(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】タグボート
(51)【国際特許分類】
B63B 21/04 20060101AFI20230314BHJP
B63B 35/66 20060101ALI20230314BHJP
B63B 21/56 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B63B21/04 B
B63B35/66
B63B21/56 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021163316
(22)【出願日】2021-10-04
(62)【分割の表示】P 2020545453の分割
【原出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-10-25
(32)【優先日】2017-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520164563
【氏名又は名称】スバイツァー アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バングスルンド,トーマス
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】蘭国特許発明第01010650(NL,C)
【文献】米国特許出願公開第2006/0102060(US,A1)
【文献】特開2002-046688(JP,A)
【文献】特開昭61-057485(JP,A)
【文献】実開昭50-017994(JP,U)
【文献】米国特許第05529010(US,A)
【文献】米国特許第04706594(US,A)
【文献】国際公開第97/011876(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/04
B63B 21/08
B63B 21/56
B63B 35/66
B63B 35/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグボート上に設置するための索処理システムであって、
前記タグボートは、操縦する船舶を支援するためのものであり、かつ、外辺部を有する船体を備え、
前記索処理システムは、
前記索処理システムが前記タグボート上に設置されているときに、前記船舶の索を前記外辺部の所定の領域に向かって誘導するために、前記船体から離れて突出する、または前記船体から離れて突出するために位置決め可能である索誘導機構と、
前記索処理システムが前記タグボート上に設置されているときに、前記船舶の前記索が前記外辺部の前記所定の領域にある場合に前記船舶の前記索を第2の索に連結するための作動可能連結機構と、
を備え、
前記作動可能連結機構が、コネクタを前記船舶の前記索及び前記第2の索に付けることによって、前記船舶の前記索を前記第2の索に連結するためのものであると共に、
前記作動可能連結機構が、前記コネクタを前記船舶の前記索及び前記第2の索の周りに巻き付けるように構成される、索処理システム。
【請求項2】
前記索誘導機構が少なくとも1つの誘導装置を備え、
前記誘導装置または各誘導装置は、前記索処理システムが前記タグボート上に設置されているときに、前記船体から離れて突出する、または前記船体から離れて突出するために位置決め可能であるガイドアームを備える、請求項1に記載の索処理システム。
【請求項3】
前記索処理システムが前記タグボート上に設置されているときに、前記ガイドアームが前記船体に対して移動可能である、請求項2に記載の索処理システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの誘導装置が、第1及び第2の誘導装置を備える、請求項2または3に記載の索処理システム。
【請求項5】
前記第1及び第2の誘導装置は、前記第1及び第2の誘導装置のそれぞれのガイドアームが互いに向かって移動可能であり、かつ、互いから離れて移動可能であるように配置される、請求項4に記載の索処理システム。
【請求項6】
前記索処理システムが、前記船舶の前記索が前記外辺部の前記所定の領域にあるときに、前記船舶の前記索と係合するための索係合部を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の索処理システム。
【請求項7】
前記索係合部が、前記船舶の前記索及び前記第2の索を受け取るための連結ゾーンを画定し、
前記索係合部が、2つの突起を有する分岐点を備え、前記連結ゾーンが前記突起によって及び前記突起の間に画定され、
前記連結ゾーンは、前記索誘導機構によって誘導された前記船舶の前記索及び前記索誘導機構によって誘導された前記第2の索を受け取る、請求項6に記載の索処理システム。
【請求項8】
前記作動可能連結機構が、前記船舶の前記索及び前記連結ゾーン内の前記第2の索の存在を検出するためのセンサを備える、請求項7に記載の索処理システム。
【請求項9】
前記センサがタッチセンサおよび/または近接センサである、請求項8に記載の索処理システム。
【請求項10】
前記センサが、前記船舶の前記索及び前記連結ゾーン内の前記第2の索の存在に応じて信号を出力するためのものである、請求項8または9に記載の索処理システム。
【請求項11】
前記作動可能連結機構が、前記信号に基づいて前記コネクタを付けるように構成される、請求項10に記載の索処理システム。
【請求項12】
前記索誘導機構が、前記索処理システムが前記タグボート上に設置されているときに、前記船体に対する前記ガイドアームの移動を駆動するための駆動機構を備える、請求項3または請求項3に従属するときの請求項4~11のいずれか一項に記載の索処理システム。
【請求項13】
前記索誘導機構が、前記駆動機構を制御するためのユーザー操作可能コントローラを備える、請求項12に記載の索処理システム。
【請求項14】
操縦する船舶を支援するためのタグボートであって、
請求項1~13のいずれか1項に記載の前記索処理システムと、
前記外辺部を有する前記船体と、
を備える、タグボート。
【請求項15】
前記索処理システムが、請求項2~
5のいずれか1項に記載のものであり、
前記ガイドアームが、回転軸に遠位の前記ガイドアームの端部を、前記タグボートの船首方向及び船尾方向に伸びる軸に向かって及び軸から離れて移動させるように前記回転軸の周りで前記船体に対して回転可能である、請求項14に記載のタグボート。
【請求項16】
前記索誘導機構が、前記外辺部の前記所定の領域に向かって前記船舶の前記索を誘導するために前記船体から離れて突出する展開位置と、前記索誘導機構が、前記船体から離れて突出しない、または前記展開位置でよりも少ない範囲で前記船体から離れて突出する収納位置との間で、前記索誘導機構が前記船体に対して移動可能である、請求項14または15に記載のタグボート。
【請求項17】
前記索誘導機構が、前記索誘導機構が前記外辺部の前記所定の領域に向かって前記タグボートの索の一部分の移動を誘導するためである操作位置まで、前記船体に対して移動可能である、請求項14~16のいずれか1項に記載のタグボート。
【請求項18】
前記第2の索が前記タグボートの前記索である、請求項17に記載のタグボート。
【請求項19】
前記索処理システムが、前記索誘導機構がそれに向かって前記船舶の前記索を誘導できる前記外辺部の前記所定の領域を変えるように前記船体に対して移動可能である、請求項14~18のいずれか1項に記載のタグボート。
【請求項20】
前記索処理システムが、前記索誘導機構がそれに向かって前記船舶の前記索を誘導できる前記外辺部の前記所定の領域を変えるように、前記船体を通過する軸の回りで前記船体に対して回転可能である、請求項19に記載のタグボート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦する船舶を支援するためのタグボートに関する。
【背景技術】
【0002】
タグボートは、他の船を押すことまたは曳航することにより、別の船を操縦するのに役立つ。例えば、混雑した港でまたは狭い運河内のコンテナ船等の他の船が、それ自体の推進力で移動することを許されない場合もあれば、廃船等の他の船が、それ自体の推進力で移動できない場合もある。
