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特許7244647レーザ加工システム及びレーザ加工システムの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】レーザ加工システム及びレーザ加工システムの方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/042 20140101AFI20230314BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20230314BHJP
【FI】
B23K26/042
B23K26/00 M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021532517
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019070907
(87)【国際公開番号】W WO2020035333
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】102018120123.0
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019120398.8
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516234100
【氏名又は名称】プレシテック ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューマン バート
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッケンマン ニクラス
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-046622(JP,A)
【文献】特開平10-249566(JP,A)
【文献】特表2018-501964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビーム(10)を使用して被加工物を機械加工するためのレーザ加工システムであって、
加工ヘッド(101)であって、前記レーザビーム(10)を放出するための開口部(212)を有するハウジング(210)を備えた加工ヘッド(101)と、
前記開口部(212)を通して光学測定ビーム(13)を向けるように構成された測定装置(120)と、
前記レーザビーム(10)及び前記光学測定ビーム(13)を位置合わせするための光学ユニットであって、前記レーザビーム(10)及び前記光学測定ビーム(13)を前記開口部(212)の領域において前記加工ヘッド(101)の光軸に垂直に調整するように設定可能である光学ユニットと、を備え、
前記測定装置(120)は前記レーザビーム(10)の中心位置合わせに対応する前記光学ユニットの設定を、前記光学ユニットの異なる設定に対する前記光学測定ビーム(13)の反射に基づく測定値を基にして決定するように構成され、
前記測定装置(120)は光コヒーレンストモグラフを含む、
レーザ加工システム。
【請求項2】
前記光学ユニットは、
前記光学測定ビーム(13)を位置合わせするための測定光学部品(122、124、138、222、224、238)であって、前記光学測定ビーム(13)を前記開口部(212)の領域において前記加工ヘッド(101)の光軸に垂直に調整するために設定可能である測定光学部品(122、124、138、222、224、238)と、
前記レーザビーム(10)を位置合わせするためのレーザ光学部品(137、124、238、222、224)であって、前記レーザビーム(10)を前記開口部(212)の領域において前記加工ヘッド(101)の光軸に垂直に調整するために設定可能であるレーザ光学部品(137、124、238、222、224)と、を含み、
前記測定装置(120)は前記レーザビーム(10)の中心位置合わせに対応する前記レーザ光学部品の設定を、前記測定光学部品の異なる設定に対する前記光学測定ビーム(13)の反射に基づく前記レーザビーム(10)の中心位置合わせ基づいて決定するように構成される、
請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記光学ユニットは前記レーザビーム(10)及び前記測定ビーム(13)の共通のビーム経路に配置される共通の光学素子(124、222、224、238)を含み、前記共通の光学素子(124、222、224、238)を前記加工ヘッド(101)の前記光軸に垂直な平面において変位することによって、前記開口部(212)を出た後の前記レーザビーム(10)及び前記測定ビーム(13)のビーム軸を、変位するように構成された、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項4】
前記測定装置(120)は前記光学ユニットの異なる設定に対する測定値の分布を、前記光学測定ビーム(13)の反射に基づいて決定するように更に構成され、ここで前記測定値の分布は前記開口部(212)の形状に対応する、請求項1~3のいずれか一項に記載のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記測定装置(120)は前記開口部(212)の中心に対応する前記光学ユニットの設定を決定し、前記設定に基づいて、前記レーザビーム(10)の中心位置合わせのための前記光学ユニットの設定を決定するように構成される、請求項4に記載のレーザ加工システム。
【請求項6】
前記測定光学部品(124、222、224、238)は前記測定ビーム(13)を使用して前記加工ヘッド(101)の光軸に垂直な平面において前記開口部(212)を走査するように構成される、請求項に記載のレーザ加工システム。
【請求項7】
前記光学ユニットは、少なくとも、前記測定ビーム(13)が前記開口部(212)を通過しない第1の設定、及び前記測定ビーム(13)が前記開口部(212)を通過し、表面(O)で反射される第2の設定が、方向(x、y)に沿って設定可能であるように構成される、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項8】
前記測定装置(120)は、前記表面(O)におけるバーンイン(310)の位置(X4、Y4)を反射に基づいて検出し、前記レーザビーム(10)の中心位置合わせに対応する前記光学ユニットの設定を前記バーンイン(310)の前記位置(X4、Y4)に基づいて決定するように構成される、請求項7に記載のレーザ加工システム。
【請求項9】
