(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】電磁波シールドフィルム、シールドプリント配線板の製造方法、及び、シールドプリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20230314BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230314BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20230314BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20230314BHJP
【FI】
H05K9/00 W
H05K9/00 R
H05K1/02 P
H05K3/28 F
B32B7/025
(21)【出願番号】P 2020553885
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2019042154
(87)【国際公開番号】W WO2020090727
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2018202933
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】高見 晃司
(72)【発明者】
【氏名】上農 憲治
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正博
【審査官】赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010995(JP,A)
【文献】特開2009-200113(JP,A)
【文献】特開2012-156457(JP,A)
【文献】特開2016-157920(JP,A)
【文献】特開2017-025280(JP,A)
【文献】特開2013-193253(JP,A)
【文献】特表2017-535072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H05K 1/02
H05K 3/28
B32B 7/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護層と、
前記保護層に積層されたシールド層と、
前記シールド層に積層された接着剤層とからなり、
前記シールド層の前記接着剤層側には導電性バンプが形成されており、
前記導電性バンプの体積は、30000~400000μm
3であり、
前記導電性バンプは、前記接着剤層の前記シールド層に接触する面に対向する面から露出しないように、前記接着剤層に埋まって
おり、
前記導電性バンプが、前記接着剤層の前記シールド層に接触する面から前記接着剤層の前記シールド層に接触する面に対向する面に向かう方向に凸な錐体状であることを特徴とする電磁波シールドフィルム。
【請求項2】
前記導電性バンプは、複数形成されている請求項
1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項3】
複数の前記導電性バンプの高さは、略同一である請求項
2に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項4】
前記導電性バンプは、樹脂組成物と導電性フィラーとからなる請求項1~
3のいずれかに記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項5】
前記接着剤層を構成する樹脂の周波数1GHz、23℃における、比誘電率が1~5であり、誘電正接が0.0001~0.03である請求項1~
4のいずれかに記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項6】
前記接着剤層は、絶縁性接着剤層である請求項1~
5のいずれかに記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムを準備する電磁波シールドフィルム準備工程と、
ベースフィルムと、前記ベースフィルムの上に形成されたグランド回路を含むプリント回路と、前記プリント回路を覆うカバーレイとを備え、前記カバーレイには前記グランド回路を露出する開口部が形成されているプリント配線板を準備するプリント配線板準備工程と、
前記電磁波シールドフィルムの接着剤層が、前記プリント配線板のカバーレイに接触するように前記プリント配線板に前記電磁波シールドフィルムを配置する電磁波シールドフィルム配置工程と、
前記電磁波シールドフィルムの導電性バンプが、前記電磁波シールドフィルムの接着剤層を貫き、前記プリント配線板のグランド回路に接触するように加圧する加圧工程とを含むことを特徴とするシールドプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
ベースフィルムと、前記ベースフィルムの上に形成されたグランド回路を含むプリント回路と、前記プリント回路を覆うカバーレイとを備え、前記カバーレイには前記グランド回路を露出する開口部が形成されているプリント配線板と、
請求項1~
6のいずれかに記載の電磁波シールドフィルムとからなり、
