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特許7244538バイアルアダプタを薬物バイアルに取り付けるためのアセンブリ固定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】バイアルアダプタを薬物バイアルに取り付けるためのアセンブリ固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/14 20230101AFI20230314BHJP
   A61J 1/16 20230101ALI20230314BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
A61J1/14 390Z
A61J1/16 Z
A61J3/00 311Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020554507
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019025521
(87)【国際公開番号】W WO2019195381
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】62/652,964
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カンチェッリエリ,ジュード
(72)【発明者】
【氏名】エラルプ,キヴィルシム
(72)【発明者】
【氏名】マリシ,ポール,パイア
(72)【発明者】
【氏名】ハッガー,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ケネディー,ジェームス,ジェー,ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン,ダニエル
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106315483(CN,A)
【文献】国際公開第2017/066406(WO,A1)
【文献】特開2006-131285(JP,A)
【文献】特表2017-532107(JP,A)
【文献】特表2016-527975(JP,A)
【文献】実開平03-060949(JP,U)
【文献】米国特許第06006798(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/14
A61J 1/16
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアルアダプタをバイアルに取り付けるためのアセンブリ固定装置であって、
第1側部および当該第1側部の反対側に位置する第2側部を有するベースと、
前記ベースに固定され、第1端部及び当該第1端部の反対側に位置する第2端部を有す
る支持部材と、
前記支持部材に接続され、第1位置と第2位置との間で移動可能であるハンドルと、
前記ハンドルに接続されたバイアルアダプタグリップアセンブリであって、バイアルア
ダプタに係合し当該バイアルアダプタを保持するように構成されたアダプタグリップ部材
を含み、前記ハンドルが前記第1位置にある時の第1位置と前記ハンドルが前記第2位置
にある時の第2位置とを有する前記バイアルアダプタグリップアセンブリと、
前記ベースに接続されたバイアルグリップアセンブリとを備え、
前記バイアルグリップアセンブリは、互いに対して移動可能であり且つバイアルに係合して当該バイアルを保持するように構成され、各々が凹部を含むバイアル受け入れ表面を有する前記第1及び第2グリップ部材と、
センターリンクと、
前記センターリンクに固定された第1接続リンクと、
前記センターリンクに固定された第2接続リンクと、および、
前記第1及び第2グリップ部材の前記バイアル受け入れ表面と前記バイアルとの間にバイアル係合力を提供するべく、前記第1グリップ部材を前記第2グリップ部材に向かって付勢する引っ張りバネであって、前記センターリンクに固定された第1端部と、前記ベースに取り付けられた支柱に固定された第2端部とを有する前記引っ張りバネとを含み、
前記第1グリップ部材は、前記第1接続リンクに接続され、前記第2グリップ部材は前記第2接続リンクに接続され、前記第1接続リンクの第1方向での移動によって、前記第2接続リンクが前記第1方向とは反対の第2方向で移動し、
前記引っ張りバネから前記センターリンクと前記第1及び第2接続リンクを通して、前記第1及び第2グリップ部材の前記バイアル受け入れ表面への付勢力の伝達を介し、前記バイアル係合力は、前記第1及び第2グリップ部材間の距離が40mm未満である時にはほぼ一定であり、
