(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】ラクトースを含まず褐色化しない乳粉末及びその作成方法
(51)【国際特許分類】
A23C 1/16 20060101AFI20230314BHJP
A23C 1/12 20060101ALI20230314BHJP
A23C 1/04 20060101ALI20230314BHJP
A23C 9/156 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
A23C1/16
A23C1/12
A23C1/04
A23C9/156
(21)【出願番号】P 2019529579
(86)(22)【出願日】2017-12-01
(86)【国際出願番号】 US2017064163
(87)【国際公開番号】W WO2018102658
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-27
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515301926
【氏名又は名称】フェアライフ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャキル・ウア・レーマン
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・コペスキー
(72)【発明者】
【氏名】カルヴィン・ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】スコット・バッキノフ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ピーター・ドールマン
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-537011(JP,A)
【文献】特表2011-512798(JP,A)
【文献】特表2005-525116(JP,A)
【文献】特開2002-291406(JP,A)
【文献】Protein craze extends to fortified milk,Supermarket News, 2014年,p.1-4,https://www.supermarketnews.com/dairy/protein-craze-extends-fortified-milk, 検索日:2021年9月15日
【文献】Milk Science, 2011年,Vol.60, No.2,p.99-104
【文献】Milk Powder Production,Rotronic Application Note, 2013年,p.1-4
【文献】日本農芸化学会誌, 1956年,第30巻, 第6号,A60-A65
【文献】Journal of Agricultural and Food Chemistry, 2014年,Vol.62,p.7886-7896
【文献】茶研究 最前線,静岡新聞, 2012年,p.1
【文献】LWT, 2007年,Vol.40,p.1410-1417
【文献】J. Agric. Food Chem., 2006年,Vol.54,p.502-508
【文献】化学と生物, 2008年,Vol.44, No.10,p.688-698
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C 1/00-23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)乳製品生産物に緑茶抽出物を組み合わせることにより、10から5,000ppmのポリフェノールを加えて、流動性乳製品組成物を形成する工程;
(ii)前記流動性乳製品組成物から水の少なくとも一部分を除去して、濃縮乳製品組成物を形成する工程;及び
(iii)前記濃縮乳製品組成物を
噴霧乾燥して、乾燥乳製品組成物を形成する工程
を含み、
前記乾燥乳製品組成物が、
40から65質量%のタンパク質;
15から30質量%の炭水化物;
0.5質量%以下のラクトース;及び
500から3,500ppmの緑茶抽出ポリフェノール
を含む、乾燥乳製品組成物を調製するための方法。
【請求項2】
水の少なくとも一部分を除去する工程が蒸発段階、逆浸透段階、正浸透段階若しくは大気圧未満の条件での操作又はそれらの組み合わせを
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリフェノールがカテキン類、フラボノイド類、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥乳製品組成物が前記ポリフェノールなしで調製される以外は同一の粉末乳製品組成物より調理風味が少なく;
前記乾燥乳製品組成物が前記ポリフェノールなしで調製される以外は同一の粉末乳製品組成物より硫黄の臭気が少なく;
前記乾燥乳製品組成物が前記ポリフェノールなしで調製される以外は同一の粉末乳製品組成物より褐色が少なく;又は
それらの組み合わせである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(i)の前に前記乳製品生産物を低温殺菌する工程;
工程(ii)の前に前記流動性乳製品組成物を低温殺菌する工程;又は
工程(iii)の前に前記濃縮乳製品組成物を低温殺菌する工程
を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(i)の前に前記乳製品生産物にラクターゼ酵素を加える工程;又は
工程(i)において前記乳製品生産物にラクターゼ酵素及び前記ポリフェノールを加える工程
を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記乳製品生産物が精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、及び逆浸透のうちの2以上を含む膜ろ過工程により調製される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流動性乳製品組成物が、
2から8質量%のタンパク質;
1から4質量%の炭水化物;
0.5質量%以下のラクトース;及び
10から1,000ppmの緑茶抽出ポリフェノール;
を含み、かつ、
前記濃縮乳製品組成物が、
4から30質量%のタンパク質;
2から30質量%の炭水化物;
1.5質量%以下のラクトース;及び
20から2,000ppmの緑茶抽出ポリフェノール
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
40から65質量%のタンパク質;
15から30質量%の炭水化物;
0.5質量%以下のラクトース;及び
250から7,500ppmの緑茶抽出ポリフェノール
を含む、乾燥乳製品組成物。
【請求項10】
500から3,500ppmの緑茶抽出ポリフェノールを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
0.1質量%から27質量%の脂肪を更に含む、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
3質量%から12質量%の無機物を更に含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
93質量%以上の総固形物含有量を有する、請求項9から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記乾燥乳製品組成物が前記ポリフェノールを含まない以外は同一の粉末乳製品組成物より調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色が少ない、請求項9から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか一項に記載
の乾燥乳製品組成物と水とを混合して、再構成された乳生産物を形成する工程を含む、乳生産物を再構成する方法。
【請求項16】
水;
2から8質量%のタンパク質;
1から4質量%の炭水化物;
0.5質量%以下のラクトース;及び
10から1,000ppmの緑茶抽出ポリフェノール;
を含み、かつ
5から15質量%の範囲内の総固形含有量を有する、再構成された乳生産物。
【請求項17】
前記ポリフェノールを含まない以外は同一の再構成された乳製品組成物より調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色が少ない、請求項16に記載の再構成された乳生産物。
【請求項18】
0.1質量%以下のラクトース;及び
50から500ppmの緑茶抽出ポリフェノールを含む、請求項16又は17に記載の再構成された乳生産物。
【請求項19】
(i)乳製品生産物にラクターゼ酵素を加えて、流動性乳製品生産物を形成する工程;
(ii)前記流動性乳製品生産物から水の少なくとも一部分を除去して、濃縮乳製品生産物を形成する工程;
(iii)緑茶抽出物と前記濃縮乳製品生産物とを組み合わせることにより、前記濃縮乳製品生産物に20から2,000ppmのポリフェノールを添加して、濃縮乳製品組成物を形成する工程;及び
(iv)前記濃縮乳製品組成物を
噴霧乾燥して、乾燥乳製品組成物を形成する工程
を含み、
前記乾燥乳製品組成物が、
40から65質量%のタンパク質;
15から30質量%の炭水化物;
0.5質量%以下のラクトース;及び
500から3,500ppmの緑茶抽出ポリフェノール
を含む、乾燥乳製品組成物を調製するための方法。
【請求項20】
水の少なくとも一部分を除去する工程が蒸発段階、逆浸透段階、正浸透段階若しくは大気圧未満の条件での操作又はそれらの組み合わせを
含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記乾燥乳製品組成物が前記ポリフェノールなしで調製された以外は同一の粉末乳製品組成物より調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色が少ない、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
工程(i)の前に前記乳製品生産物を低温殺菌する工程;
工程(ii)の前に前記流動性乳製品生産物を低温殺菌する工程;又は
工程(iv)の前に前記濃縮乳製品組成物を低温殺菌する工程
を更に含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記濃縮乳製品組成物が、50から1,500ppmの緑茶抽出ポリフェノールを含む、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、2017年12月1日にPCT国際特許出願として出願され、2016年12月2に出願された米国仮出願番号62/429,090に優先権主張するものであり、前記出願の開示は、本明細書内にその全体を参照して援用される。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
本発明は一般に低ラクトース含有量を有し、ポリフェノール化合物を含む乾燥又は粉末乳製品組成物を調製する方法及び結果として得られる乾燥又は粉末乳製品組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7,169,428号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0309353号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0309354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[発明のまとめ]