【0003】
タグボートが(コンテナ船等の)別の船を曳航できるようにするためには、タグボートと他の船との間に曳航索を伸ばし、タグボート及び他の船に曳航索を固定する必要がある。この曳航索を提供する1つの方法は、船間で強度(及び通常は直径)が増大する索を連続して交換することを伴う。例えば、(例えば、直径12ミリメートルの)ヒービングラインの端部を、他の船の船首部または船尾部から等、他の船からタグボートに投げることが知られている。ヒービングラインの端部は、通常、他の船からタグボートの甲板上等の、タグボート上の熟練甲板員(AB)に投げられる。ABはヒービングラインを捕らえ、ヒービングラインを、タグボートに格納されている(例えば、直径24ミリメートルの)メッセンジャーラインに結び付ける。メッセンジャーラインは、やはりタグボートに格納され、タグボートに取り付けられている(例えば、直径76ミリメートルの)曳航索に取り付けられる。ヒービングラインはその後メッセンジャーラインになり、次いで曳航索になり、その結果、例えば他の船のキャプスタンを使用し、他の船に引き上げられる。曳航索は、次いで他の船でボラードの上に配置されることによって等、他の船に取り付けられる。タグボートは、次いでタグボートと他の船との間に伸びる曳航索を使用し、他の船を操縦することができる。
【0004】
他の船のヒービングラインは、多くの場合、軽量で風に敏感であるため、タグボートに向けてヒービングラインを正確に投げることは困難である場合がある。したがって、ヒービングラインに(「猿手」または「モンキーフィスト」としても知られる)大きな結び目を結び付けることによって等、投げるヒービングラインの端部の重量を増加させることが知られている。例のモンキーフィスト結び目を
図13に示す。一部の場合には、ヒービングラインの端部を正確に投げることを助けるために、結び目の中に金属体(例えば、ボルト)等の追加の重りが含まれる。しかしながら、ABは、ヒービングラインのモンキーフィストが当たるとけがをすることがあるので、これは望ましくない。さらに、極端な場合には、タグボートの甲板等タグボート自体が、重いモンキーフィストの衝撃により損傷を受ける場合がある。
【0005】
さらに、海上でまたは大きい港における状況により、タグボートの乗組員がメッセンジャーライン等のタグボートの索をつかむ、またはタグボートの索をヒービングライン等の他の船の索に位置合わせし、結び付けることが困難になる場合がある。
【0006】
本発明の実施形態は、上述の問題に対処することを目的とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、操縦する船舶を支援するためのタグボートを提供し、タグボートは、外辺部を有する船体、及び索誘導機構を含む索処理システムを含み、索誘導機構は、船舶の索を外辺部の所定の領域に向かって誘導するために船体から離れて突出する、または突出するために位置決め可能である。
【0008】
索誘導機構は、外辺部の所定領域に向かって船舶の索を誘導するためであるので、(ヒービングライン等の)索を、タグボートの甲板または甲板に立っているABもしくは他の乗組員に向かってよりむしろ、索誘導機構に向かって投げることが可能である。したがって、船舶から投げられる索によりタグボートの乗組員がけがをする可能性は低くなり、タグボート自体が損傷を受ける可能性は低くなる。
【0009】
任意選択で、索処理システムは、船舶の索が外辺部の所定の領域にあるときに船舶の索と係合するための索係合部を含む。
【0010】
任意選択で、索誘導機構は少なくとも1つの誘導装置を含み、この誘導装置または各誘導装置は、船体から離れて突出する、または船体から離れて突出するために位置決め可能であるガイドアームを含む。
【0011】
任意選択で、ガイドアームは、船体に対して移動可能である。
【0012】
任意選択で、ガイドアームは、船体に対して回転可能である。任意選択で、ガイドアームは、タグボートの船首方向及び船尾方向に伸びる軸に向かって及び軸から離れて、回転軸に遠位のガイドアームの端部を移動させるように、回転軸の回りで船体に対して回転可能である。
【0013】
任意選択で、少なくとも1つの誘導装置は、第1の及び第2の係る誘導装置を含む。さらに任意選択で、第1の及び第2の誘導装置は、第1の及び第2の誘導装置のそれぞれのガイドアームが、互いに向かって及び互いから離れて移動可能であるように配置される。
【0014】
任意選択で、この誘導装置または各誘導装置は、外辺部の所定の領域に向かってそれぞれの誘導装置のガイドアームに沿って索を駆動するためにそれぞれの誘導装置のガイドアームに対して移動可能である二次ガイドを含む。
【0015】
任意選択で、二次ガイドは、外辺部の所定の領域に向かってそれぞれの誘導装置のガイドアームに沿って索を駆動するために、それぞれの誘導装置のガイドアームに対して回転可能である。
【0016】
任意選択で、少なくとも1つの誘導装置は、第1の及び第2の誘導装置のそれぞれの二次ガイドが、互いに向かって及び船体に対して移動可能であるように配置された第1の及び第2の係る誘導装置を含む。
【0017】
任意選択で、第1の及び第2の誘導装置のそれぞれの二次ガイドの船体に対する移動中、二次ガイドは、二次ガイドの一方または両方に沿って移動するクロスオーバー点で互いを越える。
【0018】
任意選択で、第1の及び第2の誘導装置の各二次ガイドのそれぞれは、放物線形状を有する。
【0019】
任意選択で、ガイドアームは船体に対して移動可能であり、索誘導機構は、船体に対するガイドアームの移動を駆動するための駆動機構を含む。
【0020】
任意選択で、索誘導機構は、駆動機構を制御するためのユーザー操作可能コントローラを含む。
【0021】
任意選択で、タグボートは、船体及びそれぞれの誘導装置のガイドアームに対する二次ガイドの移動を駆動するための駆動装置を含む。
【0022】
任意選択で、タグボートは、駆動装置を制御するためのユーザー操作可能コントローラを含む。
【0023】
任意選択で、索誘導機構は、索誘導機構が外辺部の所定の領域に向かって船舶の索を誘導するために船体から離れて突出する展開位置と、索誘導機構が船体から離れて突出しない、または展開位置でより少ない範囲で船体から離れて突出する収納位置との間で船体に対して移動可能である。
【0024】
任意選択で、索処理システムは、船舶の索が外辺部の所定領域にあるときに船舶の索を第2の索に連結するための作動可能連結機構を含む。
【0025】
任意選択で、作動可能連結機構は、コネクタを船舶の索及び第2の索に付けることによって船舶の索を第2の索に連結するためである。
【0026】
任意選択で、索誘導機構は、索誘導機構が、外辺部の所定の領域に向かってタグボートの索の一部分の移動を誘導するためである操作位置まで、船体に対して移動可能である。
【0027】
任意選択で、第2の索はタグボートの索である。
【0028】
任意選択で、索処理システムは、索誘導機構がそれに向かって船舶の索を誘導できる外辺部の所定の領域を変えるように船体に対して移動可能である。さらに任意選択で、索処理システムは、索誘導機構がそれに向かって船舶の索を誘導できる外辺部の所定の領域を変えるように、船体を通過する軸の回りで船体に対して回転可能である。任意選択で、軸はタグボートのヨー軸に対して実質的に平行である。
【0029】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照してほんの一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタグボートの実施例の部分的な概略上面図を示し、タグボートの索処理システムの索誘導機構は、タグボートの船体の甲板の上のまたは甲板に隣接した収納位置にある。
【
図2】
図1のタグボートの概略正面図を示し、索誘導機構は、索誘導機構が船体の外辺部の所定の領域に向かってタグボートの索の一部分を誘導するためである操作位置に移動されている。
【
図3】
図2のタグボートの概略正面図を示し、索誘導機構は、船体の外辺部の所定の領域に向かって船舶の索を誘導するためにタグボートが位置している水域で、索誘導機構が船体から離れて突出する展開位置に移動している。
