(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】人力駆動車用制御装置および人力駆動車の制御システム
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230314BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20230314BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/00
(21)【出願番号】P 2019155720
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 孝彰
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-43661(JP,A)
【文献】特開2018-8557(JP,A)
【文献】特開2018-103798(JP,A)
【文献】特開2010-76509(JP,A)
【文献】特開2019-9897(JP,A)
【文献】特開2018-177186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B62M 6/90
B62J 45/00
B62J 45/411
B62J 45/413
B62J 43/13
B62J 43/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を出力する通信部と、少なくとも1つのバッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記制御部は、
前記少なくとも1つのバッテリユニットが、第1バッテリ状態である場合に、前記通信部が第1出力状態で前記検出情報を出力するように制御し、
前記少なくとも1つのバッテリユニットが、前記第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態である場合に、前記通信部が前記第1出力状態とは異なる第2出力状態で前記検出情報を出力するように、前記通信部を制御
し、
前記第1バッテリ状態における前記少なくとも1つのバッテリユニットのバッテリ残量は第1所定値以上であり、
前記第2バッテリ状態における前記少なくとも1つのバッテリユニットのバッテリ残量は第2所定値未満であり、
前記制御部は、
前記第1バッテリ状態において、前記通信部から第1人力駆動車用電気部品が前記検出情報を受信するように前記通信部を制御し、
前記第2バッテリ状態において、前記通信部から前記第1人力駆動車用電気部品とは異なる第2人力駆動車用電気部品が前記検出情報を受信するように前記通信部を制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバッテリユニットは、第1バッテリユニット、および、第2バッテリユニットを含む、請求項
1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を出力する通信部と、少なくとも1つのバッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記制御部は、
前記少なくとも1つのバッテリユニットが、第1バッテリ状態である場合に、前記通信部が第1出力状態で前記検出情報を出力するように制御し、
前記少なくとも1つのバッテリユニットが、前記第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態である場合に、前記通信部が前記第1出力状態とは異なる第2出力状態で前記検出情報を出力するように、前記通信部を制御
し、
前記第1バッテリ状態における前記少なくとも1つのバッテリユニットのバッテリ残量は第1所定値以上であり、
前記第2バッテリ状態における前記少なくとも1つのバッテリユニットのバッテリ残量は第2所定値未満であり、
前記少なくとも1つのバッテリユニットは、第1バッテリユニット、および、第2バッテリユニットを含む、人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1バッテリ状態において、前記通信部から第1人力駆動車用電気部品が前記検出情報を受信するように前記通信部を制御し、
前記第2バッテリ状態において、前記通信部から前記第1人力駆動車用電気部品とは異なる第2人力駆動車用電気部品が前記検出情報を受信するように前記通信部を制御する、請求項
3に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記少なくとも1つのバッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第1所定値以上である場合に、前記通信部から前記第1人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第1周期で出力するように前記通信部を制御する、請求項
1、2、および、4のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記少なくとも1つのバッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第2所定値未満である場合に、前記通信部から前記第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第2周期で出力するように前記通信部を制御する、請求項
1、2、4、および、5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1バッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第1所定値以上である場合に、前記第1バッテリユニットの電力によって前記通信部から第1人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力するように、前記通信部を制御する、請求項
2または3に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1バッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第2所定値未満および第3所定値より大きい場合に、前記第1バッテリユニットの電力によって前記通信部から第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力するように、前記通信部を制御する、請求項
2、3、および、7のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1バッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第3所定値以下の場合に、前記第2バッテリユニットの電力によって前記通信部から前記第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力するように前記通信部を制御する、請求項8に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項10】
前記通信部は、無線通信可能に構成され、
前記制御部は、前記通信部から前記第1人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第1周波数の無線信号で出力するように前記通信部を制御する、請求項7に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項11】
前記通信部は、無線通信可能に構成され、
前記制御部は、前記通信部から前記第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第2周波数の無線信号で出力するように前記通信部を制御する、請求項8または9に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項12】
前記通信部は、無線通信可能に構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項13】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、第1バッテリユニットと、第2バッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記第1バッテリユニットは、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータに電力を供給可能であり、前記第2バッテリユニットは、前記モータに電力を供給しないように構成され、
前記制御部は、
前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットから前記検出部への電力の供給状態を制御
し、
少なくとも、前記第1バッテリユニットのバッテリ残量に応じて、前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットの一方から前記検出部への電力の供給状態を制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項14】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、第1バッテリユニットと、第2バッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記第1バッテリユニットは、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータに電力を供給可能であり、前記第2バッテリユニットは、前記モータに電力を供給しないように構成され、
前記制御部は、
前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットから前記検出部への電力の供給状態を制御
し、
前記第1バッテリユニットが第1バッテリ状態の場合に、前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力が供給されるように制御し、前記第1バッテリユニットが前記第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態の場合に、前記第2バッテリユニットから前記検出部に電力が供給されるように制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項15】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、第1バッテリユニットと、第2バッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記第1バッテリユニットは、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータに電力を供給可能であり、前記第2バッテリユニットは、前記モータに電力を供給しないように構成され、
前記制御部は、
前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットから前記検出部への電力の供給状態を制御
し、
前記第1バッテリユニットに含まれる第1バッテリ、および、前記第2バッテリユニットに含まれる第2バッテリ、の出力を制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項16】
前記制御部は、少なくとも、前記第1バッテリユニットのバッテリ残量に応じて、前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットの一方から前記検出部への電力の供給状態を制御する、請求項
14または15に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1バッテリユニットが第1バッテリ状態の場合に、前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力が供給されるように制御し、前記第1バッテリユニットが前記第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態の場合に、前記第2バッテリユニットから前記検出部に電力が供給されるように制御する、請求項
13または15に記載の、人力駆動車用制御装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記第1バッテリユニットに含まれる第1バッテリ、および、前記第2バッテリユニットに含まれる第2バッテリ、の出力を制御する、請求項
13または14に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項19】
前記第1バッテリユニット、および、前記第2バッテリユニットの少なくとも一方の前記検出部に対する通電状態を切り替える切替スイッチをさらに含み、
前記制御部は、前記切替スイッチを制御可能である、請求項
13から18のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項20】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、第1バッテリユニットと、第2バッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記第1バッテリユニットは、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータに電力を供給可能であり、前記第2バッテリユニットは、前記モータに電力を供給しないように構成され、
前記制御部は、前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットから前記検出部への電力の供給状態を制御
し、
前記第1バッテリユニット、および、前記第2バッテリユニットの少なくとも一方の前記検出部に対する通電状態を切り替える切替スイッチをさらに含み、
前記制御部は、前記切替スイッチを制御可能である、人力駆動車用制御装置。
【請求項21】
前記切替スイッチは、前記第2バッテリユニットの前記検出部に対する通電状態を切り替えるように構成され、
前記制御部は、前記切替スイッチを制御する、請求項
19または20に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項22】
前記検出部は、前記人力駆動車に入力されるトルクを検出するトルク検出部、前記人力駆動車に備わるクランクアームの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部、前記人力駆動車に入力される仕事量を検出するパワーメータ、および、前記人力駆動車の走行速度を検出する車速センサ、のうち少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記検出部を制御する、請求項
13から21のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項23】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を異なる複数の周波数の信号で出力可能な通信部と、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記検出部は、前記人力駆動車に入力されるトルクを検出するトルク検出部、前記人力駆動車に備わるクランクアームの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部、および、前記人力駆動車に入力される仕事量を検出するパワーメータ、のうち少なくとも1つを含
み、