本まとめは簡素化した形で本明細書内で更に記載される概念の選択を紹介して提供される。本まとめは特許請求の範囲の対象となる事柄の必要とされる又は本質的な特性を特定する意図はない。また、本まとめは特許請求の範囲の対象となる事柄の範囲の制限に使用される意図もない。
【0005】
ポリフェノールを含む乾燥又は粉末乳製品組成物が開示され、本明細書内に記載される。このような乾燥又は粉末組成物の一つは約35から約90質量%のタンパク質(又は約40から約80質量%、又は約40から約65質量%)、約10から約35質量%の炭水化物(又は約17から約33質量%、又は約15から約30質量%)、約1.5質量%以下のラクトース(又は約1質量%、0.5質量%、又は0.1質量%以下)、及び約100から約10,000ppmのポリフェノール(又は約250から約7,500ppm、又は約500から約3,500ppm)を含み得る。
【0006】
ポリフェノールを含む流動性又は液体の乳製品組成物もまた本明細書内に開示され記載される。代表する流動性又は液体の乳製品組成物は、大抵、濃縮流動性乳製品組成物として表され、約4から約30質量%のタンパク質、約2から約30質量%の炭水化物、約1.5質量%以下のラクトース、及び約20から約2,000ppmのポリフェノールを含み得る。別の代表する流動性又は液体乳製品組成物は、大抵、非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物として表され、約2から約8質量%のタンパク質、約1から約4質量%の炭水化物、約0.5質量%以下のラクトース、約10から約1,000ppmのポリフェノールを含み得る。
【0007】
意外に、かつ有益に、乾燥及び流動性の乳製品組成物の両者は改善された官能特性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
乾燥乳製品組成物を調製するための方法もまた本明細書内で開示される。これらの方法において、ポリフェノールは様々な乳製品生産物又は成分豊富な乳製品の画分に添加され、次いでそれに続く乾燥工程であり、乾燥乳製品組成物を形成する。液体乳製品組成物は、典型的に、ポリフェノールが添加されない比較組成物と比較して少ない調理風味(cooked flavor)と少ない硫黄の臭気を有する。ポリフェノール処理液体から得られる乾燥又は粉末乳製品組成物は、典型的に、ポリフェノールなしで調製される比較粉末乳製品組成物より褐色が少なく、良好な酸化安定性を有する。一般に、ラクトース-加水分解乳及び高タンパク乳を粉末状にする場合、乳粉末の褐色化又は変色の問題はより厳しい。
【0009】
本明細書内に開示された乾燥又は粉末乳製品組成物と水とを混合することにより、再構成された流動性の乳生産物が生産される。一般に、この再構成された流動性の乳生産物はポリフェノールなしで再構成された比較乳製品組成物より調理風味が少なく、硫黄の臭気が少なく、及び/又は褐色が少ない。
【0010】
乾燥乳製品組成物を調製するための別の方法は、2以上の成分豊富な画分を混ぜ合わせる工程、水の少なくとも一部を除去し、乳製品生産物中間体を形成する工程、乳製品生産物中間体を乾燥させ、乾燥乳製品生産物中間体を形成する工程、及び乾燥乳製品生産物中間体へ高固形無機物/風味豊富な画分を加え、混合物を形成する工程、及び任意に混合物をインスタント化(instantizing)させ及び/又は凝集させ、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る。低ラクトース又はラクトースを含まない乳粉末を生産することに加えて、乾燥乳製品組成物を調製する本方法は他の適切な乳生産物(例えば、低ラクトース含有量なし)の生産に用いられ得る。
【0011】
乾燥乳製品組成物を調製する別の代表する方法は、乳製品生産物にポリフェノールを加え、流動性乳製品組成物を形成する工程、流動性乳製品生産物から水の少なくとも一部分を除去し、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び濃縮乳製品組成物を乾燥させ、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る。乾燥乳製品組成物を調製するためのさらに別の代表する方法は、乳製品生産物にラクターゼ酵素を加え、流動性乳製品生産物を形成する工程、流動性乳製品生産物から水の少なくとも一部を除去し、濃縮乳製品生産物を形成する工程、濃縮乳製品生産物にポリフェノールを加え濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る。
【0012】
上記のまとめ及び下記詳細な説明の両者は例を提供し、説明的なものにすぎない。その結果、上記のまとめ及び下記詳細な説明は制限するものとみなされない。更に、特性又は変化は本明細書内に準じたものに加えて提供され得る。例えば、特定の態様は詳細な説明中に記載される様々な特性の組み合わせ及び副組み合わせを対象とし得る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[定義]
本明細書内に使用される用語をより明らかに定義するため、下記定義が提供される。特に明記しない限り、下記定義は本明細書に適用できる。用語が本明細書内で使用されるが、本明細書内で特別定義されない場合、その定義が本明細書内で適用される開示若しくは定義と矛盾しない、又は定義を適用しうる特許請求の範囲を曖昧にしない若しくは実施不可能にしない限りは、IUPAC Compendium of Chemical Terminology, 2nd Ed (1997)からの定義が適用され得る。本明細書内に参照して援用されるあらゆる書類により提供されるあらゆる定義又は使用が本明細書内で提供される定義又は使用と矛盾する範囲内で、本明細書内で提供される定義又は使用が制御する。
【0014】
本明細書内で、事柄の特性は、特定の態様内で、異なる特性の組み合わせを想像できるように、記載される。本明細書内で開示されるそれぞれ及びすべての態様及び/又はそれぞれ及びすべての特性について、本明細書内で説明されるデザイン、組成物、工程及び/又は方法に有害な影響を与えないすべての組み合わせが、特定の組み合わせの明確な記載がある場合に又は前記記載がない場合でも、考慮される。加えて、明確に他に列挙しない限り、本明細書内で開示されるいずれの態様及び/又は特性も、本開示と矛盾しない発明の特性を記載するため組み合わせられ得る。
【0015】
本明細書内で組成物及び方法は様々な成分又は工程を「含む」という観点で説明されるが、特に明記しない限り、組成物及び方法はまた様々な成分又は工程「から本質的になる」又は「からなる」とし得る。
【0016】
「一つの」及び「その」という用語は特に明記しない限り、例えば少なくとも一つなどの複数の代替手段を含むことを意図している。例えば「一つの成分豊富な画分」という開示は特に明記しない限り、一つ又は混合物又は1以上の組み合わせの成分豊富な画分を包含することを意味する。
【0017】
略語の「ppm」は百万分率を意味し、特に明記しない限り質量基準である。
【0018】
開示される方法において、「加える」及び「混ぜ合わせる」という用語は特に明記しない限り、あらゆる順番で、あらゆる方法で、あらゆる時間の長さでの成分の接触を包含する。例えば、成分が混合又は撹拌しながら加え又は混ぜ合わせられ得る。
【0019】
本明細書内で記載される方法及び材料と類似又は同等のあらゆる方法及び材料が本発明の実行又は試験に使用され得るが、本明細書内で典型的な方法及び材料が記載される。
【0020】
本明細書内でいくつかのタイプの範囲が記載される。任意のタイプの範囲が開示され又は特許請求の範囲に記載される場合、その意図するところは、範囲の端点だけでなく包含される副範囲(sub-ranges)及び副範囲の組み合わせを含む、その範囲が理にかなって包含し得るそれぞれの可能な数字を、個別に開示又は特許請求の範囲に記載することである。代表例として、流動性乳製品組成物のタンパク質含有量は本発明の様々な態様において特定の範囲とし得る。タンパク質含有量が約2から約8質量%の範囲内とする開示については、その意図するところは、タンパク質含有量が範囲内のあらゆるタンパク質含有量にもなり得ることを、例えば約2、約3、約4、約5、約6、約7又は約8質量%に等しくなり得ることを記載することである。加えて、タンパク質含有量は約2から約8質量%の任意の範囲内とすることができ(例えば約3から約7質量%)、また、約2から8質量%間の範囲のいずれの組み合わせも含む(例えばタンパク質含有量は2.5から約4.5質量%又は約6から約8質量%の範囲内とし得る)。同様に、本明細書内で開示される他のすべての範囲はこの例と同様の方法で解釈されるべきである。
【0021】
「約」という用語は、量、大きさ、処方、パラメーター、及び他の量及び特性が正確でないかつ正確な必要はないが、おおよそであろうことを意味し、場合に応じて、許容差、変換係数、四捨五入、測定誤差等、及び当業者に知られる他の要因を反映する、より大きい又は小さいことを含む。一般に、そのように明確に記載するかどうかに関わりなく、量、大きさ、処方、パラメーター又は他の量又は特性は「約」又は「およそ」である。「約」という用語は特定の初期混合物に起因する組成物のための異なる平行状態による異なる量をも包含する。「約」という用語により変更されるかどうかに関わりなく、特許請求の範囲は量に等価のものを含む。「約」という用語は報告される数値の10%以内、好ましくは報告される数値の5%以内を意味し得る。
【0022】
[発明の詳細な説明]
一般に、乳粉末は乳の栄養を長い期間保存するために製造される。家畜化された哺乳類の搾乳から得られる流動性乳はほとんどが水であり、例えば牛乳は約87質量%の水を含む。更に、流動性乳は優れた栄養源と高い水分活性によりバクテリアの成長の理想的な媒体であり、すぐに腐る。しかしながら、流動性乳から粉末へと変換することは水分活性を減少させ、バクテリアの成長を抑制する。それ故、低固形分の流動性乳を乾燥粉末へと変換することは乳の保存可能期間を著しく伸ばすことに役立ち得る。
【0023】
乳の粉末製造の別の利益は高い乳生産地域と乳生産が不可能又は経済的に実現不可能な地域間で乳供給の平衡を保つことである。アフリカや極東アジアの特定の国において、流動性乳生産と消費者需要が合っておらず、それ故、乳粉末の生産は、輸送及び貯蔵コストを減少させることによって、及び環境に責任ある態度で保存期間を延長させることによって、乳製品市場に対する圧力を和らげることに役立つ。
【0024】
更に、乳粉末製造は乳供給における季節変動による乳供給を安定させることにも役立つ。大抵、乳製品の需要が非常に高い場合、乳生産は低くかつ、逆に、乳の需要が低い場合、生産量が高い。供給過多の時期の過剰な乳生産が乳粉末に変換され、乳生産の傾いた時期に乳製品の需要を満たし得る。上記の様に、流動性乳からの水の除去は貯蔵及び輸送コストを減少させる。
【0025】
例えば、乳粉末の製造の間、総固形分が12質量%の哺乳類から得られる乳(例えば、牛乳など)は低温殺菌され、続いて真空下でエバポレーターによって総固形分48から52質量%に濃縮され得る。標準的な大気条件で加熱した場合とは対照的に、真空下で乳を加熱することによって、乳を低温で沸騰させることが可能になる。しかしながら、真空下で、新鮮及び自然の風味の化合物もまた乳から除去され、この理由から、従来の乳粉末から作られる還元牛乳は低温殺菌流動性乳の新鮮な味を保持しない。従って、本発明の目的は真空下の蒸発の間に新鮮な乳製品の風味の損失を減少させ又は抑制し、流動性の乳製品組成物に再構成された際に、低温殺菌された流動性乳に相当し、もしかするとそれ以上に好ましい乳粉末を生産することである。
【0026】