【
図4】タグボートの索が、索誘導機構により船体の外辺部の所定の領域に誘導されていることがわかる
図3のタグボートの部分的な概略上面図を示す。
【
図5】タグボートが支援される船舶に現在隣接しており、船舶の索が索誘導機構の2本のガイドアームの一方の上に垂らされている
図3及び
図4のタグボートの部分的な概略上面図を示す。
【
図6】船舶の索が上に垂れ下がっているガイドアームが、ガイドアームの遠位端がタグボートの船首方向及び船尾方向に伸びる軸により近くなるように、船体に対して回転されている
図5のタグボートの部分的な概略図を示す。
【
図7】船体の外辺部の所定の領域に向かってガイドアームに沿って船舶の索を駆動するために、索誘導機構の二次ガイドがガイドアームに対して回転されている
図6のタグボートの部分的な概略上面図を示す。
【
図8】ガイドアームから船舶の索を持ち上げ、外辺部の所定の領域に向かって索をさらに運ぶために、二次ガイドがガイドアームに対してさらに回転されている
図7のタグボートの部分的な概略上面図を示す。
【
図9】索処理システムの作動可能連結機構の索係合部が、作動可能連結機構の連結ゾーンの索との位置合わせを補助するために移動している
図8のタグボートの部分的な概略上面図を示す。
【
図10】作動可能連結機構に注目し、明確にするためにそこから索処理システムのいくつかの他の構成要素が省略されている
図9のタグボートの詳細な概略上面図を示す。
【
図11】作動可能連結機構によりコネクタを使用し、連結されているとしての索の部分的な概略側面図である。
【
図12】タグボートの索処理システムが、
図4に示す状態に戻り、索がコネクタにより接続され、作動可能連結機構の連結ゾーンから取り除かれている
図10のタグボートの部分的な概略上面図を示す。
【
図13】モンキーフィスト結び目の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係るタグボート1の実施例の部分的な概略上面図を示す。タグボート1は、操作するコンテナ船等の船舶を支援するためである。
【0032】
タグボート1は、外辺部Pを有する船体11を含む。一部の実施形態では、船体11の外周部Pの少なくとも一部は、タグボート1のフェンダーにより画定される場合があるが、他の実施形態では、フェンダーが省略されてもよい。また、タグボート1は外辺部Pの中に甲板12、及び甲板12の上に操舵室18も有する。タグボート1は、さらに、索15を格納するための1対の索ストア16を有する。本実施形態では、索ストア16のそれぞれは、ウインチの形をとっているが、他の実施形態では、索ストア16の一方または他方が、スプールまたは任意の他の適切な供給品等の任意の他の適切な形をとってもよい。本実施形態では、索ストア16は、甲板12の上に位置しているが、他の実施形態では、索ストア16は、甲板の下方等、他の場所に位置してもよい。一部の実施形態では、2つ以上の索ストア16がある場合もあれば、1つしか索ストア16がない場合もあれば、索ストア16がない場合もある。一部の実施形態では、索(複数可)15は、使用されていないとき、単に甲板12自体に格納される。
【0033】
本実施形態では、索ストア16により格納された索15は(当技術分野で牽引索としても知られる)曳航索15である。曳航索15は、任意の市販の曳航索15であってよく、強いだけではなく、浮かぶほど十分に軽い合成材料から作られてよい。曳航索15は、例えば、それぞれ直径76ミリメートルを有する。図には示されていないが、曳航索15のそれぞれの自由端は、例えば、支援される船舶のボラードへの曳航索15の自由端の取り付けを補助するために、スプライスアイ等の小環を有する場合がある。曳航索15の追加の詳細は、簡略にするためにここでは提供しない。
【0034】
タグボート1は、本実施形態ではメッセンジャーライン13である追加の索13も運ぶ。メッセンジャーライン13は、例えば、24ミリメートルの直径を有する場合がある。メッセンジャーライン13は、タグボート1により支援される船舶にタグボート1から曳航索15を引っ張る過程で使用するためである。本実施形態では、メッセンジャーライン13は、使用されていないとき甲板12自体に格納される。しかしながら、他の実施形態では、メッセンジャーライン13は、甲板12の上または甲板の下方の索ストア内等、他の場所に格納される場合がある。
図1では、メッセンジャーライン13は、第1の端部が曳航索15の一方の自由端に連結されて示される。例えば、曳航索15の自由端が小環を有するとき、メッセンジャーライン13の第1の端部は、小環に取り付けられてよい。他の実施形態では、メッセンジャーライン13は、曳航索15に取り付けられなくてよい、または少なくとも初めは取り付けられなくてよい。
【0035】
メッセンジャーライン13の反対の第2の端部は、船体11の外辺部Pの上に掛っているまたは垂れ下がっているとして
図1に示される。本実施形態では、メッセンジャーライン13は、タグボート1の船首端部に設けられる。しかしながら、タグボート1が位置する水域に対するタグボート1の移動のために、メッセンジャーライン13は、タグボート1の右舷側に沿って船首の中心から船尾に向かって水によって引き寄せられる。一部の実施形態では、メッセンジャーライン13は、設けられているときフェンダー上等、船体上に設けられた1つ以上の溝、リブ、または他の特徴により、実質的にタグボート1の左舷または右舷側に沿って移動することを阻止されるまたは妨げられる場合がある。これらの特徴は、メッセンジャーライン13が、船首からどれほど遠く移動できるのかを受け入れ、制限する場合がある。
【0036】
メッセンジャーライン13の第2の端部は、メッセンジャーライン13の第2の端部の浮揚を補助するために浮力要素を含む場合がある。さらに、一部の実施形態では、メッセンジャーライン13の一部分は、非常に目立つように着色される場合がある。メッセンジャーライン13のこの部分は、メッセンジャーライン13の第2の端部から一定の距離(例えば、約1メートル)伸びてよい。メッセンジャーライン13のこの非常に目立つ部分は、タグボート1のABまたは乗組員の他のメンバーが、メッセンジャーライン13の位置、及び特にメッセンジャーライン13が、使用されていないとき正しく収納されているかどうかを確認するのに役立つ場合がある。他の実施形態では、メッセンジャーライン13の浮力要素及び/また非常に目立つ部分は省略される場合がある。
【0037】
図1では、メッセンジャーライン13の中間部分は、甲板12上のビットまたは他のガイド14を通して伸びていると示されている。ビットまたはガイド14は、メッセンジャーライン13及び曳航索15を、使用時には索ストア16から誘導するのに役立ち、曳航索15の一方または両方をタグボート1にしっかりと取り付けるためにもさらに使用されてよい。しかしながら、他の実施形態では、メッセンジャーライン13は、ビットまたは他のガイド14を通って伸びるように配置されない場合もあれば、ビットまたは他のガイド14が省略される場合もある。メッセンジャーライン13の追加の詳細は、簡略にするためにここでは提供しない。
【0038】
タグボート1は、索処理システム10も有する。索処理システム10は、
図2に示すように、操作位置まで船体11に対して移動可能である索誘導機構100を含む。操作位置で、索誘導機構100は、船体11の外辺部Pの所定の領域Rに向かってタグボート1の索の一部分を誘導するためである。本実施形態では、索誘導機構100により誘導されるタグボート1の索は、メッセンジャーライン13であるが、他の実施形態では、メッセンジャーライン13以外のタグボートの索が、索誘導機構100によって誘導されてもよい。このようにして外辺部Pの所定の領域R内にまたは近くにタグボート1の索を位置決めすることにより、以下により詳細に説明するように、タグボート1の索を、タグボート1が支援する船舶の索にその後連結することを補助できる。
【0039】
