屋根状の後カバー部27aと一対の軸アーム27bと一対の軸穴突起27dとツメアーム27fとを有している。
【0065】
一対の軸アーム27bは、屋根状の後カバー部27aの左右端部から前方に延びるアーム形状を有している。
軸アーム27bの先端部から下方に向けて軸穴突起27dが突設されている。
一対の軸穴突起27dにはそれぞれ軸穴27cが形成されている。
軸穴27cは、それぞれ軸アーム27bの先端部に左右方向に貫通した貫通孔として形成されている。軸穴27cは、ダストケースハンドル26の支持軸26bが入るように支持軸26bの径より若干大きな径を有している。
【0066】
後カバー部27aの左後部から下方に向けてツメアーム27fが形成されている。ツメアーム27fの先端には内側に凸部の組立用ツメ27eが形成されている。
図12Aに、ダストケースカバー28を斜め左上前方から見た斜視図を示し、図12Bに、ダストケースカバー28を斜め左上後方から見た斜視図を示す。
ダストケースカバー28は、半円筒部28aと環状円板部28bとを有するケース状の部品である。ダストケースカバー28は、ABSで成形されている。例えば、ダストケースカバー28は、外装が銀色とされている。
【0067】
半円筒部28aは後部に開口28a1を有している。
環状円板部28bは央部に円状開口28b1を有し、中央側が上方に盛り上がった形状を有している。
【0068】
<蓋部24の組立て>
蓋部24の組立ては、図8A図8Cに示すように、蓋ベース25、ダストケースハンドル26、ダストケースピース27、およびダストケースカバー28の前後左右の方向を合わせて、以下のように行われる。
【0069】
図11A図11Bに示すダストケースピース27の左右の一対軸穴27cに内側からダストケースハンドル26の左右の支持軸26bを、ダストケースハンドル26およびダストケースピース27の少なくとも何れかを変形させて通す。 これを、ハンドルピースアッセンブリと称す。
【0070】
蓋ベース25のバネ受け25cに、上方からハンドル押し上げバネ29を嵌合する。
ハンドル押し上げバネ29が設置された蓋ベース25に、上述のハンドルピースアッセンブリを載せる。この際、ダストケースピース27の組立用ツメ27eを蓋ベース25に係合させる。この上に、ダストケースカバー28を載せて、下側からねじn(図8A参照)で固定する。これにより、ハンドル押し上げバネ29は、ハンドルアーム26cにおける支持軸26bに対して、ハンドルアーム26c側の円筒部26a(図10A参照)の天板26a1を上方に押圧する。そのため、ダストケースハンドル26の一対のアーム鉤部26dは、支持軸26b周りに上方に押し上げられる力を印加される。
【0071】
<集塵装置10の掃除機本体1への取り付け>
集塵装置10を掃除機本体1に取り付けるには、下記のように行われる。
図4に示す集塵装置10を、図2の矢印α1に示すように掃除機本体1に押し付ける。すると、ダストケースハンドル26のアーム鉤部26dがハンドル押し上げバネ29の弾性力に抗して上方から下方に回動して上ケース1aの一対の係合孔1a7(図4参照)に係止される。
【0072】
<蓋部24のアーム鉤部26dの上ケース1aの一対の係合孔1a7への係止からの取り外し>
図13Aに、集塵装置10が掃除機本体1に設置されている蓋部24周りの模式断面図を示す。
掃除機本体1に集塵装置10がセットされている場合、集塵装置10のアーム鉤部26dが上ケース1aの係合孔1a7(図4参照)に係止されている。
【0073】
図13Bに、集塵装置10を掃除機本体1から取り外す際の集塵装置10の蓋部24周りの模式断面図を示す。
把持部の下方には、手を差し入れる空間26s(図6の粗なドット)が形成されている。
集塵装置10を掃除機本体1から取り外す際、利用者は、ダストケースハンドル26の把持部26eに、後から前下方向(図13Aの矢印α21)に手を差し入れて上方に引く(図13Bの矢印α22)。把持部26eは、後から前下方向に手を入れ、手で下方から握る構造となっている。
