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特許7244629供給ユニット、印刷装置及び印刷装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】供給ユニット、印刷装置及び印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/40 20060101AFI20230314BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20230314BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B41F15/40 B
B41F15/08 303E
H05K3/12 610N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021515699
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2019017982
(87)【国際公開番号】W WO2020217468
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 良宗
【審査官】山本 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118407(JP,A)
【文献】特開2008-137159(JP,A)
【文献】特開2016-205171(JP,A)
【文献】特開2018-122440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0056643(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/08
B41F 15/40
B41F 15/12
H05K 3/12
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置に用いられ、該粘性流体の供給を行う供給ユニットであって、
前記粘性流体を収容したカートリッジを装着、装着解除可能である装着部と、
前記カートリッジを覆い前記印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部と、
前記装着部に装着された前記カートリッジを前記規制壁部と共に供給動作方向へ移動させる駆動部と、を備え
前記装着部は、前記駆動部の下方に位置し、
前記規制壁部は、前記カートリッジの背面、側面及び下面に形成されている、
供給ユニット。
【請求項2】
前記印刷装置は、前記供給ユニットが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を有し、
前記規制壁部は、前記開口部の開口縁に沿って形成され前記印刷装置内部へのアクセスを規制する、請求項1に記載の供給ユニット。
【請求項3】
印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置であって、
請求項1又は2に記載の供給ユニットと、
前記供給ユニットが待機する待機領域と前記粘性流体を供給する供給領域との間で該供給ユニットを移動させる移動部と、
前記待機領域の前記カートリッジが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材と、
前記駆動部及び前記移動部を制御し、前記カートリッジが前記待機位置にあるときには前記扉部材のロックを解除する制御部と、
を備えた印刷装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記供給ユニットと接続及び接続解除可能であり、
前記制御部は、前記カートリッジが前記待機位置にあり且つ前記移動部と前記供給ユニットとが接続解除されると、前記駆動部の駆動力を切断する、請求項に記載の印刷装置。
【請求項5】
請求項に記載の印刷装置であって、
前記カートリッジが前記待機位置にあり前記扉部材が開放状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を規制する一方、前記扉部材が閉鎖状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を可能とする固定機構、を備えた印刷装置。
【請求項6】
印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置であって、
前記粘性流体を収容したカートリッジを装着、装着解除可能である装着部と、前記カートリッジを覆い前記印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部と、前記装着部に装着された前記カートリッジを前記規制壁部と共に供給動作方向へ移動させる駆動部と、を備え、前記粘性流体の供給を行う供給ユニットと、
前記供給ユニットが待機する待機領域と前記粘性流体を供給する供給領域との間で該供給ユニットを移動させる移動部と、
前記待機領域の前記カートリッジが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材と、
前記駆動部及び前記移動部を制御し、前記カートリッジが前記待機位置にあるときには前記扉部材のロックを解除する制御部と、
前記カートリッジが前記待機位置にあり前記扉部材が開放状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を規制する一方、前記扉部材が閉鎖状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を可能とする固定機構と、を備え
前記移動部は、前記供給ユニットと接続及び接続解除可能であり、
前記制御部は、前記カートリッジが前記待機位置にあり且つ前記移動部と前記供給ユニットとが接続解除されると、前記駆動部の駆動力を切断する、印刷装置。
【請求項7】
前記装着部は、前記駆動部の下方に位置し、
前記規制壁部は、前記カートリッジの側面及び下面に形成されている、請求項に記載の印刷装置
【請求項8】
前記移動部は、前記粘性流体をスクリーンマスク上で移動させ前記印刷処理を実行するスキージを有する印刷ヘッドである、請求項のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