本実施形態では、外辺部Pの所定領域Rは、タグボート1の船首方向及び船尾方向に伸びる中心軸A-A上の船体11の船首端部にある。しかしながら、他の実施形態では、外辺部Pの所定の領域Rは、例えばタグボート1の船尾に、またはタグボート1の左舷側もしくは右舷側にあってよい。外辺部Pの所定の領域Rが本実施形態の場所以外の場所にあるとき、索処理システム10は、船体11に対して他の場所に移転される場合もあれば、それ以外の場合、相応して外辺部Pの所定の領域Rの場所の相違に対応するために修正される場合もある。一部の実施形態では、索処理システム10は、索誘導機構100がそれに向かってタグボート1の索を誘導できる外辺部Pの所定の領域Rを変えるように、船体11に対して、例えば船体11を通過する軸の回りで回転可能等、移動可能であってよい。係る軸は、甲板12を通過する場合がある。軸は、タグボート1のヨー軸に実質的に平行であってよい。索処理システム10は、タグボート1がタグボート1により支援される船舶に対して移動する間、このようにして移動可能であってよい。索処理システムのこの可動性は、索処理システム10が、タグボート1の索の船舶の索に対する以後の連結を容易にする外辺部Pの特定の部分に向かってタグボート1の索を誘導できるようにするために役立つ場合がある。外辺部Pの部分は、例えば、船舶に最も近い外辺部Pの一部であってもよい。
【0040】
図1では、索誘導機構100は収納位置に示されている。本実施形態では、収納位置で、索誘導機構100は、船体11の外辺部Pの中に位置する。より具体的には、本実施形態では、収納位置で、索誘導機構100は、甲板12の上または甲板12に隣接し、かつ船体11の端縁の作業面の下方に位置する。索誘導機構100は、収納位置にあるとき、甲板12に平行または実質的に平行であってよい。したがって、索誘導機構100は、乗組員及びタグボート1の設備の操作の妨げになる可能性は低い。さらに、索誘導機構100は、作業面に沿って、曳航索15等の索の移動を中断する可能性は低い。しかしながら、他の実施形態では、収納位置で、索誘導機構100は、船体11の上縁の上もしくは上方、または船体11の外辺部Pの外部等、他の場所に位置する場合がある。
【0041】
本実施形態では、索誘導機構100は、第1の及び第2の誘導装置110、120、ならびに第1及び第2誘導デバイス110、120の間の中間部分130を含む。本実施形態では、第1誘導装置110は左舷側に位置し、第2の誘導装置120は右舷側に位置する。しかしながら、他の実施の形態では、第1の及び第2の誘導装置110、120は、左舷側または右舷側の両方等、他の状態に配置されてよい。一部の実施形態では、第1の及び第2の誘導装置110、120の一方または他方が省略される場合があり、そのため索誘導機構100は、1つの誘導装置110、120しか含まない。
【0042】
本実施形態では、第1誘導装置110は第1のガイドアーム111を含み、第2の誘導装置120は第2のガイドアーム121を含む。また、本実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121のそれぞれは、中間部分130から遠位である遠位端111d、121d、中間部分130に隣接する反対の近位端を有し、第1の及び第2のガイドアーム111、121のそれぞれは、近位端と遠位端との間で第1の及び第2のガイドアーム111、121の他方から離れて外向きにしなるように曲げられる。しかしながら、他の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121の一方またはそれぞれは異なるように形作られてもよい。例えば、一部の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121の一方またはそれぞれは、別の非線形経路をたどる場合もあれば、まっすぐまたは実質的にまっすぐである場合もある。
【0043】
本実施形態では、索誘導機構100は、
図1の収納位置と
図2の操作位置との間で船体11に対して移動可能である。より具体的には、本実施形態では、索誘導機構100は、甲板12に実質的に平行である軸B-Bの周りで収納位置と操作位置との間で回転可能である。本実施形態では、索誘導機構100がその周りで収納位置と操作位置との間で回転可能である軸B-Bは、タグボート1の幅に実質的に平行である。しかしながら、他の実施形態では、索処理システム10が船首端部以外のタグボート1上のどこかに位置する実施形態のいくつか等の他の実施形態では、索誘導機構100がその周りで収納位置と操作位置との間で回転可能である軸B-Bは、本実施形態以外であってよい。例えば、軸B-Bは、タグボート1の幅に垂直もしくは斜め等、タグボート1の幅に平行ではない場合がある、及び/または甲板12に垂直もしくは斜め等、甲板12に平行ではない場合がある。さらに、一部の実施形態では、収納位置と操作位置の間で船体11に対する索誘導機構100の移動は、並進または回転及び並進の組み合わせ等、回転以外である場合もある。
【0044】
本実施形態では、及び
図1に示すように、索誘導機構100は、索誘導機構100の船体11に対する操作位置への及び操作位置からの移動を駆動するためのドライバ140、ならびにドライバ140を制御するためのユーザー操作可能コントローラ19を含む。ドライバ140は、任意選択でモータ(複数可)と索誘導機構100との間にドライブトレインまたはギアボックスを備えた、1つ以上の電気モータまたは他のモータ等、任意の適切な形をとってよい。一部の実施形態では、ドライバ140は、油圧シリンダまたは他のアクチュエータを含んでよい。ユーザー操作可能コントローラ19は、操舵室18内にあるが、他の実施形態では、ユーザー操作可能コントローラ19は、甲板12上等、他の場所にあってもよい。ユーザー操作可能コントローラ19は、ボタン(複数可)、ダイヤル(複数可)、ジョイスティック(複数可)、またはタッチスクリーン等の、ユーザーがコントローラ19にコマンドを入力するための1つ以上の入力装置を含んでよい。一部の実施形態では、索誘導機構100は、収納位置と操作位置との間等、操作位置へ及び操作位置から手動で移動可能であってよい。
【0045】
索誘導機構100が
図2の操作位置にあるとき、第1の及び第2のガイドアーム111、121は船体から離れて上方に突出し、使用中、ガイドアーム111、121のうちのどちらか一方の上にくるタグボート1の索の一部分が、索が上にくるガイドアーム111、121に沿って、及びガイドアーム111、121の遠位端111d、121dから離れて外辺部Pの所定の領域Rに向かって移動することを促すように構成される。この移動の促進は、索にかかる重力の作用に起因する、及び/または索の一部分が、タグボート1が位置する水域内にあり、索を下方に引き寄せる力を生じさせるように水により引っ張られることに起因する場合もある。
【0046】
本実施形態では、この移動を促す第1の及び第2のガイドアーム111、121の構成は、第1の及び第2のガイドアーム111、121の幾何学形状及び表面特性、ならびに船体11に対する第1の及び第2のガイドアーム111、121の位置決めを含む。より具体的には、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、それらに沿った索の移動に対する障害を回避または削減するように形作られる。さらに、第1の及び第2のガイドアーム111、121のそれぞれは、それらに沿った索の摺動、転がり、または他の移動を促進するために滑らかである。実際には、索がそれに沿って移動してよいすべての表面が、索が引っかかるのを回避するように、滑らかに曲げられ、鋭いまたは尖った特徴がないことが好ましい。さらに、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、第1の及び第2のガイドアーム111、121のどちらかに沿った索の一部分の移動が、外辺部Pの所定の領域Rに向かう移動であるように、船体11に対して位置合わせされる。他の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、これらの特徴のいずれかまたはすべてを有する場合がある、及び/または外辺部Pの所定の領域Rに向かうこの索の移動を促すのに役立つ他の特徴を有する場合がある。
【0047】
上述したように、本実施形態では、メッセンジャーライン13の第2の端部は、船体11の外辺部Pの上に掛かっているまたは垂れ下がっているとして
