(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】加速度変換器
(51)【国際特許分類】
G01P 15/08 20060101AFI20230314BHJP
G01P 15/09 20060101ALI20230314BHJP
G01P 15/18 20130101ALI20230314BHJP
【FI】
G01P15/08 102B
G01P15/09 B
G01P15/18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021174422
(22)【出願日】2021-10-26
【審査請求日】2021-12-13
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ラフランキ
(72)【発明者】
【氏名】トバイアス フロムメンヴィラー
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ヴェーバー
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-198742(JP,A)
【文献】実開平4-73870(JP,U)
【文献】特開2000-206140(JP,A)
【文献】特表2018-537677(JP,A)
【文献】特開昭62-180226(JP,A)
【文献】米国特許第4503351(US,A)
【文献】特開2001-41969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00-15/18
G01H11/08
H10N30/00-30/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接線方向側面(12.1、12.2、12.3、12.4)及び垂直方向側面(12.6、12.7)を有するメイン・ボディ(12)を備え、前記接線方向側面(12.1、12.2、12.3、12.4)が垂直軸(z)に対して接線方向に配置され、前記垂直方向側面(12.6、12.7)が前記垂直軸(z)に対して垂直に配置され、接線方向側面(12.1、12.2.12.3)に固定される少なくとも1つの圧電要素(10、10’、10’’)、前記圧電要素(10、10’、10’’)に取り付けられる少なくとも1つの振動質量(11、11’、11’’)、並びに、ハウジング(1.2)及び前記ハウジング(1.2)に取り付けられて信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)を備える信号出力部(1.4)、をさらに備える加速度変換器(1)であって、圧電要素(10、10’、10’’)を取り付けられない接線方向側面(12.4)が、前記垂直軸(z)に対して垂直に延在するアセンブリ・ギャップ(1.24)により前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)から離間されて配置され、第1の垂直方向側面(12.7)又は第1の垂直方向側面(12.7)に固定される支持体(13.7)がメイン・ボディ出力部導体(13.8、13.8’、13.8’’、13.9)を備え、前記垂直軸(z)に対して垂直に前記アセンブリ・ギャップ(1.24)に跨って延びる前記メイン・ボディ出力部導体(13.8、13.8’、13.8’’、13.9)が前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)に直接接触する、ことを特徴とする、加速度変換器(1)。
【請求項2】
前記ハウジング(1.2)がハウジング開口部(1.20)及びハウジング底部(1.23)を備え、前記メイン・ボディ(12)が前記ハウジング開口部(1.20)を通して前記ハウジング(1.2)の内部に挿入され得、前記メイン・ボディ(12)が第2の垂直方向側面(12.6)を介して前記ハウジング底部(1.23)に物質的に接着される、ことを特徴とする、請求項1に記載の加速度変換器(1)。
【請求項3】
前記ハウジング(1.2)が信号出力部開口部(
1.22)を備え、前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)が前記信号出力部開口部(
1.22)を通して前記ハウジング(1.2)の内部まで誘導される、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の加速度変換器(1)。
【請求項4】
前記信号出力部(1.4)が金属フランジ(14.4)により前記信号出力部開口部(
1.22)の外側縁部に固定される、ことを特徴とする、請求項3に記載の加速度変換器(1)。
【請求項5】
前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)が前記ハウジング(1.2)内で流延材料(14.6)を用いて形状を固定され、前記流延材料(14.6)がひずみを緩和する形で前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)を取り付け、前記流延材料(14.6)が前記信号出力部開口部(
1.22)を気密的に密閉する、ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の加速度変換器(1)。
【請求項6】
前記圧電要素(10、10’、10’’)が端面(110、120)を備え、前記圧電要素(10、10’、10’’)が前記振動質量(11、11’、11’’)によって作用する剪断力のための高い感度を有し、前記剪断力の影響下で前記端面(110、120)に圧電電荷を発生させる、ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の加速度変換器(1)。
【請求項7】
前記圧電要素(10、10’、10’’)が側方表面(130、140、150、160)を備え、第1の端面(110)が第1の導電性を有する端面コーティング(111)を備え、第2の端面(120)が第2の導電性を有する端面コーティング(121)を備え、第1の側方表面(130)が第1の導電性を有する側方表面コーティング(131)及び別の第1の導電性を有する側方表面コーティング(133)を備え、前記第1の導電性を有する端面コーティング(111)及び前記第1の導電性を有する側方表面コーティング(131)が第1の導電性を有する連続コーティング(101)を形成し、前記第2の導電性を有する端面コーティング(121)及び前記別の第1の導電性を有する側方表面コーティング(133)が第2の導電性を有する連続コーティング(102)を形成する、ことを特徴とする、請求項6に記載の加速度変換器(1)。
【請求項8】
前記第1の垂直方向側面(12.7)又は前記第1の垂直方向側面(12.7)に取り付けられる前記支持体(13.7)が、第1の圧電要素導体(13.1、13.1’、13.1’’)及び第2の圧電要素導体(13.2、13.2’、13.2’’)を備えるコンバータ・ユニット(1.3)を備え、前記第1の導電性を有する側方表面コーティング(131)が第1の圧電要素導体(13.1、13.1’、13.1’’)に物質的に接着され、前記別の第1の導電性を有する側方表面コーティング(133)が第2の圧電要素導体(13.2、13.2’、13.2’’)に物質的に接着され、前記第1の圧電要素導体(13.1、13.1’、13.1’’)が前記第1の導電性を有する側方表面コーティング(131)から圧電電荷を抽出して前記圧電電荷を第1の加速度信号(S1)として伝送し、前記第2の圧電要素導体(13.2、13.2’、13.2’’)が前記別の第1の導電性を有する側方表面コーティング(133)から圧電電荷を抽出して前記圧電電荷を第2の加速度信号(S2)として伝送する、ことを特徴とする、請求項7に記載の加速度変換器(1)。
【請求項9】
前記コンバータ・ユニット(1.3)が第1のメイン・ボディ導体(13.3、13.3’、13.3’’)及び第2のメイン・ボディ導体(13.4、13.4’、13.4’’)並びにトランスインピーダンス
・コンバータ(13.10、13.10’、13.10’’)を備え、前記第1の圧電要素導体(13.1、13.1’、13.1’’)が第1のメイン・ボディ導体(13.3、13.3’、13.3’’)に接触し、前記第1のメイン・ボディ導体(13.3、13.3’、13.3’’)が前記トランスインピーダンス・コンバータ(13.10、13.10’、13.10’’)に第1の加速度信号(S1)を伝送し、前記トランスインピーダンス・コンバータ(13.10、13.10’、13.10’’)が第1の加速度信号(S1)を変換し、前記第2の圧電要素導体(13.2、13.2’、13.2’’)が第2のメイン・ボディ導体(13.4、13.4’、13.4’’)に接触し、前記第2のメイン・ボディ導体(13.4、13.4’、13.4’’)が第2の加速度信号(S2)を伝送する、ことを特徴とする、請求項8に記載の加速度変換器(1)。
【請求項10】
前記第1のメイン・ボディ導体(13.3、13.3’、13.3’’)が第1のメイン・ボディ出力部導体(13.8、13.8’、13.8’’)に接触し、前記第1のメイン・ボディ出力部導体(13.8、13.8’、13.8’’)が変換された第1の加速度信号(S1)を前記信号出力部(1.4)に伝送し、前記第2のメイン・ボディ導体(13.4、13.4’、13.4’’)が第2のメイン・ボディ出力部導体(13.9)に接触し、前記第2のメイン・ボディ出力部導体(13.9)が前記第2の加速度信号(S2)を前記信号出力部(1.4)に伝送する、ことを特徴とする、請求項9に記載の加速度変換器(1)。
【請求項11】
前記加速度変換器(1)が正確に3つの圧電要素(10、10’、10’’)及び正確に3つの振動質量(11、11’、11’’)を備え、前記3つの圧電要素(10、10’、10’’)のうちの正確に1つの圧電要素が3つの接線方向側面(12.1、12.2、12.3)の各々に取り付けられ、前記圧電要素(10、10’、10’’)の各々に前記3つの振動質量(11、11’、11’’)のうちの正確に1つの振動質量が取り付けられる、ことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の加速度変換器(1)。
【請求項12】
加速時に前記3つの振動質量(11、11’、11’’)の各々が、前記振動質量(11、11’、11’’)を取り付けた前記圧電要素(10、10’、10’’)に
、加速度に比例する剪断力を作用させ、第1の圧電要素(10)が第1の振動質量(11)により長手方向軸(y)に沿って作用する剪断力のための高い感度を有し、前記長手方向軸(y)に沿う前記剪断力の影響下で圧電電荷を発生させ、第2の圧電要素(10’)が第2の振動質量(11’)により横軸(x)に沿って作用する剪断力のための高い感度を有し、前記横軸(x)に沿う前記剪断力の影響下で圧電電荷を発生させ、第3の圧電要素(10’’)が第3の振動質量(11’’)により前記垂直軸(z)に沿って作用する剪断力のための高い感度を有し、前記垂直軸(z)に沿う前記剪断力の影響下で圧電電荷を発生させる、ことを特徴とする、請求項11に記載の加速度変換器(1)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の加速度変換器(1)を組み立てる方法であって、ハウジング開口部(1.20)、信号出力部開口部(
1.22)、及びハウジング底部(1.23)を備えるハウジング(1.2)が提供され、信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)を備える信号出力部(1.4)が提供され、前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)が前記信号出力部開口部(
1.22)を通して前記ハウジング(1.2)の内部に挿入され、流延材料(14.6)が提供され、前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)が前記ハウジング(1.2)内で流延材料(14.6)を用いて形状を固定され、前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)がひずみを緩和する形で前記流延材料(14.6)によって固定され、前記信号出力部開口部(
1.22)が前記流延材料(14.6)により気密的に密閉される、ことを特徴とする、加速度変換器(1)を組み立てる方法。
【請求項14】
