(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-13
(45)【発行日】2023-03-22
(54)【発明の名称】保冷庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20230314BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20230314BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20230314BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
F25D11/00 101G
F25D23/00 A
F25D21/04 L
F25D21/04 M
F25D23/06 Z
(21)【出願番号】P 2022025616
(22)【出願日】2022-02-22
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】株式会社ツインバード
(72)【発明者】
【氏名】井上 峰幸
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-020883(JP,U)
【文献】実開昭63-049478(JP,U)
【文献】特開平04-045374(JP,A)
【文献】特開平09-273846(JP,A)
【文献】中国実用新案第2648362(CN,Y)
【文献】韓国登録特許第10-0503888(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の保冷庫本体と、この保冷庫本体の外側下部を覆う上方開口のカバー体とを有する保冷庫であって、
前記保冷庫本体の底部と前記カバー体の底部との間に間隙を形成するためのスペーサを有し、前記カバー体が、吸気口と排気口とを有すると共に、前記保冷庫本体及び/又は前記カバー体が送風装置を有することを特徴とする保冷庫。
【請求項2】
前記保冷庫本体が、排熱のための保冷庫本体吸気口と保冷庫本体排気口と前記送風装置とを有し、前記カバー体の上方開口端が、前記保冷庫本体を収容した状態で前記保冷庫本体吸気口よりも上方であると共に、前記排気口が前記保冷庫本体排気口と通じるように設けられることを特徴とする請求項1記載の保冷庫。
【請求項3】
前記保冷庫本体が、保冷区画部と機関部とを有し、前記保冷庫本体吸気口と保冷庫本体排気口と前記送風装置とが前記機関部に設けられると共に、前記カバー体の上部に、前記機関部の外壁との間からの気流流入を阻止する阻止部が設けられることを特徴とする請求項2記載の保冷庫。
【請求項4】
前記カバー体又は前記保冷庫本体に、その下方から前記保冷庫本体吸気口へ気流を導く導入部が設けられることを特徴とする請求項3記載の保冷庫。
【請求項5】
前記カバー体の吸気口に、外気を下方へ導く案内部が形成されることを特徴とする請求項1記載の保冷庫。
【請求項6】
前記カバー体の排気口に前記送風装置が設けられることを特徴とする請求項1記載の保冷庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷庫に関するものであり、特に、携帯可能な比較的小型の保冷庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保冷庫としては、箱状の収容室と蓋体と機構室(本願発明の機関部に相当する)とからなる保冷庫(本願発明の保冷庫本体に相当する)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような保冷庫は、保冷区画が断熱材によって囲まれているため、保冷区画からの冷熱の漏れを抑えることはできるが、完全に抑えることはできない。このため、前記保冷庫の外面に結露水が生じる場合があった。そして、この結露水は、前記保冷庫の外面から流下して床を濡らしてしまう虞があった。このため、従来は、結露水の受け皿の上に保冷庫を載置し、流下する結露水を受けるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような受け皿を用いる方法では、結露水が受け皿に溜まり続けるので、衛生上好ましくなかった。