(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】電池パックとその分解方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20230314BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230314BHJP
H01M 10/54 20060101ALI20230314BHJP
H01M 6/50 20060101ALI20230314BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230314BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20230314BHJP
【FI】
H01M50/271 B
H01M50/204 101
H01M10/54
H01M6/50
H01M10/613
H01M10/6568
(21)【出願番号】P 2019221551
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沖賀 比呂志
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 怜
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-221854(JP,A)
【文献】実開平05-006682(JP,U)
【文献】特開2003-151646(JP,A)
【文献】特開2013-243123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 10/54
H01M 6/50
H01M 10/613
H01M 10/6568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックであって、
ケースと、
前記ケース内に収容された部品、
を有し、
前記部品が、
底面と、
前記底面から前記ケースの内面に向かって突出する接着凸部と、
前記底面から前記内面に向かって突出する第1ガイド凸部、
を有し、
前記第1ガイド凸部が、前記内面に平行な一方向に沿って見たときに前記接着凸部と重なる第1部分と、前記一方向に沿って見たときに前記第1部分と重ならない第2部分を有し、
前記第1部分の前記底面からの突出量が、前記接着凸部の前記底面からの突出量以上であり、
前記第2部分が、前記第2部分の前記底面からの突出量が、前記接着凸部の前記突出量よりも低い値から前記第1部分に近づくに従って増加して前記接着凸部の前記突出量以上の値に達する傾斜部を有し、
前記接着凸部の端面が、接着剤を介して前記内面に接着されて
おり、
前記第1ガイド凸部の端面と前記内面の間に隙間が設けられている、
電池パック。
【請求項2】
前記第1ガイド凸部と前記接着凸部の間の少なくとも一部の範囲に間隔が設けられている、請求項1の電池パック。
【請求項3】
前記底面から前記内面に向かって突出する第2ガイド凸部をさらに有し、
前記接着凸部が、間隔を開けて複数個設けられており、
前記第2ガイド凸部が、前記一方向に沿って見たときに、前記間隔と重なる第3部分を有し、
前記第3部分の前記底面からの突出量が、前記接着凸部の前記突出量以上であ
り、
前記第2ガイド凸部の端面と前記内面の間に隙間が設けられている、
請求項1または2の電池パック。
【請求項4】
前記第2ガイド凸部が、前記一方向に沿って見たときに、前記間隔の両側の前記接着凸部と重なる第4部分を有し、
前記各第4部分が、前記第4部分の前記底面からの突出量が、前記各接着凸部の前記突出量よりも低い値から前記第3部分に近づくに従って増加して前記各接着凸部の前記突出量以上の値に達する傾斜部を有している、
請求項3の電池パック。
【請求項5】
前記第2ガイド凸部と前記接着凸部の間の少なくとも一部の範囲に間隔が設けられている、請求項3または4の電池パック。
【請求項6】
前記接着凸部が接着された範囲内の前記ケースの外面に冷却器が接続されている、請求項1~5のいずれか一項の電池パック。
【請求項7】
前記ケース内に収容された電池セルをさらに有し、
前記部品が、前記電池セルに接続された回路部品である、
請求項1~6のいずれか一項の電池パック。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項の電池パックの分解方法であって、ワイヤーソーによって前記接着剤を切断する工程を有する、分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、電池パックに関する。
【0002】
