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特許7244507直接噴射とポート噴射を使用したGDIポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】直接噴射とポート噴射を使用したGDIポンプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/36 20060101AFI20230314BHJP
   F02M 59/26 20060101ALI20230314BHJP
   F02M 63/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F02M59/36 F
F02M59/26 330P
F02M63/00 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020522920
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018058270
(87)【国際公開番号】W WO2019089637
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】15/797,201
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312497
【氏名又は名称】スタナダイン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】ペリーニ リチャード パウロ
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-017059(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0377019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0169145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00-71/04
F02D 41/00-41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧コモンレールによって供給されるいくつかの噴射器と、入口ポートを介して供給される他の噴射器と、電子制御ユニットとを有する燃料供給システム用の燃料ポンプであって、
入口逆止弁(5)を備えたフィード通路(19)と、
燃料の供給を加圧するために、前記入口逆止弁の下流の前記フィード通路に流体接続されたポンピングチャンバ(3)内で往復運動可能なポンピングプランジャ(2)と、
加圧燃料を第1出口逆止弁(7)に供給するためのポンピングチャンバからの排出通路(15)と、
ポンプをコモンレール(11)に流体接続するために前記第1出口逆止弁を通って延びる直接噴射通路(16)と、
前記第1出口逆止弁の上流で前記排出通路(15)に流体連通する補助通路(17)と、
前記補助通路(17)に流体連通する入口側および出口側を有し、流れに対して選択的に閉じるかまたは開いて、前記出口側を通る流れを可能にする制御弁(6)と、
ポンプを個々の噴射器(14)の入口ポートに接続するため、前記制御弁の出口側から第2出口逆止弁(9)を通るポート噴射通路(18)と、を備え、
前記ポンピングプランジャが、充填ストロークおよびポンピングストロークを有し、前記制御弁の開閉は、前記ポンピングストローク中に前記ポンピングプランジャの位置に対応する入力信号を受信する前記電子制御ユニット(25)からの信号に応答し、
前記充填ストローク中、前記ポンピングチャンバ(3)は最大量まで燃料で満たされ、
前記ポンピングストロークの第1の部分の間、前記制御弁(6)は閉じられ、最大量の第1の部分に対応する第1の量の燃料が、前記第1出口逆止弁(7)を通してポンピングされ、
前記ポンピングストロークの第2の部分では、前記制御弁(6)が開いており、前記ポンピングチャンバに残っている全ての燃料を構成する第2の部分に相当する第2の量の燃料が、前記第2出口逆止弁(9)を介してポンピングされ、
または、