ポリフェノールを含む乾燥乳製品組成物(例えば粉末乳生産物)及び流動性乳製品組成物(例えば再構成された液体乳生産物)が開示され、そのような乳製品組成物を生産のための方法が記載される。ポリフェノール化合物の比較的少量の使用が、意外に、例えば、乳生産物の望ましくない調理風味の減少、乳生産物の望ましくない硫黄の臭気の減少、及び/又は乳生産物の望ましくない褐色の減少などの良好な官能特性を有する、より高い品質の乳生産物をもたらす。
【0027】
乾燥又は粉末乳製品組成物
本発明の態様は乾燥乳製品組成物を対象とする。乾燥乳製品組成物は本明細書内では粉末乳製品組成物又は粉末化された乳製品組成物として表されてもよい。本発明の乾燥乳製品組成物の実例は低ラクトース又はラクトースを含まない乳粉末である。そのような乾燥(又は粉末)乳製品組成物は約35から約90質量%のタンパク質、約10から約35質量%の炭水化物、約1.5質量%以下のラクトース、及び約100から約10,000ppmのポリフェノールを含み得る。ppmは質量基準であり、タンパク質、炭水化物、ラクトース、及びポリフェノール(ポリフェノール化合物)の相対量は乾燥乳製品組成物の総質量に基づく。
【0028】
一態様において、乾燥(又は粉末)乳製品組成物は約40から約80質量%のタンパク質、約17から約33質量%の炭水化物、約0.5質量%以下のラクトース、及び約250から約7,500ppmのポリフェノールを含み、あるいは代替的に、乾燥(又は粉末)乳製品組成物は約40から約65質量%のタンパク質、約15から約30質量%の炭水化物、約0.1質量%以下のラクトース、約500から約3,500ppmのポリフェノールを含み得る。当業者にとっては明らかなであるように、乾燥乳製品組成物のすべての成分の総量が100質量%を超えない。
【0029】
本明細書内に包含される乾燥乳製品組成物は本明細書内の上記に提供された成分及びそれぞれの量のみに限定されない。これらの乾燥乳製品組成物は下記のあらゆる成分及びそれぞれの量並びにあらゆる組み合わせを有する。
【0030】
本発明の態様によると、いずれの乾燥(又は粉末)乳製品組成物も約35から約90質量%のタンパク質、約40から約80質量%のタンパク質、又は約40から約65質量%のタンパク質を含み得る。加えて、乾燥乳製品組成物は約18から約35質量%の炭水化物、約17から約33質量%の炭水化物、又は約15から約30質量%の炭水化物を含み得る。これは炭水化物の総量を表し、これは一般にラクトース、グルコース及びガラクトース(例えば、当業者に認識されているように、ラクトースはラクトースとラクターゼ酵素の処理によりグルコースとガラクトースに変換され、それ故、ラクトース含有量が非常に低い)の総量を含む。乾燥乳製品組成物は典型的に約1.5質量%以下のラクトース、より頻度が高く、約1質量%以下のラクトース、約0.5質量%以下のラクトース、又は約0.1質量%以下のラクトースを含む。一般に、乾燥乳製品組成物は約100から約10,000ppmのポリフェノール、約250から約7,500ppmのポリフェノール、又は約500から約3,500ppmのポリフェノールを含む。乾燥乳製品組成物中のタンパク質、炭水化物、ラクトース、及びポリフェノールのそれぞれの量に対する他の適切な量及び範囲は本発明の記載から容易に明らかになる。
【0031】
更に、乾燥乳製品組成物は無機物及び脂肪も含むことができ、無機物と脂肪のそれぞれの量は特に限定されない。大抵、乳製品組成物は約3から約12質量%の灰分(又は無機物);代替的に、約4から約11質量%の灰分(又は無機物);あるいは代替的に、約5から約10質量%の灰分(又は無機物)を含み得る。本明細書内で開示される乾燥/粉末又は流動性/液体組成物の無機物の含有量(質量%)は灰分含有量(質量%)に非常に類似しており、本明細書内に記載した灰分テストによって決定される。それ故、灰分含有量と無機物含有量は本明細書内では交換可能で使用される。脂肪含有量は、大抵、低脂肪含有量から高脂肪含有量の範囲であり、低ラクトース又はラクトースを含まない乳粉末のタイプに依存する。従って、乾燥乳製品組成物は約0.1質量%から約27質量%の脂肪;代替的に、約0.1~約3質量%の脂肪(低脂肪);又は代替的に、約5から約27質量%の脂肪を含み得る。乾燥乳製品組成物中の無機物及び脂肪のそれぞれの量に対する他の適切な量及び範囲は本発明の記載から容易に明らかになる。
【0032】
乾燥(又は粉末)乳製品組成物は、その名前が意味を含んでいるとおり、流動性の又は液体の乳製品組成物とは対照的に「乾燥」又は「粉末」である。大抵、乾燥乳製品組成物は流動性のある粉末として記載され得る。加えて、あるいは代替的に、乾燥(又は粉末)乳製品組成物は固体のパーセントにより記載され得る。一態様において、乾燥乳製品組成物は93質量%以上の総固形含有量を有し、別の態様においては、乾燥乳製品組成物は95質量%以上の総固形含有量を有し、更に別の態様においては、乾燥乳製品組成物は97質量%以上の総固形含有量を有し得る。
【0033】
当業者に容易に認識されるように、前述の成分に加えて、乾燥乳製品組成物は適切な量で他の成分(例えば風味剤及び添加剤)を含み得る。風味剤及び添加剤の実例は、限定されないが、糖/甘味料、香味料、防腐剤、安定剤、ビタミン、pH調整剤、着色剤等、及びそれらの混合物又は組み合わせを含む。本発明の特定の態様と一致して、乾燥乳製品組成物はココア粉末を含まず(すなわち、粉末がチョコレート乳粉末でない)、又はココア粉末を実質上含まない(すなわち、0.1質量%未満、及び大抵0.05質量%未満)。
【0034】
流動性又は液体乳製品組成物
本発明の他の態様は流動性乳製品組成物を対象とする。流動性乳製品組成物は、これらの組成物が濃縮、非濃縮、又は再構成されるかで、本明細書内では液体乳製品組成物としても表されてもよい。当業者に認識されるように、流動性乳製品組成物のあらゆる成分の総量は100質量%を超えない。いずれのppm量も質量基準であり、本明細書内で開示される流動性乳製品組成物の成分のそれぞれの量は、特に明記しない限り、流動性乳製品組成物の総重量に基づいている。
【0035】
一態様においては、「濃縮」流動性(又は液体)乳製品組成物が提供され、本態様においては、流動性組成物は約4から約30質量%のタンパク質、約2から約30質量%の炭水化物、約1.5質量%以下のラクトース、約20から約2,000ppmのポリフェノールを含み得る。この組成物は「濃縮」として記載される。何故ならば、通常、「非濃縮」流動性組成物(下記で更に説明する)から水の少なくとも一部が、逆浸透、正浸透、蒸発、又は他の適切な技術を使用して除去され、乾燥する前に、乾燥(又は粉末)乳製品組成物を形成するからである。他の代表する濃縮流動性乳製品組成物は約6から約20質量%のタンパク質、約3から約15質量%の炭水化物、約0.5質量%以下のラクトース、及び約50から約1,500ppmのポリフェノール;あるいは代替的に、約8から約14質量%のタンパク質、約3.5から約7質量%の炭水化物、約0.2質量%以下のラクトース、及び約100から約1,000ppmのポリフェノールを含み得る。
【0036】
本明細書内に包含される濃縮流動性乳製品組成物は本明細書内の上記に提供された成分及びそれぞれの量のみに限定されない。これらの濃縮流動性乳製品組成物は下記のあらゆる成分及びそれぞれの量並びにあらゆる組み合わせを有する。
【0037】
本発明の態様により、いずれの濃縮流動性(又は液体)乳製品組成物も約4から約30質量%のタンパク質、約6から約20質量%のタンパク質、又は約8から約14質量%のタンパク質を含み得る。加えて、濃縮流動性乳製品組成物は約2から約30質量%の炭水化物、約3から約15質量%の炭水化物、又は約3.5から約7質量%の炭水化物を含み得る。これは炭水化物の総量を表し、これは一般にラクトース、グルコース及びガラクトースの総量を含む(例えば、当業者に認識されているように、ラクトースはラクトースとラクターゼ酵素の処理によりグルコースとガラクトースに変換され、それ故、ラクトース含有量が非常に低い)。濃縮流動性乳製品組成物は典型的に約1.5質量%以下のラクトース、より頻度が高く約0.5質量%以下のラクトース、約0.2質量%以下のラクトースを含む。一般に、流動性乳製品組成物は約20から約2,000ppmのポリフェノール、約50から約1,500ppmのポリフェノール、又は約100から約1,000ppmのポリフェノールを含む。濃縮流動性乳製品組成物中のタンパク質、炭水化物、ラクトース、及びポリフェノールのそれぞれの量に対する他の適切な量及び範囲は本発明の記載から容易に明らかになる。
【0038】
更に、濃縮流動性乳製品組成物は無機物及び脂肪も含み、無機物と脂肪のそれぞれの量は特に限定されない。大抵、乳製品組成物は約1から約10質量%の無機物;代替的に、約1から約5質量%の無機物;あるいは代替的に、約1から約4質量%の無機物を含み得る。濃縮流動性乳製品組成物の脂肪含有量は、望むならば、大抵、低脂肪含有流動性組成物から高脂肪含有流動性組成物の範囲とし得る。従って、濃縮流動性乳製品組成物は約0.1質量%から約30質量%;代替的に、約0.1から約2質量%の脂肪(低脂肪);又は代替的に、約1から約22質量%の脂肪を含み得る。濃縮流動性乳製品組成物中の無機物及び脂肪のそれぞれの量に対する他の適切な量及び範囲は本発明の記載から容易に明らかになる。
【0039】
濃縮流動性(又は液体)乳製品組成物は、その名前が意味を含んでいるとおり、「濃縮」され、それ故減少した水分含有量を有する。例えば、濃縮流動性乳製品組成物は約10から約40質量%の範囲内の総固形含有量を有することができ、別の態様においては、濃縮流動性乳製品組成物は約12から約35質量%の範囲内の総固形含有量を有することができ、更に別の態様においては、濃縮流動性乳製品組成物は約15から約25質量%の範囲内の総固形含有量を有することができる。
【0040】
当業者に容易に認識されるように、前述の成分に加えて、濃縮流動性乳製品組成物は適切な量で他の成分(例えば風味剤及び添加剤)を含み得る。
【0041】
別の態様において、「非濃縮」又は「再構成された」流動性(又は液体)乳製品組成物が提供され、本態様において、流動性乳製品組成物は約2から約8質量%のタンパク質、約1から約4質量%の炭水化物、約0.5質量%以下のラクトース、及び約10から約1,000ppmのポリフェノールを含み得る。
【0042】
この組成物は、蒸発工程でのような著しい量の水の除去の前の流動性組成物であるため、この組成物は「非濃縮」として記載され得る。この組成物が本明細書内で開示されたあらゆる乾燥(又は粉末)組成物の再構成に起因するため、この組成物は「再構成された」として記載され得る。他の代表的な非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は約3から約7質量%のタンパク質、約1.5から約3.5質量%の炭水化物、約0.2質量%以下のラクトース、約25から約750ppmのポリフェノール;あるいは代替的に、約4から約6.5質量%のタンパク質、約1.8から約3.2質量%の炭水化物、約0.1質量%以下のラクトース、約50から約500ppmのポリフェノールを含み得る。
【0043】
本明細書内に包含される非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は本明細書内の上記に提供された成分及びそれぞれの量のみに限定されない。これらの非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は下記のあらゆる成分及びそれぞれの量並びにあらゆる組み合わせを有する。
【0044】