前記測定装置(120)は前記レーザビーム(10)の中心位置合わせに対応する前記光学ユニットの設定を自動的に決定するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のレーザ加工システム。
【請求項10】
前記光学ユニットを設定するための少なくとも1つの自動及び/又は電動調整装置を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のレーザ加工システム。
【請求項11】
前記光学測定ビーム(13)の反射は前記加工ヘッド(101)の外側の、及び/又は前記加工ヘッド(101)内の表面(O)での反射を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のレーザ加工システム。
【請求項12】
前記光学ユニットは、前記レーザビーム(10)及び/又は前記測定ビーム(13)を集束させるための集束光学部品(124、224)、前記レーザビーム(10)及び/又は前記測定ビーム(13)をコリメートするためのコリメータ光学部品(112、122、222)、前記レーザビーム(10)及び/又は前記測定ビーム(13)を前記加工ヘッド(101)に導入するためのファイバ端部(137、138、238)、及び/又はミラーのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のレーザ加工システム。
【請求項13】
レーザビーム(10)を使用して被加工物(1)を機械加工するためのレーザ加工システムの加工ヘッド(101)において前記レーザビーム(10)を中心に位置合わせする方法であって、
前記加工ヘッド(101)であって、そこから前記レーザビーム(10)を放出するための開口部(212)を有するハウジング(210)を備える前記加工ヘッド(101)を準備すること(410)と、
光コヒーレンストモグラフを含む測定装置により、光学測定ビーム(13)を光学ユニットに向けて、前記レーザビーム(10)と前記光学測定ビーム(13)を位置合わせすること(420)と、
前記光学測定ビーム(13)を、前記開口部(212)の領域において、前記加工ヘッド(101)の光軸に垂直な少なくとも1つの方向(x、y)に前記光学ユニットを用いて調整すること(430)と、
前記少なくとも1つの方向(x、y)における前記レーザビーム(10)の中心位置合わせに対応する前記光学ユニットの設定を、前記少なくとも1つの方向(x、y)における前記光学ユニットの異なる設定のための前記光学測定ビーム(13)の反射に基づく測定値を基にして決定すること(440)と、を含む、
方法。
【請求項14】
前記光学ユニットの設定を前記レーザビーム(10)の中心位置合わせに対応して決定すること(440)は、
前記光学ユニットの異なる設定に対する測定値の分布を決定すること(431、432)であって、前記分布は前記開口部(212)の形状に対応することと、
前記少なくとも1つの方向(x、y)における前記開口部(212)の中心に対応する前記光学ユニットの設定を前記分布に基づいて決定すること(441、442)と、を含み、
ここで前記光学ユニットの設定を前記レーザビーム(10)の前記方向(x、y)における中心位置合わせのために決定すること(440)は前記開口部(212)の中心に対応する前記設定に基づいて実行される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
構造が形成されるように、前記表面(O)にバーンイン(310)をバーンインすることと、
前記測定値から前記表面(O)上の前記バーンイン(310)の位置(X4、Y4)を決定することと、を更に含み、
ここで前記光学ユニットの設定を、前記レーザビーム(10)のこの少なくとも1つの方向(x、y)における中心位置合わせに対応して決定すること(440)は、前記バーンイン(310)の前記位置(X4、Y4)に基づいて実行される、
請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記光学ユニットをx及び/又はy方向における前記レーザビーム(10)の中心位置合わせに対応して設定することを更に含む、
請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
測定値はそれぞれ、前記光学測定ビーム(13)のそれぞれの反射が発生する反射面までの距離に対応する、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザビームを使用して被加工物を機械加工するように構成されたレーザ加工システム、及びレーザ加工システムの方法に関する。特に、本開示は、例えば、被加工物までの距離を測定するための光コヒーレンストモグラフを備える、レーザ溶接又はレーザ切断用のレーザ加工ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを使用して材料を機械加工するための装置、例えば、レーザ溶接又はレーザ切断用のレーザ加工ヘッドにおいて、レーザ光源又はレーザファイバの端部から放出されるレーザビームは、機械加工される被加工物に、ビーム誘導及び集束光学部品によって集束され、又はコリメートされる。
【0003】
材料のレーザ加工、特にレーザ切断又はレーザ溶接において、レーザビームは、レーザ加工ヘッドから中心に位置合わせして放出される必要がある。特に、レーザビームは、レーザ加工ヘッドの開口部に対して中心的であるか、又は中心に位置合わせされる必要があり、レーザビームは開口部を通って加工ヘッドから出て、レーザビームの加工ヘッド内での不要な反射を回避し、最適な機械加工を保証する。開口部は、例えば、ノズル又は切断ノズルに形成され得る。レーザビームの中心位置合わせは、レーザ加工ヘッドの構成要素が変更される毎に、例えば、ノズル、レーザビームのビーム経路内の光学部品、レーザ光源などを変更するときに実行する必要がある。レーザビームを中心に位置合わせすることは、通常、煩雑な手動手順であり、例えば、接着ストリップを開口部に貼り付けるステップ、レーザビームと開口部の位置でのバーニング(burning, Einbrennen)ステップ、及び開口部に対するレーザビームの中心位置が確立されるまで、集束光学部品を手動で動かし、それにより、ビーム軸に垂直なレーザビームの位置を動かすステップを繰り返す。この目的のために、比較的大きな開口部を備えたノズルを使用する必要があり、その後、続いて、中心位置合わせの精度を高めるために小さな開口部を備えたノズルに交換してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、レーザビームを使用して被加工物を機械加工するためのレーザ加工システム、及びレーザビームを使用して被加工物を機械加工する方法を提供し、レーザビームの正確かつ容易な中心位置合わせを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
