(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】制御された環境農業のための流体冷却LEDベースの照明方法および装置
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20230314BHJP
A01G 7/02 20060101ALI20230314BHJP
F21V 29/56 20150101ALI20230314BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20230314BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230314BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
A01G7/02
F21V29/56
F21V29/503
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020532870
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018048190
(87)【国際公開番号】W WO2019040944
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-05-18
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520062122
【氏名又は名称】アグネティックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リス,イーホリ
(72)【発明者】
【氏名】マデラス,ニコラス
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-192152(JP,A)
【文献】特開2011-054529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
A01G 7/02
F21V 29/56
F21V 29/503
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体冷却LEDベースの照明器具であって、
少なくとも第1のチャネル、第2のチャネル、および内部に形成された少なくとも1つの密閉キャビティを含む、押出成形アルミニウムフレームであって、前記押出成形アルミニウムフレームが、前記押出成形アルミニウムフレームから突出し、かつ少なくとも1つの支持構造体への前記照明器具の機械的連結を容易にする複数の穴を有する、フィンをさらに含む、押出成形アルミニウムフレームと、
前記押出成形アルミニウムフレームによって、機械的に支持された少なくとも1つのLED光源と、
流体冷却剤を運んで、前記照明器具の動作中に少なくとも前記少なくとも1つのLED光源によって生成された熱を抽出するための第1の銅管であって、前記第1の銅管が、前記第1の銅管と前記押出成形アルミニウムフレームとの間に第1の熱的接続部を確立するために、前記押出成形アルミニウムフレームの前記第1のチャネル内に圧入される、第1の銅管と、
前記流体冷却剤を運ぶための第2の銅管であって、前記第2の銅管が、前記第2の銅管と前記押出成形アルミニウムフレームとの間に第2の熱的接続部を確立するために、前記押出成形アルミニウムフレームの前記第2のチャネル内に圧入される、第2の銅管と、
AC電力を受け取り、かつ前記少なくとも1つのLED光源を制御するように、前記押出成形アルミニウムフレームの前記少なくとも1つの密閉キャビティに配置されている、制御回路と、
複数のポートであって、前記複数のポートの少なくとも1つに連結された少なくとも1つの補助デバイスにDC電力を提供するように、前記制御回路の少なくともいくつかに電気的に連結されている、複数のポートと、を含む、照明器具。
【請求項2】
前記照明器具が、前記押出成形アルミニウムフレームの前記少なくとも1つの密閉キャビティ内に、いかなる前記流体冷却剤のためのシールも前記流体冷却剤のためのOリングも含まない、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記制御回路が、その上に少なくとも1つのLEDがある金属プリント回路基板を含み、
前記第1の銅管および前記第2の銅管が、前記流体冷却剤が存在するときに、冷却剤回路内の前記流体冷却剤を運び、そのため前記流体冷却剤が、前記第1の銅管および前記第2の銅管を通じてそれぞれ異なる方向に流れる、請求項1に記載の照明器具。
【請求項4】
前記複数のポートが、
前記照明器具への少なくとも1つの第1の外部デバイスの電力連結およびデータ連結を容易にするための、複数のパワーオーバーイーサネット(PoE)ポートと、
前記照明器具への少なくとも1つの第2の外部デバイスの連結を容易にするための、少なくとも1つのユニバーサルシリアルバス(USB)ポートと、を含む、請求項1に記載の照明器具。
【請求項5】
前記制御回路が、
前記AC電力と関連付けられた電圧および電流のうちの少なくとも1つを監視するための、ACラインセンサと、
前記AC電力と関連付けられた前記電流が所定の上限を超えないように、前記ACラインセンサによって監視される前記電圧および前記電流のうちの前記少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つのLED光源を制御するように、前記ACラインセンサに連結されている、プロセッサと、を含む、請求項1に記載の照明器具。
【請求項6】
前記少なくとも1つのLED光源と関連付けられたLED電力が、前記照明器具の動作中に約1200ワットの最大値を有し、
前記AC電力と関連付けられた前記電流の前記所定の上限が、5アンペアである、請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
システムであって、
請求項4に記載の少なくとも1つの照明器具と、
前記複数のPoEポートのうちの少なくとも1つまたは前記少なくとも1つのUSBポートに連結されている、少なくとも1つのセンサと、を含む、システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサが、
空気気温センサ、
近赤外線(NIR)センサ、
相対湿度センサ、
カメラ、
二酸化炭素(CO2)センサ、および
赤外線(IR)センサ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つのファンをさらに含み、
前記制御回路が、ファンコントローラを含み、
前記少なくとも1つのファンが、前記少なくとも1つの照明器具の前記複数のPoEポートのうちの少なくとも1つまたは前記少なくとも1つのUSBポートを介して、前記ファンコントローラに通信可能に連結されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
システムであって、
請求項1に記載の少なくとも1つの照明器具と、
前記少なくとも1つの照明器具の前記第1の銅管および前記第2の銅管に機械的に連結されている、少なくとも1つの流体冷却剤回路と、を含む、システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの流体回路に機械的に連結されている除湿機をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの照明器具が、複数の照明器具を含み、
前記複数の照明器具のそれぞれの照明器具の前記銅管が、前記流体冷却剤回路の少なくとも一部分を形成するために、複数の押し込み接続取付具によって機械的に一緒に連結されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の照明器具が、デイジーチェーン構成で一緒に連結されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムが配置されている、建物構造体と、
前記複数の照明器具を支持するために、前記建物構造体内に配設されている、少なくとも1つの支持構造体であって、それぞれの照明器具が、前記それぞれの照明器具の対応するフィンを介して、前記少なくとも1つの支持構造体に機械的に連結されている、少なくとも1つの支持構造体と、
複数の植物を支持するための少なくとも1つの棚構造体であって、前記少なくとも1つの棚構造体が、前記複数の照明器具によって提供される光合成有効放射(PAR)による前記複数の植物への照射を容易にするために、前記少なくとも1つの支持構造体に対して前記建物構造体内に配設される、少なくとも1つの棚構造体と、をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、空調コンデンサ、空調コンプレッサ、および/または空調コイルを含む、空調機を含まない、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
照明器具であって、
押出成形アルミニウムハウジングと、
前記押出成形アルミニウムハウジングによって、機械的に支持された少なくとも1つの光源と、
流体冷却剤を運ぶように、前記押出成形アルミニウムハウジングに熱的に連結されている、少なくとも1つの銅管と、を含み、
前記照明器具の動作中に、前記少なくとも1つの銅管を通って流れる前記流体冷却剤が、前記照明器具によって生成された熱を抽出し、
前記押出成形アルミニウムハウジングが、前記少なくとも1つの光源を制御するための制御回路を含む、少なくとも1つのキャビティを含み、
前記照明器具が、前記押出成形アルミニウムハウジングの前記少なくとも1つのキャビティ内に、いかなる前記流体冷却剤のためのシールも前記流体冷却剤のためのOリングも含まない、照明器具。
【請求項17】
前記少なくとも1つの銅管が、第1の銅管および第2の銅管であって、前記流体冷却剤を運ぶように、その両方が前記押出成形アルミニウムハウジングに熱的に連結されている第1の銅管および第2の銅管を含む、請求項16に記載の照明器具。
【請求項18】
照明器具であって、
押出成形アルミニウムハウジングと、
前記押出成形アルミニウムハウジングによって、機械的に支持された少なくとも1つの光源と、
流体冷却剤を運ぶように、前記押出成形アルミニウムハウジングに熱的に連結されている、少なくとも1つの銅管と、を含み、
前記照明器具の動作中に、前記少なくとも1つの銅管を通って流れる前記流体冷却剤が、前記照明器具によって生成された熱を抽出し、
前記少なくとも1つの銅管が、第1の銅管および第2の銅管であって、前記流体冷却剤を運ぶように、その両方が前記押出成形アルミニウムハウジングに熱的に連結されている、第1の銅管および第2の銅管を含む、照明器具。
【請求項19】
前記第1の銅管および前記第2の銅管が、前記流体冷却剤が存在するときに、冷却剤回路内の前記流体冷却剤を運び、そのため前記流体冷却剤が、前記第1の銅管および前記第2の銅管を通じてそれぞれ異なる方向に流れる、請求項17または18に記載の照明器具。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光源の電力が、少なくとも1200ワットである、請求項16~19のいずれかに記載の照明器具。
【請求項21】
照明器具であって、
押出成形アルミニウムハウジングと、
前記押出成形アルミニウムハウジングによって、機械的に支持された少なくとも1つの光源と、
流体冷却剤を運ぶように、前記押出成形アルミニウムハウジングに熱的に連結されている、少なくとも1つの銅管と、を含み、
前記照明器具の動作中に、前記少なくとも1つの銅管を通って流れる前記流体冷却剤が、前記照明器具によって生成された熱を抽出し、
前記少なくとも1つの光源の電力が、少なくとも1200ワットである、照明器具。
【請求項22】
少なくとも1つのポートに連結された少なくとも1つの補助デバイスに、補助DC電力を供給するための、前記少なくとも1つのポートをさらに含む、請求項16~21のいずれかに記載の照明器具。
【請求項23】
照明器具であって、
押出成形アルミニウムハウジングと、
前記押出成形アルミニウムハウジングによって、機械的に支持された少なくとも1つの光源と、
流体冷却剤を運ぶように、前記押出成形アルミニウムハウジングに熱的に連結されている、少なくとも1つの銅管と、
少なくとも1つのポートに連結された少なくとも1つの補助デバイスに、補助DC電力を供給するための、前記少なくとも1つのポートと、を含み、
前記照明器具の動作中に、前記少なくとも1つの銅管を通って流れる前記流体冷却剤が、前記照明器具によって生成された熱を抽出する、照明器具。
【請求項24】
前記押出成形アルミニウムハウジングが、内部に形成された少なくとも1つのチャネルを含み、
前記少なくとも1つの銅管が、前記少なくとも1つの銅管と前記押出成形アルミニウムハウジングとの間に熱的接続を確立するために、前記押出成形アルミニウムハウジングの前記少なくとも1つのチャネル内に圧入されている、請求項16~23のいずれかに記載の照明器具。
【請求項25】
前記押出成形アルミニウムハウジングが、制御された農業環境の少なくとも1つの支持構造体への前記照明器具の機械的連結を容易にするための光スパインを含む、請求項16~24のいずれかに記載の照明器具。
【請求項26】
前記少なくとも1つの光源が、少なくとも1つのLED光源を含む、請求項16~25のいずれかに記載の照明器具。
【請求項27】
前記流体冷却剤が、前記押出成形アルミニウムハウジングと接触しない、請求項16~26のいずれかに記載の照明器具。
【請求項28】
前記照明器具が、いかなる前記流体冷却剤のための内部シールも含まない、請求項16~27のいずれかに記載の照明器具。
【請求項29】
前記照明器具が、いかなる前記流体冷却剤のための内部Oリングも含まない、請求項16~27のいずれかに記載の照明器具。
【請求項30】
前記少なくとも1つのポートが、
前記照明器具への少なくとも1つの第1の外部デバイスの電力連結およびデータ連結を容易にするための、複数のパワーオーバーイーサネット(PoE)ポートと、
前記照明器具への少なくとも1つの第2の外部デバイスの連結を容易にするための、少なくとも1つのユニバーサルシリアルバス(USB)ポートと、を含む、請求項22~28のいずれかに記載の照明器具。
【請求項31】
システムであって、
請求項30に記載の少なくとも1つの照明器具と、
前記複数のPoEポートの少なくとも1つまたは前記少なくとも1つのUSBポートに連結されている、少なくとも1つのセンサと、を含む、システム。
【請求項32】
前記少なくとも1つのセンサが、
空気気温センサ、
近赤外線(NIR)センサ、
相対湿度センサ、
カメラ、
二酸化炭素(CO2)センサ、および
赤外線(IR)センサ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
制御された農業環境であって、
請求項31または32に記載のシステムと、
少なくとも1つの冷却塔と、
前記少なくとも1つの冷却塔と前記少なくとも1つの照明器具との間で前記流体冷却剤を運ぶように、前記少なくとも1つの冷却塔、および前記少なくとも1つの照明器具の前記少なくとも1つの銅管に機械的に連結されている、少なくとも1つの流体回路と、を含む、農業環境。
【請求項34】
除湿機をさらに含む、請求項33に記載の制御された農業環境。
【請求項35】
前記除湿機が、前記少なくとも1つの流体回路に機械的に連結されている、請求項34に記載の制御された農業環境。
【請求項36】
少なくとも1つのファンをさらに含む、請求項33~35のいずれかに記載の制御された農業環境。
【請求項37】
前記少なくとも1つの照明器具が、ファンコントローラを含み、
前記少なくとも1つのファンが、前記少なくとも1つの照明器具の前記ファンコントローラに通信可能に連結されている、請求項36に記載の制御された農業環境。
【請求項38】