【0074】
これにより、ダストケースハンドル26は、支持軸26bを中心に時計周りに回転する(図13Bの矢印α23)。図13Bに示すように、ダストケースハンドル26のアーム鉤部26dは、それぞれ上ケース1aの一対の係合孔1a7(図4参照)への係止が外れる。
こうして、図4に示すように、集塵装置10を掃除機本体1から取り外すことができる。
【0075】
<捕塵フィルタ32>
図14Aに、集塵装置10の蓋部24を開けて捕塵フィルタ32を取り出した状態の斜視図を示し、図14Bに捕塵フィルタ32を掃除している状態の斜視図を示す。
捕塵フィルタ32は、フィルタケース32cと波状のフィルタ部32fとを有している。
波状のフィルタ部32fは、フィルタケース32cに取り付けられている。
【0076】
フィルタケース32cには、波状のフィルタ部32fより下方に突出するケース足32c2が一対形成されている。なお、図14Aでは、片方のケース足32c2は隠れている。
集塵装置10の捕塵フィルタ32の掃除は下記のように行われる。
利用者は、図14Aに示すように、集塵装置10のフィルタ掃除レバー10rを押す(図14Aの矢印β11)ことで、ダストケースハンドル26の把持部26eを把持して蓋部24を開ける。
【0077】
そして、利用者は、図14Bに示すように、捕塵フィルタ32のフィルタケース32cを持って、下方突出しているケース足32c2を床面Yなどに叩き付けることで、捕塵フィルタ32に付着した塵埃などを落す。したがって、捕塵フィルタ32のチリ落としを簡単に行える。
捕塵フィルタ32のチリ落としを、専用のブラシで行っており、掃除に手間がかかる恐れがあった。
これに対して、上述の捕塵フィルタ32の構成を用いることで、掃除性能が向上する。
【0078】
<集塵装置10の細部構成>
図7Cに示すように、内筒40の下方には、下方に開口44aをもつ傘部44を備えている。
【0079】
図15Aに集塵装置10を斜め右後方から見た斜視図を示す。図15Bに集塵装置10の蓋部24を開けた状態の左側面図を示す。
図15Cに塵埃捨てのために底蓋31を開いた集塵装置10を斜め左下方から見た状態の斜視図を示す。図15Dに塵埃捨てのために底蓋31を開いた集塵装置10の左縦断面図を示す。
【0080】
図15Aに示すように、底蓋31には、丸みを帯びた下面31sから下方に突出した脚部31eが2つ設けられている。2つの脚部31eは、図15Bに示すように、集塵装置10で蓋部24を開けた際に、集塵装置10の重心が後方に移動するため、後方に転倒しないような支えとなっている。
そのため、利用者が捕塵フィルタ32を掃除するため、集塵装置10の蓋部24を開けた(図15Bの矢印β21)際、底蓋31の2本の脚部31eが後方側の支持となり、集塵装置10が後方に転倒する(図15Bの矢印β22)ことを抑制できる。
図6に示すように、上部内筒40の吸気部(第1のフィルタ部)40aは、格子状の枠体(支骨)によって形成されている。吸気部(第1のフィルタ部)40aは、略筒状の部分である。本実施形態では上下方向の枠体(支骨)としているが、上下左右方向に枠体(支骨)のある格子状でも構わない。吸気部40aは、外周面に亘ってメッシュ部材40bが掛け渡されている。メッシュ部材40bは被覆またはインサート成型などによって枠体(支骨)の上流側(本実施形態では外側)に保持されている。吸気部40aに第1のフィルタ40bを設けることで、上部内筒40はフィルタ機能を有し、内筒40内部への微細な塵埃の流入を抑制している。上部内筒40は、上方向に開口40cを備えている。
【0081】
