(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20230314BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20230314BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230314BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20230314BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230314BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230314BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230314BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20230314BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20230314BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/08 B
G02B7/02 Z
G03B5/00 J
G03B17/02
G03B30/00
H04N23/50
H04N23/57
H04N23/68
(21)【出願番号】P 2021208148
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】202011605738.2
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】316006783
【氏名又は名称】新思考電機有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 紀之
(72)【発明者】
【氏名】矢野 智義
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110764216(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041602(US,A1)
【文献】特開2017-203958(JP,A)
【文献】国際公開第2019/208227(WO,A1)
【文献】特表2020-516929(JP,A)
【文献】特開2018-077430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0348479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 5/00 - 5/08
G03B 17/02
G03B 30/00
H04N 23/57
H04N 23/50
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
XYZ直交座標系において、
ベースと、
中間部材と、
レンズ体を取り付けるための取り付け部を有する可動部と、
前記ベースと前記中間部材との間に配置されてY方向に延び、前記中間部材を前記レンズ体の光軸方向であるX方向及びZ方向に移動自在に支持するサスペンションワイヤと、
前記中間部材と前記可動部との間に配置されてXZ方向に延び、前記可動部をY方向に移動自在に支持するワイヤ状の板ばねと、
を具備し、
前記板ばねと前記可動部と前記中間部材との間にダンパゲルが配置され、前記サスペンションワイヤと前記中間部材と前記ベースとの間にダンパゲルが配置されている
ことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ダンパゲルは、前記可動部のY方向の上面及び前記中間部材の上面に対向して設けられたダンパゲル溜まりと前記2つのダンパゲル溜まりの上方に位置する前記板ばねの下面との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ワイヤ状の板ばねは蛇行する形状を有しており、同じダンパゲル溜まりの上方に複数回位置することを特徴とする請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記板ばねは4本設けられており、前記板ばねの前記中間部材から前記可動部に至る経路は
Y方向から見たときに4本でX方向
に平行な仮想直線及びZ方向
に平行な仮想直線を対称軸とした線対称をなす形状であり、
前記レンズ体が取り付けられた場合の前記レンズ体を含む前記可動部全体の重心位置は、Y方向から見たときに前記X方向の対称軸と前記Z方向の対称軸との交点に一致する
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記レンズ体を含む前記可動部全体の形状は、