粘性流体を収容したカートリッジを装着、装着解除可能である装着部と、前記カートリッジを覆い印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部と、前記装着部に装着された前記カートリッジを前記規制壁部と共に供給動作方向へ移動させる駆動部と、を備え、前記装着部は、前記駆動部の下方に位置し、前記規制壁部は、前記カートリッジの背面、側面及び下面に形成されている供給ユニットと、
前記供給ユニットが待機する待機領域と前記粘性流体を供給する供給領域との間で該供給ユニットを移動させる移動部と、
前記待機領域の前記カートリッジが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材と、を備え、印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置の制御方法であって、
(a)前記駆動部及び前記移動部を制御し前記カートリッジを前記待機位置へ移動するステップと、
(b)前記カートリッジが前記待機位置にあるときには前記扉部材のロックを解除するステップと、
を含む印刷装置の制御方法。
【請求項10】
印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置であって、
前記粘性流体を収容したカートリッジを装着、装着解除可能である装着部と、前記カートリッジを覆い前記印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部と、前記装着部に装着された前記カートリッジを前記規制壁部と共に供給動作方向へ移動させる駆動部と、を備え、前記粘性流体の供給を行う供給ユニットと、
前記供給ユニットと接続及び接続解除可能であり、前記供給ユニットが待機する待機領域と前記粘性流体を供給する供給領域との間で該供給ユニットを移動させる移動部と、
前記待機領域の前記カートリッジが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材と、
前記カートリッジが前記待機位置にあり前記扉部材が開放状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を規制する一方、前記扉部材が閉鎖状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を可能とする固定機構と、を備え印刷装置の制御方法であって、
(c)前記駆動部及び前記移動部を制御し前記カートリッジが前記待機位置にあるときには前記扉部材のロックを解除するステップと、
(d)前記カートリッジが前記待機位置にあり且つ前記移動部と前記供給ユニットとが接続解除されると、前記駆動部の駆動力を切断するステップと、
を含む印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、供給ユニット、印刷装置及び印刷装置の制御方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板などの印刷対象に対してスクリーンマスクを用いてはんだなどの粘性流体の印刷処理を行う印刷装置において、はんだを供給するはんだ供給装置を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置では、はんだ容器を取替可能に搭載するはんだ供給装置の容器交換部が侵入可能な待機空間部が開閉扉をもって一部に形成された機体カバーを備えており、安全性を確保しつつ、装置の駆動を停止させることなく、はんだ容器の取替が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-118407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した印刷装置では、作業者が装置内部にアクセスすることを規制する壁面、底面などの構造物が本体側の機体カバーに設けられており、更に、本体側に待機空間部を特別に設ける必要があり、機体カバーなどの構成が煩雑になる問題があった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、粘性流体のカートリッジを交換するに際して、構成をより簡素化しつつ、安全性を確保し、処理の中断をより抑制することができる供給ユニット、印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する供給ユニット、印刷装置及び印刷装置の制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
即ち、本開示の供給ユニットは、
印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置に用いられ、該粘性流体の供給を行う供給ユニットであって、
前記粘性流体を収容したカートリッジを装着、装着解除可能である装着部と、
前記カートリッジを覆い前記印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部と、
前記装着部に装着された前記カートリッジを前記規制壁部と共に供給動作方向へ移動させる駆動部と、
を備えたものである。
【0008】
この供給ユニットでは、粘性流体を収容したカートリッジを装着、装着解除可能である装着部と、カートリッジを覆い印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部と、を共に供給動作方向へ移動させる。一般的に、印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部が印刷装置の本体側に配設された場合において、カートリッジは印刷装置の本体に対して様々な方向に移動することがあり、規制壁部に対してカートリッジを入れ込む空間などを設ける必要があるため、構成が煩雑になる。本開示の供給ユニットでは、規制壁部がカートリッジと共に移動するため、カートリッジを交換する際にもカートリッジの近傍には規制壁部が必ず存在し、且つカートリッジを入れ込むような特別な空間を要しない。したがって、この供給ユニットでは、粘性流体のカートリッジを交換するに際して、構成をより簡素化しつつ、安全性を確保し、処理の中断をより抑制することができる。ここで、「印刷装置内部へのアクセス」とは、動作する構成を有する装置内部へ作業者が手を入れるなどの作業を意味する。また、「印刷対象」としては、例えば、部品を実装する基板や立体物などが挙げられる。また、「粘性流体」としては、はんだペーストや導電性ペースト、接着剤などが挙げられる。また、「処理の中断を抑制する」とは、印刷に関する処理の中断の抑制をいい、印刷処理自体のほか、例えば、印刷対象の搬入、搬出処理や、スクリーンマスクと印刷対象との位置合わせ処理、スクリーンマスクMの清掃処理なども含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装システム10の一例を表す概略説明図。
