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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】リコペン含有量が多い機能性発酵食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20230314BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20230314BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230314BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230314BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230314BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230314BHJP
   A23B 7/10 20060101ALN20230314BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/744
A61P9/12
A61P17/00
A61P29/00
A61P35/00
A23B7/10 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020526099
(86)(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 KR2018013801
(87)【国際公開番号】W WO2019093858
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2017-0150842
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13043BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 11403BP
(73)【特許権者】
【識別番号】514199250
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,スン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】オ,ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ドン-ユン
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-266824(JP,A)
【文献】特開2013-106610(JP,A)
【文献】特表2015-502148(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0067531(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0058032(KR,A)
【文献】田中睦子,食品における色素の存在状態に関する研究(第3報) スキムミルクとニンジンジュースの乳酸発酵によって得た生産物中のカロチンの物理状態,家政学雑誌,1974年,25巻7号,509-513
【文献】Elena Bartkiene et.al.,Lactic Acid Fermentation of Tomato: Effects on cis/trans Lycopene Isomer Ratio, beta-Carotene Mass Fraction and Formation of L(+)- and D(-)-Lactic Acid,Food Technology and Biotechnology,2013年,51巻4号,471-478
【文献】富永直樹,機能性野菜・秋冬の「ファイトリッチ」シリーズ~野菜がもつ力を引き出し、健康で豊かな食生活を提案~,タキイ最前線 冬春号,2015年,https://www.takii.co.jp/tsk/bn/pdf/2015_ws_017_018.pdf 検索日2021年4月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/135
A61K 35/744
A61P 9/12
A61P 17/00
A61P 29/00
A61P 35/00
A23B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リコペンを含有する野菜と、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)CJLM119及びラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)CJLP133である乳酸菌とを含む発酵食品であって、前記リコペンを含有する野菜がザ韓1号の白菜である、発酵食品。
【請求項2】
前記発酵食品は、前記野菜のリコペン含有量減少が防止されたものである、請求項1に記載の発酵食品。
【請求項3】
前記発酵食品のリコペン含有量は、前記野菜のリコペン含有量の50%~99%である、請求項1に記載の発酵食品。
【請求項4】
前記発酵食品のリコペン含有量(濃度)は、0.6mg/g~0.98mg/gである、請求項1に記載の発酵食品。
【請求項5】
前記発酵食品の貯蔵6カ月目のリコペン含有量は、貯蔵7日目のリコペン含有量の50%~99%である、請求項1に記載の発酵食品。
【請求項6】
前記発酵食品は、癌、高血圧、炎症、皮膚老化又は紅斑の予防又は治療に効果がある、請求項1に記載の発酵食品。