本開示の一態様によると、レーザビームを使用して被加工物を機械加工するための、好ましくはレーザビームを使用して被加工物を切断又は溶接するためのレーザ加工システムが提供され、加工ヘッドであって、そこからレーザビームを放出するための開口部を有するハウジングを備えた加工ヘッドと、開口部を通して光学測定ビームを向けるように構成された測定装置とを含む。レーザ加工システムは、レーザビームと光学測定ビームを位置合わせするための光学ユニットを更に含み、光学ユニットはレーザビーム及び光学測定ビームを開口部の領域において加工ヘッドの光軸に垂直に調整するよう設定可能である。測定装置は更に、レーザビームの中心位置合わせに対応する光学ユニットの設定を、光学ユニットの様々な設定に対する光学測定ビームの反射に基づく測定値を基にして決定するように構成される。光学ユニットは、光学測定ビームを位置合わせするための測定光学部品を含んでもよく、測定光学部品は、光学測定ビームが開口部の領域において加工ヘッドの光軸に対して垂直に調整可能となるように設定可能である。加えて、光学ユニットは、レーザビームを位置合わせするためのレーザ光学部品を含んでもよく、レーザ光学部品は、レーザビームが開口部の領域において加工ヘッドの光軸に対して垂直に調整可能となるように設定可能である。したがって、測定装置は、レーザビームの中心位置合わせに対応するレーザ光学部品の設定を、測定光学部品の異なる設定に対して、例えば基板の表面での、又は加工ヘッド内での光学測定ビームの反射に基づく測定値を基にして決定するように構成されてもよい。測定光学部品は、少なくとも1つの光学素子を含み得て、それは測定ビームのビーム経路に配置され、その光軸及び/又は測定ビームのビーム軸に垂直な少なくとも1つの方向x及び/又はyに変位可能又は調整可能である。同様に、レーザ光学部品は、少なくとも1つの光学素子を含んでもよく、それはレーザビームのビーム経路に配置され、その光軸及び/又はレーザビームのビーム軸に垂直な少なくとも1つの方向x及び/又はyに変位可能又は調整可能である。測定光学部品又はレーザ光学部品の異なる設定は、加工ヘッドの光軸に垂直な少なくとも1つの方向x及び/又はyにおける、測定光学部品又はレーザ光学部品の異なる位置を含み得る。言い換えると、測定光学部品又はレーザ光学部品は、この方向に沿って変位可能又は調整可能であり得る。しかしながら、測定光学部品又はレーザ光学部品の異なる設定はまた、加工ヘッドの光軸に垂直な軸の周りでの、測定光学部品又はレーザ光学部品の旋回又は傾斜を含み得る。測定装置は更に、レーザ光学部品の決定された設定を実施するように、すなわち、それに応じて、この方向x及び/又はyにおけるレーザビームの中心位置合わせを設定するように構成され得る。
【0007】
別の態様によると、レーザビームを使用して被加工物を機械加工するための、レーザ加工システムの加工ヘッド内でレーザビームを中心に位置合わせする方法が提供され、加工ヘッドであって、そこからレーザビームを放出するための開口部を有するハウジングを備えた加工ヘッドを準備するステップと、光学測定ビームを光学ユニットに向けて、レーザビームと光学測定ビームを位置合わせするステップと、光学測定ビームを開口部の領域において加工ヘッドの光軸に垂直な少なくとも1つの方向に、光学ユニットの手段によって調整するステップと、この少なくとも1つの方向におけるレーザビームの中心位置合わせに対応する、レーザビームを位置合わせするための光学ユニットの設定を、この少なくとも1つの方向における光学ユニットの異なる設定のための光学測定ビームの反射に基づく測定値を基にして決定するステップを含む。一実施形態では、方法は、加工ヘッドであって、そこからレーザビームを放出するための開口部を有するハウジングを備える加工ヘッドを準備することと、光学測定ビームを位置合わせするために、光学測定ビームを測定光学部品に向けることと、測定光学部品の手段によって、開口部の領域において加工ヘッドの光軸に垂直な少なくとも1つの方向に光学測定ビームを調整することと、この少なくとも1つの方向におけるレーザビームの中心位置合わせに従って、レーザビームを位置合わせするためのレーザ光学部品の設定を、この少なくとも1つの方向における測定光学部品の異なる設定のための光学測定ビームの反射に基づく測定値を基にして決定することを含む。光学測定ビームの調整は、測定光学部品を、測定光学部品の光軸及び/又は測定ビームのビーム軸に垂直な対応する少なくとも1つの方向x及び/又はyに変位させることを含み得る。言い換えれば、測定光学部品の異なる設定は、この少なくとも1つの方向x及び/又はyにおける測定光学部品の異なる位置に対応し得る。
【0008】
方法は、レーザビームの中心位置合わせを、例えば、x及び/又はy方向に設定することを更に含み得る。方法は、以下のステップのうちの少なくとも1つを更に含み得て、少なくとも1つの方向x及び/又はyにおける測定光学部品の異なる設定のための加工ヘッドと被加工物との間の距離の分布を決定することであって、分布は開口部の形状に対応することと、少なくとも1つの方向x及び/又はyにおける開口部の中心に対応する測定光学部品の設定又は位置を、分布に基づいて決定することと、この方向x及び/又はyにおけるレーザビームの中心位置合わせのためのレーザ光学部品の設定を、この設定又は位置に基づいて決定することを含む。測定光学部品の少なくとも1つの対応する設定に対して、光学測定ビームは、開口部を通って表面、例えば、被加工物又は基板上に向けられることができ、表面からの光学測定ビームの反射に基づいて、加工ヘッドと表面との間の距離が決定され得る。この目的のために、測定光学部品は、最初に第1の方向xに、続いて第2の方向yに、又は同時に両方向に変位されてもよい。少なくとも1つの方向は、第1の方向x及びそれに垂直な第2の方向yを含み得る。方法は、空間構造を作成するためにバーンイン(burn-in, Einbrands)をバーンインし、測定値に基づいてバーンインの位置を決定することを更に含み得る。バーンインの位置は、少なくとも1つの方向の測定値の分布の中心に対して決定され得る。レーザビームの中心位置合わせに対応するレーザ光学部品の設定を決定することは、バーンインの位置に基づいてもよい。更に、加工ヘッドは、本開示による方法を実行するように構成され得る。
【0009】
本開示の態様による方法及び/又はレーザ加工システムは、以下の好ましい特徴のうちの1つ以上を含み得る。
【0010】
測定光学部品は、好ましくは、測定ビームのビーム経路内に配置される。測定光学部品はまた、測定光学部品の調整に従って、開口部の領域における測定ビームのビーム軸を変位させるように構成され得る。