本発明の態様により、いずれの非濃縮又は再構成された流動性(又は液体)乳製品組成物も約2から約8質量%のタンパク質、約3から約7質量%のタンパク質、又は約4から約6.5質量%のタンパク質を含み得る。加えて、流動性乳製品組成物は約1から約4質量%の炭水化物、約1.5から約3.5質量%の炭水化物、又は約1.8から約3.2質量%の炭水化物を含み得る。これは炭水化物の総量を表し、これは一般にラクトース、グルコース及びガラクトースの総量を含む(例えば、当業者に認識されているように、ラクトースはラクトースとラクターゼ酵素の処理によりグルコースとガラクトースに変換され、それ故、ラクトース含有量が非常に低い)。流動性乳製品組成物は典型的に約0.5質量%以下のラクトース、より頻度が高く約0.2質量%以下のラクトース、又は約0.1質量%以下のラクトースを含む。一般に、流動性乳製品組成物は約10から約1,000ppmのポリフェノール、約25から約750ppmのポリフェノール、又は約50から約500ppmのポリフェノールを含む。非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物中のタンパク質、炭水化物、ラクトース、及びポリフェノールのそれぞれの量に対する他の適切な量及び範囲は本発明の記載から容易に明らかになる。
【0045】
更に、非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は無機物及び脂肪も含み、無機物と脂肪のそれぞれの量は特に限定されない。大抵、乳製品組成物は約0.2から約2質量%の無機物;代替的に、約0.3から約1.5質量%の無機物;あるいは代替的に、約0.5から約1質量%の無機物を含み得る。非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物の脂肪含有量は、望むならば、大抵、低脂肪含有流動性組成物から高脂肪含有流動性組成物の範囲とし得る。従って、この流動性乳製品組成物は約0.05質量%から約5質量%の脂肪;代替的に、約0.05から約1質量%の脂肪(低脂肪);又は代替的に、約0.05から約5質量%の脂肪を含み得る。非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物中の無機物及び脂肪のそれぞれの量に対する他の適切な量及び範囲は本発明の記載から容易に明らかになる。
【0046】
非濃縮又は再構成された流動性(又は液体)乳製品組成物は、その名前が意味を含んでいるとおり、大幅な水含有量を有する。例えば、非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は約5から約15質量%の範囲内の総固形含有量を有し、別の態様においては、非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は約6から約14質量%の範囲内の総固形含有量を有し、更に別の態様においては、非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は約7から約13質量%の範囲内の総固形含有量を有する。
【0047】
当業者に容易に認識されるように、前述の成分に加えて、非濃縮又は再構成された流動性乳製品組成物は適切な量で他の成分(例えば風味剤及び添加剤)を含み得る。
【0048】
乾燥又は粉末乳製品組成物の調製
本発明の一態様において、乾燥(又は粉末)乳製品組成物の調製ための方法が提供され、この態様において、方法は(i)乳製品生産物にポリフェノールを加え流動性(又は液体)乳製品組成物を形成する工程、(ii)流動性乳製品組成物から水の少なくとも一部を除去し、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iii)濃縮乳製品組成物を乾燥させ、乾燥(又は粉末)乳製品組成物を形成する工程を含み得る(又は、から本質的になる、又は、からなる)。本発明のこの態様に一致して、乾燥乳製品組成物は本明細書内に開示されるあらゆる乾燥(又は粉末)乳製品組成物とすることができ、流動性乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる非濃縮(又は再構成された)流動性乳製品組成物とすることができ、濃縮乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる濃縮流動性乳製品組成物とすることができる。乳製品生産物はあらゆる適切な乳製品生産物とすることができ、その非制限的な例としては、ラクトースを含まない脱脂乳、ラクトースを含まない低脂肪乳等を含み得る。
【0049】
別の態様において、乾燥乳製品組成物を調製するための方法が提供され、この態様において、方法は(i)乳生産物を2以上の成分豊富な画分に分画する工程、(ii)ラクターゼ酵素を少なくとも一つの成分豊富な画分に加える工程、(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を混ぜ合わせ、調合された乳製品生産物から水の少なくとも一部を除去する工程、(iv)調合された乳製品生産物にポリフェノールを加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(v)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る(又はから本質的になる、又はからなる)。それ故、工程(i)由来の1以上の成分豊富な画分は工程(ii)のラクターゼ処理画分(又は複数の画分)と混ぜ合わせ、続いて水の少なくとも一部を除去し、調合された乳製品生産物を形成し得る。本発明の本態様に一致して、調合された乳製品生産物はあらゆる適切に調合された乳製品生産物とすることができ、その非制限的な例は、ラクトースを含まない濃縮脱脂乳、ラクトースを含まない濃縮低脂肪乳等を含み得る。更に、乾燥乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる乾燥乳製品組成物とすることができ、濃縮乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる濃縮流動性乳製品組成物とすることができる。
【0050】
別の態様において、乾燥乳製品組成物を調製するための方法が提供され、この態様において、方法は(i)2以上の成分豊富な画分に乳生産物を画分する工程、(ii)少なくとも一つの成分豊富な画分にポリフェノールを加える工程、(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を混ぜ合わせ、水の少なくとも一部を除去し、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iv)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む(又は、から本質的になる、又は、からなる)。それ故、工程(i)由来の1以上の成分豊富な画分は加えられたポリフェノールを含む工程(ii)の画分(又は複数の画分)と混ぜ合わせ、続いて水の少なくとも一部を除去し、濃縮乳製品組成物を形成し得る。本発明の本態様に一致して、乾燥乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる乾燥乳製品組成物とすることができ、濃縮乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる濃縮流動性乳製品組成物とすることができる。
【0051】
別の態様において、乾燥乳製品組成物を調製するための方法が提供され、この態様において、方法は(i)乳生産物を2以上の成分豊富な画分に分画する工程、(ii)少なくとも一つの成分豊富な画分にポリフェノールを加える工程、(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を個別に又は混合して乾燥し、乾燥乳製品画分を形成する工程、及び(iv)乾燥乳製品画分を混ぜ合わせ、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る(又は、から本質的になる、又は、からなる)。それ故、工程(i)由来の1以上の成分豊富な画分、及び加えられたポリフェノールを含む工程(ii)の画分(又は複数の画分)は個別又は混合して乾燥され、乾燥乳製品画分を形成し、続いて乾燥画分を-あらゆる相対量又は相対比で-混ぜ合わせることで、乾燥乳製品組成物を形成し得る。本発明の本態様に一致して、乾燥乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる乾燥(又は粉末)乳製品組成物とすることができる。
【0052】
別の態様において、乾燥乳製品組成物を調製するための方法が提供され、この態様において、方法は(i)2以上の成分豊富な画分を混ぜ合わせ、水の少なくとも一部を除去し、調合された乳製品生産物を形成する工程、(ii)調合された乳製品生産物にラクターゼ酵素とポリフェノールを加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iii)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む(又は、から本質的になる、又は、からなる)。本発明の本態様に一致して、調合された乳製品生産物はあらゆる適切な調合された乳製品生産物とすることができ、その非制限的な例としていは、濃縮脱脂乳、濃縮低脂肪乳等を含み得る。更に乾燥乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる乾燥乳製品組成物とすることができ、濃縮乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる濃縮流動性乳製品組成物とすることができる。
【0053】
更に別の態様において、乾燥乳製品組成物を調製するための方法が提供され、この態様において、方法は(i)2以上の成分豊富な画分を混ぜ合わせ、少なくとも水の一部を除去し、調合された乳製品生産物を形成する工程、(ii)調合された乳製品生産物を逆浸透(又は正浸透)に供する工程、(iii)ラクターゼ酵素及びポリフェノールを加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iv)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る(又は、から本質的になる、又は、からなる)。本発明の本態様に一致して、調合された乳製品生産物はあらゆる適切に調製された乳製品生産物とすることができ、その非制限的な例としては、非濃縮の脱脂乳、濃縮又は非濃縮の低脂肪乳等を含み得る。更に、乾燥乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる乾燥乳製品組成物とすることができ、濃縮乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる濃縮流動性乳製品組成物とすることができる。
【0054】
更に別の態様において、乾燥乳製品組成物を調製するための方法が提供され、この態様において、方法は(i)乳生産物を2以上の成分豊富な画分に分画する工程、(ii)ラクターゼ酵素を少なくとも一つの成分豊富な画分に加える工程、(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を混ぜ合わせ、逆浸透(又は正浸透)により水の少なくとも一部を除去し、調合された乳製品生産物を形成する工程、(iv)ポリフェノールを調合された乳製品生産物に加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(v)濃縮乳製品組成物を乾燥させ、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る(又は、から本質的になる、又は、からなる)。それ故、工程(i)由来の1以上の成分豊富な画分が工程(ii)のラクターゼ処理画分(又は複数の画分)と混ぜ合わせられ、続いて逆浸透(又は正浸透)により水の少なくとも一部が除去され、調合された乳製品生産物を形成し得る。本発明の本態様に一致して、調合された乳製品生産物はあらゆる適切に調合された乳製品生産物とすることができ、その非制限的な例としては、ラクトースを含まない濃縮脱脂乳、ラクトースを含まない濃縮低脂肪乳等を含み得る。更に、乾燥乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる乾燥乳製品組成物とすることができ、濃縮乳製品組成物は本明細書内で開示されるあらゆる濃縮流動性乳製品組成物とすることができる。