前記異なる複数の周波数の信号は、第1周波数の第1信号と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号と、を含み、
前記通信部は、前記第1信号と前記第2信号とを出力可能であり、
前記制御部は、前記人力駆動車に関する状態に応じて、前記第1信号および前記第2信号の少なくとも一方を前記通信部から出力するように前記通信部を制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項24】
前記制御部は、前記人力駆動車に設けられる第1バッテリユニットのバッテリ状態に応じて前記通信部を制御する、請求項
23に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項25】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を異なる複数の周波数の信号で出力可能な通信部と、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記検出部は、前記人力駆動車に入力されるトルクを検出するトルク検出部、前記人力駆動車に備わるクランクアームの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部、および、前記人力駆動車に入力される仕事量を検出するパワーメータ、のうち少なくとも1つを含
み、
前記異なる複数の周波数の信号は、第1周波数の第1信号と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号と、を含み、
前記通信部は、前記第1信号と前記第2信号とを出力可能であり、
前記制御部は、
前記人力駆動車に設けられる第1バッテリユニットのバッテリ状態に応じて前記通信部を制御し、
前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給する場合に、前記通信部が前記第1信号を出力するように前記通信部を制御し、
前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給しない場合に、前記通信部が前記第2信号を出力するように前記通信部を制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項26】
人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、
前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を異なる複数の周波数の信号で出力可能な通信部と、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、
前記検出部は、前記人力駆動車に入力されるトルクを検出するトルク検出部、前記人力駆動車に備わるクランクアームの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部、および、前記人力駆動車に入力される仕事量を検出するパワーメータ、のうち少なくとも1つを含
み、
前記異なる複数の周波数の信号は、第1周波数の第1信号と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号と、を含み、
前記通信部は、前記第1信号と前記第2信号とを出力可能であり、
前記制御部は、
前記人力駆動車に設けられる第1バッテリユニットのバッテリ状態に応じて前記通信部を制御し、
前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給しない場合、前記第1バッテリユニットとは異なる第2バッテリユニットから前記検出部に電力を供給するように、前記第1バッテリユニット、および、前記第2バッテリユニットの少なくとも一方を制御する、人力駆動車用制御装置。
【請求項27】
前記制御部は、前記人力駆動車に関する状態に応じて、前記第1信号および前記第2信号の少なくとも一方を前記通信部から出力するように前記通信部を制御する、請求項
25または26に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項28】
前記制御部は、
前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給する場合に、前記通信部が前記第1信号を出力するように前記通信部を制御し、
前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給しない場合に、前記通信部が前記第2信号を出力するように前記通信部を制御する、請求項
24または26に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項29】
前記制御部は、前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給しない場合、前記第1バッテリユニットとは異なる第2バッテリユニットから前記検出部に電力を供給するように、前記第1バッテリユニット、および、前記第2バッテリユニットの少なくとも一方を制御する、請求項
24または25に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項30】
前記通信部は、無線通信可能に構成され、
前記制御部は、前記通信部を制御する、請求項
23から29のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項31】
前記第1信号の出力周期は、前記第2信号の出力周期よりも短い、請求項
23から30のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項32】
人力駆動車の制御システムであって、
第1通信部を含む第1人力駆動車用電気部品と、第2通信部を含む第2人力駆動車用電気部品と、前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を無線で出力する通信部と、の少なくとも1つを制御する制御部、を含み、
前記制御部は、
前記通信部が、第1周波数の第1信号で前記第1通信部と通信する第1通信状態と、
前記通信部が、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号で前記第2通信部と通信する第2通信状態とを切り替える、人力駆動車の制御システム。
【請求項33】
前記第1人力駆動車用電気部品は、人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、
前記第2人力駆動車用電気部品は、時刻情報、位置情報、人力駆動車の走行状態に関する走行状態情報、および、人力駆動車に搭乗する搭乗者の生体情報、のうち少なくとも1つを表示可能な表示部を含む、請求項
32に記載の人力駆動車の制御システム。
【請求項34】
前記第1通信部と、前記第2通信部は、互いに通信可能である、請求項
32または
33に記載の人力駆動車の制御システム。
【請求項35】
前記第1人力駆動車用電気部品、および、前記検出部に電力の供給が可能な第1バッテリユニットと、
前記検出部に電力の供給が可能であり、かつ、前記第1人力駆動車用電気部品に電力を供給しない、第2バッテリユニットと、をさらに含む、請求項
32から
34のいずれか一項に記載の人力駆動車の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用制御装置および人力駆動車の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人力駆動車の制御に関して、電動アシスト自転車の制御が開示されている。電動アシスト自転車は、ビークルコントローラ、トルクセンサ、および表示コントローラを含む。ビークルコントローラは、トルクセンサにより踏力を検出して、モータユニットを制御する。さらに、ビークルコントローラは、トルクセンサにより検出された踏力と、クランク回転角度とに基づいて仕事量を算出して、算出された仕事量からカロリーを算出して、カロリーを表示コントローラに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリの状態に応じて通信部の出力状態または検出部への電力供給状態を好適に制御することが望まれる。バッテリの状態に応じて通信部の出力状態または検出部への電力供給状態を好適に制御できる人力駆動車用制御装置および人力駆動車の制御システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を出力する通信部と、少なくとも1つのバッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、前記制御部は、前記少なくとも1つのバッテリユニットが、第1バッテリ状態である場合に、前記通信部が第1出力状態で前記検出情報を出力するように制御し、前記少なくとも1つのバッテリユニットが、前記第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態である場合に、前記通信部が前記第1出力状態とは異なる第2出力状態で前記検出情報を出力するように、前記通信部を制御する。
第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、バッテリ状態に応じて好適に通信部を制御することができる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1バッテリ状態における前記少なくとも1つのバッテリユニットのバッテリ残量は第1所定値以上であり、前記第2バッテリ状態における前記少なくとも1つのバッテリユニットのバッテリ残量は第2所定値未満である。
第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、バッテリ状態に応じて好適に通信部を制御することができる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリ状態において、前記通信部から第1人力駆動車用電気部品が前記検出情報を受信するように前記通信部を制御し、前記第2バッテリ状態において、前記通信部から前記第1人力駆動車用電気部品とは異なる第2人力駆動車用電気部品が前記検出情報を受信するように前記通信部を制御する。
第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、バッテリ状態に応じて、検出情報を出力する人力駆動車用電気部品を切り替えることができる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記少なくとも1つのバッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第1所定値以上である場合に、前記通信部から前記第1人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第1周期で出力するように前記通信部を制御する。
第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、バッテリ状態に応じて、所定態様で、第1人力駆動車用電気部品に検出情報を出力できる。
【0009】
本開示の第3または第4側面に従う第5側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記少なくとも1つのバッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第2所定値未満である場合に、前記通信部から前記第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第2周期で出力するように前記通信部を制御する。
第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、バッテリ状態に応じて、所定態様で、第2人力駆動車用電気部品に検出情報を出力できる。
【0010】
本開示の第2から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の人力駆動車用制御装置において、前記少なくとも1つのバッテリユニットは、第1バッテリユニット、および、第2バッテリユニットを含む。
第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、バッテリユニットは、2つのバッテリによって構成される。
【0011】
本開示の第6側面に従う第7側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第1所定値以上である場合に、前記第1バッテリユニットの電力によって前記通信部から第1人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力するように、前記通信部を制御する。
第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1バッテリユニットのバッテリ残量が第1所定値以上である場合に、第1バッテリユニットの電力によって通信部を動作させて、通信部から第1人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力する。
【0012】
本開示の第6または第7側面に従う第8側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第2所定値未満および第3所定値より大きい場合に、前記第1バッテリユニットの電力によって前記通信部から第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力するように、前記通信部を制御する。
第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1バッテリユニットのバッテリ残量が第2所定値未満であって第3所定値よりも大きい場合に、第1バッテリユニットの電力によって通信部を動作させて、通信部から第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力する。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリユニットの前記バッテリ残量が前記第3所定値以下の場合に、前記第2バッテリユニットの電力によって前記通信部から前記第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を出力するように前記通信部を制御する。
第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1バッテリユニットのバッテリ残量が第3所定値以下である場合に、第2バッテリユニットの電力によって通信部を動作させて、通信部から第2人力駆動車用電気部品に検出情報を出力する。
【0014】
本開示の第7側面に従う第10側面の人力駆動車用制御装置において、前記通信部は、無線通信可能に構成され、前記制御部は、前記通信部から前記第1人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第1周波数の無線信号で出力するように前記通信部を制御する。
第10側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、第1人力駆動車用電気部品に検出情報を第1周波数の無線信号で出力する。
【0015】
本開示の第8または第9側面に従う第11側面の人力駆動車用制御装置において、前記通信部は、無線通信可能に構成され、前記制御部は、前記通信部から前記第2人力駆動車用電気部品に前記検出情報を第2周波数の無線信号で出力するように前記通信部を制御する。
第11側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、第2人力駆動車用電気部品に検出情報を第2周波数の無線信号で出力する。