前記少なくとも1つのファンが、前記少なくとも1つの照明器具の前記複数のPoEポートのうちの少なくとも1つまたは前記少なくとも1つのUSBポートに連結されている、請求項37に記載の制御された農業環境。
【請求項39】
前記制御された農業環境が、空調コンデンサ、空調コンプレッサ、および/または空調コイルを含む、空調機を含まない、請求項33~38のいずれかに記載の制御された農業環境。
【請求項40】
前記少なくとも1つの照明器具が、複数の照明器具を含み、
それぞれの照明器具の前記銅管が、少なくとも1つの押し込み接続取付具によって一緒に機械的に連結されている、請求項33~39のいずれかに記載の制御された農業環境。
【請求項41】
前記システムが配置されている、建物構造体と、
前記システムを支持するために、前記建物構造体内に配設されている、少なくとも1つの支持構造体であって、前記少なくとも1つの照明器具が、前記少なくとも1つの支持構造体に機械的に連結されている、少なくとも1つの支持構造体と、
複数の植物を支持するための少なくとも1つの棚構造体であって、前記少なくとも1つの棚構造体が、前記少なくとも1つの照明器具によって提供される光合成有効放射(PAR)による前記複数の植物への照射を容易にするために、前記少なくとも1つの支持構造体に対して前記建物構造体内に配設される、少なくとも1つの棚構造体と、をさらに含む、請求項33~40のいずれかに記載の制御された農業環境。
【請求項42】
流体冷却照明器具であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内または前記ハウジング上に配置されている、少なくとも1つの光源と、
制御回路であって、前記ハウジングに設けられ、AC電源を受け取り、かつ少なくとも1つのLED光源を制御する制御回路と、
少なくとも1つの冷却剤管を有する流体冷却剤回路であって、前記流体冷却剤回路に存在する場合に、前記照明器具の動作中に前記少なくとも1つの光源によって生成された熱を抽出する流体冷却剤を収容するように、前記ハウジングに熱的に連結されている、流体冷却剤回路と、を含み、
前記照明器具が、いかなる前記流体冷却剤のための内部シールも内部Oリングも含まず、
前記少なくとも1つの冷却剤管は、前記少なくとも1つの光源によって生成される熱による熱的効果を低減するために、前記少なくとも1つの光源と前記制御回路の間に配置され、
前記ハウジングは、前記制御回路の少なくとも一部を前記少なくとも1つの光源から離間させる空間を画定する、流体冷却照明器具。
【請求項43】
前記流体冷却剤回路は、銅を材料とする、請求項42に記載の流体冷却照明器具。
【請求項44】
前記流体冷却剤回路は、アルミニウムを材料とする、請求項43に記載の流体冷却照明器具。
【請求項45】
システムであって、
請求項42に記載の少なくとも1つの流体照明器具と、
少なくとも1つの前記流体冷却剤回路に結合され、前記少なくとも1つの照明器具の動作中に、前記少なくとも1つの照明器具から取り出され、前記流体冷却剤によって吸収された廃熱を再利用するためのハイドロニクスシステムと、を備え、
前記ハイドロニクスシステムは、
前記少なくとも1つの前記流体冷却剤回路に結合され、建築構造体内の領域または前記建築構造体の近くの別の空間の、少なくとも一部の温度を調節する、少なくとも1つのハイドロニクスループを含む、システム。
【請求項46】
前記少なくとも1つのハイドロニクスループは、前記建築構造体内の一部の領域の温度を調整するために、前記建築構造体内に少なくとも部分的に配置され、
前記建築構造体内の前記一部の領域は、
複数の植物のための成長領域を含む、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記複数の植物のための前記成長領域は、前記複数の植物の根領域を含み、
前記少なくとも1つのハイドロニクスループの少なくとも一部は、前記
複数の植物の前記根領域の近傍に配置される、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記少なくとも1つのハイドロニクスループは、
前記建築構造体の近くの別の空間の温度を調節するために、少なくとも部分的に前記建築構造体の外側に配置される、請求項45に記載のシステム。
【請求項49】
前記ハイドロニクスシステムは、
前記少なくとも一つのハイドロニクスループ及び前記少なくとも一つの流体冷却剤回路に接続され、前記流体冷却剤を前記少なくとも1つの前記流体冷却剤回路及び前記少なくとも1つのハイドロニクスループに供給する流体源、をさらに備える、請求項45に記載のシステム。
【請求項50】
前記流体源は、
流体冷却剤を貯蔵する流体貯蔵タンク、
流体冷却剤の蒸発冷却を促進する冷却塔、
チラー、
フリークーラ、
乾式冷却器、
空気源の冷却器、
地上式熱交換器、及び
水源熱交換器、の少なくとも1つを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記流体源は、少なくとも1つの前記流体貯蔵タンクを備え、
前記流体貯蔵タンクは前記建築構造体の外部に配置される、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記少なくとも1つの前記流体冷却剤回路は、前記流体貯蔵タンクに結合された照明ループを含み、
前記少なくとも1つのハイドロニクスループは、前記流体貯蔵タンクに結合された加熱ループと、前記流体貯蔵タンクを介して前記照明ループに結合された加熱ループと、を含み
前記ハイドロニクスシステムは、前記流体貯蔵タンクに結合された冷却ループをさらに含み、前記流体冷却剤が前記冷却ループを流れる際に前記流体冷却剤を冷却する、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記ハイドロニクスシステムは、
前記加熱ループに結合され、前記建築構造体内の領域または前記建築構造体の近くの別の空間の、少なくとも一部の温度を調節するために、補助熱を蓄える追加の容量を提供する高温貯蔵部、及び
前記冷却ループに接続され、前記建築構造体内の領域または前記建築構造体の近くの別の空間の、少なくとも一部の温度を調節するために、比較的低温の流体冷却剤を貯蔵する追加の容量を提供する低温貯蔵部、の少なくとも一方を備える、請求項52に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月25日に出願された米国仮出願第62/550,379号および2018年2月26日に出願された米国仮出願第62/635,501号に対する優先権利益を主張する。これらの仮出願の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
制御された環境農業(CEA)は、制御された環境で植物を成長させるプロセスであり、ここで、様々な環境パラメータを監視および調整して、成長する植物の品質および収量を向上させる。CEAは、従来の植物栽培のアプローチと比較して、植物の通年生産、変動する気象条件への非感受性を可能にし得、害虫および病害を低減し得、かつ植物ごとに消費されるリソースの量を低減し得る。制御された農業環境は通常、環境条件に対するある程度の制御を提供するため、少なくとも部分的に、温室、栽培室、または畑の覆われた部分などの建物構造体に囲まれている。そのような制御された農業環境では、1つ以上の人工照明システムが、建物構造体によって遮られる可能性があるか、または一年の特定の期間(冬季など)に不十分である可能性がある、自然の太陽光を補足および/または交換するためにしばしば使用される。高輝度放電ランプ、発光ダイオード(LED)、および蛍光ランプを含むが、これらに限定されない、様々なタイプの人工照明システムが使用され得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、制御された環境農業(CEA)のための流体冷却発光ダイオード(LED)ベースの照明器具(以下、「照明器具」とも称される)、照明器具のそれぞれの構成要素、およびそれに関連する方法の様々な実装形態を対象とする。照明器具は、照明器具を通じて流体冷却剤を流して、照明器具内の1つ以上のLEDモジュールによって生成される熱を捕捉する、流体冷却システム(以下「冷却剤回路」とも称される)に連結され得る。このようにして、照明器具によって生成された熱が、制御された農業環境から除去され得、それにより冷却負荷が削減され、かつエネルギー効率が改善される。本明細書で説明する照明器具は、配管、電力、および通信接続を共有して、連続的な電気回路および冷却剤回路の作成が促進されるデイジーチェーン構成で、1つ以上の他の照明器具に連結されてもよい。いくつかの実装形態では、照明器具は、制御された農業環境または制御された農業環境の近くの空間の温度を調整することなどの様々な用途のために、照明器具によって生成される(および冷却剤回路によって照明器具から抽出される)廃熱を利用するハイドロニクスシステムに連結される場合がある。照明器具はまた、制御された農業環境の様々な環境条件を監視することができる1つ以上のセンサに、電力およびデータ通信接続を提供することにより、統合センサプラットフォームとして機能する。
【0004】
1つの例示的な実装形態では、照明器具は、照明器具の様々な構成要素を機械的に支持し、かつそれを収容するためのフレーム(本明細書では「ハウジング」とも称される)を含む。光スパインは、制御された農業環境内に配置された支持構造体に、照明器具を機械的に連結して固定するための特徴部を備えたフレーム上に形成される。フレームは、1つ以上のチャネルと、1つ以上のチャネル内に適合する対応する冷却剤管と、を含む。冷却剤管は、銅から形成されており、照明器具に流体冷却剤を流して、熱を除去するために使用される。1つ以上のLEDモジュールは、フレーム上に配置されて、植物の成長のために光合成有効放射(PAR)を放出する。プロセッサは、フレームに連結されて、電力変換、ネットワーク接続、およびデータ処理を含む機能を有する照明器具の動作を容易にする。1つ以上の電力ポートは、フレーム上に配置されて、外部ソース(建物の電力供給システムなど)から、LEDモジュール、プロセッサ、および照明器具に連結された補助デバイスを含む照明器具の様々な構成要素に電力を供給する。電気通信およびデータ送信を容易にするために、1つ以上の通信ポートがフレーム上に配置されている。
【0005】
いくつかの実装形態では、冷却剤管をフレームのチャネル内に圧入またはクラッシュ適合させて、熱的接触を改善し、それにより照明器具を通って流れる流体冷却剤によって除去される熱量を増加させることができる。照明器具の冷却剤管は、押し込み接続の配管取付具を使用して、別の照明器具の別の冷却剤管に連結されてもよい。このようにして、複数の照明器具を連結させて、連続的な冷却剤回路を形成することができる。1つ以上のポンプ、レギュレータ、および/またはバルブを冷却剤回路に組み込んで、冷却剤回路を通して流体冷却剤を生成および方向付けることができる。冷却塔などの排熱デバイスをまた、冷却剤回路内に組み込んで、流体冷却剤から熱を除去し、したがって冷却剤回路で再利用するために流体冷却剤の温度を下げることもできる。冷却剤回路はまた、除湿機などの、制御された農業環境内の他の構成要素から熱を除去するために使用され得る。
【0006】
いくつかの実装形態では、複数の照明器具を有する冷却剤回路をハイドロニクスシステムに連結させて、照明器具によって生成され、かつ流体冷却剤によって捕捉された廃熱をリサイクルすることができる。ハイドロニクスシステムは、熱を分配して、制御された農業環境(例えば、栽培地域)の少なくとも一部分、または制御された農業環境に近い別の空間(例えば、住宅、熱電併給プラント、工場)の温度を調節することができる。ハイドロニクスシステムは、流体冷却剤を貯蔵する流体貯蔵タンクと、冷却剤回路および/または他の空間を通して比較的冷たい流体冷却剤および比較的温かい流体冷却剤を方向付けるための1つ以上の配管サブシステムと、を含み得る。流体冷却剤はまた、後で分配するために、および/または流体冷却剤の温度を調節するために、様々な温度で貯蔵されてもよい。
【0007】
いくつかの実装形態では、1つ以上の流体冷却LEDベースの照明器具を備えた制御された農業環境は、追加的な冷却剤や空調を必要としない。言い換えれば、様々な熱源(例えば、照明器具、植物自体、環境を構成する建物構造体の壁、1つ以上の除湿機)から環境で生成された過剰な熱は、流体冷却剤によって効果的に捕捉され、かつ排熱デバイス(例えば、冷却塔)によって除去されるか、またはハイドロニクスシステムでリサイクルされる。空調の必要性を大幅に削減、または場合によっては排除することにより、制御された農業環境に必要なエネルギーの重要な供給源は、それに応じて大幅に削減または排除される。エネルギーの節約は、変動するエネルギー収支で制御された農業環境のエネルギーコストを大幅に削減するか、または一定のエネルギー収支で、制御された農業環境についてのより大きな作物およびより大きな作物収量を成長させるために利用可能なエネルギーを増やすことをもたらし得る。例えば、以前は冷却/空調に使用されていたエネルギー収支の少なくとも一部分を、代わりに追加の人工照明に使用して、PARを提供し、それによってより多くの植物の植物成長を促進することができる。
【0008】
様々な実装形態において、本明細書に開示される照明器具は、例えば、ポート(複数可)に連結された1つ以上の補助デバイスに補助DC電力を提供するための、1つ以上の通信および/または補助電力ポートを含み得る。このようなポートの実施例には、複数の照明器具を一緒に通信可能に連結し、かつ/または1つ以上の補助デバイス(例えば、センサ、アクチュエーター、または他の外部電子デバイス)の動作を支持するための、1つ以上のパワーオーバーイーサネット(PoE)ポートおよび/または1つ以上のユニバーサルシリアルバス(USB)ポートが含まれるが、これらに限定されない。PoEまたはUSBポートのうちの1つ以上を介して1つ以上の照明器具に連結され得る様々なセンサの実施例には、気温センサ、近赤外線(NIR)葉水分センサ、ハイパースペクトルカメラ、有限スペクトルカメラ、IR葉温度センサ、相対湿度センサ、および二酸化炭素センサが含まれるが、これらに限定されない。PoEまたはUSBポートを介して1つ以上の照明器具に連結され得る補助デバイスの他の実施例には、1つ以上のファン、防犯カメラ、スマートフォン、およびマルチスペクトルカメラ(例えば、土壌水分、栄養素含有量、植物の葉の分析用)が含まれるが、これらに限定されない。このようにして、照明器具上の通信ポートの柔軟な配置により、制御された農業環境に様々な補助デバイスを特に分散させることができる。
【0009】
いくつかの実装形態では、照明器具のプロセッサを使用して、1つ以上の補助デバイスを制御し、かつ/または補助デバイスからのデータを処理することができる。次に、プロセッサは、データを利用して、制御された農業環境内の1つ以上の照明器具(例えば、照明器具からのPAR出力の調整)、1つ以上の冷却剤回路(例えば、照明ループ、ハイドロニクスループ、および冷却ループを含む冷却剤回路を通る流体の流れの調整)、1つ以上のファン、1つ以上の除湿機、または1つ以上の空調機を調整および制御することができる。いくつかの実装形態では、様々な環境条件を測定および制御して、環境内の目標蒸気圧不足がもたらされる。
【0010】
いくつかの実装形態では、照明器具は、顧客が1つ以上の照明器具をレンタルおよび操作するために定期的な料金を支払うリース照明システムで使用され得る。1つの例示的な実装形態では、照明器具は、顧客による支払いに従って、照明器具が動作する時間量を制御するライセンスサーバに通信可能に連結されてもよい。暗号化キーおよびライセンスサーバとのトークン交換を使用して、制御された農業環境のリース照明システムを操作することができる。
【0011】