本実施形態では、第1のフィルタ40bは、ポリエステルを使用しているが、金属(例えば、ステンレスなど)でもよく、枠体(支骨)ではなく小径の貫通孔(金型で成型可能なφ2mm程度の孔)を複数設けた吸気部40aでも構わない。貫通孔は、枠体(支骨)にメッシュ部材40bを掛け渡した場合と違い、強度や破れに対し有効であり、二次成型が不要といったメリットがある。しかし、貫通孔の径(開口面積)は、第1のフィルタ40bの開口面積よりも大きくすると、内筒40の内部への微細な塵埃の流入に対しては不利となる。
また、第1のフィルタ40bを枠体(支骨)の上流側に設けることで枠体(支骨)との段差や隙間への塵埃の侵入を防ぐことができるため、お手入れやメンテナンスが楽にできるとともにフィルタの剥がれを防止できる。
【0082】
図15C図15Dに示すように、傘部44は、下方に開口44aをもつ円筒形状を有している。傘部44は周側板44bと周側板44bの上端内側に続く平板状の天板44c、周側板44bの上端外側に続く平板状のリブ44gとを有している。
傘部44の天板44cには複数の開口44c1(図15C参照)が形成されている。開口44c1には、第2のフィルタ44fが設置されている。
また、このとき、第2のフィルタ44fは傘部44の天板44cの上流側(下方)に設けられており、上流側において天板44cと段差が無いよう構成されている。
第2のフィルタ44fを天板44cの上流側(下方)に設けることで天板44cとの段差や隙間への塵埃の侵入を防ぐことができるため、お手入れやメンテナンスが楽にできるとともにフィルタの剥がれを防止できる。
【0083】
集塵装置10内の外筒30の接線方向に流入した塵埃などを含む空気は、図6の矢印β3のように、旋回流となり、外筒30内で外筒30内面に沿って上部内筒40廻りを旋回する。これにより、塵埃に遠心力が働き、空気から塵埃が分離される。塵埃などのごみは空気に比べ重いので、矢印β4のように、外筒30の内周面に沿って落下する。つまり、塵埃集塵部10内の上部である塵埃分離部10Aにて、空気から塵埃は分離される。塵埃が分離された空気の多くは上部内筒40に複数設けられた吸気口40aを覆うよう設置された第2のフィルタ44fを通過し内筒40の内部に流入する(矢印β6)。このとき、第2のフィルタ44fによりさらに空気と塵埃を分離することができる。
【0084】
一方、遠心力で分離された塵埃は、重力と一部の空気流により外筒30と傘部44との間の塵埃集塵部10Bの入口を通り、塵埃集塵部10B内に搬送される。
【0085】
そして、内筒40と傘部44の内側は、第2のフィルタ44fによって、流体的に連通しているので、綿ごみや髪の毛等の軽い塵埃は、傘部44の内側から内筒40に向かう流れ(矢印β51)によって運ばれ、第2のフィルタ44fの下流側(内筒40の内側)は、負圧(大気圧より低い圧力)になっているため、第2のフィルタ44fの上流側に圧縮され、堆積する。一方、小石等の重たい塵埃は、塵埃集塵部10Bの底付近に留まる。そして、電気掃除機1の使用を続けると、さらに多くの軽い塵埃が圧縮され、塵埃はドーナツ状に堆積する。
【0086】
これにより、塵埃集塵部10Bに蓄積できるごみの量を多くできる。
ここで、第2のフィルタ44fのメッシュの目の細かさを第1のフィルタよりも細かくしてもよい。細かくすることにより、第1のフィルタ40bから内筒40内部へ流入する風を増加させ、第2のフィルタ側から流入する風の量を減らすことができる。これにより傘部へのごみ溜まり量を少なくでき、集塵部10のメンテナンス頻度を減らすことができる。
【0087】
また、一旦集塵部10Bに蓄積した軽い塵埃が、塵埃分離部10Aに舞い戻ることを抑制できる。
【0088】
そして、吸気口42より内筒40の内部に流入した流れ(矢印γ3)と、傘部44の内側から内筒41に向かう流れ(矢印γ5)は合流し、捕塵フィルタ32を通過して、掃除機本体1のダクト入口部13(図3参照)に流入する。
【0089】