Y方向から見たときに前記Z方向に平行な対象軸は存在しない
ことを特徴とする請求項4記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記ダンパゲルは、前記ベースのY方向の上面及び前記中間部材のX方向及びZ方向を向いた側面に設けられたダンパゲル溜まりと前記ベースのダンパゲル溜まりに固定された前記サスペンションワイヤの下端との間に配置されてい
る
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記ベースに設けられたダンパゲル溜まりは、前記ベースの上面に前記サスペンションワイヤの周囲を壁により囲って形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記中間部材に設けられたダンパゲル溜まりは、前記中間部材の下端にZ方向に開いたU字凹部として形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置を備えたカメラ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラ装置を備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン等の電子機器に用いられるレンズ駆動装置、カメラ装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
OIS(Optical Image Stabilizer)機能とAF(Auto Focus)機能とを併有するレンズ駆動装置の中には、潜望式と称されるものがある。潜望式のレンズ駆動装置では、レンズ体と画像センサが、被写体からの光の入射方向と直交する方向に並べて配置されており、被写体からの光がプリズムやミラーにより反射され、レンズ体を透過し、画像センサに集束し、画像センサにより画像信号に変換される。この種のレンズ駆動装置に関わる技術を開示した文献として、特許文献1がある。特許文献1に記載のカメラモジュールは、ベースと移動支持構造とを組み合わせた筐体の中に、レンズプリズムユニットと、それを駆動するアクチュエータとを収めている。このカメラモジュールでは、レンズプリズムユニットは、4本のワイヤによってOISの2軸の方向に移動し得るようにして支持されており、移動支持構造の内壁の溝内のボールによって、AFの1軸の方向に移動し得るように支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、レンズ体の光軸方向の長さが長いため、レンズ体の3軸方向の動きを素早く収束させることが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、レンズ体の3軸方向の動きを素早く収束させることができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の好適な態様であるレンズ駆動装置は、XYZ直交座標系において、ベースと、中間部材と、レンズ体を取り付けるための取り付け部を有する可動部と、前記ベースと前記中間部材との間に配置されてY方向に延び、前記中間部材を前記レンズ体の光軸方向であるX方向及びZ方向に移動自在に支持するサスペンションワイヤと、前記中間部材と前記可動部との間に配置されてXZ方向に延び、前記可動部をY方向に移動自在に支持するワイヤ状の板ばねと、を具備し、前記板ばねと前記可動部と前記中間部材との間にダンパゲルが配置され、前記サスペンションワイヤと前記中間部材と前記ベースとの間にダンパゲルが配置されている。
【0007】
この態様において、前記ダンパゲルは、前記可動部のY方向の上面及び前記中間部材の上面に対向して設けられたダンパゲル溜まりと前記2つのダンパゲル溜まりの上方に位置する前記板ばねの下面との間に配置されていてもよい。
【0008】
また、前記ワイヤ状の板ばねは蛇行する形状を有しており、同じダンパゲル溜まりの上方に複数回位置してもよい。
【0009】
また、前記板ばねは4本設けられており、前記板ばねの前記中間部材から前記可動部に至る経路は4本でX方向及びZ方向を軸とした線対称をなす形状であり、前記レンズ体が取り付けられた場合の前記レンズ体を含む前記可動部全体の重心位置は、Y方向から見たときに前記X方向の対称軸と前記Z方向の対称軸との交点に一致してもよい。
【0010】
また、前記レンズ体を含む前記可動部全体の形状は、前記Z方向の対称軸に対して非対称であってもよい。
【0011】
また、前記ダンパゲルは、前記ベースのY方向の上面及び前記中間部材のX方向及びZ方向を向いた側面に設けられたダンパゲル溜まりと前記ベースのダンパゲル溜まりに固定された前記サスペンションワイヤの下端との間に配置されているが設けられていてもよい。
【0012】