要約すると、1つの例示的な実装形態は、少なくとも第1のチャネル、第2のチャネル、および内部に形成された少なくとも1つの密閉キャビティを含む、押出成形アルミニウムフレームであって、押出成形アルミニウムフレームが、フレームから突出し、かつ少なくとも1つの支持構造体への照明器具の機械的連結を容易にするための複数の穴を有する、フィンをさらに含む、押出成形アルミニウムフレームと、押出成形アルミニウムフレームによって機械的に支持された少なくとも1つのLED光源と、流体冷却剤を運んで、照明器具の動作中に少なくとも少なくとも1つのLED光源によって生成された熱を抽出するための、第1の銅管であって、第1の銅管が、第1の銅管と押出成形アルミニウムフレームとの間に第1の熱的接続部を確立するために、押出成形アルミニウムフレームの第1のチャネル内に圧入される、第1の銅管と、流体冷却剤を運ぶための第2の銅管であって、第2の銅管が、第2の銅管と押出成形アルミニウムフレームとの間に第2の熱的接続部を確立するために、押出成形アルミニウムフレームの第2のチャネルに圧入される、第2の銅管と、AC電源を受け取り、かつ少なくとも1つのLED光源を制御するように、押出成形アルミニウムフレームの少なくとも1つの密閉キャビティに配置されている、制御回路と、複数のポートの少なくとも1つに連結された少なくとも1つの補助デバイスにDC電力を提供するように、制御回路の少なくともいくつかに電気的に連結されている、複数のポートと、を含む、流体冷却LEDベースの照明器具を対象とする。
【0012】
別の例示的な実装形態は、農業環境を制御するための方法を対象とし、この方法は、A)冷却剤回路に流体冷却剤を流すことであって、冷却剤回路が、少なくとも1つのLEDベースの照明器具であって、流体冷却剤が少なくとも1つのLEDベースの照明器具を通って冷却剤回路内を流れるときに、流体冷却剤が、それから器具が生成した熱を抽出する、少なくとも1つのLEDベースの照明器具と、農業環境の少なくとも一部分で温度調節を容易にするように、少なくとも1つのLEDベースの照明器具に連結されている、少なくとも1つのハイドロニクスループと、を含む、流すことと、B)複数の植物に、少なくとも1つのLEDベースの照明器具による光合成有効放射(PAR)出力を照射することと、C)少なくとも1つのLEDベースの照明器具に通信可能に連結された少なくとも1つのセンサを介して、農業環境における少なくとも1つの状態を検知することと、を含む。
【0013】
別の例示的な実装形態は、農業環境を制御するための方法を対象とし、この方法は、A)冷却剤回路に流体冷却剤を流すことであって、冷却剤回路が、少なくとも1つのLEDベースの照明器具であって、流体冷却剤が少なくとも1つのLEDベースの照明器具を通って冷却剤回路内を流れるときに、流体冷却剤が、それから器具が生成した熱を抽出する、少なくとも1つのLEDベースの照明器具と、農業環境の少なくとも一部分で温度調節を容易にするように、少なくとも1つのLEDベースの照明器具に連結されている、少なくとも1つのハイドロニクスループと、を含む、流すことと、B)複数の植物に、少なくとも1つのLEDベースの照明器具による光合成有効放射(PAR)出力を照射すること、C)少なくとも1つのLEDベースの照明器具に通信可能に連結された少なくとも1つのセンサを介して、農業環境における少なくとも1つの状態を検知することであって、少なくとも1つのセンサが、空気気温センサ、近赤外線(NIR)センサ、相対湿度センサ、カメラ、二酸化炭素(CO2)センサ、および赤外線(IR)センサ、のうちの少なくとも1つを含む、検知することと、D)C)における少なくとも1つの検知された条件に少なくとも部分的に基づいて、1)少なくとも1つのLED照明器具によるPAR出力と、2)少なくとも1つのLED照明器具およびハイドロニクスループのうちの少なくとも1つにおける流体冷却剤の流れと、のうちの少なくとも1つを制御することであって、少なくとも1つのLEDベースの照明器具が、冷却剤回路の少なくとも一部分を形成する少なくとも第1の銅管および第2の銅管を含む、制御することと、を含み、A)は、第1の銅管および第2の銅管において反対方向に、それぞれ流体冷却剤を流すことを含む。
【0014】
前述の概念、および以下でより詳細に考察されする追加の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しない場合)は、本明細書で開示する本発明の主題の一部として企図されることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求された主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であることが企図される。本明細書で明示的に使用される用語はまた、参照により組み込まれる任意の開示に現れる場合もあり、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
特許または出願ファイルには、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれている。カラー図面(複数可)を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、要求および必要な料金の支払いに応じて、オフィスによって提供されるであろう。
【0016】
当業者は、図面が主に例示を目的とするものであり、本明細書に記載される本発明の主題の範囲を限定することを意図していないことを理解するであろう。図面は必ずしも縮尺どおりでなく、場合によっては、本明細書で開示される本発明の主題の様々な態様は、異なる特徴の理解を容易にするために、図面で誇張または拡大して示される場合がある。図面において、同様の参照文字は一般に、同様の特徴(例えば、機能的に類似および/または構造的に類似の要素)を指す。
【0017】
【
図1】1つ以上のHPSランプが使用されている、従来の制御された農業環境の図である。
【
図2】1つ以上の従来のLEDベースの照明器具が使用されている、従来の制御された農業環境の図である。
【
図3】本開示のいくつかの実装形態によると、1つ以上の流体冷却LEDベースの照明器具が既存の環境に後付けされている、制御された農業環境の図である。
【
図4】本開示のいくつかの実装形態による、1つ以上の流体冷却LEDベースの照明器具がハイドロニクスシステムに連結されている、制御された農業環境の図である。
【
図5】本開示のいくつかの実装形態による、照明器具のブロック図である。
【
図6A】本開示のいくつかの実装形態による、照明器具の例示的なLEDモジュールの前半部分を詳細に示す回路図である。
【
図6B】
図6Bの例示的なLEDモジュールの後半部分を詳細に示す回路図である。
【
図7A】本開示のいくつかの実装形態による、照明器具の下部の正面斜視図を示している。
【
図7B】
図7Aの照明器具の正面図、下面図、左側面図、および右側面図を示している。
【
図7C】
図7Bの照明器具のA-A面に沿った断面図を示している。
【
図8A】本開示のいくつかの実装形態による、第2の照明器具および支持構造体に連結された第1の照明器具の上面斜視図を示している。
【
図8B】本開示のいくつかの実装形態による、連続的な電気および冷却剤回路を形成するために一緒に連結された流体冷却LEDベースの照明器具の複数の列を示す、制御された農業環境の斜視図を示している。
【
図9A】本開示のいくつかの実装形態による、流体貯蔵タンク、ならびに照明ループ、加熱ループ、および冷却ループなどの複数の配管サブシステムを含む、例示的なハイドロニクスシステムを示している。
【
図9B】本開示のいくつかの実装形態による、照明器具および栽培地域に連結された例示的なハイドロニクスシステムの一部分を示している。
【
図9C】本開示のいくつかの実装形態による、1つ以上の流体冷却LEDベースの照明器具が垂直に積み重ねられた複数レベルの栽培地域に配置され、かつハイドロニクスシステムに連結されている、制御された農業環境を示している。
【
図10】本開示のいくつかの実装形態による、環境条件の監視を容易にするための複数の流体冷却LEDベースの照明器具および複数のセンサを備えている、制御された農業環境の側面図を示す。
【
図11A】本開示のいくつかの実装形態による、制御ボード、ネットワークボード、およびシングルボードコンピュータを含むプロセッサの様々な電子構成要素を詳細に示すブロック図である。
【
図11C】
図11Aのネットワークボードの追加的な詳細を提供するブロック図である。
【
図12A】本開示のいくつかの実装形態による、ネットワークボードの様々な電子構成要素を詳細に示す回路図である。
【
図13】本開示のいくつかの実装形態による、シングルボードコンピュータの回路図である。
【
図14A】本開示のいくつかの実装形態による、制御ボードの様々な電気構成要素を詳細に示す回路図である。
【
図14B】
図14Aの制御ボードのバイアスおよび制御電源を詳細に示す回路図である。
【
図14C】
図14Aの制御ボードのDC-DCコンバータを詳細に示す回路図である。
【
図15A】本開示のいくつかの実装形態による、契約執行方法のフロー図である。
【
図15B】本開示のいくつかの実装形態による、リース照明システムのライセンスを更新する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に続くものは、制御された環境農業のための流体冷却LEDベースの照明方法および装置に関連する様々な概念およびその実装形態のより詳細な説明である。上記で導入し、かつ以下でより詳細に考察される様々な概念は、多くの方法で実装され得ることを理解されたい。特定の実装形態および用途の実施例は、当業者が実装形態および当業者に明らかな代替形態を実施することができるように、主に例示的な目的で提供される。
【0019】
以下に説明する図および例示的な実装形態は、本実装形態の範囲を単一の実施形態に限定することを意図したものではない。説明または図示された要素の一部またはすべてを交換することにより、他の実装形態が可能である。さらに、開示された例示的な実装形態の特定の要素が既知の構成要素を使用して部分的または完全に実装され得る場合、場合によっては、本実装形態の理解に必要なそのような既知の構成要素の部分のみが説明され、そのような既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本実装形態を不明瞭にしないために省略される。
【0020】
制御された環境農業(CEA)は、制御された環境で植物を成長させるプロセスであり、ここで、照明、温度、湿度、栄養レベル、および二酸化炭素(CO2)濃度などの様々な環境パラメータを監視および調整して、植物の品質および収量を向上させる。CEAは、従来の植物栽培のアプローチと比較して、植物の年間生産、変動する気象条件への非感受性、害虫および病気の削減、ならびに植物ごとに消費されるリソースの量の削減を可能にし得る。さらに、CEAは、土壌ベースのシステムおよび水耕栽培システムを含むが、これらに限定されない様々なタイプの成長システムを支持し得る。
【0021】
制御された農業環境は通常、環境条件のある程度の制御を提供するために、少なくとも部分的に、温室、栽培室、畑の覆われた部分などの建物構造体に囲まれている。そのような制御された農業環境では、1つ以上の人工照明システムが、建物構造体によって遮られたり、または一年の特定の期間(冬季など)に不足したりする可能性のある、自然の太陽光を補足および/または交換するためにしばしば使用される。人工照明システムの使用はまた、植物の光合成速度を改善するために照明システムの強度およびスペクトル特性を調整することができる、制御のさらに別の尺度を提供する場合がある。高輝度放電ランプ、発光ダイオード(LED)、および蛍光ランプを含むがこれらに限定されない、様々なタイプの人工照明システムが使用されてもよい。
【0022】
しかしながら、人工照明システムは熱を生成し、この熱は、環境に放散されたときに、制御された農業環境の冷却負荷に大きく寄与する可能性がある。より高い冷却負荷に対応し、かつ制御された農業環境を所望の温度範囲内に維持するために、冷却システムの冷却能力を増加させて、より多くのエネルギー消費量を必要とする場合がある。変動するエネルギー収支で制御された農業環境の場合、エネルギー消費量が増えると、エネルギーコストが高くなる可能性がある。代替的に、一定のエネルギー収支の制御された環境では、エネルギー収支の大部分が冷却システムによって消費される可能性があり、したがって、より大きな作物サイズおよび収量を支持するために利用可能なエネルギーおよび容量が減少する。
【0023】
人工照明システムによって生成される過剰な熱がエネルギー消費に与え得る影響を説明するために、
図1は、複数の植物900を照射する特定のタイプの高輝度放電ランプである1つ以上の高圧ナトリウム(HPS)ランプ10を備えた従来の制御された農業環境を示している。
図1に示される例示的な制御された農業環境は、環境の相対湿度を管理するための除湿機65と、ファンコイル、コンプレッサ、およびコンデンサを含み得る空調機85と、をさらに含む。空調機85によるエネルギー消費は、一般的に(1)環境の総冷却負荷、および(2)空調機85のエネルギー効率比(EER)に依存する。空調機のEERは、所与の動作点での冷却能力(ワット)と入力電力(ワット)の比として定義されている。EERは、外気温35℃(95°F)、内部(還気)温度26.7℃(80°F)、および相対湿度50%で計算された。EERが高いほど、空調機85の効率が高いことを示している。
【0024】
図1に示されるように、HPSランプ10は、(1)熱を対流および/または放射により直接環境に放散すること、ならびに(2)環境の相対湿度、したがって、除湿機65によって生成される電力入力および合成的な熱を増加させることによって、環境の冷却負荷を増大させ得る。この例示的な制御された農業環境における冷却負荷は、約1315Wである。したがって、EERが3~7の範囲である場合、空調機の入力電力はそれぞれ、450~190Wの範囲になる。したがって、1009WのHPSランプ10および265Wの除湿機65への入力電力に基づいて、空調機85は、それぞれ7および3のEERに対応する総エネルギー収支の約13%および26%を消費する。
【0025】
生成される熱の量は、使用される照明システムのタイプによって異なる場合がある。しかしながら、制御された農業環境のための人工照明システムは、一般に、十分なレベルの光合成有効放射(PAR)を維持するために、大きな電力入力(例えば、1000Wを超える)を有している。したがって、様々なタイプの照明システムによって生成される熱は、環境内で生成される熱の大部分を依然として構成する可能性がある。別の実施例において、
図2は、1つ以上の従来のLEDベースの照明器具12Aおよび12Bが複数の植物900を照射する、従来の制御された農業環境を示している。この例示的な制御された農業環境では、LEDベースの照明器具12Aおよび12Bは、主に対流を介して熱を放散し、それにより、除湿機65によって生成される電力入力および熱を低減することができる。この実施例では、総冷却負荷は約1210Wである。EER比が3~7の範囲である場合、空調機85の入力電力は、405W~175Wの範囲である。第1の実施例と比較して、LEDベースの照明器具12Aおよび12Bを使用することにより、制御された農業環境の総エネルギー収支が減少する。しかしながら、空調機85によって使用されるエネルギーの比率は、第1の実施例と同様に、それぞれ7および3のEER比に対して約13%および25%のままである。2つの例示的な制御された農業環境に示されるように、人工照明システムはかなりの量の熱を生成し得、それは、空調システムが制御された農業環境の総エネルギー予算のかなりの部分を消費することをもたらし得る。
【0026】