前記電磁波シールドフィルムの導電性バンプは、前記接着剤層を貫き、前記プリント配線板のグランド回路に接続していることを特徴とするシールドプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールドフィルム、シールドプリント配線板の製造方法、及び、シールドプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、小型化、高機能化が急速に進む携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの電子機器において、複雑な機構の中に回路を組み込むために多用されている。さらに、その優れた可撓性を生かして、プリンタヘッドのような可動部と制御部との接続にも利用されている。これらの電子機器では、電磁波シールド対策が必須となっており、装置内で使用されるフレキシブルプリント配線板においても、電磁波シールドフィルムを貼付する等の電磁波シールド対策を施したフレキシブルプリント配線板(以下、「シールドプリント配線板」とも記載する)が用いられるようになってきた。
【0003】
一般的に、電磁波シールドフィルムは、最外層の絶縁層(保護層)と、電磁波をシールドするためのシールド層と、プリント配線板に貼付するための接着剤層とからなる。
シールドプリント配線板を製造する際には、電磁波シールドフィルムの接着剤層が、フレキシブルプリント配線板に接触するように、電磁波シールドフィルムがフレキシブルプリント配線板に貼付されることになる。
【0004】
また、フレキシブルプリント配線板のグランド回路は、筐体等の外部グランドに電気的に接続されることになるが、フレキシブルプリント配線板に貼付された電磁波シールドフィルムを介して、プリント配線板のグランド回路と外部グランドとを電気的に接続することも行われている。
【0005】
例えば、特許文献1には、電磁波シールドフィルムの接着剤層を導電性接着剤とし、当該導電性接着剤をフレキシブルプリント配線板のグランド回路に接触させ、さらに、接着剤層を外部グランドと接続させることにより、フレキシブルプリント配線板のグランド回路と外部グランドとを電気的に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層は接着性樹脂と導電性フィラーからなり、導電性接着剤層の導電性は導電性フィラーにより得られるものである。
つまり、導電性接着剤層とグランド回路との電気的接触は、導電性フィラーとグランド回路との接触により得られるものである。導電性接着剤とグランド回路との接触面には、導電性フィラーが存在しない部分もある。このような部分があるので、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が高くなってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が充分に小さいシールドプリント配線板を製造するための電磁波シールドフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電磁波シールドフィルムは、保護層と、上記保護層に積層されたシールド層と、上記シールド層に積層された接着剤層とからなり、上記シールド層の上記接着剤層側には導電性バンプが形成されており、上記導電性バンプの体積は、30000~400000μm3であることを特徴とする。
【0010】
本発明の電磁波シールドフィルムは、ベースフィルムと、ベースフィルムの上に形成されたグランド回路を含むプリント回路と、プリント回路を覆うカバーレイとを備え、カバーレイにはグランド回路を露出する開口部が形成されているプリント配線板に貼付されることになる。
【0011】
この際、導電性バンプは、接着剤層を貫き、グランド回路に接触することになる。
ここで、本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記導電性バンプの体積は、30000~400000μm3である。
導電性バンプの体積が上記範囲内であると、導電性バンプがグランド回路にしっかり接触し、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が小さくなる。
導電性バンプの体積が30000μm3未満であると、導電性バンプがグランド回路に接触しにくくなり、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が大きくなりやすくなる。
導電性バンプの体積が400000μm3を超えると、接着剤層において、導電性バンプが占める割合が大きくなる。
そのため、接着剤層がある領域全体の比誘電率及び誘電正接が高くなりやすくなる。従って、伝送特性が悪化する。
【0012】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記導電性バンプの形状は、錐体状であることが望ましい。
導電性バンプの形状が錐体状であると、導電性バンプが接着剤層を貫きやすくなり、グランド回路と接触しやすくなる。
そのため、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が充分に小さくなる。
【0013】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記導電性バンプが複数形成されていることが望ましい。
さらに、複数の上記導電性バンプの高さは、略同一であることが望ましい。
複数の導電性バンプの高さが略同一であると、均等に複数の導電性バンプが接着剤層を貫き、グランド回路と接触しやすくなる。