メイン・ボディ(12)、少なくとも1つの圧電要素(10、10’、10’’)、少なくとも1つの振動質量(11、11’、11’’)、及びコンバータ・ユニット(1.3)が提供され、前記メイン・ボディ(12)が接線方向側面(12.1、12.2、12.3、12.4)及び垂直方向側面(12.6、12.7)を備え、前記接線方向側面(12.1、12.2、12.3、12.4)が垂直軸(z)に対して接線方向に配置され、前記垂直方向側面(12.6、12.7)が前記垂直軸(z)に対して垂直に配置され、前記コンバータ・ユニット(1.3)が圧電要素導体(13.1、13.1’、13.1’’、13.2、13.2’、13.2’’)及びメイン・ボディ出力部導体(13.8、13.8’、13.8’’、13.9)を備え、正確に1つの圧電要素(10、10’、10’’)が接線方向側面(12.1、12.2、12.3)に取り付けられ、正確に1つの振動質量(11、11’、11’’)が前記圧電要素(10、10’、10’’)に取り付けられ、前記圧電要素(10、10’、10’’)が、第1の導電性を有する側方表面コーティング(131)を有しさらに別の第1の導電性を有する側方表面コーティング(133)を有する側方表面(130)を備え、第1の垂直方向側面(12.7)が、前記コンバータ・ユニット(1.3)、又は第1の垂直方向側面(12.7)に取り付けられる前記コンバータ・ユニット(1.3)を備える支持体(13.7)を備え、前記メイン・ボディ(12)が前記ハウジング開口部(1.20)を通して前記ハウジング(1.2)の内部に挿入され、圧電要素(10、10’、10’’)を取り付けられない接線方向側面(12.4)が、アセンブリ・ギャップ(1.24)により前記信号出力部(1.4)から離間されて配置され、前記メイン・ボディ(12)が第2の垂直方向側面(12.6)を介して前記ハウジング底部(1.23)に物質的に接着される、ことを特徴とする、請求項13に記載の加速度変換器(1)を組み立てる方法。
【請求項15】
各々の第1の導電性を有する側方表面コーティング(131)が第1の圧電要素導体(13.1、13.1’、13.1’’)に物質的に接着され、各々の別の第1の導電性を有する側方表面コーティング(133)が第2の圧電要素導体(13.2、13.2’、13.2’’)に物質的に接着され、前記メイン・ボディ出力部導体(13.8、13.8’、13.8’’、13.9)が前記信号線(14.1、14.1’、14.1’’、14.2)に物質的に接着され、ハウジング・カバー(1.21)が提供され、前記ハウジング開口部(1.20)が前記ハウジング・カバー(1.21)により気密的に密閉される、ことを特徴とする、請求項14に記載の加速度変換器(1)を組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は独立請求項のプリアンブルによる加速度変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
物理的物体の加速度は、ロボット工学、エネルギー生成、及び輸送などの、多種多様な多数の用途で測定される。この目的のため、加速度は、物理的物体に作用する衝撃又は物理的物体の振動の形態で検出される。加速度は重力加速度g=9.81msec-2の倍数として示される。検出される加速度の一般的な範囲は2Hzから10kHzの測定範囲で+/-500gである。加速度を検出するために、加速度変換器が物理的物体に固定される。
【0003】
文献CH399021A1が、振動質量、圧電システム、及びメイン・ボディを備える上で言及した種類の加速度変換器を提供する。加速度変換器が加速度変換器を有害な環境影響から保護するためのハウジングを備え、ハウジングが、振動質量、圧電システム、及びメイン・ボディを収容する。加速度変換器がハウジングにより物理的物体に取り付けられる。加速度が発生すると、振動質量が振動質量の加速度に比例する力を圧電システムに作用させる。圧電システムが、圧電縦効果のための高い感度を有する圧電材料で作られる複数の平坦なディスクを備える。作用する力の影響下で、圧電材料が圧電電荷を発生させ、発生する圧電電荷の量が力の大きさに比例する。圧電縦効果を用いて、法線力として力が作用している方のディスクの面に圧電電荷が発生する。各ディスクが2つの面を有し、これらの2つの面に逆の極性を有する圧電電荷が発生する。さらに、圧電システムが、2つの端面から圧電電荷を抽出する(pick off)ための導電性材料で作られる薄い電極を備える。各電極が端面のサイズを有する表面を有する。その表面を用いて、電極が端面に直接且つ完全に接触する。加えて、圧電システムが、事前装填スリーブにより振動質量とメイン・ボディとの間に機械的に事前装填される。この機械的な事前装填により、端面と電極との間の微細孔が密閉され、その結果、発生するすべての圧電電荷が得られ得る。これは加速度変換器の線形性のために重要である。線形性は圧電電荷の数(number)と力の大きさの比を意味する。圧電電荷が電気的に伝送され得、加速度信号を表すことができる。電気的に伝送される加速度信号がコンバータ・ユニット内で電気的に変換され得る。
【0004】
DE69405962T2がさらに、振動質量と、印刷回路基板上にある圧電システムとを備える加速度変換器を説明している。加速度変換器が、軸に沿って作用する剪断力としての横方向の剪断効果(transverse shear effect)に従って加速度を検出する。圧電システムが振動質量と印刷回路基板との間に配置される。コンバータ・ユニットが印刷回路基板上に位置する。
【0005】
したがって、CH399021A1の圧電システムは1つの軸に沿う法線力のみに対して感応性を有する。さらに、DE69405962T2の圧電システムが1つの軸に沿う剪断力のみに対して感応性を有する。しかし、直交座標系の複数の軸に沿う加速度を同時に検出することができる加速度変換器を有することが望ましい。
【0006】
文献RU1792537C1が、3つの物理次元で加速度を検出することができる加速度変換器を開示している。6つの表面を備える立方体形状のメイン・ボディに対して、圧電材料で作られる6つの平坦なディスクを備える圧電システムと、6つの振動質量とが取り付けられる。2つの表面の各々が、互いに対して垂直である3つの軸のうちの1つの軸に対して垂直である方向に方向付けられる。したがって、以降、この軸を法線軸と称する。6つの表面の各々において、平坦なディスクが表面と振動質量との間に導入される。ディスクが、外部事前装填ハウジングによりメイン・ボディに接触する形で機械的に事前装填される。したがって、圧電システムが、3つの法線軸の各々において一対のディスクを備える。ディスクが横方向の剪断効果に対して高い感度を有する。横方向の剪断効果を用いて、法線軸に対して接線方向の剪断力が作用するところであるディスクの端面に圧電電荷が発生する。したがって、以降、この軸を主接線方向軸と称する。さらに、圧電システムが、ディスクの端面から圧電電荷を抽出するための導電性材料で作られる電極を備える。
【0007】
RU1792537C1によると、圧電システムが、3つの法線軸の各々における主接線方向軸に沿って作用する剪断力のための高い感度を呈する、圧電材料で作られる一対のディスクを備える。
【0008】
残念ながら、圧電材料が多様な軸に沿って作用する剪断力のための高い感度を程度の差はあれ有するのを回避することはできない。したがって、主接線方向軸に沿う剪断力のための高い感度を有する圧電材料は、主接線方向軸に対して垂直であり且つ法線軸に対して垂直である軸に沿って作用する剪断力のための感度も、低いとはいえ、呈する。したがって、以降、この軸を副接線方向軸と称する。両方の剪断力、すなわち主接線方向軸に沿って作用する剪断力及び副接線方向軸に沿って作用する剪断力が、ディスクの端面に圧電電荷を発生させる。例として、圧電材料である石英が主接線方向軸に沿う剪断力のための高い感度を有し、これが、副接線方向軸に沿って作用する剪断力ための低い感度の7倍以上である。
【0009】
したがって、副接線方向軸に沿って作用する剪断力のための圧電材料の低い感度が主接線方向軸に沿う剪断力の検出をねじ曲げる可能性がある。したがって、以降、それぞれの圧電電荷を圧電干渉電荷(piezoelectric interference charge)と称する。RU1792537C1が、このようなねじ曲げを回避するために、3つの法線軸の各々において、逆の極性を有する一対のディスクを直列に電気的に接続することを開示している。これには、副接線方向軸に沿って作用する剪断力が各々の2つのディスクの端面に等しい数の圧電干渉電荷を発生させ、しかし、これらの圧電干渉電荷が逆の極性を有し、したがって直列に得られるときには互いを無効化する、という利点がある。
【0010】
さらに、文献EP054680A1が、互いに対して垂直である3つの主接線方向軸に沿って作用する剪断力としての横方向の剪断効果に従って高い感度で加速度を検出するための圧電システムを備える加速度変換器を説明している。
図8に示される実施例では、圧電システムが圧電材料で作られる6つのディスクから構成され、逆の極性を有する一対のディスクが3つの主接線方向軸の各々において直列に電気的に接続される。加速度変換器が3つの振動質量のみを必要とし、3つの主接線方向軸の各々の接線方向軸に対して1つの振動質量を必要とする。副接線方向軸に沿う剪断力から生じる圧電干渉電荷が直列に得られるときに3つの主接線方向軸の各々において無効化される。
【0011】
さらに、米国特許第5539270(A1)号が、3つの物理次元で加速度を検出するための加速度変換器に関する。各次元のために圧電システムが提供され、各圧電システムが圧電材料で作られる2つのプレートを備える。2つのプレートの互いの方を向く端面が物質的に互いに接着される。この材料接続が電気絶縁性を有する。互いから離れる方を向くプレートの端面上に電極が取り付けられ、これらの電極が法線力の影響下で発生する圧電電荷を抽出する。3つの圧電システムが支持体に機械的に取り付けられる。支持体が電極から圧電電荷を伝導するための電気伝導体を備える。振動質量が提供されない。
【0012】
しばしば、加速度変換器を物理的物体に取り付けるのに利用可能となる空間が制限される。したがって、加速度変換器が、50cm3未満の小さい外側寸法を有さなければならない。さらに、10kHzを超える振動数を測定することが望まれる。さらに、加速度変換器の共振振動数がその重量に反比例することを理由として、加速度変換器が小さい重量を有さなければならない。
【0013】
文献CN201152880Yが、圧電システムと、振動質量と、メイン・ボディとを備える加速度変換器を開示している。メイン・ボディが円筒形形状を有し、垂直軸に沿う垂直方向の端面のところで終端する。垂直軸に対して垂直である法線軸に沿って、事前装填スリーブにより、メイン・ボディと振動質量との間に圧電システムが機械的に事前装填される。事前装填スリーブの形状が中空円筒であり、メイン・ボディの垂直方向の端面の平面内で側方表面で終端する。振動質量がディスクとして形成され、やはりメイン・ボディの垂直方向の端面の平面内で側方表面で終端する。電荷増幅器の形態のコンバータ・ユニットが、この平面内で、事前装填スリーブ及び振動質量の側方表面上に配置され、さらにはメイン・ボディの垂直方向の端面上に配置され、それにより空間を節約する。
【0014】
事前装填スリーブ及び振動質量の側方表面上にあるさらにはメイン・ボディの垂直方向の端面の上にあるコンバータ・ユニットのこの配置の欠点は、振動質量とメイン・ボディとの間に力分断箇所(force shunt)が形成されることである。結果として、振動質量が加速度の影響下で自由に振動することができず、振動質量の慣性を原因として圧電システムに作用する力が妨害され、その結果、この力が加速度に比例しなくなり、加えて、圧電材料によって発生する圧電電荷が検出すべき加速度に比例しなくなる。したがって、力分断箇所が加速度の測定をねじ曲げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】CH399021A1
【文献】DE69405962T2
【文献】RU1792537C1
【文献】EP054680A1
【文献】米国特許第5539270(A1)号
【文献】CN201152880Y
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の第1の目的は、複数の物理次元で加速度を同時に検出することができる加速度変換器を提供することである。本発明の第2の目的は、可能な限りねじ曲げない形で加速度を検出する加速度変換器を提供することである。本発明の第3の目的によると、加速度変換器が小さい外側寸法及び低重量を有する。本発明の第4の目的は、10kHzを超える振動数を高速測定する(high measure)ように構成される加速度変換器を提供することである。本発明の第5の目的によると、加速度変換器を低コストで製造することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的のうちの少なくとも1つの目的が独立請求項の特徴によって達成される。
【0018】