【請求項7】
前記癌は、大腸癌又は胃癌である、請求項に記載の発酵食品。
【請求項8】
リコペンを含有する塩漬けのザ韓1号の白菜、及びロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)CJLM119及びラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)CJLP133である乳酸菌を含有する薬味を準備するステップと、前記薬味を前記塩漬けのザ韓1号の白菜と混合するステップとを含む、発酵食品の製造方法。
【請求項9】
リコペンを含有するザ韓1号の白菜にロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)CJLM119及びラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)CJLP133である乳酸菌を混合して発酵食品を製造するステップを含むリコペン含有量減少防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リコペン含有量が多い機能性発酵食品に関する。
【背景技術】
【0002】
発酵食品とは、乳酸菌により発酵し、対象となる野菜に栄養分の変化が生じたものを意味する。微生物の発酵作用を利用して作られた食品の一例であるキムチは、微生物の作用で食品の成分が分解されて新たな成分が合成されることにより、栄養価、嗜好性及び貯蔵性が向上している。
【0003】
従来からリコペンが大腸癌に効果を有することを示す報告があったが、キムチなどの発酵食品においては、発酵時にリコペン含有量が維持されない又は減少するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0058032号公報
【文献】韓国公開特許第10-2011-0009560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした背景の下、本発明者らは、リコペン含有量が減少しない発酵食品を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定の品種の野菜と特定のロイコノストック属(Leuconostoc sp.)又はラクトバチルス属(Lactobacillius sp.)菌株を用いてキムチを製造するとリコペン含有量が減少しないことを確認し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、リコペンを含有する野菜と乳酸菌とを含む発酵食品を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、リコペンを含有する塩漬け野菜、及び乳酸菌を含有する薬味を準備するステップと、前記薬味を前記塩漬け野菜と混合するステップとを含む、発酵食品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、リコペンを含有する野菜に乳酸菌を混合して発酵食品を製造するステップを含むリコペン含有量減少防止方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、一般の白菜とは異なり、機能性成分であるリコペンを含有する白菜品種「ザ韓1号」を主原料とし、キムチから分離した乳酸菌であるロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)CJLM119、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)CJLP133を乳酸菌スターターとして添加したキムチであり、大腸炎や大腸癌の予防を助けるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】癌予防キムチの製造工程図である。
図2a】癌予防キムチの製造工程標準書を示す図である。
図2b】癌予防キムチの製造工程標準書を示す図である。
図3】癌予防キムチの流通中の理化学的品質変化を示すグラフである。
図4】癌予防キムチの流通中の微生物的品質変化を示すグラフである。
図5】各白菜品種におけるリコペン(lycopene)含有量の比較を示すグラフである(NC:一般白菜,NK:一般白菜を用いたキムチ,OC:ザ韓1号白菜,OK:ザ韓1号白菜を用いたキムチ)。
図6】各貯蔵期間における癌予防キムチのリコペン含有量の比較を示すグラフである(A:貯蔵7日目,B:貯蔵6カ月目)。
図7】癌予防キムチを含む大腸炎動物モデルのグループ化を示す図である。
図8】動物モデルの研究結果を示す図である。
図9】動物モデルの研究結果を示す図である。
図10】動物モデルの研究結果を示す図である。
図11】癌予防キムチを含む長期2ステップ大腸癌動物モデルを示す図である。
図12】動物モデルの研究結果を示す図である。
図13】動物モデルの研究結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、これら本発明を具体的に説明する。なお、本出願で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本出願で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本発明に含まれる。また、以下の具体的な記述に本発明が限定されるものではない。
【0012】
前記目的を達成するための本発明の一態様は、リコペンを含有する野菜と乳酸菌とを含む発酵食品を提供する。
【0013】