据え置き型の冷蔵庫等の保冷庫であれば、保冷庫の表面を加温することで結露水が生じないようにすることができるが、可搬型の保冷庫の場合、そのような機構を組み込むのは、コストの面と断熱性の面から好ましくなかった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、安価な構造で衛生的に結露水を処理することができる保冷庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の保冷庫は、箱状の保冷庫本体と、この保冷庫本体の外側下部を覆う上方開口のカバー体とを有する保冷庫であって、前記保冷庫本体の底部と前記カバー体の底部との間に間隙を形成するためのスペーサを有し、前記カバー体が、吸気口と排気口とを有すると共に、前記保冷庫本体及び/又は前記カバー体が送風装置を有するものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の保冷庫は、請求項1において、前記保冷庫本体が、排熱のための保冷庫本体吸気口と保冷庫本体排気口と前記送風装置とを有し、前記カバー体の上方開口端が、前記保冷庫本体を収容した状態で前記保冷庫本体吸気口よりも上方であると共に、前記排気口が前記保冷庫本体排気口と通じるように設けられるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の保冷庫は、請求項2において、前記保冷庫本体が、保冷区画部と機関部とを有し、前記保冷庫本体吸気口と保冷庫本体排気口と前記送風装置とが機関部に設けられると共に、前記カバー体の上部に、前記機関部の外壁との間からの気流流入を阻止する阻止部が設けられるものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の保冷庫は、請求項3において、前記カバー体又は前記保冷庫本体に、その下方から前記保冷庫本体吸気口へ気流を導く導入部が設けられるものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の保冷庫は、請求項1において、前記カバー体の吸気口に、外気を下方へ導く案内部が形成されるものである。
【0011】
更に、本発明の請求項6に記載の保冷庫は、請求項1において、前記カバー体の排気口に前記送風装置が設けられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の保冷庫は、以上のように構成することにより、前記吸気口から流入し前記排気口から流出する気流を、前記保冷庫本体の表面で生じた結露水に当てることによってこれを蒸発させることができるので、安価で且つ単純な構成で結露水を衛生的に処理することができる。
【0013】
なお、前記保冷庫本体が、排熱のための保冷庫本体吸気口と保冷庫本体排気口と前記送風装置とを有し、前記カバー体の上方開口端を、前記保冷庫本体を収容した状態で前記保冷庫本体吸気口よりも上方とすると共に、前記排気口を前記保冷庫本体排気口と通じるように設けることにより、前記カバー体自体の構造を単純なものとして、コストアップを最小限に抑えることができる。
【0014】
また、前記保冷庫本体が、保冷区画部と機関部とを有し、前記保冷庫本体吸気口と保冷庫本体排気口と前記送風装置とを前記機関部に設けると共に、前記カバー体の上部に、前記機関部の外壁との間からの気流流入を阻止する阻止部を設けることにより、結露水の生じやすい前記保冷区画部とカバー体との間に気流が流れるようにして結露水を蒸発させることができる。
【0015】
また、前記カバー体又は前記保冷庫本体に、その下方から前記保冷庫本体吸気口へ気流を導く導入部を設けることにより、前記保冷区画部の底部と前記カバー体の底部との間を気流が流れるようにして、流下した結露水を蒸発させることができる。
【0016】
また、前記カバー体の吸気口に、外気を下方へ導く案内部を形成することにより、前記保冷庫本体の底部と前記カバー体の底部との間を気流が流れるようにして、流下した結露水を蒸発させることができる。
【0017】