したがって、本開示は、流体冷却LEDベースの照明器具を対象とする。いくつかの実装形態では、照明器具内の1つ以上のLEDによって生成される熱のかなりの部分が流体冷却システムによって捕捉されるように、流体冷却システムを照明器具に統合することができる。このようにして、照明器具によって環境に伝わる熱量を大幅に減らすことができるため、制御された農業環境にあり得るいくつかの空調システムの冷却負荷およびエネルギー入力を減少することができる。いくつかの実装形態では、流体冷却システムをハイドロニクスシステムに連結して、照明器具からの廃熱を分配し、それにより、栽培地域または別個の内部空間(例えば、住宅)の温度を制御することができる。いくつかの実装形態では、2つ以上の照明器具を、直列に接続するか、または「デイジーチェーン接続」することができ、この場合、電気的接続部および配管接続部を共有して、連続的な電気回路および冷却回路が支持される。照明器具はまた、様々な環境条件を監視するために、1つ以上のセンサに電力を供給するための電気的接続部を提供し得る。このようにして、流体冷却LEDベースの照明器具はまた、統合されたセンサプラットフォームとして機能し得る。
【0027】
本明細書に開示される流体冷却LEDベースの照明器具の利点を示すために、
図3は、照明器具1000が除湿機65および空調機85を含む既存の環境に後付けされた、制御された農業環境2000Aの例示的な実装形態を示す。
図3に明示的に示されていないが、環境は、少なくとも部分的に、複数の植物900、1つ以上の照明器具1000、および他の機器を収容する建物構造体によって構成され得る。照明器具1000は、冷却剤回路570を通って循環する流体冷却剤800によって冷却される。流体冷却剤800によって運ばれる熱は、制御された農業環境2000Aの外側に位置する冷却塔557によって除去される。冷却剤回路570は、冷却剤回路570内の流体冷却剤800の流れを制御するために、1つ以上のポンプ、レギュレータ、および/またはバルブ555を含むことができる。
【0028】
図3に示すように、1つ以上のポンプ、レギュレータ、および/またはバルブ555は、照明器具1000内に入ると比較的冷たい温度T
Cを示し、かつ照明器具1000から出ると比較的温かい温度T
Hを示す、流体冷却剤800の流れを生成することができる。流体冷却剤800の温度の上昇は、部分的には、照明器具1000内の1つ以上のLEDモジュールから発生する熱による照明器具1000を通過する際の流体の対流加熱によるものである。したがって、流体冷却剤800は、照明器具1000によって生成された熱を捕捉および輸送するために使用され得、そのことは、環境の冷却負荷ならびに空調機85および/または除湿機65への電力入力を実質的に低減し得る。
図3に示されるように、例示的な制御された農業環境2000Aの冷却負荷は、約635Wであり、これは
図1および
図2に示された例示的な制御された農業環境における冷却負荷の約50%である。したがって、3~7の範囲のEERの場合、空調機の入力電力は、それぞれ210W~90Wの範囲である。したがって、1009Wの照明器具1000および160Wの除湿機65への入力電力に基づいて、空調機85は、それぞれ7および3のEERに対応する総エネルギー収支の約7%および15%を消費する。
【0029】
照明器具1000を出る加熱された流体冷却剤の蒸発冷却を容易にするために冷却塔557が
図3に示されているが、様々なタイプの排熱デバイスが、流体冷却剤800から熱を除去するために、冷却剤回路570で採用されてもよいことを理解されたい。排熱デバイスのいくつかの実施例には、様々なタイプの蒸発冷却器、「フリー」冷却器、チラー、乾式冷却器、空気源冷却器、地上源熱交換器、水源熱交換器、または前述の任意の組み合わせが含まれるが、これに限定されない。
【0030】
別の実施例では、
図4は、照明器具1000が、照明器具1000で発生した廃熱を熱源として利用することによって、制御された農業環境2000Bの様々な部分および/または制御された農業環境2000Bの近くの空間(例えば、温水プール、栽培地域)の温度を調節および/または維持する、複数の配管サブシステム700Aおよび700Bを有するハイドロニクスシステム501に、流体冷却剤800を方向付ける冷却剤回路570に連結されている、例示的な制御された農業環境2000Bを示す。冷却剤回路570は、照明器具1000および他の環境源(例えば、除湿機65、周囲空気)から熱を受け取ることができ、その結果、環境で発生した過剰な熱が実質的に除去され、したがって、制御された農業環境2000Bを動作させるためのエネルギー節約がさらに改善される。いくつかの実装形態では、いくつかの空調システムの必要性を排除するために(すなわち、空調機のファンコイル、コンプレッサ、またはコンデンサがない)、冷却負荷を十分に減らすことができる。
【0031】
図4に示すように、制御された農業環境2000Bは、環境の相対湿度を調節するための除湿機65を含むことができる。冷却剤回路570は、照明器具1000によって加熱された流体冷却剤800を除湿機65内に方向付けて、照明器具1000からの熱の除去と同様の対流様式で、除湿機65によって生成された熱をさらに除去することができる。次いで、冷却剤回路570は、流体冷却剤800をハイドロニクスシステム700Aおよび700Bに方向付けることができ、これらはそれぞれ複数の植物900および温水プールを加熱するために使用され得る。冷却剤回路570は、冷却塔557によって残りの熱を放散する前に、1つ以上のバルブ502によって制御された様式で加熱された流体冷却剤800を分配および方向付けることができる。
【0032】
いくつかの実装形態では、ハイドロニクスシステム501を使用して、周囲環境自体の温度を調節することもできる。例えば、流体冷却剤800がハイドロニクスシステム501を通って流れるときに、ハイドロニクスシステム501を使用して、制御された農業環境2000Bを対流的および/または放射的に加熱することができる。さらに、
図4は除湿機65を通過する冷却剤回路570を示しているが、他の実装形態では、冷却剤回路570は除湿機65を含む必要はなく、例えば、冷却剤は加湿器65を通って流れる必要はないことを理解されたい。
【0033】
流体冷却LEDベースの照明器具1000の例示的な実装形態を
図5に示す。照明器具1000は、照明器具1000の様々な構成要素を機械的に支持し、かつ収容するためのフレーム1004を含むことができる。光スパイン1002は、制御された農業環境内に配置された支持構造体に、照明器具1000を機械的に連結して固定するための特徴部を備えたフレーム1004のうちの1つ以上の側面上に組み込まれ得る。1つ以上の冷却剤管1006は、フレーム1004に連結され得、ここで、各冷却剤管1006を使用して、流体冷却剤800を流して、照明器具1000を冷却することができる。1つ以上のLEDモジュール400は、複数の植物に向かってPARを放出するために、フレーム1004に配置されてもよい。プロセッサ90をフレーム1004に連結して、電力変換、ネットワーク接続性、およびデータ処理を含むが、これらに限定されない、照明器具1000の動作を容易にすることができる。1つ以上の電力ポート1010をフレーム1004上に配置して、LEDモジュール400、プロセッサ90、および照明器具1000に連結され得る他のセンサを含むが、これらに限定されない、照明器具1000の様々な構成要素に電力を供給することができる。電気通信およびデータ送信を容易にするために、1つ以上の通信ポート1009がフレーム1004上に配置され得る。
【0034】
フレーム1004は、実質的に密閉されたハウジングを形成する機械的に剛性の中空構造体であってもよい。フレーム1004の内部キャビティは、プロセッサ90内の様々な電子機器など、照明器具1000内の複数の構成要素を収容するように寸法決めされてもよい。フレーム1004は、複数の構成要素をフレーム1004にしっかりと連結するために、内部キャビティ内に1つ以上の装着機能を含むことができる。例えば、フレーム1004は、フレーム1004の内部キャビティ内に配置され、かつプリント回路基板の少なくとも2つの対向する縁部を機械的に支持するように配設された、1つ以上のスロットを含み得る。他の装着機能には、装着ポストおよび装着スタブが含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0035】
内部空間へのアクセスを提供するために、1つ以上の取り外し可能なパネルが、フレーム1004に含まれてもよい。1つ以上の取り外し可能なパネルは、ねじ締結具、ボルト締結具、クリップ、およびクランプを含むが、これらに限定されない、様々なタイプの連結機構を使用して、フレーム1004の一部分に連結され得る。いくつかの実装形態では、フレーム1004は、制御された農業環境の環境条件に敏感な可能性がある、構成要素(例えば、電子機器)を保護するために、十分に気密なエンクロージャまたはキャビティを形成してもよい。例えば、制御された農業環境は、照明器具1000の様々な表面上に水分を凝縮させ、露出した電子機器を含む構成要素に損傷を引き起こす可能性のある、相対湿度で動作する場合がある。フレーム1004が気密なエンクロージャである実例では、フレーム1004の内部空間への水分の浸入を実質的に制限して、フレーム1004内に配置された構成要素に凝縮が形成される可能性を低減することができる。
【0036】
フレーム1004はまた、フレーム1004の少なくとも1つの側面、例えば、下面に沿って配置された凹部分を含み得、側壁は、1つ以上のLEDモジュール400を少なくとも部分的に取り囲む。凹部分は、1つ以上のLEDモジュール400によって放出された光を、好ましい方向および角度分布に沿って方向付けるために使用されてもよい。例えば、凹部分を使用して、フレーム1004の下方に位置する1つ以上の植物を含む栽培地域を、実質的に照明することができる。いくつかの実装形態では、凹部分を形成する側壁の内部表面の表面品質および配向は、1つ以上のLEDモジュール400によって放出された光を反射するための統合反射器を形成してもよい。例えば、側壁の内部表面は、実質的に鏡面反射する様式で光を反射するように研磨され、かつ光が好ましい方向、例えば栽培地域に向かって反射されるように配向されてもよい。
【0037】
フレーム1004はまた、フレーム1004の1つ以上の側面に沿って形成された1つ以上のチャネルを含み得、ここで、各チャネルは、対応する冷却剤管1006をフレーム1004に固定するために使用され得る。チャネルの断面形状は、チャネル内への冷却剤管1006の挿入を容易にするために、冷却剤管1006の断面形状と実質的に同様であってもよい。冷却剤管1006は、いくつかのアプローチを使用して、フレーム1004のチャネルに固定されてもよい。例えば、チャネルの断面寸法は、冷却剤管1006が摩擦によりチャネルに固定される場合の圧入を容易にするために、冷却剤管1006の断面寸法以下であり得る。他の実施例では、冷却剤管1006は、ジップタイおよびウォーム駆動締結具付きクランプを含むが、これらに限定されない、1つ以上のクランプを使用して、フレーム1004にクランプされてもよい。冷却剤管1006の交換を可能にするために、クランプは取り外し可能であってもよい。1つ以上のチャネルの表面をまた研磨して、冷却剤管1006との熱的接触を改善し、したがって、流体冷却剤800内へのより大きな熱放散を可能にすることができる。さらに他の実施例では、冷却剤管1006は、接着剤結合、溶接、およびろう付けを含むが、これらに限定されない、様々な方法を使用して、フレーム1004に接着または結合されてもよい。熱界面材料がまた、熱的接触を改善するために、チャネルと冷却剤管との間に配置されてもよい。
【0038】
フレーム1004はまた、少なくとも部分的に熱伝導性であり、それにより、1つ以上のLEDモジュール400から冷却剤管1006に熱を伝達し得る。特に、LEDモジュール400と冷却剤管1006との間に配置されたフレーム1004の第1の部分は、(1)LEDモジュール400と冷却剤管1006との間の距離を短くし、かつ(2)LEDモジュール400と冷却剤管1006との間の横断面積を増加させるような寸法を有する、熱伝導性材料から形成され得る。このようにして、LEDモジュール400と冷却剤管1006との間の熱抵抗を低減することができる。いくつかの実装形態では、製造および組み立てを簡素化するために、フレーム1004を完全に熱伝導性材料から形成することができる。いくつかの実装形態では、フレーム1004の第1の部分は、熱伝導性材料から形成され、一方でフレーム1004の残りの部分は、材料コストを削減するために、ポリマーなどの別の材料から形成され得る。
【0039】
フレーム1004は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、炭素鋼、ポリエチレン、アクリル、および磁器を含むが、これらに限定されない、様々な金属、セラミック、ポリマー、または複合材料から形成されてもよい。フレーム1004を形成するために使用される材料に応じて、押出、サンドキャスティング、ミリング、射出成形、および手動成形を含むが、これらに限定されない、様々な製造方法を利用することができる。例えば、フレーム1004が複数の部品から組み立てられる場合、スナップ嵌め、ねじ締結具、ボルト締結具、接着剤、ろう付け、および溶接を含むが、これらに限定されない、様々な連結機構を、組み立てのための使用することができる。
【0040】
光スパイン1002を使用して、照明器具1000を制御された農業環境における支持構造体に固定することができる。支持構造体は、手すり、吊り下げプラットフォーム、天井、および壁を含むが、これらに限定されない、様々なタイプの構造体であってもよい。光スパイン1002は、照明器具1000を支持構造体に固定するために使用される異なるサイズおよびタイプの連結機構を収容するために、異なるサイズの1つ以上の穴を含むフレーム1004上に形成される突出フィンであり得る。連結機構には、ボルト締結具、ねじ締結具、フック、およびシャックルが含まれ得るが、これらに限定されない。光スパイン1002は、フレーム1004の長さに及ぶような寸法にされ、したがって、フレーム1004に沿って複数の位置を提供して、安定した様式で、照明器具1000を支持構造体に連結することができる。例えば、光スパイン1002は、フレーム1004の長さに及ぶ長さで、フレーム1004の上部側に配置されてもよい。光スパイン1002は、各穴の中心軸がフレーム1004の上部側に対して平行である、複数の穴を含むことができる。照明器具1000を支持構造体の側壁に固定するために、複数のボルト締結具が、光スパイン1002の各端部および中心に設置されてもよい。照明器具1000を異なる支持構造体に連結することを可能にするために、複数の光スパイン1002がまた、フレーム1004の長さに沿って、またはフレーム1004の複数の側面上に分配されてもよい。
【0041】
上述のように、冷却剤管1006を使用して、流体冷却剤800を流し、LEDモジュール400によって生成された熱を捕捉することができる。冷却剤管1006は、冷却剤管1006の一部分がフレーム1004の側面を越えて延在して、冷却剤回路、ハイドロニクスシステム、または別の照明器具1000からの管への冷却剤管1006の連結を容易にするように、フレーム1004よりも大きい長さを有するように寸法決めされてもよい。様々なタイプの連結機構を使用して、冷却剤管1006の端部が対応するねじ山を有する、ねじ込み取付具と、冷却剤管1006の端部が別の管上の対応するフランジに嵌合するフランジを有する、ボルト締結具と、を含むが、これらに限定されない、別の管に冷却剤管1006を連結することができる。好ましい実装形態では、押し込み接続の配管取付具は、冷却剤管1006の端部がむき出しのままにされる連結機構として使用され得る。この様式では、内部シールおよびOリングを使用する必要はない。
【0042】