また、前記ベースに設けられたダンパゲル溜まりは、前記ベースの上面に前記サスペンションワイヤの周囲を壁により囲って形成されていてもよい。
【0013】
また、前記中間部材に設けられたダンパゲル溜まりは、前記中間部材の下端にZ方向に開いたU字凹部として形成されていてもよい。
【0014】
本発明の別の好適な態様であるカメラ装置は、上記のレンズ駆動装置を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の別の好適な態様である電子機器は、上記のカメラ装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるレンズ駆動装置は、XYZ直交座標系において、ベースと、中間部材と、レンズ体を取り付けるための取り付け部を有する可動部と、前記ベースと前記中間部材との間に配置されてY方向に延び、前記中間部材を前記レンズ体の光軸方向であるX方向及びZ方向に移動自在に支持するサスペンションワイヤと、前記中間部材と前記可動部との間に配置されてXZ方向に延び、前記可動部をY方向に移動自在に支持するワイヤ状の板ばねと、を具備し、前記板ばねと前記可動部と前記中間部材との間にダンパゲルが配置され、前記サスペンションワイヤと前記中間部材と前記ベースとの間にダンパゲルが配置されている。よって、レンズ体の3軸方向の動きを素早く収束させることができるレンズ駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態であるレンズ駆動装置1を含むカメラ装置2が搭載されたスマートフォン9の正面図である。
【
図3】
図2のレンズ駆動装置1を分解した斜視図である。
【
図5】(A)は、
図4からフレーム12を除いた斜視図であり、(B)は、(A)の丸枠の中の拡大図である。
【
図6】(A)は、
図5(A)を+Y側から見た図であり、(B)は、(A)の四角枠の中の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態であるレンズ駆動装置1を含むカメラ装置2は、スマートフォン9に収容される。
【0019】
カメラ装置2は、画像センサ3と、被写体からの光を反射するミラー4と、ミラー4で反射した光を画像センサ3に導くレンズ体5と、レンズ体5を駆動するレンズ駆動装置1と、を有する。
【0020】
以降は、被写体からの光が入射する方向を適宜Y方向という。また、ミラー4で反射した光がレンズ体5に向かう一方向をX方向といい、Y方向及びZ方向の両方と直交する方向をZ方向という。また、+Y側を上側、-Y側を下側、+X側を後側、-X側を前側、+Z側を左側、-Z側を右側と称することがある。
【0021】
レンズ駆動装置1は、ケース11、フレーム12、OIS用第1コイル13、上側板ばね14、キャリア15、OIS用第2コイル16、下側板ばね17、OIS用磁石18、ホルダ19、AF用磁石20、検知用磁石21、AF用コイル22、FPC23、サスペンションワイヤ24、及びベース25を有する。このうち、キャリア15、OIS用第2コイル16、及び検知用磁石21は、可動部を構成する。また、OIS用磁石18、ホルダ19、及びAF用磁石20は、中間部材を構成する。また、ケース11、フレーム12、OIS用第1コイル13、AF用コイル22、FPC23、及びベース25は、固定部を構成する。
【0022】
可動部は、上側板ばね14及び下側板ばね17を介して、中間部材のホルダ19に支持されている。可動部は、中間部材に対してY方向に移動可能である。中間部材は、サスペンションワイヤ24を介して、固定部のベース25に支持されている。中間部材は、支持している可動部とともに、固定部に対してX方向及びZ方向に移動可能である。これにより、可動部は、固定部に対してX方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。また、OIS用第1コイル13、OIS用第2コイル16、OIS用磁石18、AF用磁石20、AF用コイル22は、レンズ体5をベース25に対して移動させるための駆動源である。
【0023】
ケース11とベース25は、筐体として組み合わされる。ケース11の後側の壁の中央には第1開口110が設けられている。ケース11の前側の壁の中央から上側の壁に跨る部分には第2開口120が設けられている。
【0024】
ベース25は、当該ベース25の本体を樹脂とし、該樹脂内に、金属板部材30、第1金属部材31、33を配置した状態で成形して形成される。ベース25の後側の縁には、上側に起立した起立部250がある。ベース25の上には、回路基板であるFPC23が配置される。
【0025】
ベース25に埋め込まれた金属板部材30は、ベース25の厚さよりも薄く、キャリア15に対応した位置でベース25の上下面側に露出している。第1金属部材31、33の端部は、ベース25の左側及び右側の端面から露出している。ベース25に埋め込まれた第1金属部材31、33は、貫通孔300を有している。第1金属部材31、33の貫通孔300が設けられている部分は、ベース25の上下面側に露出している。