図15Dに示すように、傘部44の中央部には天板44cに連続して、下方に開口46aをもつ円筒形状の摺動凸部46が設けられている。摺動凸部46とベース板47との間には、圧縮ばね48がベース板47に対して、傘部44を下方に付勢するように設けられている。
【0090】
図7Cに示すように、底蓋31(図2参照)が閉じられた状態では、圧縮ばね48が圧縮されて、傘部44の摺動凸部46が底蓋31の底板31tに当接した状態にある。これにより、摺動凸部46内部を通って、直接捕塵フィルタ32に到達する塵埃などが抑制される。
摺動凸部46の下部には、細い中央孔をもつキャップ部品を設けるものもある。
【0091】
これに対して、本実施形態の摺動凸部46は、下方を開口46aとした円筒形状としている。実施形態の摺動凸部46はキャップ部品を無くすことで部品が削減される。
また、摺動凸部46の下面を開口46aにしたことで、摺動凸部46に入った塵埃などを容易に除去できる。そのため、摺動凸部46内部の掃除性能が向上する。そして、開口46aの面積は摺動凸部46のどの断面積とも略同等であり、摺動凸部46に侵入した塵埃などを摺動凸部46から排出することができ、傘部44のお手入れ性が向上する。また、内筒クミ49を水洗いした時、開口46a(図16Aの矢印β40に排出)から摺動凸部46に侵入した水や塵埃を排出でき、お手入れ性が向上する。
【0092】
ここで、傘部44にメッシュフィルタ44fを設けているために、上昇する気流が増加する(図6の矢印β51)。そのため、摺動凸部46内部の掃除性能の向上は効果は大である。
【0093】
また、内筒40、ベース板47、圧縮ばね48、傘部44を一式として、これを内筒クミ49(図16A、16B参照)と称す。図16Aに、この内筒クミ49の傘部44が下方に摺動した状態の断面図を示し、図16Bに、内筒クミ49の傘部44が下方に摺動していない状態の断面図を示す。
【0094】
内筒クミ49は、中心軸Oを中心として時計回りに回すと集塵装置10から取り外すことが可能である。一方で、内筒クミ49を中心軸Oを中心として反時計回りに回すと集塵装置10に取付けることができる。
【0095】
集塵装置10から内筒クミ49を取り外せることにより、内筒クミ49全体を水洗いすることができる。また、水を排出する箇所である内筒上面40a、内筒下面40b、開口46a(図16Aの矢印β40、β41、β42に排出)があるため、内筒クミ49に水が溜まりにくく、乾燥するまでの時間を削減することができる。
【0096】
図17は、図14Aに示す底蓋31の外筒30に対する回動軸31j周りを斜め左前上方から見た一部切り欠き拡大斜視図である。
図18Aに、図7CのIII部拡大断面図を示し、図18Bに、図15DのIV部拡大断面図を示す。
【0097】
図17に示すように、底蓋31には、外筒30に対して開閉するための断面楕円形状の回動軸31jが設けられている。回動軸31jは、底蓋31が閉じた場合には、図18Aに示すように、長軸側31j1が水平方向となり、底蓋31が開いた場合には、図18Bに示すように、長軸側31j1が鉛直方向となる。
一方、外筒30には底蓋31の回動軸31jが回動するための軸受孔30uを両端部に有する支持部30sが設けられている。
【0098】
支持部30sの内部には、固定リブ30rが複数設けられている。固定リブ30rは、集塵装置10の底蓋31が開いた際に回動軸31jの長軸側31j1に接触する接触部30r1を有している。固定リブ30rは、接触部30r1が、底蓋31の回動軸31jの長軸側31j1に接触することで、蓋31を開いた状態に固定する
集塵装置10の底蓋31を閉じた際、図18Aに示すように、外筒30の固定リブ30rの接触部30r1は、底蓋31の回動軸31jの短軸側31j2に対向して回動軸31jに非接触となる。
【0099】
一方、図18Bに示すように、集塵装置10の底蓋31を開いた際には、外筒30の固定リブ30rの接触部30r1は、底蓋31の回動軸31jの長軸側31j1に接触し、底蓋31を開いた状態に固定する。この構成により、底蓋を開いた状態に保持するバネを削減することができる。そのため、集塵装置10の部品点数の削減が行え、軽量化を図れる。