具体的には、前記前記リコペンを含有する野菜は白菜であってもよく、前記白菜はザ韓1号白菜であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記ザ韓1号白菜には、特許文献1(韓国特許出願第10-2015-0161731号)に記載された内容が全て反映されている。
【0014】
また、前記乳酸菌は、ロイコノストック属(Leuconostoc sp.)、ラクトバチルス属(Lactobacillius sp.)又はそれらの組み合わせであってもよく、具体的には、前記ロイコノストック属乳酸菌はロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)であってもよく、前記ラクトバチルス属乳酸菌はラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)であってもよく、より具体的には、前記ロイコノストック・メセンテロイデスはロイコノストック・メセンテロイデスCJLM119であってもよく、前記ラクトバチルス・プランタルムはラクトバチルス・プランタルムCJLP133であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記CJLP133菌株には、特許文献2(韓国特許出願第10-2009-0067015号)に記載された内容が全て反映されている。
【0015】
本発明の目的上、前記発酵食品は、リコペン含有量の減少が防止されたものであってもよい。リコペン含有量の減少防止には、発酵前又は発酵初期の野菜に含まれるリコペン含有量に比べて、リコペン含有量が維持されることだけでなく、減少することも含まれる。前記減少防止とは、リコペンが発酵前又は発酵初期に比べて、0%~30%、1%~25%、3%~25%、5%~20%、1%~30%、5%~25%、3%~20%、又は5%~15%減少することを意味し、これらは減少防止の範囲に含まれるものである。
【0016】
具体的には、前記発酵食品のリコペン含有量は、前記野菜のリコペン含有量の50%~99%であってもよく、より具体的には50%以上、60%以上、70%以上、及び/又は75%以下、80%以下、90%以下、99%以下であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記発酵食品のリコペン含有量(濃度)は、0.6mg/g~0.98mg/gであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0017】
また、前記発酵食品の貯蔵6カ月目のリコペン含有量は、貯蔵7日目のリコペン含有量の50%~99%であってもよく、具体的には50%以上、60%以上、70%以上、及び/又は75%以下、80%以下、90%以下、99%以下であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0018】
前記発酵食品は、癌、高血圧、炎症、皮膚老化又は紅斑の予防又は治療に効果があることを特徴とする。前記癌は、大腸癌又は胃癌であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0019】
前記目的を達成するための本発明の他の態様は、リコペンを含有する塩漬け野菜、及び乳酸菌を含有する薬味を準備するステップと、前記薬味を前記塩漬け野菜と混合するステップとを含む、発酵食品の製造方法を提供する。
【0020】
前記目的を達成するための本出願のさらに他の態様は、リコペンを含有する野菜に乳酸菌を混合して発酵食品を製造するステップを含むリコペン含有量減少防止方法を提供する。
【実施例
【0021】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
癌予防キムチの製造工程
癌予防キムチの試作により製造工程を検証した。
【0023】
1-1.癌予防キムチの試作
癌予防キムチの産業化のための大量生産工程を開発するために、実際のキムチ製造施設においてScale-up試作を行った。試作により設計工程を検証し、補完することにより、最終大量生産工程を設定した。
【0024】
試作に用いたザ韓1号白菜は、契約栽培により(ハウス)春作に合わせて2月に播種、定植し、4月に収穫した。収穫したザ韓1号白菜をCJ第一製糖キムチ工場に入庫し、その後入庫検査によりキムチ原料としての適否を判断し、CJ第一製糖キムチ工場における大量生産工程で試作を行った。
【0025】
試作の結果、ザ韓1号白菜を用いた癌予防キムチの製造工程は、従来のキムチ工程と同様に行うことができた。しかし、ザ韓1号白菜を長期保管すると表面が乾くため、塩漬け過程において過剰に塩漬けされる恐れがあるので、貯蔵状態に応じて塩漬け用塩水の塩度を調節する必要があり、大量生産工程中の乳酸菌スターターの現場曝露により活性が阻害される恐れがあるので、生産量に応じて乳酸菌スターターの包装単位を調節する必要があることが確認された。
【0026】
癌予防キムチの製造工程を段階毎に区分して作業標準書を作成した。
【0027】
1-2.予防キムチの製造工程図
癌予防キムチの製造工程図を図1に示す。
【0028】
1-3.癌予防キムチの製造工程の標準設定
癌予防キムチの製造工程標準書を図2a及び図2bに示す。
【実施例2】
【0029】
流通中のキムチの品質変化の分析(理化学的及び微生物的分析)
一般的なキムチの流通温度条件で品質変化をモニタリングした。
【0030】
2-1.流通中の理化学的品質モニタリング
試作により製造した癌予防キムチをキムチの流通温度である7℃で恒温保管し、流通中の品質変化をモニタリングした。理化学的品質は、貯蔵7日目に、製造直後のpH5.65からpH4.06に発酵が進み、その後は緩やかに減少し、一般的な流通中のキムチの品質に類似した傾向を示すことが確認された。
【0031】