更に、前記カバー体の排気口に前記送風装置を設けることにより、電気的な冷却機構を持たない保冷庫本体であっても、結露水に気流を当てて蒸発させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一の実施形態を示す保冷庫の斜視図である。
【
図2】同、外観図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態を示す保冷庫の斜視図である。
【
図7】同、外観図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第一の実施形態について、
図1乃至
図5に基づいて説明する。1は本発明の保冷庫である。この保冷庫1は、保冷庫本体2と、カバー体3とを有する。
【0020】
前記保冷庫本体2は、保冷容器4と蓋体5とを有して箱状に構成される。そして、前記保冷容器4は、保冷区画部6と機関部7とを有する。前記保冷区画部6は、容器8と、この容器8の外側に設けられる外殻体9と、これらの容器8と外殻体9との間に設けられる断熱部10とを有して構成される。前記容器8は、少なくともその側面部8Wがアルミニウム等の熱良導性金属によって構成される。なお、前記容器8全体をアルミニウム等で構成してもよい。一方、前記外殻体9は、熱伝導率の低い合成樹脂等によって構成される。そして、前記外殻体9の表面には親水層11が形成される。また、前記断熱部10は、発泡スチロール、発泡ウレタン、真空断熱パネルを単体で、あるいはこれらを組み合わせ使用することができる。
【0021】
前記機関部7には、保冷庫本体吸気口12と保冷庫本体排気口13と送風装置14とが設けられる。また、前記機関部7内には、図示しない冷凍機が収容される。前記送風装置14は、前記冷凍機の作動によって発生する熱を前記保冷庫本体2の外部に排出するために、前記保冷庫本体吸気口12から流入し前記保冷庫本体排気口13から流出する気流Fを形成するためのものである。なお、これらの保冷庫本体吸気口12と保冷庫本体排気口13は、この保冷庫本体排気口13から流出した気流が前記保冷庫本体吸気口12から流入しないよう、前記機関部7において離れた位置に設けられる。具体的には、前記保冷庫本体吸気口12と保冷庫本体排気口13は、それぞれ前記機関部7における異なった面に設けられる。本例では、前記保冷庫本体吸気口12は、前記機関部7の正面外壁15に設けられ、前記保冷庫本体排気口13は、前記機関部7の左外壁16に設けられる。
【0022】
前記カバー体3は、熱伝導率の低い合成樹脂等により構成される。また、前記カバー体3は、底部17と、正面側壁18と、背面側壁19と、右側壁20と、左側壁21とを有して上方開口の器状に形成される。また、前記各側壁18,19,20,21の上方開口端には、内向きフランジ部22が形成される。この内向きフランジ部22は、上方から前記カバー体3に前記保冷庫本体2を収容した際に、この保冷庫本体2の外壁及び外殻体9との間に僅かな間隙G1を形成する程度に寸法決めされる。また、前記内向きフランジ部22、即ち前記カバー体3の上方開口端は、上方から前記カバー体3に前記保冷庫本体2を収容した際に、この保冷庫本体2に形成された保冷庫本体吸気口12よりも上方に位置する。このため、前記保冷庫本体吸気口12は、前記カバー体3によって覆われる。なお、前記内向きフランジ部22のうち、前記機関部7と対向する部位には、この機関部7の外壁と当接して気流の流入を阻止するための阻止部23が設けられる。本実施形態では、この阻止部23は、ゴムやスポンジ等のような、外壁に密着できる素材により別体で形成するが、前記フランジ部22の当該箇所を内側に延長して一体に形成してもよい。また、前記右側壁20には吸気口24が形成される。この吸気口24は、気流Fを下方へ導く案内部25が形成される。また、前記左側壁21には排気口26が形成される。この排気口26は、前記保冷庫本体排気口13と通じるように設けられる。更に、前記正面側壁18の内面側には、前記カバー体3の下方から前記保冷庫本体吸気口12へ気流Fを導くための導入部27が設けられる。この導入部27は、前記正面側壁18の内面における、前記保冷庫本体吸気口12よりも前記吸気口24側に、上下に延びるリブ状に形成される。
【0023】