【0100】
集塵装置10の内部に溜まった塵埃を捨てるには、利用者は、図15Aに示す底蓋開レバー30vを押す(図15Aの矢印β3)。すると、底蓋31に対する外筒30のロックが外れ、集塵装置10の傘部44が圧縮ばね48(図7C参照)に押圧され、図15Dに示すように、傘部44が外筒30の下方に飛び出す。その勢いで、外筒30の下方の底蓋31(図7C参照)の内部に貯留していた塵埃が下方に排出される。この際、図18Bに示すように、外筒30の固定リブ30rの接触部30r1は、底蓋31の回動軸31jの長軸側31j1に接触し、底蓋31を開いた状態に固定する。そのため、集塵装置10に溜まった塵埃などを円滑に捨てることができる。
【0101】
上記構成によれば、集塵装置10の底蓋31が開いた際に集塵装置10の傘部44が圧縮ばね48(図7C参照)に押圧され、図15Dに示すように、傘部44が外筒30の下方に飛び出す。その勢いで、傘部44内の塵埃などは天板44cやメッシュフィルタ44fに押し出されて、下方に排出される。また、傘部44外に貯留した塵埃なども突出部44gで押し出されて、下方に排出される。そのため、集塵装置10に溜まった塵埃などを円滑に捨てることができる。
【0102】
さらに、摺動凸部46の下面を摺動凸部46の断面と略同等の開口46aにしたことで、摺動凸部46に入った塵埃なども同時に排出される。以上により、外筒30の下方の底蓋31(図7C参照)の内部に貯留していた塵埃などを容易に下方に排出できる。
【0103】
また、集塵装置10に対して上述の内筒クミ49は着脱可能である。これにより、内筒クミ49(図16A、16B参照)全体を水洗いすることができる。
【0104】
また、傘部44はベース板47に対して摺動可能である、かつ、摺動凸部46の下面を開口46aとしたことにより、内筒クミ49を水洗いした時、開口46a(図16Aの矢印β40に排出)から摺動凸部46に侵入した水や塵埃を排出でき、お手入れ性が向上する。
【0105】
また、集塵装置10の底蓋31を閉じる際、傘部44の摺動凸部46に底蓋31が接触し、傘部44をベース板47に対して摺動させながら底蓋31を閉じる。これにより、底蓋31が閉じられた状態では、圧縮ばね48が圧縮されて、傘部44の摺動凸部46が底蓋31の底板31tに当接した状態にある。これにより、摺動凸部46の開口46aから侵入し、直接捕塵フィルタ32に到達する塵埃を抑制することができる。
【0106】
<<その他の実施形態>>
1.なお、前記実施形態では、様々な構成を説明したが、各構成の少なくとも一部を採用してもよい。例えば、説明した各構成を、選択して適宜組み合わせて構成してもよいし、説明した各構成の一つを備える構成としてもよい。
【0107】
2.前記実施形態で説明した構成は、本発明の一例であり、特許請求の範囲で記載した範囲内でその他の様々な形態が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 掃除機本体
1a7 係合孔(被係合部)
10 集塵装置
14 電動送風機
26 ダストケースハンドル(解除機構、ハンドル部材)
27c 軸穴(回動軸)
26d アーム鉤部(係合部)
26e 把持部
26s 把持部を把持する空間
21s 手前の空間
30 外筒
31 底蓋
40 内筒
40a 吸気部
40b 第1のフィルタ
40c 開口
44 傘部
44a 開口
44b 周側板
44c 天板
44f 第2のフィルタ
46 摺動凸部
46a 開口
48 圧縮ばね
O 集塵装置の中心軸
S 電気掃除機
α21 後から前方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16A
図16B
図17
図18A
図18B