特許文献1に、使用済みの電池パックの内部から電池セルを回収し、再利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、電池パックの内部の部品は、ケースに接着されている。部品をケースから適切に分離することができれば、部品やケースを再利用することができる。本明細書では、ケースに接着された部品をケースから容易に分離することが可能な電池パックを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電池パックは、ケースと、前記ケース内に収容された部品、を有する。前記部品が、底面と、前記底面から前記ケースの内面に向かって突出する接着凸部と、前記底面から前記内面に向かって突出する第1ガイド凸部、を有する。前記第1ガイド凸部が、前記内面に平行な一方向に沿って見たときに前記接着凸部と重なる第1部分と、前記一方向に沿って見たときに前記第1部分と重ならない第2部分を有する。前記第1部分の前記底面からの突出量が、前記接着凸部の前記底面からの突出量以上である。前記第2部分が、前記第2部分の前記底面からの突出量が、前記接着凸部の前記突出量よりも低い値から前記第1部分に近づくに従って増加して前記接着凸部の前記突出量以上の値に達する傾斜部を有する。前記接着凸部の端面が、接着剤を介して前記内面に接着されている。
【0006】
この電池パックにおいて部品をケースから分離するときには、部品の底面とケースの内面の間にワイヤーソーを挿入して、接着剤を切断する。このとき、ワイヤーソーが底面と接着凸部の間の段差に引っ掛かると、ワイヤーソーで接着剤を切断することができず、また、接着凸部にキズが生じる。しかしながら、この電池パックでは、ガイド凸部の傾斜部が、接着凸部の突出量よりも低い値から接着凸部の突出量以上の値まで増加しているので、傾斜部によってワイヤーソーが接着凸部の端面の位置(すなわち、接着剤の位置)まで案内される。このため、ワイヤーソーが底面と接着凸部の間の段差に引っ掛かることが防止される。したがって、ワイヤーソーによって接着剤を容易に切削することができ、部品をケースから容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】ジャンクションボックスを底面側から見た平面図。
【
図6】ジャンクションボックスとトレーと冷却器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明する電池パックの技術要素を、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
【0009】
本明細書が開示する一例の電池パックにおいては、前記第1ガイド凸部と前記接着凸部の間の少なくとも一部の範囲に間隔が設けられていてもよい。
【0010】
この構成では、電池パックの製造工程において接着凸部をケースの内面に接着するときに、接着剤が第1ガイド凸部の表面まで拡大することを抑制することができる。これによって、接着剤の意図しない位置へのはみ出しを抑制できる。
【0011】
本明細書が開示する一例の電池パックは、前記底面から前記内面に向かって突出する第2ガイド凸部をさらに有していてもよい。前記接着凸部が、間隔を開けて複数個設けられていてもよい。前記第2ガイド凸部が、前記一方向に沿って見たときに、前記間隔と重なる第3部分を有していてもよい。前記第3部分の前記底面からの突出量が、前記接着凸部の前記突出量以上であってもよい。
【0012】
この構成によれば、ワイヤーソーが複数の接着凸部の間の間隔で引っ掛かることを抑制できる。したがって、より容易に部品をケースから分離することができる。
【0013】
本明細書が開示する一例の電池パックは、前記第2ガイド凸部が、前記一方向に沿って見たときに、前記間隔の両側の前記接着凸部と重なる第4部分を有していてもよい。前記各第4部分が、前記第4部分の前記底面からの突出量が、前記各接着凸部の前記突出量よりも低い値から前記第3部分に近づくに従って増加して前記各接着凸部の前記突出量以上の値に達する傾斜部を有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、ワイヤーソーが複数の接着凸部の間の間隔で引っ掛かることをより効果的に抑制できる。したがって、より容易に部品をケースから分離することができる。
【0015】
本明細書が開示する一例の電池パックは、前記第2ガイド凸部と前記接着凸部の間の少なくとも一部の範囲に間隔が設けられていてもよい。
【0016】
この構成では、電池パックの製造工程において接着凸部をケースの内面に接着するときに、接着剤が第2ガイド凸部の表面まで拡大することを抑制することができる。これによって、接着剤の意図しない位置へのはみ出しを抑制できる。
【0017】
本明細書が開示する一例の電池パックにおいては、前記接着凸部が接着された範囲内の前記ケースの外面に冷却器が接続されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、部品を効果的に冷却することができる。
【0019】