図2】供給ユニット40の説明図。
図3】扉部材16を開放した際の閉鎖機構17及び固定機構45の説明図。
図4】扉部材16を閉鎖した際の閉鎖機構17及び固定機構45の説明図。
図5】印刷部24、マスク部28、撮像部35及び供給ユニット40の説明図。
図6】連結状態の連結部50の説明図。
図7】固定状態の連結部50の説明図。
図8】カートリッジ60の説明図。
図9】印刷装置11の電気的な接続関係を示すブロック図。
図10】印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図11】印刷処理の説明図。
図12】供給処理の説明図。
図13】カートリッジ交換処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本開示の一例である印刷装置11を含む実装システム10の一例を表す概略説明図である。図2は、供給ユニット40の説明図である。図3は、扉部材16を開放した際の閉鎖機構17及び固定機構45の説明図である。図4は、扉部材16を閉鎖した際の閉鎖機構17及び固定機構45の説明図である。図5は、印刷部24、マスク部28、撮像部35及び供給ユニット40の説明図である。図6は、固定ロッド51が移動部連結位置にある連結状態の連結部50の説明図である。図7は、固定ロッド51が本体固定位置にある固定状態の連結部50の説明図である。図8は、カートリッジ60の説明図である。図9は、印刷装置11の電気的な接続関係を示すブロック図である。実装システム10は、例えば部品を基板Sに実装するシステムである。この実装システム10は、印刷装置11と、実装装置12と、管理コンピュータ(PC)90とを備えている。実装システム10は、印刷装置11の下流側に部品を基板Sに実装する複数の実装装置12が配置された実装ラインとして構成されている。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1~7、11、12に示した通りとする。
【0011】
実装装置12は、印刷装置11によりはんだペーストなどの粘性流体が印刷された基板Sに部品を装着する装置である。管理PC90は、実装システム10の各装置の情報を管理する装置である。この管理PC90は、実装ラインの各装置の進捗状況などを管理している。実装システム10の各装置は、管理PC90と情報をやりとりし、他の装置の進捗状況などの情報を取得する。
【0012】
印刷装置11は、スキージ27を用いてスクリーンマスクM上のはんだペーストをスクリーンマスクMに形成されたパターン孔に押し込むことによりそのパターン孔を介して下方の印刷対象としての基板Sに、粘性流体としてのはんだペーストを塗布(印刷)する装置である。「印刷対象」としては、例えば、部品を実装する基板Sや立体物などが挙げられる。「粘性流体」としては、はんだペーストや導電性ペースト、接着剤などが挙げられる。ここでは、基板Sとはんだペーストを一例として以下説明する。印刷装置11は、制御部20(図9参照)と、印刷部24と、マスク部28と、基板処理部30と、清掃部32と、撮像部35と、供給部としての供給ユニット40とを備えている。制御部20は、CPU21を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、印刷装置11の全体を制御する。制御部20は、詳しくは後述するが、印刷移動部26と供給ユニット40とを接続解除した状態で且つ供給ユニット40のカートリッジ60が待機位置にあるときに扉部材16のロックを解除する。また、制御部20は、印刷移動部26と供給ユニット40とを接続した状態で且つ閉鎖機構17により扉部材16を閉鎖したのち粘性流体の供給処理を実行する。
【0013】
印刷装置11の本体14には、図3、4に示すように、開口部15を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材16が配設されている。開口部15は、供給ユニット40が待機領域(図5参照)にあり、且つカートリッジ60が待機位置(図2参照)にあるときに、取り替えなどでカートリッジ60を外部又は内部へ移動する際に通過する領域である。扉部材16は、カートリッジ60の交換時にのみ開放されるカートリッジ交換専用扉部材である。扉部材16は、供給ユニット40の移動方向(前後方向)の延長線上に設けられた開口部15を開放閉鎖するよう印刷装置の本体14の正面右側に配設されている。扉部材16の開放位置がカートリッジ60の待機位置(初期位置)である。この扉部材16は、左右方向にスライドするスライド窓として構成されている。印刷装置11には、図3、4に示すように、閉鎖機構17が配設されている。閉鎖機構17は、閉鎖機構17の筐体に形成された挿入孔18へ、扉部材16に固定されたジョイント部材19を差し込むことで扉部材16を閉鎖状態とする機構である。ジョイント部材19の先端には穴部が設けられており、閉鎖機構17の内部に設けられたロックピンをこの穴部へ挿入することで扉部材16をロックする。閉鎖機構17は、ロックピンを駆動するソレノイドを備える。また、閉鎖機構17には、図示しない閉鎖センサが配設されており、ジョイント部材19の挿入及びロック状態を検出可能になっている。制御部20は、閉鎖センサの出力信号により扉部材16が閉鎖されていることを検出可能である。
【0014】
印刷部24は、印刷装置11の上段に配設されており、スクリーンマスクMを用いて粘性流体を基板S上に印刷処理するユニットである。印刷部24は、印刷ヘッド25と、印刷移動部26と、スキージ昇降部と、スキージ27とを備えている。印刷移動部26は、印刷ヘッド25を所定の印刷方向(ここでは前後方向)に移動するものであり、前後方向に形成されたガイドに沿って移動するスライダとスライダを駆動するモータとを備えている。スキージ27は、印刷ヘッド25の下面側に配設され、スキージ昇降部により昇降される。印刷部24は、前後方向にそれぞれ用いられる2つのスキージ27を有している。印刷部24は、供給ユニット40と接続及び接続解除可能であり、印刷移動部26は、印刷ヘッド25と共に供給ユニット40を移動させる。供給ユニット40は、モータなどの移動部を有しないが、連結部50で印刷部24に連結され、印刷移動部26によって供給領域と待機領域との間で前後方向に移動する(図5参照)。係合部材23は、供給ユニット40が備える連結部50により供給ユニット40と連結する部材である(図5~7参照)。係合部材23は、固定ロッド51が挿入される挿入孔が設けられている。