前記ハンドルおよび前記バイアルアダプタグリップアセンブリの前記第1位置は、前記
バイアルに対するバイアルアダプタの組付けの前の初期位置に対応し、前記バイアルアダ
プタグリップアセンブリの前記第2位置は、前記バイアルアダプタの組付けの後の最終位
置に対応する装置。
【請求項2】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満であ
る時にはほぼ一定であり、且つ前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満
である時には、2.50-2.75Nである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満であ
る時にはほぼ一定であり、且つ前記第1および第2グリップ部材間の距離が14mmであ
る時には、2.50-2.75Nである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満であ
る時にはほぼ一定であり、前記第1および第2グリップ部材間の距離が14mmである時
には、2.50-2.75Nであり、且つ前記第1および第2グリップ部材間の距離が5
5mmである時には、3.00-3.25Nである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満であ
る時にはほぼ一定であり、且つ、前記第1および第2グリップ部材間の距離が5-55m
mである時には、2.50-3.25Nである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記センターリンクは、第1端部と前記第1端部の反対側に位置する第2端部とを有し
、前記センターリンクは中央枢軸回りで前記ベースに対して回転可能であり、前記第1接
続リンクは、前記センターリンクの前記第1端部に固定された第1端部と、前記第1接続
リンクの前記第1端部の反対側に位置する第2端部とを有し、前記第2接続リンクは、前
記センターリンクの前記第2端部に固定された第1端部と、前記第2接続リンクの前記第
1端部の反対側に位置する第2端部とを有する、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記バイアルグリップアセンブリは、前記第1接続リンクに固定された第1グリップリ
ンクと、前記第2接続リンクに固定された第2グリップリンクとを更に備え、前記ベース
は第1ガイド通路と第2ガイド通路とを形成し、前記第1グリップ部材は前記第1ガイド
通路を貫通して延出するファスナを介して前記第1グリップリンクに固定され、前記第2
グリップ部材は、前記第2ガイド通路を貫通して延出するファスナを介して前記第2グリ
ップリンクに固定される、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1及び第2グリップ部材は、それぞれ、カム表面とバイアル受け入れ表面とを備
え、前記第1及び第2グリップ部材の前記カム表面は、バイアルに係合しそして前記第1
及び第2グリップ部材を互いから離間移動させるように構成され、前記第1及び第2グリ
ップ部材の前記バイアル受け入れ表面はバイアルに係合するように構成されている、請求
項1に記載の装置。
【請求項9】
前記カム表面は、それぞれ、角度を有し、前記第1及び第2グリップ部材が互いの近傍
に位置する時に、協働でV形状を形成する、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び第2グリップ部材の前記バイアル受け入れ表面はそれぞれ、V形状凹部を
備える、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記ハンドルは、ハンドル支持部を介して前記支持部材に対して回転可能であり、前記
ハンドルはバネを介して前記第1位置に付勢されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ベースから延出する第1及び第2ガイド部材と、前記第1及び第2ガイド部材に沿
って移動可能なアダプタグリップベースとを更に備え、前記バイアルアダプタグリップア
センブリは前記アダプタグリップベースに固定され、前記ハンドルは前記アダプタグリッ
プベースによって受けられ且つ当該アダプタグリップベースに対して移動可能であり、前
記アダプタグリップベースは、前記ハンドルが前記第1位置から前記第2位置へと移動さ
れる時に、前記第1及び第2ガイド部材に沿って移動するように構成されている、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記バイアルアダプタグリップアセンブリは、バイアルアダプタに係合するように構成