【0011】
測定ビームとレーザビームのビーム経路は、ある領域で別々に形成されてもよい。この場合、決定された設定は、レーザビームのビーム経路におけるレーザ光学部品の位置を含み得る。レーザ光学部品は、その光軸に垂直な少なくとも1つの方向x及び/又はyで変位可能又は調整可能であり得る。レーザ光学部品は更に、レーザ光学部品の調整に従って、開口部の領域においてレーザビームのビーム軸を変位させるように構成され得る。したがって、レーザビームの中心位置合わせを設定するために、レーザ光学部品は、例えば、決定された設定に従って、調整装置によって変位又は調整され得る。
【0012】
光学ユニットは、レーザビームと測定ビームの共通のビーム経路に配置された共通の光学素子を含み得る。これは、測定光学部品及びレーザ光学部品が、レーザビーム及び測定ビームの共通のビーム経路に配置された少なくとも1つの共通の光学素子によって実装され得ること、又は共通の光学素子が測定光学部品とレーザ光学部品であるか、若しくはそれらを含むことを意味する。レーザビームと測定ビームの両方は、共通の光学素子を通して向けられてもよい。ここで、光学ユニットの決定された設定は、少なくとも1つの方向における共通の光学素子の設定又は位置を含み得る。共通の光学素子は、共通の光学素子の設定に従って、レーザビームのビーム軸及び測定ビームのビーム軸を変位するように構成され得る。したがって、レーザビームの中心位置合わせを設定するために、共通の光学素子は、例えば、決定された設定に従って調整装置によって変位又は調整され得る。
【0013】
共通の光学素子及び/又は測定光学部品及び/又はレーザ光学部品は、加工ヘッドの加工光学部品の一部であるか、又はそれを含み得る。例えば、共通の光学素子及び/又は測定光学部品及び/又はレーザ光学部品は、以下の要素のうちの1つ以上を含み得て、それはレーザビーム及び/又は測定ビームを集束させるための集束光学部品、レーザビーム及び/又は測定ビームをコリメートするためのコリメート光学部品、レーザビーム及び/又は測定ビームが放出されるファイバ端部、及びミラーなどである。
【0014】
光学測定ビームの反射は、加工ヘッドの外側及び/又は加工ヘッド内、例えば、加工ヘッドのノズル内の表面での反射であり得る。
【0015】
測定装置は、光学測定ビームの反射に基づいて、少なくとも1つの方向x及び/又はyにおける測定光学部品の異なる設定又は位置についての測定値又は測定信号の分布を決定するように更に構成され得る。測定値の分布は、例えば、被加工物までの距離、又は加工ヘッド若しくは加工ヘッドのノズルと被加工物との間の距離の分布であり得る。測定値の分布は、開口部の形状に対応するか、開口部の形状を表す場合がある。測定装置は更に、レーザ光学部品の設定又は位置を、レーザビームの中心位置合わせに対応する測定値の分布に基づいて決定するように構成され得る。例えば、測定装置は、少なくとも1つの方向x及び/又はyにおける開口部の中心に対応する測定光学部品の設定又は位置を決定し、測定光学部品のこの設定又は位置に基づき、この方向x及び/又はyにおけるレーザビームの中心位置合わせのためのレーザ光学部品の設定又は位置を決定するように構成され得る。
【0016】
測定装置は、測定光学部品の少なくとも1つの対応する設定又は測定光学部品の少なくとも1つの対応する位置に関して、光学測定ビームを開口部に通して被加工物に向け、被加工物までの距離、又は加工ヘッドと被加工物との間の距離を光学測定ビームの反射に基づいて決定するように構成され得る。測定装置は、光コヒーレンストモグラフを含み得る。光コヒーレンストモグラフは、参照アームと測定アームを含み得て、測定アームからの光学測定光を開口部に通して向け、被加工物までの距離を被加工物からの反射及び参照ビームからの後方反射光に基づいて決定するように構成され得る。
【0017】
加工ヘッド又は加工ヘッドのハウジングは、開口部を含むノズルを含み得る。開口部の直径は既知であり得る。測定装置はまた、レーザビームの中心位置合わせに対応するレーザ光学部品の設定を、開口部の直径及び光学測定ビームの反射に基づいて決定するように構成され得る。
【0018】
測定値の分布は、開口部の形状を表してもよい。つまり、分布は、開口部のエッジに関する情報を含み得る。この目的のために、分布は、測定ビームが開口部を通過する測定光学部品の設定の値と、測定ビームが開口部を通過しない測定光学部品の設定の値とを含み得る。少なくとも1つの方向x及び/又はyに関する測定光学部品の変位経路又は調整経路は、例えば、少なくとも以下の設定がこの方向に対して設定され得るように選択されてもよく、その設定は、測定ビームが開口部を通過しない、及び/又は加工ヘッドに留まるか反射される測定光学部品の第1の設定又は位置と、測定ビームが開口部を通過し、表面で反射される測定光学部品の第2の設定又は位置である。これにより、光学測定ビームの反射に基づいて得られた測定値の分布、又は被加工物までの(任意選択で周知の)距離に対応し得る値への距離の分布が急激に増加する。開口部の直径が周知の場合、この方向における開口部の中心に対応する測定光学部品の設定又は位置は、測定値の分布の急激な増加が発生する位置に基づいて決定され得る。代替的又は追加的に、測定光学部品の第3の位置又は設定は、測定ビームも開口部を通過せず、及び/又は加工ヘッドに留まるか、反射されるように設定可能であり得る。第3の位置又は設定は、調整又は変位方向に沿って配置され得て、その結果、第2の位置又は設定は、第1の位置又は設定と第3の位置又は設定との間にある。換言すると、測定光学部品の第3の位置は、開口部に対して変位方向の第1の位置の反対側であり得る。したがって、測定値の分布では、例えば、測定光学部品が第1の設定から第2の設定まで調整されるとすぐに、開口部の第1のエッジ領域に対応する、表面又は被加工物までの距離の値に急激な増加があり、例えば、測定光学部品が第2の設定から第3の設定まで調整されるとすぐに、開口部の第2のエッジ領域に対応する、被加工物までの距離の値からの急激な低下がある。測定値の分布の急激な値の変化の中間に対応する測定光学部品の設定は、この方向における開口部の中心に対応する設定として決定され得る。x及びyの両方向に位置合わせするために、測定光学部品は、最初に第1の方向xに変位され、続いて第2の方向yに、又は同時に両方向に変位され得る。少なくとも1つの方向は、第1の方向x及びそれに垂直な第2の方向yを含み得る。例示的な実施形態では、測定装置は、測定光学部品が第1の方向に変位したときの測定値及び/又は測定光学部品が第2の方向に変位したときの測定値を、第1及び/又は第2の方向における測定光学部品の対応する設定又は調整位置に対してプロットするように構成される。
【0019】