キムチの熟成品質の指標である総酸度においても、貯蔵7日目に、製造直後の0.31%から0.83%の適熟状態に到達し、その後は緩やかに増加し、一般的な流通中のキムチの熟成品質に類似した傾向を示すことが確認された。
【0032】
2-2.流通中の微生物的品質モニタリング
総乳酸菌数の変化を測定した結果、製造直後は初期スターターの役割を発揮できる生菌数が確保された107CFU/gであり、貯蔵5日目に109CFU/gに増加した。これは、スターターが初期のキムチ発酵において正常に役割を果たしたものと判断され、その後貯蔵30日目まで109CFU/gを維持していたので、機能性癌予防キムチに肯定的な効果を果たすことが確認された。
【0033】
酵母は、製造直後の102CFU/gから減少し、貯蔵19日目まで発現が抑制されたが、その後103CFU/gに増加した。
【0034】
癌予防キムチの主要有効成分であるリコペン含有量の貯蔵中の変化を測定した。
【0035】
2-3.癌予防キムチのリコペン含有量の分析
ザ韓1号白菜は、一般の白菜品種とは異なり、特異的にリコペンを含有し、ザ韓1号白菜の有効成分であるリコペンは、塩漬け及びキムチ製造過程を通して有効成分が維持される。よって、癌予防キムチは、一般キムチにはない機能性有効成分であるリコペンを含有し、ザ韓1号白菜からは0.99mg/gのリコペンが検出され、癌予防キムチからは0.72mg/gのリコペンが検出された。
【0036】
癌予防キムチの貯蔵中に、有効成分であるリコペンは6カ月間の貯蔵期間を通して維持されるので、癌予防キムチの有効成分として機能性を発揮する上で好ましい。
【実施例3】
【0037】
炎症誘発物質であるDSS摂取による炎症性腸疾患(3週間)発生動物モデルにおける癌予防キムチ投与による炎症性腸疾患予防効能の比較及び評価
凍結乾燥した癌予防キムチを飼料として作製し、それを炎症性腸疾患モデルに適用してその発生の程度を比較し、それによる病理学的マーカーや分子生物学的作用機序などを分析した。
【0038】
3-1.癌予防キムチを適用した大腸炎動物モデル
動物モデルを図7に具体的に示す。
【0039】
3-2.動物モデルの研究結果
概して、DSSを投与して大腸炎を誘発すると正常対照群と比較して体重が著しく低下することが確認されるが、ここで各実験群における投与グループ間の体重差を確認したところ、DSS単独投与グループと比較して大きな差はなかった。しかし、ここで臨床的な症状(下痢、血便、脱腸など)を肉眼で確認するDAI Scoreを確認したところ、DSS単独投与グループと比較して、癌予防キムチ投与グループにおいてスコアが大幅に減少した。また、大腸炎が誘導されると急性炎症により大腸が腫れて大腸の長さが著しく短くなることが確認されたが、ここで癌予防キムチ投与グループにおいては大腸の長さが有意に長くなることが確認された(図8)。
【0040】
3-3.動物モデルの研究結果
実験後に採取した大腸組織を用いてmRNAを抽出し、その後inflammatory cytokinesとanti-oxidantに関する遺伝子を分析したところ、概してDSS投与グループにおいてはほとんどの炎症サイトカインの発現が増加するが、ここで癌予防キムチ投与グループにおいてはその増加した発現が大幅に減少し、さらに標準レシピキムチ投与グループとも有意な差が確認された。また、anti-oxidantに関する遺伝子を確認したところ、各グループ間に大きな差は確認されなかった(図9)。
【0041】
3-4.動物モデルの研究結果
実験後に採取した大腸組織を用いてproteinを抽出し、その後炎症と抗酸化に関する遺伝子を分析したところ、概してDSS投与グループにおいてはほとんどの炎症関連因子の発現が増加するが、ここで癌予防キムチ投与グループにおいてはその増加した発現が大幅に減少し、さらに標準レシピキムチ投与グループとも有意な差が確認された。また、anti-oxidantに関する遺伝子を確認したところ、各グループ間に大きな差は確認されなかった。
【実施例4】
【0042】
大腸癌動物モデルにおける大腸癌発生の程度の比較
4-1.癌予防キムチを適用した長期2ステップ大腸癌動物モデル
動物モデルを図9に具体的に示す。
【0043】
4-2.動物モデルの研究結果
AOMを投与(1ステップ)し、その後DSSで炎症を誘導(2ステップ)すると、10週間以上経過後に大腸癌に進行した。ここで、通常は大腸癌の影響によりsurvival rateが減少する。実験の結果、AomDSS単独投与グループにおける生存率は約65%を維持するのに対して、癌予防キムチ高農度投与グループにおける生存率は約85%を維持することが確認され、ここで標準レシピキムチ投与グループや日本キムチ投与グループにおける生存率より高いことが確認された。また、AomDSS単独投与グループの大腸を分析すると、gross lesionから多くの大腸癌が発生することが確認されたが、癌予防キムチ投与グループにおいては大腸癌発生の程度が著しく低くなることが確認された。ここで、標準レシピキムチ投与グループや日本キムチ投与グループにおいても大腸癌発生の程度が低くなることが確認されたが、癌予防キムチ投与グループと比較するとその減少幅は有意に小さいことが確認された(図12)。
【0044】
4-3.動物モデルの研究結果
前述した動物モデルにおける各グループのtumorの大きさと各部位のtumorの数を表1及び図13に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
以上の説明から、本発明の属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
【0047】
寄託機関名:韓国生命工学研究院
受託番号:KCTC13043BP
受託日:20160610
【0048】
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13