【0016】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第12側面の人力駆動車用制御装置において、前記通信部は、無線通信可能に構成される。
第12側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部と通信する装置の配置の自由度を高めることができる。
【0017】
本開示の第13側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、第1バッテリユニットと、第2バッテリユニットと、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、前記第1バッテリユニットは、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータに電力を供給可能であり、前記第2バッテリユニットは、前記モータに電力を供給しないように構成され、前記制御部は、前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットから前記検出部への電力の供給状態を制御する。
第13側面の人力駆動車用制御装置によれば、検出部への電力の供給状態を好適に切り替えできる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、少なくとも、前記第1バッテリユニットのバッテリ残量に応じて、前記第1バッテリユニットおよび前記第2バッテリユニットの一方から前記検出部への電力の供給状態を制御する。
第14側面の人力駆動車用制御装置によれば、検出部への電力の供給状態を好適に切り替えできる。
【0019】
本開示の第13または第14側面に従う第15側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリユニットが第1バッテリ状態の場合に、前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力が供給されるように制御し、前記第1バッテリユニットが前記第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態の場合に、前記第2バッテリユニットから前記検出部に電力が供給されるように制御する。
第15側面の人力駆動車用制御装置によれば、検出部への電力の供給状態を好適に切り替えできる。
【0020】
本開示の第13から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリユニットに含まれる第1バッテリ、および、前記第2バッテリユニットに含まれる第2バッテリ、の出力を制御する。
第16側面の人力駆動車用制御装置によれば、検出部への電力の供給状態を好適に切り替えできる。
【0021】
本開示の第13から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1バッテリユニット、および、前記第2バッテリユニットの少なくとも一方の前記検出部に対する通電状態を切り替える切替スイッチをさらに含み、前記制御部は、前記切替スイッチを制御可能である。
第17側面の人力駆動車用制御装置によれば、切替スイッチの制御によって、検出部の電力供給元を切り替えることができる。
【0022】
本開示の第17側面に従う第18側面の人力駆動車用制御装置において、前記切替スイッチは、前記第2バッテリユニットの前記検出部に対する通電状態を切り替えるように構成され、前記制御部は、前記切替スイッチを制御する。
第18側面の人力駆動車用制御装置によれば、切替スイッチの制御によって、第2バッテリから検出部への電力供給を切り替えることができる。
【0023】
本開示の第13から第18側面のいずれか1つに従う第19側面の人力駆動車用制御装置において、前記検出部は、前記人力駆動車に入力されるトルクを検出するトルク検出部、前記人力駆動車に備わるクランクアームの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部、前記人力駆動車に入力される仕事量を検出するパワーメータ、および、前記人力駆動車の走行速度を検出する車速センサ、のうち少なくとも1つを含み、前記制御部は、前記検出部を制御する。
第19側面の人力駆動車用制御装置によれば、制御部は、これら検出部を制御する。
【0024】
本開示の第20側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に関する制御を行う人力駆動車用制御装置であって、前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を異なる複数の周波数の信号で出力可能な通信部と、を備える前記人力駆動車に関する制御を行う制御部、を含み、前記検出部は、前記人力駆動車に入力されるトルクを検出するトルク検出部、前記人力駆動車に備わるクランクアームの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部、および、前記人力駆動車に入力される仕事量を検出するパワーメータ、のうち少なくとも1つを含む。
第20側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、異なる複数の周波数の信号で検出情報を出力できる。
【0025】
本開示の第20側面に従う第21側面の人力駆動車用制御装置において、前記通信部は、無線通信可能に構成され、前記制御部は、前記通信部を制御する。
第21側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、無線によって異なる複数の周波数の信号で検出情報を出力できる。
【0026】
本開示の第20または第21側面に従う第22側面の人力駆動車用制御装置において、前記異なる複数の周波数の信号は、第1周波数の第1信号と、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号と、を含み、前記通信部は、前記第1信号と前記第2信号とを出力可能である。
第22側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、第1周波数の第1信号と、第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号とを出力できる。
【0027】
本開示の第22側面に従う第23側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1信号の出力周期は、前記第2信号の出力周期よりも短い。
第23側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、出力周期が異なる2つの通信態様で通信できる。
【0028】
本開示の第22または第23側面に従う第24側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車に関する状態に応じて、前記第1信号および前記第2信号の少なくとも一方を前記通信部から出力するように前記通信部を制御する。
第24側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、人力駆動車に関する状態に応じて、第1信号および第2信号の少なくとも一方を出力できる。
【0029】
本開示の第22から第24側面のいずれか1つに従う第25側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車に設けられる第1バッテリユニットのバッテリ状態に応じて前記通信部を制御する。
第25側面の人力駆動車用制御装置によれば、通信部は、第1バッテリユニットのバッテリ状態に応じて動作する。
【0030】
本開示の第25側面に従う第26側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給する場合に、前記通信部が前記第1信号を出力するように前記通信部を制御し、前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給しない場合に、前記通信部が前記第2信号を出力するように前記通信部を制御する。
第26側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1バッテリユニットから検出部への電力供給状態に応じて、通信部の出力形態を変更できる。
【0031】
本開示の第25または第26側面に従う第27側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1バッテリユニットから前記検出部に電力を供給しない場合、前記第1バッテリユニットとは異なる第2バッテリユニットから前記検出部に電力を供給するように、前記第1バッテリユニット、および、前記第2バッテリユニットの少なくとも一方を制御する。
第27側面の人力駆動車用制御装置によれば、第1バッテリユニットから検出部に電力を供給しない場合、第2バッテリユニットから検出部に電力を供給できる。
【0032】
本開示の第28側面に従う人力駆動車の制御システムは、人力駆動車の制御システムであって、第1通信部を含む第1人力駆動車用電気部品と、第2通信部を含む第2人力駆動車用電気部品と、前記人力駆動車に関する情報を検出する検出部と、前記検出部からの検出情報を無線で出力する通信部と、の少なくとも1つを制御する制御部、を含み、前記制御部は、前記通信部が、第1周波数の第1信号で前記第1通信部と通信する第1通信状態と、前記通信部が、前記第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号で前記第2通信部と通信する第2通信状態とを切り替える。
第28側面の人力駆動車の制御システムによれば、通信部は、第1人力駆動車用電気部品および第2人力駆動車用電気部品と異なる態様で通信できる。
【0033】
本開示の第28側面に従う第29側面の人力駆動車の制御システムにおいて、前記第1人力駆動車用電気部品は、人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、前記第2人力駆動車用電気部品は、時刻情報、位置情報、人力駆動車の走行状態に関する走行状態情報、および、人力駆動車に搭乗する搭乗者の生体情報、のうち少なくとも1つを表示可能な表示部を含む。
第29側面の人力駆動車の制御システムによれば、通信部は、モータおよび表示部を含む情報端末と異なる態様で通信できる。
【0034】
本開示の第28または第29側面に従う第30側面の人力駆動車の制御システムにおいて、前記第1通信部と、前記第2通信部は、互いに通信可能である。
第30側面の人力駆動車の制御システムによれば、第1人力駆動車用電気部品と第2人力駆動車用電気部品とは互いに通信できる。
【0035】
本開示の第28から第30側面のいずれか1つに従う第31側面の人力駆動車の制御システムにおいて、前記第1人力駆動車用電気部品、および、前記検出部に電力の供給が可能な第1バッテリユニットと、前記検出部に電力の供給が可能であり、かつ、前記第1人力駆動車用電気部品に電力を供給しない、第2バッテリユニットと、をさらに含む。
第31側面の人力駆動車の制御システムによれば、第1バッテリユニットは、第1人力駆動車用電気部品、および、検出部に電力を供給できる。第2バッテリユニットは、検出部に電力を供給できる。
【発明の効果】
【0036】
本開示の人力駆動車用制御装置および制御システムは、バッテリの状態に応じて通信部の出力状態または検出部への電力供給状態を好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1実施形態の人力駆動車用制御装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図2】第1実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系の電力配線図。
【
図3】第1実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系のブロック図。
【
図4】第1実施形態のバッテリ制御部が実行するバッテリ制御処理のフローチャート。
【
図5】第1実施形態の人力駆動車用制御装置のバッテリユニットのバッテリ残量について、第1所定値と第2所定値との関係を示す図。
【
図6】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部が実行する通信部制御処理のフローチャート。
【
図7】第1実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部が実行する通信部制御処理の他の例のフローチャート。
【
図8】第2実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系の電力配線図。
【
図9】第2実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系のブロック図。
【
図10】第2実施形態のバッテリ制御部が実行するバッテリ制御処理のフローチャート。
【
図11】第2実施形態の人力駆動車用制御装置の第1バッテリユニットのバッテリ残量について、第1所定値と第2所定値と第3所定値との関係を示す図。
【
図12】第2実施形態の人力駆動車用制御装置の制御部が実行する通信部制御処理のフローチャート。
【
図13】第3実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系の電力配線図。
【
図14】第3実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系のブロック図。
【
図15】第4実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系の電力配線図。
【
図16】第4実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系のブロック図。
【
図17】第5実施形態の人力駆動車用制御装置および複数のコンポーネントを含む系の電力配線図。
【
図18】第5実施形態の人力駆動車の制御システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<第1実施形態>
図1から
図7を参照して、第1実施形態の人力駆動車用制御装置について説明する。人力駆動車用制御装置2は、人力駆動車4に関する制御を行う人力駆動車用制御装置である。人力駆動車用制御装置2は人力駆動車4に設けられる。人力駆動車4は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。
【0039】
人力駆動車用制御装置2は、人力駆動車4に関する制御を行う制御部6を含む。人力駆動車4は、人力駆動車用制御装置2によって制御されるコンポーネントを含む。具体的には、人力駆動車4は、人力駆動車4に関する情報を検出する検出部10と、検出部10からの検出情報を出力する通信部12と、少なくとも1つのバッテリユニット14と、を備える。人力駆動車用制御装置2は、このような人力駆動車4に設けられる。
【0040】
検出部10、通信部12、および、少なくとも1つのバッテリユニット14は、人力駆動車用制御装置2によって制御されるコンポーネントに含まれる。少なくとも1つのバッテリユニット14は、第1バッテリユニット14Aと、および第2バッテリユニット14Bと、を含んでいてもよい(第2実施形態を参照)。さらに、人力駆動車4は、人力駆動車4に推進力を付与するように構成されるモータ16を含んでもよい。
【0041】
人力駆動車4は、変速機17を含んでもよい。変速機17は、電動変速機を含む。電動変速機は、本体部と、電動アクチュエータとを含む。
【0042】