された係合表面を有するプレス部材を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記アダプタグリップ部材は、アダプタ本体と、当該アダプタ本体から延出する第1及
び第2アダプタアームとを備え、前記第1及び第2アダプタアームは、それぞれ、前記ア
ダプタ本体に対して移動するように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1及び第2アダプタアームは、半球状表面を形成する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記アダプタグリップ部材は、前記第1及び第2アダプタアーム間に位置する長手スロ
ットを形成する、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記第1及び第2アダプタアームは、それぞれカム表面を含み、当該カム表面は、バイ
アルアダプタに係合し、且つ、バイアルアダプタに係合して当該バイアルアダプタを保持
するべく前記第1及び第2アダプタアームを径方向外方に付勢するように構成されている
、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記第1及び第2アダプタアームは、それぞれ、前記第1及び第2アダプタアームから
延出するリップ部を有する、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示全体がここに参考文献として組み込まれる、2018年4月5日に出願された「バイアルアダプタを薬物バイアルに取り付けるためのアセンブリ固定装置」と題された米国仮出願シリアル番号62/652,964の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、バイアルアダプタを薬物バイアルに取り付けるためのアセンブリ固定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
医薬品および溶媒は、多くの場合、ゴム、プラスチックまたはエラストマの栓、ストッパー、膜、または穿刺可能なキャップによって密封された、バイアル、ボトル、または袋などのガラスまたはプラスチックの容器として供給される。このようなシール部材は、薬剤の劣化や汚染を防ぎ、振とうによる容器の内容物の混合を可能にし、容器の内容物が漏れて周囲を汚染するのを防ぐ。流路および流路と連通する開口部を有するカニューレまたは中空スパイクが、通常、そのようなシール部材を通して挿入されて、流体を容器に供給し、そこから流体を引き出す。
【0004】
バイアルアダプタが、一般に、容器にアクセスするために使用され、容器のシール部材を貫通し、穿刺部材の遠位端に開口部を形成する穿刺部材を利用する。通常、前記穿刺部材がバイアルにアクセスした後、バイアルを逆さにして、薬剤を容器から引き出す。多くの従来のバイアルアダプタは、穿刺部材が完全にバイアルに入った後、容器またはバイアルにロックされる。バイアルアダプタを薬剤バイアルまたは容器に接続するために必要な力により、アセンブリ固定具が、通常、バイアルアダプタを薬剤バイアルに接続するのを支援するために使用される。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、バイアルアダプタをバイアルに取り付けるためのアセンブリ固定装置は、第1側部および当該第1側部の反対側に位置する第2側部を有するベースと、前記ベースに固定され、第1端部及び当該第1端部の反対側に位置する第2端部を備える支持部材と、前記支持部材に接続され、第1位置と第2位置との間で移動可能であるハンドルと、前記ハンドルに接続されたバイアルアダプタグリップアセンブリであって、バイアルアダプタに係合して当該バイアルアダプタを保持するように構成されたアダプタグリップ部材を備え、前記ハンドルが前記第1位置にある時の第1位置と前記ハンドルが前記第2位置にある時の第2位置とを有するバイアルアダプタグリップアセンブリと、前記ベースに接続されたバイアルグリップアセンブリとを備えている。前記バイアルグリップアセンブリは、互いに対して移動可能でありかつバイアルと係合して当該バイアルを保持するように構成された第1および第2のグリップ部材を含み、前記第1グリップ部材は、バイアル係合力を提供するべく前記第2グリップ部材に向かって付勢されている。前記バイアル係合力は、前記第1及び第2グリップ部材間の距離が40mm未満の場合、ほぼ一定である。前記バイアルグリップアセンブリは、バイアルのサイズに関係なく、スパイクがバイアルストッパの中央を貫通するように、前記バイアルをセンタリングするように構成されている。