本明細書が開示する一例の電池パックは、前記ケース内に収容された電池セルをさらに有していてもよい。前記部品が、前記電池セルに接続された回路部品であってもよい。
【0020】
本明細書が開示する一例の電池パックの分解方法は、ワイヤーソーによって接着剤を切削する工程を有する。
【0021】
この方法によれば、容易に部品をケースから分離することができる。
【0022】
図1、2は、実施形態の電池パック10を示している。電池パック10のケース11は、トレー12とカバー14を有している。トレー12は、カップ形状を有する。トレー12の周縁部12aは、フランジ形状を有する。カバー14は、キャップ形状を有する。カバー14の周縁部14aは、フランジ形状を有する。カバー14の周縁部14aは、トレー12の周縁部12aに連結されている。
図2に示すように、ケース11の内部には、複数の電池セル20と複数のジャンクションボックス22a、22bが収容されている。
図3に示すように、ジャンクションボックス22a、22bは、電池セル20につながる配線と、その配線に介装されたリレー24を備えている。ジャンクションボックス22a、22bを介して各電池セル20の電力がケース11の外部に供給される。なお、ジャンクションボックス22a、22bのケース11に対する取り付け構造はほぼ等しいので、以下では、ジャンクションボックス22aの取り付け構造について説明する。
【0023】
図4に示すように、ジャンクションボックス22aは、トレー12上に設置されている。ジャンクションボックス22aは、トレー12の内面12bに固定されている。以下では、トレー12の内面12bに垂直な方向をz方向という。また、トレー12の内面12bに平行な一方向をx方向という。また、z方向及びx方向に直交する方向をy方向という。
【0024】
図4、5に示すように、ジャンクションボックス22aは、x方向に長く伸びている。ジャンクションボックス22aは底面30を有している。底面30は、トレー12の内面12bに対向している。底面30は、トレー12の内面12bと平行な平面である。底面30には、2つの接着凸部32a、32bと、3つのガイド凸部41、42、44が設けられている。なお、
図4、5では、図の見やすさのために、接着凸部32a、32bをドットハッチングにより示し、接着剤50を斜線ハッチングにより示している。接着凸部32a、32b、ガイド凸部41、42、44は、底面30からトレー12の内面12bに向かって突出している。
【0025】
接着凸部32aと接着凸部32bは、x方向に間隔を開けて配置されている。ジャンクションボックス22aのx方向の一方の端部38aに近い位置に接着凸部32aが設けられており、ジャンクションボックス22aのx方向の他方の端部38bに近い位置に接着凸部32bが設けられている。接着凸部32a、32bのそれぞれは、突出量H32だけ底面30から下側に突出している。接着凸部32a、32bの端面32z(下面)は、トレー12の内面12bに対向している。各端面32zには、部分的に接着剤50が塗布されている。接着剤50は、端面32zに固着しているとともに、トレー12の内面12bに固着している。接着剤50によって接着凸部32a、32bがトレー12に接着されている。
【0026】
図5に示すように、ガイド凸部41は、ジャンクションボックス22aの端部38aと接着凸部32aの間に配置されている。ガイド凸部41は、端部38aに沿ってy方向に沿って長く伸びる部分と、その部分の両端からx方向に沿って長く伸びる部分を有している。ガイド凸部41のx方向に沿って長く伸びる各部分は、接着凸部32aに対してy方向で隣接する位置まで伸びている。このため、
図4に示すように、ガイド凸部41は、y方向に沿って見たときに、接着凸部32aと重なる部分41aと、接着凸部32aと重ならない部分41bを有している。部分41aの端面(下面)は、底面30と平行な平面である。部分41aは、突出量H41だけ底面30から下側に突出している。突出量H41は、接着凸部32aの突出量H32以上である。部分41bは、部分41aよりも端部38aに近い位置に配置されている。部分41bの端面(下面)は、底面30に対して傾斜している。部分41bの端面は、部分41aに近づくに従って下側に変位するように傾斜している。言い換えると、部分41bの突出量は、部分41aに近づくに従って増加している。端部38aに最も近い位置では、部分41bの突出量は突出量H32よりも小さい(ほぼゼロである。)。部分41bの突出量は、部分41aに近づくに従って増加して突出量H32よりも大きい値(より詳細には、部分41aの突出量H41と等しい値)まで達する。したがって、部分41bは、部分41aに滑らかに接続されている。
図5に示すように、ガイド凸部41と接着凸部32aの間の範囲の一部には、間隔43aが設けられている。
【0027】
ガイド凸部42は、ガイド凸部41と略同じ構造を有している。
図5に示すように、ガイド凸部42は、ジャンクションボックス22aの端部38bと接着凸部32bの間に配置されている。