本発明は、接線方向側面及び垂直方向側面を有するメイン・ボディを備え、上記接線方向側面が垂直軸に対して接線方向に配置され、上記垂直方向側面が垂直軸に対して垂直に配置され、接線方向側面に取り付けられる少なくとも1つの圧電要素、圧電要素に取り付けられる少なくとも1つの振動質量、並びに、ハウジング及び信号出力部であって、上記信号出力部がハウジングに固定されて信号線を備える、ハウジング及び信号出力部、をさらに備える、加速度変換器に関し、圧電要素を取り付けられない接線方向側面が、垂直軸に対して垂直に延在するアセンブリ・ギャップにより信号線から離間され、第1の垂直方向側面又は第1の垂直方向側面に取り付けられる支持体がメイン・ボディ出力部導体を備え、垂直軸に対して垂直である方向においてアセンブリ・ギャップに跨って延びるメイン・ボディ出力部導体が信号線に直接接触する。
【0019】
本発明は、メイン・ボディのすべての側面が空間を節約するように最適に使用されるという利点を有する。少なくとも1つの圧電要素及び1つの振動質量が接線方向側面に取り付けられる。3つの物理次元において加速度を検出するために、2つの追加の圧電要素及び2つの追加の振動質量が2つの追加の接線方向側面に取り付けられ得る。したがって、メイン・ボディが、圧電要素及び振動質量と共に、中間製品として事前に製造されて保管され得、それにより加速度変換器を低コストで製作することが可能となる。必要である場合、中間製品が垂直方向側面を介してハウジングに取り付けられ得る。ハウジングが圧電要素を有害な環境影響から保護する。この目的のため、ハウジングが、有利には、中間製品をハウジングの内部に挿入するためのハウジング開口部を備える。信号出力部が、加速度変換器の加速度信号をハウジングの内部から伝達するための信号線を備える。本発明によると、1つの接線方向側面が、アセンブリ・ギャップのみによって離間されるようにメイン・ボディを信号線に可能な限り近づけて配置するために、空いている状態を維持する。
【0020】
これは、メイン・ボディ出力部導体が別の垂直方向側面又は支持体の上に配置されることが理由である。もう一方の垂直方向側面及び信号線が、ハウジング開口部を通して接触ツールにとって容易にアクセス可能である。したがって、中間製品がメイン・ボディ出力部導体を介して信号線に直接接触することができ、対して、この目的のために、メイン・ボディ出力部導体がアセンブリ・ギャップに跨って延びていることのみを必要とし、これが容易に且つ迅速に行われ、それにより組み立てのコスト効率にも寄与する。
【0021】
本発明の別の有利な実施例が添付の特許請求の特徴の主題である。
【0022】
以下で、図を参照する例示の実施例により本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】変換器ユニットを備える加速度変換器の第1の実施例の一部分を示す図である。
【
図2】変換器ユニットを備える加速度変換器の第2の実施例の一部分を示す図である。
【
図3】
図1による加速度変換器のコンバータ・ユニットを備える変換器ユニットを示す図である。
【
図4】
図2による加速度変換器のコンバータ・ユニットを備える変換器ユニットを示す図である。
【
図5】
図1から4による変換器ユニットの一部分を示す分解図である。
【
図6】加速度の影響下の
図1から5による変換器ユニットを示す上面図である。
【
図7】
図1から5による変換器ユニットの圧電要素の第1の実施例を示す第1の図である。
【
図8】
図7による圧電要素の実施例を示す第2の図である。
【
図9】
図1から5による変換器ユニットの圧電要素の第2の実施例を示す第1の図である。
【
図10】
図9による圧電要素の第2の実施例を示す第2の図である。
【
図11】
図1から5による変換器ユニットの圧電電荷の伝送を示す概略図である。
【
図12】
図11による変換器ユニットのコンバータ・ユニットのハイパス・フィルタを示す概略図である。
【
図13】
図11による変換器ユニットのコンバータ・ユニットのローパス・フィルタを示す概略図である。
【
図14】信号線がハウジングの中に導入されている、
図2による加速度変換器の組み立ての第1のステップを示す図である。
【
図15】信号線がハウジング内で流延材料の中に存在する、
図2による加速度変換器の組み立ての第2のステップを示す図である。
【
図16】流延材料の中に存在する信号線がハウジング内の一部のエリアで露出している、
図2による加速度変換器の組み立ての第3のステップを示す図である。
【
図17】変換器ユニットがハウジングの中に導入された、
図2による加速度変換器の組み立ての第4のステップを示す図である。
【
図18】変換器ユニットのコンバータ・ユニットが電気的に接続された、
図2による加速度変換器の組み立ての第5のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び2が、本発明による加速度変換器1の2つの実施例の各々の一部分を示す。加速度変換器1が、変換器ユニット1.1と、ハウジング1.2と、コンバータ・ユニット1.3と、信号出力部1.4とを備える。加速度変換器1が、横軸x、長手方向軸y、及び垂直軸zとも称される3つの軸x、y、zを有する直交座標系内に配置される。
【0025】
ハウジング1.2が、汚染(ダスト、湿気など)などの有害な環境影響から、及び電磁放射線の形態の電気干渉及び電磁干渉の影響から、加速度変換器1を保護する。ハウジング1.2が、純金属、ニッケル合金、コバルト合金、鉄合金、などの、機械的耐性を有する材料(mechanically resistant material)で作られる。ハウジング1.2が、好適には5cm未満の横軸xに沿う幅と、好適には5cm未満の長手方向軸yに沿う長さと、好適には2cm未満の垂直軸zに沿う高さとを有する長方形断面を有し、その結果、50cm3未満の小さい外側寸法を有する。ハウジング1.2がポットの形状を有し、ハウジング開口部1.20及びハウジング底部1.23を備える。ハウジング開口部1.20の寸法が、変換器ユニット1.1をハウジング1.2の中に導入してハウジング底部1.23に固定してハウジング開口部1.20を通して信号出力部1.4に接続するのを可能にするような、寸法である。本発明の文脈では、「接続」という用語は、電気的接続及び機械的接続を意味するものとして理解される。ハウジング開口部1.20がハウジング・カバー1.21によって密閉され得る。好適には、ハウジング開口部1.20が、溶接、はんだ付け、接着などの、材料接着により密閉される。加速度変換器1が、ハウジング1.2によりその加速度を検出すべき物理的物体に取り付けられる。任意の取り付け方法が選択され得る。
【0026】
変換器ユニット1.1が、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’、第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’、並びにメイン・ボディ12を備える。第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’、並びに第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’がメイン・ボディ12に取り付けられる。さらに、メイン・ボディ12がハウジング1.2に取り付けられる。好適には、メイン・ボディ12が、接着、はんだ付けなどの、材料接着により、ハウジング1.2に取り付けられる。
【0027】
第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’が、石英(SiO2の単結晶)、カルシウムガロゲルマネート(Ca3Ga2Ge4O14又はCGG)、ランガサイト(La3Ga5SiO14又はLGS)、トルマリン、ガリウム、オルトリン酸塩、ピエゾセラミックなどの圧電材料で作られる。第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’が、測定すべき力のための高い感度を有する。第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の断面が長方形であり、好適には1cm2未満の表面積及び好適には2mm未満の厚さを有する。本発明を理解している当業者であれば、円形などの、異なる形状及び断面を有する圧電要素を使用することもできる。
【0028】
好適には、第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’が、イリジウム、白金、タングステン、金などの、高密度材料で作られる。より小さい外側寸法の加速度変換器1の場合、第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’が好適には19g/cm3を超える高い密度を有することになる。第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’の断面が、好適には1cm2より小さい表面積及び好適には5mm未満の厚さを有する長方形である。本発明を理解している当業者であれば、さらに、円形などの異なる形状及び断面を有する振動質量を使用することもできる。さらに、当業者であれば、鋼鉄、セラミックなどの、より低い密度を有する材料で作られる振動質量を使用することもできる。
【0029】
メイン・ボディ12が、Al2O3、セラミック、Al2O3セラミック、サファイアなどの、低い密度を有する高い機械的スティフネスを有する材料で作られる。メイン・ボディ12の高い機械的スティフネスは、ハウジング1.1から検出すべき加速度を第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’上まで非弾性的に伝送するのに必要である。加速度変換器1の高い機械的スティフネスのために、メイン・ボディ12が、好適には350GPaから470GPaまでの高い弾性係数を有する。加速度変換器1の低い重量のために、メイン・ボディ12が好適には4g/cm3未満である低い密度を有する。メイン・ボディ12が、好適には、6つの側面12.1、12.2、12.3、12.4、12.6、12.7を有する立方体である。4つの接線方向側面12、1、12.2、12.3、12.4が垂直軸zに対して接線方向に配置される。2つの垂直方向側面12.6、12.7が垂直軸zに対して垂直に配置される。側面12.1、12.2、12.3、12.4、12.6、12.7が実質的に等しいサイズを有する。各側面12.1、12.2、12.3、12.4、12.6、12.7が1cm2未満の表面積を有する。本発明の文脈では、「実質的に」という副詞は「+/-10%」の意味を有する。x軸、y軸、z軸の各々が側面のうちの2つの側面に対して垂直である。本発明を認識している当業者であれば、円形などの、異なる形状及び異なる形状の表面を有するメイン・ボディを使用することもできる。
【0030】
第1の振動質量11及び第1の圧電要素10がメイン・ボディ12の第1の接線方向側面12.1に取り付けられる。第2の振動質量11’及び第2の圧電要素10’がメイン・ボディ12の第2の接線方向側面12.2に取り付けられる。第3の振動質量11’’及び第3の圧電要素10’’がメイン・ボディ12の第3の接線方向側面12.3に取り付けられる。ここでは、圧電要素10、10’、10’’の各々が、それぞれ、接線方向側面12.1、12.1、12.3と振動質量11、11’、11’’との間に配置される。第4の接線方向側面12.4が空いている。
【0031】
メイン・ボディ12に対しての、第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’、並びに第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の取り付けが、第1の内側接続手段15、第2の内側接続手段15’、及び第3の内側接続手段15’’、並びに第1の外側接続手段16、第2の外側接続手段16’、及び第3の外側接続手段16’’により達成される。この取り付けが、接着、熱圧着などの、材料接着により実行される。第1の内側接続手段15、第2の内側接続手段15’、及び第3の内側接続手段15’’、並びに第1の外側接続手段16、第2の外側接続手段16’、及び第3の外側接続手段16’’による、第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’、並びに第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’のこのような機械的取り付けが加速度変換器1の組み立てを容易にし、迅速に且つ高いコスト効率で実施され得る。
【0032】
第1の内側接続手段15、第2の内側接続手段15’、及び第3の内側接続手段15’’、並びに第1の外側接続手段16、第2の外側接続手段16’、及び第3の外側接続手段16’’が、化学的に硬化され得るか又は物理的に固まることができる接着剤であってよいか、或いは化学的に硬化されて物理的に固まることができる接着剤の組み合わせであってよい。好適には、第1の内側接続手段15、第2の内側接続手段15’、及び第3の内側接続手段15’’、並びに第1の外側接続手段16、第2の外側接続手段16’、及び第3の外側接続手段16’’が、エポキシ、ポリウレタン、シアノアクリレート、メチルメタクリレートなどの、接着剤から構成される。第1の内側接続手段15、第2の内側接続手段15’、及び第3の内側接続手段15’’、並びに第1の外側接続手段16、第2の外側接続手段16’、及び第3の外側接続手段16’’が、1012Ωmm2/mを超える電気抵抗を有する電気絶縁体である。