【0006】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満である場合はほぼ一定であり、かつ、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満である時に、2.50-2.75Nでありうる。
【0007】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満である場合はほぼ一定であり、かつ、前記第1および第2グリップ部材間の距離が14mmである時には、2.50-2.75Nでありうる。
【0008】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満である場合はほぼ一定であり、且つ前記第1および第2グリップ部材間の距離が55mmである時には、3.00-3.25Nでありうる。
【0009】
前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材間の距離が40mm未満である場合はほぼ一定であり、且つ前記第1および第2グリップ部材間の距離が5-55mmである時には、2.50-3.25Nでありうる。
【0010】
前記バイアルグリップアセンブリは、センターリンク、当該センターリンクに固定された第1接続リンク、前記センターリンクに固定された第2接続リンク、および、前記第1グリップ部材が前記第1接続リンクに接続され前記第2グリップ部材が前記第2接続リンクに接続された状態で、前記第1グリップ部材を前記第2グリップ部材に向けて前記バイアル係合力で付勢する付勢部材、を更に含むことができ、そして、前記第1接続リンクの第1方向での移動によって、前記第2接続リンクが前記第1方向と反対の第2方向に移動する。前記センターリンクは、第1端部と前記第2端部の反対側に位置する第2端部とを備えることができ、ここで、前記センターリンクは中央枢軸回りで前記ベースに対して回転可能であり、前記第1接続リンクは、前記センターリンクの前記第1端部に固定された第1端部と、前記第1接続リンクの前記第1端部の反対側に位置する第2端部とを備え、そして、前記第2接続リンクは、前記センターリンクの前記第2端部に固定された第1端部と前記第2接続リンクの前記第1端部の反対側に位置する第2端部とを備える。前記付勢部材は、前記センターリンクに固定された第1端部と前記ベースに取り付けられた支柱に固定された第2端部とを備える引っ張りバネとして構成することができる。前記バイアルグリップアセンブリは、前記第1接続リンクに固定された第1グリップリンクと、前記第2接続リンクに固定された第2グリップリンクとを更に備えることができ、ここで、前記ベースは第1ガイド通路と第2ガイド通路とを形成し、そして、前記第1グリップ部材は前記第1ガイド通路を貫通して延出するファスナを介して前記第1グリップリンクに固定され、前記第2グリップ部材は、前記第2ガイド通路を貫通して延出するファスナを介して前記第2グリップリンクに固定される。
【0011】
前記第1及び第2グリップ部材は、それぞれ、カム表面とバイアル受け入れ表面とを備えることができ、ここで、前記第1及び第2グリップ部材の前記カム表面は、バイアルに係合しそして前記第1及び第2グリップ部材を互いから離間移動させるように構成され、そして、前記第1及び第2グリップ部材の前記バイアル受け入れ表面はバイアルに係合するように構成されている。前記カム表面は、それぞれ角度を有し、前記第1及び第2グリップ部材が互いの近傍に位置する時に、協働でV形状を形成するように構成することができる。前記第1及び第2グリップ部材の前記バイアル受け入れ表面はそれぞれ、V形状凹部を形成することができる。
【0012】
前記ハンドルは、ハンドル支持部を介して前記支持部材に対して回転可能とすることができ、ここで、前記ハンドルはバネを介して前記第1位置に付勢されている。
【0013】
前記装置は、前記ベースから延出する第1及び第2ガイド部材と、これら第1及び第2ガイド部材に沿って移動可能なアダプタグリップベースとを更に備えることができ、ここで、前記バイアルアダプタグリップアセンブリは前記アダプタグリップベースに固定され、前記ハンドルは前記アダプタグリップベースによって受けられかつ、当該アダプタグリップベースに対して移動可能であり、前記アダプタグリップベースは、前記ハンドルが前記第1位置から前記第2位置へと移動される時に前記第1及び第2ガイド部材に沿って移動するように構成されている。
【0014】