【0055】
ポリフェノールを含む乾燥乳製品組成物を調製するための他の適切な技術及び手順(例えば、特定のあらゆる乳製品生産物又は乳画分にポリフェノールを加える工程、工程の特定のあらゆる段階でポリフェノールを加える工程など)は本発明の開示から容易に明らかになる。例えば、ポリフェノールが約15から約25質量%の固形分を含む濃縮流動性乳製品組成物に加えられ、続いて約40から約50質量%の固形分に達するまで追加の水の除去、続いて乾燥により乾燥乳製品又は粉末組成物を形成し得る。
【0056】
一般に、本明細書内で開示されるあらゆる方法の特性(例えば、とりわけ、流動性乳製品組成物、濃縮乳製品組成物、乾燥乳製品組成物、成分豊富な画分、調合された乳製品生産物、乾燥方法)が本明細書内で独立して記載され、これらの特性はあらゆる組み合わせで組み合わせて、記載された方法を更に記載し得る。更に、他の方法の工程は、特に明記しない限り、開示された方法に挙げられたあらゆる工程の前、間、及び/又は後に行われ得る。更に、本明細書内で開示された方法は乾燥(又は粉末)乳製品組成物の調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色を減少させるための方法でもあり得る。加えて、開示されたあらゆる方法又は加工により生産された乾燥(又は粉末)乳製品組成物は本明細書の範囲内であり、本明細書内に包含される。
【0057】
本明細書内で開示される方法において、乾燥は噴霧乾燥などの、あらゆる適切な乾燥技術を含み得る。所望する場合、これらの方法は更に乾燥工程の後にインスタント化及び/又は凝集させる工程を含み得る。
【0058】
同様に、水の少なくとも一部の除去の工程(例えば、濃縮工程)は蒸発工程、逆浸透工程、正浸透工程、又は適切なあらゆる大気圧未満の条件での操作、及びそれらの組み合わせなどのあらゆる適切な技術を含み得る。
【0059】
本明細書内で開示される方法において、ポリフェノールを加える工程は、あらゆる適切な方法で、及びあらゆる適切な時間枠で、及びあらゆる適切な装置を用いて、それぞれの乳製品生産物又は成分豊富な画分にポリフェノールを加える工程、導入する工程又は混ぜ合わせる工程を含み得る。一般に、ポリフェノールを加える工程は約10から約10,000ppmのポリフェノール、約10から約5,000ppmのポリフェノール、約20から約5,000ppmのポリフェノール、約20から約2,000ppmのポリフェノール、約50から約5,000ppmのポリフェノール、約100~約5,000ppmのポリフェノール、又は約100~約1,000ppmのポリフェノールを、それぞれの乳製品生産物又は成分豊富な画分に加えることを包含する。
【0060】
あらゆる適切なポリフェノールは本発明の乳製品組成物及び工程で使用され得る。例えば、ポリフェノールはカテキン類、テアフラビン類、タンニン類、フラボノイド類、又はそれらのあらゆる組み合わせ;代替的に、カテキン類;代替的に、テアフラビン類;代替的に、タンニン類;あるいは代替的に、フラボノイド類を含み得る。同様にあらゆる適切なポリフェノール源が使用され得るが(例えば、ココア豆及びココアパウダーを含む)、本発明の特定の態様においては、ポリフェノール源はココア豆やココアパウダーに基づいてない。一般に本発明の乳製品組成物の性質により、ポリフェノールは食品グレード源由来である。典型的なポリフェノール源は緑茶、紅茶、又はコーヒー由来とすることができ、これはこれらのポリフェノール源の混合物又は組み合わせを含む。これらのポリフェノール源は生、濃縮又は乾燥材料(例えば、空気乾燥又はフリーズドライ)のようなあらゆる適切な形態で存在し、ポリフェノール源中のそれぞれのポリフェノールの量はそれぞれの源及びその形態(例えばフリーズドライ濃縮物)に基づいて様々である。本発明の特定の態様において、ポリフェノールは緑茶抽出物由来である。緑茶抽出物ポリフェノールはカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、及び/又はエピガロカテキンガレートのうちの1種以上を含み得る。
【0061】
本明細書内で開示される方法において、ラクターゼ酵素を加える工程は、あらゆる適切な方法で、及びあらゆる適切な時間枠で、及びあらゆる適切な装置を用いて、それぞれの乳製品生産物又は成分豊富な画分にラクターゼ酵素を加える工程、導入する工程又は混ぜ合わせる工程を含み得る。一般に、ラクターゼ酵素は、すべて又は実質すべてのラクトースをグルコース及びガラクトースに変換し、低ラクトース又はラクトースを含まない乳製品生産物又は成分豊富画分が得られるのに十分な量で加えられる。乾燥乳製品組成物、濃縮流動性乳製品組成物、及び非濃縮(又は再構成された)乳製品組成物に対して、低ラクトースはそれぞれ約1.5質量%以下のラクトース、約1.5質量%以下のラクトース、及び約0.5質量%以下のラクトースを意味する。乾燥乳製品組成物、濃縮流動性乳製品組成物、及び非濃縮(又は再構成された)乳製品組成物に対して、「ラクトースを含まない」は、それぞれ約0.5質量%以下のラクトース、約0.2質量%以下のラクトース、及び約0.1質量%以下のラクトースを意味する。
【0062】
本明細書内で開示される方法は殺菌工程(又は低温殺菌工程)を含むことができ、超高温(UHT)殺菌又は他の適切な温度処理技術とし得る。従って、本明細書内で開示される方法中であらゆる乳又は乳製品生産物、調合された乳製品生産物、流動性乳製品組成物、濃縮流動性組成物、又は成分豊富な画分はこれらの方法中であらゆる適切な工程であらゆる適切な殺菌技術及び装置を用いて殺菌され得る。例えば、流動体又は液体乳製品組成物は濃縮前後、及び乾燥前に殺菌され、乾燥又は粉末乳製品組成物を形成し得る。
【0063】
有益に、及び意外に、本明細書内で開示される方法は流動性(若しくは液体)又は乾燥(若しくは粉末)乳製品組成物の望ましくない味、臭気、及び/又は色の特徴を減少させることに大変効果的である。本発明の特定の態様において、本明細書内で開示される方法により生産されるそれぞれの乾燥乳製品組成物は、ポリフェノールなし(つまりそれぞれの乳製品生産物又は成分豊富な画分にポリフェノールを加えることなし)、方法条件は同じ(例えば殺菌条件)、及びそれぞれの乳製品組成物の量は同じ(タンパク質、炭水化物、ラクトースなどの量は同じ)で調製されたそれぞれの粉末乳製品組成物より(又は、と比較して)、より少ない調理風味、より少ない硫黄臭気、及び/又はより少ない褐色を有する。それ故、乾燥乳製品組成物の調製のための方法における唯一の違いはポリフェノールの非存在である。従って、一態様においては、乾燥乳製品組成物は少ない調理風味を有することができ、一方、別の態様においては、乾燥乳製品組成物は少ない硫黄の臭気を有することができる。別の態様において、乾燥乳製品組成物は少ない褐色を有することができる。更に別の態様において、液体乳製品組成物は少ない調理風味及び少ない硫黄臭気、又は少ない調理風味を有することができ、かつ乾燥粉末は少ない褐色、又は少ない硫黄臭気及び少ない褐色を有する。更に別の態様において、液体乳製品組成物は少ない調理風味、少ない硫黄の臭気を有することができ、かつ乾燥粉末は少ない褐色及び良好な酸化安定性を有する。
【0064】
また有益に、及び意外に、本発明の液体乳製品組成物は、それぞれの乳製品組成物の同じ量(タンパク質、炭水化物、ラクトースなどの同じ量)で比較した時、液体又は粉末のそれぞれのポリフェノールなしの乳製品組成物より(又は、と比較して)、より少ない調理風味、より少ない硫黄臭気、及び/又は乾燥組成物はより少ない褐色及びより良好な酸化安定性を有する。それ故、液体又は乾燥乳製品組成物中の唯一の違いはポリフェノールの非存在である。従って、一態様において、乾燥乳製品組成物は少ない調理風味を有することができ、一方、別の態様において、乾燥乳製品組成物は少ない硫黄の臭気を有することができる。別の態様において、乾燥乳製品組成物は少ない褐色を有することができる。更に別の態様において、乾燥乳製品組成物は少ない調理風味及び少ない硫黄臭気、又は少ない調理風味及び少ない褐色、又は少ない硫黄臭気及び少ない褐色を有することができる。更に別の態様において、乾燥乳製品組成物は少ない調理風味、少ない硫黄の臭気及び少ない褐色を有することができる。
【0065】
本発明の態様は乳生産物を再構成するための方法も対象としており、これらの方法は本明細書に開示される(例えば、本発明書内に開示されるあらゆる方法により生産される)あらゆる乾燥乳製品組成物と水を混合する工程を含み得る。更に、そのような方法により生産される再構成された乳生産物は本明細書の範囲内であり、本明細書内に包含される。いくつかの態様において、再構成された乳生産物は「再構成された」(又は非濃縮の)流動性の(又は液体の)乳製品組成物に関する上記明細書内で開示されるあらゆる特徴を有し得る。制限しない例として、再構成された流動性乳製品組成物は約2から約8質量%のタンパク質、約1から約4質量%の炭水化物、約0.5質量%以下のラクトース、及び約10から約1,000ppmのポリフェノール;代替的に、約3から約7質量%のタンパク質、約1.5から約3.5質量%の炭水化物、約0.2質量%以下のラクトース、及び約25から約750ppmのポリフェノール;あるいは代替的に、約4から約6.5質量%のタンパク質、約1.8から約3.2質量%の炭水化物、約0.1質量%以下のラクトース、及び約50から約500ppmのポリフェノールを含み得る。
【0066】
また有益に、及び意外に、本発明の再構成された流動性乳製品組成物は、それぞれの乳製品組成物の同じ量(タンパク質、炭水化物、ラクトースなどの同じ量)で比較した時、それぞれのポリフェノールなしで再構成された乳製品組成物より(又は、と比較して)、より少ない調理風味、より少ない硫黄臭気、及び/又はより少ない褐色を有し得る。それ故、再構成された流動性乳製品組成物中の唯一の違いはポリフェノールの非存在である。従って、一態様において、再構成された流動性乳製品組成物は少ない調理風味を有することができ、一方、別の態様においては、再構成された流動性乳製品組成物は少ない硫黄の臭気を有することができる。別の態様において、再構成された流動性乳製品組成物は少ない褐色を有することができる。更に別の態様において、再構成された流動性乳製品組成物は少ない調理風味及び少ない硫黄臭気、又は少ない調理風味及び少ない褐色、又は少ない硫黄の臭気及び少ない褐色を有することができる。更に別の態様において、再構成された流動性乳製品組成物は少ない調理風味、少ない硫黄の臭気及び少ない褐色を有することができる。
【0067】
更に本発明の態様は乾燥乳製品組成物を調製するための方法を対象としており、これらの態様において、これらの方法は2以上の成分豊富な画分の混ぜ合わせる工程、及び水の少なくとも一部の除去し、乳製品生産物中間体を形成する工程、乳製品生産物中間体を乾燥させ、乾燥乳製品生産物中間体を形成する工程、乾燥乳製品生産物中間体に高固形の無機物/風味豊富な画分を加え、混合物を形成する工程、及び任意に混合物をインスタント化及び/又は凝集させて、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含み得る。本方法で生産されるあらゆる乾燥乳製品組成物及び下記変化もまた本明細書内に包含される。
【0068】