複数の冷却剤管1006をフレーム1004に組み込むことができ、ここで、各冷却剤管1006を使用して、同じまたは反対の方向に沿って流体冷却剤800を流すことができる。例えば、照明器具1000は、フレーム1004の両側に配置された2つの冷却剤管1006を含むことができる。複数のLEDモジュール400を支持する照明器具1000の場合、反対の流れ構成(例えば、流体冷却剤800が、2つの冷却剤管1006の間で反対方向に流れる)は、複数のLEDモジュール400から熱をより均一に除去することができる。比較すると、同じ流れ構成では、流体冷却剤800の入力に最も近いLEDモジュール400からより多くの熱が除去されること、および流体冷却剤800の入力から最も遠いLEDモジュール400からより少ない熱が除去されることが、もたらされる。加えて、反対の流れ構成は、密閉された冷却剤回路の実装をより容易に促進し得る。例えば、照明器具1000に入る流体冷却剤800が、同じ側面で照明器具1000を出る前に、第1の冷却剤管1006、および、次いで第2の冷却剤管1006を連続的に流れるように、2つの冷却剤管1006の一端を配管取付具によって接続することができる。
【0043】
冷却剤管1006は、銅、アルミニウム、およびステンレス鋼を含む様々な材料から形成されてもよい。好ましい実装形態では、冷却剤管1006は、藻類の成長、汚損、および腐食を低減するように銅から形成されてもよい。したがって、上述の押し込み接続配管取付具を使用して銅冷却剤管1006を連結することにより、流体冷却剤800は、照明器具の他の材料(例えば、アルミニウムフレーム1004)に接触することなく、銅のみで構成される冷却剤回路を通り得る。
【0044】
冷却剤管1006の断面寸法は、所望の流量、流体冷却剤特性(例えば、動的粘度、密度)、および所望のタイプの流れを含むが、これらに限定されない、複数の要因に応じて変化し得る。例えば、流体冷却剤が乱流状況にあることが望ましい場合があり、これにより、より高い熱伝達係数が生じ、したがって照明器具1000からより多くの熱が放散される。いくつかの実装形態では、冷却剤管1006の断面寸法は、特定のレイノルズ数Reが所定のポンプ出力および冷却剤回路ジオメトリの所望の閾値(例えば、乱流の場合Re>4000)よりも大きくなるように選択され得る。冷却剤管1006の内部表面がまた、粗面化されて、表面積および対流熱伝達係数を増加させることができる。ポンピング要件を実質的に増加させない(例えば、より大きな圧力降下による)ように、および流体冷却剤800に対する内部表面の湿潤性を維持する(例えば、親水性、親油性のままである)ように、内部表面粗さの有効な深さおよびピッチを選択することができる。
【0045】
照明器具1000から熱を捕捉して運ぶために使用される流体冷却剤800は、いくつかの要因に基づいて選択されてもよい。第1に、LEDモジュール400から流体冷却剤800への熱放散を増加させるために、流体冷却剤800が、高い熱伝導率および高い比熱を示すことが好ましい。第2に、流体冷却剤800は、制御された農業環境の動作温度および圧力範囲内で液相のままでなければならない。例えば、流体冷却剤800は、照明器具1000、冷却剤回路、ハイドロニクスシステム、または冷却塔を通過するときに凍結または沸騰してはならない。第3に、冷却剤管1006を実質的に腐食しないように、流体冷却剤800がまた選択されるべきである。制御された農業環境の場合、流体冷却剤800は、水、鉱油、グリコール、および混合物を含むが、これらに限定されない、様々な流体であり得る。
【0046】
照明器具1000はまた、例えば、ポート(複数可)に連結された1つ以上の補助デバイスに補助DC電力を提供し、かつ/または照明器具と1つ以上の補助デバイスとの間の通信を容易にするために、1つ以上の通信および/または補助電力ポートを含み得る。そのようなポートの実施例には、1つ以上のパワーオーバーイーサネット(PoE)ポートおよび/または1つ以上のユニバーサルシリアルバス(USB)ポートが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
例えば、照明器具1000は、照明器具1000内の様々な構成要素(例えば、LEDモジュール400)、および/または照明器具1000に電気的に連結された様々な構成要素(例えば、他の照明器具1000または補助センサ)に電力を供給するための少なくとも1つの電力ポート1010を含むことができる。電力ポート1010は、入力として、プロセッサ90を介して直流(DC)電力に変換され得る建物の電力供給システムなどから、交流(AC)電力を受け取ることができる。プロセッサ90は、以下でより詳細に考察されるように、DC電力とAC電力との間の変換を容易にするための電子機器を含み得る。
【0048】
1つ以上の通信ポート1009をまた照明器具1000に使用して、照明器具1000への、および照明器具1000からのデータ伝送を容易にすることができる。例えば、通信ポート1009を使用して、電力の調整(例えば、高電圧および低電圧モード)、発光のスペクトル内容の調整(例えば、青または赤のLED素子により多くの電力を方向付ける)、および補助センサデバイスを操作するコマンド(例えば、データ記録の頻度)を含むが、これらに限定されない、照明器具1000の様々な態様を遠隔的に制御することができる。別の実施例では、通信ポート1009を使用して、電力消費、温度、および補助センサデバイスによって測定されたデータを含むが、これらに限定されない、様々なステータスおよび監視データを、リモートユーザに送信することができる。以下により詳細に考察されるように、通信ポート1009によって受信および送信されたデータは、部分的にプロセッサ90によって管理され得る。
【0049】
通信ポート1009は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルおよびパワーオーバーイーサネット(PoE)ケーブルを含むが、これらに限定されない、様々なタイプの電気ケーブリングを収容することができる。いくつかの実装形態では、USBポートおよびPoEポートの両方を含む複数の通信ポート1009を使用して、より多くのタイプのケーブリングおよび補助デバイスとの柔軟性および互換性を高めることができる。1つ以上の通信ポート1009は、フレーム1004の1つ以上の側面上に配置されてもよい。例えば、一セットの通信ポート1009は、フレーム1004の反対側(例えば、左側および右側または前側および後側)に配置されて、デイジーチェーン構成における複数の照明器具1000間の接続部を促進することができる。通信ポート1009はまた、補助センサが展開される可能性が高いフレーム1004上に配置されてもよい。例えば、通信ポート1009をフレーム1004の下面側に配置して、照明器具1000の下方に位置する植物の近くの周囲条件を監視するために使用される補助センサへの電気接続部を提供することができる。いくつかの実装形態では、通信ポート1009がまた、DC電力を供給し得る。例えば、照明器具1000は、補助センサデバイスに電気的に電力を供給し、かつ同じ通信ポート1009を介して補助センサデバイスによって測定されたデータを受信することができる、USBポートを含むことができる。
【0050】
LEDモジュール400は、アレイ内に配設された1つ以上のLED素子を含むことができる。LEDモジュール400の1つ以上のLED素子は各々、特定の波長の光を放出し得、したがって、組み合わせにおいて、LEDモジュール400は、植物の光合成速度の向上、成長の改変、および紫外線(UV)殺菌を含むが、これらに限定されない、植物の成長および制御された農業環境の動作に関連する様々な側面を改善するように調整された複数の波長で光を植物に照射する。1つ以上のLED素子は、プリント回路基板の前面に組み立てられてもよい。本発明の一実装形態によるLEDモジュール400の例示的な回路レイアウトが
図6Aおよび
図6Bに示されており、それらは、LEDモジュール400Aのそれぞれの半分部分400A1および400A2を示している。示されるように、LEDモジュール400Aは、プリント回路基板にわたって分散される複数のLED素子を含み得る。
【0051】
プリント回路基板は、1つ以上のLED素子によって生成される熱放散を促進するように、金属コアのプリント回路基板(MCPCB)であってもよい。LEDモジュール400は、上述のように、プリント回路基板の裏面が凹部分に位置するフレーム1004の下面と接触するように、フレーム1004に連結されてもよい。LEDモジュール400は、ねじ締結具、ボルト締結具、クリップ、およびクランプを含むが、これらに限定されない、様々な連結機構を使用して、フレーム1004に連結され得る。連結機構は、クランプ力がLEDモジュール400に適用されるように調整され、したがって、LEDモジュール400とフレーム1004との間の熱的接触を改善することができる。さらに、熱的インターフェース材料がまた、熱的接触を改善するために、LEDモジュール400とフレーム1004との間に配置されてもよい。
【0052】
いくつかの実装形態では、照明器具1000はまた、LEDモジュール400を覆うフレーム1004の凹部分上に位置する光学部品を含むことができる。光学部品は、LEDモジュール400によって放出される光の方向および角度分布を修正するために使用されてもよい。例えば、光学部品の一部分は、LEDモジュール400から放出された光を照明器具1000の真下に位置する植物に集中させるための凸状表面を有していてもよい。光学部品は、ねじ締結具、ボルト締結具、クリップ、およびクランプを含むが、これらに限定されない、様々な連結機構を使用して、フレーム1004に連結され得る。いくつかの実装形態では、光学部品は、LEDモジュール400の周りに実質的に気密のエンクロージャを形成し、したがって、制御された農業環境における周囲環境からLEDモジュール400を実質的に隔離することができる。フレーム1004によって形成され得る気密エンクロージャと同様に、光学部品は、水分の浸透を低減し、したがって、LEDモジュール400を損傷する凝縮のリスクを低減し得る。
【0053】
本発明の一実装形態による例示的な照明器具1000が、
図7A~
図7Cに示されている。
図7Aは、照明器具1000の下面斜視図を示しており、
図7Bは、照明器具1000の正面図、下面図、左側面図、および右側面図を示している。示されるように、照明器具1000は、一列に位置付けられ、かつフレーム1004の下面側に配置された3つのLEDモジュール400A、400B、および400Cを支持するように寸法されたフレーム1004を含む。フレーム1004の上部に、フレーム1004の全長に実質的に及ぶ光スパイン1002を形成することができる。光スパイン1002は、制御された農業環境における支持構造体への照明器具1000の連結を容易にするための複数の異なるサイズの穴を含むことができる。フレーム1004の左側および右側パネルは、複数のねじ締結具によって固定されてもよく、したがって、フレーム1004の内部キャビティ内へのアクセスを可能にするために取り外されてもよい。フレーム1004の左側パネルは、2つの通信ポート1009、例えば、USBポート1012AおよびPoEポート1008Cを含み得る。フレーム1004の右側パネルはまた、2つの通信ポート1009、例えば、2つのPoEポート1008Aおよび1008B、ならびに電力ポート1010を含み得る。2つの通信ポート、例えば、USBポート1012BおよびPoEポート1008Dを、フレーム1004の下面側に配置して、植物の近くの周囲条件を監視するために使用され得る補助センサデバイスへの接続を容易にすることができる。照明器具1000はまた、フレーム1004の前面および背面側に沿って配置された2つの冷却剤管1006Aおよび1006Bを含む。フレーム1004は、対応する一対のチャネルを含むようにアルミニウム押出成形で形成されてもよい。銅から形成され得る冷却剤管1006Aおよび1006Bは、対応するチャネル内に圧入またはクラッシュ適合され得る。このようにして、冷却剤管1006Aおよび1006Bを通過する流体冷却剤がフレーム1004に接触する可能性が、実質的に低減される。
【0054】
図7Cは、照明器具1000の断面図を示しており、ここにおいて、冷却剤管1006Aおよび1006Bが、フレーム1004のチャネル内に圧入されるように示されている。熱界面材料1007がまた、熱的接触を改善するために、チャネルと冷却剤管1006Aおよび1006Bとの間に配置されてもよい。LEDモジュール400A~400Cは、実質的にフレーム1004の下面側の凹部分内に、かつ熱放散を促進するために冷却剤管1006Aおよび1006Bに近接して配置されている。示されるように、熱伝導性材料から形成されるフレーム1004の小さな部分は、冷却剤管1006Aおよび1006BとLEDモジュール400A~400Cとの間に存在する。
図7Cはまた、以下では集合的にプロセッサ90と称される様々な制御回路基板100、200、および300を支持するために使用される、装着特徴部1014を示す。装着特徴部1014は、フレーム1004の前面および背面側に沿って配置された一対の突出スロットであり、プロセッサ90の対向する縁部を支持するように寸法決めされている。プロセッサ90は、LEDモジュール400A~400Cによって生成される熱による熱的効果を低減するために、冷却剤管1006Aおよび1006BならびにLEDモジュール400A~400Cの上方に位置付けられる。複数のねじ締結具を介してフレーム1004に連結され得る光学部品1020がまた含まれている。光学部品1020は、LEDモジュール400A~400Cによって放出された光を所望の方向および角度分布に沿って方向転換するために使用される凸面を備えた、透明レンズであってもよい。光学部品1020はまた、LEDモジュール400A~400Cを実質的に取り囲み、かつ周囲の周囲環境から隔離することができる。
【0055】
上述のように、照明器具1000は、連続的な電気回路および冷却剤回路の組み立てを容易にするために電気接続および配管接続が共有されるデイジーチェーン構成で、他の照明器具1000に連結され得る。冷却剤回路については、デイジーチェーン構成は直列であり得、ここにおいて、1つの照明器具1000から放出する流体冷却剤800が、デイジーチェーン内の後続の照明器具1000内に流れる。流体冷却剤800の温度は、後続の照明器具1000のLEDモジュール400から発生する熱によりさらに上昇する可能性がある。冷却剤流体800の温度が照明器具1000内のLEDモジュール400の温度よりも低い限り、流体冷却剤800は、依然として照明器具1000から熱を捕捉する可能性があることを理解されたい。さらに、いくつかの実装形態では、流体冷却剤800が複数の照明器具1000を通過する際に、流体冷却剤800の温度を下げ、かつ十分な熱放散を維持するために、冷却剤回路に沿って排熱デバイスを分散させることができる。2つの照明器具1000および1000-Bがデイジーチェーン構成で連結され得る様式を詳述する例示的な実装形態が、
図8Aに示されている。いくつかの実装形態では、照明器具1000は、
図8Aに示されるように、光スパイン1002の穴を通して配置され、かつ支持構造体999の側面に固定されたボルト締結具1027を使用して、支持構造体999に連結され得る。
【0056】
照明器具1000の冷却剤管1006Aおよび1006Bは、1つ以上の中間管を使用して、他の照明器具1000-Bからの冷却剤管1006A-Bおよび1006B-Bの対応するセットに連結されてもよい。
図8Aに示すように、一対の冷却剤管1006Bおよび1006B-B(1006Aおよび1006A-B)は、単一の中間管1040B(1040A)を介して接続され得る。各中間管1040B(1040A)は、冷却剤管1006Bおよび1006B-B(1006Aおよび1006A-B)への接続を容易にするために、両方の端部に配置された押し込み接続取付具1025A(1025B)を有し得る。中間管の形状は、照明器具1000と1000-Bとの間の所望の距離および配向に応じて変化する場合がある。例えば、照明器具1000および1000-Bをさらに離して、より広い面適用範囲を提供するため、または2つの別個の栽培地域を分離するギャップを横断するために、中間管の長さはより長くてもよい。別の実施例では、照明器具1000および1000-Bが、可変形状の栽培地域に対応するために互いに対してある角度、例えば90度に配向されるように、中間管を湾曲することができる。さらに別の実施例では、照明器具1000および1000-Bが各それぞれの列の最後の照明器具1000である照明器具1000の2つの平行な列を連結するために、中間管は実質的にU字形状であり得る。このようにして、冷却剤回路は、照明器具1000の複数の列に対して連続的であり得る。