前記バイアルアダプタグリップアセンブリは、バイアルアダプタに係合するように構成された係合表面を更に備えるプレス部材を有することができる。前記アダプタグリップ部材は、アダプタ本体と、当該アダプタ本体から延出する第1及び第2アダプタアームとを備えることができ、ここで、前記第1及び第2アダプタアームは、それぞれ、前記アダプタ本体に対して移動するように構成されている。前記第1及び第2アダプタアームは、半球状表面を形成することができる。前記アダプタグリップ部材は、前記第1及び第2アダプタアーム間に位置する長手スロットを形成することができる。前記第1及び第2アダプタアームは、それぞれカム表面を備えることができ、当該カム表面は、バイアルアダプタに係合し、かつ、バイアルアダプタに係合して当該バイアルアダプタを保持するべく前記第1及び第2アダプタアームを径方向外方に付勢するように構成することができる。前記第1及び第2アダプタアームは、それぞれ、前記第1及び第2アダプタアームから延出するリップ部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一態様によるアセンブリ固定装置の斜視図である。
図2図1の装置の正面図である。
図3図1の装置の背面図である。
図4図1の装置の側面図である。
図5図1の装置の上面図である。
図6図1の装置の底面図である。
図7図1の装置の斜視図であって、明確化のためにカバープレートが取り外された状態を図示している。
図8図1の装置の斜視図であって、バイアルグリップアセンブリを図示している。
図9図1の装置の上面図であって、バイアルグリップアセンブリを図示している。
図10】本発明の一態様によるバイアルグリップ部材の上方斜視図である。
図11図10のバイアルグリップ部材の底面斜視図である。
図12】本発明の一態様によるバイアルアダプタグリップアセンブリの斜視図である。
図13図12のバイアルアダプタグリップアセンブリの底面図である。
図14】本発明の一態様によるアダプタグリップ部材の斜視図である。
図15図14のアダプタグリップ部材の上面図である。
図16】本発明の別の態様によるバイアルアダプタグリップアセンブリの上方斜視図である。
図17図16のバイアルアダプタグリップアセンブリの底面斜視図である。
図18】本発明の別の態様によるアダプタグリップ部材の底面図である。
図19図18のアダプタグリップ部材の斜視図である。
図20】従来のアセンブリ固定装置と図1のアセンブリ固定装置とに関する、第1及び第2グリップ部材間の距離(x軸)に対するバイアル係合力(y軸)を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以後記載の目的のために、「端」、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上」、「下」「側方」、「長手方向」などの用語およびそれらの派生語は、図に示されている向きで本発明に関連するものとする。しかしながら、本発明は、特に銘記されない限り、様々な代替のバリエーション及び工程シーケンスを想定することが可能であると理解される。又、添付の図面に図示され、以下の明細書に記載されている特定の装置及び方法は、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解される。したがって、ここに開示される実施例に関連する特定の寸法及び物理的特性は、限定的なものと見なされてはならない。更に、本発明は、特に銘記されない限り、様々な代替のバリエーション及び工程シーケンスを想定しうるものとも理解される。
【0017】
図1-20を参照すると、本発明の一態様による、バイアルアダプタをバイアルに取り付けるためのアセンブリ固定装置10は、ベース20と、当該ベース20に固定された支持部材22と、当該支持部材22に接続されたハンドル24と、前記ハンドル24に接続されたバイアルアダプタグリップアセンブリ26と、前記ベース20に接続されたバイアルグリップアセンブリ28とを有する。アセンブリ固定装置10は、バイアルアダプタをバイアルに固定するように構成されている。特に、前記バイアルアダプタグリップアセンブリ26は、バイアルアダプタに係合しこれを保持するように構成され、前記バイアルグリップアセンブリ28は、バイアルに係合しこれを保持するように構成され、前記ハンドル24は、前記バイアルアダプタグリップアセンブリ26によって保持されたバイアルアダプタを、前記バイアルグリップアセンブリ28によって保持されたバイアルに対して押し付けるように移動可能である。
【0018】
図1-9を参照すると、前記ベース20は、第1側部32と、当該第1側部32の反対側に位置する第2側部34とを有する。前記ベース20は、本体36から延出する一対の脚38を備える本体36を有する。前記ベース20は、更に、前記本体36上に位置するカバー40を有する。前記ベース20の前記カバー40は、第1及び第2ガイド通路41,42を有し、これらについては後に詳述する。
【0019】