前記ポンピングストロークの第1の部分の間、制御弁(6)は開いており、最大量の第1の部分に対応する第1の量の燃料が、前記第2出口逆止弁(9)を通してポンピングされ、
前記ポンピングストロークの第2の部分の間、前記制御弁(6)が閉じ、前記ポンピングチャンバに残っているすべての燃料からなる燃料の前記第2の部分に対応する第2の量の燃料が第1出口逆止弁(7)を通してポンピングされる、前記燃料ポンプ。
【請求項2】
前記第1出口逆止弁(7)の下流の前記直接噴射通路(16)と前記ポンピングチャンバ(3)に流体連通する流路との間に接続された第1圧力リリーフ弁(8)と、
第2出口逆止弁(9)の下流のポート噴射通路(18)と前記フィード通路(19)との間に接続された第2圧力リリーフ弁(10)と、を備える請求項1に記載の燃料ポンプ。
【請求項3】
バイパス動作モードにおいて、
前記ポンピングプランジャは往復運動せず、
前記フィード通路(19)内の燃料は、前記ポンピングチャンバ(3)、前記排出通路(15)、前記補助通路(17)、前記制御弁(6)、および前記第2出口逆止弁(9)を介してフィード圧力で流れる請求項1に記載の燃料ポンプ。
【請求項4】
ポート噴射動作モードにおいて、
前記ポンピングプランジャは、フィード通路からの燃料を加圧し、
前記制御弁(6)が開かれ、
前記燃料は、前記第1出口逆止弁(7)が閉じている間、前記補助通路(17)、前記制御弁、および前記第2出口逆止弁を流れる、請求項1に記載の燃料ポンプ。
【請求項5】
直接噴射動作モードにおいて、
前記ポンピングプランジャは、フィード通路からの燃料を加圧し、
前記制御弁(6)が閉じて、前記補助通路(17)から前記第2出口逆止弁(9)への流れを防ぎ、
ポンピングされた燃料の少なくとも一部は、前記第1出口逆止弁(7)を流れる、請求項4に記載の燃料ポンプ。
【請求項6】
ポート噴射動作モードにおいて、
前記ポンピングプランジャは、フィード通路からの燃料を加圧し、
前記制御弁(6)が開かれ、
前記燃料は、前記第1出口逆止弁(7)が閉じている間、前記補助通路(17)、前記制御弁、および前記第2出口逆止弁(9)を流れ、
直接噴射動作モードにおいて、
前記ポンピングプランジャは、前記フィード通路からの燃料を加圧し、
前記制御弁(6)が閉じて、前記補助通路(17)から前記第2出口逆止弁(9)への流れを防ぎ、
ポンピングされた燃料の少なくとも一部は、前記第1出口逆止弁(7)を流れる、請求項3に記載の燃料ポンプ。
【請求項7】
前記第2出口逆止弁(9)と連通する下流の流体に配置されたアキュムレータ(13)と、
前記第1出口逆止弁(7)の下流の前記直接噴射通路(16)と前記ポンピングチャンバ(3)に流体連通する流路(17、15)との間に接続された第1圧力リリーフ弁(8)と、
前記第2出口逆止弁(9)の下流のポート噴射通路(18)と前記フィード通路(19)との間に接続された第2圧力リリーフ弁(10)と、で構成される請求項1に記載の燃料ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン直接噴射(GDI)エンジン用の燃料ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンメーカーは、一部のエンジンでポート噴射(PI)と直接噴射(DI)の両方の燃料システムを同時に使用して、排出ガスの結果を改善する戦略をとっている。PIとDIは、エンジンの運転状況に応じて、個別にまたは同時に使用される。高品質の射出を実現するには、非常に高いDI供給圧力が必要である。
【0003】
PIシステムは、典型的には燃料タンクに設置される低圧供給ポンプ(LPP)の圧力に依存する。同じLPPが、DIシステムで使用するためにエンジンベイに取り付けられた別のポンプである高圧ポンプ(HPP)ポンプの入口圧力を供給する。LPPは効率と耐久性で知られているが、時間の経過とともに最大吐出圧力が低下する。
【発明の概要】
【0004】
本開示によれば、GDI直接噴射に使用されるのと同じ高圧供給ポンプが、DIおよびPIシステムの供給者として同時に使用される。
【0005】
この二重機能ポンプにより、PI最大圧力能力は、LLP供給ポンプで利用可能なものよりも高くなり、寿命末期までの最大圧力保持がより良好になる。