【0015】
マスク部28は、上下方向において印刷部24と基板処理部30との間に配設されており、スクリーンマスクMを固定保持するユニットである。マスク部28は、マスク固定部29を備えている。マスク固定部29は、スクリーンマスクMを位置決めして水平な姿勢で支持固定する。基板処理部30は、マスク部28の下方に配設され、基板Sを搬入し、搬入した基板Sを位置決めして支持し、スクリーンマスクMに接触,離間させるユニットである。基板処理部30は、基板Sを左右方向に搬送する基板搬送部31と、基板Sを下方から支持する基板支持部材と、基板処理部30全体や基板支持部材を昇降させる支持昇降部とを備える。清掃部32は、上下方向においてマスク部28と基板処理部30との間に配設されており、清掃部材33によりスクリーンマスクMの裏面を清掃する清掃処理を行うユニットである。清掃部材33は、例えば清掃紙などが挙げられる。撮像部35は、基板S及びスクリーンマスクMの画像を撮像するカメラ36を備えている。制御部20は、この撮像画像に基づいてスクリーンマスクMと基板Sとの位置合わせなどを行う。
【0016】
供給ユニット40は、マスク部28の上方において印刷部24と同じ高さに移動可能に配設され、カートリッジ60に収容されたはんだペーストをスクリーンマスクM上に供給するユニットである。供給ユニット40は、印刷ヘッド25の前方に配設されている(図5参照)。供給ユニット40は、カートリッジ60に圧力を加えてカートリッジ60からはんだペーストを吐出させる。この供給ユニット40は、図2に示すように、装着部41と、規制壁部42と、駆動部43と、カバー部材44と、固定用ステー46とを備えている。装着部41は、はんだペーストを収容したカートリッジ60を装着、装着解除するものである。装着部41は、規制壁部42の左側面側に設けられている。カートリッジ60には、フックと回動するレバーとを有するスナップ錠が配設されており、カートリッジ60は、このスナップ錠により装着部41に装着、固定される。装着部41は、駆動部43の下方に配設されており、駆動部43によって規制壁部42とともに供給動作方向(左右方向)へ移動する。
【0017】
規制壁部42は、カートリッジ60を覆い印刷装置11の内部へのアクセスを規制する壁部材である。なお、「印刷装置11の内部へのアクセス」とは、動作する構成を有する装置内部へ作業者が手など身体の一部や何らかの部材などを入れることを意味する。この規制壁部42は、カートリッジ60の側面、下面及び背面に形成されている。また、規制壁部42は、カートリッジ60が待機する待機位置においてカートリッジ60を通過可能な開口部15の開口縁に沿って形成されており、印刷装置11の内部へのアクセスを規制する。供給ユニット40では、カートリッジ60を交換するほか、はんだペーストをスクリーンマスクMへ供給する際にもカートリッジ60の近傍には規制壁部42が常に存在する。
【0018】
駆動部43は、装着部41に装着されたカートリッジ60を規制壁部42と共に供給動作方向へ移動させるものである。この駆動部43は、モータが接続されユニットの右端側に配設された駆動ローラと、ユニットの左端側に配設された従動ローラと、駆動ローラ及び従動ローラに左右方向に架け渡されたベルトとを備えている。このベルトには、装着部41や規制壁部42が固定されており、このベルトの駆動により、装着部41や規制壁部42が供給動作方向へ移動する。カバー部材44は、供給ユニット40の前方及び上方を覆う部材であり、駆動部43などを保護する部材である。カバー部材44には、カートリッジ60の取替移動に干渉しないよう、カートリッジ60の待機位置に切欠きが設けられている。
【0019】
装着部41の前方には、固定用ステー46が固定されている。固定用ステー46は、カバー部材44の下部から前方に形成された立て板状の部材である。この固定用ステー46は、固定機構45の一部を構成し、カートリッジ60の待機位置での固定を行う。固定機構45は、カートリッジ60が待機位置にあり扉部材16が開放状態であるときには装着部41及び規制壁部42の供給動作方向への移動を規制する一方、扉部材16が閉鎖状態であるときには装着部41及び規制壁部42の供給動作方向への移動を可能とする機構である。固定機構45は、図3、4に示すように、固定用ステー46と、フック部材47と、付勢部材48と、解除ピン49と、解除ステー56とにより構成されている。フック部材47は、固定用ステー46の上端が挿入される溝部が形成された部材であり、窓枠に固定された支持部材が支持する支持軸を中心として固定位置(図3)と解除位置(図4)との間で回動する。付勢部材48は、バネなどの弾性体であり、フック部材47を固定位置へ向かって付勢する。解除ピン49は、扉部材16に配設された解除ステー56に当接して押されると、フック部材47を解除位置へ移動させる部材である。この固定機構45は、扉部材16が閉鎖状態では、フック部材47が解除位置となり、装着部41や規制壁部42が移動可能になり(図4)、扉部材16が開放状態では、フック部材47が固定位置で固定用ステー46に係合し、装着部41や規制壁部42が待機位置で固定される。このように、固定機構45は、扉部材16の位置に応じて物理的にカートリッジ60の移動を規制、規制解除する機構である。
【0020】