図4に示すように、ガイド凸部42は、y方向に沿って見たときに、接着凸部32bと重なる部分42aと、接着凸部32bと重ならない部分42bを有している。部分42aの端面(下面)は、底面30と平行な平面である。部分42aは、突出量H41(すなわち、ガイド凸部41の部分41aの突出量と同じ突出量)だけ底面30から下側に突出している。部分42bは、部分42aよりも端部38bに近い位置に配置されている。部分42bの端面(下面)は、底面30に対して傾斜している。部分42bの突出量は、部分42aに近づくに従って増加している。端部38bに最も近い位置では、部分42bの突出量は接着凸部32bの突出量H32よりも小さい(ほぼゼロである)。部分42bの突出量は、部分42aに近づくに従って増加して突出量H32よりも大きい値(より詳細には、部分42aの突出量H41と等しい値)まで達する。したがって、部分42bは、部分42aに滑らかに接続されている。
図5に示すように、ガイド凸部42と接着凸部32bの間の範囲の一部には、間隔43bが設けられている。
【0028】
図4、5に示すように、ガイド凸部44は、接着凸部32aと接着凸部32bの間の間隔39とその周辺に配置されている。ガイド凸部44は、y方向に沿って長く伸びる部分と、その部分の両端からx方向に沿って長く伸びる部分を有している。ガイド凸部44のx方向に沿って長く伸びる各部分は、接着凸部32a、32bに対してy方向で隣接する位置まで伸びている。このため、
図4に示すように、ガイド凸部44は、y方向に沿って見たときに、間隔39と重なる部分44aと、接着凸部32aと重なる部分44bと、接着凸部32bと重なる部分44cを有している。部分44aの端面(下面)は、底面30と平行な平面である。部分44aは、突出量H41(すなわち、ガイド凸部41の部分41aの突出量と同じ突出量)だけ底面30から下側に突出している。部分44bの端面(下面)は、底面30に対して傾斜している。部分44bの端面は、部分44aに近づくに従って下側に変位するように傾斜している。言い換えると、部分44bの突出量は、部分44aに近づくに従って増加している。部分44aから最も遠い位置では、部分44bの突出量は突出量H32よりも小さい(ほぼゼロである)。部分44bの突出量は、部分44aに近づくに従って増加して突出量H32よりも大きい値(より詳細には、部分44aの突出量H41と等しい値)まで達する。部分44cの端面(下面)は、底面30に対して傾斜している。部分44cの端面は、部分44aに近づくに従って下側に変位するように傾斜している。言い換えると、部分44cの突出量は、部分44aに近づくに従って増加している。部分44aから最も遠い位置では、部分44cの突出量は突出量H32よりも小さい(ほぼゼロである)。部分44cの突出量は、部分44aに近づくに従って増加して突出量H32よりも大きい値(より詳細には、部分44aの突出量H41と等しい値)まで達する。
図5に示すように、ガイド凸部44と接着凸部32aの間の範囲の一部には、間隔46aが設けられている。ガイド凸部44と接着凸部32bの間の範囲の一部には、間隔46bが設けられている。
【0029】
図6に示すように、ジャンクションボックス22aの下部には、冷却器60が配置されている。冷却器60は、液循環式の冷却器である。冷却器60は、熱伝導率が高い絶縁性の接着剤62によって、トレー12の外面12c(下面)に接着されている。冷却器60によってジャンクションボックス22aが冷却される。なお、他の図では、冷却器60の図示を省略している。
【0030】
次に、ジャンクションボックス22aをトレー12から取り外す方法について説明する。ジャンクションボックス22aをトレー12から取り外す場合には、
図7に示すように、ジャンクションボックス22aの底面30とトレー12の内面12bの間にワイヤーソー90を挿入する。なお、
図7では、ワイヤーソー90を端部38a側から挿入しているが、ワイヤーソー90を端部38b側から挿入してもよい。以下では、ワイヤーソー90を端部38a側から挿入した場合について、説明する。
【0031】
ワイヤーソー90をジャンクションボックス22aの底面30とトレー12の内面12bの間に挿入したら、ワイヤーソー90の両端部90aを斜め上方向に引っ張ることで、ジャンクションボックス22aとトレー12の間に挿入された部分のワイヤーソー90をx方向(端部38bに向かう方向)に移動させる。すると、ワイヤーソー90が、ガイド凸部41の部分41bによって案内されることで、部分41aとトレー12の間に移動する。部分41aの突出量H41が接着凸部32aの突出量H32以上であるので、ワイヤーソー90をさらにx方向に移動させると、