【0006】
HPPによって現在想定されているPIシステムに燃料を供給する機能により、LPPに対する要求が低減され、設計が簡素化され、PIシステムまたはDIシステムの性能を犠牲にすることはない。
【0007】
別個の圧力調整装置を組み込むことによって、PI圧力調整を達成することができる。
【0008】
燃料供給システムの最適化は、二重機能ポンプに対する追加のパワー需要が、LPPポンプによるPI供給に必要とされるパワーよりも低い場合、より低いパワー要件を生み出すことができる。
【0009】
PI供給圧力が中断されるか、またはDI動作モードによって影響を受ける動作条件下では、PI噴射システム内のアキュムレータは、所望のPI入口圧力を維持することができる。
【0010】
所与のポンピングストロークについて、燃料は、DIシステムのみに、PIシステムのみに供給することができ、または第1の部分をDIシステムに供給し、第2の部分をPIシステムに供給することができる。これらの3つのシナリオのそれぞれについて、DIシステムのコモンレールやPIシステムアキュムレータに送られる量を制御できる。
【0011】
ポンピングチャンバの上流での計量は必要とされない。ポンピングチャンバは常に最大容量まで満たされる。DIの燃料計量は、「フィルアンドスピル(fill and spill)」アナログを介している。これにより、量制御は制御弁によって設定され、閉じたときに燃料をDIシステムに供給し、開いたときに「スピル」で燃料をPIシステムに送る。高圧での「スピル」は、PIシステムの圧力調整バルブを開き、過剰な圧力の燃料を低圧領域に放出して、PIシステムを一定の目標圧力に維持する。DIシステムのコモンレールに供給される量は、PIシステムに燃料が供給されるかどうかに応じて、最大ポンプ量のすべてまたは一部になる可能性がある。同様に、PIシステムに供給される量は、DIシステムに燃料が供給されるかどうかに応じて、最大ポンプ量のすべてまたは一部になる可能性がある。燃料量は、PIシステムへの「スピル」を介してコモンレールに計量されますが、PIシステム圧力は量計量なしで調整される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
図1図1は、本開示によるガソリンエンジンのDIおよびPIシステムへのポンプ燃料用油圧回路の概略図である。
図2図2は、図1の回路がどのようにバイパス動作モード用に構成されているかを示す。
図3図3は、図1の回路がどのようにPI加圧用に制御されるかを示す。
図4図4は、図1の回路がどのようにPI圧力調整用に制御されるかを示す。
図5図5は、図1の回路がどのようにDI加圧用に制御されるかを示す。
図6図6は、図1の回路がどのようにDI圧力調整用に制御されるかを示す。
【0013】
図1は、本発明を実施するための好ましい油圧回路の概略図である。二重機能ポンプが濃い破線で示される。これにより、エンジンカム1がポンピングチャンバ3内のプランジャ2を往復させる。低圧供給ポンプ23は、ライン4を介してポンプの入口ポート22を通じて低圧供給燃料を、アキュムレータ29によって安定化されたフィード通路19に供給する。入口逆止弁5は、ポンピングチャンバ3に流体接続され、プランジャ2の後退または充填ストローク中に、低圧供給燃料がポンピングチャンバを満たす。ポンピングストローク中、高く加圧された燃料は、2つの分岐を有する排出通路15に流入する。関連する下流出口逆止弁7を備えた直接噴射通路16は、動作の直接噴射モードでコモンレール11に供給し、直接噴射器12に供給するために、第1ポンプ燃料出口20と流体接続している。第2、補助分岐ラインまたは通路17は、また第1出口逆止弁7の上流の排出通路15に流体的に接続される。制御弁6は、補助通路17と流体連通する入口側と、ポート噴射通路18に接続される出口側とを有する。ポート噴射通路18は、第2出口逆止弁9を介して、ポート噴射器14につながる第2ポンプ燃料出口21に至る。
【0014】
制御弁6は、直接作動する2方向2位置のソレノイド弁であり、通常は開いており付勢されると閉じる。
【0015】