図1に示されている。メッセンジャーライン13の位置合わせは、索誘導機構100が収納位置にあるときにメッセンジャーライン13の一部が第2のガイドアーム121の上にくるようである。したがって、索誘導機構100が、
図1の収納位置と
図2の操作位置との間で船体11に対して移動すると、第2のガイドアーム121の上にくるメッセンジャーライン13の一部は船体11から離れて持ち上げられる。操作位置に近づくにつれ、第2のガイドアーム121は甲板に対してますます垂直または鉛直になるので、メッセンジャーライン13の一部は、概して船体11、及びタグボート1が位置する水域に向かう方向で増す力を経験する。索誘導機構100が
図2の操作位置に到達すると、メッセンジャーライン13の一部は、
図2の矢印により示されるように、それが索誘導機構100の移動中にすでに行っていない場合、外辺部Pの所定の領域Rに向かって第2のガイドアーム121に沿って摺動する、転がる、またはそれ以外の場合移動する。メッセンジャーライン13は、このようにして下がる、またはそれ以外の場合、外辺部Pの所定の領域Rの中に移動する。
【0048】
本実施形態では、索誘導機構100が収納位置にあるとき、以下により詳細に説明する第1の及び第2の誘導装置110、120のそれぞれの二次ガイド112、122が第1の及び第2のガイドアーム111、121の上にくることに留意されたい。これは、収納位置にあるときに索誘導機構100を相対的にコンパクトするのに役立ち、二次ガイドアーム112、122が、それ以外の場合、収納位置と操作位置との間の索誘導機構100の移動中に船体11のへりに接触するまたは干渉するのを回避するためである。二次ガイド112、122は、第1の及び第2のガイドアーム111、121の一方または他方に沿った索(本実施形態では、メッセンジャーライン13)の移動が二次ガイド112、122により阻止される確率を削減するように、索誘導機構100が操作位置に到達する前または後に、それぞれの誘導装置110、120の第1の及び第2のガイドアーム111、121に対して移動される。
【0049】
本実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121のそれぞれは、各回転軸111p、121pの周りで船体11に対して回転可能である。本実施形態では、係る回転により、回転軸111p、121pに遠位のガイドアーム111、121のそれぞれの遠位端111d、121dは、タグボート1の船首方向及び船尾方向に伸びる中心軸AーAに向かって及び中心軸A-Aから離れて移動する。索誘導機構100がタグボート1の他の場所に位置する実施形態では、船体11に対するガイドアーム111、121の回転により、遠位端111d、121dは、タグボート1の異なる方向に伸びる軸に向かって及び軸から離れて移動する場合がある。一部の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121のそれぞれは、代わりに、並進または回転及び並進の組み合わせにより等、異なるように船体11に対して移動可能であってよい。
【0050】
本実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、互いに向かって及び互いから離れて移動可能である。より具体的には、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、ガイドアーム111、121の遠位端111d、121dを互いに向かって及び互いから離して移動させるように、それぞれの回転軸111p、121pの周りで船体11に対して回転可能である。第1の及び第2のガイドアーム111、121がこのようにして移動する能力は、以下に説明するように、例えば、収納位置にあるときに索誘導機構100を相対的にコンパクトするのに役立つこと、索誘導機構100が操作位置にあるときにタグボート1の索がガイドアーム111、121の一方または他方に沿って移動する速度を制御するために、ガイドアーム111、121の傾斜角度を調整することを可能にすること、及び索誘導機構100が展開位置にあるときに支援される船舶の索の捕捉を補助すること等、いくつかの利点を提供できる。
【0051】
本実施形態では、索誘導機構100が操作位置にあるとき、索誘導機構100の第1の及び第2のガイドアーム111、121ならびに中間部分130は、ともにU形を実質的に画定する。しかしながら、中間部分130が相対的に小さい一部の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121ならびに中間部分130は、ともにV形を実質的に画定する場合がある。同様に、中間部分130が省略される実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121が、ともにV形を実質的に画定する場合がある。
【0052】
本実施形態では、索処理システム100は、タグボート1の索が船体11の外辺部Pの所定の領域Rにあるとき、タグボート1の索と係合するための索係合部230を含む。本実施形態では、索係合部230は、タグボート1の索の一部分を挿入可能である連結ゾーン250を画定する。本実施形態の索係合部230は、以下により詳細に説明する作動可能連結機構200の一部である。しかしながら、他の実施形態では、索係合部230は、本実施形態の形とは異なる形をとる場合がある。
【0053】
本実施形態の索誘導機構100は、操作位置と展開位置との間で船体11に対して移動可能である。
図3及び
図4はそれぞれ、索誘導機構100が展開位置にあるときを除き、
図1及び
図2のタグボート1の概略正面図及び部分的な概略上面図を示す。本実施形態では、操作位置は、索誘導機構100の収納位置と展開位置との間にあるが、他の実施形態では、位置は異なる順序であってよい。索誘導機構100が展開位置にあるとき、索誘導機構100は、船体11の外辺部Pの所定の領域Rに向かって船舶の索を誘導するために船体11から離れて突出する。船舶は、タグボート1が操縦を支援する船であろう。より具体的には、索誘導機構100が展開位置にあるとき、索誘導機構100は、船体11の外辺部Pから離れて、及びタグボート1が位置する水域上に突出する。船舶の索をこのようにして外辺部Pの所定の領域R内にまたは近くに位置決めすると、以下により詳細に説明するように、タグボート1の索の船舶の索への以後の連結を補助できる。
【0054】
索誘導機構100は、外辺部Pの所定の領域Rに向かって船舶の索を誘導するためであるので、船舶の(ヒービングライン等の)索を、タグボート1の甲板12または甲板12の上に立っているABもしくは他の乗組員に向かってよりむしろ、索誘導機構100に向かって投げることが可能である。したがって、船舶から投げられる索により、タグボート1の乗組員がけがをする可能性は低く、タグボート1自体が損傷を受ける可能性は低い。
【0055】
一部の実施形態では、索処理システム10は、索誘導機構100がそれに向かって船舶の索を誘導できる外辺部Pの所定の領域Rを変えるように、船体11に対して、例えば船体11を通過する軸の周りで回転可能等、移動可能であってよい。係る軸は、甲板12を通過してよい。軸は、タグボート1のヨー軸に実質的に平行であってよい。索誘導機構100、及びより具体的にはガイドアーム111、121により画定された目に見える「ターゲット」は、船舶に対向するように位置決めされ得るので、索処理システムのこの可動性は、船舶の索をタグボート1に無事に投げることを容易にし得る。索処理システム100は、タグボート1及び船舶が互いに対して移動する間にこのようにして移動可能であってよく、そのため「ターゲット」は、船舶に対するタグボート1の位置に関わりなく船舶の視点から同じ状態のままである。
【0056】
本実施形態の索誘導機構100は、それぞれ
図4及び
図1に示す展開位置と収納位置との間で船体11に対して移動可能である。上述したように、索誘導機構100は、本実施形態では収納位置にあるとき、船体11から離れて突出しない。しかしながら、他の実施形態では、索誘導機構100は、収納位置にあるときは船体11から離れてであるが、任意選択で、索誘導機構100が展開位置にあるときよりもより少ない範囲で突出する場合がある。
【0057】