連結部50は、供給ユニット40と印刷部24(印刷移動部26)とを接続及び接続解除するものである。また、連結部50は、供給ユニット40を本体14に固定する固定部としても機能する。即ち、連結部50は、供給ユニット40を待機領域で印刷装置11の本体14に固定すると共に印刷移動部26との接続を解除する一方、供給ユニット40と印刷移動部26を接続すると共に本体14への固定を解除するものである。連結部50は、供給ユニット40の左端部及び右端部に配設されている。この連結部50は、図6、7に示すように、固定ロッド51と、エアシリンダ52(駆動部)とを備える。固定ロッド51は、エアシリンダ52に挿入された棒状部材であり、エアシリンダ52により駆動される。この固定ロッド51は、供給ユニット40と印刷移動部26とを接続すると共に本体14への固定を解除する移動部連結位置と(図6)、供給ユニット40を本体14に固定すると共に印刷移動部26との接続を解除する本体固定位置と(図7)、の間で移動する。印刷部24には、L字形状で水平面に挿入穴が形成された係合部材23が固定されている。また、本体14には、柱部材にL字形状で水平面に挿入穴が形成された固定部材53が固定されている。固定ロッド51は、移動部連結位置では係合部材23にのみ挿入され、本体固定位置では固定部材53にのみ挿入される。エアシリンダ52には図示しない加圧空気が供給されており、供給経路の切替によって固定ロッド51を上下に駆動する。また、固定部材53には、固定検出センサ54が配設されている。固定検出センサ54は、供給ユニット40に配設された板状部材が挿入されると信号を出力するセンサである。制御部20は、固定検出センサ54の出力信号によって、供給ユニット40が待機領域に存在することを検出することができる。また、印刷部24には、図示しない連結センサが配設されており、供給ユニット40が適正に連結されているかを確認可能となっている。また、連結部50には、図示しない位置センサが配設されており、固定ロッド51の位置を検出可能になっている。制御部20は、カートリッジ60が所定の待機位置(図2参照)にあり且つ連結部50により印刷移動部26と供給ユニット40とが接続解除されると、駆動部43の駆動力を切断する。また、カートリッジ60は、待機位置で固定機構45によって固定されるため、取り替え時などに誤って移動することが防止されている。
【0021】
カートリッジ60は、図8に示すように、円筒状の本体部61と、この本体部61より大きな径で形成されたフランジ部62とを有している。このカートリッジ60は、収容容器63と、蓋部材64と、ノズル65と、接続部66とを有している。収容容器63は、はんだペーストが収容され一端部が開口したカップ状の容器である。蓋部材64は、収容容器63の開口にはめ込まれて挿入される部材である。この蓋部材64の中央には、はんだペーストを外部へ吐出するノズル65が形成されている。接続部66は、エア供給部68が挿入接続される孔であり、フランジ部62の中央に形成されている。接続部66には、エア供給部68が挿入され、配管67を介してエアが本体部61の内部に供給される。カートリッジ60は、接続部66から供給されたエアにより収容容器63と蓋部材64とを相対移動させ蓋部材64を収容容器63の内部へ押し込むことによりノズル65からはんだペーストを吐出する。カートリッジ60では、収容容器63がピストンを構成し、はんだペーストの吐出の際に、収容容器63の底面がエアにより押圧されて収容容器63が下方に移動する。このカートリッジ60では、残量検出センサが配設されており、収容容器63の位置に応じて、はんだペーストの使用量及び残量を検出することができる。
【0022】
次に、こうして構成された印刷装置11の動作、まず、印刷処理の動作について説明する。図10は、制御部20のCPU21が実行する印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、制御部20の記憶部に記憶され、作業者の印刷処理開始の入力に伴い実行される。このルーチンを実行すると、CPU21は、基板処理部30に基板Sを搬送固定させ(S100)、撮像部35に基板S及びスクリーンマスクMの基準マークを読み取らせて基板SとスクリーンマスクMとの位置合わせを行わせ(S110)、印刷処理を印刷部24に実行させる(S120)。印刷処理では、印刷ヘッド25を移動させ、スキージ27によりスクリーンマスクMの下面に配置された基板S上へはんだペーストを供給する。図11は、印刷部24による印刷処理の説明図である。
【0023】
次に、CPU21は、はんだペーストの供給タイミングであるか否かを判定し(S130)、はんだペーストの供給タイミングであるときには、CPU21は、印刷部24を供給ユニット40に連結させ(S140)、供給ユニット40によりスクリーンマスクM上にはんだペーストを供給させる(S150)。はんだペーストの供給タイミングの判定は、はんだペーストの使用量を検出するか、印刷時間に基づいて予測してもよい。S140において、CPU21は、待機領域で待機する供給ユニット40の隣に印刷部24を移動し、連結部50の固定ロッド51を移動部連結位置へ移動させて印刷移動部26と供給ユニット40とを連結させると共に本体14への固定を解除する。図12は、供給ユニット40による供給処理の説明図である。S150では、CPU21は、供給ユニット40をスクリーンマスクMの上方へ移動させ、はんだロールの上でカートリッジ60を供給動作方向(左右)に移動させながら、ノズル65からはんだペーストを吐出させる。供給処理が終了すると、CPU21は、印刷移動部26によって供給ユニット40を待機領域へ移動させ、固定ロッド51を本体固定位置に移動させ、印刷部24との連結を解除すると共に供給ユニット40を固定させる(S160)。
【0024】
S160のあと、又は、S130ではんだペーストの供給タイミングではないときには、CPU21は、スクリーンマスクMの清掃タイミングであるか否かを判定する(S170)。この判定は、印刷処理時間が所定の清掃時間を経過したか否かにより行うことができる。スクリーンマスクMの清掃タイミングであるときは、清掃部32によるスクリーンマスクMの清掃処理を実行する(S180)。S180のあと、又は、S170でスクリーンマスクMの清掃タイミングではないときには、CPU21は、基板Sの生産処理が完了したか否かを判定し(S190)、基板Sの生産処理が完了していないときには、S100以降の処理を実行する。一方、S190で基板Sの生産処理が完了したときには、このルーチンを終了する。
【0025】