一態様において、方法は更にインスタント化工程を含み、一方、別の態様において、方法は更に凝集させる工程を含み、更に別の態様において、方法はインスタント化及び凝集工程を含む。本明細書内に記載されるように、成分豊富な画分は精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、及び逆浸透工程の組み合わせを含む膜ろ過方法のようなあらゆる適切な方法で生産される。それ故、この方法は更に乳生産物を2以上の成分豊富な画分に分画する工程を含む。また、本明細書内に記載するように、水の少なくとも一部の除去は蒸発工程、逆浸透工程、正浸透工程、又は大気圧未満の条件での操作あるいは大気圧未満の条件での蒸発など、それらの組み合わせを含み得る。
【0069】
限定されないが、本方法での高い固形の無機物/風味豊富な画分は逆浸透、正浸透、又は他の適切な技術によって生産される。所望する場合、無機物/風味豊富な画分の固形含有量は(例えば逆浸透又は正浸透を用いて)上げることができ、無機物/風味豊富な画分の総固形含有量は約75質量%以上、約85質量%以上、又は約88質量%以上とし得る。
【0070】
乾燥乳製品組成物中間体はたいてい総固形含有量が約85質量%以上、一方、別の態様において、総固形含有量が約90質量%以上、更に別の態様においては総固形含有量が約95質量%以上(例えば96から98質量%)を有する。
【0071】
乾燥乳製品組成物はたいてい約3質量%から約12質量%の無機物;代替的に約4質量%から約11質量%の無機物;あるいは代替的に約5質量%から約10質量%の無機物を含み得る。乾燥乳製品組成物中の無機物の量についての他の適切な量及び範囲は本発明の開示から容易に明らかになる。また、限定されないが、乾燥乳製品組成物は本明細書内で開示される低ラクトース又はラクトースを含まない乾燥乳製品組成物のあらゆる特性を有することができ、例えば、約35から約90質量%のタンパク質、約10から約35質量%の炭水化物、及び約1.5質量%以下のラクトースを含み得る。
【0072】
しかしながら、この方法は乳生産物から低ラクトース又はラクトースを含まない組成物以外の乾燥乳製品組成物を生産することに利用され得る。本方法を使用して粉末に形成された典型的な乳生産物の限定されない例は全乳、低脂肪乳、脱脂乳、バターミルク、風味乳、高タンパク乳、限外ろ過乳、精密ろ過乳、濃縮乳、蒸発乳、高タンパク質、高カルシウム、及び低糖乳等を含む。
【0073】
上記の様に、本発明の態様はまた乳生産物を再構成するための方法を対象としており、そのような方法は本明細書内で開示される(例えば、2以上の成分方法な画分を混ぜ合わせる工程、及び水の少なくとも一部を除去し、乳製品生産物中間体を形成する工程、乳製品生産物中間体を乾燥させ、乾燥乳製品生産物中間体を形成する工程、及び乾燥乳製品生産物中間体に高固形無機物/風味豊富な画分を加え、混合物を形成する工程、及び任意に混合物をインスタント化及び/又は凝集させ乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む方法により生産される)あらゆる乾燥乳製品組成物と水を混合する工程を含み得る。更にそのような方法により生産されるあらゆる再構成された乳生産物は本明細書の範囲内であり、本明細書内に包含される。再構成された乳生産物は同様の流動性(非粉末)乳生産物と同等の味及び風味を有し得る。それ故、再構成された乳生産物は無機物/風味豊富な画分の分離処理なしで調製された再構成された乳製品組成物より少ない調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色を有し得る。従って、比較組成物は、すべての成分豊富画分が一緒に蒸発及び乾燥されるものにすぎない。
【0074】
成分豊富な画分
一般に、牛乳はおよそ87質量%の水、3から4質量%のタンパク質、4から5質量%の炭水化物、3から4質量%の脂肪、及び0.3から0.7質量%の無機物を含む。「成分豊富な画分」は牛乳中に見られる量より少なくとも15%超の乳成分(タンパク質、炭水化物、脂肪、無機物)を含んでいるあらゆる画分を包含することを意味する。例えば、タンパク質豊富な画分は大抵約5から約24質量%のタンパク質、約5から約20質量%のタンパク質、又は約6から約18質量%のタンパク質を含み得る。炭水化物豊富な画分は大抵約6から約20質量%の炭水化物(すなわち、あらゆる形態おいて、ラクトース、グルコース、ガラクトースなど)、約6から約18質量%の炭水化物、又は約7から約16質量%の炭水化物を含み得る。脂肪豊富な画分は大抵約8から約45質量%の脂肪、約15から約43質量%の脂肪、又は約22から約40質量%の脂肪を含み得る。無機物豊富な画分は約1から約20質量%の無機物、約1から約10質量%の無機物、又は約1.5から約8質量%の無機物を含み得る。
【0075】
これらの成分豊富な乳画分(例えば、タンパク質豊富、脂肪豊富など)は当業者に知られるあらゆる技術で生産され得る。限定されないが、成分豊富な乳画分(又は複数の乳画分)は米国特許第7,169,428号明細書及び米国特許出願公開第2013/0309353号明細書及び第2013/0309354号明細書(その全体を参照して本明細書に援用される)などで開示される、膜ろ過方法により生産され得る。例えば、新鮮又は低温殺菌された生の乳は遠心分離機により、脂肪を含まない乳及びクリーム(脂肪豊富な画分)に分画され得る。脂肪を含まない乳は精密ろ過、限外ろ過、ナノろ過、及び逆浸透の組み合わせによりタンパク質豊富な画分、ラクトース豊富な画分、無機物/風味豊富な画分、及び乳の水画分に分画され得る。加えて又は代替的に、成分豊富な乳画分(又は複数の乳画分)は水及び粉末成分(例えば、タンパク質粉末、ラクトース粉末、無機物粉末など)を混合する工程を含む方法により生産され得る。
【実施例】
【0076】
本発明は更に下記実施例により説明されるが、実施例は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書の記載を理解した後、本発明の主旨又は添付の特許請求の範囲からそれることなく、様々な他の態様、変更及びそれらに同等のものが当業者に示唆され得る。
【0077】
特定の組成物においてポリフェノール化合物(ポリフェノール;質量ppm)の総量は分析研究室にて高効率液体クロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー、HPLCとしても表される)を用いて決定された。第一に、約15mLの乳サンプル(例えば、濃縮、再構成など)を遠心管中で1Mのメタノール中クエン酸の5mLと混ぜ合わせた。サンプルを機械の撹拌機に置き、1時間撹拌させた。そして、サンプルを10分間遠心分離し、上澄みを取り除き、0.2μmのセルロースアセテートフィルターでろ過し、注入のためのHPLCバイアルに置いた。
【0078】
クロマトグラフィー分析のため、本明細書に全体を参照して援用されるArts et al. (2000)及びCooper et al. (2007)の(Rapid reversed phase ultra-performance liquid chromatography analysis of major cocoa polyphenols and their inter-relationship of their concentrations in chocolate)からの技術を組み合わせ、変更方法を開発した。5μLのろ過サンプルをC18(Waters BEH C18 1.7 μm particle size, 50 mm x 2.1 mm)カラムに注入した。勾配溶離は溶媒A(100:0.1水及びTFA)及び溶媒B(100:0.1アセトニトリル及びTFA)を用いた。15分の勾配は下記のとおりであった:0.0から0.8分 90から87%のA;0.8から3.0分 87から70%のA;3.0から6.0分 70から50%のA;6.0から10.0分 50から0%のA;10から12分 0から90%のA、及び、次のサンプルの前の3分の再平衡。フォトダイオードアレイ検出器を用い、検出はカテキン及びエピカテキンには220nm、クロロゲン酸には325nm、及びミリセチン及びクエルセチンには369nmの波長で行った。これらの化合物について、分析標準を購入し、それぞれの化合物当たり5種の既知の濃度の分析により標準/較正曲線を作成した。標準/較正曲線は各化合物で特定の波長で得られるピーク面積に基づいた。フィルターサンプル及び標準/較正曲線のHPLC分析に基づき、それぞれのポリフェノールのppmを決定し、そして乳サンプル中のポリフェノール化合物(ポリフェノール)の総ppmを与えるために合計した。
【0079】
灰分は550℃の適切な装置内で一定の質量になるまで(およそ5時間)点火後残っている残留物であり;550℃での、このような処理は典型的にすべての有機物を取り除き、主として無機物である材料が残っている(Standard Methods for the examination of dairy products, 17th edition (2004), American Public Health Association, ワシントン DC)。灰分含有量(又は無機物含有量)は質量%で決定した。
【0080】
実施例1及び2
実施例1に関して、生乳を一連の膜ろ過による画分及び濃縮し、再混合してタンパク質豊富乳画分及びラクトース豊富乳画分を生産した。表1は実施例1の流動性及び乾燥乳組成物を作成するために使用される乳画分の組成物をまとめた。その後、乳画分を表2の乳調合で混合し、高タンパク質、高ラクトース乳製品調合を生産し、それからラクターゼ酵素によりラクトースをグルコース/ガラクトースに変換する(測定可能なラクトースは残らない)処理を行った。濃縮流動性乳製品組成物を表3で示し、17.96質量%の固形分、10.58質量%のタンパク質、5.08質量%の加水分解ラクトース、及び0.3質量%の脂肪を含んでいた。緑茶抽出物(ポリフェノールを含んでいる)を濃縮乳製品組成物に加えた。非濃縮流動性組成物も表3に記載され、乳生産物が濃縮されなかった場合の組成物の相対量を推定した。その後、濃縮流動性乳製品組成物を72℃の高温でおよそ15秒間殺菌した。
【0081】
次に、2段階の商業的な乾燥器を用いて、濃縮流動性乳製品組成物を総固形含有量96質量%を有する乾燥(又は粉末)乳製品組成物へと噴霧乾燥させた。乾燥器は基本の乾燥室及び流動化させるベッド乾燥器を有しており、1時間に136.2kgの水を除去する能力があった。乾燥器の噴霧装置は圧力噴き出し口であった。乾燥条件は下記である:注入口温度約199から205℃、排気口温度約77から80℃、吹き出し口の種類=60、コア=28、及び注入口圧力約1100から1200psig。結果として得られる乾燥粉末組成物を表3にまとめた。
【0082】
乾燥乳製品組成物のサンプルを、更に下記のインスタント化方法に供した。第一に、5.1グラムのヒマワリレシチンを150mLで約100°Fの温かい水に溶解させ;8000psigでマイクロフルイダイザーを使用して完全にレクチンを分散させた。次に、681グラムの乾燥(粉末)乳製品組成物をGlatt装置に加えた(GPCG1凝集室)。Glatt装置の操作条件は、加温空気の90℃への設定、排気口ダンパーの空気流の0.4への設定、及び流動性吹き出し口の空気圧の2.5barへの設定を含んだ。粉末温度が47℃に到達後、レクチン/水混合物を35mL/分で加えた。レクチン/水混合物の総150mLを加え、生産物温度が43℃に下がった。粉末をそれから4分間乾燥させ、最終生産物の温度が50℃であった。
【0083】
乾燥乳製品組成物のサンプルを、更に下記の凝集及びインスタント化方法に供した。第一に、681グラムの乾燥(粉末)乳製品組成物を上記と同じ条件でGlatt装置に注入した。粉末温度が45℃に達した後、レクチン/水混合物(上記)を5分間35mL/分で加え、生産物温度が43℃に下がった。粉末をそれから3分間乾燥させ、最終生産物の温度が53℃であった。
【0084】
実施例2は実施例1と同様の方法で行ったが、非濃縮流動性、濃縮流動性、及び乾燥乳製品組成物が異なっていた。実施例1の脱脂乳に替えて、実施例2は低脂肪乳生産物であった。実施例2のそれぞれの流動性及び乾燥乳製品組成物は表4にまとめた。