本実施形態では、索誘導機構100は、甲板12とタグボート1の幅に実質的に平行である軸B-Bの周りで操作位置と展開位置の間で回転可能である。しかしながら、上述したように、他の実施形態では、軸B-Bは、タグボート1の幅及び/または甲板12に平行ではない場合がある。一部の実施形態では、操作位置と展開位置との間の回転は、軸B-B以外の軸の周りである場合がある。さらに、一部の実施形態では、操作位置と展開位置との間での船体11に対する索誘導機構100の移動は、並進または回転及び並進の組み合わせ等、回転以外であってよい。本実施形態では、ドライバ140は、ユーザー操作可能コントローラ19の制御下で船体11に対して展開位置への及び展開位置からの索誘導機構100の移動を駆動するためであるが、他の実施形態では、索誘導機構100は、他のなんらかの方法で移動させられてよい。一部の実施形態では、索誘導機構100は、操作位置と展開位置との間等、展開位置へ及び展開位置から手動で移動可能であってよい。
【0058】
上述したように、本実施形態の索誘導機構100は、それぞれがガイドアーム111、121のそれぞれの1つを含む、第1の及び第2の誘導装置110、120を含む。索誘導機構100が展開位置にあるとき、ガイドアーム111、121は船体11から離れて突出する。さらに、やはり上述したように、本実施形態の第1の及び第2のガイドアーム111、121のそれぞれは、互いに向かって及び互いから離れてガイドアーム111、121のそれぞれの遠位端111d、121dを移動させるように、それぞれの回転軸111p、121pの周りで船体11に対して回転可能である。本実施形態では、索誘導機構100が展開位置にあるとき、回転軸111p、121pは、船体11の外辺部Pから内向きに位置する。他の実施形態では、回転軸111p、121pは、船体11の外辺部P上にまたは外辺部Pから外向きに位置してよい。船舶の(ヒービングライン等の)索は、第1の及び第2のガイドアーム111、121の間で受け入れられることが意図される。遠位端111d、121dを互いから離して移動させると、ガイドアーム111、121が、タグボート1の移動中に掃引できる領域の幅が拡大する。同様に、これは、その後依然として船体11の外辺部Pの所定の領域Rに向かって索誘導機構100により誘導可能でありながら、船舶の索を投げ込んでよい領域も拡大する。
【0059】
本実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、船体11に対して互いとは無関係に移動可能である。しかしながら、他の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、船体11に対して互いに依存して移動可能であってよい。本実施形態では、及び
図1に示すように、索誘導機構100は、船体11に対する第1の及び第2のガイドアーム111、121の移動を駆動するための駆動機構142、及び駆動機構142を制御するためのユーザー操作可能コントローラを含む。駆動機構142は、任意選択でモータ(複数可)と第1の及び第2のガイドアーム111、121との間にドライブトレインまたはギアボックスを備えた、1つ以上の電気モータまたは他のモータ等、任意の適切な形をとってよい。一部の実施形態では、駆動機構142は、油圧シリンダまたは他のアクチュエータを含んでよい。本実施形態では、ユーザー操作可能コントローラ19は、上述され、操舵室18に位置するものである。しかしながら、他の実施形態では、駆動機構142を制御するためのユーザー操作可能コントローラは、上述のユーザー操作可能コントローラ19とは別個である場合がある、及び/または甲板12上等、他の場所に位置してよい。駆動機構142を制御するためのユーザー操作可能コントローラは、ボタン(複数可)、ダイヤル(複数可)、ジョイスティック(複数可)、またはタッチスクリーン等の、ユーザーがコントローラ19にコマンドを入力するための1つ以上の入力装置を含んでよい。一部の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、船体11に対して手動で移動可能であってよい。
【0060】
一部の追加の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121は、索誘導機構100が展開位置にあるとき船体11に対して移動できない、または実質的に移動できない場合がある。係る実施形態では、船舶の索は、タグボート1を船舶の索に対して移動させることによって索係合部230に向かって移動するよう促される場合がある。
【0061】
図3及び
図4では、及び
図2に示す配置と比較して、第1の及び第2のガイドアーム111、121が、ガイドアーム111、121の遠位端111d、121dがさらに離れて広がるように船体11に対して移動されていることが分かる。実際に、本実施形態では、遠位端111d、121dは、タグボート1の船幅(つまり、最大幅)よりも大きい距離、離間される。他の実施形態では、遠位端111d、121dは、タグボート1の船幅以下の距離、離間される場合がある。
【0062】
図5では、
図3及び
図4のタグボート1は、現在、タグボート1により操縦される船舶2に隣接している。船舶は、例えば、コンテナ船であってよい。さらに、本実施形態ではヒービングライン20である船舶2の索20の一部分は、船舶2の位置から索誘導機構100の第1のガイドアーム111の船尾に投げられており、誘導機構100の第1のガイドアーム111の上に垂れ下がっている。ヒービングライン20は、例えば12ミリメートルの直径を有してよい。船舶2のヒービングライン20が、このようにして索誘導機構100の第1のガイドアーム111上に垂れ下がると、ヒービングライン20はその後、索誘導機構100により船体11の外辺部Pの所定の領域Rに向かって誘導できるようになる。
【0063】
より具体的には、及び
図6を参照すると、船舶2のヒービングライン20が上に垂れ下がる第1のガイドアーム11は船体11に対して回転されており、そのため第1のガイドアーム111の遠位端111dは、タグボート1の船首方向及び船尾方向に伸びる中心軸A-Aのより近くに移動する。これは、ヒービングライン20を、船体11の外辺部Pの所定の領域Rのより近くに引き寄せる効果を有する。
【0064】
ヒービングライン20は、次いで、簡略に上述した索誘導機構100の二次ガイド112、122により船体11の外辺部Pの所定の領域Rのさらにより近くに誘導される。索誘導機構100の誘導装置110、120のそれぞれは、二次ガイド112、122のそれぞれ1つを含む。第1の二次ガイド112は、外辺部Pの所定の領域Rに向かって第1のガイドアーム111に沿って索を駆動するために第1のガイドアーム111に対して移動可能である。同様に、第2の二次ガイド122は、外辺部Pの所定の領域Rに向かって第2のガイドアーム121に沿って索を駆動するために第2のガイドアーム121に対して移動可能である。さらに、本実施形態では、第1の及び第2の誘導装置110、120の二次ガイド112、122の船体11に対する移動は、二次ガイド112、122の互いに向かう移動を含む。
【0065】
本実施形態では、二次ガイド112、122は、ガイドアーム111、121に対して回転可能であるが、他の実施形態では、ガイドアーム111、121に対する二次ガイド112、122の移動は、並進または回転及び並進の組み合わせ等、回転以外であってよい。本実施形態では、二次ガイド112、122の回転は、船体11に対するガイドアーム111、121の回転と同じそれぞれの軸の周りである。すなわち、二次ガイド112、122は、第1の及び第2のガイドアーム111、121と同じ回転軸111p、121pの周りで回転可能である。しかしながら、他の実施形態では、二次ガイド112、122は、第1の及び第2のガイドアーム111、121の回転軸111p、121p以外の回転軸の周りで回転可能であってよい。
【0066】
一部の実施形態では、第1の及び第2の二次ガイド112、122は、船体11及びそれぞれのガイドアーム111、121に対して互いとは無関係に移動可能である。しかしながら、他の実施形態では、第1の及び第2の二次ガイド112、122は、船体11及びそれぞれのガイドアーム111、121に対して互いに依存して移動可能であってよい。本実施形態では、及び