【0057】
電力は、単一の電力ケーブルを介して複数の照明器具1000に供給されてもよい。照明器具1000に連結された例示的な電力ケーブル1030が、
図8Aに示されている。いくつかの実装形態では、電力ケーブル1030は、特定の電力および電流入力を支持するように定格され得る。例えば、電力ケーブル1030は、少なくとも1000Wの電力および最大15Aの電流を供給するように定格され得る。照明器具1000の電力および電流要件に応じて、電源ケーブル1030は、複数の照明器具1000に電力を供給するために使用され、したがって、制御された農業環境内に設置する必要があるケーブリングの量および電気端子(例えば、電気アウトレット)の数を減らすことができる。
【0058】
照明器具1000はまた、複数の照明器具1000へのデータおよび制御信号の送信を容易にするために、別の照明器具1000に通信可能に連結されてもよい。
図8Aに示すように、イーサネットケーブル1060を使用して、照明器具1000のPoEポート1008Aを、照明器具1000-BのPoEポート1008C-Bに連結することができる。照明器具1000および1000-Bの各々は、データおよび/または制御信号の流れを管理するためのプロセッサを含み得る。いくつかの実装形態では、照明器具1000をピギーバックとして使用して、デイジーチェーンに沿ってさらに位置する別の照明器具1000へのデータおよび/または制御信号の転送を促進することができる。このようにして、大きなエリアに及ぶ複数の照明器具1000は、より少ない数のネットワークノード(例えば、ハブ、スイッチ、ルータ)に、過剰な量のネットワークケーブリングを使用せずに通信可能に連結され得る。
【0059】
制御された農業環境2000における照明器具1000の例示的な配設を
図8Bに示す。複数の照明器具1000は、棚902Aの寸法によって画定される栽培地域に及ぶ列に沿って配設されてもよい。列における各照明器具1000は、棚902Aの上方に配置された支持構造体999Aに連結されてもよい。列における照明器具1000は、上述のように、デイジーチェーン構成で一緒に連結されてもよい。中間配管を使用して、隣接する照明器具1000を連結し得、そのため流体冷却剤800が、列の単一の入口および出口から連続的な様式で複数の照明器具1000を循環することができる。1つ以上の電力ケーブルを使用して、照明器具1000に電力を供給することができる。イーサネットケーブリングを使用して、照明器具1000をシリアル様式で共通のネットワークノードに通信可能に連結することができる。
図8Bに示されるように、制御された農業環境2000は、棚902A~902Eの対応する列の上方に配設された支持構造体999A~999Eによって支持される、照明器具1000の複数の列を含むことができる。制御された農業環境2000は、ファン75、除湿機65Aおよび65B、ならびに1つ以上の空調機用の空調ダクト85Aおよび85Bをさらに含むことができる。
【0060】
それぞれ
図3および
図4の例示的な制御された農業環境2000Aおよび2000Bに予め示されたように、照明器具1000は、冷却剤回路570に組み込まれて、流体冷却剤800の流れを促進し、そのため照明器具1000から熱を連続的に除去することができる。いくつかの実装形態では、冷却剤回路570は、照明器具1000のみから熱を実質的に除去するように設計されてもよく、後付け用途のために、
図3の冷却剤回路570に示すように、制御された農業環境2000Aの他の構成要素または領域と熱的に相互作用することを意図していない。しかしながら、いくつかの実装形態では、冷却剤回路570は、ハイドロニクス用途のために、
図4に示す冷却剤回路などの、制御された農業環境の近くもしくはその内部の空間に熱を再分配し、かつ/または後で使用するために照明器具1000によって捕捉された熱を保存するように設計された追加の配管サブシステムを含むことができる。
【0061】
配管サブシステムは、冷却剤回路570を通る流体冷却剤800の流れに影響を与えることなく、したがって照明器具1000からの熱の除去に影響を与えることなく、流体冷却剤800の流れを制御可能に調整することができるように、冷却剤回路570から分岐されていてもよい。しかしながら、場合によっては、配管サブシステムは、冷却剤回路570と直列に配置されてもよく、ここにおいて、配管サブシステムはまた、継続的に使用される。冷却剤回路570と直列に使用される配管サブシステムのいくつかの例示的な実例は、熱エネルギー保存システム内の流体冷却剤800からの熱を保存し、かつ流体冷却剤800からの熱を電気に変換することにより(例えば、熱電デバイスを使用して)バッテリーを充電する、住宅空間の温水システム用の加熱システムを含むが、これに限定されない。
【0062】
図9Aは、冷却剤回路570に関連して、ならびに1つ以上の照明器具1000が使用される制御された農業環境の他の実装形態において使用され得る、例示的なハイドロニクスシステム501を示している。示されるように、ハイドロニクスシステム501は、制御された農業環境の内部または外部に配置され得る、流体冷却剤800を貯蔵するための流体貯蔵タンク500を含み得る。いくつかの実装形態では、流体貯蔵タンク500は、構成要素を互いに、かつ周囲環境から実質的に熱絶縁するために十分な断熱性を有する、比較的低温の流体冷却剤800および比較的高温の流体冷却剤800のための別個の構成要素を含み得る。流体貯蔵タンク500はまた、流体貯蔵タンク500の熱時定数が動作中の温度の所望の変化率を満たすように、十分に大きな貯蔵容量を有するように寸法決めされてもよい。例えば、流体貯蔵タンク500に貯蔵された流体冷却剤800の温度は、様々な配管サブシステムに供給される熱量の変動を低減するために、一日を通して実質的に変化しない(例えば、1時間あたり1℃)ことが望ましくあり得る。しかしながら、流体冷却剤800の温度の調整が所望される場合、調整が生じるのに必要な時間量は、長い熱時定数のために法外であり得る。そのような実例では、各々がより小さな容量、したがってより短い熱時定数を有する複数の流体貯蔵タンク500が、代わりに使用されてもよい。
【0063】
3つの水中用ポンプ560A、560B、および560Cを流体貯蔵タンク500内に配置して、3つの対応する配管サブシステム、すなわち、照明ループ510、加熱ループ512、および冷却ループ514を通して流体冷却剤800を圧送することができる。ポンプ560Aと関連付けられた照明ループ510は、流体貯蔵タンク500から1つ以上の照明器具1000に比較的冷たい流体冷却剤を提供し、かつ1つ以上の照明器具1000から流体貯蔵タンク500に比較的高温の流体冷却剤800を戻すための役割を果たす。このようにして、照明ループ510は、流体貯蔵タンク500内に貯蔵された流体冷却剤800を加熱する熱源として機能し、その後熱が他の配管サブシステムに分配され得る。いくつかの実装形態では、照明ループ510を使用して、自然対流または熱的放射を介して制御された農業環境2000の少なくとも一部分を加熱し、それにより、その部分の温度を所望の温度エンベロープ内に調節および維持することができる。
【0064】
いくつかの実装形態では、二次的加熱ループを照明ループ510に組み込んで、照明ループ510に近接していない可能性のある制御された農業環境2000の一部分(例えば、栽培地域)をより直接的かつ制御可能に加熱することができる。例えば、二次的加熱ループは、ポンプ、ファン、およびファンコイルを含んでもよい。ポンプは、ファンコイルを通る比較的高温の流体冷却剤800の流れを生成し、それによりファンコイルを加熱することができる。次に、ファンは、熱気の流れを生成し、それにより強制対流により制御された農業環境2000の一部分を加熱する。別の実施例では、二次的加熱ループは、対流と伝導の組み合わせを介して、土壌または栄養溶液を所望の温度に加熱するために、栽培地域の根ゾーンを介して経路が定められてもよい。二次的加熱ループは、制御された農業環境の部分に加えられる熱の量を制御するための流量制御デバイス(例えば、バルブ)を含んでもよい。例えば、二次的加熱ループは、昼/夜のサイクルに従って追加される熱を調整する、サーモスタットに連結されてもよい。
【0065】
ポンプ560Bと関連付けられた加熱ループ512はまた、制御された農業環境2000の一部分または制御された農業環境2000とは別に配置された別の空間を加熱するために使用されてもよい。例えば、加熱ループ512は、建物の室内気候を調節するための建物内の加熱、換気、および空調(HVAC)システム、ガスもしくは電力消費をオフセットする製造工場内の加熱システム、または電気的かつ高品質の熱を生成する熱電併給プラントに連結されてもよい。いくつかの実装形態では、加熱ループ512はまた、制御された農業環境2000または別の空間による将来の使用のために熱を貯蔵する追加の容量を提供し得る、高温貯蔵部530に連結されてもよい。
【0066】
ポンプ560Cと関連付けられた冷却ループ514は、流体貯蔵タンク500内に貯蔵された流体冷却剤800を冷却するために使用されてもよい。このようにして、照明ループ510に入る比較的低温の流体冷却剤800の温度を調節および維持することができ、これにより、比較的低温の流体冷却剤800の温度が上昇する時間にわたる熱ドリフトの影響を低減し、したがって1つ以上の照明器具1000から除去される熱の量を低減することができる。いくつかの実装形態では、冷却ループ514は、冷却ループ514の長さに沿った自然対流および放射を介して外部環境への熱を捕捉する、配管サブシステムであり得る。いくつかの実装形態では、排熱デバイスを冷却ループ514に組み込んで、流体冷却剤800の冷却を促進することができる。冷却塔、蒸発冷却器、「フリー」冷却器、チラー、乾式冷却器、空気源冷却器、地上源熱交換器、水源熱交換器、または前述の任意の組み合わせを含むが、これに限定されない、様々なタイプの排熱デバイスを使用することができる。いくつかの実装形態では、冷却ループ514はまた、制御された農業環境2000または別の空間による将来の使用のために比較的低温の流体冷却剤800を貯蔵する追加の容量を提供し得る、低温貯蔵部520に連結されてもよい。
【0067】
本明細書で説明する様々な実装形態では、流体貯蔵タンク500に貯蔵され、かつ照明ループ510と、加熱ループ512と、冷却ループ514と、照明ループ510、加熱ループ512、冷却ループ514のうちのいずれかに連結された1つ以上の二次的ループと、を通って流れる流体冷却剤800の温度は、かなりの温度範囲内で変化し得る。いくつかの実装形態では、流体冷却剤800の温度は、約20℃~約50℃の範囲であり得る。流体冷却剤800の流量は、照明ループ510を介して毎分約1ガロン~毎分約3ガロンの範囲であり得る。加熱ループ512および冷却ループ514により、同様のまたは有意に異なる(例えば、より高い)流量を使用することができる。さらに、冷却剤回路および様々な配管サブシステム(例えば、照明ループ510、加熱ループ512、および冷却剤ループ514)は、ポンプ、レギュレータ、および/またはバルブのうちの少なくとも1つを介して制御され得る。ポンプ、レギュレータ、および/またはバルブのうちの少なくとも1つを、様々な時間サイクル(例えば、毎日、毎週、毎月、季節毎、他の周期、またはそれらの組み合わせ)で動作させて、制御された農業環境2000Bで、時間の関数として動的であり得る、所望の熱的条件を調節および維持することができる。
【0068】
さらに、
図9Aには3つの配管サブシステムが示されているが、任意の数および組み合わせの配管サブシステムを冷却剤回路570で使用することができることを理解されたい。例えば、加熱ループ512および冷却ループ514のうちの一方または両方は、照明ループ510と併せて使用されてもよい。また、3つの水中用ポンプ560A~560Cが
図9Aに示されているが、任意の数のポンプが特定の配管サブシステムに使用されてもよく、かつポンプ560A~560Cがまた、流体貯蔵タンク500の外部に配置されてもよいことが理解されるべきである。ポンプは、ピストンポンプ、エンドサクションポンプ、ダイアフラムポンプ、ギアポンプ、ローブポンプ、可撓性翼ポンプ、章動ポンプ、ぜん動ポンプ、遠心ポンプ、放散器ポンプ、プロペラポンプ、および周辺ポンプを含むが、これらに限定されない、様々なタイプのポンプであってもよい。
【0069】
制御された農業環境2000における照明器具1000および冷却剤回路570に連結されたハイドロニクスシステム501の例示的な実装形態が、
図9Bに示されている。ハイドロニクスシステム501は、水中用ポンプ560を含む流体貯蔵タンク500を含むことができる。水中用ポンプ560は、比較的冷たい流体冷却剤800を照明ループ510内に圧送するために使用され、ここで、流体冷却剤800は次いで、照明器具1000を通過するときに加熱される。その後、比較的高温の流体冷却剤800は、照明ループ510を出て、貯蔵のために流体貯蔵タンク500に入る。流体貯蔵タンク500内に貯蔵された流体冷却剤800の温度が、照明ループ510から流体貯蔵タンク500に入る流体冷却剤800の温度よりも低い限り、照明器具1000により発生した熱が除去され得ることは理解されるべきである。時間の経過とともに、流体冷却剤800の温度が上昇すると、温度差が小さくなるため、除去できる熱量が減少する可能性がある。したがって、流体貯蔵タンク500内に貯蔵された流体冷却剤800の温度を調節するために、排熱デバイスをハイドロニクスシステム501に組み込む必要があり得る。
【0070】
図9Bに示すハイドロニクスシステム501はまた、照明器具1000によって加熱された比較的高温の流体冷却剤800が流れる照明ループ510の部分に連結された二次的加熱ループ512を含み得る。示されるように、二次的加熱ループ512は、ポンプ704と、ファンコイル702を備えた電動ファンと、を含み得る。ポンプ704は、ファンコイルを通る比較的高温の流体冷却剤800の流れを生成し、それによりファンコイルを加熱することができる。次いで、電動ファン702は、照明器具1000の下方に位置する複数の植物900に向けて加熱空気を吹き付けて、栽培地域の温度を必要に応じて上昇させることができる。第2の加熱ループ512は、1つ以上の制御可能なバルブを使用して制御されて、二次的加熱ループ512を切り替え、かつ電動ファン702により吹き付けられる空気の温度を調整し得る。
【0071】
制御された農業環境200Dに配置されたハイドロニクスシステム501の別の例示的な実装形態が、
図9Cに示されている。示されるように、制御された農業環境200Dは、垂直に積み重ねられた複数レベルの栽培地域を有し得る。栽培地域の各レベルは、照明ループ510に連結された1つ以上の照明器具1000を含んでもよい。照明ループ510は、流体貯蔵タンク500に連結されてもよく、これは再び水中用ポンプを含んでもよい。
図9Bの制御された農業環境2000と同様に、ハイドロニクスシステム501は、各レベルの各栽培地域を別々に加熱するための二次的加熱ループを含み得る。各レベルに対応する照明ループ510の部分は、複数の入口および出口を備えた配管取付部を使用して連結されてもよい。加えて、流体貯蔵タンク500に連結された照明ループ510の部分は、流体冷却剤800が栽培地域の各々のレベルに流入すると、流量の減少を構成するためにより高い流量を支持し得る。
【0072】