例示的な実施形態では、光学測定ビームは、測定光学部品を通過し、及び/又はレーザビームと実質的に平行に開口部を通過する。測定ビームとレーザビームは、例えば共通の光ファイバによって、一緒にレーザ加工ヘッドに結合され得る。代替的に、測定ビームとレーザビームを別々に、例えばレーザ加工ヘッドの異なる位置で、レーザ加工ヘッドに結合され得る。測定ビームとレーザビームが共通の光学素子を介して同軸である場合、少なくとも1つの方向x及び/又はyにおいて開口部の中心に対応する共通の光学素子の位置は、レーザビームの中心位置合わせのための共通の光学素子の位置に対応し得て、すなわち、これらの位置は同じであってもよい。測定ビームとレーザビームが所定の距離だけ互いにオフセットされる場合、所定の距離は、共通の光学素子又はレーザ光学部品の位置など、レーザビームの中心位置合わせの設定を決定するためのオフセットとして考慮に入れることができる。代替的又は追加的に、測定装置は、表面上のバーンインの位置から、レーザビームの中心位置合わせのためのオフセット及び/又は設定、例えば、レーザビームの中心位置合わせのための共通の光学素子又はレーザ光学部品の位置を考慮に入れるように構成され得る。
【0020】
光学測定ビームは、例えば、円形又は楕円形の直径を有する連続又はパルス測定ビームであり得る。代替的に、光学測定ビームは、2つ以上の部分ビームを含み得る。
【0021】
レーザビームの中心位置合わせのための設定、例えば、少なくとも1つの方向x及び/又はyにおけるレーザビームの中心位置合わせに対応する共通の光学素子又はレーザ光学部品の位置は、自動的に決定され得る。この目的のために、少なくとも1つの自動及び/又は電動調整装置は、少なくとも1つの共通の光学素子又は測定光学部品及び/又はレーザ光学部品を変位又は調整するために設けられ得る。複数の光学部品が変位される場合、それぞれの調整装置は、各場合で設けられてもよく、又は調整装置は、複数の光学部品を調整するように構成されてもよい。調整装置及び/又は調整装置のコントロールは、測定装置に接続され得て、少なくとも1つの共通の光学素子、測定光学部品、又はレーザ光学部品の位置を測定装置に伝達する。
【0022】
光学測定ビーム及びレーザビームは、異なる波長を有し得る。このようにして、レーザビームの反射部分は、光学測定ビームの反射と区別又は分離され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の実施形態は、図に示され、以下でより詳細に説明される。図において、
図1】本開示の実施形態による、加工ヘッドを備えたレーザ加工システムを示す。
図2】測定ビーム又はレーザビームの中心位置合わせの方法を示す。
図3A】光学測定ビームが重ね合わされていない、開口部及びバーンインの概略図である。
図3B】光学測定ビームが重ね合わされた、開口部及びバーンインの概略図である。
図4A】x方向において測定された距離プロファイルを示す。
図4B】y方向において測定された距離プロファイルを示す。
図5】本開示の別の実施形態による、加工ヘッドを備えたレーザ加工システムを示す。
図6】本開示の実施形態による、レーザビームの中心位置合わせのための方法のフローチャートを示す。
図7】本開示の実施形態による、レーザビームの中心位置合わせのための方法の更なるステップを備えるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、特に記載のない限り同様の参照番号は同様で等価な要素に対して使用される。
【0025】
図1は、本開示の実施形態によるレーザ加工システム100の概略図を示す。レーザ加工システム100は、加工ヘッド101、例えば、レーザ切断又はレーザ溶接ヘッドを含む。
【0026】
レーザ加工システム100は、レーザビーム10(「レーザビーム」又は「加工レーザビーム」とも呼ばれる)を供給するためのレーザ装置110と、測定値、例えば、被加工物1と加工ヘッド101、例えばノズルとの間の距離を測定するための測定装置を含む。加工ヘッド又はノズルは、加工ヘッド101から放出されたレーザビーム10が通る開口部212を含む。
【0027】
レーザ加工システム100又は加工ヘッド101などのその部品は、実施形態によると、加工方向20に沿って移動可能であり得る。加工方向20は、加工ヘッド101などのレーザ加工システム100の、被加工物1に対する切断又は溶接方向、及び/又は移動方向であり得る。特に、加工方向20は水平方向であり得る。加工方向20は「送り方向」とも呼ばれる。
【0028】
レーザ装置110は、レーザビーム10を加工ヘッドに結合するためのファイバ端部137と、レーザビーム10をコリメートするためのコリメータ光学部品112とを含み得る。加工ヘッド101内で、レーザビーム10は、適切な光学素子又は光学部品103によって、被加工物1の方向に約90°だけ偏向又は反射される。測定装置は、光学測定ビーム13を加工ヘッド101に結合するためのファイバ端部138を有し得る。光学部品103、例えば半透明ミラーは、例えば、被加工物1から反射して戻ってきた光が測定装置を通過できるように構成されてもよい。光学測定ビームとレーザビームは異なる波長を有してもよく、その結果、後方反射された測定光のみが測定装置に到達する。もちろん、レーザビーム10の結合点は、測定ビーム13の結合点と交換され得て、その結果、測定ビームが被加工物に向かって90°偏向され、半透明ミラー103は測定ビームの波長を反射する。
【0029】
測定装置は、被加工物1までの距離を決定するように構成され得る。したがって、加工ヘッドと被加工物表面との間の距離、又は加工ヘッドの端部に配置されたノズルと被加工物表面との間の距離は、一定に維持され得る。加工中に距離を一定に保つことができるほど、加工プロセスはより安定する。
【0030】
測定装置は、コヒーレンストモグラフ120を含み得るか、又はコヒーレンストモグラフ120であり得る。コヒーレンストモグラフ120は、測定光を光導波路132に結合する広帯域光源(例えば、スーパールミネッセントダイオード、SLD)を有する評価ユニット130を含み得る。好ましくはファイバカプラを含むビームスプリッタ134において、測定光は、典型的には、参照アーム136と、光導波路のファイバ端部138を介して加工ヘッド101に導く測定アームとに分割される。コヒーレンストモグラフ120は、光学測定ビーム13をコリメートするように構成されたコリメータ光学部品122を更に含み得る。コリメータ光学部品122は、加工ヘッド101に統合されるか、又は加工ヘッド101に取り付けられ得る。加えて、コリメータ光学部品112又は122を使用して、前の調整ステップ、例えば、手動調整において、測定ビーム13及びレーザビーム10の光軸を、集束光学部品124の領域において互いに同軸に位置合わせすることができる(図1)。この目的のために、コリメータ光学部品112又は122は、x及びy方向に、すなわち、レーザビーム10及び測定ビーム13の光軸に対して垂直に変位可能に設計され得る。