そして、前記保冷庫本体2の底部と前記カバー体3の底部17との間には、これらの間に間隙G2を形成するための複数のスペーサ28が設けられる。これらのスペーサ28は、前記保冷庫本体2の足として設けてもよいが、前記カバー体3の底部17と一体に形成してもよく、また、前記保冷庫本体2及びカバー体3と独立して設けてもよい。また、これらのスペーサ28は、図示しない前記冷凍機が発生させる振動を吸収する構造又は材質で形成するのが望ましい。
【0024】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記保冷庫本体2の図示しない操作部を操作して、前記冷凍機及び前記送風装置14を作動させる。これによって、前記容器8と蓋体5とで囲まれる空間が冷却される。そして、この空間が冷却されることで、この空間に収容される物品も冷却される。また、前記冷凍機が発生させる熱は、前記送風装置14による気流Fによって、前記保冷庫本体2の外部に排出される。この気流Fは、前記保冷庫本体吸気口12から前記機関部7内に流入し、前記保冷庫本体排気口13から前記機関部7外に流出する。
【0025】
前記保冷容器本体2は、単体で使用することができる。しかしながら、前記冷凍機による冷却性能が高く、前記空間内が極めて低い温度まで冷却できる場合、高断熱の前記断熱部10によって冷熱の漏れを抑えたとしても、完全に冷熱の漏れを抑えることができず、前記保冷容器本体2の保冷区画部6の外殻体9が結露する虞があるので、前記保冷容器本体2を前記カバー体3に収容して使用するのが望ましい。このように、前記外殻体9で生じた結露水は、前記外殻体9の表面を流下し、前記カバー体3の底部17に貯められる。
【0026】
なお、前記保冷区画部6の外殻体9における前記内向きフランジ部22よりも上方においても、結露する可能性がある。ここで生じた結露水は、前記外殻体9の表面を流下して前記カバー体3の底部17に溜まるようにする必要がある。このため、前記外殻体9と内向きフランジ部22との間には、結露水を通すための前記間隙G1が設けられている必要がある。即ち、前記外殻体9で生じた結露水は、前記内向きフランジ部22の上方で生じたものも下方で生じたものも、前記カバー体3の底部17に貯められる。なお、前記間隙G1が狭すぎると、流下する結露水が前記外殻体9と内向きフランジ部22との間で表面張力により保持されてしまう。このため、前記間隙G1は、結露水を流通させるのに十分な寸法である必要がある。
【0027】
一方、前記機関部7の外壁では、殆ど結露しない。これは、前記機関部7に収容される前記冷凍機が発生させる熱により、前記機関部7の外壁の表面温度が露点以下になりにくいためである。このため、前記機関部7の外壁と内向きフランジ部22との間に、結露水を通すための前記間隙G1は必要ない。
【0028】
そして、前記送風装置14が作動すると、前記吸気口24から前記保冷庫本体2とカバー体3との間に気流Fが流入し、この気流Fが前記保冷庫本体吸気口12から前記機関部7内に流入し、前記保冷庫本体排気口13から前記機関部7外に排出される。なお、前述したように、前記保冷庫本体排気口13が前記排気口26と通じているので、前記気流Fは、前記保冷庫本体排気口13から前記機関部7外に流出すると、前記排気口26から前記カバー体3外に流出する。このように、前記保冷庫本体2の送風装置14を作動させることで、前記保冷庫本体2とカバー体3との間に気流Fが流通する。なお、前述したように、前記吸気口24に気流Fを下方に導く案内部25が形成されるので、前記吸気口24から流入した気流Fは下方に向きを変え、前記保冷庫本体2の底部と前記カバー体3の底部17との間の前記間隙G2を流通可能となる。また、前記カバー体3の正面側壁18の内面側に前記導入部27が設けられるので、前記気流Fが前記間隙G2から上昇して前記保冷庫本体吸気口12から前記機関部7内に流入する。従って、前記気流Fが前記吸気口24と保冷庫本体吸気口12との間で確実に前記間隙G2を流通する。
【0029】