図1-11を参照すると、前記バイアルグリップアセンブリ28は、互いに対して移動可能で、バイアルに係合しこれを保持するように構成された第1及び第2グリップ部材44,46を有する。前記第1グリップ部材44は、前記装置10の使用中に、前記第1及び第2グリップ部材44,46間にバイアルを固定するバイアル係合力を提供するべく前記第2グリップ部材46に向けて付勢されている。前記バイアル係合力は、理想的には、バイアルを破壊又は変形させる過剰な力を防ぎつつ、前記装置10の使用中にバイアルを安定に維持することを確保するために、両バイアルグリップ部材44,46間に位置するバイアルのサイズの如何に関わらず、ほぼ一定である。前記バイアルグリップアセンブリ28は、更に、センターリンク48と、当該センターリンク48に固定された第1接続リンク50と、前記センターリンク 48に固定された第2接続リンク52と、前記バイアル係合力を提供するべく前記第1グリップ部材44を前記第2グリップ部材46に向けて付勢する付勢部材54とを有する。前記第1グリップ部材44は前記第1接続リンク50に接続され、前記第2グリップ部材46は前記第2接続リンク52に接続され、前記第1接続リンク50の第1方向での移動によって、前記第2接続リンク52が前記第1方向とは反対の第2方向で移動。前記センターリンク48は、第1端部56とこの第1端部56の反対側の第2端部58とを有する。前記センターリンク48は、センター枢軸60回りで前記ベース20に対して回転可能であり、ここで、前記第1接続リンク50は、前記センターリンク48の前記第1端部56に固定された第1端部62と前記第1接続リンク50の前記第1端部62の反対側に位置する第2端部64とを有し、前記第2接続リンク52は前記センターリンク48の前記第2端部58に固定された第1端部66と、前記第2接続リンク52の前記第1端部66の反対側に位置する第2端部68とを有する。前記付勢部材54は、前記センターリンク48に固定された第1端部70と、前記ベース20に取り付けられた支柱74に固定された第2端部72とを有する引っ張りバネである。但し、その他の適当な付勢構成及び構造も利用可能である。
【0020】
前記バイアルグリップアセンブリ28は、更に、前記第1接続リンク50に固定された第1グリップリンク76と、前記第2接続リンク52に固定された第2グリップリンク78とを有する。前記第1グリップ部材44は、前記第1ガイド通路41を通って延出するファスナ80を介して前記第1グリップリンク76に固定され、前記第2グリップ部材46は、前記第2ガイド通路42を通って延出するファスナ80を介して前記第2グリップリンク78に固定されている。図8によりはっきりと図示されているように、前記第1及び第2グリップ部材44,46は、前記各第1及び第2接続リンク50,52と、前記各第1及び第2グリップリンク76,78とを通って前記各第1及び第2グリップ部材44,46内へと延出するネジ80を介して、各第1及び第2グリップリンク76,78に固定されている。前記第1及び第2グリップリンク76,78は、更に、それぞれ、前記各第1及び第2グリップリンク76,78から延出して前記各第1及び第2グリップ部材44,46によって受けられる支柱82を有している。前記第1及び第2接続リンク50,52は、それぞれ、前記センターリンク48に対して回転可能である。
【0021】
図10及び図11を参照すると、前記第1及び第2グリップ部材44,46は、それぞれ、カム表面84とバイアル受け入れ表面86とを有し、これら第1及び第2グリップ部材44,46のカム表面84は、バイアルに係合し、前記第1及び第2グリップ部材44,46を互いから離間移動するように構成されている。前記第1及び第2グリップ部材44,46の前記バイアル受け入れ表面86は、バイアルに係合し、バイアルをこれら第1及び第2グリップ部材44,46の間で固定保持するように構成されている。前記カム表面84は、それぞれ、傾斜するとともに、前記第1及び第2グリップ部材44,46が互いの近傍に位置する時に協働でV形状を形成する。前記カム表面84の前記形状と傾斜とによって、前記第1及び第2グリップ部材44,46の前記カム表面84に押し込まれたバイアルが、前記バイアルからの前記力を横断して作用する力を作り出し、それによって、前記第1及び第2グリップ部材44,46を開放して互いから離間させる。前記センターリンク48が回動することによって、前記グリップリンク76,78と前記接続リンク50,52とを通じた各グリップ部材44,46の前記センターリンク48への接続を介して前記第1及び第2グリップ部材44,46が同じ距離で共に移動することが確実にされる。前記バイアルは、前記第1及び第2グリップ部材44,46が、これら第1及び第2グリップ部材44,46の前記バイアル受け入れ表面86間でバイアルを受け入れるのに十分開口するまで、前方に押され、ここで、前記バイアル係合力によって、前記装置10の作動中にバイアルが固定される。前記第1及び第2グリップ部材44,46それぞれの前記バイアル受け入れ表面86は、V形状凹部として形成することができる。但し、その他の適当な形状および構成も利用可能である。前記第1及び第2グリップ部材44,46は、更に、それぞれ、これら第1及び第2グリップ部材44,46から延出するガイド突起88を備えている。前記第1及び第2グリップ部材44,46の前記ガイド突起88は、前記ベース20の前記各第1及び第2ガイド通路41,42内に受け入れられ、これらの内部で並進する。