次に、供給ユニット40のカートリッジ60を交換する際の動作について説明する。図13は、制御部20のCPU21が実行するカートリッジ交換処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、制御部20の記憶部に記憶され、印刷処理ルーチンと並行して、所定間隔で繰り返し実行される。このルーチンを実行すると、CPU21は、カートリッジ60の交換タイミングであるか否かを、残量検出センサで検出された収容容器63の位置に基づいて判定する(S200)。カートリッジ60の交換タイミングでないときには、CPU21は、そのままこのルーチンを終了する。一方、S200でカートリッジ60の交換タイミングであるときには、CPU21は、供給ユニット40が待機領域にあり、カートリッジ60が待機位置にあり、且つ印刷移動部26との連結が解除されているか否かを判定する(S210)。供給ユニット40が待機領域にないか、カートリッジ60が待機位置にないか、あるいは供給ユニット40が印刷移動部26に連結されているかのいずれかを満たすときには、現在実行している処理の終了まで待ったのち、供給ユニット40を待機領域まで移動させ、カートリッジ60を待機位置へ移動させ、印刷移動部26との連結を解除させる(S220)。図5は、連結部50の連結解除及び本体固定処理の説明図である。
【0026】
S220のあと、又はS210でカートリッジ60が待機位置にあり且つ印刷移動部26との連結が解除されているときには、CPU21は、駆動部43の電源を切断し(S230)、閉鎖機構17を駆動して扉部材16の閉鎖状態を解除する(S240)。続いて、CPU21は、カートリッジ60の交換指示を操作パネルの表示部に表示させる(S250)。作業者は、表示部の表示内容を確認し、扉部材16を開放し、カートリッジ60を取り外して外部へ取り出す。扉部材16が開放されると、固定機構45のフック部材47が固定用ステー46に係合し、装着部41及び規制壁部42が固定される(図3)。作業者は、使用後のカートリッジ60を取り外し、新たなカートリッジ60を取り付け、扉部材16を閉鎖する。このとき、作業者は、新たな収容容器63を予め装着した別のカートリッジ60を用意しておき、これと使用後のカートリッジ60とを取り替えてもよい。扉部材16が閉鎖されると、固定機構45のフック部材47が押し上げられ、装着部41及び規制壁部42が移動可能になる(図4)。
【0027】
S250のあと、CPU21は、作業者により入力された交換完了入力を操作パネルから取得したか否かを判定し(S260)、交換完了が入力されていないときには、そのまま待機する。一方、S260で交換完了が入力されたときには、CPU21は、駆動部43の電源を接続してカートリッジ60を移動可能とし(S270)、このルーチンを終了する。印刷装置11では、カートリッジ60の交換時に扉部材16が開放されても、規制壁部42によって装置内部へアクセスされることが防止される。このため、印刷装置11では、印刷処理ルーチンとカートリッジ交換処理ルーチンとを並行して実行可能であり、印刷処理を一切停止することなく、カートリッジ60の交換を行うことができる。
【0028】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のスクリーンマスクMがスクリーンマスクに相当し、基板Sが印刷対象に相当し、はんだペーストが粘性流体に相当し、カートリッジ60がカートリッジに相当し、装着部41が装着部に相当し、規制壁部42が規制壁部に相当し、駆動部43が駆動部に相当する。また、印刷移動部26が移動部に相当し、開口部15が開口部に相当し、扉部材16が扉部材に相当し、閉鎖機構17が閉鎖機構に相当し、制御部20が制御部に相当し、固定機構45が固定機構に相当し、印刷部24が印刷部に相当する。本実施形態では印刷装置11の説明によって本開示の供給ユニットや本開示の印刷装置の制御方法を開示する。
【0029】
以上説明した本実施形態の供給ユニット40は、粘性流体としてのはんだペーストを収容したカートリッジ60を装着、装着解除可能である装着部41と、カートリッジ60を覆い印刷装置11の内部へのアクセスを規制する規制壁部42と、装着部41に装着されたカートリッジ60を規制壁部42と共に供給動作方向へ移動させる駆動部43とを備える。この供給ユニット40では、カートリッジ60を装着した装着部41と、規制壁部42と、を共に供給動作方向へ移動させる。一般的に、印刷装置11の内部へのアクセスを規制する規制壁部が印刷装置11の本体側に配設された場合において、カートリッジ60は印刷装置11の本体に対して様々な方向に移動することがあり、規制壁部に対してカートリッジを入れ込む空間などを設ける必要があるため、構成が煩雑になる。本実施形態の供給ユニット40では、規制壁部42がカートリッジ60と共に移動するため、カートリッジ60を交換する際にもその近傍には規制壁部42が必ず存在し、且つカートリッジ60を入れ込むような特別な空間を要しない。したがって、この供給ユニット40では、粘性流体のカートリッジ60を交換するに際して、構成をより簡素化しつつ、安全性を確保し、処理の中断をより抑制することができる。
【0030】
また、装着部41は、駆動部43の下方に位置し、規制壁部42は、カートリッジ60の側面、下面及び背面に形成されている。この供給ユニットでは、カートリッジの側面や下面、背面からの印刷装置内部へのアクセスを規制することができる。更に、印刷装置11は、供給ユニット40のカートリッジ60が待機する待機位置においてカートリッジ60を通過可能な開口部15を有し、規制壁部42は、開口部15の開口縁に沿って形成され印刷装置11の内部へのアクセスを規制する。この供給ユニット40では、開口縁に沿って形成された規制壁部42によって、安全性をより高めることができ、ひいては処理の中断をより抑制することができる。
【0031】
更にまた、印刷装置11は、供給ユニット40が待機する待機領域と粘性流体を供給する供給領域との間で供給ユニット40を移動させる移動部としての印刷移動部26と、カートリッジ60が待機する待機位置においてカートリッジ60を通過可能な開口部15を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材16と、駆動部43及び印刷移動部26を制御し、カートリッジ60が待機位置にあるときには扉部材16のロックを解除する制御部20を備える。この印刷装置11では、供給ユニット40が待機する待機領域と粘性流体を供給する供給領域との間で供給ユニット40を移動させ、カートリッジ60が待機する待機位置にあるときには、扉部材16のロックを解除する。この印刷装置11では、カートリッジ60が待機位置にあるときに、開口部15からカートリッジ60を交換可能であり、この待機位置においても印刷装置11の内部へのアクセスを規制する規制壁部42がカートリッジ60を覆って存在するため、安全性を確保し、処理の中断をより抑制することができる。また、印刷装置11の本体側に規制壁部42を設ける場合のような空間を要しないため、構成をより簡素化することができる。