結露水が前記カバー体3の底部17に溜められた状態で、前記間隙G2を気流Fが流通すると、この気流Fによって結露水が蒸発する。なお、前記間隙G1が広いと、この間隙G1から前記保冷庫本体2とカバー体3との間に外気が流入してしまう。この場合、前記間隙G2を流れる気流Fの流速が遅くなり、結露水が蒸発しにくくなる。しかしながら、前述したように、前記外殻体9の表面に親水層11を設けることで、前記外殻体9の表面に生じる結露水が水滴となりにくい。このため、前記外殻体9における前記内向きフランジ部22よりも上方で生じた結露水は、前記間隙G1をある程度狭くしても、この間隙G1を通過することができる。従って、前記間隙G1を狭くしてこの間隙G1からの外気の流入を抑えることで、気流Fの流速の低下を抑えることができると共に、前記外殻体9の表面に生じた結露水が前記間隙G1を通過できる。この結果、結露水は、前記外殻体9の表面に沿って流下すると共に、前記カバー体3の底部17に溜まる。そして、前記吸気口24から流入した気流Fは、前記間隙G2を通過するので、前記外殻体9の下部表面にある結露水、及び前記カバー体3の底部17に溜まった結露水は、前記気流Fによって効率的に蒸発することになる。
【0030】
なお、結露水の蒸発によって生じた水蒸気は、前記気流Fと共に前記保冷庫本体吸気口12から前記機関部7に流入し、前記保冷庫本体排気口13から前記排気口26を経て前記カバー体3外に排出される。
【0031】
以上のように、本発明は、箱状の保冷庫本体2と、この保冷庫本体2の外側下部を覆う上方開口のカバー体3とを有する保冷庫1であって、前記保冷庫本体2の底部と前記カバー体3の底部17との間に前記間隙G2を形成するための複数のスペーサ28を有し、前記カバー体3が、吸気口24と排気口26とを有すると共に、前記保冷庫本体2が送風装置14を有することにより、前記吸気口24から流入し前記排気口26から流出する気流Fを、前記保冷庫本体2の表面で生じた結露水に当てることによってこれを蒸発させることができるので、安価で且つ単純な構成で結露水を衛生的に処理することができるものである。
【0032】
また、本発明は、前記保冷庫本体2が、排熱のための保冷庫本体吸気口12と保冷庫本体排気口13と前記送風装置14とを有し、前記カバー体3の上方開口端である内向きフランジ部22を、前記保冷庫本体2を収容した状態で前記保冷庫本体吸気口12よりも上方とすると共に、前記排気口26を前記保冷庫本体排気口13と通じるように設けることにより、前記カバー体3自体の構造を単純なものとして、コストアップを最小限に抑えることができるものである。
【0033】
また、本発明は、前記保冷庫本体2が、保冷区画部6と機関部7とを有し、前記保冷庫本体吸気口12と保冷庫本体排気口13と前記送風装置14とを前記機関部7に設けると共に、前記カバー体3の上部に、前記機関部7の外壁との間からの気流流入を阻止する阻止部23を設けることにより、結露水の生じやすい保冷区画部6とカバー体3との間に気流Fが流れるようにして結露水を蒸発させることができるものである。
【0034】
また、本発明は、前記カバー体3に、その下方から前記保冷庫本体吸気口12へ気流Fを導く導入部27を設けることにより、前記保冷区画部6の底部と前記カバー体3の底部17との間を気流Fが流れるようにして、流下した結露水を蒸発させることができるものである。
【0035】
更に、本発明は、前記カバー体3の吸気口24に、外気を下方へ導く案内部25を形成することにより、前記保冷庫本体2の底部と前記カバー体3の底部17との間を気流Fが流れるようにして、流下した結露水を蒸発させることができるものである。
【0036】
次に、本発明の第二の実施形態について、
図6乃至
図8に基づいて説明する。31は本発明の保冷庫である。この保冷庫31は、保冷庫本体32と、カバー体33とを有する。
【0037】
前記保冷庫本体32は、保冷容器34と蓋体35とを有して箱状に構成される。前記保冷容器34は、容器38と、この容器38の外側に設けられる外殻体39と、これらの容器38と外殻体39との間に設けられる断熱部40とを有して構成される。前記容器38は、少なくともその側面部38Wがアルミニウム等の熱良導性金属によって構成される。なお、前記容器38全体をアルミニウム等で構成してもよい。一方、前記外殻体39は、熱伝導率の低い合成樹脂等によって構成される。そして、前記外殻体39の表面には親水層41が形成される。また、前記断熱部40は、発泡スチロール、発泡ウレタン、真空断熱パネルを単体で、あるいはこれらを組み合わせ使用することができる。
【0038】