人力駆動車用制御装置2は、表示部18dを有するコンピュータ18と接続可能であってもよい。コンピュータ18は、サイクルコンピュータ60、スマートフォン、携帯電話、および、スマートウォッチを含む。コンピュータ18は、人力駆動車4に搭載可能であってもよい。コンピュータ18は、時刻情報、位置情報、人力駆動車4の走行状態に関する走行状態情報、および、人力駆動車4に搭乗する搭乗者の生体情報、のうち少なくとも1つを取得可能であることが好ましい。コンピュータ18の表示部18dは、時刻情報、位置情報、人力駆動車4の走行状態に関する走行状態情報、および、人力駆動車4に搭乗する搭乗者の生体情報、のうち少なくとも1つを表示可能であることが好ましい。走行状態情報は、走行速度、走行距離、所定距離内における走行速度平均速度、ケイデンス、変速比率、人力駆動車4のフレーム22の上下の加速度、人力駆動車4のフレーム22の左右の加速度、進行方向に対する加速度、踏力に関するトルク、人力駆動車4の傾斜角度、および、バッテリ残量を含む。
【0043】
人力駆動車4の具体例を説明する。
人力駆動車4は、少なくとも1つの車輪20を含む。少なくとも1つの車輪20は、後輪20Aと、前輪20Bと、を含む。後輪20Aは、フレーム22に支持される。後輪20Aは、クランク24が回転することによって駆動される。
【0044】
人力駆動車4は、フレーム22と、クランク24とを含んでもよい。クランク24は、フレーム22に対して回転可能なクランク軸24Aと、クランク軸24Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム24Bとを含む。各クランクアーム24Bには、ペダル30がそれぞれ連結される。
【0045】
クランク24と後輪20Aとは、駆動機構32によって連結される。駆動機構32は、第1回転体34、第2回転体36、および、伝達部材38を含む。クランク軸24Aと第1回転体34とは、相対回転可能に構成されていてもよい。クランク軸24Aと第1回転体34とは、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク24が第1方向に回転すると、第1回転体34が第1方向に回転し、クランク24が第2方向に回転すると、クランク24に対する第1回転体34の相対回転を許容するように構成されてもよい。第1回転方向は、人力駆動車4が前方に進むときの回転方向であり、第2回転方向は、第1回転方向の反対方向を示す。第1回転体34は、1枚または複数枚のスプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。クランク軸24Aと第1回転体34とは、相対回転しないように構成されていてもよい。伝達部材38は、第1回転体34の回転力を第2回転体36に伝達する。伝達部材38は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0046】
第2回転体36は、後輪20Aに連結される。第2回転体36は、1枚または複数枚のスプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体36と後輪20Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体36が第3方向に回転すると後輪20Aが第3方向に回転し、第2回転体36が第4方向に回転すると、後輪20Aに対する第2回転体36の相対回転を許容するように構成されてもよい。第3回転方向は、人力駆動車4が前方に進むときの回転方向であり、第4回転方向は、第3回転方向の反対方向を示す。
【0047】
フレーム22には、フロントフォーク40を介して前輪20Bが取り付けられている。フロントフォーク40には、ハンドルバー42がステム44を介して連結されている。本実施形態では、後輪20Aが駆動機構32によってクランク24に連結されるが、後輪20Aおよび前輪20Bの少なくとも1つが、駆動機構32によってクランク24に連結されてもよい。
【0048】
検出部10は、人力駆動車4に関する情報を検出する。検出部10は、検出した情報を検出情報として通信部12に出力する。
人力駆動車4に関する情報は、人力駆動車4の走行に関する情報を含む。人力駆動車4に関する情報は、走行速度、走行距離、所定距離内における走行速度平均速度、ケイデンス、変速比率、人力駆動車4のフレーム22の上下の加速度、人力駆動車4のフレーム22の左右の加速度、進行方向に対する加速度、踏力に関するトルク、および、人力駆動車4の傾斜角度を含む。トルクは、クランク24に入力される人力トルクを含む。クランク24に入力される人力トルクは、ペダル30で検知する人力トルク、クランク軸24Aで検知する人力トルク、および、クランクアーム24Bで検知する人力トルクを含む。ケイデンスは、ケイデンス推定値、および、検出部10によって検出されるケイデンス実測値の少なくとも一方を含む。ケイデンス推定値は、車輪20の回転速度と、第1回転体34と第2回転体36との変速比率と、に基づいて算出される。ケイデンス実測値は、検出部10によって検出される、クランク軸24Aの回転速度、および、クランクアーム24Bの回転速度の少なくとも一方を含む。
【0049】
検出部10は、人力駆動車4に入力されるトルクを検出するトルク検出部52、クランク軸24Aまたはクランクアーム24Bの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部54、人力駆動車4に入力される仕事量を検出するパワーメータ55、および、人力駆動車4の走行速度を検出する車速センサ48のうち少なくとも1つを含む。
【0050】
トルク検出部52は、一例では、クランク軸24Aに入力される人力駆動力のトルクを検出する。トルク検出部52は、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルク検出部52は、動力伝達経路、または、動力伝達経路に含まれる部材の近傍に含まれる部材に設けられる。動力伝達経路に含まれる部材は、例えば、クランク軸24A、クランク軸24Aと第1回転体34との間において人力駆動力を伝達する部材、クランクアーム24B、または、ペダル30である。人力駆動力は、人力駆動力の仕事率を含んでいてもよい。この場合、トルク検出部52によって検出されたトルクとケイデンス検出部54によって検出されたクランク軸24Aの回転速度とを乗算した値が仕事率である。
【0051】
車速センサ48は、一例では、人力駆動車4の車輪20に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ48は、人力駆動車4の車輪20の回転速度を検出するために用いられる。車速センサ48は、車輪20の回転速度に応じた信号を出力する。車速センサ48は、好ましくは、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含む。車速センサ48は、人力駆動車4のフレーム22のチェーンステイに取り付けられ、後輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク40に設けられ、前輪20Bに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。一例では、車速センサ48は、車輪20に設けられる1つの磁石と、磁石の磁気検出部と、センサ演算部とを備える。車速センサ48のセンサ演算部は、所定時間における磁石の検出頻度と、車輪20の円周との乗算とによって所定時間あたりの走行距離を算出し、走行距離を所定時間で除算することによって、走行速度を求める。車輪20には、複数の磁石が設けられてもよい。この場合、磁石は、円周方向に等間隔に配置される。他の例では、車速センサ48は、位置検出システムを利用して走行速度を求めるものであってもよい。一例では、車速センサ48は、GPS(Global Positioning System)を利用する装置を含む。この例では、車速センサ48は、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチを含み、これらに設けられるGPS機能を用いて所定時間あたりの自転車の移動距離から、走行速度を求める。
【0052】
ケイデンス検出部54は、クランク軸24Aまたはクランクアーム24Bの回転速度を検出するために用いられる。ケイデンス検出部54は、例えば、人力駆動車4のフレーム22に取り付けられる。ケイデンス検出部54は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸24A、クランク軸24Aに連動して回転する部材、または、クランク軸24Aから第1回転体34までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク軸24Aに連動して回転する部材は、モータ16の出力軸を含む。ケイデンス検出部54は、クランク軸24Aの回転速度に応じた信号を出力する。磁石は、クランク軸24Aから第1回転体34までの人力駆動力の動力伝達経路において、クランク軸24Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、磁石は、クランク軸24Aと第1回転体34との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体34に設けられてもよい。ケイデンス検出部54は、磁気センサに代えて、光学センサを含んでいてもよい。
【0053】
パワーメータ55は、クランク軸24A、クランクアーム24B、後輪20Aのハブ、および、ペダル30のうち少なくとも1つに取り付けられる。パワーメータ55は、パワーメータ55が取り付けられる部品の歪を測定することによって、仕事量を検出する。
【0054】
通信部12は、上述のように検出部10からの検出情報を出力する。通信部12は、検出部10に設けられてもよい。通信部12は、検出部10とは独立した部品として構成されてもよい。通信部12は、通信相手と無線または有線で通信する。通信部12の通信は、通信相手との情報の送受信、および、通信相手を特定しない出力を含む。通信相手を特定しない出力とは、情報を受け得る1または複数の通信相手が存在する場合に、相互の通信を形成せずに通信相手が受信可能な出力状態で情報を出力することを示す。通信部12が出力状態を変えることによって、通信部12は所定の通信相手に検出情報を伝える。通信部12は、制御部6によって出力状態が制御される。
【0055】
通信部12は、制御部6の指令を受ける。通信部12は、制御部6の指令によって出力状態を変更する。通信部12は、複数の出力状態を有する。例えば、通信部12は、第1出力状態と、第2出力状態とを有する。出力状態の例を以下に挙げる。
【0056】
第1例では、通信部12は、無線で信号を出力する第1出力状態と第2出力状態とを有し、第1出力状態では第1強度の信号を出力し、第2出力状態では、第1強度よりも弱い第2強度の信号を出力する。この場合、第1出力状態の消費電力は、第2出力状態の消費電力よりも小さい。
【0057】
第2例では、通信部12は、無線で信号を出力する第1出力状態と第2出力状態とを有し、第1出力状態では第1周波数の信号を出力し、第2出力状態では、第1周波数よりも低い第2周波数の信号を出力する。
【0058】
第3の例では、通信部12は、無線で信号を出力する第1出力状態と第2出力状態とを有し、第1出力状態では信号を第1周期で出力し、第2出力状態では、信号を第1周期よりも長い第2周期で出力する。この場合、第2出力状態の消費電力は、第1出力状態の消費電力よりも小さい。
【0059】
図2に示されるように、バッテリユニット14は、少なくとも、制御部6、モータ16、検出部10、および通信部12に電力を供給する。バッテリユニット14は、他のコンポーネントにも電力を供給してもよい。一例では、バッテリユニット14は、他のコンポーネントとしてコンピュータ18に電力を供給する。バッテリユニット14は、バッテリ内蔵のコンポーネントに電力を供給してもよいし、電力を供給しなくてもよい。バッテリユニット14のバッテリ残量は制御部6によって管理される。バッテリユニット14は、制御部6にバッテリ残量またはバッテリ残量に関する情報を出力する。バッテリ残量に関する情報は、バッテリユニット14の端子間電圧を含む。
【0060】
図3に示されるように、バッテリユニット14は、バッテリ本体14aと、バッテリ制御部14bと、バッテリ通信部14cとを含む。バッテリ本体14aは、2次電池を含む。バッテリユニット14は、充電可能に構成される。
【0061】
バッテリ制御部14bは、バッテリユニット14のバッテリ残量を算出する。バッテリ制御部14bは、バッテリ残量を管理する。バッテリ残量は、一例では、満充電容量に対する放電容量の比として定義され、パーセンテージで示される。バッテリ残量は、放電容量と満充電容量とに基づいて算出され得る。また、バッテリ残量は、バッテリ残量と、バッテリ本体14aの端子電圧とを関係づける関係式または放電マップに基づいて、算出されてもよい。一例では、バッテリ制御部14bは、バッテリ残量とバッテリ本体14aの端子電圧との関係を示す放電マップを有し、放電マップと端子電圧とに基づいてバッテリ残量を算出する。バッテリ制御部14bは、バッテリ通信部14cを介して、制御部6にバッテリ残量を出力する。
【0062】
バッテリ制御部14bは、人力駆動車4の走行状態に関する走行状態情報を収集してもよい。本実施形態では、バッテリ制御部14bは、バッテリ通信部14cを介して、人力駆動車4の走行状態に関する走行状態情報を収集する。例えば、バッテリ制御部14bは、バッテリ通信部14cを介してモータ制御部16cから情報としてのトルクを取得する。さらに、バッテリ制御部14bは、バッテリ通信部14cを介して車速センサ48から情報としての走行速度を取得する。さらに、バッテリ制御部14bは、人力駆動車4に設けられる操作装置からアシストに関するモード情報を取得してもよい。モード情報は、通常アシストモード、および、歩行モードを含む。
【0063】
バッテリ制御部14bは、バッテリ通信部14cによって、収集した走行状態情報の全部または一部を他のコンポーネントに出力する。一例では、バッテリ制御部14bは、収集した走行状態情報の全部または一部をバッテリ通信部14cを介して第2人力駆動車用電気部品58に出力する。
【0064】
バッテリ制御部14bは、バッテリ残量に基づいて電力供給先を制限する。本実施形態では、バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値以上であるとき、電力供給先を制限しない。バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値未満であるとき、電力供給先からモータ16を除外し、モータ16への電力供給を停止する。バッテリ制御部14bは、一例では、モータ16とバッテリユニット14との間に設けられる電力遮断スイッチ63を操作することによってモータ16への電力供給を停止する。
【0065】
バッテリ通信部14cは、通信相手と無線通信可能に構成されてもよく、通信相手と有線によって通信可能に構成されてもよい。また、バッテリ通信部14cは、通信相手と電力線を介して通信可能に構成されてもよい。電力線を介する通信は、電力線通信とも呼ばれる。バッテリ通信部14cは、通信相手からの要求に応じて情報を通信相手に出力してもよい。バッテリ通信部14cは、通信相手の要求の有無に関係なく、周期的に情報を出力してもよい。
【0066】
図3から
図7を参照して、制御部6を説明する。
制御部6は、各種の演算および判定を行い、指令を出力する。制御部6は、バッテリユニット14からバッテリ残量を取得する。制御部6は、バッテリ残量に基づいて各種の判定を行い、判定に基づいて検出部10の通信部12に指令を出す。
【0067】
制御部6は、バッテリユニット14からバッテリ残量に関する情報を取得して、バッテリ残量に関する情報に基づいてバッテリ残量を算出してもよい。バッテリ残量に関する情報は、バッテリ本体14aの端子電圧を含む。制御部6は、バッテリ残量とバッテリ本体14aの端子電圧との関係を示す放電マップを有し、放電マップと端子電圧とに基づいてバッテリ残量を算出する。このように制御部6がバッテリ残量を算出する場合、バッテリ制御部14bはバッテリ残量を算出しなくてもよい。