いくつかの実装形態では、照明器具1000はまた、制御された農業環境の環境条件を監視するために使用される1つ以上のセンサを支持する、センサプラットフォームとして機能してもよい。照明器具1000のプロセッサ90は、通信ポート1009(例えば、USBポートおよびPoEポート)を介してセンサに電力を供給および調節することができる。プロセッサ90はまた、以下で説明するように、AC電力をDC電力に変換する電子機器を含むことができ、したがって、制御された農業環境内に配備された各センサにおける別個のAC-DCコンバータの必要性がなくなる。プロセッサ90はまた、制御信号をセンサに送信し、かつ処理および/またはリモートデバイス(例えば、リモートコンピュータまたはサーバ)への送信のためにセンサにより測定された官能データを受信することを含む、データ通信を管理するために使用されてもよい。このようにして、照明器具1000は、別個の電力およびデータ通信システムの必要性を補足する、様々なタイプの1つ以上のセンサの統合を提供し得る。さらに、1つ以上のセンサによって測定されたデータを使用して、制御された農業環境内の1つ以上の照明器具1000(例えば、照明器具1000からのPAR出力の調整)、1つ以上の冷却剤回路(例えば、
図9Aに示す照明ループ、ハイドロニクスループ、および冷却ループを含む冷却剤回路を通る流体の流れの調整)、1つ以上のファン、1つ以上の除湿機、または1つ以上の空調機を調整および制御することができる。いくつかの実装形態では、様々な環境条件を測定および制御して、環境内の目標蒸気圧不足がもたらされる。
【0073】
複数の照明器具1000を介した様々なセンサの統合を詳述する制御された農業環境2000の例示的な実装形態が、
図10に示されている。
図8Bと同様に、棚902に配設された複数の植物900の上方に配置された支持構造体999に、複数の照明器具1000を装着することができる。制御された農業環境2000は、1つ以上の除湿機65、1つ以上の空調機85、および1つ以上のファン75を含むことができる。空気温度センサ80A、近赤外線(NIR)葉水分センサ80B、相対湿度センサ80C、ハイパースペクトルカメラ80D、二酸化炭素センサ80E、赤外線(IR)葉温度センサ80F、空気流センサ80G、および根ゾーン温度センサ80Hを含むが、これらに限定されない、様々なセンサが照明器具1000によって支持されてもよい。ハイパースペクトルカメラ80Dは、各帯域が従来の撮像システムより狭い(例えば、10nm)多数のエネルギー帯域(例えば、数百)内の光を測定する、カメラのタイプを指す。制御された農業環境2000では、有限スペクトルカメラ(マルチスペクトルカメラとも称される)を使用して、各バンドがより広い(例えば、20nmを超える)より少ない数のエネルギーバンド(例えば、3~10)を使用して光を測定することもできる。制御された農業環境2000で利用されるカメラは、紫外線、可視、近赤外線、中赤外線、および遠赤外線波長を含むが、これらに限定されない、電磁スペクトルの様々な部分にわたって光を測定することができる。照明器具1000は、1つ以上のファン、セキュリティカメラ、スマートフォン、およびマルチスペクトルカメラを含むが、これらに限定されない、他の補助デバイスを支持するため(例えば、土壌水分および栄養素量を分析するため)に使用されてもよい。このようにして、それぞれの照明器具1000上の通信ポート1009の柔軟な配置により、制御された農業環境に様々な補助デバイスを分散させることができる。
【0074】
プロセッサ90は、照明器具1000の動作における電力変換、ネットワーク接続性、およびデータ処理を含むが、これらに限定されない、照明器具1000の動作に関連する複数の機能を容易するために使用され得る。いくつかの実装形態では、プロセッサ90は、各電子機器アセンブリが1つ以上の別個の機能を提供する、電気的に一緒に連結された別個の電子機器アセンブリで構成されてもよい。例えば、
図11Aは、本発明の一実装形態による、これらの機能を満たすためのプロセッサ90内の様々な電子構成要素および回路の詳細を示す、ブロック図を示している。プロセッサ90は、制御ボード100、ネットワークボード200、およびシングルボードコンピュータ300を含むことができる。
【0075】
制御ボード100は、照明器具1000の他の構成要素に電力を調節および分配するために使用され得る。
図11Aに示すように、制御ボード100は、電力ポート1010を介してAC電力を受け取り、AC電力をDC電力に変換することができる。次に、制御ボード100は、照明器具400内の他の電子機器にDC電力および他の制御信号を供給することができる。例えば、制御ボード100は、制御ボード100上のポート/コネクタ104A、104B、および104Cをそれぞれ介して、複数のLEDモジュール400A、400B、および400Cに直接的に連結されてもよい。制御ボード100はまた、ネットワークボード200に連結され、電力と制御信号の両方をネットワークボード200に提供することができる。制御ボード100はまた、オンボードメモリを含むことができ、そこにデジタル信号処理(DSP)ファームウェア152が格納されて、以下に説明するように制御信号の生成を容易にする。
【0076】
図11Aの制御ボード100のより詳細なブロック図が、
図11Bに示されている。制御ボード100は、安全性を提供し、かつ照明器具1000内へのノイズ入力を低減するために、ヒューズ/電磁干渉(EMI)フィルタ153を含むことができる。整流器154を使用して、AC電力をDC電力に変換することができる。ACラインセンサ155を使用して、DC電力入力の電圧および電流を監視することができる。次いで、DC電力は、ネットワークボード200およびデジタル信号プロセッサ(DSP)150を含む照明器具1000の他の構成要素にDC電力を分配するために使用され得る、バイアスおよび制御電源156に直接的に送られ得る。ネットワークボード200に異なる電圧入力を供給するために、DC-DCコンバータ158がまた含まれ得る。例えば、バイアスおよび制御電源156は、48Vおよび5Vを供給して、ネットワークボード200およびシングルボードコンピュータ300上の異なる回路に電力を供給してもよい。5V入力は、DC-DCコンバータ158を介して48Vラインからダウンコンバートされ得る。DSP150は、1つ以上の通信アイソレータ160を介して、ネットワークボード200を含む様々な構成要素に上述のファームウェア152を実行することにより制御信号を提供し得る。DSP150はまた、ポート104A~104Cを介して対応するLEDモジュール400A~400Cに供給される電気を調節するために使用され得る、1つ以上のブーストコンバータ162A、162B、および162Cに制御信号を提供し得る。ブーストコンバータ162A~162Cは、整流器154を介してAC電力から変換されたDC電力を一度に直接的に受け取ることができる。DSP150は、バイアスおよび制御電源156から電力を受け取り、ACラインセンサ155から電圧および電流測定値を受け取り、かつLEDモジュール400A~400Cの温度を監視するために使用され得る熱センサポート154を介して熱センサ入力を受け取り得る。
【0077】
ネットワークボード200を使用して、他の照明器具1000と照明器具1000に連結された1つ以上の補助センサとの間を含むが、これらに限定されない、照明器具1000と照明器具1000に連結された様々なデバイスとの間のデータ通信を管理することができる。
図11Aに示すように、いくつかの実装形態では、ネットワークボード200は、照明器具1000の1つ以上のPoEポート1008A、1008B、1008C、および1008Dを制御することができる。ネットワークボード200は、制御ボードポート102を介して制御ボード100から電力および制御信号を受け取ることができる。ネットワークボード200はまた、シングルボードコンピュータポート202を介してシングルボードコンピュータ300に電力および制御信号を供給することができる。ネットワークボード200はまた、ネットワークボード200とシングルボードコンピュータ300との間のイーサネットポート213を介した専用イーサネットケーブル接続部212を支持して、PoEポート1008A~1008Dを介したデータ転送を管理することができる。
【0078】
図11Aのネットワークボード200のより詳細なブロック図が、
図11Cに示されている。制御ボードポート102を使用して、異なる電圧、例えば48Vおよび5Vの電力を、PoEコントローラ206、電源208、ならびにファンコントローラおよびポート210に供給することができる。制御ボードポート102はまた、制御信号を、シングルボードコンピュータポート202を介して制御ボード100からシングルボードコンピュータ300に直接的に中継することができる。いくつかの実装形態では、制御ボードポート102は、ネットワークボード200へのピギーバックボードとして配設され得る。PoEコントローラ206を使用して、電力を調整し、PoEポート1008A~1008Dに供給することができる。電源208は、シングルボードコンピュータポート202を介してシングルボードコンピュータ300に、およびイーサネットスイッチ204に電力を供給することができる。イーサネットスイッチ204は、専用イーサネットケーブル接続部212を支持するイーサネットポート213を介して、PoEポート1008A~1008Dおよびシングルボードコンピュータ300に通信可能に連結される。イーサネットスイッチ204を使用して、PoEポート1008A~1008Dへの、かつそれらからのデータおよび/または制御信号の受信および送信を容易にすることができる。
【0079】
シングルボードコンピュータ300は、制御ボード100およびネットワークボード200の動作の管理およびデータ処理を含むが、これらに限定されない、いくつかの機能をプロセッサ90に提供することができる。
図11Aに示されるように、シングルボードコンピュータ300はまた、照明器具1000上のUSBポート1012Aおよび1012Bの機能を支持するために使用されてもよい。シングルボードコンピュータ300は、セッションボーダーコントローラ(SBC)ソフトウェア、オペレーティングシステム、ウェブサーバソフトウェアおよび他のウェブサーバアセットを含むが、これらに限定されない、様々なデータおよびコンピュータ実行可能コード352を含む(そこに記憶されている)、メモリカード350を含むことができる。
【0080】
プロセッサ90は、異なる動作条件下での損傷の可能性を低減するために、照明器具1000の様々な構成要素、例えば電力ケーブル、LEDモジュール400A~400Cに供給される電圧および電流を管理するために使用され得る。例えば、照明器具1000は、1200WがLEDモジュール400A~400Cに供給され、かつ補助センサに65Wが供給され得る、低電圧条件下で動作され得る。外部電源、例えば、建物の電力供給システムから、照明器具1000に電気を供給するために使用される電源ケーブルは、最大15Aの電流に耐えることができる。プロセッサ90を使用して、照明器具1000を通る電流を5Aに制限し、そのため3つの照明器具400A~400Cが、単一の電力ケーブル1030によって電力供給され得る。照明器具1000の電流引き込みが5Aに近づく場合、プロセッサ90は、照明器具の電力引き込みを低減し得る。このようにして、3つの照明器具400A~400Cは、15Aを超える総電流引き込みを集合的に回避し、したがって、電力ケーブルを損傷する可能性を低減することができる。
【0081】
いくつかの実装形態では、プロセッサ90は、アクティブフィードバック制御ループを使用して、電流引き込み制限を実施することができる。例えば、制御ボード100のDSP150を使用して、ACラインセンサ155を介して照明器具1000に供給される電圧および電流を能動的に測定することができる。測定された電圧および電流の大きさおよび/または変化率に応じて、次に、DSP150は、照明器具1000によって引き込まれる電流が電流引き込み限界以下に維持されるように、LEDモジュール400A~400Cの各々に供給される電圧および電流を調整することができる。このプロセスは、照明器具1000に供給される電圧および電流の測定、ならびにLEDモジュール400A~400Cに供給される電圧および電流のその後の調整が、事前に設定された時間スケールで繰り返し発生する反復様式で実施され得る。時間スケールは、約1ミリ秒~約60秒で変化し得る。各増分中に電圧および電流が変化する量はまた、照明器具1000に供給される電圧および電流の変化率に従って変化し得る。いくつかの実装形態では、アクティブフィードバック制御ループの安定性は、比例積分微分(PID)コントローラをプロセッサ90に組み込むことによって制御され得る。
【0082】
図12A~
図12D、
図13、
図14A~
図14Hは、一実装形態によるプロセッサ90の様々な電気部品の回路図を示している。
図12Aは、ネットワークボード200からのイーサネットスイッチ204の回路図、およびシングルボードコンピュータ300との通信のための、PoEポート1008A~1008Dおよびイーサネットポート213への電気接続部を示す。
図12Aはまた、ネットワークボード200からの電源208の回路図を示している。視覚的に明確にするために、
図12Bおよび
図12Cは、それぞれ
図12Aのイーサネットスイッチ204およびPoEポート1008Dの拡大図を示している。
図12Dは、ネットワークボード200からのPoEコントローラ206の回路図を示している。
図13は、様々な入力および出力接続部を詳述するシングルボードコンピュータ300の回路図を示している。
図14Aは、電力ポート1010、ヒューズ/EMIフィルタ153、整流器154、および制御ボード100からのバイアスおよび制御電源156の第1の部分についての回路図を示している。
図14Bは、
図14Aに示されるバイアスおよび制御電源156の第2の部分を示している。
図14C~
図14Fは、制御ボード100からのDC-DCコンバータ158、ACラインセンサ155、DSP150、および熱センサポート154を示している。
図14Gおよび
図14Hは、制御ボード100からの例示的なブースト回路162Aの回路図を示している。
【0083】
本明細書で開示される照明器具1000はまた、顧客が照明器具1000をレンタルおよび操作する(例えば、照明器具1000を使用して照明を提供する)ために定期的な料金を支払うリース照明システムで利用され得る。このシステムでは、照明器具1000のハードウェアの購入および設置にと通常関連付けられたコストを大幅に削減し、したがって顧客に大幅な節約を提供することができる。照明器具1000の動作を提供する製造元は、顧客による継続的な支払いを通じて、時間の経過とともに利益を得ることができる。いくつかの実装形態では、リース照明システムは、事前に設定された期間に照明器具1000を動作させるための料金の支払いに基づいてもよい。照明器具1000は、プロセッサ90を介してサーバに通信可能に連結されてもよい。サーバは、リースを維持するために顧客が必要な支払いを提供する限り、照明器具の動作を遠隔的に調節し、照明器具1000が照明を提供することができるようにする。
【0084】
照明器具1000がライセンスサーバ600に通信可能に連結されている契約執行方法の例示的な実装形態が、
図15Aに示されている。示されるように、ライセンスサーバ600は、顧客によって設置された1つ以上の照明器具1000のシリアル番号、および1つ以上の照明器具1000がリースされている顧客についての顧客ステータス(例えば、支払いステータス)を含むが、これらに限定されない、情報を含む、データベース602を含み得る。データベースはまた、事前共有キー604を含むことができ、これはまた、顧客への出荷前に、タイマと一緒に、製造元によって、例えば、照明器具1000のDSP150の保護された内部ストレージなどの各照明器具1000上に設置される。顧客による初期支払い時に、製造元は、初期照明についてのある程度の期間を提供するために、データベース1000に初期タイマ更新を設定し、それにより、その後に追加のリース支払いが必要になる場合がある。照明器具1000が顧客に展開されると、タイマの期限切れにより、ライセンス更新プロセスがトリガーされる場合がある。追加のリース支払いが行われると、ライセンスサーバ600を運用する製造元は、照明器具1000に通信される新しいタイマ値でデータベース602を更新し得る。独自の通信プロトコルを介して、通信が行われる場合がある。