前記カバー体33は、熱伝導率の低い合成樹脂等により構成される、。また、前記カバー体33は、底部47と、正面側壁48と、背面側壁49と、右側壁50と、左側壁51とを有して上方開口の器状に形成される。また、前記各側壁48,49,50,51の上方開口端には、内向きフランジ部52が形成される。この内向きフランジ部52は、上方から前記カバー体33に前記保冷庫本体32を収容した際に、この保冷庫本体32の外殻体39との間に僅かな間隙G3を形成する程度に寸法決めされる。また、前記右側壁50には吸気口54が形成される。この吸気口54は、気流Fを下方へ導く案内部55が形成される。また、前記左側壁51には排気口56が形成される。この排気口56には、送風装置57と、この送風装置57へ前記気流Fを下方から導くダクト部58が設けられる。
【0039】
そして、前記保冷庫本体32の底部と前記カバー体33の底部47との間には、これらの間に間隙G4を形成するための複数のスペーサ59が設けられる。これらのスペーサ59は、前記保冷庫本体32の足として設けてもよいが、前記カバー体33の底部47と一体に形成してもよく、また、前記保冷庫本体32及びカバー体33と独立して設けてもよい。
【0040】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記保冷庫本体32の蓋体35を開き、前記容器38内に図示しない保冷剤を収容する。これによって、前記容器38と蓋体35とで囲まれる空間が冷却される。そして、この空間が冷却されることで、この空間に収容される物品も冷却される。
【0041】
前記保冷容器本体32は、単体で使用することができる。しかしながら、前記保冷剤の蓄冷量が大きく、前記空間内が極めて低い温度まで冷却できる場合、高断熱の前記断熱部40によって冷熱の漏れを抑えたとしても、完全に冷熱の漏れを抑えることができず、前記保冷容器本体32の外殻体39が結露する虞があるので、前記保冷容器本体32を前記カバー体33に収容して使用するのが望ましい。このように、前記外殻体39で生じた結露水は、前記外殻体39の表面を流下し、前記カバー体33の底部47に貯められる。
【0042】
なお、前記外殻体39における前記内向きフランジ部52よりも上方においても、結露する可能性がある。ここで生じた結露水は、前記外殻体39の表面を流下して前記カバー体33の底部47に溜まるようにする必要がある。このため、前記外殻体39と内向きフランジ部52との間には、結露水を通すための前記間隙G3が設けられている必要がある。即ち、前記外殻体39で生じた結露水は、前記内向きフランジ部52の上方で生じたものも下方で生じたものも、前記カバー体33の底部47に貯められる。なお、前記間隙G3が狭すぎると、流下する結露水が前記外殻体39と内向きフランジ部52との間で表面張力により保持されてしまう。このため、前記間隙G3は、結露水を流通させるのに十分な寸法である必要がある。
【0043】
そして、前記送風装置57が作動すると、前記吸気口54から前記保冷庫本体32とカバー体33との間に気流Fが流入し、この気流Fが前記ダクト部58から前記送風装置57を通って前記排気口56から前記カバー体33外に排出される。なお、前述したように、前記吸気口54に気流Fを下方に導く案内部55が形成されるので、前記吸気口54から流入した気流Fは下方に向きを変え、前記保冷庫本体32の底部と前記カバー体33の底部47との間の前記間隙G4を流通可能となる。また、前記カバー体33の右側壁21の内面側に前記ダクト部58が設けられるので、前記気流Fが前記間隙G4から上昇し、前記送風装置57を通って前記排気口56から前記カバー体33外に排出される。従って、前記気流Fが前記吸気口54と排気口56との間で確実に前記間隙G4を流通する。
【0044】