【0031】
加工ヘッド101では、レーザビーム10及び/又は光学測定ビーム13を被加工物1に集束するように構成された集束光学部品124が更に設けられる。集束光学部品124は、レーザビーム10及び測定ビーム13のための共通の集束光学部品、例えば集束レンズであり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、レーザビーム10及び光学測定ビーム13は、少なくとも部分的に平行又は同軸でさえあり得て、特に、少なくとも部分的に同軸的に重ね合わされてもよい。例えば、コヒーレンストモグラフ120は、光学測定ビーム13をレーザ装置110のビーム経路に結合するように構成され得る。光学測定ビーム13とレーザビーム10の合流は、コリメータ光学部品122の上流、つまり測定ビームとレーザビームの共通のコリメータ光学部品122の上流で行われ得る。代替的に、測定ビーム13及びレーザビーム10のビーム経路は、大部分が別々に誘導され、コリメータ光学部品122の下流で集束光学部品124の上流、又は集束光学部品124の下流でレーザ加工ヘッド101の開口部の上流でのみ合流される。レーザビーム10及び測定ビーム13のビーム軸は、平行又は開口部212の近くで同軸でさえあり得て、好ましくは、被加工物表面に垂直である。
【0033】
本明細書に記載の距離測定の原理は、干渉計を使用して光コヒーレンス特性を利用する、光コヒーレンストモグラフの原理に基づく。距離測定のため、光学測定ビーム13は、被加工物1の表面2に向けられる。表面から反射されて戻ってきた測定光は、集束光学部品124によって光導波路138の出口/入口表面に画像化され、ファイバカプラ134内で参照アーム136から反射して戻ってきた光と重ね合わされ、次に、評価ユニット130に向けられる。重ね合わせられた光は、参照アーム136と測定アームとの間の経路長の差についての情報を含む。この情報は、評価ユニット130で評価され、それによって、ユーザは、被加工物の表面と加工ヘッド101との間の距離についての情報を取得する。
【0034】
測定装置は、開口部に対するレーザビームの中心位置合わせのために構成され得る。レーザビーム10を開口部212の中心に配置するために、測定ビーム13のビーム経路内の測定光学部品は、調整装置によって、測定ビーム13のビーム軸に垂直な平面内で変位され得る。その光軸に垂直に変位されるとき、測定光学部品は、それに応じて測定ビーム13を変位するように構成されてもよい。例えば、測定光学部品は、ファイバ端部138、コリメート光学部品122、及び集束光学部品124のうちの少なくとも1つを含み得る。代替的に、測定光学部品はまた、枢動可能であるように設計され得る
【0035】
例えば、測定光学部品は自動的に変位され、その間、光学測定ビーム13は測定光学部品を通して向けられる。したがって、測定ビーム13の反射に基づく測定信号又は値は、測定装置によって記録され得る。測定装置は、測定値を距離に変換することができる。
【0036】
測定光学部品の異なる位置に対して、又は各位置に対して、対応する測定値又は距離は、測定光学部品のそれぞれの位置に対してプロットされてもよい。これは、局所的な信号分布をもたらし、そこから開口部の中心を導き出すことができる。測定ビームが開口部212にうまく当たらない場合、光学測定ビーム13は、加工ヘッドで反射され得る。対照的に、測定ビーム13が開口部212を通って表面、例えば被加工物1又は中心位置合わせ基板上に向けられ、反射される場合、測定値は急激に増加する。測定値から決定される距離は、被加工物1又は中心位置合わせ基板までの距離に対応し得る。この方法は、以下の図5を参照して説明するように、レーザビームと測定ビームが一緒に結合されるレーザ加工ヘッドに特に適する。
【0037】
したがって、2つの相互に垂直な方向x、yにおいて測定光学部品を変位させるとき、開口部212の形状又は断面に対応する信号分布が記録され得て、それにより、信号分布の中央又は中心に対応する測定光学部品の位置が決定され得る。2つの方向のうちの一方又はそれぞれにおける測定光学部品の変位経路又は調整経路は、少なくとも以下の位置がこの方向で設定可能であるような範囲を有してもよく、その位置は、測定ビームが開口部212から出ない、又は加工ヘッドで反射される測定光学部品の第1の位置と、測定ビームが開口部を通って表面、例えば、被加工物又は中心位置合わせ基板上に向けられ、反射される、測定光学系の第2の位置である。更に、測定ビームがまた、加工ヘッドで反射されるか、開口部から出ない測定光学部品の第3の位置を設定することができる。測定光学部品の第3の位置は、開口部212に対して加工ヘッドの第1の位置の反対側であり得る。第1及び第2(及び任意選択で第3)の位置は、測定光学部品を1つの方向に変位させる場合に、この順序で連続して通過させ得る。いずれの場合でも、x及び/又はy方向における測定光学部品の変位経路は、開口部212のエッジが、測定光学部品のx及び/又はy変位での測定値で表され得るように構成され得て、すなわち、表面までの距離に対応する測定値を有する測定光学部品の設定と、測定値がないか、x及び/又はy方向において表面までの距離以外の測定値を有する測定光学部品の設定が存在するように構成され得る。
【0038】
測定光学部品は、共通の光学素子であり得て、すなわち、測定光学部品は、レーザビーム10及び測定ビーム13の共通のビーム経路に配置され得て、その光軸に対して垂直に変位されるときに、それに応じて、レーザビーム10及び測定ビーム13を変位させるように構成され得る。この場合、測定光学部品はレーザ光学部品でもあり、又は測定光学部品とレーザ光学部品は共通の光学素子によって実装される。したがって、測定値に基づいて、共通の光学素子の位置をレーザビームの中心位置合わせに対応して決定することができる。例として、共通の光学素子は、集束光学部品、コリメータ光学部品、及び/又はレーザビームと測定ビームが放出されるファイバ端部を含むか、又はそれらであり得る。代替的に、レーザビーム10と測定ビーム13が別個のビーム経路の場合、測定ビーム13のビーム経路内の測定光学部品に加えて、レーザビーム10のビーム経路内のレーザ光学部品を設けることができ、これは調整装置によってレーザビーム10のビーム軸に垂直な平面内で調整可能であり、開口部212の中心にレーザビーム10を配置する。レーザ光学部品は、例えば、集束光学部品、コリメータ光学部品、及び/又はレーザビームが放出されるファイバ端部を含み得る。レーザ光学部品は、レーザ光学部品をその光軸に垂直に変位させることによって、レーザビーム10をそれに対応して変位させるように構成される。したがって、レーザビームの中心位置合わせに対応するレーザ光学部品の位置は、測定ビームのビーム経路における測定光学部品の変位に基づく測定値を基にして決定され得る。このようにして、レーザビーム10又は測定ビーム13は、単純かつ自動化された方法で、レーザ加工ヘッドの中心に位置合わせされ得る。