そのため、グランド回路-シールド層間の接続抵抗を小さくすることができる。
【0014】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記導電性バンプは、樹脂組成物と導電性フィラーとからなっていてもよい。
すなわち、導電性バンプは、導電性ペーストからなっていてもよい。
導電性ペーストを用いることにより、導電性バンプを任意の位置に任意の形状で容易に形成することができる。
【0015】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記接着剤層を構成する樹脂の周波数1GHz、23℃における、比誘電率が1~5であり、誘電正接が0.0001~0.03であることが望ましい。
このような範囲であると、本発明の電磁波シールドフィルムを用いて製造するシールドプリント配線板の伝送特性を向上させることができる。
【0016】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記接着剤層は、絶縁性接着剤層であることが望ましい。
また、本発明の電磁波シールドフィルムは、接着剤層によりプリント配線板に接着されることになる。
上記接着剤層が絶縁性接着剤層である場合、絶縁接着剤層は導電性フィラー等の導電性物質を含まないため、比誘電率及び誘電正接が充分に小さくなる。
従って、本発明の電磁波シールドフィルムを用いて製造されたシールドプリント配線板では、伝送特性が良好になる。
【0017】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法は、上記本発明の電磁波シールドフィルムを準備する電磁波シールドフィルム準備工程と、ベースフィルムと、上記ベースフィルムの上に形成されたグランド回路を含むプリント回路と、上記プリント回路を覆うカバーレイとを備え、上記カバーレイには上記グランド回路を露出する開口部が形成されているプリント配線板を準備するプリント配線板準備工程と、上記電磁波シールドフィルムの接着剤層が、上記プリント配線板のカバーレイに接触するように上記プリント配線板に上記電磁波シールドフィルムを配置する電磁波シールドフィルム配置工程と、上記電磁波シールドフィルムの導電性バンプが、上記電磁波シールドフィルムの接着剤層を貫き、上記プリント配線板のグランド回路に接触するように加圧する加圧工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法は、上記本発明の電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法である。
そのため、得られたシールドプリント配線板では、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が低くなる。
【0019】
本発明のシールドプリント配線板は、ベースフィルムと、上記ベースフィルムの上に形成されたグランド回路を含むプリント回路と、上記プリント回路を覆うカバーレイとを備え、上記カバーレイには上記グランド回路を露出する開口部が形成されているプリント配線板と、上記本発明の電磁波シールドフィルムとからなり、上記電磁波シールドフィルムの導電性バンプは、上記接着剤層を貫き、上記プリント配線板のグランド回路に接続していることを特徴とする。
【0020】
本発明のシールドプリント配線板では、上記本発明の電磁波シールドフィルムの導電性バンプが、接着剤層を貫き、プリント配線板のグランド回路に接続している。
そのため、電磁波シールドフィルムの導電性バンプがプリント配線板のグランド回路にしっかり接触し、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が小さくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電磁波シールドフィルムは、ベースフィルムと、ベースフィルムの上に形成されたグランド回路を含むプリント回路と、プリント回路を覆うカバーレイとを備え、カバーレイにはグランド回路を露出する開口部が形成されているプリント配線板に貼付されることになる。
【0022】
この際、導電性バンプは、接着剤層を貫き、グランド回路に接触することになる。
ここで、本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記導電性バンプの体積は、30000~400000μm3である。
導電性バンプの体積が上記範囲内であると、導電性バンプがグランド回路にしっかり接触し、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の電磁波シールドフィルムが用いられたシールドプリント配線板の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例を工程順に示す工程図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例を工程順に示す工程図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例を工程順に示す工程図である。
【
図3D】
図3Dは、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例を工程順に示す工程図である。
【
図4】
図4は、実施例1に係る電磁波シールドフィルムの断面写真である。
【
図5】
図5は、伝送損失測定試験における電磁波シールドフィルムの伝送損失の測定方法を模式的に示す模式図である。