【0033】
図5に示されるように、第1の圧電要素10が、第1の内側接続手段15を介して第1の接線方向側面12.1に取り付けられる。第1の振動質量11が、第1の外側接続手段16を介して第1の圧電要素10に取り付けられる。第2の圧電要素10’が第2の内側接続手段15’を介して第2の接線方向側面12.2に取り付けられる。第2の振動質量11’が第2の外部接続手段16’を介して第2の圧電要素10’に取り付けられる。第3の圧電要素10’’が第3の内側接続手段15’’を介して第3の接線方向側面12.3に取り付けられる。第3の振動質量11’’が第3の外側接続手段16’’を介して第3の圧電要素10’’に取り付けられる。
【0034】
好適には、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’が、第1の内側接続手段15、第2の内側接続手段15’、及び第3の内側接続手段15’’、並びに第1の外側接続手段16、第2の外側接続手段16’、及び第3の外側接続手段16’’により、剪断力に抵抗する形で、第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’’並びにメイン・ボディ12に取り付けられる。
【0035】
各々の第1の内側接続手段15、第2の内側接続手段15’、及び第3の内側接続手段15’’、並びに各々の第1の外側接続手段16、第2の外側接続手段16’、及び第3の外側接続手段16’’の断面が長方形であり、好適には1cm2未満の表面積及び好適には0.1mm未満の厚さを有する。本発明を理解している当業者であれば、円形などの、異なる形状及び断面の内側接続手段及び外側接続手段を使用することもできる。
【0036】
第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’が主接線方向軸hに沿う横方向の剪断効果のための高い感度を有し、副接線方向軸nに沿う横方向の剪断効果のための低い感度を有し、さらには、法線軸aに沿う圧電横効果のための低い感度を有する。主接線方向軸hが、各々の3つの圧電要素10、10’、10’’のための3つの軸x、y、zのうちの異なる1つの軸である。副接線方向軸nが、各々の3つの圧電要素10、10’、10’’のための3つの軸x、y、zのうちの異なる1つの軸である。法線軸aが、各々の3つの圧電要素10、10’、10’’のための3つの軸x、y、zのうちの異なる1つの軸である。
【0037】
主接線方向軸h又は副接線方向軸nに沿う横方向の剪断効果が、主接線方向軸h又は副接線方向軸nに沿って剪断力が加えられるところの端面と同じである、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’のうちの端面に圧電電荷を発生させる。
【0038】
圧電横効果が第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の側方表面に圧電電荷を発生させ、これらの側方表面が、法線軸aに沿って法線力が作用するところである、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の端面に対して垂直である。
【0039】
感度が上がると、所与の大きさの力において発生する圧電電荷が増える。本発明では、「高い感度」及び「低い感度」という用語は互いに関連する。主接線方向軸hに沿う剪断力のための高い感度を有する3つの圧電要素10、10’、10’’の各々が、副接線方向軸nに沿う剪断力のための又は法線軸aに沿う法線力のための低い感度と比較して、少なくとも5倍の単位力当たりの圧電電荷を発生させる。
【0040】
したがって、圧電材料は、加速度の検出において主接線方向軸hに沿う横方向の剪断効果によって発生する圧電電荷の大部分を考慮に入れることになるように、選択される。以降、副接線方向軸nに沿う横方向の剪断効果に従って発生する圧電電荷及び法線軸aに沿う圧電横効果に従って発生する圧電電荷を圧電干渉電荷と称する。
【0041】
図6が、加速中の変換器ユニット1.1の上面図を示す。加速度が、第1の振動質量11、第2の振動質量11’、及び第3の振動質量11’により、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の端面に力Fを作用させる。実例として、力Fが、矢印によって示されるように、長手方向軸に沿って平行に作用する。
【0042】
第1の圧電要素10が、その主接線方向軸hである長手方向軸yに沿う剪断力のための高い感度を有する。力Fが長手方向軸yに沿って作用することを理由として、第1の圧電要素10が、その端面にかかる横方向の剪断効果に従って力Fのための圧電電荷を発生させる。第1の圧電要素10がその副接線方向軸nである垂直軸zに沿って作用する剪断力のための低い感度を有し、その法線軸aである横軸xに沿って作用する法線力のための低い感度を有する。力Fが長手方向軸yに沿って作用し、ここでは、力Fが垂直軸zに沿うトルクを作用させる。第1の圧電要素10が、このトルクによりその端面にかかる横方向の剪断効果に従って圧電干渉電荷を発生させる。
【0043】
第2の圧電要素10’が、その主接線方向軸hである横軸xに沿う剪断力のための高い感度を呈する。しかし、力Fが長手方向軸yに沿って作用し、第2の圧電要素10’が力Fのための圧電電荷をその端面に発生させない。第2の圧電要素10’が、その副接線方向軸nである垂直軸zに沿って作用する剪断力のための低い感度を有し、その法線軸aである長手方向軸yに沿って作用する法線力のための低い感度を有する。力Fが長手方向軸yに沿って作用することを理由として、第2の圧電要素10’が、力Fのための圧電横効果に従ってその側方表面に圧電干渉電荷を発生させる。
【0044】
さらに、第3の圧電要素10’’が、その主接線方向軸hである垂直軸zに沿う剪断力のための高い感度を呈する。しかし、力Fが長手方向軸yに沿う剪断力として作用し、第3の圧電要素10’’が力Fのための圧電電荷をその端面に発生させない。第3の圧電要素10’’がその副接線方向軸nである長手方向軸nに沿って作用する剪断力のための低い感度を有し、その法線軸aである横軸xに沿う法線力のための低い感度を有する。力Fが長手方向軸yに沿って作用し、垂直軸zに沿うトルクを作用させる。第3の圧電要素10’’が、このトルクによりその端面にかかる横方向の剪断効果に従って圧電干渉電荷を発生させる。
【0045】
図7及び8が、変換器ユニット1.1の第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第1の実施例の詳細図を示す。
図9及び10が、変換器ユニット1.1の第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第2の実施例の詳細図を示す。第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’が、2つの端面110、120、及び4つの側方表面130、140、150、160を備える。
【0046】
各々の3つの圧電要素10、10’、10’’が、第1の端面110及び第2の端面120を備える。各端面110、120が、主接線方向軸h及び副接線方向軸nによって画定される平面内に位置する。この平面内で、副接線方向軸nが主接線方向軸hに対して垂直である。さらに、法線軸aがこの平面に対して垂直である。主接線方向軸hに沿う剪断力の影響下で、各々の3つの圧電要素10、10’、10’’が2つ端面110、120に圧電電荷を発生させる。さらに、副接線方向軸nに沿う剪断力の影響下で、各々の3つの圧電要素10、10’、10’’が2つの端面110、120に圧電干渉電荷を発生させる。各々の3つの圧電要素10、10’、10’’が、側方表面130、140、150、160を備える。側方表面130、140、150、160が法線軸aに平行である。側方表面130、140、150、160が、第1の側方表面130、第2の側方表面140、第3の側方表面150、及び第4の側方表面160を備える。第1の側方表面130及び第4の側方表面160が、圧電要素10、10’、10’’の副接線方向軸nに対して垂直である。第2の側方表面140及び第3の側方表面150が、圧電要素10、10’、10’’の主接線方向軸hに対して垂直である。
【0047】
法線力が法線軸aに沿って作用するとき、各々の3つの圧電要素10、10’、10’’が4つの側方表面130、140、150、160に圧電干渉電荷を発生させる。
【0048】
したがって、測定されることになる剪断力のために発生する圧電電荷が圧電要素の2つの端面110、120のみに発生する。加えて、圧電干渉電荷が、2つの端面110、120、及び4つの側方表面130、140、150、160、の両方で発生する。
【0049】
端面110、120が、その一部のエリアに、少なくとも、導電性を有する端面コーティング111、121を備える。導電性を有する端面コーティング111、121のエリアのサイズが端面110、120の90%から100%の間であってよい。側方表面130、140、150、160が、その一部のエリアに、少なくとも、導電性を有する側方表面コーティング131、141,151、161を備える。導電性を有する側方表面131、141、151、161のエリアのサイズが、側方表面130、140、150、160の0%から100%の間であってよい。導電性を有する端面コーティング111、121及び導電性を有する側方表面コーティング131、141、151、161が、金属フィルムの熱積層により、又は金属蒸着により、製造され得る。銅、銅合金、金、金合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などがこの金属として使用され得る。導電性を有する端面コーティング111、121及び導電性を有する側方表面コーティング131、141、151、161が、好適には、0.1mm未満の厚さを有する。
【0050】
したがって、真の電極の代わりに、加速度変換器1が、導電性を有する端面コーティング111、121、及び導電性を有する側方表面コーティング131、141、151、161のみを備える。したがって、加速度変換器1はより少ない要素を収容することになり、それにより空間が節約され、加速度変換器1の組み立てが容易になる。
【0051】
導電性を有する端面コーティング111、121及び導電性を有する側方表面コーティング131、141、151、161のおかげで、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の機械的な事前装填が必要ない。その理由は、導電性を有する端面コーティング111、121及び導電性を有する側方表面コーティング131、141、151、161が端面110、120及び側方表面130、140、150、160に材料接触しており、端面110、120及び側方表面130、140、150、160の中の微細孔を密閉するからである。このように微細孔を密閉することにより、CH399021A1による事前装填スリーブ又はRU1792537C1による事前装填ハウジングなどの、別個の事前装填手段を加速度変換器1に提供することが必要なくなる。これにより構成要素の数が低減され、それにより空間及び重量が節約され、加速度変換器1の組み立てが容易になる。
【0052】
図7及び8を参照すると、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、又は第3の圧電要素10’’の第1の実施例によると、第1の端面110が、その一部のエリアにある、2つの第1の導電性を有する端面コーティング111、111’、及びその一部のエリアにある2つの第1の被覆されない端面エリア112、112’を備える。さらに、第2の端面120が、その一部にエリアに、3つ以上の導電性を有する端面コーティング121、121’、121’’を備える。第1の側方表面130が、その一部のエリアにある第1の導電性を有する側方表面コーティング131、その一部のエリアにある別の第1の導電性を有する側方表面コーティング133、及びその一部のエリアにある複数の被覆されない第1の側方表面エリア132、132’、132’’、132’’’、132’’’’を備える。第2の側方表面140が、その一部のエリアにある第2の導電性を有する側方表面コーティング141、及びその一部のエリアにある第2の被覆されない側方表面エリア142を備える。第3の側方表面150が、その一部のエリアにある第3の導電性を有する側方表面コーティング151、さらには、その一部のエリアにある2つの第3の被覆されない側方表面エリア152、152’を備える。第4の側方表面160が、その一部にエリアに、第4の導電性を有する側方表面コーティング161を備える。
【0053】