【0032】
また、印刷移動部26は、供給ユニット40と接続及び接続解除可能であり、制御部20は、カートリッジ60が待機位置にあり且つ印刷移動部26と供給ユニット40とが接続解除されると、駆動部43の駆動力を切断する。この印刷装置11では、カートリッジ60が待機位置にあるときには、カートリッジ60の移動動力が切断されるため、扉部材16をより安全に開放することができる。更にまた、印刷装置11は、カートリッジ60が待機位置にあり扉部材16が開放状態であるときには装着部41及び規制壁部42の供給動作方向への移動を規制する一方、扉部材16が閉鎖状態であるときには装着部41及び規制壁部42の供給動作方向への移動を可能とする固定機構45を備える。この印刷装置11では、カートリッジ60が待機位置にあり扉部材16が開放されると固定機構45によりカートリッジ60の移動が規制されるため、より安全を確保することができる。そしてまた、印刷移動部26は、印刷処理を実行するスキージ27を有する印刷ヘッド25と供給ユニット40とを移動させる。この印刷装置11では、供給ユニット40の移動部が印刷ヘッド25の移動部を兼ねるため、より構成を簡略化することができる。
【0033】
なお、本開示の供給ユニット、印刷装置及び印刷装置の制御方法は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0034】
例えば、上述した実施形態では、装着部41は、駆動部43の下方に位置し、規制壁部42がカートリッジ60の側面、下面に形成されているものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、装着部41が駆動部43の前面に位置し、規制壁部42が上面にも形成されているものとしてもよい。また、装着部41がカートリッジ60の背面側に配設され、規制壁部42は背面に形成されていないものとしてもよい。規制壁部42は、装置内部へのアクセスを規制する側に形成されていればよい。
【0035】
上述した実施形態では、カートリッジ60が待機位置にあり且つ印刷移動部26と供給ユニット40とが接続解除されると、駆動部43の駆動力(電源)を切断するものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。なお、安全性を高める観点からは、駆動部43の駆動力を切断する方が好ましい。
【0036】
上述した実施形態では、フック部材47や固定用ステー46により構成される固定機構45によって装着部41及び規制壁部42を固定するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、フック部材47や固定用ステー46以外の構成を用いて装着部41や規制壁部42の移動を規制するものとしてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、連結部50は、供給ユニット40と印刷移動部26との連結と、供給ユニット40の本体14への固定とを切り替える固定ロッド51及びエアシリンダ52を有するものとしたが、特にこれに限定されず、供給ユニット40と印刷移動部26との連結を行う部材と、供給ユニット40の本体14への固定を行う部材とを別部材としてもよい。この印刷装置11においても、部材数は増加するが、カートリッジ60を交換するに際して、安全性を確保しつつ、印刷に関する処理の中断をより抑制することができる。
【0038】
上述した実施形態では、扉部材16は、閉鎖機構17及びジョイント部材19によってロックされるものとしたが、扉部材16がロックされるものとすれば、特にこれに限定されず、公知のロック機構を用いることができる。
【0039】
上述した実施形態では、供給ユニット40の移動方向(印刷方向,前後方向)の延長線上に設けられた開口部15に扉部材16を設け、この開口部15からカートリッジ60を交換するものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、供給ユニット40の移動方向と異なる向きに設けられた開口部に扉部材を配設し、この開口部からカートリッジ60を交換するものとしてもよい。カートリッジ60の取り出し方向は任意としてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、扉部材16は、スライド窓としたが、扉部材16の開放動作は、特にこれに限定されず、開放可能であれば任意である。例えば、扉部材は、手前下方へ向けて回動するものとしてもよいし、手前上方へ回動して開口部15を開放するものとしてもよい。なお、装置の省スペース化を考慮すると、スライド窓がより好ましい。
【0041】
上述した実施形態では、印刷移動部26は印刷部24と供給ユニット40との移動を行うものとしたが、特にこれに限定されず、印刷移動部26とは別の移動部で供給ユニット40を移動するものとしてもよい。この印刷装置においても、移動部は増加するが、カートリッジ60を交換するに際して、安全性を確保しつつ、印刷に関する処理の中断をより抑制することができる。
【0042】
上述した実施形態では、扉部材16は本体側に配設され、固定ロッド51は本体14に配設された固定部材53に挿入されるものとした。即ち、扉部材16や固定ロッド51は、本体側に固定されるが、本体側の部材としては、例えば、清掃部32のように頻繁に移動や動作する部材でなければよく、筐体や、本体に配設されている固定部材、カバー部材、柱部材などが挙げられる。
【0043】
上述した実施形態では、供給ユニット40を備えた印刷装置11として本開示を説明したが、特にこれに限定されず、供給ユニット40のみとしてもよいし、印刷装置11の制御方法としてもよい。
【0044】
なお、本開示の供給ユニット、印刷装置及び印刷装置の制御方法は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の供給ユニットにおいて、前記装着部は、前記駆動部の下方に位置し、前記規制壁部は、前記カートリッジの側面及び下面に形成されているものとしてもよい。この供給ユニットでは、カートリッジの側面や下面からの印刷装置内部へのアクセスを規制することができる。なお、カートリッジの背面にも、印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部が形成されているものとしてもよい。あるいは、カートリッジの背面には、印刷装置内部へのアクセスを規制する前記装着部が形成されていてもよい。