【
図6】
図6は、接続抵抗測定試験における電磁波シールドフィルムの抵抗値の測定方法を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の電磁波シールドフィルムについて具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0025】
本発明の電磁波シールドフィルムは、保護層と、上記保護層に積層されたシールド層と、上記シールド層に積層された接着剤層とからなり、上記接着剤層側の上記シールド層には導電性バンプが形成されていることを特徴とする。
【0026】
以下に、本発明の電磁波シールドフィルムの各構成について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の電磁波シールドフィルムの一例を模式的に示す断面図である。
図2は、本発明の電磁波シールドフィルムが用いられたシールドプリント配線板の一例を模式的に示す断面図である。
【0027】
図1に示すように、電磁波シールドフィルム10は、保護層11と、保護層11に積層されたシールド層12と、シールド層12に積層された接着剤層13とからなる。
また、シールド層12の接着剤層13側には複数の導電性バンプ14が形成されている。
【0028】
なお、
図2に示すように、電磁波シールドフィルム10は、ベースフィルム21と、ベースフィルム21の上に形成された複数のグランド回路22aを含むプリント回路22と、プリント回路22を覆うカバーレイ23とを備え、カバーレイ23にはグランド回路22aを露出する開口部23aが形成されているプリント配線板20に貼付され、シールドプリント配線板30を製造するために用いられる。
【0029】
(保護層)
保護層11の材料は特に限定されないが、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性組成物等から構成されていることが望ましい。
【0030】
上記熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等が挙げられる。
【0031】
上記熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、ウレタンウレア系樹脂組成物、スチレン系樹脂組成物、フェノール系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物及びアルキッド系樹脂組成物からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂組成物が挙げられる。
【0032】
上記活性エネルギー線硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物等が挙げられる。
【0033】
保護層11は、1種単独の材料から構成されていてもよく、2種以上の材料から構成されていてもよい。
【0034】
保護層11には、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填剤、難燃剤、粘度調節剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
【0035】
保護層11の厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、1~15μmであることが望ましく、3~10μmであることがより望ましい。
保護層の厚さが1μm未満であると、薄すぎるのでシールド層及び接着剤層を充分に保護しにくくなる。
保護層の厚さが15μmを超えると、厚すぎるので保護層が折り曲がりにくくなり、また、保護層自身が破損しやすくなる。そのため、耐折り曲げ性が要求される部材へ適用しにくくなる。
【0036】
(シールド層)
シールド層12は、電磁波をシールドすることができれば、その材料は導電性の材料であれば特に限定されず、例えば、金属からなっていてもよく、導電性樹脂からなっていてもよい。
【0037】
シールド層12が金属からなる場合、金属としては金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛等が挙げられる。これらの中では、銅であることが望ましい。銅は、導電性及び経済性の観点からシールド層にとって好適な材料である。
【0038】
なお、シールド層12は、上記金属の合金からなっていてもよい。
また、シールド層12は、金属箔であってもよく、スパッタリングや無電解めっき、電解めっき等の方法で形成された金属膜であってもよい。
【0039】
シールド層12が導電性樹脂からなる場合、シールド層12は、導電性粒子と樹脂から構成されていてもよい。
【0040】
導電性粒子としては、特に限定されないが、金属微粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維、金属繊維等であってもよい。
【0041】
導電性粒子が金属微粒子である場合、金属微粒子としては、特に限定されないが、銀粉、銅粉、ニッケル粉、ハンダ粉、アルミニウム粉、銅粉に銀めっきを施した銀コート銅粉、高分子微粒子やガラスビーズ等を金属で被覆した微粒子等であってもよい。
これらの中では、経済性の観点から、安価に入手できる銅粉又は銀コート銅粉であることが望ましい。
【0042】