第1圧力リリーフ弁8は、第1出口逆止弁7の下流の直接噴射通路16と補助通路17(またはポンピングチャンバ3で優勢な圧力に)との間に接続される。第2圧力リリーフ弁10は、第2出口逆止弁9の下流の噴射通路18とフィード通路19との間または同等の低い入口またはフィード圧力領域との間に接続される。以下でより詳細に説明するように、アキュムレータ13は、第2出口逆止弁9と下流の流体連通に配置され、PIシステムとDIシステムとの間の切り替え中にポート噴射器14の安定した圧力を維持する。
【0016】
図1から理解できるように、GDIポンプの二重機能は、以下を提供する多数の異なる動作条件または状態をサポートする。二重機能は、以下を提供する
【0017】
(1)供給ポンプからPIシステムおよびDIコモンレールへの低圧流HPPポンプが動作しない場合(バイパス、または「リンプホーム(limp-home)」モード)、(2)DIコモンレールまたはPIシステムへの流量がゼロ、(3)DIコモンレールへの高圧での計量された流量、(4)PIシステムへの圧力調整。
【0018】
このシステムは、エンジンによって消費される燃料の量が、PIおよびDIシステムを通る噴射のバランスに関係なく、所与の動作条件に対して一定であるという概念に基づいている。与えられた生成パワーのため消費される燃料の総量は、使用しているシステムに関係なく同じである。
【0019】
好ましい戦略は、DIシステムに転送されたポンプ容量を計測することにより、所望のDIシステム圧力を維持することである。DIシステムに転送されなかった残りのすべてのポンプ容量は、PIシステムに転送される。PIシステムの目標圧力は通常約10barであるが、DIシステムの目標圧力は通常約350barである。PIシステムの最大圧力は、アキュムレータ13および第2圧力リリーフ弁10の圧力調整方式によって維持され、それによってすべての過剰な流れが入口フィード通路(4または19)に供給され、すべての動作条件に対して固定される。
HPPバイパス
図2に示すように、HPPバイパス状態の間、HPPは動作不能であり、制御弁6は付勢されていない(開いている)。低圧供給ポンプ23からの通路19の流体圧力は、入口逆止弁5を開く。下流圧力は、第2チェックバルブ9も開き、PIアキュムレータ13を加圧する。
ポート噴射回路の加圧
図3に示すように、PI加圧状態の間、ポンプは作動可能であると想定され、すべてまたは部分的なポンピング容量がPIシステムに転送される。充電サイクルの間、制御弁6は付勢されない。入口逆止弁5の下流の流体は、充填サイクル中にポンピングチャンバ3に入る。充電サイクルの終わりに、入口逆止弁5は、弁バイアスばねによって閉じられる。ポンピングサイクル中、流体は制御弁6を流れ、圧力が上昇して第2出口逆止弁9を開き、流体はPI回路に送られる。DIシステムの動作圧力がPIシステムの動作圧力よりも高いため、ポンプ圧は第1出口逆止弁7を開くことができない。
【0020】
PI回路に転送される量は、制御弁6の閉鎖により制限される。制御弁6の付勢および閉鎖時に、ポンプ圧は、第1出口逆止弁7の開放圧力およびすべての残りのポンプ容量を超えて増加する。次に、DI回路に転送される。
ポート噴射圧力制限
噴射器への全体的な計量中、ポンプは動作可能であり、PIシステムに移送される燃料は、制御弁6を閉じることによって決定される。図4に示されるように、PIシステム圧力が圧力リリーフ弁10の開放圧力を超えると、バルブが開き、過剰量がPIシステムから低フィード圧力通路19または領域に流れる。過剰な流れがポンピングサイクルと同時に発生するような構成である。したがって、PIシステムに転送される流体の量は、PIシステムの圧力のみに依存し、転送される容量の計測は行われない。
直接噴射回路の加圧
図5に示すように、DI加圧状態の間、ポンプは動作可能であると想定され、すべてまたは部分的なポンピング容量がDIシステムに転送される。充電サイクルの間、制御弁6は付勢されない。入口逆止弁5の下流の流体は、充填サイクル中にポンピングチャンバ3に入る。充電サイクルの終わりに、入口チェックバルブ5は、弁バイアスばねによって閉じられる。ポンピングサイクルの間、制御弁6は閉じている。ポンプ圧が増加し、出口逆止弁7が開き、容量がDI回路に送られる。
【0021】