【0022】
図1-5を参照すると、前記ハンドル24は、第1位置と第2位置との間で移動可能である。具体的には、前記ハンドル24は、前記ベース20に固定された第2端部96を備える前記支持部材22の第1端部94に固定されたハンドル支持体92を介して前記支持部材22に対して回転可能である。前記ハンドル24は、バネ98を介して前記第1位置へと付勢されている。前記バネ98は、トーションバネとすることができる。但し、その他の適当なバネも利用可能である。一態様において、前記ハンドル24は、円筒状でほぼU形状に形成されるが、その他の適当な形状および構成も利用可能である。
【0023】
図1-5及び12-19を参照すると、前記バイアルアダプタグリップアセンブリ26は、バイアルアダプタに係合しこれを保持するように構成されたアダプタグリップ部材100と、バイアルアダプタに係合するように構成された係合表面104を備えるプレス部材102とを有している。前記バイアルアダプタグリップアセンブリ26は、前記ハンドル24が前記第1位置にある時の第1位置と、前記ハンドル24が前記第2位置にある時の第2位置とを有する。前記バイアルアダプタグリップアセンブリ26の前記第1位置は、バイアルに対するバイアルアダプタの組付けの前の初期位置に対応したものとすることができ、そして、前記バイアルアダプタグリップアセンブリ26の前記第2位置は、バイアルに対するバイアルアダプタの組付けの後の最終位置に対応したものとすることができる。前記装置10は、更に、前記ベース20から延出する第1及び第2ガイド部材106,108と、これら第1及び第2ガイド部材106,108に沿って移動可能なアダプタグリップベース110とを有する。前記第1及び第2ガイド部材106,108は、円筒状である。但し、他の適当な形状および構成も利用可能である。前記バイアルアダプタグリップアセンブリ26は、前記アダプタグリップベース110に固定されている。前記ハンドル24は、前記アダプタグリップベース110によって受けられ、かつ、それに対して移動可能であり、前記アダプタグリップベース110は前記ハンドル24が前記第1位置から前記第2位置へと移動する時に、前記第1及び第2ガイド部材106,108に沿って移動するように構成されている。より具体的には、前記ハンドル24は、前記アダプタグリップベース110の一対のラグ112によって受けられ、前記ハンドル24の一部は当該ハンドル24が前記第1位置から前記第2位置へと移動する時に前記ラグ112を通ってスライドする。前記ハンドル24の下方移動によって、前記アダプタグリップベース110とバイアルアダプタグリップアセンブリ26とは、前記ガイド部材106,108に沿って下方に強制移動され、ここで、前記ハンドル24が下方に移動を続けるにつれてハンドル24は前記ラグ112を通ってスライドする。前記ハンドル24を上方に移動させるか、もしくは、前記バネ98がハンドル24を上方に付勢することを可能にすることによって前記プロセスが逆転し、ハンドル24とアダプタグリップベース110の前記ラグ112との間の係合によって前記アダプタグリップベース110を上方に移動させる。前記アダプタグリップベース110と前記ガイド部材106,108とは、前記ハンドル24が前記ハンドル支持体92によって形成される軸心回りで揺動する時にバイアルアダプタグリップアセンブリ26が前記第1及び第2位置の間で直線移動することを可能にする。前記ハンドル24と前記アダプタグリップベース110との間の前記スライド移動によって、前記ハンドル24の前記回転移動を前記アダプタグリップベース110の前記直線移動に変換することが可能となる。但し、その他の適当な構成も利用可能である。
【0024】
図12-19を参照すると、種々のバイアルアダプタに適合するべく、前記アダプタグリップ部材100とプレス部材102との単数または複数の構成を提供することが可能である。例えば、図12-15に図示されている前記アダプタグリップ部材100とプレス部材102とは、Becton,Dickinson and Company社から市販されているPhaSealTMバイアルアダプタに係合しこれを保持するように構成されている。図16-19に図示の前記アダプタグリップ部材100とプレス部材102とは、別のバイアルアダプタ構成に係合しそれを保持するように構成されている。但し、前記アダプタグリップ部材100とプレス部材102とは、以下の詳述する類似の特徴構成を備えている。