導電性粒子の平均粒子径D50は、特に限定されないが、0.5~15.0μmであることが望ましい。導電性粒子の平均粒子径が0.5μm以上であると、導電性樹脂の導電性が良好となる。導電性粒子の平均粒子径が15.0μm以下であると、導電性樹脂を薄くすることができる。
【0043】
導電性粒子の形状は、特に限定されないが、球状、扁平状、リン片状、デンドライト状、棒状、繊維状等から適宜選択することができる。
【0044】
導電性粒子の配合量は、特に限定されないが、15~80質量%であることが望ましく、15~60質量%であることがより望ましい。
【0045】
樹脂としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
【0046】
(導電性バンプ)
導電性バンプ14は、接着剤層13を貫き、グランド回路22aに接触することになる。
導電性バンプ14を、グランド回路22aと確実に接触するように設計することにより、グランド回路22a-導電性バンプ14間の接続抵抗を小さくすることができる。
【0047】
導電性バンプ14の形状は、特に限定されないが、円柱、三角柱、四角柱等の柱体状であってもよく、円錐、三角錐、四角錐等の錐体状であってもよい。
これらの中では、錐体状であることが望ましい。
導電性バンプ14の形状が錐体状であると、導電性バンプ14が接着剤層13を貫きやすくなり、グランド回路22aと接触しやすくなる。
そのため、グランド回路22a-導電性バンプ14間の接続抵抗が充分に小さくなる。
【0048】
1個当たりの導電性バンプ14の体積は、30000~400000μm3であることが望ましく、50000~400000μm3であることがより望ましい。
1個当たりの導電性バンプ14の体積が上記範囲内であると、導電性バンプ14がグランド回路22aにしっかり接触し、グランド回路22a-導電性バンプ14間の接続抵抗が小さくなる。
1個当たりの導電性バンプの体積が30000μm3未満であると、導電性バンプがグランド回路に接触しにくくなり、グランド回路-シールド層間の接続抵抗が大きくなりやすくなる。
1個当たりの導電性バンプの体積が400000μm3を超えると、接着剤層において、導電性バンプが占める割合が大きくなる。
そのため、接着剤層がある領域全体の比誘電率及び誘電正接が高くなりやすくなる。従って、伝送特性が悪化しやすくなる。
【0049】
複数の導電性バンプ14の高さ(
図1中、符号「H」で示す高さ)は略同一であることが望ましい。
複数の導電性バンプ14の高さが略同一であると、均等に複数の導電性バンプ14が接着剤層13を貫き、グランド回路22aと接触しやすくなる。
そのため、グランド回路22a-導電性バンプ14間の接続抵抗を小さくすることができる。
【0050】
導電性バンプ14の高さは、1~50μmであることが望ましく、5~30μmであることがより望ましい。
【0051】
なお、導電性バンプの形状、高さ、体積は、コンフォーカル顕微鏡(Lasertec社製、OPTELICS HYBRID、対物レンズ20倍)を用いて、バンプを形成したシールド層の表面の任意の5か所を測定した後、データ解析ソフト(LMeye7)を用い解析できる。2値化のパラメータは高さで、自動しきい値アルゴリズムはKittler法を用いた。
【0052】
導電性バンプ14の配置位置は、特に限定されないが、グランド回路22aと接触する位置のみに配置されていてもよく、等間隔に配列されていてもよい。
【0053】
導電性バンプ14は、樹脂組成物と導電性フィラーとからなることが望ましい。
すなわち、導電性バンプ14は、導電性ペーストからなっていてもよい。
導電性ペーストを用いることにより、導電性バンプ14を任意の位置に任意の形状で容易に形成することができる。
また、導電性バンプ14は、スクリーン印刷により形成されていてもよい。
導電性ペーストを用いてスクリーン印刷により導電性バンプ14を形成する場合、導電性バンプ14を任意の位置に任意の形状で容易にかつ効率よく形成することができる。
【0054】
導電性バンプ14が樹脂組成物と導電性フィラーとからなる場合、樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。
樹脂組成物の材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0055】
導電性バンプ14が樹脂組成物と導電性フィラーとからなる場合、導電性フィラーとしては、特に限定されないが、金属微粒子、カーボンナノチューブ、炭素繊維、金属繊維等であってもよい。
【0056】
導電性フィラーが金属微粒子である場合、金属微粒子としては、特に限定されないが、銀粉、銅粉、ニッケル粉、ハンダ粉、アルミニウム粉、銅粉に銀めっきを施した銀コート銅粉、高分子微粒子やガラスビーズ等を金属で被覆した微粒子等であってもよい。
これらの中では、経済性の観点から、安価に入手できる銅粉又は銀コート銅粉であることが望ましい。
【0057】
導電性フィラーの平均粒子径D50は、特に限定されないが、0.5~15.0μmであることが望ましい。
【0058】
導電性フィラーの形状は、特に限定されないが、球状、扁平状、リン片状、デンドライト状、棒状、繊維状等から適宜選択することができる。
【0059】
導電性バンプ14が樹脂組成物と導電性フィラーとからなる場合、導電性フィラーの重量割合は、30~99%であることが望ましく、50~99%であることがより望ましい。
【0060】
また、導電性バンプは、めっき法や蒸着法等により形成された金属からなっていてもよい。