【0085】
表4の乾燥又は粉末組成物を流動性又は液体乳に再構成し、超高温殺菌した。再構成された乳生産物の目隠しをしたサンプル-ポリフェノールを含む-を、味試験のため60から70人の大人数の群に提供し、群内の誰も、サンプルを、従来の流動性(非粉末)でありラクトースを含まない低脂肪乳と区別できなかった。
【0086】
実施例3及び4
実施例3に関して、生乳をクリーム及び脱脂乳に分離し、脱脂乳を、次に、膜ろ過方法(限外ろ過、ナノろ過、逆浸透)によりタンパク質豊富画分、炭水化物豊富画分、無機物/風味豊富画分(逆浸透保持液)、及び水へと異なる流れで分画した。異なる画分を次に混ぜ合わせ、標準乳生産物を生産し、その後、真空下で超高温殺菌し実施例3の流動性乳製品組成物を形成した。
【0087】
実施例4は実施例3と同様の方法で行ったが、無機物/風味豊富画分(逆浸透保持液)を除くすべての画分が混合され、次に真空で超高温殺菌し、中間体生産物を形成した。無機物/風味豊富画分(逆浸透保持液)が非真空で超高温殺菌され、次に中間体生産物と混合し、実施例4の流動性乳製品組成物を形成し、それは実質上実施例3と同じ脂肪、タンパク質、及び炭水化物含有量を有していた。
【0088】
表5に、実施例3及び実施例4の流動性乳製品組成物の官能特性を、生産物の特定の強度基準を用いてまとめた(特性は0から15点の基準で採点され、異なる文字が後ろに続く、列中の平均値は、異なっていることを表す(p<0.05))。表5に示されるように、有益に、実施例4の流動性乳製品組成物は硫黄風味が減少し、甘い芳香族風味が増加し、このことは、無機物/風味豊富画分の分離処理がより良い味の乳生産物を生産したことを示唆した。実施例3及び4は、粉末乳へと乾燥及び変換されていないが、乾燥(又は粉末)乳製品組成物を調製する方法における無機物/風味豊富な画分への同様の処理は従来の流動性(非粉末)乳に匹敵する味と風味を有する再構成された乳をもたらすと考えられる。
【0089】
実施例5
実施例5に関して、低脂肪でラクトースを含まない乳粉末がおよそ47,000lbの殺菌した低脂肪でラクトースを含まない高タンパク質乳濃縮物から生産された。表6は、膜ろ過方法を使用して生産された濃縮流動性乳製品組成物の成分をまとめる。商業的に利用可能な緑茶抽出物(ポリフェノールを含む)が濃縮乳製品組成物に加えられ、濃縮乳製品組成物は75℃の温度でおよそ15秒殺菌された。
【0090】
次に、濃縮流動性乳製品組成物を表7に挙げた噴霧乾燥パラメーターを用いて総固形含有量95.2質量%を有する乾燥(又は粉末)乳製品組成物へと噴霧乾燥させた。約4,200lbの生成した乾燥粉末組成物が得られ、乾燥粉末組成物の特性を表6にまとめた。実施例5の粉末はいずれの塊もなく自由に流れ、粉末の焦げた粒子試験(scorched particle test)は非常にきれいであった。乾燥乳粉末のサンプルは噴霧乾燥の後に50lbの袋に包装された。生産された代表する再構成された乳生産物の組成物もまた表6に示した。
【0091】
総じて、乳粉末の質は優れており、乳粉末から作られた再構成された乳は非常に優れていた。乳粉末から再構成された流動性乳、及び、その後にココアパウダーが加えられた再構成された流動性乳を、商業的な低脂肪乳及び商業的な低脂肪チョコレート乳の対照サンプル、並びに新鮮/液体乳(粉末に替えて)からそれぞれ生産される各対象サンプルと比較した。これらの乳生産物を表8にまとめた。これらの生産物もまた、時間を経た感覚の質を決定するため、生産の後3か月の保管期間にわたって試験された。実施例5の乳粉末から作られた再構成された乳は両者の対照サンプルと比較して非常に良好な風味及び口当たりを有した。低脂肪乳は、3か月の間中、新鮮で、クリーミーな風味を保持し、サンプリング時期の最後まで、褐色はわずかであり、乳粉末風味(調理乳)は非常に穏やかであった。実施例5のラクトースを含まない乳粉末から作られるチョコレート乳は試験期間中優れた風味を有した。それは非常にクリーミーで、バランスの取れた、更に優しい、チョコレート風味であった。多くの試験者が、実施例5のラクトースを含まない乳粉末から作られたチョコレートミルクが両者の対照サンプルより味と口当たりに優れると気づき、一致して最も質の高い生産物であると順位づけた。粉末風味又は調子がはずれたものは、実施例5のラクトースを含まない高タンパク質乳粉末から生産されるチョコレートミルクの貯蔵期間中検出されなかった。
【0092】
まとめると、流動性乳生産物(すなわち非粉末)に匹敵する質と組成物特性(例えば、タンパク質含有量、脂肪含有量)を有する、実施例5のラクトースを含まない粉末から作られる再構成された乳生産物が、成功裏に作られた。
【0093】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0094】
多数の態様及び特定の例を参照して、本発明を上記で説明した。多くの変化は上記詳細な説明の観点から当業者に示唆される。そのような明らかな変化のすべては、添付された特許請求の最大に意図された範囲内のものである。本発明の他の態様は、限定しないが、下記を含み得る(態様は「含まれる」として記載されるが、代替的に「から本質的になる」又は「からなる」とし得る)。:
【0095】
態様1 約35から約90質量%のタンパク質、約10から約35質量%の炭水化物、約1.5質量%以下のラクトース、及び約100から約10,000ppmのポリフェノールを含む乾燥乳製品組成物。
【0096】
態様2 態様1で規定される組成物であり、その組成物が約40から約65質量%のタンパク質を含む。
【0097】
態様3 態様1又は2に規定される組成物であり、その組成物が約15から約30質量%の炭水化物を含む。
【0098】
態様4 態様1から3のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約0.5質量%以下のラクトースを含む。
【0099】
態様5 態様1から4のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約250から約7,500ppmのポリフェノールを含む。
【0100】
態様6 態様1から5のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が更に約0.1から約27質量%の脂肪を含む。
【0101】
態様7 態様1から6のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が更に約3から約12質量%の無機物を含む。
【0102】
態様8 態様1から7のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約93質量%以上の総固形含有量を有する。
【0103】
態様9 約2から約8質量%のタンパク質、約1から約4質量%の炭水化物、約0.5質量%以下のラクトース、約10から約1,000ppmのポリフェノールを含む流動性乳製品組成物。
【0104】
態様10 態様9で規定される組成物であり、その組成物が約3から約7質量%のタンパク質を含む。
【0105】
態様11 態様9又は10に規定される組成物であり、その組成物が約1.5から約3.5質量%の炭水化物を含む。
【0106】
態様12 態様9から11のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約0.1質量%以下のラクトースを含む。
【0107】
態様13 態様9から12のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約25から約750ppmのポリフェノールを含む。
【0108】
態様14 態様9から13のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が更に約0.05から約5質量%の脂肪を含む。
【0109】
態様15 態様9から14のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が更に約0.2から約2質量%の無機物を含む。
【0110】
態様16 態様9から15のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約5から約15質量%の総固形含有量を有する。
【0111】
態様17 約4から約30質量%のタンパク質、約2から約30質量%の炭水化物、約1.5質量%以下のラクトース、約20から約2,000ppmのポリフェノールを含む流動性乳製品組成物。
【0112】
態様18 態様17で規定される組成物であり、その組成物が約8から約14質量%のタンパク質を含む。
【0113】
態様19 態様17又は18に規定される組成物であり、その組成物が約3.5から約7質量%の炭水化物を含む。
【0114】
態様20 態様17から19のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約0.2質量%以下のラクトースを含む。
【0115】
態様21 態様17から20のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約50から約1,500ppmのポリフェノールを含む。
【0116】
態様22 態様17から21のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が更に約0.1から約30質量%の脂肪を含む。
【0117】
態様23 態様17から22のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が更に約1から約10質量%の無機物を含む。
【0118】
態様24 態様17から23のいずれか一つで規定される組成物であり、その組成物が約10から約40質量%の総固形含有量を有する。
【0119】
態様25 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)乳製品生産物にポリフェノールを加え流動性乳製品組成物を形成する工程、(ii)流動性乳製品組成物から水の少なくとも一部を除去し、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iii)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0120】
態様26 態様25で規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0121】
態様27 態様25又は26で規定される方法であり、流動性乳製品組成物が態様9から16のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0122】
態様28 態様25から27のいずれか一つで規定される方法であり、濃縮乳製品組成物が態様17から24のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0123】
態様29 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)2以上の成分豊富な画分に乳生産物を分画する工程、(ii)少なくとも一つの成分豊富な画分にラクターゼ酵素を加える工程、(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を混ぜ合わせ、水の少なくとも一部を除去し、調合乳製品生産物を形成する工程、(iv)調合乳製品生産物にポリフェノールを加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(v)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0124】
態様30 態様29で規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0125】