【0026】
ベース25の上面には、ダンパゲルの受部35が形成されている。受部35は、第1金属部材31、33の貫通孔300の周囲を囲った壁である。ダンパゲルは粘弾性を有する樹脂であり、振動を減衰させる働きを有する。
【0027】
図5に示すように、第1金属部材31の貫通孔300には、サスペンションワイヤ24の下端が通されている。サスペンションワイヤ24は、ベース25の第1金属部材31を貫通し、第1金属部材31の下面からはんだ付けされている。したがって、サスペンションワイヤ24の下端はベース25に固定されていて、受部35は、サスペンションワイヤ24の下端の周囲を壁により囲って形成されている。
【0028】
FPC23の下面には、電気部品であるX方向検知用ホール素子及びY方向検知用ホール素子が取り付けられている。X方向検知用ホール素子及びY方向検知用ホール素子は、ベース25の収容空間に収まっている。FPC23の上面における左側と右側には、AF用コイル22が設けられている。
【0029】
フレーム12は、当該フレーム12の本体を樹脂とし、該樹脂内に第2金属部材126を配置した状態で成形して形成される。フレーム12の下端部からは、第2金属部材126の端部が突出している。第2金属部材126は電気配線を形成しており、フレーム12の補強用と電気配線用とを兼ねる。フレーム12の下端部は、ベース25に固定される。突出している第2金属部材126の端部は、FPC23と電気接続される。
【0030】
フレーム12は、ベース25の左側から立ち上がる2つの立ち上げ部121と、右側から立ち上がる2つの立ち上げ部121と、左右の2つの立ち上げ部121をそれぞれつなぐ左右の水平部122と、左右の水平部122を連結する連結部123とを有する。2つの立ち上げ部121は、光軸方向で対向している。フレーム12の右側の水平部122の下面には、電気部品であるOIS用第1コイル13とZ方向検知用ホール素子が設けられていて、それぞれ第2金属部材126に電気接続されている。フレーム12の左側の水平部122の下面には、電気部品であるOIS用第1コイル13が設けられていて、第2金属部材126に電気接続されている。
【0031】
ホルダ19は、ホルダ開口190を包囲する枠部191と、枠部191の左右の周縁部から前側に延在する第1壁部192とを有する。第1壁部192の前後左右の角部の下端には、Z方向に開いたU字凹部193が設けられている。第1壁部192の上面には、OIS用磁石18が設けられている。第1壁部192の下面には、AF用磁石20が設けられている。ホルダ19の上面には上側板ばね14が固定され、下面には下側板ばね17が固定されている。上側板ばね14は、ホルダ19の上側において、前後左右から内側に蛇行しながら延びるワイヤ状をなしている。下側板ばね17は、ホルダ19の下側において、前後左右から内側に蛇行しながら延びるワイヤ状をなしている。
【0032】
キャリア15は、レンズ体5を支持するレンズ支持体である。キャリア15は、筒体151と、筒体151の左側及び右側の周縁部から前側に延在する第2壁部152とを有する。第2壁部152は、筒体151の前部において上側部分と下側部分が切り取られることによって形成されている。筒体151には、貫通孔150がある。貫通孔150はレンズ体5の取り付け部であり、レンズ体5は、レンズ駆動装置1の完成後に、キャリア15の左右の第2壁部152の間から貫通孔150に嵌め込まれてキャリア15に取り付けられる。キャリア15は、上側の前後左右を上側板ばね14によって、下側の前後左右を下側板ばね17によって支持されている。レンズ体5とこれを支持するキャリア15を含む可動部の重心は、前後左右の上側板ばね14及び下側板ばね17のほぼ中心にある。
【0033】
詳細に説明すると、
図6(A)に示すように、上側板ばね14は4本設けられており、上側板ばね14のホルダ19からキャリア15に至る経路は4本でX方向及びZ方向を軸とした線対称をなす形状である。レンズ体5が取り付けられた場合のレンズ体5を含む可動部全体の重心位置は、Y方向から見たときにX方向の対称軸とZ方向の対称軸との交点に一致する。レンズ体5を含む可動部全体の形状は、前記したZ方向の対称軸に対して非対称であるが、このようにすることにより、レンズ体5を含む可動部がY方向に移動するときに、可動部が傾きにくい。下側板ばね17についても上側板ばね14と同様の構造である。また、重心位置は、上側板ばね14と下側板ばね17の中間位置となるようにするのが望ましい。
【0034】
キャリア15の左右の第2壁部152の外面には、OIS用第2コイル16が設けられている。第2壁部152の後部下面には、検知用磁石21が設けられている。また、フレーム12の連結部123は、筒体151の上側部分が切り取られた部分に設けられており、X方向から見たときに、筒体151と連結部123は重なっている。
【0035】