この場合、導電性バンプは、銅、銀、スズ、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、及びこれらのいずれか1つ以上を含む合金からなることが望ましい。
めっき法や蒸着法は従来の方法を用いることができる。
【0061】
(接着剤層)
上記の通り電磁波シールドフィルム10は、接着剤層13によりプリント配線板20に接着されることになる。
【0062】
電磁波シールドフィルム10では、接着剤層13のシールド層12と反対側の面は平坦であることが望ましい。
この面が平坦であると、複数の導電性バンプ14が接着剤層13を均等に貫くことになる。
そのため、複数の導電性バンプ14が均等に複数のグランド回路22aに接触することになる。従って、グランド回路-シールド層間の接続抵抗を小さくすることができる。
【0063】
電磁波シールドフィルム10では、接着剤層13の厚さは、5~30μmであることが望ましく、8~20μmであることがより望ましい。
接着剤層の厚さが5μm未満であると、接着剤層を構成する樹脂の量が少ないため、充分な接着性能が得られにくい。また、破損しやすくなる。
接着剤層の厚さが30μmを超えると、全体が厚くなり、柔軟性が失われやすい。また、導電性バンプが接着剤層を貫きにくくなる。
【0064】
電磁波シールドフィルム10では、接着剤層13を構成する樹脂の周波数1GHz、23℃における、比誘電率は1~5であることが望ましく、2~4であることがより望ましい。
また、接着剤層13を構成する樹脂の周波数1GHz、23℃における、誘電正接は0.0001~0.03であることが望ましく、0.001~0.002であることがより望ましい。
このような範囲であると、電磁波シールドフィルム10を用いて製造するシールドプリント配線板30の伝送特性を向上させることができる。
【0065】
なお、電磁波シールドフィルム10では、接着剤層13は、導電性絶着剤層であってもよく、絶縁性接着剤層であってもよいが、接着剤層13は、比誘電率及び誘電正接を低くする観点から絶縁性接着剤層であることが望ましい。
上記の通り、電磁波シールドフィルム10は、接着剤層13によりプリント配線板30に接着されることになる。
上記接着剤層13が絶縁性接着剤層である場合、接着剤層13は導電性フィラー等の導電性物質を含まないため、比誘電率及び誘電正接が充分に小さくなる。この場合、電磁波シールドフィルム10を用いて製造されたシールドプリント配線板30では、伝送特性が良好になる。
【0066】
なお、接着剤層13が導電性を有する場合、接着剤層13は、導電性フィラー等の導電性物質を含むことになる。接着剤層13が、このような導電性物質を多く含むと、接着剤層13全体の比誘電率及び誘電正接が高くなりやすい。
その一方で、製造されるシールドプリント配線板30の伝送特性を良好にするためには、接着剤層13全体の比誘電率及び誘電正接は低い方が望ましい。
そのため、接着剤層13が導電性物質を含む場合であったとしても、接着剤層13全体の比誘電率及び誘電正接が低くなるように、その含有量は少ない方が望ましい。
【0067】
接着剤層13は、熱硬化性樹脂からなっていてもよく、熱可塑性樹脂からなっていてもよい。
【0068】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びアルキッド系樹脂等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、イミド系樹脂、及び、アクリル系樹脂が挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、アミド変性エポキシ樹脂であることがより望ましい。
これらの樹脂は、接着剤層を構成する樹脂として適している。
接着剤層の材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0069】
(プリント配線板)
電磁波シールドフィルム10が貼付されることになるプリント配線板20について以下に説明する。
【0070】
(ベースフィルム及びカバーレイ)
ベースフィルム21及びカバーレイ23の材料は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチックからなることが望ましい。このようなエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が挙げられる。
また、これらのエンジニアリングプラスチックの内、難燃性が要求される場合には、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく、耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが望ましい。なお、ベースフィルム21の厚みは、10~40μmであることが望ましく、カバーレイ23の厚みは、10~30μmであることが望ましい。
【0071】
開口部23aの大きさは特に限定されないが、0.1mm2以上であることが望ましく、0.3mm2以上であることがより望ましい。
また、開口部23aの形状は、特に限定されず、円形、楕円形、四角形、三角形等であってもよい。
【0072】
(プリント回路)
プリント回路22及びグランド回路22aの材料は、特に限定されず、銅箔、導電性ペーストの硬化物等であってもよい。
【0073】
電磁波シールドフィルム10がプリント配線板20に貼付されて製造されたシールドプリント配線板30は、本発明のシールドプリント配線板の一態様である。