【0068】
人力駆動車4に複数のバッテリユニット14が設けられている場合、制御部6は、複数のバッテリユニット14それぞれからバッテリ残量を取得する。制御部6は、複数のバッテリユニット14それぞれからバッテリ残量に関する情報を取得してもよい。制御部6は、複数のバッテリユニット14それぞれのバッテリ残量に関する情報に基づいて、複数のバッテリユニット14全体としてのバッテリ残量を算出してもよい。
【0069】
制御部6は、バッテリ残量に基づいてバッテリ状態を判定する。バッテリ状態は、バッテリユニット14のバッテリ残量の状態を示す。バッテリ状態は、第1バッテリ状態と、第2バッテリ状態とを含む。第2バッテリ状態は、第1バッテリ状態と異なる状態である。本実施形態では、第2バッテリ状態は、第1バッテリ状態よりもバッテリ残量が少ない状態を示す。
【0070】
制御部6は、少なくとも1つのバッテリユニット14が、第1バッテリ状態である場合に、通信部12が第1出力状態で検出情報を出力するように制御する。制御部6は、少なくとも1つのバッテリユニット14が、第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態である場合に、通信部12が第1出力状態とは異なる第2出力状態で検出情報を出力するように、通信部12を制御する。
【0071】
第1バッテリ状態および第2バッテリ状態は、次のように定義できる。第1バッテリ状態における少なくとも1つのバッテリユニット14のバッテリ残量は第1所定値以上である。第2バッテリ状態における少なくとも1つのバッテリユニット14のバッテリ残量は第2所定値未満である。本実施形態では、第1所定値は、第2所定値よりも大きい。第1所定値は、第2所定値と等しい値であってもよい。第1所定値が第2所定値よりも大きい場合、バッテリユニット14はさらに第3バッテリ状態を有する。この場合、第3バッテリ状態における少なくとも1つのバッテリユニット14のバッテリ残量は、第2所定値以上かつ第1所定値未満である。
【0072】
人力駆動車4に複数のバッテリユニット14が設けられている場合では、第1バッテリ状態および第2バッテリ状態は、次のように定義されてもよい。複数のバッテリユニット14のうち所定数以上のバッテリユニット14のバッテリ残量が第1所定値以上である場合、複数のバッテリユニット14は、第1バッテリ状態であると定義されてもよい。複数のバッテリユニット14のうち所定数未満のバッテリユニット14のバッテリ残量が第2所定値未満である場合、複数のバッテリユニット14は、第2バッテリ状態であると定義されてもよい。第1所定値が第2所定値よりも大きい場合、第3バッテリ状態は、第1バッテリ状態以外の状態であり、かつ、第2バッテリ状態以外の状態となるバッテリ状態である。
【0073】
制御部6は、第1バッテリ状態において、通信部12から第1人力駆動車用電気部品56が検出情報を受信するように通信部12を制御してもよい。「第1人力駆動車用電気部品56が検出情報を受信するように通信部12を制御する」とは、第1人力駆動車用電気部品56が受信可能な出力状態の検出情報を出力するように、通信部12を制御することを示す。
【0074】
一例では、第1人力駆動車用電気部品56が第1出力状態の検出情報を取得できるように構成されている場合において、制御部6は、通信部12が第1出力状態の検出情報を出力するように通信部12を制御する。第1出力状態の一例は、出力周期が第1周期となるような出力形態である。
【0075】
具体的には、第1人力駆動車用電気部品56は、第1周期で出力される信号を受信できる場合において、制御部6は、少なくとも1つのバッテリユニット14のバッテリ残量が第1所定値以上である場合に、通信部12から第1人力駆動車用電気部品56に検出情報を第1周期で出力するように通信部12を制御する。この例において、バッテリ残量が第1所定値以上である状態は、第1バッテリ状態に対応する。
【0076】
制御部6は、第2バッテリ状態において、通信部12から第1人力駆動車用電気部品56とは異なる第2人力駆動車用電気部品58が検出情報を受信するように通信部12を制御してもよい。「第2人力駆動車用電気部品58が検出情報を受信するように通信部12を制御する」とは、第2人力駆動車用電気部品58が受信可能な出力状態の検出情報を出力するように、通信部12を制御することを示す。
【0077】
一例では、第2人力駆動車用電気部品58が第2出力状態の検出情報を取得できるように構成されている場合において、制御部6は、通信部12が第2出力状態の検出情報を出力するように通信部12を制御する。第2出力状態の一例は、出力周期が第2周期となるような出力形態である。
【0078】
具体的には、第2人力駆動車用電気部品58は、第1周期で出力される信号を受信できる場合において、制御部6は、少なくとも1つのバッテリユニット14のバッテリ残量が第2所定値未満である場合に、通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を第2周期で出力するように通信部12を制御する。この例では、第2所定値は、第1所定値と等しい値か、第1所定値よりも小さい値をとる。この例において、バッテリ残量が第2所定値未満である状態は、第2バッテリ状態に対応する。
【0079】
以上のように、制御部6は、バッテリ残量に応じて通信部12の出力状態を変更することによって、検出情報の伝達先を変更する。通信部12から検出情報を受け取る第1人力駆動車用電気部品56と第2人力駆動車用電気部品58とは、好ましくは、次のような関係を有する。
【0080】
第1人力駆動車用電気部品56および第2人力駆動車用電気部品58は、ともに電力を消費する部品である。第2人力駆動車用電気部品58の消費電力は、第1人力駆動車用電気部品56の消費電力よりも小さい。第1人力駆動車用電気部品56と第2人力駆動車用電気部品58とは、ともに、同じ情報を使用する。さらに、第1人力駆動車用電気部品56と第2人力駆動車用電気部品58とは、同じ情報を異なる目的で使用することが好ましい。例えば、第1人力駆動車用電気部品56は、人力駆動車4の走行を補助する電気部品であり、モータ16を含む。第2人力駆動車用電気部品58は、ライダに情報を伝えるための電気部品であり、コンピュータ18を含む。一例では、第1人力駆動車用電気部品56としてのモータ16は、情報としてのトルクをモータ制御のために使用する。第2人力駆動車用電気部品58としてのコンピュータ18は、情報としてのトルクをライダに示す表示情報に使用する。
【0081】
第1人力駆動車用電気部品56について説明する。
第1人力駆動車用電気部品56は、検出部10から第1出力状態の検出情報を受けるように構成される。好ましくは、第1人力駆動車用電気部品56は、第1部品通信部56aを含む。第1人力駆動車用電気部品56の第1部品通信部56aは、通信部12から出力される第1出力状態の検出情報を受信できるように構成される。
【0082】
第1人力駆動車用電気部品56は、モータ16を含む。第1人力駆動車用電気部品56は、変速機17を含む。第1人力駆動車用電気部品56は、モータ16、および、変速機17を含んでもよい。
【0083】
第1人力駆動車用電気部品56の一例として、モータ16の例を説明する。モータ16は、ロータを含むモータ本体部16aと、モータ本体部16aのロータの回転を制御するモータ制御回路16bと、モータ制御部16cと、モータ通信部16dとを含む。モータ制御回路16bは、インバータ回路を含む。モータ制御部16cは、モータ制御回路16bに入力する制御信号を形成する。
【0084】
モータ16のモータ通信部16dは、バッテリユニット14のバッテリ通信部14cと通信する第1モータ通信部16eと、検出部10の通信部12と通信する第2モータ通信部16fとを含む。
【0085】
第1モータ通信部16eは、バッテリユニット14と通信する。第1モータ通信部16eは、バッテリユニット14との通信によって、バッテリ制御部14bが収集した情報として走行速度、および、走行に関するモード情報を取得する。第1モータ通信部16eは、第2モータ通信部16fを介してトルク検出部52の通信部53から取得した情報としてのトルクをバッテリ制御部14bに出力する。
【0086】
第2モータ通信部16fは、検出部10としてのトルク検出部52の通信部53と通信する。モータ16は、第2モータ通信部16fを介して、検出部10の第1出力状態の検出情報を受信する。第2モータ通信部16fは、無線通信可能に構成される。具体的には、モータ制御部16cは、検出部10としてのトルク検出部52から第1出力状態で出力される情報としてのトルクを取得する。第1出力状態は、情報が第1周期で出力される出力状態である。
【0087】
モータ制御部16cは、情報としてのトルクと、情報としての走行速度と、モード情報とに基づいて、モータ16を制御するための制御信号を形成する。モータ制御部16cは、制御信号をモータ制御回路16bに入力することによってモータ16の出力を制御する。
【0088】
モータ16の各構成要素である、モータ本体部16aと、モータ制御回路16bと、モータ制御部16cと、モータ通信部16dとは、バッテリユニット14から電力が供給される。バッテリユニット14のバッテリ残量が少ないとき、バッテリユニット14からモータ16への電力供給はバッテリ制御部14bによって遮断される。モータ16への電力供給の遮断によって、モータ16の各構成要素への電力供給も遮断される。
【0089】
第2人力駆動車用電気部品58について説明する。
第2人力駆動車用電気部品58は、検出部10から第2出力状態の検出情報を受けるように構成される。第2出力状態は、出力周期が第2周期で出力される出力形態である。好ましくは、第2人力駆動車用電気部品58は、第2部品通信部58aを含む。第2人力駆動車用電気部品58の第2部品通信部58aは、通信部12から出力される第2出力状態の検出情報を受信できるように構成される。
【0090】
第2人力駆動車用電気部品58は、コンピュータ18を含む。コンピュータ18は、サイクルコンピュータ60、スマートフォン、携帯電話、および、スマートウォッチを含む。
【0091】
第2人力駆動車用電気部品58の一例として、コンピュータ18の例を説明する。コンピュータ18は、第1コンピュータ通信部18aと、第2コンピュータ通信部18bと、演算部18cと、表示部18dとを含む。第2コンピュータ通信部18bは、第2部品通信部58aの一例である。演算部18cは、一例として、情報としての走行速度、および、情報としてのトルクに基づいて、表示用データを形成する。表示部18dは、演算部18cの指令によって表示用データを表示する。
【0092】
第1コンピュータ通信部18aは、バッテリ通信部14cと通信する。コンピュータ18は、第1コンピュータ通信部18aを介してバッテリ制御部14bから人力駆動車4に関する走行状態情報を取得する。例えば、第1コンピュータ通信部18aは、バッテリ制御部14bから走行状態情報として走行速度およびトルクを取得する。
【0093】
第2コンピュータ通信部18bは、検出部10としてのトルク検出部52の通信部53と通信する。コンピュータ18は、第2コンピュータ通信部18bを介して検出部10の通信部12から第2出力状態の検出情報を取得する。第2コンピュータ通信部18bは、無線通信可能に構成される。具体的には、コンピュータ18は、検出部10としてのトルク検出部52から第2出力状態で出力される情報としてのトルクを取得する。第2出力状態は、情報が第2周期で出力される出力状態を示す。
【0094】
このように、第2人力駆動車用電気部品58としてのコンピュータ18は、トルクに関して2つのルートから取得できる。1つ目のルートは、第1コンピュータ通信部18aを介してバッテリ制御部14bからトルクを取得するルートである。2つ目のルートは、第2コンピュータ通信部18bを介して検出部10の通信部12から直接的にトルクを取得するルートである。
【0095】
コンピュータ18の演算部18cは、第1コンピュータ通信部18aから情報としてのトルクを取得できる場合、第1コンピュータ通信部18aから取得するトルクを用いて表示用データを形成する。コンピュータ18の演算部18cは、第2コンピュータ通信部18bから情報としてのトルクを取得できる場合、第2コンピュータ通信部18bから取得するトルクを用いて表示用データを形成する。
【0096】
第2人力駆動車用電気部品58は、検出部10から出力される検出情報を表示部18dに表示し、または、検出情報に基づいてライダに有用な計算値を算出し、計算値を表示部18dに表示する。例えば、コンピュータ18としてのサイクルコンピュータ60、スマートフォン、携帯電話、および、スマートウォッチは、検出部10から出力される検出情報を表示部18dに表示し、または、検出情報に基づいて計算された計算情報を表示部18dに表示する。具体例を挙げると、サイクルコンピュータ60は、車速センサ48から周期的に走行速度を取得し、走行速度に基づいて走行距離を算出し、走行距離を表示部18dに表示する。
【0097】
第2人力駆動車用電気部品58が単位時間において検出部10から取得する情報量または取得回数は、第1人力駆動車用電気部品56が単位時間において検出部10から取得する情報量または取得回数よりも少なくてもよい。
【0098】
第1人力駆動車用電気部品56と検出部10の通信部12との間の通信の周期と、第2人力駆動車用電気部品58と検出部10の通信部12との間の通信の周期との間に差があってもよい。例えば、第1人力駆動車用電気部品56がモータ16または変速機17のように人力駆動車4の走行に寄与する装置である場合、第1人力駆動車用電気部品56と検出部10の通信部12との間の通信は、第1周期で行われる。
【0099】
第2人力駆動車用電気部品58がライダに情報を伝えるコンピュータ18である場合、第2人力駆動車用電気部品58が検出情報を第2周期で受信可能になるように、第2人力駆動車用電気部品58と検出部10の通信部12との間の通信は、第2周期で行われる。モータ16や変速機17が検出情報に基づいて制御される場合の情報量は、検出情報をライダに見せるためにコンピュータ18が使用する情報量よりも、多いことが望ましい。このため、第1周期は、第2周期よりも短いことが好ましい。
【0100】
図2から
図7を参照して、人力駆動車用制御装置2の一例を説明する。
人力駆動車4は、人力駆動車用制御装置2によって制御されるコンポーネントを含む。人力駆動車4は、第1人力駆動車用電気部品56と、第2人力駆動車用電気部品58と、検出部10と、検出部10の通信部12と、人力駆動車用制御装置2とを含む。人力駆動車4は、さらに、追加検出部62を含む。人力駆動車用制御装置2は、制御部6を含む。
【0101】
第1人力駆動車用電気部品56は、モータ16を含む。第2人力駆動車用電気部品58は、サイクルコンピュータ60を含む。
【0102】
検出部10は、トルク検出部52を含む。通信部53は、トルク検出部52からトルクを情報として取得し、情報としてトルクを出力する。通信部53は、無線通信可能に構成されてもよい。
【0103】
トルク検出部52は、例えば、クランク軸24Aに設けられる。トルク検出部52は、クランク軸24Aの歪を検出する。トルク検出部52の通信部53は、クランク軸24Aに設けられる。トルク検出部52の通信部53は、無線によって制御部6と通信可能である。トルク検出部52の通信部53は、検出情報としてのトルクを無線で出力する。トルク検出部52の通信部53は、制御部6の指令に基づいて通信部53の出力状態を切り替える。
【0104】
制御部6は、バッテリ状態に応じて通信部53に出す指令を切り替える。制御部6は、第1バッテリ状態の場合、第1人力駆動車用電気部品56が受信できる情報を出力するように通信部53を動作させるための第1指令を出す。具体的には、制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上である場合に第1指令を出す。第1指令は、第1出力状態によって検出情報としてのトルクを出力するように通信部53に動作させるための信号である。トルク検出部52の通信部53は、第1指令に基づいて第1出力状態によって検出情報としてのトルクを出力する。第1出力状態は、例えば、第1周期で検出情報としてのトルクを出力する出力形態である。