図7及び8に示される、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第1の実施例によると、2つの第1の導電性を有する端面コーティング111、111’、別の第1の導電性を有する側方表面コーティング133、及び第3の導電性を有する側方表面コーティング151が、第1の導電性を有する連続コーティング101を形成する。複数の第2の導電性を有する端面コーティング121、121’、121’’、第1の導電性を有する側方表面コーティング131、第2の導電性を有する側方表面コーティング141、及び第4の導電性を有する側方表面コーティング161が、第2の導電性を有する連続コーティング102を形成する。
【0054】
本発明では、「連続」という形容詞は、「導電的に接続される」という意味を有する。第1の導電性を有する連続コーティング101が、第1の導電性を有する連続コーティング101の下方で第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の表面に発生する第1の圧電電荷を第1の加速度信号S1として受け取る。第2の導電性を有する連続コーティング102が、第2の導電性を有する連続コーティング102の下方で第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の表面に発生する第2の圧電電荷を第2の加速度信号S2として受け取る。第1及び第2の圧電電荷が異なる信号を有する。したがって、第1の圧電電荷が負の信号を有し、第2の圧電電荷が正の信号を有するか、又は第1の圧電電荷が正の信号を有し、第2の圧電電荷が負の信号を有する。
【0055】
好適には、第1の導電性を有する端面コーティング111及び第1の導電性を有する側方表面コーティング131が第1の導電性を有する連続コーティング101を形成する。好適には、第2の導電性を有する端面コーティング121及び別の第1の導電性を有する側方表面コーティング133が、第2の導電性を有する連続コーティング102を形成する。好適には、少なくとも1つの、第2の導電性を有する側方表面コーティング141、第3の導電性を有する側方表面コーティング151、又は第4の導電性を有する側方表面コーティング161が、第1の導電性を有する連続コーティング101の一部であるか又は第2の導電性を有する連続コーティング102の一部である。
【0056】
図7及び8に示されるように、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第1の実施例によると、第1の導電性を有する連続コーティング101及び第2の導電性を有する連続コーティング102が、2つの第1の被覆されない端面エリア112、112’、複数の第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’、132’’’、第2の被覆されない側方表面エリア142、及び2つの第3の被覆されない側方表面エリア152、152’により、互いから電気的に絶縁される。
【0057】
図9及び10に示されるように、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、第3の圧電要素10’’の第2の実施例によると、第1の端面110が、一部にエリアにある第1の導電性を有する端面コーティング111、及びその一部のエリアにある複数の第1の被覆されない端面エリア112、112’、112’’を備える。さらに、第2の端面120が、その一部のエリアにある複数の第2の導電性を有する端面コーティング121、121’’、121’’、及びその一部のエリアにある第2の被覆されない端面エリア122を備える。第1の側方表面130が、その一部のエリアにある第1の導電性を有する側方表面コーティング131、その一部のエリアにある2つの追加の第1の導電性を有する側方表面コーティング133、133’、及びその一部のエリアにある複数の被覆されない第1の側方表面エリア132、132’、132’’を備える。第2の側方表面140が、その一部のエリアにある第2の導電性を有する側方表面コーティング141、及びその一部のエリアにある複数の第2の被覆されない側方表面エリア142、142’、142’’を備える。第3の側方表面150が、その一部のエリアにある第3の導電性を有する側方表面コーティング151、及びその一部のエリアにある第3の被覆されない側方表面エリア152、152’を備える。第4の側方表面160が、その一部のエリアに、第4の導電性を有する側方表面コーティング161を備える。
【0058】
図9及び10に示されるように、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第2の実施例によると、複数の第1の導電性を有する端面コーティング112、112’、112’’及び2つの第2の第1の導電性を有する側方表面コーティング131、131’が、第1の導電性を有する連続コーティング101を形成する。複数の第2の導電性を有する端面コーティング121、121’、121’’、2つの追加の第1の導電性を有する側方表面コーティング133、133’、第2の導電性を有する側方表面コーティング141、第3の導電性を有する側方表面コーティング151、及び第4の導電性を有する側方表面コーティング161が、第2の導電性を有する連続コーティング102を形成する。
【0059】
図9及び10に示されるように、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第2の実施例によると、第1の導電性を有する連続コーティング101の導電性を有する側方表面コーティング131、131’が法線軸aに沿う法線力のための圧電干渉電荷を抽出し、この圧電干渉電荷が、副接線方向軸nに沿う剪断力のための、第1の導電性を有する連続コーティング101の第1の導電性を有する端面コーティング111によって抽出される圧電干渉電荷の極性と逆の極性を有する。加えて、第2の導電性を有する連続コーティング102の導電性を有する側方表面コーティング133、141、151、161が法線軸aに沿って作用する法線力のための圧電干渉電荷を抽出し、この圧電干渉電荷が、副接線方向軸nに沿って作用する剪断力のための、第2の導電性を有する連続コーティング102の第2の導電性を有する端面コーティング121、121’’、121’’’によって抽出される圧電干渉電荷の極性と逆の極性を有する。
【0060】
図9及び10に示されるように、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第2の実施例によると、第1の導電性を有するコーティング101及び第2の導電性を有するコーティング102が、複数の第1の被覆されない端面エリア112、112’、112’’、第2の被覆されない端面エリア122、複数の第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’、複数の第2の被覆されない側方表面エリア142、142’、142’’、及び第3の被覆されない側方表面エリア152により、互いから電気的に絶縁される。
【0061】
第1の導電性を有するコーティング131のサイズと別の第1の導電性を有するコーティング133のサイズとの比が、第1の側方表面130の第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’、132’’’、132’’’’の相対位置及び/又はサイズによって調整され得る。本発明の文脈では、「及び/又は」の一組の接続詞は、これらの接続詞の一方のみ又はこれらの接続詞の両方が適用されることを意味する。
【0062】
第1の導電性を有するコーティング131のサイズと別の第1の導電性を有するコーティング133のサイズとの比が、第2の側方表面140及び第3の側方表面150を基準とした第1の側方表面130の第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’、132’’’、132’’’’の相対位置によって調整され得る。第2の側方表面140の方にさらに移動させられるか又は第3の側方表面150の方にさらに移動させられる第1の側方表面130の第1の被覆されない側方表面132、132’、132’’、132’’’、132’’’’の相対位置に応じて、第1の導電性を有するコーティング131のサイズと別の第1の導電性コーティング133のサイズとの比が相応に減少又は増大させられ得る。
図7及び8に示される、第1の厚手要素10、第2の圧電要素10’、第3の圧電要素10’’の第1の実施例によると、第1の被覆されない側方表面132、132’、132’’’、132’’’’が第2の側方表面140の比較的近くに配置される。
図9及び10に示される、第1の厚手要素10、第2の圧電要素10’、第3の圧電要素10’’の第2の実施例によると、第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’が第2の側方表面140及び第3の側方表面150から実質的に等しい距離のところに配置される。
【0063】
しかし、第1の側方表面130の第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’’、132’’’’のサイズを増大又は減少させることによっても、第1の導電性を有するコーティング131のサイズと別の第1の導電性を有するコーティング133のサイズとの比が調整され得る。
図7及び8に示される、第1の厚手要素10、第2の圧電要素10’、第3の圧電要素10’’の第1の実施例によると、第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’、132’’’、132’’’’が別の第1の導電性を有するコーティング133の実質的に2倍のサイズを有し、第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’’、132’’’、132’’’’が、第1の導電性を有するコーティング131の実質的に5分の1である。
図9及び10に示される、第1の厚手要素10、第2の圧電要素10’、第3の圧電要素10’’の第2の実施例によると、第1の被覆されない側方表面エリア132、132’、132’’が、第1の導電性を有するコーティング131、131’及び別の第1の導電性を有するコーティング133と実質的に等しいサイズを有する。
【0064】
好適には、第1の導電性を有するコーティング101の導電性を有する側方表面コーティングが法線軸aに沿う法線力のための圧電干渉電荷を抽出し、この圧電干渉電荷が、副接線方向軸nに沿って作用する剪断力のための、第1の導電性を有するコーティング101の第1の導電性を有する端面コーティングによって抽出される圧電干渉電荷の極性と逆の極性を有する。加えて、第2の導電性を有するコーティング102の導電性を有する側方表面コーティングが法線軸aに沿う法線力のための圧電干渉電荷を抽出し、この圧電干渉電荷が、副接線方向軸nに沿う剪断力のための、第2の導電性を有するコーティング102の第2の導電性を有する端面コーティングによって抽出される圧電干渉電荷の極性と逆の極性を有する。
【0065】
好適には、第1の導電性を有する連続コーティング101の導電性を有する側方表面コーティングのサイズが、導電性を有する側方表面コーティングにより抽出される、法線軸aに沿う剪断力のための圧電干渉電荷の数を、第1の導電性を有する連続コーティング101の第1の導電性を有する端面コーティングにより抽出される、副接線方向軸nに沿う剪断力のための圧電干渉電荷の数と実質的に等しくするような、サイズである。さらに、第2の導電性を有する連続コーティング102の導電性を有する側方表面コーティングが、第2の導電性を有する連続コーティング102の第2の導電性を有する端面コーティングにより抽出される、副接線方向軸nに沿う剪断力のための圧電干渉電荷と実質的に等しい数の、法線軸aに沿う法線力のための圧電干渉電荷を抽出する。
【0066】
RU1792537C1とは対照的に、剪断力が、本発明に従って、軸ごとに1つの圧電要素10、10’、10’’のみによって検出される。したがって、副接線方向軸nに沿って作用する剪断力から生じる圧電干渉電荷を排除することが可能ではなく、この圧電干渉電荷は、軸ごとに、逆の極性を有する2つの圧電要素を直列に接続することにより主接線方向軸hに沿う剪断力の測定をねじ曲げる。したがって、本発明の加速度変換器1は異なる解決策を利用する。これは、圧電材料が、法線軸aに沿って側方表面130、140、150、160に作用する法線力のための圧電干渉電荷も発生させる、ことに基づく。これらの圧電干渉電荷も、主接線方向軸hに沿う剪断力の検出をねじ曲げる。このため、これらの圧電干渉電荷は、通常、側方表面130、140、150、160から抽出されない。しかし、副接線方向軸nに沿う剪断力の発生に、法線軸aに沿って作用する法線力が伴うことが分かっている。前者の場合、圧電干渉電荷が端面110、120に発生するが、後者の場合、圧電干渉電荷が側方表面130、140、150、160に発生する。これらの2つの種類の圧電干渉電荷が、主接線方向軸hに沿う剪断力の検出に干渉する。適切な第1の導電性を有する連続コーティング101及び第2の導電性を有する連続コーティング102を使用することにより、端面110、120及び側方表面130、140、150、160を直列に電気的に接続すること、及び主接線方向軸hに沿う剪断力の検出に干渉する圧電干渉電荷を排除することが可能となる。