制御弁6の作動は、ポンプピストンの位置と同期している。これは、カム回転位置24を検知し、制御信号26を制御弁6に送信する電子制御ユニット(ECU)25でその入力を処理することによって実現される。制御弁6が作動しているときのポンピングチャンバ3にエネルギーが供給される(漏れと流体の圧縮性による損失は無視される)。PIシステムに転送される容量は、制御弁6を閉じることによって制限される。制御弁6をオンにして閉じると、ポンプ圧は第1出口逆止弁7のオープニング圧よりも高くなる。次に、残りのすべてのポンプ容量がDIシステムに転送される。
【0022】
一旦閉じられると、ソレノイドが付勢されなくなったとしても、ポンピング事象が完了してポンピングチャンバ圧力がゼロ近くまで低下し、その後バルブが開くまで、制御弁6は閉じたままである。
直接噴射圧力制限
噴射器への全体的な計量中、ポンプは動作可能であると想定され、PIシステムに移送される燃料は、制御弁6を閉じることにより計量される燃料である。図6に示すように、DIシステム圧力が圧力リリーフ弁8の開放圧力を超えると、バルブはDIシステムからポンピングチャンバ3への排出容積を開く。
可変数量
図1を一般的に参照するとともに、本発明は、DIおよびPIシステムの一方または両方への可変量およびモードの燃料供給を提供できることを理解されたい。DIシステムのみを使用する場合、燃料の量制御または計量は、制御弁6が閉じている間、ポンピングチャンバ3が最大量の燃料で満たされ、ポンピングストローク中に、ポンピングストローク中のポンピングプランジャの位置に応じて、予め選択されたアルゴリズムまたはマッピングに応じて制御弁が開くまで、ポンピングストロークの最初の部分がコモンレール11に送られる。マッピングは、ECU25に送信される信号28を使用して、コモンレール11内の圧力の検知27に一部基づいている。したがって、ポンピングチャンバの最大容積に対応する燃料の全部または一部をコモンレールに供給することができる。
【0023】
ポート噴射のみが実施される場合、制御弁6は開いたままであり、ポンピングチャンバ内の最大容積のすべてが制御弁6および第2出口逆止弁9を介してアキュムレータ13に供給されるが、すぐに圧力が圧力リリーフ弁10の設定点に達すると、アキュムレータ13への供給に対応する量を超える量の燃料が第2出口逆止弁10を通って低圧領域に送られる。DIシステムで使用可能なアクティブメータリングコントロールとは異なり、PIシステムは、圧力リリーフ弁10の開放圧力に関連する定常圧力で動作する。
【0024】
PIおよびDIシステムの両方は、同時に動作することができる。通常、PIシステムは最初に加圧され、次にDIシステムが加圧されるが、順序を逆にすることができる。ポンピングチャンバの最大容量は、ポンピングチャンバから排出ライン15にポンピングされるが、その容量のすべては、DIシステム7、8、16とPIシステム9、10、18の間に割り当てられる。コモンレール11およびアキュムレータ13にそれぞれ供給される燃料のそれぞれの量は、リリーフ弁8およびリリーフ弁10の一方または両方の作動により、ポンピングチャンバ3の最大容積よりも少なくなる可能性がある。
【0025】
PIシステムが最初に加圧されるべきである場合、充填ストロークの間、ポンピングチャンバ3は、最大容積まで燃料で満たされる。ポンピングストロークの第1の部分の間、且つ制御弁6は開いており、最大量の第1の部分に対応する第1の量の燃料が第2出口逆止弁9を通してポンピングされる。ポンピングストロークの第2部分の間、制御弁6は閉じられ、第2の量の燃料が、ポンピングチャンバ内に残っているすべての燃料からなる燃料の第2の部分に対応する第1出口逆止弁7を通してポンピングされる。
【0026】
DIシステムが最初に加圧される場合、充填ストローク中に、ポンピングチャンバ3は、最大容積まで燃料で満たされる。ポンピングストロークの第1の部分の間、制御弁6は閉じられ、最大量の第1の部分に対応する第1の量の燃料が第1の出口逆止弁7を通してポンピングされる。ポンピングストロークの第2の部分の間、制御弁6は開いており、第2の量の燃料が、ポンピングチャンバ内に残っているすべての燃料からなる燃料の第2の部分に対応する第2の出口逆止弁9を通してポンピングされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6