【0074】
図2に示す、シールドプリント配線板30は、ベースフィルム21と、ベースフィルム21の上に形成された複数のグランド回路22aを含むプリント回路22と、プリント回路22を覆うカバーレイ23とを備え、カバーレイ23にはグランド回路22を露出する開口部が形成されているプリント配線板20と、保護層11と、保護層11に積層されたシールド層12と、シールド層12に積層された接着剤層13とからなり、接着剤層13側のシールド層12には複数の導電性バンプ14が形成されている電磁波シールドフィルム10からなり、電磁波シールドフィルム10の複数の導電性バンプ14は、接着剤層13を貫き、プリント配線板20の複数のグランド回路22aに接続している。
【0075】
シールドプリント配線板30では、電磁波シールドフィルム10の複数の導電性バンプ14は、接着剤層13を貫き、プリント配線板20の複数のグランド回路22aに接続している。
導電性バンプ14を、グランド回路22aと確実に接触するように設計することにより、グランド回路22a-導電性バンプ14間の接続抵抗を小さくすることができる。
【0076】
次に、本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例について図面を用いながら説明する。
図3A、
図3B、
図3C及び
図3Dは本発明のシールドプリント配線板の製造方法の一例を工程順に示す工程図である。
【0077】
(電磁波シールドフィルム準備工程)
本工程では、
図3Aに示すように、上記電磁波シールドフィルム10を準備する。
電磁波シールドフィルム10の望ましい構成等は既に説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0078】
(プリント配線板準備工程)
本工程では、
図3Bに示すように、プリント配線板20を準備する。
プリント配線板20の望ましい構成等は既に説明しているので、ここでの説明は省略する。
【0079】
(電磁波シールドフィルム配置工程)
本工程では、
図3Cに示すように、電磁波シールドフィルム10の接着剤層面が、プリント配線板20のカバーレイ23に接触するようにプリント配線板20に電磁波シールドフィルム10を配置する。
この際、グランド回路22aの上に導電性バンプ14が位置するようにする。
【0080】
(加圧工程)
本工程では、
図3Dに示すように、電磁波シールドフィルム10の複数の導電性バンプ14が、電磁波シールドフィルム10の接着剤層13を貫き、プリント配線板20の複数のグランド回路22aに接触するように加圧する。
【0081】
加圧の条件としては、例えば、1~5Pa、1~60minの条件が挙げられる。
【0082】
本発明のシールドプリント配線板の製造方法では、加圧工程の後、又は、同時に加熱を行い、電磁波シールドフィルム10の接着剤層13を硬化させてもよい。
【0083】
以上の工程を経て、シールドプリント配線板30を製造することができる。
【実施例】
【0084】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
(実施例1)
まず、第1剥離フィルムとして、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
【0086】
次に、第1剥離フィルムの剥離処理面にエポキシ樹脂を塗工し、電気オーブンを用い、100℃で2分間加熱し、厚さ7μmの保護層を作製した。
その後、保護層の上に、無電解めっきにより2μmの銅層を形成した。当該銅層は、シールド層となる。
【0087】
次に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とイソシアネートの混合物10重量部と、導電性フィラー(平均粒子径5μmの球状銀コート銅粉)90重量部とを混合し導電性ペーストを作製した。
なお、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂とイソシアネートの混合物の重量比は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:イソシアネート=100:0.2であった。
そして、導電性ペーストを銅層にスクリーン印刷することにより導電性バンプを形成した。
導電性バンプは形状が円錐状であり、高さ23μm、体積120000μm3であった。
なお、導電性バンプの形状、高さ、体積は、コンフォーカル顕微鏡(Lasertec社製、OPTELICS HYBRID、対物レンズ20倍)を用いて、バンプを形成したシールド層の表面の任意の5か所を測定した後、データ解析ソフト(LMeye7)を用い解析できる。2値化のパラメータは高さで、自動しきい値アルゴリズムはKittler法を用いた。
【0088】
次に、エポキシ樹脂100.0部、及び、有機リン系難燃剤49.6部を混合し、接着剤層用組成物を作製した。
【0089】
次に、第2剥離フィルムとして、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
そして、第2剥離フィルムの剥離処理面に接着剤層用組成物を塗工し、電気オーブンを用い、100℃で2分間加熱し、厚さ9μmの接着剤層を作製した。
【0090】
次に、第1剥離フィルムに形成された保護層と、第2剥離フィルムに形成された接着剤層とを貼り合わせ、第2剥離フィルムを剥離することにより実施例1に係る電磁波シールドフィルムを製造した。
【0091】