【0105】
制御部6は、第2バッテリ状態の場合、第2人力駆動車用電気部品58が受信できる情報を出力するように、通信部53を動作させるための第2指令を出す。具体的には、制御部6は、バッテリ残量が第2所定値未満である場合に第2指令を出す。第2指令は、第2出力状態によって検出情報としてのトルクを出力するように通信部53に動作させる指令である。トルク検出部52の通信部53は、第2指令に基づいて第2出力状態によって検出情報としてのトルクを出力する。第2出力状態は、例えば、第2周期で検出情報としてのトルクを出力する出力形態である。
【0106】
追加検出部62は、車速センサ48を含む。車速センサ48は、走行速度検出部48aと、車速センサ通信部48bとを含む。車速センサ通信部48bは、走行速度検出部48aによって検出された検出情報をバッテリ制御部14bに出力する。
【0107】
バッテリユニット14は、制御部6、モータ16、サイクルコンピュータ60、車速センサ48、トルク検出部52、および、通信部53に電力を供給する。トルク検出部52には、クランク軸24Aに摺接する接点または無線給電によって電力が供給される。サイクルコンピュータ60が内蔵バッテリを有する場合、バッテリユニット14からサイクルコンピュータ60に電力が供給されなくてもよい。バッテリユニット14は、バッテリ本体14aと、バッテリ制御部14bと、バッテリ通信部14cとを含む。
【0108】
バッテリ通信部14cは、制御部6にバッテリ残量を出力する。バッテリ通信部14cは、モータ16のモータ通信部16dと通信する。バッテリ通信部14cは、車速センサ48の車速センサ通信部48bと通信する。
【0109】
バッテリ制御部14bは、車速センサ通信部48bから情報として走行速度を取得する。バッテリ制御部14bは、モータ制御部16cから情報としてトルクを取得する。バッテリ制御部14bは、収集した情報としての走行速度およびトルクをサイクルコンピュータ60に出力する。
【0110】
バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値以上であるとき、電力供給先を制限しない。バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値未満であるとき、電力供給先からモータ16を除外し、モータ16への電力供給を停止する。一例では、バッテリ制御部14bは、モータ16とバッテリユニット14とを繋ぐ電力線に設けられる電力遮断スイッチ63を操作することによって、モータ16への電力供給を停止する。
【0111】
モータ16は、モータ本体部16aと、モータ制御回路16bと、モータ制御部16cと、モータ通信部16dとを含む。モータ通信部16dは、バッテリユニット14のバッテリ通信部14cと通信する第1モータ通信部16eと、検出部10の通信部12と通信する第2モータ通信部16fとを含む。第2モータ通信部16fは、検出部10の第1出力状態の検出情報を受信できるように構成される。
【0112】
モータ制御部16cは、バッテリ制御部14bと通信し、バッテリ制御部14bから情報として走行速度およびモード情報を取得する。モータ制御部16cは、第2モータ通信部16fを介して情報としてのトルクを取得する。モータ制御部16cは、情報としてのトルクをバッテリ制御部14bに出力する。さらに、モータ制御部16cは、走行速度、トルク、および、モード情報に基づいて制御信号を形成し、モータ制御部16cに基づいてモータ16の出力を制御する。
【0113】
サイクルコンピュータ60は、第1コンピュータ通信部60aと、第2コンピュータ通信部60bと、演算部60c、表示部60dとを含む。サイクルコンピュータ60は、バッテリユニット14のバッテリ通信部14c、および、トルク検出部52の通信部53と通信可能に構成される。第1コンピュータ通信部60aは、バッテリ通信部14cと通信する。第2コンピュータ通信部60bは、トルク検出部52の通信部53と通信する。具体的には、第2コンピュータ通信部60bは、検出部10の第2出力状態の検出情報を受信できるように構成される。
【0114】
サイクルコンピュータ60は、第1コンピュータ通信部60aを介してバッテリ制御部14bから情報としての走行速度およびトルクを取得する。走行速度およびトルクは、サイクルコンピュータ60に組み込まれているソフトウェアに使用される。一例では、サイクルコンピュータ60は、走行速度およびトルクに基づいてライダの消費カロリーを計算する。
【0115】
サイクルコンピュータ60は、第2コンピュータ通信部60bを介してトルク検出部52の通信部53と無線で通信する。サイクルコンピュータ60は、第2コンピュータ通信部60bを介してトルク検出部52の通信部53から情報としてトルクを取得する。
【0116】
サイクルコンピュータ60は、上記のように2つのルートから情報としてのトルクを取得できる。第1ルートは、バッテリ制御部14bを介するルートである。第1ルートは、モータ16に電力が供給されることによってモータ16のモータ通信部16dからバッテリ制御部14bに情報としてのトルクを出力できる場合において、サイクルコンピュータ60に使われる。第2ルートは、トルク検出部52の通信部53を介するルートである。第2ルートは、モータ16に電力が供給されないことによってモータ16のモータ通信部16dからバッテリ制御部14bに情報としてのトルクを出力できない場合において、サイクルコンピュータ60に使われる。
【0117】
サイクルコンピュータ60の演算部60cは、第1コンピュータ通信部60aから情報としてのトルクを取得できる場合、第1コンピュータ通信部60aから取得するトルクを用いて表示用データを形成する。サイクルコンピュータ60の演算部60cは、第2コンピュータ通信部60bから情報としてのトルクを取得できる場合、第2コンピュータ通信部60bから取得するトルクを用いて表示用データを形成する。
【0118】
サイクルコンピュータ60の演算部60cは、走行速度を表示部60dに表示する。サイクルコンピュータ60は、逐次取得する走行速度に基づいて走行距離を算出して、走行距離を表示部60dに表示してもよい。さらに、サイクルコンピュータ60は、逐次取得するトルクに基づいて消費カロリーを算出し、消費カロリーを表示部60dに表示してもよい。
【0119】
図4を参照して、バッテリ残量に基づく電力制御の一例を説明する。
バッテリ制御部14bは、次のようなバッテリ制御処理を周期的に実行する。
【0120】
第1ステップS11において、バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値以上であるか否かを判定する。バッテリ残量が第1所定値以上である場合、第2ステップS12において、バッテリ制御部14bは、モータ16、サイクルコンピュータ60、車速センサ48、トルク検出部52、および、通信部53への電力供給を制限しない。
【0121】
バッテリ残量が第1所定値以上でない場合、第3ステップS13において、バッテリ制御部14bは、モータ16への電力供給の停止を指令する。モータ16への電力供給の停止によってモータ16は停止する。具体的には、バッテリ制御部14bは、電力遮断スイッチ63の操作によってモータ16への電力供給を停止させる。モータ16への電力供給の停止によって、バッテリ通信部14cの動作も停止するため、モータ16から情報としてのトルクがバッテリ制御部14bに出力されなくなる。
【0122】
図5は、バッテリユニット14のバッテリ残量を示す図である。一例では、第1所定値は、バッテリ残量の50%よりも小さい値である。第2所定値は、第1所定値よりも小さい値である。
【0123】
次に、制御部6が実行する通信部制御処理を説明する。
制御部6は、トルク検出部52に、バッテリ状態に応じて、通信部53の出力状態を変更する。制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上である場合に、トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第1周期において無線で出力するように、トルク検出部52の通信部53を制御する。
【0124】
制御部6は、バッテリ残量が第2所定値未満である場合に、トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第2周期において無線で出力するように、トルク検出部52の通信部53を制御する。第2周期は、第1周期よりも長い。
【0125】
制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以下かつ第2所定値未満である場合に、トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第2周期において無線で出力するように、トルク検出部52の通信部53を制御する。
【0126】
図6は、制御部6が実行する通信部制御処理の一例である。
第1ステップS21において、制御部6は、バッテリユニット14からバッテリ残量を取得する。制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上であるか否かを判定する。バッテリ残量が第1所定値以上である場合、第2ステップS22において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第1周期で出力する」という動作をさせる指令を出す。バッテリ残量が第1所定値以上でない場合、第3ステップS23において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第2周期で出力する」という動作させる指令を出す。
【0127】
これらの一連の制御に基づく作用を説明する。
バッテリ残量が第1所定値未満になると、モータ16への電力供給停止によってモータ16が停止する。この場合、電力供給停止に基づくモータ16の停止によって、モータ16が取得する情報としてのトルクがバッテリ制御部14bに出力されなくなる。このとき、サイクルコンピュータ60は、バッテリ制御部14bから、情報としてのトルクを取得できなくなる。一方、制御部6は、バッテリ残量が第1所定値未満となる場合に、トルク検出部52を制御することによって、サイクルコンピュータ60が受信可能な第2出力状態の検出情報を、トルク検出部52に出力させる。これによって、モータ16が停止する場合でも、サイクルコンピュータ60は、情報としてのトルクを取得できる。
【0128】
図7を参照して、制御部6が実行する通信部制御処理の他の例を説明する。
図5および
図6に示される例では、制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上である第1状態と、バッテリ残量が第1所定値未満である第2状態とを区別して、各状態において、トルク検出部52の出力状態を異ならせている。第1状態と第2状態とは、第1所定値によって区分される。これ対して、以下の例では、制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上である第1状態と、バッテリ残量が第2所定値未満である第2状態と、バッテリ残量が第1所定値未満かつ第2所定値
以上である第3状態とを区別して、各状態において、トルク検出部52の通信部53の制御を異ならせている。第2所定値は、第1所定値と異なる値であって、第1所定値よりも小さい値である。
【0129】
バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値以上でない場合、モータ16への電力供給の停止を指令する。モータ16への電力供給の停止によってモータ16は停止する。モータ16への電力供給の停止によって、モータ16から情報としてのトルクがバッテリ制御部14bに出力されなくなる。
【0130】
次に、制御部6が実行する通信部制御処理を説明する。
制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上である場合に、トルク検出部52の通信部53に「通信部53から情報としてのトルクを第1周期で出力する」ように通信部53を制御する。
【0131】
制御部6は、バッテリ残量が第2所定値未満である場合に、トルク検出部52の通信部53に「通信部53から情報としてのトルクを第2周期で出力する」ように通信部53を制御する。第1周期は、第2周期よりも短い。
【0132】
制御部6は、バッテリ残量が第2所定値以上かつ第1所定値未満である場合に、トルク検出部52の通信部53に「通信部53から情報としてのトルクを第3周期で出力する」ように通信部53を制御する。第3周期は、第2周期よりも短く、かつ、第1周期よりも長い。
【0133】
図7は、制御部6が実行する通信部制御処理の一例である。
第1ステップS31において、制御部6は、バッテリユニット14からバッテリ残量を取得する。制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上であるか否かを判定する。
【0134】
バッテリ残量が第1所定値以上である場合、第2ステップS32において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第1周期で出力する」という動作をさせる指令を出す。
【0135】
バッテリ残量が第1所定値以上でない場合、第3ステップS33において、制御部6は、バッテリ残量が第2所定値未満であるか否かを判定する。
【0136】
バッテリ残量が第2所定値未満である場合、第4ステップS34において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第2周期で出力する」という動作をさせる指令を出す。
【0137】
第3ステップS33において、バッテリ残量が第2所定値未満でない場合、第5ステップS35において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第3周期で出力する」という動作をさせる指令を出す。
【0138】
<第2実施形態>
図8から
図12を参照して、第2実施形態の人力駆動車用制御装置2について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態では、バッテリ残量に応じた通信部12の制御において、第1実施形態の構成に加えて、複数のバッテリユニット14の制御も含まれる。本実施形態では、第1人力駆動車用電気部品56は、第1周波数の信号を受信できるように構成される。第2人力駆動車用電気部品58は、第2周波数の信号を受信できるように構成される。
【0139】
人力駆動車用制御装置2は、人力駆動車4に関する制御を行う制御部6を含む。
人力駆動車4は、人力駆動車4に関する情報を検出する検出部10と、検出部10からの検出情報を出力する通信部12と、少なくとも1つのバッテリユニット14と、を備える。人力駆動車4は、さらに、制御部6を備える。
【0140】
少なくとも1つのバッテリユニット14は、第1バッテリユニット14A、および、第2バッテリユニット14Bを含む。
【0141】
図8に示されるように、第1バッテリユニット14Aは、モータ16、および、モータ16以外の人力駆動車用電気部品に電力を供給する。内蔵バッテリを有する人力駆動車用電気部品は、第1バッテリユニット14Aから電力が供給されなくてもよい。第2バッテリユニット14Bは、モータ16以外の人力駆動車用電気部品に電力を供給する。好ましくは、第1バッテリユニット14Aの容量は、第2バッテリユニット14Bの容量よりも大きい。
【0142】
検出部10は、人力駆動車4に関する情報を検出する。検出部10は、トルク検出部52を含む。トルク検出部52は、例えば、クランク軸24Aに設けられる。トルク検出部52は、クランク軸24Aの歪を検出する。
【0143】