【0025】
前記アダプタグリップ部材100は、アダプタ本体120と、この本体120から延出する第1及び第2アダプタアーム122,124とを有し、前記第1及び第2アダプタアーム122,124はそれぞれ、前記本体120に対して移動するように構成されている。より具体的には、それらの形状により、前記第1及び第2アダプタアーム122,124は、バイアルアダプタによって係合された時に、径方向外方に偏向するように構成されている。前記第1及び第2アダプタアーム122,124は、ポリマー、エラストマ材又はその他任意の適当な材料などの熱可塑性材料から形成することができる。前記第1及び第2アダプタアーム122,124は、半球状係合表面126を形成する。但し、その他の適当な形状および構成も利用可能である。前記アダプタグリップ部材100は、前記第1及び第2アダプタアーム122,124間に位置する長手スロット128を形成し、長手スロット128は、前記第1及び第2アダプタアーム122,124の前記偏向を容易にする。前記プレス部材102は、単数または複数のファスナ130を介して前記アダプタグリップ部材100に固定され、前記プレス部材102は単数または複数のファスナ130を介して前記アダプタグリップベース110に固定されている。前記プレス部材102の前記係合表面104は、バイアルアダプタが前記アダプタ本体120の前記半球状係合表面126に当接する時に、当該係合表面104がバイアルアダプタの上方に位置するように、前記第1及び第2アダプタアーム122,124に対してアラインメントされるとともに、これらアームの上方に位置している。前記第1及び第2アダプタアーム122,124は、それぞれ、カム表面132を有し、このカム表面132は、バイアルアダプタに係合して、バイアルアダプタに係合しそれを保持するべく前記第1及び第2アダプタアーム122,124を径方向外方に付勢するように構成されている。より具体的には、前記第1及び第2アダプタアーム122,124の前記カム表面132のバイアルアダプタとの係合によって、前記第1及び第2アダプタアーム122,124を径方向外方に強制移動させ、前記バイアルアダプタの一部分が前記半球状係合表面126に当接する。前記第1及び第2アダプタアーム122,124は、バイアルアダプタをバイアルに対して固定する位置でバイアルアダプタに係合し、これを保持する。図19に図示されているように、前記第1及び第2アダプタアーム122,124は、それぞれ、これら第1及び第2アダプタアーム122,124から延出するリップ部134を備えることができる。
【0026】
図20を参照すると、前記装置10の前記バイアルグリップアセンブリ28は、当該装置10との接続に利用されるバイアルのサイズの如何に関わらず、一定のバイアル係合力を提供するように構成されている。図20は、従来のアセンブリ固定装置と図1-19のアセンブリ固定装置とに関する、バイアルグリップ部材間の距離(mm)に対する力(N)を示す。一態様において、前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材44,46間の距離が40mm未満である場合はほぼ一定である。別の態様において、前記第1および第2グリップ部材44,46間の距離が40mm未満である時には、前記バイアル係合力は、2.50-2.75Nである。別の態様において、前記第1および第2グリップ部材44,46間の距離が14mmである時には、前記バイアル係合力は、2.50-2.75Nであり、前記第1および第2グリップ部材44,46間の距離が55mmである時には、前記バイアル係合力は、3.00-3.25Nである。更に別の態様において、前記バイアル係合力は、前記第1および第2グリップ部材44,46間の距離が5-55mmである時には、2.50-3.25Nである。前記第1および第2グリップ部材44,46間の距離は、種々のサイズの直径を有する種々のサイズのバイアルに対応する。
【0027】
本発明のいくつかの例示的実施例を、そのいくつかの好適な実施例を参照してここに図示し記載したが、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、形状および詳細における種々の変更を行うことが可能であることが当業者によって理解されるであろう。
図1
図2
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