図4は、実施例1に係る電磁波シールドフィルムの断面写真である。
図4に示すように、実施例1に係る電磁波シールドフィルム10は、保護層11と、保護層11に積層されたシールド層12と、シールド層12に積層された接着剤層13とからなり、接着剤層13側のシールド層12には円錐状の導電性バンプ14が形成されている。
【0092】
(実施例2)及び(比較例1)
表1に示すように導電性バンプの高さ及び体積を変更した以外は、実施例1と同様に実施例2及び比較例1に係る電磁波シールドフィルムを製造した。
【0093】
【0094】
(比較例2)
まず、第1剥離フィルムとして、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
【0095】
次に、第1剥離フィルムの剥離処理面にエポキシ樹脂を塗工し、電気オーブンを用い、100℃で2分間加熱し、厚さ7μmの保護層を作製した。
その後、保護層の上に、無電解めっきにより2μmの銅層を形成した。当該銅層は、シールド層となる。
【0096】
次に、アミド変性エポキシ樹脂100.0部、銀コート銅粉(平均粒径D50:13μm)49.6部、及び、有機リン系難燃剤49.6部を混合し、導電性接着剤層用組成物を作製した。
【0097】
次に、第2剥離フィルムとして、片面に剥離処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。
そして、第2剥離フィルムの剥離処理面に導電性接着剤層用組成物を塗工し、電気オーブンを用い、100℃で2分間加熱し、厚さ9μmの導電性接着剤層を作製した。
【0098】
次に、第1剥離フィルムに形成された保護層と、第2剥離フィルムに形成された接着剤層とを貼り合わせ、第2剥離フィルムを剥離することにより比較例2に係る電磁波シールドフィルムを製造した。
【0099】
(伝送損失測定試験)
図5は、伝送損失測定試験における電磁波シールドフィルムの伝送損失の測定方法を模式的に示す模式図である。
電磁波シールドフィルムの伝送損失測定について、
図5に示すネットワークアナライザ41を用いて評価した。
ネットワークアナライザ41には、ローデ・シュワルツ社製のZVL6を用いた。ネットワークアナライザ41は、入力端子と出力端子とを有し、これらの夫々に接続用基板42が接続されている。この1対の接続用基板42の間に、測定対象のシールドプリント配線板30を空中に浮かした直線状態に支持されるように接続して測定を行う。シールドプリント配線板30は、100mmの長さのものを用いた。また、100kHz~20GHzの周波数範囲で測定を行った。また、温度25℃、相対湿度30~50%の雰囲気で測定を行った。ネットワークアナライザ41は、入力した信号が出力した信号に対してどれだけ減衰したかを、周波数10GHzにおいて測定した。測定した減衰量を伝送損失として表1に示す。減衰量がゼロに近いほど、伝送損失が少ないことを示す。
【0100】
(接続抵抗測定試験)
図6は、接続抵抗測定試験における電磁波シールドフィルムの抵抗値の測定方法を模式的に示す模式図である。
図6における、電磁波シールドフィルム110は、実施例1及び実施例2に係る電磁波シールドフィルムを模式的に示している。
電磁波シールドフィルム110は、保護層111と、保護層111に積層されたシールド層112と、シールド層112に積層された接着剤層113とからなり、接着剤層113側のシールド層112には複数の導電性バンプ114が形成されている。
また、接続抵抗測定試験では、ベースフィルム121と、ベースフィルム121の上に形成された複数の測定用プリント回路125と、測定用プリント回路125を覆うカバーレイ123とを備え、カバーレイ123には測定用プリント回路125を露出する開口部123aが形成されているモデル基板120を準備する。
なお、開口部123aは、直径が1mmの円形である。
【0101】
接続抵抗測定試験では、
図6に示すように、電磁波シールドフィルム110の導電性バンプ114が測定用プリント回路125に接触するように電磁波シールドフィルム110をモデル基板120に配置し、170℃、3Pa、3分間の条件で加圧・加熱後に150℃、1時間アフターキュアすることにより、電磁波シールドフィルム110をモデル基板120に貼付した。
その後、測定用プリント回路125間の抵抗値を抵抗計150で測定した。
【0102】
なお、比較例1に係る電磁波シールドフィルムは、導電性バンプがなく、接着剤層が導電性接着剤層である以外は、電磁波シールドフィルム110と同じ構成である。
比較例1に係る電磁波シールドフィルムも、上記方法と同様の条件で、モデル基板120に貼付し、測定用プリント回路125間の抵抗値を抵抗計150で測定した。
【0103】
各実施例及び比較例に係る電磁波シールドフィルムの接続抵抗試験の結果を表1に示す。
【0104】
表1に示すように、実施例1及び実施例2に係る電磁波シールドフィルムでは、伝送損失測定試験における伝送損失が小さく、接続抵抗測定試験における抵抗値が小さかった。
【符号の説明】
【0105】
10、110 電磁波シールドフィルム
11、111 保護層
12、112 シールド層
13、113 接着剤層
14、114 導電性バンプ
20 プリント配線板
21、121 ベースフィルム
22 プリント回路
22a グランド回路
23、123 カバーレイ
23a、123a 開口部
30 シールドプリント配線板
41 ネットワークアナライザ
42 接続用基板
120 モデル基板
125 測定用プリント回路
150 抵抗計