【0039】
図2を参照すると、一実施形態による、レーザ加工ヘッド101のハウジング210の開口部212に対して、レーザビーム10及び測定ビーム13の中心位置合わせを設定する方法がより詳細に説明される。この目的のために、図1又は図5に示されるレーザ加工システムが使用され得る。本開示によると、測定光学部品を変位させながら光学測定ビーム13の反射を測定することによる中心位置合わせのための簡略化された方法が提供される。測定光学部品の変位又は調整は、調整装置(図示せず)により自動的及び/又はモータ駆動で実行され得る。続いて、レーザビーム10の中心位置合わせの設定は、共通のビーム経路内の共通の光学素子の対応する位置を設定することによって、又はレーザビームのビーム経路内においてレーザ光学部品を調整装置(図示せず)により自動的及び/又はモータ駆動で設定することによって実行され得る。以下では、レーザ加工システム又はレーザビームの中心位置合わせの方法を、例として、レーザビームと測定ビームの共通のビーム経路における共通の光学素子を参照して説明する。しかしながら、本発明は、これに限定するものではないが、別個のビーム経路の場合、レーザ光学部品は、測定ビームのビーム経路内の測定光学部品に加えて、レーザビームの中心位置合わせのためにレーザビームのビーム経路内に設けられてもよい。
【0040】
一例では、共通の光学素子、この場合では集束光学部品124は、レーザビーム10又は測定ビーム13のビーム軸に垂直な平面内で、方向x及びyの少なくとも1つにおいて変位される。これにより、図2の上部分に例として示されるように、x方向への変位に対して、測定ビーム13のビーム軸(異なる破線)もこの方向に変位される。集束光学部品124の変位と同時に、光学測定ビーム13の反射に基づき、例えば、加工ヘッドのハウジング210内又は被加工物表面2上で、集束光学部品124の各位置の測定値が決定される。一実施形態では、被加工物1までの距離d1は、被加工物表面2からの光学測定ビーム13の反射及び参照アーム136からの後方反射光に基づいて決定される。光学測定ビーム13が開口部212を通過しない場合、測定値は得られないか、又は少なくとも距離d1に対応する測定値が得られない。ここで、被加工物1までの距離d1が分かり得る。しかしながら、測定ビーム13が開口部212を少なくとも部分的に通過する場合、距離d1に対応する測定値は、集束光学部品124の対応する位置xについて生じる(図2の中央部分を参照)。集束光学部品124がビーム軸に垂直なx及びy方向に変位されるとき、開口部212の形状は、測定値の分布によってマッピングされ得て、その中心Mは、測定ビーム13の中心位置合わせのための集束光学部品124の位置に対応する(図2の下部分を参照)。したがって、測定ビーム13をx方向において中心位置合わせするための集束光学部品124の位置は、距離信号が得られたx変位の部分の中央として決定され得る。同じことがy方向における中心位置合わせに適用される。
【0041】
開口部212全体が測定信号の分布にマッピングされ得るため、任意の直径を有する開口部が選択され得る。したがって、中心位置合わせの方法は、機械加工用に選択されたノズルに関係なく実行され得る。
【0042】
レーザビーム10及び測定ビーム13が同軸である場合、測定ビーム13の中心位置合わせのための共通の光学要素、この場合は集束光学部品124の決定された位置はまた、レーザビーム10の中心位置合わせのための共通の光学素子の位置に対応する。特に、これは、図5に示される例示的な実施形態の場合であり、レーザビーム10及び測定ビーム13は、光ファイバによって加工ヘッド又は加工ヘッドの加工光学部品に同軸に結合される。代替的に、レーザビーム10のビーム軸は、測定ビーム13のビーム軸に対して既知の方法で平行にオフセットされてもよく、例えば既知のx及び/又はy方向にオフセットされ得る。
【0043】
しかしながら、図1によるレーザ加工システムの実施形態では、測定ビーム13及びレーザビーム10は、2つの異なる位置で加工ヘッド又は加工光学部品に結合される。したがって、レーザビーム10の位置は、測定ビーム13の幾何学的位置から自動的に推定されない場合がある。この場合、例えば、バーンイン310が必要となる場合があり、それにより、開口部212に対するレーザビーム10の幾何学的位置が可視化又は測定可能になる。これは、図3A及び図3Bを参照して例として説明される。
【0044】
第1のステップにおいて、レーザ加工ヘッドは、ビーム中心位置合わせが実行される位置x、y、及びz(機械座標系に対して)に移動され得る。この位置は、基板の、例えば被加工物1又は別個の中心位置合わせステーションの表面O上にあってもよい。ここで、z方向は、開口部212の領域におけるレーザビーム軸と平行な方向を示し、x及びy方向は、それに垂直な平面内に延びる。第2のステップでは、レーザビーム10は、規定された期間、規定されたパラメータで表面Oに点火される。図3A及び図3Bに示すように、少なくとも平面x、yにおいて幾何学的に検出することができる空間構造、いわゆるバーンイン310が、表面Oに生成される。レーザ加工ヘッドの位置は、ビーム中心位置合わせの動作中、少なくともx及びy方向に一定に維持され得る。続いて、光学測定ビーム13は、例えば、ラスタのように、測定光学部品の変位によってxy平面内で偏向され、開口部212、表面O、及びバーンイン310を走査する(トポグラフ測定)。走査のための他の移動形態も考えられ、例えば、円形、らせん状、蛇行、ジグザグなどである。したがって、各x、y座標で、測定値、すなわち距離値が得られる。図4A及び図4Bには、それぞれx方向及びy方向に測定された測定値プロファイルが、バーンイン310の位置の近くで概略的に示される。信号の急激な上昇又は下降に対応する点X1及びX2から、2つの真ん中に位置する中心X3が導出される。バーンイン310の位置X4又はバーンインの中心は、位置X1とX2との間の測定値の極値、すなわち最小値又は最大値の位置として決定され得る。中心X3とバーンインX4の位置との間の距離は、オフセットΔXをもたらす。同じ計算はY方向についても実行される。オフセットΔX及びΔYを用いて、レーザビーム10は、レーザ光学部品の対応する位置を設定することにより、開口部212の中心に置くことができる。
【0045】