通信部12は、検出部10からの検出情報を出力する。検出情報はトルクを含む。通信部12は、無線通信可能に構成される。
通信部12は、複数の出力状態を有してもよい。例えば、通信部12は、第1出力状態と、第2出力状態とを有する。本実施形態では、第1出力状態は、検出情報を第1周波数の無線信号で出力する状態を示す。第2出力状態は、検出情報を第2周波数の無線信号で出力する状態を示す。
【0144】
通信部12は、第1出力状態において検出情報を第1周波数の無線信号で出力し、第2出力状態において第2周波数の無線信号で出力する。通信部12は、制御部6の指令に基づいて、検出情報を第1周波数の無線信号および第2周波数の無線信号の一方の信号を出力する。
【0145】
第1バッテリユニット14Aは、第1実施形態のバッテリユニット14と同様に、バッテリ本体14a、バッテリ制御部14b、およびバッテリ通信部14cを含む。第2バッテリユニット14Bは、第1実施形態のバッテリユニット14と同様に、バッテリ本体14d、バッテリ制御部14e、およびバッテリ通信部14fを含む。
【0146】
バッテリ制御部14bは、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量に応じて、第1人力駆動車用電気部品56への電力供給を制限する。以下に、電力供給の制御の一例を説明する。
【0147】
本実施形態では、第1バッテリユニット14Aの電力は、主電線71を介して各コンポーネントに供給される。第2バッテリユニット14Bの電力は、副電線72を介して第1人力駆動車用電気部品56以外の各コンポーネントに供給される。副電線72は、主電線71と独立して各コンポーネントに接続される。
【0148】
第1切替スイッチ64は、主電線71と、第1人力駆動車用電気部品56としてのモータ16との間に設けられる。第2切替スイッチ66は、主電線71と第1バッテリユニット14Aとの間に設けられる。第3切替スイッチ68は、副電線72と第2バッテリユニット14Bとの間に設けられる。
【0149】
バッテリ制御部14bは、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値以上である場合に、第1バッテリユニット14Aの電力を各コンポーネントに供給するように、電力系統70に設けられる第1切替スイッチ64から第3切替スイッチ68を制御する。また、バッテリ制御部14bは、第2バッテリユニット14Bの電力を各コンポーネントに供給しないように、第3切替スイッチ68を制御する。
【0150】
バッテリ制御部14bは、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値未満かつ第2所定値以上である場合に、第1バッテリユニット14Aの電力を第1人力駆動車用電気部品56としてのモータ16に供給せず、モータ16以外のコンポーネントに供給するように、第1切替スイッチ64を制御する。また、バッテリ制御部14bは、第2バッテリユニット14Bの電力を各コンポーネントに供給しないように、第3切替スイッチ68を制御する。
【0151】
バッテリ制御部14bは、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第2所定値未満かつ第3所定値より大きいである場合に、第1バッテリユニット14Aの電力を第1人力駆動車用電気部品56としてのモータ16に供給せず、モータ16以外のコンポーネントに供給するように、第1切替スイッチ64を制御する。また、バッテリ制御部14bは、第2バッテリユニット14Bの電力を各コンポーネントに供給しないように、第3切替スイッチ68を制御する。
【0152】
バッテリ制御部14bは、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第3所定値以下である場合に、第1バッテリユニット14Aの電力を各コンポーネントに供給しないように、第2切替スイッチ66を制御する。バッテリ制御部14bは、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第3所定値以下である場合に、第2バッテリユニット14Bの電力をモータ16以外のコンポーネントに供給するよう、第3切替スイッチ68を制御する。
【0153】
制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量に応じて、通信部12を制御する。
(a)制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値以上である場合に、第1バッテリユニット14Aの電力によって通信部12から第1人力駆動車用電気部品56に検出情報を出力するように、通信部12を制御する。
【0154】
さらに、制御部6は、通信部12から第1人力駆動車用電気部品56に検出情報を出力させる場合、制御部6は、通信部12から第1人力駆動車用電気部品56に検出情報を第1周波数の無線信号で出力するように通信部12を制御する。
【0155】
(b)制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値未満かつ第2所定値以上の場合に、第1バッテリユニット14Aの電力によって通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を出力するように、通信部12を制御する。
【0156】
さらに、制御部6は、通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を出力させる場合、制御部6は、通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を第2周波数の無線信号で出力するように通信部12を制御する。
【0157】
(c)制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第2所定値未満かつ第3所定値より大きい場合に、第1バッテリユニット14Aの電力によって通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を出力するように、通信部12を制御する。
【0158】
さらに、制御部6は、通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を出力させる場合、制御部6は、通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を第2周波数の無線信号で出力するように通信部12を制御する。
【0159】
(d)制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第3所定値以下の場合に、第2バッテリユニット14Bの電力によって通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を出力するように通信部12を制御する。
【0160】
さらに、制御部6は、通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を出力させる場合、制御部6は、通信部12から第2人力駆動車用電気部品58に検出情報を第2周波数の無線信号で出力するように通信部12を制御する。
【0161】
図9から
図12を参照して、人力駆動車用制御装置2の一例を説明する。
図9に示されるように、人力駆動車4は、第1人力駆動車用電気部品56と、第2人力駆動車用電気部品58と、検出部10と、検出部10の通信部12と、人力駆動車用制御装置2とを含む。人力駆動車4は、さらに、追加検出部62を含む。人力駆動車用制御装置2は、制御部6を含む。
【0162】
第1人力駆動車用電気部品56は、モータ16を含む。第2人力駆動車用電気部品58は、サイクルコンピュータ60を含む。
【0163】
検出部10は、トルク検出部52を含む。通信部53は、トルク検出部52からトルクを情報として取得し、情報としてトルクを出力する。通信部53は、無線通信可能に構成されてもよい。
【0164】
通信部12は、第1周波数の無線信号と第2周波数の無線信号とを出力可能に構成される。通信部12は、制御部6の指令に基づいて第1周波数の無線信号および第2周波数の無線信号の出力を切り替える。通信部12は、制御部6の指令によって第1周波数の無線信号を出力する。通信部12は、制御部6の指令によって第2周波数の無線信号を出力する。
【0165】
図10を参照して、バッテリ残量に基づく電力制御の一例を説明する。
バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が少なくなった場合、モータ16への電力供給を制限する目的で、バッテリ制御処理を周期的に実行する。
【0166】
第1ステップS41において、バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値以上であるか否かを判定する。バッテリ残量が第1所定値以上である場合、第2ステップS42において、第1バッテリユニット14Aから、モータ16、サイクルコンピュータ60、トルク検出部52、および、通信部53に電力を供給するように電力系統70を制御する。
【0167】
バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第1所定値以上でない場合、第3ステップS43において、バッテリ残量が第3所定値よりも大きいか否かを判定する。バッテリ制御部14bは、バッテリ残量が第3所定値よりも大きい場合、第4ステップS44において、第1バッテリユニット14Aからモータ16への電力供給を停止するように、電力系統70の切替スイッチ系を制御する。このとき、バッテリ残量が第1所定値未満かつ第3所定値よりも大きい場合、第1バッテリユニット14Aからモータ16以外へのコンポーネントに電力供給が維持される。
【0168】
第3ステップS43において、バッテリ残量が第3所定値以下である場合、バッテリ制御部14bは、第5ステップS45において、第1バッテリユニット14Aから第1人力駆動車用電気部品56および第2人力駆動車用電気部品58への電力供給を停止する。第5ステップS45の処理に続いて、バッテリ制御部14bは、第6ステップS46において、第2バッテリユニット14Bから第2人力駆動車用電気部品58への電力供給を開始するように、電力系統70の切替スイッチ系を制御する。
【0169】
図11は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量を示す図である。第1所定値は、バッテリ残量の50%よりも小さい値である。第2所定値は、第1所定値よりも小さい値である。第3所定値は、第2所定値よりも小さい値である。
【0170】
図12は、制御部6が実行する通信部制御処理の一例である。以下の説明において、第4周期は、第5周期よりも短い。第5周期は、第6周期よりも短い。第6周期は、第7周期よりも短い。
【0171】
第1ステップS51において、制御部6は、第1バッテリユニット14Aからバッテリ残量を取得する。制御部6は、バッテリ残量が第1所定値以上であるか否かを判定する。バッテリ残量が第1所定値以上である場合、第2ステップS52において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「通信部53から情報としてのトルクを第4周期において第1周波数で出力する」という動作をさせる指令を出す。
【0172】
バッテリ残量が第1所定値以上でない場合、第3ステップS53において、制御部6は、バッテリ残量が第2所定値よりも小さいか否かを判定する。バッテリ残量が第2所定値よりも小さい場合、第4ステップS54において、制御部6は、バッテリ残量が第3所定値よりも大きいか否かを判定する。バッテリ残量が第3所定値よりも大きい場合、第5ステップS55において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第6周期において第2周波数で出力する」という動作をさせる指令を出す。
【0173】
第4ステップS54において、バッテリ残量が第3所定値よりも大きくない場合、第6ステップS56において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第7周期において第2周波数で出力する」という動作をさせる指令を出す。
【0174】
第3ステップS53において、バッテリ残量が第2所定値よりも小さくない場合、第7ステップS57において、制御部6は、トルク検出部52の通信部53に、「トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを第5周期において第2周波数で出力する」という動作をさせる指令を出す。
【0175】
・本実施形態において、第3切替スイッチ68が省略されてもよい。この場合、第2バッテリユニット14Bは、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量に関係なく、第2バッテリユニット14Bに接続されるコンポーネントに電力を供給する。
【0176】
<第3実施形態>
図13および
図14を参照して、第3実施形態の人力駆動車用制御装置2について説明する。本実施形態は、バッテリ制御に関する技術である。本実施形態において、第2実施形態と共通する構成については、第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0177】
人力駆動車用制御装置2は、人力駆動車4に関する制御を行う人力駆動車用制御装置2である。人力駆動車用制御装置2は人力駆動車4に設けられる。人力駆動車用制御装置2は、人力駆動車4に関する制御を行う制御部6を含む。
【0178】
人力駆動車4は、人力駆動車4に関する情報を検出する検出部10と、第1バッテリユニット14Aと、第2バッテリユニット14Bと、を備える。人力駆動車4は、さらに、制御部6を備える。
【0179】
図13に示されるように、第1バッテリユニット14Aは、人力駆動車4に推進力を付与するように構成されるモータ16に電力を供給可能である。第2バッテリユニット14Bは、モータ16に電力を供給しないように構成される。
【0180】
本実施形態では、第1バッテリユニット14Aは、主電線71を介して制御部6と、モータ16と、検出部10とに接続される。第2バッテリユニット14Bは、副電線72を介して制御部6と、検出部10とに接続されて、モータ16には接続されない。
【0181】
検出部10は、人力駆動車4に入力されるトルクを検出するトルク検出部52、人力駆動車4に備わるクランクアーム24Bの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部54、人力駆動車4に入力される仕事量を検出するパワーメータ55、および、人力駆動車4の走行速度を検出する車速センサ48、のうち少なくとも1つを含む。
【0182】
制御部6は、第1バッテリユニット14Aおよび第2バッテリユニット14Bから検出部10への電力の供給状態を制御する。
【0183】
制御部6は、少なくとも、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量に応じて、第1バッテリユニット14Aおよび第2バッテリユニット14Bの一方から検出部10への電力の供給状態を制御する。
【0184】
一例では、制御部6は、第1バッテリユニット14Aが第1バッテリ状態の場合に、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力が供給されるように制御する。制御部6は、第1バッテリユニット14Aが第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態の場合に、第2バッテリユニット14Bから検出部10に電力が供給されるように制御する。
【0185】
一例では、第1バッテリ状態は、バッテリ残量が第1所定値以上である状態を示す。第2バッテリ状態は、バッテリ残量が第1所定値未満である状態を示す。
【0186】