サスペンションワイヤ24は、ホルダ19のU字凹部193内を通り、ベース25の貫通孔300と上側板ばね14との間に架設されている。サスペンションワイヤ24の下端は、ベース25の貫通孔300に挿通されてはんだ付けされる。サスペンションワイヤ24の上端は、ホルダ19の外側で環形状を形成している上側板ばね14の先端部分に挿通されてはんだ付けされる。
【0036】
図5(B)に示すように、サスペンションワイヤ24の下端部とホルダ19のU字凹部193とベース25の受部35の間には、ダンパゲル100が配置されている。U字凹部193は受部35の直上に間隔をあけて設けられており、受部35とともにダンパゲル溜まり102を形成している。
【0037】
図6(B)に示すように、キャリア15の上面には、キャリア受部153が下側に窪ませて形成されている。また、ホルダ9の上面には、ホルダ受部194が下側に窪ませて形成されている。キャリア受部153とホルダ受部194とは隙間を挟んで対向して設けられており、両者の上方に上側板ばね14の蛇行部分の下面が隙間を挟んで対向して設けられている。上側板ばね14の蛇行部分とキャリア受部153とホルダ受部194の間には、ダンパゲル100が配置されている。キャリア受部153とホルダ受部194は、ダンパゲル溜まり102を形成している。蛇行部分は、同じダンパゲル溜まり102の上方に複数回位置しても構わない。
【0038】
可動部を構成するOIS用第2コイル16と中間部材を構成するOIS用磁石18は、互いに向かい合っている。OIS用第2コイル16に電流が流れると、OIS用第2コイル16には、Y方向の電磁力が発生し、可動部が、中間部材に対して、Y方向に動く。Y方向検知用ホール素子は、対向する検知用磁石21の磁界を検知し、検知結果を示す信号を出力する。この信号は、Y方向検知用ホール素子に対する検知用磁石21のY方向の位置に対応する。
【0039】
中間部材を構成するOIS用磁石18と固定部を構成するOIS用第1コイル13は、互いに向かい合っている。OIS用第1コイル13に電流が流れると、OIS用第1コイル13には、Z方向の電磁力が発生し、OIS用磁石18には、その反作用の力が生じて、中間部材が、固定部に対して、Z方向に動く。Z方向検知用ホール素子は、対向するOIS用磁石18の磁界を検知し、検知結果を示す信号を出力する。この信号は、Z方向検知用ホール素子に対するOIS用磁石18のZ方向の位置に対応する。
【0040】
中間部材を構成するAF用磁石20と固定部を構成するAF用コイル22は、互いに向かい合っている。AF用コイル22に電流が流れると、AF用コイル22には、X方向の電磁力が発生し、AF用磁石20には、その反作用の力が生じて、中間部材が、固定部に対して、X方向に動く。X方向検知用ホール素子は、対向するAF用磁石20の磁界を検知し、検知結果を示す信号を出力する。この信号は、X方向検知用ホール素子に対するAF用磁石20のX方向の位置に対応する。
【0041】
本実施形態におけるレンズ駆動装置1は、XYZ直交座標系において、ベース25と、中間部材としてのホルダ19と、レンズ体5を取り付けるための取り付け部を有する可動部としてのキャリア15と、ベース25とホルダ19との間に配置されてY方向に延び、ホルダ19をレンズ体5の光軸方向であるX方向及びZ方向に移動自在に支持するサスペンションワイヤ24と、ホルダ19とキャリア15との間に配置されてXZ方向に延び、可動部をY方向に移動自在に支持するワイヤ状の上側板ばね14と、を具備する。上側板ばね14とキャリア15とホルダ19との間にダンパゲル100が配置され、サスペンションワイヤ24とホルダ19とベース25との間にダンパゲル100が配置されている。よって、レンズ体5の3軸方向の動きを素早く収束させることができるレンズ駆動装置1を提供することができる。
【0042】
なお、上記実施形態において、ベース25に受部35を設けずに、ホルダ19のU字凹部193とベース25の上面との間にダンパゲル100が配置されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 レンズ駆動装置
2 カメラ装置
3 画像センサ
4 ミラー
5 レンズ体
9 スマートフォン
11 ケース
12 フレーム
13 OIS用第1コイル
14 上側板ばね
15 キャリア
16 OIS用第2コイル
17 下側板ばね
18 OIS用磁石
19 ホルダ
20 AF用磁石
21 検知用磁石
22 AF用コイル
23 FPC
24 サスペンションワイヤ
25 ベース
30 金属板部材
31、33 第1金属部材
35 受部
100 ダンパゲル
102 ダンパゲル溜まり
110 第1開口
120 第2開口
121 立ち上げ部
122 水平部
123 連結部
126 第2金属部材
150 貫通孔
151 筒体
152 第2壁部
153 キャリア受部
190 ホルダ開口
191 枠部
192 第1壁部
193 U字凹部
194 ホルダ受部
250 起立部
300 貫通孔