【0045】
本開示の供給ユニットにおいて、前記印刷装置は、前記供給ユニットが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を有し、前記規制壁部は、前記開口部の開口縁に沿って形成され前記印刷装置内部へのアクセスを規制するものとしてもよい。この供給ユニットでは、開口縁に沿って形成された規制壁部によって、安全性をより高めることができ、ひいては処理の中断をより抑制することができる。
【0046】
本開示の印刷装置は、
上述したいずれかの供給ユニットと、
前記供給ユニットが待機する待機領域と前記粘性流体を供給する供給領域との間で該供給ユニットを移動させる移動部と、
前記待機領域の前記カートリッジが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材と、
前記駆動部及び前記移動部を制御し、前記カートリッジが前記待機位置にあるときには前記扉部材のロックを解除する制御部と、
を備えたものである。
【0047】
この印刷装置では、供給ユニットが待機する待機領域と粘性流体を供給する供給領域との間で該供給ユニットを移動させ、カートリッジが待機する待機位置にあるときには、カートリッジを通過可能な開口部を開放及び閉鎖する扉部材のロックを解除する。この印刷装置では、カートリッジが待機位置にあるときに、開口部からカートリッジを交換可能であり、この待機位置においても印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部がカートリッジを覆って存在するため、安全性を確保し、処理の中断をより抑制することができる。また、印刷装置の本体側に規制壁部を設ける場合のような空間を要しないため、構成をより簡素化することができる。
【0048】
本開示の印刷装置において、前記移動部は、前記供給ユニットと接続及び接続解除可能であり、前記制御部は、前記カートリッジが前記待機位置にあり且つ前記移動部と前記供給ユニットとが接続解除されると、前記駆動部の駆動力を切断するものとしてもよい。この印刷装置では、カートリッジが待機位置にあるときには、カートリッジの移動の動力が全て切断されるため、扉部材をより安全に開放することができる。この印刷装置において、前記カートリッジが前記待機位置にあり前記扉部材が開放状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を規制する一方、前記扉部材が閉鎖状態であるときには前記装着部及び前記規制壁部の前記供給動作方向への移動を可能とする固定機構、を備えたものとしてもよい。この印刷装置では、カートリッジが待機位置にあり扉部材が開放されるとカートリッジの移動が規制されるため、より安全を確保することができる。
【0049】
本開示の印刷装置において、前記扉部材は、前記供給ユニットを前記移動部が移動させる移動方向の延長線上に設けられた開口部を開放閉鎖するよう前記印刷装置の本体側に配設されているものとしてもよい。なお、「本体側」とは、清掃部のような頻繁に移動や動作する部材ではなく、本体である筐体や、本体に配設されている固定部材、カバー部材、柱部材などを含む趣旨である。
【0050】
本開示の印刷装置において、前記移動部は、前記粘性流体をスクリーンマスク上で移動させ前記印刷処理を実行するスキージを有する印刷ヘッドであるものとしてもよい。この印刷装置では、供給ユニットの移動部が印刷ヘッドを兼ねるため、より構成を簡略化することができる。
【0051】
本開示の印刷装置の制御方法は、
粘性流体を収容したカートリッジを装着、装着解除可能である装着部と、前記カートリッジを覆い印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部と、前記装着部に装着された前記カートリッジを前記規制壁部と共に供給動作方向へ移動させる駆動部と、を備えた供給ユニットと、
前記供給ユニットが待機する待機領域と前記粘性流体を供給する供給領域との間で該供給ユニットを移動させる移動部と、
前記待機領域の前記カートリッジが待機する待機位置において前記カートリッジを通過可能な開口部を開放及び閉鎖し閉鎖状態でロック可能な扉部材と、を備え、印刷対象に対して粘性流体の印刷処理を行う印刷装置の制御方法であって、
(a)前記駆動部及び前記移動部を制御し前記カートリッジを前記待機位置へ移動するステップと、
(b)前記カートリッジが前記待機位置にあるときには前記扉部材のロックを解除するステップと、
を含むものである。
【0052】
この印刷装置の制御方法では、上述した印刷装置と同様に、カートリッジが待機位置にあるときに、開口部からカートリッジを交換可能であり、この待機位置において印刷装置内部へのアクセスを規制する規制壁部がカートリッジを覆って存在するため、安全性を確保し、処理の中断をより抑制することができる。また、印刷装置の本体側に規制壁部を設ける場合のような空間を要しないため、構成をより簡素化することができる。なお、この印刷装置の制御方法において、上述した供給ユニットや印刷装置の種々の態様を採用してもよいし、また上述した印刷装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、粘性流体を印刷対象へ印刷する装置の技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 実装システム、11 印刷装置、12 実装装置、14 本体、15 開口部、16 扉部材、17 閉鎖機構、18 挿入孔、19 ジョイント部材、20 制御部、21 CPU、23 係合部材、24 印刷部、25 印刷ヘッド、26 印刷移動部、27 スキージ、28 マスク部、29 マスク固定部、30 基板処理部、31 基板搬送部、32 清掃部、33 清掃部材、35 撮像部、36 カメラ、40 供給ユニット、41 装着部、42 規制壁部、43 駆動部、44 カバー部材、45 固定機構、46 固定用ステー、47 フック部材、48 付勢部材、49 解除ピン、50 連結部、51 固定ロッド、52 エアシリンダ、53 固定部材、54 固定検出センサ、56 解除ステー、60 カートリッジ、61 本体部、62 フランジ部、63 収容容器、64 蓋部材、65 ノズル、66 接続部、67 配管、68 エア供給部、90 管理PC、M スクリーンマスク、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13