図1に示すように、索誘導機構100は、船体11及びそれぞれのガイドアーム111、121に対する第1の及び第2の二次ガイド112、122の移動を駆動するための駆動装置144、ならびに駆動装置144を制御するためのユーザー操作可能コントローラを含む。駆動装置144は、任意選択でモータ(複数可)と第1の及び第2の二次ガイド112、122との間にドライブトレインまたはギアボックスを備えた、1つ以上の電気モータまたは他のモータ等、任意の適切な形をとってよい。一部の実施形態では、駆動装置144は、油圧シリンダまたは他のアクチュエータを含んでよい。本実施形態では、ユーザー操作可能コントローラ19は、上述され、操舵室18に位置するものである。しかしながら、他の実施形態では、駆動装置144を制御するためのユーザー操作可能コントローラは、上述のユーザー操作可能コントローラ19とは別個である場合がある、及び/または甲板12上等、他の場所に位置してよい。駆動装置144を制御するためのユーザー操作可能コントローラは、ボタン(複数可)、ダイヤル(複数可)、ジョイスティック(複数可)、またはタッチスクリーン等の、ユーザーがコントローラにコマンドを入力するための1つ以上の入力装置を含んでよい。一部の実施形態では、第1の及び第2の二次ガイド112、122は、船体11及びそれぞれのガイドアーム111、121に対して互いに手動で移動可能であってよい。
【0067】
本実施形態では、第1ガイドアーム111は、第1ガイドアーム111に沿って途中に位置するインジケータまたはマーカMを含む。インジケータまたはマーカMは、第1ガイドアーム111上の位置または領域を示す。より具体的には、インジケータまたはマーカMは、第1の二次ガイド112が、外辺部Pの所定の領域Rに向かって第1のガイドアーム111に沿って索20を駆動するために移動する前に船舶2の索20が位置しなければならない第1のガイドアーム111上の位置または領域を示す。領域は、インジケータまたはマーカMと、第1のガイドアーム111の回転軸111pとの間の領域であってよい。乗組員は、インジケータまたはマーカMに対する索20の位置または進行を視覚的にモニタできる。乗組員が、索20がインジケータまたはマーカMにより示される第1のガイドアーム111上の位置または領域にあることに気づくと、乗組員は、外辺部Pの所定の領域Rに向かって第1のガイドアーム111に沿って索20を駆動するために第1の二次ガイド112の移動を生じさせる。この因果関係が、乗組員が駆動装置144を制御するためにユーザー操作可能コントローラを操作することに起因する場合もあれば、乗組員の第1の二次ガイド112の手動の移動に起因する場合もある。したがって、インジケータまたはマーカMは、第1の二次ガイド112による第1のガイドアーム111に沿った索20の以後の駆動の成功のために、索20が第1のガイドアーム111上に正しく位置決めされていることを確実にするのに役立つ。
【0068】
本実施形態では、インジケータまたはマーカMは、第1のガイドアーム111の遠位端111dに対してより、第1のガイドアーム111の回転軸111pに対してより近くに位置する。しかしながら、他の実施形態では、索誘導機構100の幾何学形状に応じて、インジケータまたはマーカMは、回転軸111pと第1ガイドアーム111の遠位端111dとの間の中間に位置する場合もあれば、第1のガイドアーム111の回転軸111pに対してよりも第1のガイドアーム111の遠位端111dに対してより近くに位置する場合がある。
【0069】
インジケータまたはマーカMは、任意の適切な形態をとる場合がある。例えば、インジケータまたはマーカMは、第1ガイドアーム111上の点で(例えば塗装により)塗布されたマーキングである場合もあれば、(色等の)異なる外観を有する第1ガイドアーム111の2つの部分が接触する第1のガイドアーム111上の点である場合もある。インジケータまたはマーカMは、好ましくは、第1ガイドアーム111に沿った索20の移動と干渉しない。
【0070】
本実施形態では、第2ガイドアーム121は、第2の二次ガイド122が、外辺部Pの所定の領域Rに向かって第2のガイドアーム121に沿って索を駆動するために移動する前に船舶の索が位置するべきである第2のガイドアーム121の位置または領域を示すために、第2のガイドアーム121に沿って途中に位置する係るインジケータまたはマーカMも含む。他の実施形態では、第1の及び第2のガイドアーム111、121の一方だけが係るインジケータまたはマーカMを含んでよい(または第1の及び第2のガイドアーム111、121のどれも係るインジケータまたはマーカMを含まない場合がある)。
【0071】
図7を参照すると、二次ガイド112、122の両方とも、
図6に示す状況と比較して、船体11及び第1のガイドアーム111に対して回転されている。これは、本実施形態において、第1の二次ガイド112を船舶2のヒービングライン20と接触させ、次いで第1のガイドアーム111に沿って、及び船体11の外辺部Pの所定の領域Rに向かってより近くにヒービングライン20を駆動する効果を有する。
【0072】
図8を参照すると、二次ガイド112、122の両方とも、
図7に示す状況と比較して、船体11及び第1のガイドアーム111に対してさらに回転されている。これは、本実施形態において、船舶2のヒービングライン20を第1のガイドアーム111から持ち上げ、さらに船体11の外辺部Pの所定の領域Rに向かってヒービングライン20を運ぶ効果を有する。
【0073】
図7及び
図8から、それぞれの二次ガイド112、122の船体11に対する移動中、二次ガイド112、122が、二次ガイド112、122の両方に沿って移動するクロスオーバー点Xで互いを越えることに留意されたい。他の実施形態では、二次ガイド112、122の幾何学形状及び動作は、クロスオーバー点Xが、二次ガイド112、122の一方だけに沿って移動するようであってよい。この越えることは、二次ガイド112、122及び船体11が、ヒービングライン20及びメッセンジャーライン13が中に位置する空間をともに取り囲むことを意味する。これは、ヒービングライン20及びメッセンジャーライン13を索誘導機構100に対して保持するのに役立つ。さらに、本実施形態では、二次ガイド112、122のそれぞれは放物線形状を有する。これは、クロスオーバー点Xが鋭角を形成することを回避するのに役立ち、二次ガイド112、122がクロスオーバー点Xでヒービングライン20を捕らえるまたは挟むリスクを削減する。一部の実施形態では、二次ガイド112、122の幾何学形状は、二次ガイド112、122が絶対に互いを越えないようであってよい。さらに追加の実施形態では、二次ガイド112、112の一方または両方とも省略される場合がある。
【0074】
図8の状況では、タグボート1のメッセンジャーライン13及び船舶2のヒービングライン20の両方とも、現在船体11の外辺部Pの所定の領域Rに位置している。さらに、2本の索13、20は、二次ガイド112、122及び船体11により取り囲まれた空間内にある。2本の索13、20はここで、簡略に上述したが、
図9~
図12に関してより詳細にここで説明する索処理システム10の作動可能連結機構200により連結される。
【0075】
本実施形態では、作動可能連結機構200は、作動時にコネクタを索に付けることによってタグボート1の索及び船舶2の索を互いに連結するためである。より具体的には、本実施形態では、作動可能連結機構200は、タグボート1のメッセンジャーライン13及び船舶2のヒービングライン20が外辺部Pの所定の領域Rにあるときにタグボート1のメッセンジャーライン13を船舶2のヒービングライン20に連結するためである。
【0076】
上述したように、一部の実施形態では、索処理システム10は、船体11に対して移動可能(例えば、回転可能)である。係る移動は、作動可能連結機構200が、索13、20を互いに連結するために適している外辺部Pの所定の領域Rを変えるために使用できる。
【0077】