【0085】
1つ以上の照明器具1000を備えたリース照明モデルのライセンスを更新するためのプロセスの例示的な実装形態が、
図15Bに示されている。この例示的なプロセスでは、プロセッサ90のDSP150およびシングルボードコンピュータ300は、インターネットを介してライセンスサーバ600およびデータベース602に連結されて、1つ以上の照明器具1000の製造元またはリース業者による操作を容易にすることができる。上述したように、事前共有キー604およびライセンスタイマは、照明器具1000のシリアル番号とともに、製造元によってDSP150の保護された内部ストレージに格納されてもよい。シングルボードコンピュータ300は、ライセンスタイマのステータスを周期的にチェックしてもよい。ライセンスタイマが満了に近づくと、シングルボードコンピュータ300は、DSP150でライセンス更新要求を開始することができる。この要求は、シングルボードコンピュータ300によってライセンスサーバ600に転送される、DSP150によって生成された「チャレンジパケット」を含むことができる。チャレンジパケットは、照明器具1000のシリアル番号およびノイズアキュムレータを使用して生成された一時的なランダムキーに少なくとも部分的に基づいて、暗号化された情報を含み得る。次に、チャレンジパケットは、ライセンスサーバ600によって解読され得る。チャレンジパケットが有効であると確認され、追加の照明の支払いが行われた場合、次にライセンスサーバ600は、新しい許可されたタイマ値を決定することができる。次に、新しい許可されたタイマ値を暗号化し、かつシングルボードコンピュータ300に送り返し、暗号化されたタイマ値をDSP150に渡すことができる。次に、DSP150は、事前共有キー604に基づいて、新しいタイマ値を解読することができる。新しいタイマ値が有効であることが確認された場合、DSP150は、DSP150の保護された内部ストレージに格納されているライセンスタイマを更新することができる。
【0086】
結論
本明細書では様々な発明の実装形態を説明および図示したが、当業者は、当業者は、本明細書に記載の機能を実行し、かつ/またはその結果および/もしくは利点のうちの1つ以上を得るための様々な他の手段および/もしくは構造を容易に想像するであろう。そのような変形および/または修正の各々は、本明細書で説明される本発明の実装形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータおよび構成が例示的な発明の特徴であることを意味し、かつ本明細書に記載の特定の発明の実装形態と同等の他のものが実現され得ることを容易に理解するであろう。したがって、前述の実装形態は実施例として提示されており、かつ添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、発明の実装形態は、具体的に説明および特許請求されたものとは別の方法で実施され得ることを理解されたい。本開示の発明の実装形態は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、および/または方法の各々を対象とする。さらに、そのような特徴、システム、物品、および/または方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、および/または方法の任意の組み合わせは、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0087】
上記の実装形態は、複数の方法で実装され得る。例えば、実装形態は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを使用して実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか、または複数のコンピュータに分散されるかどうかにかかわらず、任意の好適なプロセッサまたはプロセッサの集合体で実行され得る。さらに、コンピュータは、ラックマウント型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはタブレットコンピュータなど、いくつかの形式のいずれかで具体化され得ることを理解されたい。さらに、コンピュータは、一般にコンピュータとは見なされないが、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、または任意の他の好適なポータブルもしくは固定電子デバイスを含む好適な処理機能を備えた、デバイスに組み込まれ得る。
【0088】
また、コンピュータは、1つ以上の入力および出力デバイスを有し得る。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェースを提供するために使用され得る。ユーザインターフェースを提供するために使用され得る出力デバイスの実施例には、出力を視覚的に表示するためのプリンタまたはディスプレイ画面、および出力を音声で表示するためのスピーカまたは他のサウンド生成デバイスが含まれる。ユーザインターフェースに使用され得る入力デバイスの実施例には、キーボード、ならびにマウス、タッチパッド、およびデジタル化タブレットなどのポインティングデバイスが含まれる。別の実施例として、コンピュータは、音声認識または他の可聴形式で入力情報を受信する場合がある。このようなコンピュータは、インターネットなどの1つ以上のネットワークによって相互接続され得る。本明細書で概説される様々な方法またはプロセスは、様々なオペレーティングシステムまたはプラットフォームのうちのいずれか1つを使用する、1つ以上のプロセッサで実行可能なソフトウェアとしてコード化されてもよい。さらに、このようなソフトウェアは、多くの好適なプログラミング言語および/またはプログラミングもしくはスクリプトツールのいずれかを使用して記述され得、また実行可能マシン言語コードまたはフレームワークもしくは仮想マシンで実行される中間コードとしてコンパイルされ得る。
【0089】
これに関して、様々な発明概念は、1つ以上のコンピュータまたは他のプロセッサで実行されると、上で考察される本発明の様々な実装形態を実装する方法を実行する1つ以上のプログラムでエンコードされる、コンピュータ可読メモリまたは記憶媒体(または複数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ以上のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体デバイスの回路構成、または他の非一時的な媒体もしくは有形のコンピュータ記憶媒体)として具現化され得る。コンピュータ可読媒体(1つ又は複数)は、持ち運び可能とすることができ、そのため、そこに格納されたプログラム(複数可)は、1つ以上の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードされて、上で考察される本発明の様々な態様を実装することができる。
【0090】
特に明記しない限り、「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、コンピュータまたは他のプロセッサをプログラムして、上で考察されるような実装形態の様々な態様を実装するために使用され得る、任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ実行可能命令のセットを指す一般的な意味で、本明細書において使用される。さらに、一態様によれば、実行時に本発明の方法を実行する1つ以上のコンピュータプログラムは、単一のコンピュータまたはプロセッサに常駐する必要はないが、本発明の様々な態様を実装するために、いくつかの異なるコンピュータまたはプロセッサ間でモジュール式に分散されてもよいことを理解されたい。
【0091】
コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のコンピュータまたは他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールなどの多くの形式であり得る。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、また特定の抽象データタイプを実装したりする、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造体などが含まれる。通常、プログラムモジュールの機能は、様々な実装形態で必要に応じて結合または分散され得る。
【0092】
また、データ構造体は、任意の好適な形式でコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。説明を簡単にするために、データ構造体は、データ構造体内の場所を介して関連するフィールドを有するように示される場合がある。同様に、そのような関係は、フィールド間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体内の位置にフィールドのストレージを割り当てることによって達成され得る。しかしながら、ポインタ、タグ、またはデータ要素間の関係を確立する他のメカニズムの使用を含む、データ構造体のフィールド内の情報間の関係を確立するために、任意の好適なメカニズムを使用することができる。一部の実装形態では、キー値のストレージ対定義済みのデータ構造体を使用して、スキーマ最小ストレージシステムが、リレーショナルデータベース環境に実装され得る。
【0093】
また、様々な発明の概念は、1つ以上の方法として具体化されてもよく、その実施例が提供されてきた。方法の部分として実行される行為は、任意の好適な方法で順序付けられ得る。したがって、例示的な実装形態では連続的な動作として示されているが、いくつかの動作を同時に実行することを含むことができる、動作が図示とは異なる順序で実行される、実装形態を構築することができる。
【0094】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0095】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御するものと理解されるべきである。
【0096】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される「1つ(a)」および「1つ(an)」という不定冠詞は、反対に明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解するべきである。
【0097】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される「および/または」という句は、そのように結合された要素、すなわち一部の場合に、連言的に存在し、かつ他の場合に選言的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味するものと理解されるべきである。「および/または」で列挙された複数の要素は、同様の様式、つまり、そのように結合された要素のうちの「1つ以上」で解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に特定される要素以外に、具体的に特定される要素に関連するかどうかに関係なく、他の要素が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語と併せて使用する場合の「Aおよび/またはB」への参照は、1つの実装形態では、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実装形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む)、さらに別の実装形態では、AとBの両方(任意選択で他の要素を含む)などを指す。
【0098】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内のアイテムを分離する場合、「または」または「および/または」は、包含、つまり要素および追加の列挙されていないアイテムの数またはリストのうちの少なくとも1つであるが、また複数を含む包含であると解釈されるべきである。「1つのみ」もしくは「厳密に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合「からなる」などの逆に明確に示されている用語についてのみ、要素の数またはリストのうちの厳密な1つの要素の包含を指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「どちらか」、「1つ」、「1つだけ」、また「厳密に1つ」などの排他的な用語が先行する場合、排他的な代替案を示すもの(すなわち、「両方ではなく一方または他方」)としてのみ解釈されるべきである。「本質的に~からなる」は、請求項で使用される場合、特許法の分野で使用されるような通常の意味を有するものとする。
【0099】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関する「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の要素のうちの任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に列挙されている各々およびすべての要素のうちの少なくとも1つを含める必要はなく、かつ要素のリスト内の要素のすべての組み合わせを除外しないものと理解されるべきである。また、この定義により、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に、具体的に特定されたそれらの要素に関連するかどうかに関係なく、要素が任意選択で存在し得ることが可能になる。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実装形態では、Bが存在しない(および任意選択的にB以外の要素を含む)状態で、少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のAを含むこと、別の実装形態では、Aが存在しない(および任意選択的にA以外の要素を含む)状態で、少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のBを含むこと、さらに別の実装形態では、少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のA、および少なくとも1つ、任意選択的に2つ以上のBを含む(および任意選択的に他の要素を含む)ことなどを指すことができる。
【0100】
特許請求の範囲だけでなく、上記の明細書では、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ」、「有する」、「含む(containing)」、「関与する」、「保持する」、「からなる」などのすべての移行句は、オープンエンドであると理解されるべきであり、すなわち、それを含むがそれに限定されないことを意味する。米国特許庁の特許審査手続きのマニュアル、セクション2111.03に記載されているように、「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的な移行句であるべきである。