レーザ加工システム100の別の実施形態が図5に示され、ここでは、レーザビーム10及び光学測定ビーム13は、レーザ加工ヘッド101又は加工光学部品に、共通の光ファイバ131のファイバ端部238によって一緒に、したがって同軸に結合される。レーザ源からのレーザビーム10及び測定装置の測定ビーム13は、例えば、ファイバカプラなどのカップリングユニット140を介して、光ファイバ131に導入され得る。レーザビーム10及び測定ビーム13は、加工ヘッド101の光学部品、例えば、コリメータ光学部品222及び集束光学部品224を同軸的に通過する。これは、表面Oのバーンインがビーム中心位置合わせに必要とされないという利点を有し、測定ビーム13の光学情報がレーザビーム10の位置の直接推定を可能にするためである。したがって、測定光学部品とレーザ光学部品は、共通のビーム経路内の共通の光学素子として形成される。したがって、共通の光学素子を使用して、レーザビーム10を対応する位置決めによって中心に位置合わせすることもできる。同様に、上記のように、測定ビーム13は、開口部の内部形状を、少なくとも4つの位置でx及びy方向に走査する。測定ビーム13の偏向は、例えば、測定光学部品又は共通の光学素子がx及びy方向(光軸に垂直)に変位することによって行われる。第1に、測定ビーム13は、例えば、+x方向及び-x方向(X1及びX2)に偏向される。そこから、中心X3が決定され、それに応じて、測定ビーム13は、x方向のこの位置で中心とされる。続いて、点X3から開始して、y方向の中心位置合わせが同様に決定され、ビームは、y方向のこの位置で中心とされる。ここで、測定ビーム13とレーザビーム10の両方は、開口部121に関して中心に配置される。一例では、共通の集束光学部品124は、共通の光学素子として変位され得る。しかしながら、代替的又は追加的に、共通のコリメータ光学部品122、及び/又はレーザビームと測定ビームが一緒に出る光ファイバ131のファイバ端部は、共通の光学素子として変位され得る(図5を参照)。
【0046】
図6は、加工ヘッド内のレーザビームの中心位置合わせのための方法400のフローチャートを示す。方法400は、本開示の加工ヘッド又はレーザ加工システムによって実装され得る。加えて、加工ヘッドは、本開示による方法400を実行するように構成され得る。
【0047】
方法400は、ブロック410において、加工ヘッド101を準備することを含み、加工ヘッド101はそこからレーザビームを放出するための開口部212を有するハウジング210を備える。ブロック420において、光学測定ビーム13は、加工ヘッド101のビーム経路内の測定光学部品に向けられる。一方、ブロック430では、測定光学部品は、測定光学部品の光軸に対して垂直に、又は測定ビーム13のビーム軸に対して垂直に、少なくとも1つの方向x及び/又はyおいて調整される。ブロック440で、この少なくとも1つの方向x及び/又はyにおけるレーザビーム10の中心位置合わせに対応するレーザ光学部品の設定は、この少なくとも1つの方向x及び/又はyにおける測定光学部品の異なる位置に対する光学測定ビーム13の反射に基づく測定値を基にして決定される。測定光学部品とレーザ光学部品が、レーザビームと測定ビームの共通のビーム経路に配置された共通の光学素子であって、測定ビームとレーザビームの両方のビーム軸を変位させるように構成される共通の光学素子によって形成される場合、設定は、それぞれの方向におけるレーザビーム10の中心位置合わせに対応する共通の光学素子の位置を含み得る。ブロック450では、レーザビーム10の中心位置合わせに対応するレーザ光学部品の設定、つまり、例えば、共通の光学素子124の位置が設定される。
【0048】
本明細書において、方法400は、更なるステップを含み得る。例えば、図7に示されるように、ブロック430内の測定光学部品を調整することは、ステップ431及び/又は432を含み得て、レーザ光学部品の設定、例えば、ブロック440においてレーザビーム10の中心位置合わせに対応する共通の光学素子の位置を決めることは、ステップ441及び/又は442を含む。ステップ431では、開口部212は、光学測定ビーム13によってx方向に、すなわち、測定光学部品の光軸又は測定ビームのビーム軸に垂直な第1の方向に走査され、測定ビーム13のビーム経路において測定光学部品を、例えば集束光学部品124をこのx方向に変位することによって走査される。この目的のために、例えば、測定ビームは、最初に+x方向に偏向され、次に-x方向に偏向されてもよい(座標の原点として開口部中心を用いる)。ステップ441では、分布の中心X3は、x方向の測定値分布から決定される。ステップ432では、開口部212は、光学測定ビームによって、y方向に、すなわち、測定光学部品の光軸又は測定ビームのビーム軸に垂直な第2の方向に走査され、測定光学部品をy方向に変位させることによって走査される。この目的のために、例えば、測定ビームは、最初に+y方向に、次に-y方向に偏向されてもよい(座標の原点として開口部中心を用いる)。ステップ442において、y方向の分布の中心Y3は、測定値の分布から決定される。x方向及びy方向への順次走査の代わりに、ステップ421及び422をオーバレイしてもよく、その結果、トポグラフ測定は、測定ビームをx及びy方向に並行して、又は同時に走査することによって実行される。
【0049】
例えば図5に示すように、測定ビームとレーザビームが加工ヘッドに同軸的に結合される場合、分布の中心X3又はY3のx位置又はy位置は、x又はy方向におけるレーザビームの中心位置合わせの位置に対応し得る。例えば図1に示すように、測定ビーム13がレーザビーム10とは独立して加工ヘッドに結合される場合、追加的に、周知又はバーンインプロセスによって決定されるオフセットは上記のように考慮され得る。この目的のために、方法400は、ブロック420の前に、レーザビーム10によって、例えば、ブロック440中、又はその前に、バーンイン310を表面Oにバーニング・イン(バーンイン)するステップを含み得て、バーンイン310の位置X4及びY4に基づいて、x及びy方向のオフセットΔX及びΔY(図3B図4A、及び図4Bを参照)を決定する。
【0050】
本発明によると、レーザ加工システム及びレーザ加工システムのための方法が明示され、ここで、レーザビームの簡単かつ正確な中心位置合わせが、光コヒーレンストモグラフによって可能になる。好ましい実施形態では、レーザビームの中心位置合わせは、自動化されたプロセスで実行され、プロセスでは測定光学部品は、測定光学部品の光軸に垂直な平面内でモータによって変位され、測定ビームを用いて加工ヘッドの出口開口部を走査し、そこから中心位置合わせに対応するレーザ光学部品の位置を決定する。その結果、中心位置合わせのための面倒で手動のプロセスが回避され、精度が向上し得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7