結露水が前記カバー体33の底部47に溜められた状態で、前記間隙G4を気流Fが流通すると、この気流Fによって結露水が蒸発する。なお、前記間隙G3が広いと、この間隙G3から前記保冷庫本体32とカバー体33との間に外気が流入してしまう。この場合、前記間隙G4を流れる気流Fの流速が遅くなり、結露水が蒸発しにくくなる。しかしながら、前述したように、前記外殻体39の表面に親水層41を設けることで、前記外殻体39の表面に生じる結露水が水滴となりにくい。このため、前記外殻体39における前記内向きフランジ部52よりも上方で生じた結露水は、前記間隙G3をある程度狭くしても、この間隙G3を通過することができる。従って、前記間隙G3を狭くしてこの間隙G3からの外気の流入を抑えることで、気流Fの流速の低下を抑えることができると共に、前記外殻体39の表面に生じた結露水が前記間隙G3を通過できる。この結果、結露水は、前記外殻体39の表面に沿って流下すると共に、前記カバー体33の底部47に溜まる。そして、前記吸気口54から流入した気流Fは、前記間隙G4を通過するので、前記外殻体39の下部表面にある結露水、及び前記カバー体33の底部47に溜まった結露水は、前記気流Fによって効率的に蒸発することになる。
【0045】
なお、結露水の蒸発によって生じた水蒸気は、前記気流Fと共に前記排気口56を経て前記カバー体33外に排出される。
【0046】
以上のように、本発明は、箱状の保冷庫本体32と、この保冷庫本体32の外側下部を覆う上方開口のカバー体33とを有する保冷庫31であって、前記保冷庫本体32の底部と前記カバー体33の底部47との間に間隙G4を形成するための複数のスペーサ59を有し、前記カバー体33が、吸気口54と排気口55とを有すると共に、前記カバー体55が送風装置57を有することにより、前記吸気口54から流入し前記排気口56から流出する気流Fを、前記保冷庫本体32の表面で生じた結露水に当てることによってこれを蒸発させることができるので、安価で且つ単純な構成で結露水を衛生的に処理することができるものである。
【0047】
また、本発明は、前記カバー体33の吸気口54に、外気を下方へ導く案内部55を形成することにより、前記保冷庫本体32の底部と前記カバー体33の底部47との間の間隙G4を気流Fが流れるようにして、流下した結露水を蒸発させることができるものである。
【0048】
更に、本発明は、前記カバー体33の排気口56に前記送風装置57を設けることにより、電気的な冷却機構を持たない保冷庫本体32であっても、結露水に気流Fを当てて蒸発させることができるものである。
【0049】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、第一の実施形態では、カバー体を合成樹脂等で構成したが、弾性変形可能なゴム等で構成してもよい。この場合、内向きフランジ部や案内部、導入部を有する構造であっても、一体成形することができる。また、上記各実施形態では、前記カバー体の右側壁に吸気口を設けたが、このような吸気口を設けず、保冷庫本体とカバー体との間に形成される間隙を吸気口としてもよい。この場合、この間隙の広さを適切に設定する必要がある。また、第一の実施形態では、阻止部を内向きフランジ部に設けたが、保冷庫本体の機関部の外壁に設けてもよく、また、保冷庫本体やカバー体とは独立して設けてもよい。更に、第一の実施形態では、導入部をカバー体に設けたが、導入部を保冷庫本体に設けてもよく、また、導入部をカバー体や保冷庫本体とは独立して設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,31 保冷庫
2,32 保冷庫本体
3,33 カバー体
6 保冷区画部
7 機関部
11,41 親水層
12 保冷庫本体吸気口
13 保冷庫本体排気口
14,57 送風装置
17,47 底部
22,52 内向きフランジ部
23 阻止部
24,54 吸気口
25,55 案内部
26,56 排気口
27 導入部
28, 59 スペーサ
F 気流
G2,G4 間隙
【要約】
【課題】安価な構造で衛生的に結露水を処理することができる保冷庫を提供すること。
【解決手段】箱状の保冷庫本体2と、この保冷庫本体2の外側下部を覆う上方開口のカバー体3とを有する保冷庫1であって、前記保冷庫本体2の底部と前記カバー体3の底部17との間に前記間隙G2を形成するための複数のスペーサ28を有し、前記カバー体3が、吸気口24と排気口26とを有すると共に、前記保冷庫本体2が送風装置14を有することにより、前記吸気口24から流入し前記排気口26から流出する気流Fを、前記保冷庫本体2の表面で生じた結露水に当てることによってこれを蒸発させることができるので、安価で且つ単純な構成で結露水を衛生的に処理することができる。
【選択図】
図3