【0067】
図11が、変換器ユニット1.1の圧電電荷の伝送の概略図である。第1の側方表面130を備える、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の一部分、及び変換器ユニット1.3の一部分、さらには信号出力部1.4の一部分が示される。
【0068】
変換器ユニット1.3が第1の加速度信号S1を変換することができる。コンバータ・ユニット1.3が、少なくとも、第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’、少なくとも、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’、少なくとも1つのトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’、並びに少なくとも第1の信号出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2の信号出力部導体13.9を備える。さらに、コンバータ・ユニット1.3が、少なくとも1つの第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’、及び/又は少なくとも1つの第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’を備える。
【0069】
図1及び3に示される、加速度変換器1の第1の実施例では、コンバータ・ユニット1.3がメイン・ボディ12上のみに直接配置される。好適には、コンバータ・ユニット1.3が、メイン・ボディ12の第1の垂直方向側面12.7上のみに直接配置される。
図2及び4に示される、加速度変換器1の第2の実施例では、コンバータ・ユニット1.3が支持体13.7上のみに配置される。支持体13.7が、Al
2O
3、セラミック、Al
2O
3セラミック、繊維強化プラスチックなどの、電気絶縁材料で作られる。支持体13.7がメイン・ボディ12に固定される。好適には、支持体13.7が、接着、はんだ付けなどの材料接着により、メイン・ボディ12の第1の垂直方向側面12.7に取り付けられる。
【0070】
第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’、第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’、第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’、並びにトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が、第1の垂直方向側面12.7(
図1及び3による加速度変換器1の第1の実施例)又は支持体13.7(
図2及び4による加速度変換器1の第2の実施例)に取り付けられる。
【0071】
第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’、並びに第1の信号出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2の信号出力部導体13.9が、銅、銅合金、金、金合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの、導電性材料で作られ、0.02mmから0.10mmの直径を有し、機械的可撓性を有する。
【0072】
第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’、さらには第1の信号出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2の信号出力部導体13.9が、第1及び第2の加速度信号S1、S2をアースから絶縁する形で伝導する。本発明の文脈では、「アースから絶縁される」という用語は、加速度変換器1の接地からの電気的な絶縁を意味する。好適には、加速度変換器1のハウジング1.2が接地され、したがって、ハウジング1.2がローカル・アースと等しい電位を有する。したがって、加速度信号S1、S2が、加速度変換器1の電位から電気的に絶縁される形で伝導される。こうすることにより、例えばハウジング1.2とコンバータ・ユニット1.3との間における、加速度変換器1の電位の変化により加速度の測定がねじ曲げられない。
【0073】
好適には、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’が導電性を有するコーティング内でパターン形成される。導電性を有するコーティングが、化学蒸着、物理蒸着などによって形成される。導電性を有するコーティングが、銅、銅合金、金、金合金、白金、白金合金などの、導電性材料で作られる。導電性を有するコーティングが導電性を有する薄膜である。本発明の文脈では、「薄膜」という用語は、その平面的な延在方向(planar extension)に対して垂直である方向における導電性を有するコーティングの厚さが好適には0.1mm未満であることを意味する。導電性を有するコーティングが第1の垂直方向側面12.7(
図1及び3による加速度変換器1の第1の実施例)又は支持体13.7(
図2及び4による加速度変換器1の第2の実施例)に直接付着される。本発明の文脈では、「直接」という副詞は「直に」を意味する。好適には、導電性を有するコーティング内での第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’のパターン形成が、ステンシル印刷、フォトリソグラフィ、及びレーザ切断によって実行される。
【0074】
好適には、コンバータ・ユニット1.3が、3つの、第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’を備える。1つの第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’が、各々、第1の加速度信号S1を、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、又は第3の圧電要素10’’の第1の導電性を有するコーティング101から、コンバータ・ユニット1.3まで伝送する。1つの第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’が、各々、第2の加速度信号S2を、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、又は第3の圧電要素10’’の第2の導電性を有するコーティング102から、コンバータ・ユニット1.3まで伝送する。
【0075】
第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’が第1の側方表面130に接触している。これは、第1の側方表面130が利用可能であり、特定の技術的役割を果たす、ことが理由であり、すなわち、第1の側方表面130が、圧電電荷を伝送するための、その上に設けられる圧電要素接点13.01、13.01’、13.01’’を有し、それにより空間を節約する、ことが理由である。第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’の各々が、第1の圧電要素接点13.01、13.01’、13.01’’を介して第1の側方表面電気コーティング131に接触する。第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’の各々が、第2の圧電要素接点13.02、13.02’、13.02’’を介して、第2の側方表面電気コーティング133に接触する。第1の圧電要素接点13.01、13.01’、13.01’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’が第1の側方表面130に取り付けられる。第1の圧電要素接点13.01、13.01’、13.01’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’が、ワイヤ・ボンディング、はんだ付けなどによって作られる材料結合部(material bond)である。熱圧着、超音波熱によるボールウェッジ・ボンディング(thermosonic ball wedge bonding)、超音波ウェッジ・ボンディングなどの方法がワイヤ・ボンディングに適する。
図11の円形の第1の圧電要素接点13.01、13.01’、13.01’’及び第2の圧電要素接点13.02、13.02’、13.02’’が形成されたワイヤを表す。
【0076】
コンバータ・ユニット1.3が、好適には、3つの第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’を備える。第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’の各々が、第1のメイン・ボディ・アクセス接点13.03、13.03’、13.03’’を介して第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’に接触する。1つの第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’が、各々、第2のメイン・ボディ・アクセス接点13.04、13.04’、13.04’’を介して第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’に接触する。第1のメイン・ボディ・アクセス接点13.03、13.03’、13.03’’、及び第2のメイン・ボディ・アクセス接点13.04、13.04’、13.04’’が、第1の垂直方向側面12.7(
図1及び3による加速度変換器1の第1の実施例)又は支持体13.7(
図2及び4による加速度変換器1の第2の実施例)に取り付けられる。第1のメイン・ボディ・アクセス接点13.03、13.03,13.03’’及び第2のメイン・ボディ・アクセス接点13.04、13.04’、13.04’’が、ワイヤ・ボンディング、はんだ付けなどによって作られる材料結合部である。熱圧着、超音波熱によるボールウェッジ・ボンディング(thermosonic ball wedge bonding)、超音波ウェッジ・ボンディングなどの方法がワイヤ・ボンディングに適する。
図11の円形の第1のメイン・ボディ・アクセス接点13.03、13.03’、13.03’’及び第2のメイン・ボディ・アクセス接点13.04、13.04’、13.04’’が形成されたワイヤを表す。
【0077】
第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’、第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’、及びトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が、第1のメイン・ボディ導体13.3.13.3’、13.3’’により互いに電気的に接続される。第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第2の加速度信号S2を有する第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’が電気的に短絡され、コンバータ・ユニット1.3の基準電位となる。基準電位は安定化されたすなわち一時的に一定である直流電圧(direct electrical voltage)である。
【0078】
好適には、コンバータ・ユニット1.3が、3つのトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’を備える。3つのトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が同一の構造を有する。
図1及び2による実施例では、トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が電子部品である。トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が、介在物を介する材料結合部により、第1の垂直方向側面12.7(
図1及び3による加速度変換器1の第1の実施例)若しくは支持体13.7(