態様31 態様29又は30で規定される方法であり、濃縮乳製品組成物が態様17から24のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0126】
態様32 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)2以上の成分豊富な画分に乳生産物を分画する工程、(ii)少なくとも一つの成分豊富な画分にポリフェノールを加える工程、(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を混ぜ合わせ、水の少なくとも一部を除去し、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iv)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0127】
態様33 態様32で規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0128】
態様34 態様32又は33で規定される方法であり、濃縮乳製品組成物が態様17から24のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0129】
態様35 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)2以上の成分豊富な画分に乳生産物を分画する工程、(ii)少なくとも一つの成分豊富な画分にポリフェノールを加える工程、(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を別々又は任意に混ぜ合わせて乾燥させ、乾燥乳製品画分を形成する工程、及び(iv)乾燥乳製品画分を混ぜ合わせ、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0130】
態様36 態様35で規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0131】
態様37 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)2以上の成分豊富な画分を混ぜ合わせ、水の少なくとも一部を除去し、調合乳製品生産物を形成する工程、(ii)調合乳製品生産物にラクターゼ酵素及びポリフェノールを加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iii)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0132】
態様38 態様37で規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0133】
態様39 態様37又は38で規定される方法であり、濃縮乳製品組成物が態様17から24のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0134】
態様40 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)2以上の成分豊富な画分を混ぜ合わせ、水の少なくとも一部を除去し、調合乳製品生産物を形成する工程、(ii)調合乳製品生産物を逆浸透(又は正浸透)に供する工程、(iii)ラクターゼ酵素及びポリフェノールを加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(iv)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0135】
態様41 態様40で規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0136】
態様42 態様40又は41で規定される方法であり、濃縮乳製品組成物が態様17から24のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0137】
態様43 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)2以上の成分豊富な画分に乳生産物を分画する工程、(ii)少なくとも一つの成分豊富な画分にラクターゼ酵素を加える工程(iii)工程(i)と工程(ii)の画分を混ぜ合わせ、逆浸透(又は正浸透)により水の少なくとも一部を除去し、調合乳製品生産物を形成する工程、(iv)調合乳製品生産物にポリフェノールを加え、濃縮乳製品組成物を形成する工程、及び(v)濃縮乳製品組成物を乾燥し、乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0138】
態様44 態様43で規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0139】
態様45 態様43又は44で規定される方法であり、濃縮乳製品組成物が態様17から24のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0140】
態様46 態様25から45のいずれか一つで規定される方法であり、乾燥工程が噴霧乾燥を含む。
【0141】
態様47 態様25から46のいずれか一つで規定される方法であり、水の少なくとも一部を除去する工程が蒸発工程、逆浸透工程、正浸透工程、又は大気圧未満の条件での操作、又はそれらの組み合わせを含む。
【0142】
態様48 態様25から47のいずれか一つで規定される方法であり、ポリフェノールを加える工程が100から5,000ppmのポリフェノールを加える工程を含む。
【0143】
態様49 態様25から48のいずれか一つで規定される方法であり、ポリフェノールがカテキン類、テアフラビン類、タンニン類、フラボノイド類、又はそれらの組み合わせを含む。
【0144】
態様50 態様25から49のいずれか一つで規定される方法であり、ポリフェノールが食品グレード源由来である。
【0145】
態様51 態様25から50のいずれか一つで規定される方法であり、ポリフェノールが緑茶、紅茶、コーヒー又はそれらの混合物由来である。
【0146】
態様52 態様25から51のいずれか一つで規定される方法であり、ポリフェノールが緑茶抽出物由来である。
【0147】
態様53 態様25から52のいずれか一つで規定される方法であり、更に乾燥後にすインスタント化及び/又は凝集する工程を含む。
【0148】
態様54 態様25から53のいずれか一つで規定される方法であり、方法が乾燥乳製品組成物の調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色を減少させるための方法である。
【0149】
態様55 態様25から54のいずれか一つで規定される方法であり、乾燥乳製品組成物がポリフェノールなしで調製される粉末乳製品組成物より少ない調理風味を有する。
【0150】
態様56 態様25から55のいずれか一つで規定される方法であり、乾燥乳製品組成物がポリフェノールなしで調製される粉末乳製品組成物より少ない硫黄の臭気を有する。
【0151】
態様57 態様25から56のいずれか一つで規定される方法であり、乾燥乳製品組成物がポリフェノールなしで調製される粉末乳製品組成物より少ない褐色を有する。
【0152】
態様58 態様25から57のいずれか一つで規定される方法で調製される乾燥乳製品組成物。
【0153】
態様59 態様1から8のいずれか一つで規定される組成物であり、乾燥乳製品組成物がポリフェノールなしで調製される粉末乳製品組成物より少ない調理風味、硫黄の臭気及び/又は褐色を有する。
【0154】
態様60 乳生産物を再構成する方法であり、その方法が水と態様1から8又は態様58,59のいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物とを混合して再構成された乳生産物を形成する工程を含む。
【0155】
態様61 態様60で規定される方法により調製される再構成された乳生産物。
【0156】
態様62 態様61で規定される乳生産物であり、再構成された乳生産物が態様9から16のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0157】
態様63 態様61又は62で規定される乳生産物であり、再構成された乳生産物がポリフェノールなしの再構成された乳製品組成物より少ない調理風味、硫黄の臭気及び/又は褐色を有する。
【0158】
態様64 乾燥乳製品組成物を調製するための方法であり、その方法は(i)2以上の成分豊富な画分を混ぜ合わせ、水の少なくとも一部を除去し、乳製品生産物中間体を形成する工程、(ii)乳製品生産物中間体を乾燥し、乾燥乳製品生産物中間体を形成する工程、(iii)高固形無機物/風味豊富な画分を乾燥乳製品生産物中間体に加え、混合物を形成し、任意に混合物をインスタント化及び/又は凝集させて乾燥乳製品組成物を形成する工程を含む。
【0159】
態様65 態様64で規定される方法であり、方法が更に乳生産物を2以上の成分豊富な画分に分画する工程を含む。
【0160】
態様66 態様64又は65で規定される方法であり、高固形の無機物/風味豊富な画分が逆浸透を含む方法で生産される。
【0161】
態様67 態様64から66のいずれか一つで規定される方法であり、水の少なくとも一部を除去する工程が蒸発工程、逆浸透工程、正浸透工程、又は大気圧未満の条件での操作、又はそれらの組み合わせを含む。
【0162】
態様68 態様64から67のいずれか一つで規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が約3質量%から約12質量%の無機物を含む。
【0163】
態様69 態様64から68のいずれか一つで規定される方法であり、高固形無機物/風味豊富な画分が約85質量%以上の総固形含有量を有する。
【0164】
態様70 態様64から69のいずれか一つで規定される方法であり、乾燥乳製品生産物中間体が約90質量%以上の総固形含有量を有する。
【0165】
態様71 態様64から70のいずれか一つで規定される方法であり、方法がインスタント化工程、凝集する工程、又は両者を含む
【0166】
態様72 態様64から71のいずれか一つで規定される方法であり、方法が乾燥乳製品組成物の調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色を減少させるための方法である。
【0167】
態様73 態様64から72のいずれか一つで規定される方法であり、乾燥乳製品組成物が態様1から8でのいずれか一つで規定される乾燥乳製品組成物である。
【0168】
態様74 態様64から73のいずれか一つで規定される方法により調製される乾燥乳製品組成物。
【0169】
態様75 乳生産物を再構成する方法であり、方法が水と態様74で規定される乾燥乳製品組成物とを混合して再構成された乳生産物を形成する工程を含む。
【0170】
態様76 態様75で規定される方法により調製される再構成された乳生産物。
【0171】
態様77 態様76で規定される乳生産物であり、再構成された乳生産物が態様9から16のいずれか一つで規定される流動性乳製品組成物である。
【0172】
態様78 態様76又は77で規定される乳生産物であり、再構成された乳生産物が高タンパク質乳生産物である。
【0173】
態様79 態様76又は77で規定される乳生産物であり、再構成された乳生産物が高タンパク質、高カルシウム、及び低糖乳生産物である。
【0174】
態様80 態様76から79のいずれか一つで規定される乳生産物であり、再構成された乳生産物が、無機物/風味豊富な画分の分離処理なしで調製される再構成された乳製品組成物より少ない調理風味、硫黄の臭気、及び/又は褐色を有する。