制御部6は、第1バッテリユニット14Aに含まれる第1バッテリ、および、第2バッテリユニット14Bに含まれる第2バッテリ、の出力を制御するように構成されていてもよい。制御部6は、第1バッテリユニット14Aに含まれる第1バッテリの出力を許容または禁止することによって、第1バッテリユニット14Aから検出部10への電力供給を開始または停止する。一例では、第1バッテリは、検出部10にのみ電力を供給するバッテリとして構成される。第1バッテリユニット14Aにおいて第1バッテリ以外のバッテリはモータ16および制御部6に電力を供給する。
【0187】
制御部6は、第2バッテリユニット14Bに含まれる第2バッテリの出力を許容または禁止することによって、第2バッテリユニット14Bから検出部10への電力供給を開始または停止する。一例では、第2バッテリは、検出部10にのみ電力を供給するバッテリとして構成される。第2バッテリユニット14Bにおいて第2バッテリ以外のバッテリが制御部6に電力を供給する。
【0188】
他の例では、第1バッテリユニット14A、および、第2バッテリユニット14Bの少なくとも一方の検出部10に対する通電状態を切り替える切替スイッチ76をさらに含むことが好ましい。制御部6は、切替スイッチ76を制御可能である。
【0189】
切替スイッチ76は、第2バッテリユニット14Bの検出部10に対する通電状態を切り替えるように構成される。制御部6は、切替スイッチ76を制御する。
一例では、第1バッテリユニット14Aは、主電線71によって検出部10に接続される。第1バッテリユニット14Aから検出部10への電力供給は、制御部6によって制御されない。第2バッテリユニット14Bは、副電線72によって検出部10に接続される。第2バッテリユニット14Bから検出部10への電力供給は、制御部6による切替スイッチ76の操作によって制御される。切替スイッチ76は、副電線72と検出部10との間に設けられる。切替スイッチ76は、検出部10内に設けられてもよい。
【0190】
一例では、制御部6は、第1バッテリユニット14Aが第2バッテリ状態の場合に、第2バッテリユニット14Bから検出部10に電力が供給されないように、切替スイッチ76を制御する。制御部6は、第1バッテリユニット14Aが第2バッテリ状態の場合に、第2バッテリユニット14Bから検出部10に電力が供給されるように、切替スイッチ76を制御する。
【0191】
さらに、制御部6は、検出部10を制御してもよい。一例では、制御部6は、検出部10の動作を制御する。検出部10の動作は、動作停止、および、動作開始を含む。
【0192】
また、制御部6は、検出部10の通信部12を制御してもよい。通信部12は、第1実施形態の通信部12の構成に準ずる。一例では、通信部12は、第1出力状態と、第2出力状態とを有する。通信部12の出力状態は、制御部6によって制御される。
【0193】
一例では、第1人力駆動車用電気部品56が第1出力状態の検出情報を取得できるように構成され、かつ、第2人力駆動車用電気部品58が第2出力状態の検出情報を取得できるように構成されている場合において、制御部6は次のように、通信部12を制御する。制御部6は、第1バッテリユニット14Aが第1バッテリ状態である場合に、通信部12が第1出力状態で検出情報を出力するように、通信部12を制御する。制御部6は、第1バッテリユニット14Aが、第1バッテリ状態とは異なる第2バッテリ状態である場合に、通信部12が第1出力状態とは異なる第2出力状態で検出情報を出力するように、通信部12を制御する。
【0194】
本実施形態では、制御部6は、電力系統70の制御によって、第1バッテリユニット14Aおよび第2バッテリユニット14Bから検出部10への電力供給を制御する。このような電力供給の制御は、第2実施形態の検出部10への電力供給および第2実施形態の通信部12への電力供給にも適用できる。
【0195】
<第4実施形態>
図15、
図16および
図17を参照して、第4実施形態の人力駆動車用制御装置2について説明する。第4実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本技術は、通信部制御処理に関連する技術である。
【0196】
人力駆動車用制御装置2は、人力駆動車4に関する制御を行う人力駆動車用制御装置2である。人力駆動車用制御装置2は人力駆動車4に設けられる。
【0197】
人力駆動車用制御装置2は、人力駆動車4に関する制御を行う制御部6を含む。人力駆動車4は、人力駆動車4に関する情報を検出する検出部10と、検出部10からの検出情報を異なる複数の周波数の信号で出力可能な通信部12と、を備える。
【0198】
人力駆動車4は、バッテリユニット14をさらに備える。バッテリユニット14は、第1バッテリユニット14Aを含む。バッテリユニット14は、第2バッテリユニット14Bをさらに含んでもよい。
【0199】
検出部10は、人力駆動車4に入力されるトルクを検出するトルク検出部52、人力駆動車4に備わるクランクアーム24Bの回転に関する情報を検出するケイデンス検出部54、および、人力駆動車4に入力される仕事量を検出するパワーメータ55、のうち少なくとも1つを含む。
【0200】
次に、通信部12について説明する。
通信部12は、無線通信可能に構成される。通信部12は、複数の周波数の信号で出力可能である。異なる複数の周波数の信号は、第1周波数の第1信号SAと、第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号SBと、を含む。通信部12は、第1信号SAと第2信号SBとを出力可能であるように構成される。一例では、第1信号SAの出力周期は、第2信号SBの出力周期よりも短い。
【0201】
図16に示されるように、第1人力駆動車用電気部品56は、第1周波数の第1信号SAを受信可能に構成される。第2人力駆動車用電気部品58は、第2周波数の第2信号SBを受信可能に構成される。通信部12が、2以上の部品それぞれに対して異なる周波数で通信することによって混信が抑制される。
【0202】
次に、制御部6について説明する。
制御部6は、通信部12を制御する。具体的には、制御部6は、人力駆動車4に関する状態に応じて、第1信号SAおよび第2信号SBの少なくとも一方を通信部12から出力するように通信部12を制御する。
【0203】
人力駆動車4に関する状態は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量の状態、第2バッテリユニット14Bのバッテリ残量、前回充電時後の走行距離、前回充電後から経過した時間、および、前回充填後の電力消費量を含む。
【0204】
一例では、制御部6は、人力駆動車4に設けられる第1バッテリユニット14Aのバッテリ状態に応じて通信部12を制御する。制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量に応じて、第1信号SAおよび第2信号SBの一方を出力するように通信部12を制御する。このような制御は、第1実施形態に適用できる。
【0205】
図17を参照して、検出部10に対する電力供給制御の別の制御形態を説明する。この例では、人力駆動車4は、第1バッテリユニット14Aと、第2バッテリユニット14Bとを備える。第1バッテリユニット14Aは、モータ16、および、モータ16以外の人力駆動車用電気部品に電力を供給する。第2バッテリユニット14Bは、モータ16以外の人力駆動車用電気部品に電力を供給する。
【0206】
制御部6は、第1バッテリユニット14Aおよび第2バッテリユニット14Bの電力供給を制御する。一例では、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値以上である場合、制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給する。第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値未満である場合、制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給しない。
【0207】
第1所定値は、0%よりも大きい値であってもよいし、0%であってもよい。第1所定値は、0%よりも大きい値である場合、第1バッテリユニット14Aと検出部10とを接続する接続経路に切替スイッチ77が設けられる。制御部6は、切替スイッチ77の制御によって、第1バッテリユニット14Aと検出部10とを接続する接続経路を接続し、または、切断する。
【0208】
第1所定値が0%である場合、第1バッテリユニット14Aと検出部10とを接続する接続経路に切替スイッチ77を設けなくてもよい。この場合、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が0%となると、第1バッテリユニット14Aは、検出部10に電力を供給しない状態になる。
【0209】
制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給しない場合、第1バッテリユニット14Aとは異なる第2バッテリユニット14Bから検出部10に電力を供給するように、第1バッテリユニット14A、および、第2バッテリユニット14Bの少なくとも一方を制御する。
【0210】
切替スイッチ78は、第2バッテリユニット14Bと検出部10とを接続する接続経路に設けられる。制御部6は、切替スイッチ78の制御によって、第2バッテリユニット14Bと検出部10とを接続する接続経路を接続し、または、切断する。
【0211】
制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給する場合に、通信部12が第1信号SAを出力するように通信部12を制御する。制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給しない場合に、通信部12が第2信号SBを出力するように通信部12を制御する。好ましくは、制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給せず、かつ、第2バッテリユニット14Bから検出部10に電力を供給する場合、通信部12が第2信号SBを出力するように通信部12を制御する。
【0212】
一例では、制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値以上である場合、制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給するように電力系統70を制御し、通信部12に、第1信号SAを出力するように通信部12に指令を出す。制御部6は、第1バッテリユニット14Aのバッテリ残量が第1所定値未満である場合、制御部6は、第1バッテリユニット14Aから検出部10に電力を供給しないように電力系統70を制御し、第2バッテリユニット14Bから検出部10に電力を供給するように電力系統70を制御し、さらに、通信部12に、第2信号SBを出力するように通信部12に指令を出す。
【0213】
<第5実施形態>
図18を参照して、第5実施形態の人力駆動車用制御装置2について説明する。
第5実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。ここでは、人力駆動車4に搭載される制御システム80について説明する。
【0214】
人力駆動車4の制御システム80は、人力駆動車4に設けられる。
人力駆動車4の制御システム80は、制御部6を含む。
制御部6は、第1通信部82を含む第1人力駆動車用電気部品56と、第2通信部84を含む第2人力駆動車用電気部品58と、人力駆動車4に関する情報を検出する検出部10と、検出部10からの検出情報を無線で出力する通信部12と、の少なくとも1つを制御する。
【0215】
検出部10は、トルク検出部52を含む。通信部12は、トルク検出部52の通信部53を含む。通信部53は、トルク検出部52からトルクを情報として取得し、出力する。
【0216】
制御部6は、通信部53が、第1周波数の第1信号SAで第1通信部82と通信する第1通信状態と、通信部53が、第1周波数とは異なる第2周波数の第2信号SBで第2通信部84と通信する第2通信状態とを切り替える。
【0217】
第1人力駆動車用電気部品56は、人力駆動車4に推進力を付与するモータ16を含む。第1人力駆動車用電気部品56は、変速機17を含んでもよい。第1人力駆動車用電気部品56は、モータ16、および、変速機17を含んでもよい。第1人力駆動車用電気部品56は、第1周波数の第1信号SAによって通信部53と通信可能に構成される。通信は、通信部53との双方向の通信および、通信部53からの信号の受信を含む。
【0218】
第2人力駆動車用電気部品58は、時刻情報、位置情報、人力駆動車4の走行状態に関する走行状態情報、および、人力駆動車4に搭乗する搭乗者の生体情報、のうち少なくとも1つを表示可能な表示部18dを含む。第2人力駆動車用電気部品58は、サイクルコンピュータ60、スマートフォン、携帯電話、および、スマートウォッチを含む。第2人力駆動車用電気部品58は、第2周波数の第2信号SBによって通信部53と通信可能に構成される。
【0219】
第1通信部82と第2通信部84とは、互いに通信可能であってもよい。第1通信部82と第2通信部84とが互いに通信することによって、第2人力駆動車用電気部品58は、第1人力駆動車用電気部品56が取得する情報を、第1人力駆動車用電気部品56から取得して、情報を使用できる。
【0220】
人力駆動車4の制御システム80は、第1バッテリユニット14Aと、第2バッテリユニット14Bと、をさらに含んでもよい。第1バッテリユニット14Aは、第1人力駆動車用電気部品56および検出部10に電力の供給が可能なバッテリユニットである。第2バッテリユニット14Bは、検出部10に電力の供給が可能であり、かつ、第1人力駆動車用電気部品56に電力を供給しないバッテリユニットである。
【0221】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用制御装置2および人力駆動車4の制御システム80が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用制御装置2および人力駆動車4の制御システム80は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0222】
・第1実施形態から第5実施形態のそれぞれは、第1実施形態から第5実施形態の少なくとも1つの技術と組み合わされる。
【0223】
・各実施形態において、制御部6は、バッテリ制御部14bと一体に設けられてもよい。この場合、バッテリユニット14に制御部6が設けられるようになる。
【0224】
・各実施形態において、人力駆動車4は、さらに、追加制御部を備えてもよい。追加制御部は、バッテリ制御部14bの一部の機能を備えてもよい。例えば、追加制御部は、各コンポーネントから情報を取得し、他のコンポーネントに情報を伝える機能を有してもよい。具体的には、追加制御部は、バッテリユニット14からバッテリ残量を取得し、車速センサ48から走行速度を取得し、トルク検出部52の通信部53から情報としてのトルクを取得してもよい。追加制御部は、取得した情報をコンピュータ18に出力してもよい。追加制御部は、制御部6と通信可能に構成されて、制御部6にバッテリ情報を出力する。追加制御部は、電力供給制限の対象物でないことが好ましい。制御部6と、このような追加制御部とは一体に構成されてもよい。追加制御部は、制御部6のコンポーネントに含まれてもよい。
【符号の説明】
【0225】
2…人力駆動車用制御装置、4…人力駆動車、6…制御部、10…検出部、12…通信部、14…バッテリユニット、14A…第1バッテリユニット、14B…第2バッテリユニット、16…モータ、18d…表示部、24B…クランクアーム、48…車速センサ、52…トルク検出部、54…ケイデンス検出部、56…第1人力駆動車用電気部品、58…第2人力駆動車用電気部品、76…切替スイッチ、78…切替スイッチ、80…制御システム、82…第1通信部、84…第2通信部。