図8に示すように、ワイヤーソー90が接着凸部32aとトレー12の間にスムーズに移動する。このため、ワイヤーソー90によって、接着凸部32aとトレー12の間の接着剤50を切断することができる。ガイド凸部41が存在しないと、ワイヤーソー90が接着凸部32aと底面30の間の段差Pに引っ掛かるので、ワイヤーソー90を接着凸部32aとトレー12の間に移動させることは困難である。これに対し、ガイド凸部41が設けられていることで、ワイヤーソー90を接着凸部32aとトレー12の間に容易に移動させることができ、これらの間の接着剤50を容易に切断することができる。
【0032】
接着凸部32aとトレー12の間の接着剤50を切断しながらワイヤーソー90をx方向(端部38bに向かう方向)にさらに移動させると、ワイヤーソー90がガイド凸部44の部分44bに接触する。ワイヤーソー90は、部分44b、部分44a、部分44cの順にこれらの表面に沿って移動し、接着凸部32bとトレー12の間に移動する。このため、ワイヤーソー90によって、接着凸部32bとトレー12の間の接着剤50を切断することができる。接着凸部32bとトレー12の間の接着剤50を切断することで、ジャンクションボックス22aをトレー12から取り外すことができる。なお、ガイド凸部44が存在しないと、接着凸部32aの下側を通過したワイヤーソー90が、接着凸部32aと接着凸部32bの間の間隔39に入り込み、接着凸部32bと底面30の間の段差Qに引っ掛かる。これに対し、間隔39にガイド凸部44の部分44aが設けられていることで、ワイヤーソー90が段差Qに引っ掛かることを防止することができる。また、部分44aが設けられているとしても、部分44bが設けられていなければ、ワイヤーソー90が部分44aと接着凸部32aの間の間隔46a(
図5参照)に入り込んで引っ掛かる場合がある。これに対し、部分44bが設けられていることで、ワイヤーソー90が間隔46aに入りこむことを防止することができる。したがって、ワイヤーソー90は、ガイド凸部44によって案内されることで、接着凸部32aの下側に位置から接着凸部32bの下側の位置までスムーズに移動することができる。
【0033】
以上に説明したように、電池パック10の構造によれば、ワイヤーソー90を用いることで、ジャンクションボックス22aをトレー12から容易に分離することができる。また、ジャンクションボックス22aとトレー12にキズが付くことを抑制しながら、ジャンクションボックス22aをトレー12から分離することができる。
【0034】
また、電池パック10では、ガイド凸部41、42、44と接着凸部32a、32bの間の範囲の一部に、間隔43a、43b、46a、46bが設けられている。間隔43a、43b、46a、46bが存在しないと、電池パック10の製造工程において接着凸部32a、32bを接着剤50を介してトレー12に貼り付けるときに、余剰の接着剤50が接着凸部32a、32bの表面からガイド凸部41、42、44の表面まで流れる場合がある。特に、誤差によって接着剤50の塗布量が多い場合には、ガイド凸部41、42、44からさらに外側まで接着剤50がはみ出すおそれがある。これに対し、間隔43a、43b、46a、46bが設けられていると、余剰の接着剤50が間隔43a、43b、46a、46b内に流れ込み、接着剤50が意図しない範囲まではみ出すことを防止することができる。なお、余剰の接着剤50の問題が深刻な場合には、ガイド凸部41、42、44が、間隔によって接着凸部32a、32bから完全に分離されていてもよい。また、余剰の接着剤50の問題が生じない場合には、間隔43a、43b、46a、46bが存在しなくてもよい。
【0035】
なお、上述した実施形態では、ガイド凸部41の部分41b全体に傾斜面が設けられていた。しかしながら、部分41bの一部にのみ傾斜面が設けられていてもよい。また、部分41bから部分41aに跨って傾斜面が設けられていてもよい。ガイド凸部42も同様である。また、上述した実施形態では、ガイド凸部44の部分44b全体に傾斜面が設けられていた。しかしながら、部分44bの一部にのみ傾斜面が設けられていてもよい。また、部分44bから部分44aに跨って傾斜面が設けられていてもよい。部分44cも同様である。
【0036】
上述した実施形態の構成要素と請求項の構成要素との関係について説明する。実施形態のジャンクションボックス22aは、請求項の部品の一例である。実施形態のガイド凸部41、42は、請求項の第1ガイド凸部の一例である。実施形態の部分41a、42aは、請求項の第1部分の一例である。実施形態の部分41b、42bは、請求項の第2部分の一例である。実施形態のガイド凸部44は、請求項の第2ガイド凸部の一例である。実施形態の部分44aは、請求項の第3部分の一例である。実施形態の部分44b、44cは、請求項の第4部分の一例である。
【0037】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
10 :電池パック
11 :ケース
12 :トレー
12b:内面
14 :カバー
20 :電池セル
22a、22b:ジャンクションボックス
30 :底面
32a、32b:接着凸部
41、42、44:ガイド凸部
50 :接着剤