図2及び4による加速度変換器1の第2の実施例)に固定され、並びに/又は、トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が、介在物を介して、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’に固定される。介在物が、化学的に硬化され得る接着剤、物理的に固まることができる接着剤、はんだ、などである。好適には、介在物が、エポキシ、ポリウレタン、シアノアクリレート、メチルメタクリレートなどの、接着剤である。1つの第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’が、各々、トランスインピーダンス・コンバータ13、10、13.10’、13.10’’に接触する。任意の接触方法が選択され得る。1つの第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’が、各々、第1の加速度信号S1をトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’の入力部に伝送する。好適には、トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’の入力部が10
7Ωを超える高いインピーダンスを有する。トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が第1の加速度信号S1を電圧に変換する。変換された第1の加速度信号S1がトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’の出力部に提供される。好適には、トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’の出力部が10
2Ω未満の低いインピーダンスを有する。しかし、トランスインピーダンス・コンバータを使用することの代わりに、本発明を認識する当業者であれば、電荷増幅器の入力部のところで低い電気抵抗を有する電荷増幅器を使用することもできる。
【0079】
図12が、コンバータ・ユニット1.3のハイパス・フィルタ18、18’、18’’の概略図を示す。好適には、コンバータ・ユニット1.3が、3つの第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’を備える。3つの第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’の構造が同一である。
【0080】
図1及び2による実施例では、第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’が、Al
2O
3、セラミック、Al
2O
3セラミックなどの、抵抗材料で作られる抵抗性コーティングである。抵抗性コーティングが、化学蒸着、物理蒸着などによって製作される。抵抗性コーティングが電気抵抗器の薄膜である。また、抵抗性コーティングは、その平面的な延在方向に対して垂直な方向におけるその厚さが好適には0.1mm未満であることを理由として、本発明の意味では、「薄膜」である。抵抗性コーティングが、第1の垂直方向側面12.7(
図1及び3による加速度変換器1の第1の実施例)若しくは支持体13.7(
図2及び4による加速度変換器1の第2の実施例)に直接付着され、並びに/又は、抵抗性コーティングが、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’に直接付着される。抵抗性コーティングが、ステンシル印刷、フォトリソグラフィ、レーザ切断などによってパターン形成され得る。
【0081】
図2及び4による実施例では、第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’が、セラミック、金属酸化物などのような抵抗材料で作られる電気部品、及び接続ワイヤである。
【0082】
第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’が、各々、第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’に接触する。任意の接触方法が選択され得る。第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’が、各々、3つの圧電要素10、10’、10’’のうちの1つに並列に電気的に接続される。この並列接続はハイパス・フィルタ18、18’、18’’’である。その理由は、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、又は第3の圧電要素10’’がコンデンサであるからである。ハイパス・フィルタ18、18’、18’’が遮断振動数未満の振動数を取り除く。遮断振動数は好適には10Hzである。加速度変換器1による加速度の測定が開始されると、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の放電が遮断振動数未満の低干渉性の振動数(low interference frequency)を発生させることができる。この低干渉性の振動数がトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’の入力部に存在し、不確定の時定数を表す。低干渉性の振動数が加速度の測定をねじ曲げる可能性がある。低干渉性の振動数が取り除かれ、トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’が確定した時定数を得る。遮断振動数が、第1の電気抵抗器13.5、13.5’、13.5’’の電気抵抗の値に応じて調整され得る。
【0083】
図13が、コンバータ・ユニット1.3のローパス・フィルタ17、17’、17’’の概略図を示す。好適には、コンバータ・ユニット1.3が、3つの第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’を備える。3つの第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’が同一の構造を有する。第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’が、セラミック、金属酸化物など抵抗材料で作られる電気部品、及び接続ワイヤである。第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’が、各々、第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’に接触する。任意の接触方法が選択され得る。第2の電気抵抗器13.6、13.6’、13.6’’が、各々、3つの圧電要素10、10’、10’’のうちの1つに直列に電気的に接続される。この直列接続はローパス・フィルタ17、17’、17’’である。その理由は、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、又は第3の圧電要素10’’がコンデンサであるからである。ローパス・フィルタ17、17’、17’’が、加速度変換器1の固有振動数未満の高干渉性の振動数(high interference frequency)を取り除く。このような高干渉性の振動数は加速度変換器1の機械的励起によって発生する。高干渉性の振動数がトランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’の入力部のところに存在し、トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’を飽和状態にする可能性があり、したがって加速度の測定をねじ曲げる可能性がある。ローパス・フィルタ17、17’、17’’が、第2の電気抵抗器13.6、13.6、13.6’’の電気抵抗の値に応じて加速度変換器1の固有振動数に合うように調整され得る。
【0084】
好適には、コンバータ・ユニット1.3が3つの第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’備える。トランスインピーダンス・コンバータ13.10、13.10’、13.10’’の各出力部が、第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’を介して第1のメイン・ボディ出力部接点13.08、13.08’、13.08’’に接触する。好適には、コンバータ・ユニット1.3が第2のメイン・ボディ出力部導体13.9を備える。第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’が、第2のメイン・ボディ出力部接点13.09を介して第2のメイン・ボディ出力部導体13.9に接触する。第1のメイン・ボディ出力部接点13.08、13.08’、13.08’’及び第2のメイン・ボディ出力部接点13.09が、第1の垂直方向側面12.7(
図1及び3による加速度変換器1の第1の実施例)又は支持体13.7(
図2及び4による加速度変換器1の第2の実施例)に固定される。第1のメイン・ボディ出力部接点13.08.13.08’、13.08’’及び第2のメイン・ボディ出力部接点13.09が、ワイヤ・ボンディング、はんだ付けなどにより作られる材料結合部である。熱圧着、超音波熱によるボールウェッジ・ボンディング、超音波ウェッジ・ボンディングなどの方法がワイヤ・ボンディングに適する。
図11の円形の第1のメイン・ボディ出口接点13.08、13.08’、13.08’’及び第2のメイン・ボディ出口接点13.09が形成されたワイヤを表す。
【0085】
第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’が、変換された第1の加速度信号S1を信号出力部1.4に伝送する。第2のメイン・ボディ出力部導体13.9が第2の加速度信号S2の合計を信号出力部1.4に伝送する。
【0086】
信号出力部1.4がその一部のエリアでハウジング1.2に固定される。
図1及び2に示される加速度変換器1の実施例によると、信号出力部1.4が好適には電気ケーブルである。信号出力部1.4が、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2、保護シース14.3、シース・フランジ14.4、電気絶縁体14.5、及び流延材料14.6を備える。
【0087】
断面では、信号出力部1.4が多層構造を有する。
【0088】
信号線14.1、14.1、14.1’’、14.2が内側層を形成する。好適には、信号出力部1.4が、3つの第1の信号線14.1、14.1’、14.1’’及び1つの第2の信号線14.2を備える。信号線14.1、14.1、14.1’’、14.2が、銅、銅合金、金、金合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの、導電性材料で作られる。好適には、各信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2が電気絶縁シースを備える。第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2のメイン・ボディ出力部導体13.9が第1の信号線14,1、14.1’14.1’’及び第2の信号線14.2に接触する。第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’の各々がそれぞれの第1の信号線14.1、14.1、14.1’’に接触する。第2のメイン・ボディ出力部導体13.9が第2の信号線14.2に接触する。
【0089】
電気絶縁体14.5が中間層を形成し、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の周りに配置される。電気絶縁体14.5が信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2を保護シース14.3から電気的に絶縁する。電気絶縁体14.5が、Al2O3、セラミック、Al2O3セラミック、繊維強化プラスチックなどの、電気絶縁材料で作られる。
【0090】
保護シース14.3が外側層を形成する。保護シース14.3が、汚染(ダスト、湿気など)などの有害な環境影響から、さらには、第1の加速度信号S1及び第2の加速度信号S2に望ましくない干渉の影響を生み出し得るような電磁波から、電気絶縁体14.5さらには信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2を保護する。保護シース14.3が、金属、プラスチックなどの、機械的耐性を有する材料で作られる。
【0091】
図14から18が、
図2による加速度変換器1の実施例の組み立てのステップを示す。
【0092】