簡略に上述したように、作動可能連結機構200は、連結ゾーン250を画定する索係合部230を含む。本実施形態では、索係合部230は、2つの突起231、232を有する分岐点を含み、連結ゾーン250は突起231、232によって、及び突起231、232の間に画定される。他の実施形態では、索係合部230は、異なる形をとる場合がある。索係合部230は、船舶2のヒービングライン20が外辺部Pの所定の領域Rにあるときに船舶2のヒービングライン20と係合するためである。連結ゾーン250は、連結される索13、20を受け取るためである。本実施形態の作動可能連結装置200は、索13、20が連結ゾーン250内にあるときにコネクタを索13、20に付けるために作動可能である。他の実施形態では、作動可能連結機構200は、このように連結ゾーン250を画定する索係合部230を含まない場合がある。例えば、作動可能連結機構200は、それがタグボート1の上または周りの多くの場所のうちの1つで索13、20を連結するために使用できる十分な移動の自由度を有してよい。
【0078】
本実施形態では、作動可能連結機構200は、索係合部230を支えるための支持体240を含み、索係合部230は、連結ゾーン250の索13、20との位置合わせを補助するために支持体240に対して移動可能である。
図10で、本実施形態では、索係合部230が、
図9に示す配置に比較して支持体240から広がっていることがわかる。メッセンジャーライン13及びヒービングライン20は、明確にするために
図10から省略されているが、索係合部230の支持体240に対する係る移動が、連結ゾーン250が外辺部Pの所定の領域Rに近づくので、索13、20が連結ゾーン250内に受け入れられることを確実にするために役立つことが
図10から理解される。一部の実施形態では、索係合部230は、索係合部230を支持するための支持体に対して移動できない場合がある。例えば、索13、20は、二次ガイド112、122及び/またはガイドアーム111、121による索13、20の誘導のため、索係合部230と係合してよい。
【0079】
本実施形態の作動可能連結機構200は、連結ゾーン250内で索13、20の存在を検出するため、及び結合ゾーン250内での索13、20の存在に応じて信号を出力するためのセンサ260を有する。センサ260は、例えばタッチセンサ及び/または近接センサであってよい。さらに、作動可能連結機構200は、信号に基づいてコネクタを索13、20に付けるために作動可能である。一部の実施形態では、作動可能連結機構200は、信号を受信し、信号に基づいて作動可能連結機構200の作動を生じさせるためのコントローラを含んでよい。例えば、作動可能連結機構200は、信号が連結ゾーン250内の索13、20の存在を示すとき、コネクタを索13、20に付けて索13、20を互いに連結するために自動的に作動するように構成されてよい。代わりにまたはさらに、作動可能連結機構200は、コネクタを索13、20に付けて索13、20を互いに連結するためにユーザーにより選択的に作動可能であってよい。例えば、作動可能連結機構200の作動は、一部の実施形態では、ユーザー操作可能コントローラ19からユーザーによって制御可能であってよい。一部の実施形態では、作動可能連結機構200は、信号が連結ゾーン250内の索13、20の存在を示すときだけ等、センサ260からの信号に基づいたユーザーによる作動可能結合機構200の係る選択的な作動を可能にするコントローラを有してよい。
【0080】
メッセンジャーライン13及びヒービングライン20を互いに連結するために使用されるコネクタは、例えば、クリップ、クランプ、ピン、またはストラップ等、多くの形のうちの1つをとる場合がある。本実施形態では、コネクタ210は1本のワイヤである。さらに、本実施形態では、作動可能連結機構200は、ワイヤの備え220を含み、コネクタ210を備え220から切断するように構成される。ワイヤは、例えば1.8ミリメートル等、1.5ミリメートルと2ミリメートルの間等、1ミリメートルと3ミリメートルの間の直径を有してよい。備え220は、そこから連続するコネクタ210を切断できる、例えば1メートル、10メートル、または100メートルのワイヤを保持する場合がある。
【0081】
本実施形態では、作動可能連結機構200作動時、作動可能連結機構200は、索13、20の周りにコネクタ210を巻き付けるように構成される。本実施形態では、コネクタ210を索13、20の周りに巻き付けることは、コネクタ210に索13、20の束の周りを一度だけ回らせることを伴うが、他の実施形態では、コネクタ210は索13、20の束の周りを複数回、回ってよい。また、本実施形態の作動可能連結機構200は、索13、20の周りにコネクタ210を巻き付けた後コネクタ210の自由端211、212をともにねじるように構成される。これは、コネクタ210を索13、20に対して定位置に保持するのに役立ち、その結果、索13、20を互いに対して定位置に保持するのに役立つ。
【0082】
本実施形態に従ってメッセンジャーライン13及びヒービングライン20を連結するコネクタ210の最終的な配置を
図11に示す。ここでは、コネクタ210が索13、20のそれぞれの各屈曲部に隣接する索13、20に付けられることがわかる。索13、20の屈曲部は、コネクタ210の同じ側にある。特定の実施形態では、このワイヤ連結配置が、メッセンジャーライン13及びイービングライン20が互いに対して滑り落ちる前に約40kg(400N)の力に耐えることができること、ならびに約5,000Nの力がコネクタワイヤ210を破壊することが判明している。他の実施形態では、これらの力の1つまたはそれぞれの大きさは、これらの図とは異なる場合がある。
【0083】
索13、20が互いに連結されているとき、二次ガイド112、122は、互いから離れて移動する場合があり、ガイドアーム111、121は互いから離れて移動する場合がある。これにより、ヒービングライン20及び連結されたメッセンジャーライン13は二次ガイド112、122及び船体11により取り囲まれた空間から解放され、そのためヒービングライン20を使用し、メッセンジャーライン13を船舶2に引き上げることができる。任意選択でその後、曳航索15の少なくとも1本の端部を、メッセンジャーライン13を使用し船舶2の上に引き上げることができ、さらに任意選択で、曳航索15の少なくとも1本の反対側の端部を、タグボート1のビットまたはガイド14に取り付けることができる。
【0084】
索誘導機構100が必要とされなくなると、本実施形態では、索誘導機構100を展開位置から収納位置に戻すことができる。さらに、作動可能連結機構200が必要とされなくなると、本実施形態では、作動可能連結機構200を
図9に示す位置から前方に移動することができ、そこで作動可能連結機構200は、コネクタ210を索13、20に付けて索13、20をともに、作動可能連結機構200が収納される
図1に示す位置に連結するために作動可能である。本実施形態では、作動可能連結機構200は、船体11の外辺部Pの中の及び甲板12に隣接する収納位置に索誘導機構100とともに移動するが、他の実施形態では、これは当てはまらない場合がある。一部の実施形態では、作動可能連結機構200は、使用の間、例えば船体11に対する等、定位置にとどまる。
【0085】
上述した実施形態では、索処理システム10は作動可能連結機構200を含むが、一部の他の実施形態では、作動可能連結機構200は、索処理システム10が作動可能連結機構から自由になるように省略されてよい。
【0086】
上述した実施形態では、索誘導機構100は、索誘導機構100が外辺部の所定の領域に向かってタグボートの索の一部分の移動を誘導するための操作位置まで、船体11に対して移動可能であるが、他の実施形態では、索誘導機構100は、索誘導機構100が外辺部の所定の領域に向かってタグボートの索の一部分の移動を誘導するための操作位置まで、船体11に対して移動可能ではない。例えば、索誘導機構100は、船体11に対して展開位置から移動できない場合がある。
【0087】
他の実施形態では、上述した実施形態の2つ以上を組み合わせてよい。他の実施形態では、一実施形態の特徴を1つ以上の他の実施形態の特徴と組み合わせてよい。
【0088】
本発明の実施形態は、特に図示した実施例を参照して説明してきた。しかしながら、本発明の範囲内で説明した実施例に対して変形及び修正がなされてもよいことが理解される。