図14が組み立ての第1のステップを示しており、ここでは、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2がハウジング1.2の中に導入される。ハウジング1.2が信号出力部開口部1.22を備える。好適には、信号出力部開口部1.22が、保護シース14.3の形状、及び保護シース14.3の外径の寸法を有する。信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の端部が剥き出しであり、対してここでは電気絶縁シースが一部のエリアで取り外されている。信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の端部が、信号出力部開口部1.22を通ってハウジング1.2の内側空間の中まで突出する。ハウジング1.2の内側空間がハウジング底部1.23の周りの空間である。
【0093】
信号出力部開口部1.22が、保護シース14.3及びシース・フランジ14.3により外側から密閉される。好適には、保護シース14.3の一方の端部がシース・フランジ14.4に取り付けられる。シース・フランジ14.4が、金属、プラスチックなどの、機械的耐性を有する材料で作られる。保護シース14.3及びシース・フランジ14.4の接続が、圧着などの力伝達部(force connection)によって達成される。
【0094】
金属フランジ14.4自体が材料結合部によりハウジング1.2に留められる。好適には、金属フランジ14.4が、ハウジング1.2の内部から離れる方を向くハウジング開口部1.22の外側縁部に留められる。材料結合部が、溶接、はんだ付け、接着などによって作られる。シース・フランジ14.4とハウジング1.2との間の接続により、保護シース14.3のひずみが緩和される。保護シース14.3のこのようなひずみの緩和により、機械的荷重が保護シース14.3からハウジング1.2の内部に伝達されない。機械的荷重はコンバータ・ユニット1.3に到達するとメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8、’、13.8’’、13.9の引き裂け又は破裂などの破損を引き起こす可能性がある。このような機械的応力は、保護シース14.3の長手方向軸に沿うその延在方向を中心とした捻回、ねじれなどにより発生する。
【0095】
図15が組み立ての第2のステップを示しており、ここでは、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2がハウジング1.2内で流延材料14.6を用いて形状を固定される。流延材料14.6がハウジング開口部1.20を通して信号出力部開口部1.21内の信号線14.1、14.1’、14.1’’に適用される。流延材料14.6は、化学的に硬化され得る接着剤若しくは物理的に固まることができる接着剤であるか、又は化学的に硬化される接着剤と物理的に固まる接着剤との組み合わせである。好適には、流延材料14.6が、エポキシ、ポリウレタン、シアノアクリレート、メチルメタクリレートなどの、接着剤から構成される。流延材料14.6が、10
12Ωmm
2/mを超える電気抵抗を有する電気絶縁体である。好適には、信号出力部開口部1.21を完全に密閉するのに十分な流延材料14.6が信号出力部開口部1.21内の信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2に適用される。
【0096】
図16が組み立ての第3のステップを示しており、ここでは、流延材料14.6の中で形状を固定される信号線14、1、14.1’、14.1’’、14.2がハウジング1.2内の一部のエリアで露出している。信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の露出部14.7が、カッティング・ウェッジ(cutting wedge)、ミリング・カッターなどの適切な切断ツールによって得られる。切断ツールはハウジング開口部1.20を通してハウジング1.2の内部に導入され、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の端部さらには硬化した流延材料14.6の一部分を切り取る。露出部14.7は横軸x及び長手方向軸yによって画定される平面内に存在する。露出部14.7のこのエリアでは、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の切断端部の端面が1つの平面内で露出している。好適には、この平面がハウジング開口部1.20に平行である。露出部14.7のこのエリアでは、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の側方表面が流延材料14.6によって完全に覆われる。流延材料14.6がひずみを緩和する形で信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2を固定する。このように信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2のひずみが緩和されることにより、機械的荷重が信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2からハウジング1.2の内部に伝達されない。機械的荷重はコンバータ・ユニット1.3に到達するとメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’、13.9の引き裂け又は破裂などの破損を引き起こす可能性がある。このような機械的応力は、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の長手方向軸に沿うその延在方向を中心とした捻回又はねじれなどにより発生する。さらに、流延材料14.6が信号出力部開口部1.21を気密的に密閉する。信号出力部開口部1.21の気密シールが、信号線14、1、14.1’、14.1’’、14.2を介してハウジング1.2の内部に湿気が入って変換器ユニット1.1に到達するのを防止する。石英などの圧電材料は非常に高い吸湿性を有することから、湿気が圧電要素10、10’、10’’の機能性を損なう可能性がある。
【0097】
図17が組み立ての第4のステップを示しており、ここでは、変換器ユニット1.1がハウジング1.2の中に導入されている。変換器ユニット1.1が、コンバータ・ユニット1.3と共に、ハウジング開口部1.20を通してハウジング1.2の内部に導入される。第2の垂直方向側面12.6が、接着、はんだ付けなどの、材料結合部により、ハウジング底部1.23に固定される。好適には、変換器ユニット1.1が4つの接線方向側面12.4を露出部14.7に近接させるように配置される。
【0098】
図18が組み立ての第5のステップを示しており、ここでは、変換器ユニット1.1のコンバータ・ユニット1.3が接触している。コンバータ・ユニット1.3の接触がワイヤ・ボンダなどの適切な接触ツールによって行われる。接触ツールがハウジング開口部1.20を通してハウジング1.2の内部に導入される。接触ツールが、第1の圧電要素導体13.1、13.1’、13.1’’及び第2の圧電要素導体13.2、13.2’、13.2’’を介して、コンバータ・ユニット1.3の第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’を、第1の圧電要素10、第2の圧電要素10’、及び第3の圧電要素10’’の第1の側方表面130に接続する。加えて、接触ツールが、第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2のメイン・ボディ出力部導体13.9を介して、コンバータ・ユニット1.3の第1のメイン・ボディ導体13.3、13.3’、13.3’’及び第2のメイン・ボディ導体13.4、13.4’、13.4’’を、信号出力部1.4の信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2に接続する。
【0099】
好適には、第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2のメイン・ボディ出力部導体13.9が、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2の切断端部の端面に直接接続される。このように、第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2のメイン・ボディ出力部導体13.9が信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2に直接接触することには、印刷回路基板などの別の支持手段が必要なく、それにより加速度変換器の寸法及び重量が低く抑えられ、加速度変換器の組み立てが単純且つ安価となる、という利点がある。このように、第1のメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’及び第2のメイン・ボディ出力部導体13.9が信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2に直接接触することには、機械的可撓性を有するメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’、13.9により、コンバータ・ユニット1.3がひずみを緩和する形で信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2に接続され、すなわち、機械的可撓性を有するメイン・ボディ出力部導体13.8、13.8’、13.8’’、13.9が、信号線14.1、14.1’、14.1’’、14.2にまで伝わる機械的応力を減衰させる、という別の利点がある。
【0100】
コンバータ・ユニット1.3の電気的接触が完了すると、ハウジング・カバー1.21によりハウジング開口部1.20が気密的に密閉される。このシールが、溶接、はんだ付け、接着などの、材料接着によって作られる。
【符号の説明】
【0101】
1 加速度変換器
1.1 変換器ユニット
1.2 ハウジング
1.20 ハウジング開口部
1.21 ハウジング・カバー
1.22 信号出力部開口部
1.23 ハウジング底部
1.24 アセンブリ・ギャップ
1.3 コンバータ・ユニット
1.4 信号出力部
10、10’、10’’ 圧電要素
11、11’、11’’ 振動質量
12 メイン・ボディ
12.1、12.2、12.3、12.4 接線方向側面
12.6、12.7 垂直方向側面
13.01、13.01’、13.01’’ 第1の圧電要素接点
13.02、13.02’、13.02’’ 第2の圧電要素接点
13.03、13.03’、13.03’’ 第1のメイン・ボディ・アクセス接点
13.04、13.04’、13.04’’ 第2のメイン・ボディ・アクセス接点
13.08、13.08’、13.08’’ 第1のメイン・ボディ出力部接点
13.09 第2のメイン・ボディ出力部接点
13.1、13.1’、13.1’’ 第1の圧電要素導体
13.2、13.2’、13.2’’ 第2の圧電要素導体
13.3、13.3’、13.3’’ 第1のメイン・ボディ導体
13.4、13、4’、13.4’’ 第2のメイン・ボディ導体
13.5、13.5’、13.5’’ 第1の電気抵抗器
13.6、13.6’、13.6’’ 第2の電気抵抗器
13.7 支持体
13.8、13.8’、13.8’’ 第1のメイン・ボディ出力部導体
13.9 第2のメイン・ボディ出力部導体
13.10、13.10’、13.10’’ トランスインピーダンス・コンバータ
14.1、14.1’、14.1’’ 第1の信号線
14.2 第2の信号線
14.3 保護シース
14.4 シース・フランジ
14.5 電気絶縁体
14.6 流延材料
14.7 露出部
15、15’、15’’ 内側接続手段
16、16’、16’’ 外側接続手段
17、17’、17’’ ローパス・フィルタ
18、18’、18’’ ハイパス・フィルタ
101 第1の導電性を有するコーティング
102 第2の導電性を有するコーティング
110、120 端面
111、111’ 第1の導電性を有する端面コーティング
112、112’、112’’ 第1の被覆されない端面エリア
121~121’’’ 第2の導電性を有する端面コーティング
122、122’、122’’ 第2の被覆されない端面エリア
130、140、150、160 側方表面
131、131’ 第1の導電性を有する側方表面コーティング
132、132’~132’’’’ 第1の被覆されない側方表面エリア
133、133’ 別の第1の導電性を有する側方表面コーティング
141 第2の導電性を有する側方表面コーティング
142、142’、142’’ 第2の被覆されない側方表面エリア
151、151’ 第3の導電性を有する側方表面コーティング
161 第4の導電性を有する側方表面コーティング
a 法線軸
F 力
h 主接線方向軸
n 副接線方向軸
S1、S2 加速度信号
x 横軸
y 長手方向軸
z 垂直軸